レインボーシックス346   作:MP5

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 ネイビーシールズはアメリカ海軍の特殊部隊で、最近になって彼らのドキュメンタリーが放映されたことでも有名だ
 


ネイビーシールズ編  鬱憤を任務にぶつけろ

 アメリカ・カルフォルニア州。一隻の大型クルーザーがハイジャックされた。犯人達は船が沖に出て早々銃を取り出し制圧。船員全員を海に投げ、興奮状態の客たちも同じように投げた。唯一残った人質、浜口あやめは恐ろしい事態に言葉を失い、地下倉庫内で恐怖で震えあがっていた。

(これが時代劇だったら、こんな事態でも冷静に敵を倒すけど、そんなことできないよ。ニンニン・・・)

 一方その頃、カルフォルニア州はレインボーに救出作戦を依頼した。

「遅れたな。レインボーのブラックビアードだ」

 髭が特徴的な男、クレイグ・ジェンソン。コードネーム・ブラックビアードが姿を現した。

「州警察のブラックです。沖に船が浮かんでいるのですが、そこに日本人一名がいます。彼らを救出してほしいのです」

「なるほどな。船の見取り図はあるか?」

「ありませんが、このタイプのクルーザーには後方部に手すりがついていて、危険事態になっても上がれるようになっています」

「わかった。交渉を続けといてくれ、俺はその間に救出作戦に乗り出す」

 

 

 

 

 桟橋にあるボートに乗り込み、クルーザーに近づいた。ある程度距離を離し、そこから泳いで近づくことにした。

「休暇から無理矢理呼ばれた気分って、最悪だよなビアード?」

「そうだけど、どうしたんだ、そんなに苛立って?」

 腕に特徴的なタトゥーを入れた男口調な女性隊員、メーガン・J・カステラーノ。コードネーム・ヴァルキリーはイライラした様子だった。なんでも、本来なら休暇であり、自分の応援する日本のアイドル、前川みくのコンサートに行けなくなったことに腹を立てていたのだ。

「みくのコンサートに行けなかった鬱憤をここで晴らす」

「落ち着け、その、みくって子も怖がって近寄らないぞ?」

 手摺りでクルーザーに上り切ると、ブラックビアードは自分の得物、Mk17CQBに、透過アーマーライフルシールドを装備した。

「行くぞ」

 さっそく背後から忍び寄り、銃口を突きつけた。

「動くな騒ぐな。人質がどこにいるか教えろ」

「そ、そっちです・・・」

「いい子だ」

 手刀で気絶させ、敵の指差した方向に進む。ドアが突然開き、敵が強襲してきたが焦らず遮蔽物に隠れ、最小限に体を出しながら反撃に出、この場を制圧。ひとつひとつ部屋を回っていると、船の見取り図を見つけた。

「この構造からしておそらく、人質は地下倉庫だ。急ぐぞ」

 ヴァルキリーは地下倉庫に向かう途中の各所に粘着性のカメラ、ブラックアイを仕掛けていく。

「よしここだ、合図で行くぞ。3・2・1、ゴー!」

 ドアを破り、勢いよく入り部屋の中にいた敵を仕留める。その早業にあやめは驚いて口が塞がらなかった。

「・・・クリア。もう大丈夫だニンジャガール」

 ブラックビアードが拘束を解いて終わると、ヴァルキリーが流暢な日本語で安心させる。

「え、日本語?」

「前川みくって知ってる?彼女のファンなんだ」

「みく殿のファンでしたか。でも日本でコンサートが」

「君を助けに来たんだ。おかげでコンサートに行けなかったけどな」

「ありがとうございます、ニンニン」

 

 

 

 

 脱出前に専用のスマホを見て敵が来ていないか確認する。誰も映っていないため、一安心する。

「これから脱出するから、彼の後ろに隠れてなさい」

「御意!」

 ヴァルキリーがポイントマンになり、警戒しながら歩く。いくらカメラがあるとはいえ、死角に隠れていたらこちらが危機になる。情報のプロである彼女がそのことをよく知っていた。

「誰もいない、走って!」

 ブラックビアードはあやめの手を握り、州警察が用意してあった脱出用ボートに近づき、彼女を乗せ、自分達が乗ったことを確認すると、エンジンをかけクルーザーから離れる。

「任務完了だな。お疲れさん、二人とも」

「だがまだだ。彼女を安全な場所まで送っていくまでが任務だ」

「おっと、忘れてたぜ」

 二人はあやめを宿泊予定のホテルまで護送し、自分達の連絡先を渡すとその場を去って行った。

 

 

 

 

 それから数日が過ぎ、あやめは無事帰国を果たし、みくに自分達を助けてくれた人の話をすることにした。

「にゃ、その助けてくれたヴァルキリーって人がみくのファンだったの?」

「はい。この前コンサートあったでしょう?行けなかったって悔しがってましたよ、ニンニン」

「みくも大阪で似たような人に助けてもらったことあるけど、思ったより反応薄かったにゃ」

 遠いヘリフォードで自分の愛用デバイス、スペクターをメンテナンスしていたIQがくしゃみをしたのを、二人は知らない。

「まぁいいにゃ。お仕事できるだけ、喜ぶにゃ」

「はい・・・あ、プロデューサー殿!」

 二人が話してる最中に武内が入って来る。

「カルフォルニア州では大変怖い目にあったでしょう。少し休んでください」

「大丈夫ですよ、あやめは元気ですから」

「・・・ひとつ、話をしておきます。疲労は見えないところで体を蝕んでいきます。たとえ今疲れていなくても、ライブやフェスで予兆もなく倒れる可能性を孕みます。ですから、しばらく休暇してください」

「でも、ヴァルキリーさんとブラックビアードさんは、あやめをホテルに護送した後、また中東で任務があるからって、どこか行っちゃいました」

「アイドルとレインボー隊員を一緒にしてはいけません。彼らは日々過酷な訓練で鍛えていて、世界各国のテロ事件を解決するのに奮闘しているのですから、一般人と比べて体力と精神力が違いすぎるんです。同じように考えては体が持ちません」

「・・・そうですね。でも、どうして二人がレインボーの隊員だって、知ってるんですか?」

「元同僚だからです。私もレインボーとして世界各国飛び回っていました。特にブラックビアードとは一緒に作戦に参加したこともありますよ」

「「えぇ!?」」

「まぁそれはそれとして、今はゆっくりくつろいでください」

 

 

 

 

 

 

 部屋を出た武内は衛星携帯で誰かに電話をかけた。

「私です。お願いしていた前川さんのサインをあなた宛でヘリフォードに郵送しておきました。ええ、喜んで書いてくれましたよ、写真を見せたら目を輝かせていましたしね。・・・浜口さんを助けてくれたお礼です。いつまでも大事にしてくださいね、ヴァルキリー」

 電話の向こうでヴァルキリーがガッツポーズしたのを想像し、思わず小さく笑った。




 
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