源太はドミンゴに呼び出された。そこには二人の日本人の男女がいた。
「彼らは?」
「・・・すまんゲン、彼らはSAT出身、お前の先輩なんだ。紹介を忘れていたんだよ」
「え?俺が二人目じゃ」
「警視庁SATじゃお前が三人目だ。しかし、全体で見れば少し違うんだ」
「はぁ・・・何かと思えば」
男の方が左手の端末をいじって何かを飛ばした。平たい飛行可能ドローン、YOKAIドローンだ。
「お前のことは聞いてるよ、アナスタシアの彼氏でODT事件を解決に導いた優秀なオペレーター。いいなぁアイドルの恋人って」
わざとらしい態度のこの男、江夏マサル、コードネームはエコーと言う。機械を愛し、任務遂行には絶対に外さないと言い張るオペレーターだ。ジャンとドローンレース大会に参加し準優勝する実力を持つ。
「よろしくね、源太君」
この女性オペレーターはヒバナ、本名、今川ユミコと言い、愛知県警SAT出身だ。彼女はサーマイトとは古い知り合いで、彼とともにX-KAIROSと呼ばれる強化壁に穴を空ける特殊なグレネードランチャーを開発した、曲者隊員だ。
「そうだ、お願いがあるんだけどいいかな?確か本田未央の知り合いなんだよね、そこのエコーが彼女のファンでさ、サインもらってくれるかな?」
「お前ら俺をパシらせんな。グレネードランチャーで〆るぞ」
本気で怒った源太の顔に二人の顔に脂汗が湧き出ているのがわかる。想像以上に怖かったのだろうか。
「ご、ごめんね。ジョークよジョーク・・・」
ドミンゴが咳払いし、場を制する。
「落ち着け。ゲン、今からエコーと一緒に韓国・釜山に行ってくれ。話中に出た本田未央が保守系過激派コリアンテロリスト共が彼女を狙っていると情報が入った。喧嘩だけはするなよ」
「「ラジャ!」」
(アイドル好き多いな、レインボー)
釜山に到着した二人は、早速未央達に会いに行く。
「あっ源兄じゃん。なになにどうしたの?」
「この能天気め、お前らの護衛だよ。そして、後ろにいるのがエコー、仕事仲間だ」
「は、はじめまして、僕江夏です!サインください!」
未央を前に、色紙片手に緊張しっぱなしのエコー。源太は呆れた顔で指を差す。
「うわ~面白~い。いいよいいよ、書いちゃうもんね~」
未央の能天気ぶりに、源太は何処を注意すればいいのかわからないため、ツッコミを入れないようにした。
「あれ、シドニーで救出チームにいた人じゃん」
シドニーで救出した女性、木村夏樹が現れる。
「夏樹姉知ってるの?」
「まぁこうして公式に会ったことないけど、改めてみると結構いい男じゃん」
夏樹の直球な誉め言葉を丁寧に返す。
「恐縮だ。それよりも俺たちは仕事に戻らせてもらうよ、行くぞエコー」
「もっと喋らせてよ!」
「バカ野郎、仕事で来てんだぞ。未央もそうだ、コイツと喋ってないで仕事の準備しろ」
「ちぇ~っ、わかったよ源兄」
この日は釜山名物の料理を食べるという、体当たりな仕事だった。テナガダコ食べに海沿いの店に入り、少し個性的な食レポをする未央を見て、思わず普段から思っていることを口走った。
「変わんないな、昔っから飾らない性格だ」
「へぇ昔から?」
「でも、アイドルなりたての頃、客が入ってこないことに苛立ってやめるって泣きついてきたことがあったんだ。わざわざ国際電話使ってな、深夜帰りの俺のもとに」
「どう返したんだ?」
「どんな奴も悩まないで成功した奴はいない、やるって決めたんならやめるんじゃないってね」
「なるほどね、だからNG再結成が長引いたんだ」
「・・・俺が邪魔したってか?」
「でもそれでよかったよ、急いで再結成して解散したら同じじゃん」
「まぁな」
装備してるHK416A5カスタムを握り直す。
「源太は警視庁SATで異端児扱いだったんだろ?面白いエピソードない?」
「以前、FBI SWATとの合同訓練でSATチームがストレートで負け続けていたんだ。でもな、単独で動いていた俺が敵の動きを読んだり罠張って待ち伏せしたりって工夫して一勝上げたんだ。だがな、土橋ってクソが勝手な行動するなって俺を怒鳴りやがってさ。教科書通りでCQBできるかっつうの」
「すごいな、俺も警視庁SATにいたことあったけど、そんな話聞いたことない」
「その訓練を視察していたのがシックスさ。まさかスカウトされるとは思わなかった」
「シンデレラストーリーじゃん。いやぁ面白い話だな。そういやお前の銃、SATじゃ使わないモデルだな」
「これは指導教官だったサーマイトさんが勧めてくれた銃だ。最高の品だぜ」
日中の仕事が終わり、市街地から離れたペンションのような宿泊施設に泊まることになった。夜になり、日が落ちるとほとんど人の気配を感じない。
「源兄、訓練してる時にこんな感じで静かな夜があった?」
「静かすぎて怖いことならあったぞ。俺は下に降りるから、ここにいてくれ」
下の階に降りると、異様な光景を目の当たりにする。
「エコー、一階のロビーに誰一人いないぞ。外を見てくれないか?」
「任せてくれ」
YOKAIドローンを飛ばし、周辺を見て回るが誰一人として人間がいなかった。
「だめだいない。撮影クルーが誰一人として見当たらない」
「これは俺の勘だがな、撮影クルー全体がテロリストだったってことじゃないか?」
「だな。もしかしたら襲撃されるかも」
二人は急いで窓やドアにバリケードを張り、外敵に備える。
「どうしたの?」
「なんだか騒がしいじゃないか、まるで嵐に備えてるみたいだな」
「敵が襲ってくるかもしれない。未央と夏樹は一か所に集まってくれ」
外から足音が聞こえたためそれぞれHK416A5カスタム、MP5SDを持ち、身構える。
「妖怪ドローン起動」
ドローンを玄関に飛ばすとK1カービンを持った敵10人が入ってきたのがわかる。
「来たぞ」
ドローンを戻し、迎撃態勢を取る。ドアが破られた瞬間に敵に発砲、全員排除する。その後ドミンゴから通信が入った。
「こちらシックス、ペンションの周りに多くの敵を確認。最大4ウェーブは来る模様、空いた時間を使って壁や通路に罠を張れ」
「了解シックス。ペンションにあるものを有効利用し敵に備える、オーバー」
源太は他の部屋から有刺鉄線をかき集め床に設置し、エコーもまた鉄製の補強壁を設置し攻撃に備える。
「敵が迫っているぞ」
「「了解」」
その後は二人の土壇場だった。YOKAIドローンが発するショックバーストで混乱した隙にMP5SDで撃ち込んだり、狭い通路を進む敵に炸裂弾と鉛玉をお見舞いし、一網打尽にする。
「最後のウェーブだ、気をつけろ」
しかし敵も馬鹿ではない。エコーの頭上から爆発音が響いたかと思えばそこから侵入してきたのだ。不意を突かれたエコーは尻もちをつきMP5SDを落とす。とっさにP229を抜き、応戦する。
(やっべ、こりゃまずい)
杞憂だった。少し離れた場所にいた源太が援護射撃してくれたため、最後のウェーブも制圧に成功する。
「大丈夫か、機械だけに頼っちゃ不意突かれて死ぬかもしれないんだ。結局は自分の体が最後の砦になる、忘れんなよ」
手を差し出し、エコーを起こした。
「助かった。未央ちゃんにカッコ悪いところ見せちゃったのが唯一の心残りだよ」
「お前死にかけててよくそんなセリフ言えるな。バカなのか天才なのかどっちかにしてくれ」
「どっちもだ。どちらかなんて質問は野暮だと思うがな」
「よく言う。まぁよく考えたらそうかもな」
襲撃が終わったことを二人に告げ、共に迎えのヘリに乗り込んだ。パイロットのイエーガーが声をかける。
「お疲れさん二人とも。シックスも安心して仕事させることができるって喜んでたぞ」
「どういう意味です?」
「ゲンは喧嘩っ早くて攻撃的だし、エコーはシャイで機械に頼り過ぎなところがある。シックスは結構悩んでたと思うぞ」
「はぁ・・・これじゃまるで子供みたいですね」
源太はポケットから好きなホワイトチョコを取り出し、それを口にした。
「マサルン、源兄、これから仲良くできそう?」
「で、できると思うよ!未央ちゃんにお願いされたら特に」
「・・・努力する」
性格が真反対な二人だが、この任務を機に共同任務が増えたという。
2017年度のDLCオペレーター、もしいれば登場させるかもしれません
ヒバナは別の話で活躍させます