小回りは利くが威力が低いため、CQBで使われることが多い。
「休暇中失礼します。先ほど連絡しましたレインボーの真田です、美城社長の御宅でよろしいですね?」
「君があの特殊部隊の。娘はいません、しばらくしたら帰ると」
「隠しても無駄です、部屋を検分します」
「・・・わかった。調べたまえ」
美城社長とともに専務の部屋に案内された源太。部屋には事件があったことを物語る黒ずんだ血痕がフローリングを支配している。
「やはり、専務はもう・・・」
「察しの通り、逝ってしまったよ。面影すらも無くしてね」
窓ガラスが粉々に砕け散っており、殺害方法も派手にやったものと思われたが、源太の見解は違った。
「彼女は狙撃されたみたいですね、本棚や壁が荒れていません」
「どういうことだ、警察もそんなこと言ってないぞ!?」
「仮にロケットランチャーで攻撃したなら、下の部屋にも影響がありますし、狙撃ポイントとしてご自宅からビル群が見えます、それに弾も大掛かりなものを使ったみたいですね」
「普通の狙撃銃じゃないのか?」
「ええ。7.62NATOじゃ頭や胴体を引き千切れません、おそらく、12.7アンチマテリアルライフル弾を使用したのでしょう」
「アンチマテリアル?」
「簡単に言えば、1発で車を破壊できる化け物弾薬だと思ってください」
想像を絶する殺人方法であった。そのようなもので撃たれて自分の娘は命は砕け散ったのだ、あまりの恐ろしさに震えてしまう。
「専務の無念は晴らします、下で少し休んでいてください」
源太は部屋を調べて行くうちに、本体に刺さったままの一本のUSBメモリーを見つけた。警察のずさんさに呆れてしまう。捜査資料を読んでため息をついた。
「ここまで無能になったのか。確か責任者は・・・小田原信吾か、SAT失格になって刑事課に移ったキャリアのアイツじゃ見過ごすな」
証拠として持ち帰ることにし、終わったことを告げに下りる。
「協力ありがとうございました、これで失礼します」
源太は持ち帰ったUSBを横須賀基地にある簡易レインボー支部にいるジャンに解析してもらうことにした。
「そういえば、あの図面はなんだった?」
「あれか。よく見たら落書きと1枚だけ40mmグレネード弾の設計図、今レイモンドがガス弾作ってんだ」
「なんだそりゃ?」
「無害のガスを排出して人間をパニックに陥れるものだ」
「意味なさそうだな」
「いやアーモンド臭モドキがするから、青酸ガスと勘違いするんだ」
「それでパニックか。奴らが生産していなかったらいいが」
源太は調査報告書を提出しに指令室に入る。そこには大佐がジェラルミンケースに、分解したPKPをしまい込んでいる様子が見えた。
「大佐、調査報告書を提出しに来ました」
「おおゲン。どうだったかね?」
「美城専務はM82で狙撃され絶命していました。詳しくは報告書に記載されております」
「アンチマテリアルライフルで狙撃だと!?あの銃で殺すとなると深い恨みがありそうだな」
「一般人女性が持ち運びできる代物ではありません、訓練された者が使用したかと」
「ふむ、いい観察眼だ。・・・実は最初の事件にいたテロリストの身元が判明した、彼らは中東のPMCの社員でODTと派遣契約を交わしている。推理の正確さ、改めて君は優秀な隊員だと思う」
「自分は事件を早く解決して少し休みたいだけです」
「謙虚だな君は。もしアナスタシアが君を紹介したら快く受け入れるだろう」
「恐れ多いです。では失礼致します」
指令室をあとにした源太はヨハンと一緒に食堂で昼食を食べていた。ちなみにレインボー入隊時に一番早く仲良くなったのが彼で、互いに琢磨した間柄だ。
「日本の空気には慣れたか、夏は蒸し蒸ししてキツイぞ?」
「何言ってやがるイギリスのマズ飯よりずっとマシだ。日本のカレーはうますぎる」
「だろ?ドイツの料理にもひけを取らない」
「だな。それはそれとして、あの子達とは仲良くなれたか?」
「まぁな。俺達は近いうちにイギリスに戻るんだ、なるべく感情移入したくない」
「同感だ」
食べ終え休憩していると、緊急の無線が入る。渋谷901にてODTによる立て籠もり事件発生し、今回は警視庁刑事課と連帯し解決に当たるらしいが、刑事課が犯人と交渉してる間にレインボーが屋上から侵入しテロリストを逮捕、または排除する。それならいい、なにしろ普段通りだからだ。しかし刑事課の指揮官が、問題の小山田信吾だということに懐疑してしまう。
(小山田が指揮か・・・クソだな、俺達だけで解決した方が早そうな気がする)
901のフロアは狭いため2班に分かれて任務を遂行することにした。ジャンとヨハンはそれぞれの特技をもって外で施設内に潜入する班の援護をし、源太とレイモンドはいつも通りの任務をすることになる。
「ゲン、さっき作ってたガス弾、あと少しで完成だから待っといてくれ」
「頼んだ覚えはないんだが・・・まぁ敵のアジトに潜入するときに使うよ」
「今日も煙幕弾と炸裂弾だろ、バリエーション増やしとけ」
「あーあーわかったから行くぞ」
渋谷駅地下二階に通じている入口からサプレッサー付きP90を手に潜入する。テロリスト達は警戒しながら通路を巡回しているが、レイモンドの使うM9A1から放たれる麻酔弾により無力化される。
「許したのか?」
「まあな。これがなくちゃ落ち着かない」
彼をポイントマンに施設内をスニーキングで探っていく。4階に昇ったあたりでジャンから通信が入る。
「ゲン、レイモンド、4階のどこかに逃げ遅れた民間人がいる。どうやら隠れているみたいだからフロアを制圧したら探しといてくれ」
「わかった。探そう」
ここの敵も無力化し、商品の下やレジ裏などの死角に警戒しながら歩く。しかしなかなか見つからない。
「トイレ探すぞ、俺が男子トイレに行く」
「おいおい冗談キツイぜ、淑女のお手洗いに入れるかっての」
「・・・仕方ない、俺が向こうに行く」
渋々女子トイレに入りクリアリングする源太。すると足音が聞こえ、音のする方に歩く。
「誰かいるのか?いるなら返事してくれ」
「・・・あなた、怖い人達じゃないよね?アタシ達逃げ遅れたんだ、なんとかなりそう?」
「達?他にいるのか?」
「莉嘉がいるんだけど、一緒にはいないんだ」
「莉嘉・・・姉妹か?」
「妹、パニクっちゃってはぐれちゃったんだ」
「わかった。君の名前は?」
「城ヶ崎美嘉。アイドルやってんの」
「・・・まさか346プロって言うんじゃ・・・」
「そうだよ、有名人だもん!」
「声がでかい。気づかれたらどうするつもりだ、俺は君達を助けに来た、信じて開けてくれ」
ピンクのポニーテールに着崩した制服調の服装、モデル並みのプロポーションの少女が姿を現した。彼女は源太の顔を見て興奮している。
「すごいイケメンじゃん、マスク越しでもわかるよ!」
「二度も言わすな。俺の後ろに隠れてろ、守ってやる、頭を下げろ」
346のアイドルは緊張感を感じないのか。そう思いながらレイモンドと合流すると、彼の方には小柄な金髪少女が近くにいた。雰囲気からしてどうやら妹のようだ。
「莉嘉、無事だったんだ!」
「・・・」
無言の圧力が美嘉を襲う。
「あ・・・ごめんなさい」
「行くぞ、さっさとしないと奴らが降りてくる」
城ヶ崎姉妹を救出し、自分達が乗ってきたバンに乗せ事情聴取を行った。
「・・・っで今回はプライベートで来てたのか?」
「うん、欲しい服あったから買い物に」
「君達は運がいい、あれだけ騒いどいてテロリストに殺されていない。無事でよかった」
「おい、妹の方が疲れて寝ちまった。毛布なかったか?」
「すまんレイモンド、なさそうだ」
寝られるようシートを倒す。
「ありがとうお兄さん達、助けてくれて」
「これが仕事だ。美嘉、最後に一ついいか?」
「何?」
「暑いからって肌さらしていると風邪ひくぞ。俺達は仕事が残ってるからじゃあな」
城ヶ崎姉妹は無事に送り届けられ、施設内のテロリスト達は源太達によって無力化された。ODTメンバー30人中16名死亡、14名は逮捕され事件は終わりを告げた。
モテる男だゲンは・・・ byジャン
くやしくねぇぞ byレイモンド
あいつにも春が来るといいが byヨハン