日本・東京。今日は源太とアナスタシアのデートの日。本来なら二人きりだが、この日は少し違う。
「っで、どうして俺が一緒に来日するんだ?」
「文句言うな。五郎は健康診断で引っ掛かってドクから健康指導だし、ジャンはその五郎にアサルトドローンの操縦を教えるし、レイモンドはアメリカで護衛任務。お前しかいなかったんだよ、ヨハン」
「そうじゃない。俺は二人の時間に水を差すほど野暮じゃないって言いたいんだ」
「ダブルデートってヤツを体験しろよ。もしかしたら価値観変わるかもしれないぜ」
約束の場所である、346プロ女子寮前で待つことにした。鍛え抜かれた男二人が女子寮の前で待つという、異様な絵面に重苦しく感じる。他にカルロスという選択肢もあったが、個人的に苦手なため自然に却下になったのだ。
「源太さん!」
「チョリ・・・こ、こんにちわ・・・」
ここ最近、ヨハンは里奈とよく出会うので、頭を傾げる。
「ねぇ君、この派手な格好でこんな性格なの?かしこまんなくていいから、自然体で遊ぼう。俺が疲れちまう」
「え?」
「君のことは調べがついてる、土方仕事からアイドルに転身したんだってな。苦労が多かっただろう、君の心遣いは身に染みてわかるから、飾らずに接してほしい」
同じころ。一人の男が4人を陰から見ていた。
(アーニャに彼氏がいるって話、本当だったようだな。プロデューサーとして注意しなくては・・・そして、振り向いてもらわねば)
邪な願望を抱くこの男は、アナスタシアのプロデューサー。弟が恋に破れたことを知り、独自に調べていたのだ。
(しかし、ガッチリ体型に爽やか系イケメン。それに対して俺は普通すぎる・・・勝てる要素はないが、くれぐれも気をつけなくては)
二人を待っているときから源太とヨハンには気づかれているが尾行することにする。
(どこへ行く・・・カラオケか・・・)
ドアの前で聞き耳を立てていると、音楽が止み、ドアが開かれる。アナスタシアとのデュエットもこなすと、大きな拍手が響く。
(う、歌もうまいだと!?イケメン許すまじ!)
「さて、トイレトイレ」
そう言うと源太はドアを閉め、トイレに入って行った。裏にいたプロデューサーは開いたドアに当たり、頭から血を流しながら一方的な雪辱を誓うのだった。
カラオケの次はダーツをしに行くことになった。ダーツが趣味のヨハンが腕を魅せ、里奈を喜ばせる。
(20のトリプルを連続で決めるだと!?里奈の彼氏も油断できん・・・)
「ゲン、ちょっといいか?」
二人は席を外し、隅に移動した。
「あのストーカー無視していいのか?さっきから気持ち悪い」
「気にするな、アイツはアーニャちゃんのプロデューサー。ストーカーしてたって上層部に行ったら、すぐにクビだろう」
「だがな、絶対しつこいぞ。里奈にも目線注いでる」
「そりゃ心配だな、一段落したらどっか行こう」
彼女達のもとに行き再びダーツを楽しんだ後、里奈オススメの店を見に、街を歩くことにした。
今度は原宿に行き女子は試着、男共は近くで待機していた。
(く・・・男が一人じゃ行けない店に入ったか、俺は木に隠れて観察するしかない)
「あ、変な人がいるよ」
「こら、指を差しちゃだめよ」
気まずい雰囲気になったプロデューサーは一目散に逃げだした。
(おのれ策略か、許すまじアーニャの彼氏!)
外が騒がしいのに気がついたのか、源太は店の外を見る。
「なんの騒動だ?」
「さぁな。アイツの気配が消えたし、いいんじゃないか?」
「そりゃいい」
一方、里奈は頭を抱えていた。アナスタシアには自分の普段着ているような服が似合わないからだ。
「うーん清楚すぎるんだよね、なんと言うか、パンクが似合わなさすぎるってやつ?」
「確かにな」
源太はふとあるものを発見し、それを持ってくる。
「これなんかはどうだ?」
「白のワンピース?これ着てよ!」
アナスタシアは試着室から手を伸ばし、それに着替える。試着を終え、カーテンを開けると、そこには草原の似合いそうな清純美少女がいた。
「どう・・・ですか?」
「「「ビ・・・ビューティフォー」」」
思わず三人同時に声を上げ、購入を決定した。
デートを終え、ホテルに戻る途中、背後の気配に気づく。
「出て来い。3秒以内で」
振り向くと、例のストーカープロデューサーがいた。
「何のつもりだ?さっきから尾行しやがって」
「当たり前だ!君はアーニャの何なんだ、答えたまえ!」
「自分から名乗るのが礼儀じゃないか?・・・まぁいい、俺は真田源太。彼女の恋人だ」
「な・・・なんだっ」
隙をついて手刀で当身を決める。
「このゴミをどこに捨てる気だ?」
「あぁ。考えがある」
電話でとある人物を呼び出すと、すぐに駆けつけてくれた。
「お呼びですか?」
「武内!」
「このゴミを引き取ってくれ。なお、俺のデートを尾行していたことから、アーニャのストーカーになる可能性が非常に高いため、監視役をつけるよう、上層部に談判してくれ」
「わかりました。彼はその・・・アナスタシアさんのPなのですが、いかんせん、彼女に好意を抱いておりまして、奇行に走るのではと危惧していたのです・・・まさか現実になるとは、思いもしませんでした」
「さっさとしてくれ、俺は忙しいんだ」
プロデューサーの身柄を武内に引き取らせ、ホテルへと戻って行った。
「こちら真田源太。無事に一日を終えました、ええ、彼女はアイドル人生に慣れ、非常に落ち着いています。そろそろ式場を考えろですって?もう少し、俺も大人になってから考えます、指輪も予約しましたし・・・ファンの皆さんに怒られるのは覚悟できてますよ。それと彼女、今度はコスプレに挑戦してみたいらしいです。それでは、また・・・ユーリ大佐」
電話を終え、ヘリフォード基地の自室でウォッカを飲みながら東京の方角に向く。
「ママにも報告しよう。最高の舞台にしなくてはな」
後日、346プロから担当プロデューサーの奇行の件を聞いた時に大激怒しPKPを持って来日しようとしたのは、想像に難くなかった。
オペレーション・ヘルスを記念して、一部健康診断ネタを