レインボーシックス346   作:MP5

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 ちょっとした日常


日常編 オペレーション・ショートケーキ

 日本・東京。アイドル達の寮にあるキッチンに、愛梨・里奈・かな子・アナスタシアが共同でケーキを作っている。理由は普段から世話になっている人へのプレゼントだ。しかし、個人的な理由は少し違う。

(フゥーズさん美味しく食べてくれるといいな)

(ヨハンさんマジウマケーキ食べてほしいポヨ、ついでにハートゲット!)

(パパと源太さんにお礼です)

(アッシュさんごめんなさい、もう我慢できません、食べます!)

 愛梨とかな子の協力の下、里奈とアナスタシアは自分達が作りたかったケーキを程よい加減で焼き上げ、ホイップクリームを丁寧に塗る。

「すごい上手だよ二人とも!」

「アイリ、カナコが丁寧に教えてくれたからです」

「アイリンにカナッチのおかげ、ありがとちゃん」

「そんな事ないよ、真面目に頑張ってくれた成果だよ」

「カナコ、ケーキ食べて大丈夫ですか?」

 頬にクリームがついており、彼女の右手にはカットしたケーキが握られていた。

「あっ・・・その・・・お腹が空いちゃって・・・」

 ケーキ作りは昼前まで続き、食材が余る事なく作り上げた。

 

 

 

 

 

 

 13時。里奈は決死の覚悟で待ち合わせ場所である、寮の玄関前に待つ。手には自作ケーキの入った紙袋が握られている。

(・・・よし)

 数分後、ヨハンが薄緑のシャツにジーンズという普段着姿で現れた。

「よっ、待たせたか?」

「待ってないポヨ。今来たバッカだし」

「ふっ・・・その紙袋は?」

「食べてみ!マジウマだよ!」

 ベンチに座り、袋の中身を取り出す。丁寧に作られたそれはヨハンも唸るほどの出来映えだった。

「上手だな、誰に教えてもらったんだ?」

「アイリンとカナッチ。二人ともお菓子作るのマジウマだよ?」

「へぇいい友達を持ったな。見た目通り美味いし、何より、里奈が頑張ったことがわかる。ありがとう」

 爽やかな笑みを浮かべるヨハンを見た里奈は顔面真っ赤にし、恥ずかしそうに顔を伏せる。

(どうしよう・・・こんな顔されたら緊張で・・・)

(なんだ、疲れたのかな?)

 最後一切れあるケーキを里奈に差し出す。

「気持ちも伝わった。だけど、やっぱり一緒に食べた方がいい。そうだろ?」

 彼なりの慰め方だったが、最後まで自分の気持ちを言葉に出来なかった。

 

 

 

 

 

 同時刻、源太のセーフハウスでユーリ親子と家の主は3人でテーブルを囲む。

「まさか娘にプレゼントをもらう日が来るとは・・・うれしい限りだ」

「ありがとう、美味しいよ」

 久しぶりなのか、アナスタシアはユーリの隣に座る。

「たまにはこういうのも、いいですね。親子水入らず」

「ママも誘ったんだが北海道は遠い。明日、私だけ訪れようと思う、アーニャも行くかい?」

「はい!・・・あ、でも源太さんは」

「明日はSAT・SITとの合同訓練だ、どうやっても行けない。残念だが」

 寂しそうな顔をする彼女を源太がフォローする。

「大丈夫さ。何も今日じゃなくってもまた違う機会に一緒に行ける。だから今回は大佐と里帰りしよう」

 納得し、笑顔を見せると、堂々と父親の前で頬にキスをした。恥ずかしくなったユーリはキッチンに移動し、一人ウォッカを飲む。

「ユーリ・ケブンスキーは静かに去るさ」

 その眼には成長した娘を見た喜びと、離れていくと思うと寂しく思う気持ちが絡み合っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 19時。寮に戻った2人は、珍しいことにほぼ同時にソファに座る。

「どうでしたか?ヨハンさんに気持ち、伝わりました?」

「・・・わかんない・・・でも、珍しいことがあったポヨ」

 一息つき、アナスタシアに抱き着いた。

「デートのお誘いがあった~!まさか向こうからって思わなかった・・・でも」

「でも?」

「台無しにされた・・・元カレと鉢合わせ」

 一喜一憂する里奈によると、昔ひどい捨てられ方をしたらしく、それ以来男性とは距離を置いていたと言う。社交性のある彼女に、意外な過去があったことに驚く。

「マジヒドだった。パチンコでスったから金貸せって・・・ヨハンさんが前に立ってくれて離れろって言ったけど殴り合いの喧嘩になって・・・」

「リナ・・・」

「結果はわかるっしょ、ヨハンさんのワンサイド。タイミング悪くポリ来て連れていかれちゃった・・・まだ連絡着てない」

 アナスタシアは里奈に寄り添う。

「ダイジョウブ。絶対、すぐ釈放されてここに顔を出します。だから、笑顔で待ちましょう」

 

 

 

 その頃、ヨハンは迎えに来た源太とユーリ、男3人屋台のラーメンをすすっていた。

「ヨハンが最初に殴られたと証言してくれた通行人がいてよかったな。全く、相手がサバイバルナイフ持ってたからって両腕折ったって聞いてびっくりだぜ」

「お前ほど冷静な男がチンピラ相手に怒りを露わにするとは・・・何があった?」

「里奈が困ってんのに、暴力で解決しようとしたから懲らしめてやろうと」

「しかしやり過ぎだろう。せめてそこは首をだな180度に捻って」

「大佐、死んじゃいます。相手は1ヶ月の入院と4か月のリハビリ・・・本来なら軍法会議だが、シックスがお咎めなしにしてくれた。次は気をつけろ、せめて当身にしておけ」

「了解。・・・初めてだった。女一人のために本気で怒ったのは、初めての経験だった」

「お前、どっちかっていうと食い気だしな」

 源太の頼んだ豚骨ラーメンの丼に替え玉が入る。

「ヨハン、お前もしかして悩んでるのか?自分の気持ちに」

 ヨハンの箸が止まる。

「何のことですか?」

「リナって子に心惹かれたんじゃないのか?」

「・・・さぁ、これ以上はいくら大佐でも」

「そうか。これ以上は言うまい。だが、無事だってことを伝えてくるんだ、心配させたんだからな」

「ラジャ」

 ヨハンはスマホを取り出し、里奈に電話する。

「俺だ。釈放されたよ、今回ちょっとアレだったからまた日を改めて遊びに行こうか」

 後日、ヘリフォードに戻ったときスモークに里奈のことをチャカされたことは言うまでもなく、生真面目なキャッスルにも心配されたのだった。




 新オペレーターが非常に楽しみでならない
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