レインボーシックス346   作:MP5

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ライトマシンガンは主に突撃する兵士達を援護する役割を果たす。
重く大きいためCQBであまり使われることはない。


6話  この父親、危険につき

 ジャンの盗聴によりODTの次なる標的を察知し、事前に叩く方針で発信元の箱根の山にある民家前に集合した。今回は大佐自ら戦闘に参加するらしく、そのノリノリぶりに心配する若手達。

「大佐。武器を変えてください、弾が貫通して一般人に被害が出ます」

「私が君達に遅れを取るというのか?」

「いえ、PKPマシンガンは威力が高すぎると言っているんです」

 手に持っているPKPは大型で取り回しが悪く、CQBには向かない銃だ。そのうえ威力が高く貫通力が高いため、万が一人質にケガさせる可能性がある。

「今回は人質はいない。別にいいだろう」

「ヨハン、大佐は言い出したら止まらない。諦めろ」

「・・・今回だけですよ」

 源太が代表して玄関の呼び鈴を鳴らし動向を探る。家の中から若い男性が出てきた。

「あなたの家から不審な電波が発せられていると通報がありました。家宅捜索令状もあります、お通し願いますか?」

 捜査令状を見せる。

「・・・死んでください」

 拳銃を突きつけられるが、柔術で男を押さえ拳銃を奪い、当て身を当て気絶させた。

「突入!」

 素早い展開で場を制圧したチームは発信元であるPCを見つけ、ジャンがデータを確認する。

「大佐。ここ意外にも様々なサーバーを用いて何者かの指示を受け、指令を出す拠点があるみたいです。これでは特定不可能です」

「何だと、他のメンバーにも応援を寄越すよう連絡しておく、次の襲撃場所を特定できそうか?」

「ええ。場所は代々木の大型ホール、そこではラブライカと前川みくがライブを行っている模様、どうしますか?」

「言わずともがな、急いで向かうぞ!」

 

 

 

 ブラックホークに乗り込み、急ぎ代々木に向かう。先ほどより大佐のこめかみに大きなしわができており、チームの誰も言及できないでいた。

「全員、テロリスト共を皆殺しにしろ。生かして帰すな」

「「「「ラジャ」」」」

 混沌とした現場に着くと、ファーストロープで降り大佐自らが先頭を切って走る。通常ポイントマンはサブマシンガンやPDWを装備した重量の軽い人物、今回ならレイモンドがそのポジションだが機関銃持ちの大佐が先頭に立って戦うことは前代未聞なのだ。

「落ち着いてください、いったい何があったのですか!?」

「集中しろレイモンド、敵と交戦中だぞ!」

 既に会場内はテロリストによって占拠されており、この会話中も銃撃戦の真っ最中でのやり取りだ。

「これだけ大型の施設です、ヨハンと俺とで上を探索します!」

「わかった。ジャンとヨハンは上の階の制圧を頼む、他のメンバーは私とともに来い」

 この時、源太はドミンゴの言葉を思い出した。

(ユーリはスペツナズとは思えない程自分の家族を大事に思う男だ、もしも日本にいる娘が襲われたりでもしたら自分でも止められるかわからないから注意してほしい)

 まさか本当に暴走するとは思わなかった源太だったが、10キロ近くあるPKPを持ち、52歳とは思えない戦闘能力を発揮する大佐を見て、益々止められる自信がなくなった。

「敵じゃなくてよかった・・・」

 

 

 

 エントランスホールを制圧し控え室の廊下に差しかかった。扉の奥からロシア語と日本語の入れ混じった話し方をする少女の声が聞こえた。かなりおびえているのがわかる。

「アナスタシア待ってなさい、パパが助けるからな・・・フラッシュクリアで行く、ゲンはフラッシュバン用意」

 源太が扉を開け、フラッシュバンを投げ込むと一気に突入し中にいるテロリストを殲滅してみせた。

「クリア。もう大丈夫です」

「あぁ。ケガはなかったかい?」

「パパ・・・パパなのですか?耳が痛いです・・・」

「助けに来たよ、お友達の姿は無いがどこに行ったかわかるかな?」

「ええっと、ミナミとミクは、機材をしまう倉庫に連れて行かれました。わたしだけここに・・・」

「そうか。ゲン、レイモンド、私は娘をここからヘリに連れて行く、彼女達を助け出してほしい」

「「ラジャ」」

 二人で残りの二人を助け出すため、倉庫に向かう。レイモンドは大佐がしわを寄せていたわけがわかると、ため息をついた。

「どんだけ親バカなんだよ大佐は。確かにカワイ子ちゃんだけど」

「あれだけの戦闘能力で子離れできないってことは、あの子婚期遅いだろうな」

「ククク・・・確かに」

 倉庫前にたどり着き、スネークカムで内部を覗く。演出だろうか、猫耳をつけた女二人がいる。

「人質2名確認、オープンクリアだ」

「ああ」

「行くぞ・・・ブリーチン!」

 扉を蹴り破り一気に敵を殲滅、鮮やかに勝負を決める男達に驚くアイドル。

「クリア。君達を助けに来た、さぁ行こう」

「・・・」

「どうした?」

「ありがとうニャ!」

「・・・ゲン。彼女、頭打ったのか、語尾がおかしいぞ?」

「それは無いだろ。俺達の後ろについて来てくれ」

 見事なスルースキルにショックを受けるみく。美波はただ彼女をやさしく慰めるのだった。

「二人とも無事か?」

「ヨハンか、人質は無事だ」

「流石だな。俺達も逃げ遅れた一般人を救出したばかりだ、大佐とも合流した」

「了解、さっさと帰るぞ」

 どうやらODTの連中は全員倒されたらしく、帰りは非常に楽だった。解放されたアイドル達の表情を見て穏やかな気持ちになるチーム。ドミンゴからの通信が入る。

「ゲン大丈夫だったかね、ユーリが大変なことになっているとヨハンから聞いたが」

「シックス。俺達は無事です、普段穏やかな大佐があれほど恐ろしいまでに豹変したのには驚きましたが・・・」

「親心なのだろう。しかし、しばらく彼には現場には出ないよう言っておく。増援も派遣しておくから関東圏に集中したまえ」

「了解、引き続き任務を遂行します」

 

 

 

 セーフハウスに帰還後、夕食を作って待っていた3人が出迎えてくれた。

「ただいま。今日は客を連れてきた」

「ハロー小梅、会いに来たぜ」

 レイモンドの登場にうれしそうな小梅。

「あ・・・こんばんわ・・・」

「良い子にしてたか?」

「うん」

 あれほどうれしそうな彼女を見たことない輝子は驚きを隠せないでいた。

「すごい。・・・特殊部隊ってここまで・・・」

「吊り橋効果もあるかもな。輝子も撫でであげようか?」

「いい・・・」

 恥ずかしそうに隅のキノコと戯れる。

「飯の時間だぞ、一緒に食べよう」

 今日の献立はハンバーグらしく、日本に来て初めて普通の温かい食事にありつけた源太達だった。




こんなお父さんおったら怖いがな
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