本名 エリザベータ・ボサック
緑色に染めた髪が特徴的な女性オペレーター。優秀なオペレーターだが上官に対して反抗的で強引な性格。
真面目で冷静な源太とは性格があまり合わない。
シックスは頭を抱えていた。手に取って読んでいるのはオペレーター素行態度についてのもので、温厚なモンターニュすら怒りを覚える、つっけんどんなオペレーターの存在に頭を抱えるほど問題視されるのだ。
「はぁまた自分勝手に動いたのか」
ノックが聞こえ、ドアが開かれる。緑の髪の女性オペレーターが入ってきた。彼女はポーランドの特殊部隊、GROM出身のオペレーター、エラ。
「もう勘弁してくださいよ、何で私がほぼ毎回怒られなきゃダメなんです?」
「自覚ってのが君にはないのかね?ユーリやタチャンカ、果てはモンターニュを怒らせる反抗的な態度を改めろって、言ってるんだ!」
かったるいと言わんばかりに来客用ソファに座る。
「だって、頭固いんだもんおじさん達」
空手チョップで頭を痛くない程度に叩く。
「報告書によると顕著に見られるのは護衛の仕事時で、敵が見えれば安全確保前に攻撃し流れ弾で負傷させる。悪戯目的でグラズモットマインを天井に張り付けユーリを怯ませる。失敗しても謝らない。等、いろいろだ。お父上が泣くぞ」
「おと・・・父は関係ないですー」
「また言ったそばから・・・君には特別任務だ」
日本・小樽。最近、この町では観光客に紛れてテロリストが入国するらしく、シンボルでもある運河に時限爆弾を仕掛けられたことがあった。今回はテレビ局を襲うと犯行予告があったため、エラと源太にはテロリスト達の排除が命じられた。
(ここまではいいんだけど・・・)
隣にいる源太をチラリと見る。
(ゲンだけは苦手なんだよねぇ・・・なんか見透かされてる感じで)
悪戯好きで態度のデカイ彼女も、厳格でキレたら怖い彼の前だけは比較的おとなしくなる。
(この前全部気づかれて破壊されて倒されたし、命令にされるのが嫌だから裏でコソコソしようと思ったら捕まえられたし・・・コイツ勘がマジ鋭いんだよ)
「おいエラ、ボケっとしてないで警察署に行くぞ」
「1人で行ってよ。せっかくだし美味いチーズケーキ食ってからでいいでしょ?」
「そう言って、勝手に調査するんだろ。有能なのは認めるが自分勝手はいただけん。俺と一緒に行動しろ」
「なぁひとついい?なんで考えてることわかるの?」
「教えてやる。お前、顔に出やすい」
手鏡で自分の顔を見る。いつもの自分の顔だ。しかし、第三者が見たら違うのだろう。
「おい置いて行くぞ、チーズケーキなら予約してる」
「マジ?じゃあ行こ」
小樽署にて資料を受け取り、爆弾が発見された箇所の探索及びテレビ局に話を聞く。
「・・・爆弾は想像以上に簡素だった。デフューザー無しでもイケるレベルか」
「不自然だ。奴らはどうやって爆弾を設置したんだ?ここは四六時中人間もいるし、目立つだろ」
「敵は観光客に紛れていたんだろ?荷物を置き忘れたフリをしてコッソリ逃げれば問題ない」
「くっ」
「何故悔しがる。変にライバル意識でもあるのか?」
「うっさい、脳みそ揺するぞ」
ラジオを聞いていると緊急速報が入る。テレビ局が武装組織に占拠されたらしい。人質には東京から来たアイドルとそのプロデューサーが囚われているとのこと。先手を打たれたがそんな事で容易く崩れるわけがなく、二人は急行する。しかし、エラは源太の静止を聞かずその足で裏口に周り、素早く潜入する。
(へっ、悠長にブリーフィングなんてやってらんない。ネチネチしてて腹立つんだって)
得物のスコーピオンEVO3を手に潜入し、棒状のものを取り出し、スイッチを入れると接着剤が発泡したのを確認すると、天井に投げて貼り付ける。これはグラズモットマインと呼ばれる視覚と聴覚を低下させる特殊な地雷だ。
(さってと、仕事するかな)
2階に上がり耳を澄ませ、ドアの隙間から様子を伺うと、紫色の髪の少女が手を拘束されジタバタ動いているのが見える。
「おい静かにしやがれ。リーダーがスタジオで撮影してんだぞ!」
「ぼ、ボクはカワイイから暴れてるんです!良いようにはさせません!」
「コイツにガムテープ貼って黙らせたい・・・さっさと持って来い!」
敵が複数人いることがわかると、グラズモットマインを再び取り出し、ドアをゆっくり開け勢い良く投げつけた。けたたましい音と強い光が発せられ怯んだ隙に突入し一掃すると人質の少女を力づくで引っ張り、階段の踊り場まで移動する。
「生きてる?生きてるなら返事」
視覚と聴覚が回復したのか、先ほどの元気をエラに見せる。
「ふふん、ボクがカワイイから助けたんですね?」
「何それちょーウケる。アンタじゃなくても救出するって」
「ちょっと、酷いですよ!スルーは無し!しかも頭打ってて痛いです!」
「うっさいな。気づかれるじゃん」
途端、声を聞きつけて来た敵が下から攻撃してきた。エラは上に戻りトイレに入ると入り口付近で待ち伏せする。
「アンタが悪いんだよ。大声で呼びやがって」
「お、お姉さんだって声出してたじゃないですか!?」
「何ですって!?」
「騒がしいのはお互い様です!」
またしても多くの敵を呼び出し、もはや袋のネズミになったかと思ったら、爆発音と共に敵が一斉に吹き飛ぶ。HK416A5の銃声が響き、鎮圧される。
「・・・このバカ、さっさと脱出だ。下は俺が制圧したから安心しろ」
屈辱感を覚えたエラは顔をしかめながら人質と共にビルを脱出する。
護送車の中でも嫌悪なムードが漂う。自分のミスを源太にフォローされただけでなく、近くには騒がしい少女がいる。イライラしながら源太に話しかける。
「ホントにチーズケーキ予約してるんでしょうね?」
「ホントだ。なんだ、腹減ったか?」
「目が無いんだよ、オトンがお土産に買って来てくれたのが忘れられなくってさ」
「オトン?・・・もしかして、親父さんのことか?」
「そうだよ!悪いか」
ホテルの前に車が停まると、救出された二人が降りた。
「撮影気をつけろよ。俺達がいないかもしれないからな」
「今度は騒がないで仕事しろっての」
ドアが閉まり再び発進すると、エラは寝っ転がって寝てしまった。源太はこの余った時間にスマホで報告書を書く。
(しかし父親のことをオトンと呼ぶのは初耳だな・・・スモークさんに報告してイジってもらおっと)
黒い笑みを浮かべ、報告書を書き終えると電話が入る。アナスタシアからだった。
「もしもし、今仕事が一段落したところ。ケガしてないかって?ないないそれはない、君を心配させるわけにはいかないし。明日小樽でサイン会の仕事が?俺もそっちいるからサインもらおっかな・・・おっと、そろそろ電話切るね、じゃあまた」
電話を切る。すると寝ていたハズのエラが近くにいるのがわかった。
「おまっ!」
「へぇ~彼女と電話・・・私のアレで邪魔しよっかな?」
「してもいいがグレネードに気をつけろよ。吹っ飛んでも知らんぞ」
「せっかくからかってんだからさ、もっと良い反応しなさいよ」
「良いのか、チーズケーキ食えなくても」
「それはもらう」
後日、無事任務を終え、帰国後またしてもシックスから叱責が飛び、ダルそうに食堂に足を運ぶと数少ない親友、カベイラがそこにいた。
「また1人で突っ走って人質をケガさせたんでしょ?いい加減、慎重さを覚えなきゃ」
「やめてよタイナ。まるで牛みたいじゃん」
「他の人のフォローでチームが成り立ってんだからさ、今回のミス、ちょーっと考えれば避けられるミスよ」
「うぐぅ・・・」
「今度シュラスコが美味しい店に行かない?愚痴に付き合うよ」
「ありがと、タイナ」