本名 リュウ・ツェー・ロン
冬でも半袖短パンが特徴的な香港のSDU出身のオペレーター
10歳の頃、廃船に積まれていたオイルタンクに落ちたことがあり有毒な液体を大量摂取したことがある
おかげで病気やケガの治りが非常に早いものの、その延長線なのか偶発的な不幸に巻き込まれやすい体質になった
船好きでもある
この日、リージョンと源太、そしてブリッツは呆れた表情で同じ方向を見ていた。集合時間に遅れて来たエコーとイングに対してのことだ。この二人は交際していたが何らかの理由で破局。以降、共同で任務に就くことはあまりなかったものの、アッシュとミラと違って友人としては機能していた。
「何か言い争っていますが、なんすかね?」
「知らね。喧嘩するほど何とやらだし」
「昨日からこの調子だ。日本へ足運んだって話だぞ」
「そういえば、未央のライブが昨日あったって話が・・・」
「それだ。イングもやたら本田未央を推していた」
「ま・・・まさか破局の理由って・・・」
二人が近寄ってくるに連れて言い争いの内容が聞こえてくる。
「今回の未央ちゃんのパフォーマンスは不調だったぞ!お前が盛り上げないからだ!」
「マサルだって全然ハコ揺らしてなかったじゃない!アンタが一番の原因よ!」
「いーや違う!俺は本能的に盛り上げていく!遠慮なんかするから盛り上がりに欠けたんだ!」
「何よ!」
「やるか?」
痺れを切らしたブリッツが自分のフラッシュシールドを二人に向け、閃光を放つ。ようやく大人しくなった二人をリージョンが諭す。
「任務だ、プライベートの喧嘩はまた今度にしてくれ。チーム崩壊するだろうが」
「う・・・」
「それに、この様子を彼女が見てたら悲しむだろう。少しは頭を冷やしたらどうだ?」
こうして5人そろい、香港・彩虹遊園地へと向かった。
任務は公開訓練。リージョンとイングの古巣であるSDUとでCQBの訓練を行う。今回は香港のテレビと日本のテレビが同時に撮影に来る。もっとも、2局ともバラエティーの撮影らしいが。
「ウケを狙うなよ、仕事だからな」
「わかってるって。ところでどのようなシチュエーションなんだ?」
「彩虹遊園地のお化け屋敷に潜んでいるテロリストをハントしながら爆発物を解体するってシチュエーションだ。あそこは、薄暗くて曲がり角や遮蔽物が多い。俺のGU地雷等、設置式のガジェットが有効になる」
「防衛が有利ってことか」
ブリッツはフラッシュシールドを左手に持ち、準備する。
「さぁ行こう。気を抜くんじゃないぞ」
今回は普段使っているドローンが公開訓練のため使用不可となっており、中の様子が見えない。エコーとリージョン、ブリッツは屋外の裏通りから現金保管庫に突入し、鉄道駅に潜入。ブリッツを先頭に移動し、カフェまで移動する。3人は誰も遭遇していないことに不思議に思いながら模擬爆弾を発見。GU地雷を撒きながら警戒する。1階から激しい銃撃戦が聞こえてくる。
「イングとゲンが交戦中か。っにしちゃ敵多くね?」
「勘だけどさ、2対10ぐらいじゃね?」
「可能性はある。だが・・・2階の守りががら空きってのは不自然だ。例えば」
カフェ通路に通じるバリケードに向かってT-5サブマシンガンを連射する。破壊された壁の向こうには敵に扮したSDUの隊員が倒れていた。
「どちらも囮なら、激しく戦う。銃声で足音を消し、気をとられている隙に襲えばいい」
リージョンの背後から襲い掛かる敵に気づき、エコーがMP5SDを撃つ。
「リージョン。ボケっとしてないで戦えば?」
「そ・・・そうだな」
結果。この後3連勝し、完璧な勝利を収める。しかし、防衛線でほぼ出番がなかったブリッツは非常に渋い顔をしていた。
「なんで俺が一番端っこなんだよ、リージョンカッコつけて狙われてただけなのに」
心の中で唇を噛みながら我慢するのだった。
数日後、日本・幕張。リージョンはくたびれた表情で護衛対象の隣を歩いていた。その護衛対象と言うのがカレーで出会った宮本フレデリカだからで、初対面から名前を間違えられ、猫のようにじゃれてきて動きにくくなったり、勝手にいなくなって探したり等、もはや護衛ではなく世話役みたいな役割を果たしていたのだ。幕張のホテルに帰るころには彼女のプロデューサーよりも疲れた顔をしている。
「ふふーん、レーションさんってお人好しだね」
「もうツッコむ元気がないのにボケないでくれ・・・」
「フランスっで、どう言うか知ってる?オ・ツカレーサンっだよ!」
もちろんフランス語ではなく適当に言ってるだけのはリージョンにもわかった。もしもトゥイッチに同じことを言ったりでもしたら本気で怒るだろう。
「フレちゃん・・・俺、一応フランス語わかるからね。本場の人に言ったら殺されるよ?」
一応忠告し、彼女のペースから一旦切り離すことに成功する。
(10歳の頃、オイルタンクの中に落ちて死にかけたけど、それと同じくらい辛い・・・こんなに護衛が疲れるなんて思いもしなかった・・・)
ため息をつき、肩を落とす。
「幸せにげちゃうよ?」
「誰のせいと思ってんだい?」
本気で怒った方がいいのか、それとも我慢すればいいのか、彼にはさっぱりわからなかった。
(俺は何故、どうしてこうも不幸体質なんだ?レインボーでもイングとエコーの本田未央談議に付き合わされたり、アッシュとミラの喧嘩の仲裁に入ろうとしたらボロボロにされたし、エラにはしょっちゅう振り回されるし・・・俺が何をしたって言うんだ)
不幸体質を呪う以外に、出来ることはなかった。
彼女が部屋に入り、周辺を巡回していると、彼女の担当プロデューサーが声をかけてくる。
「あ、あの、うちの宮本がとんだ無礼を」
「いいんだ。ここまでバカっぽいとかえって清々しいぐらいだ」
「・・・」
「お前さんは彼女をどう見る?」
「意外に思われるかもしれませんが、彼女、人の気持ちに敏感なんです。本気で困っていたら、さりげなく助けてくれるんです。もっとも、リージョンさんには伝わりにくいかと」
「あの適当さで?俺には意地悪な悪魔にしか見えなかった」
「す、すいません」
「本能でやってるってのはわかった。どちらにしろ、俺とは反りが合わん」
楊枝を口に咥え、上を見上げる。
「だが、そのおかげでアンタの苦労が身に染みてわかる。仲良くしよう」
リージョンに新しい友人が出来た瞬間だった。