本名:オリヴィエ・フラマン
GIGN出身オペレーターで、勇猛果敢だが一言多いトラブルメーカー
お調子者同士のカルロスとは馬が合い、逆にサッチャーとは仲が悪く、トゥイッチからは面倒くさい奴だと思われている
過去にやんちゃしたことが原因で実家を勘当されたが、ベルトラン牧師という恩人の仲介によって関係が修復された
1ヶ月かけた絵を完成させ、満足げにするグラズ。キャンバスの右隅にロシア語で名前を書き、身体を伸ばす。
「ようやく終わった。さて、飯にするか」
部屋を出て昼飯を食べに行こうとすると、動揺して落ち着きのないリオンが走ってきた。
「ぐ、グラズ、知ってるか?」
「なんだお前か。急いでるからあとで」
「れ、レイモンドに彼女出来た!」
「あっそ、じゃ」
「じゃ、じゃねーよ!地味で女っ気なさそうなアイツが女出来たんだよ、驚けよ!」
「お前が自分の息子におじちゃんじゃなくって、パパって呼ばれたら驚いてやる」
「人の家族事情話すんじゃねぇ!」
「ったくうるさい。今日はボルシチなんだからゆっくり食わせろ」
そう言ってそのまま食堂へ行ってしまった。取り残されたリオンはただただ呆然とするしかなかった。
(なんでそんなに素っ気ないんだ?モンターニュもそうだったし、トゥイッチもスルーするし、驚いてたのはスモークとブリッツだけじゃん。サッチャーに限っては、そんなバカなこと言ってる暇があったら口の訊き方直せって言いながら俺にサブミッション食らわしたし・・・俺ってそんなにいらない子?)
ところ変わって日本・横須賀。源太は自分のセーフハウスにアナスタシアとプロデューサーを招待する。
「セーフハウスって意外に普通の民家なんですね?」
「まぁ一見するとね。壁は完全防音、窓は防弾仕様の安全性。住むならオススメだ」
源太はそう言って台所に立ち、小さい頃母親から教わった料理、フィッシュアンドチップスを作ることにした。不慣れな手つきで調理しているとアナスタシアが入ってくる。
「源太さん。何かお手伝いできますか?」
「いや大丈夫、リビングでくつろいでて」
「なんだか包丁使い、怖いです」
「え・・・あ、その、なんだ、得意じゃないけどやるんだ」
「手を切りそうで怖いですから、アーニャも手伝います」
拒否権すら行使できなくなり、彼女に手伝ってもらう。数分後、どうにか完成し3人で摘まむ。
「真田さんの弱点が少し見えた気がします。あれだけ強い人なのに」
「戦闘力には関係ないと思うけど」
「それはそうと、実はお話がありまして。友人がプロデュースしているアイドルの子が外国人と交際してるって噂を聞きました。これが写真です」
健康的な褐色の肌に金髪ロングの女性と普段着のレイモンドが仲良さげに歩いている。
「これが何か?まさか仲を裂けって?」
「違います、真実を証明してほしいんです。炎陣存亡の危機ですので」
「エンジン・・・あぁあのヤンキーPがやってるグループの。もし、本当に交際していたら?」
「あの人曰く、記者会見するって話です」
「なんか怪しいな。まっ調べてみますよ」
さっそくスマホを取り出し、レイモンドに電話する。
「レイモンド?ちょっと聞きたいんだが、彼女いんのか?」
「いるぞ、ただ、リオンに気づかれたから面倒なことになりそうだ。松永涼っていう、スタイル抜群の超美人アイドルだぜ」
「下手すればお前、干されるぞ。記者会見でアホなこと喋られる前に釘刺しとけ」
「何を言ってんだゲン、公表してるぞ」
「なんだって?」
テレビを点けると写真の女性が記者達の前に現れ、彼氏の似顔絵を見せていた。
「あぁそれから、会社とPには承諾済みだ。お前のおかげでな」
「は?」
「お前とアーニャの件で、会社の方針で一般人との交際がOKになったんだ。俺らが一般人かは微妙だが」
「・・・なんてこった」
「ってわけだ。サッチャーのおやっさんにはリオンしばいといてってお願いしたから、また任務で会おう」
驚愕の真実に表現しように無い顔をしたまま、フィッシュアンドチップスを頬張るのだった。
また別の日、やつれ切ったリオンが似たもの同士のカルロスの部屋で愚痴をこぼしていた。
「いいよなレイモンド、あんな美人とさ」
「恋人孕ませといていうセリフじゃねーよ、そもそも身の上話を聞いて悶絶したんだぞおい」
「アホのカルロスも驚くことあるんだな」
「うっせコノヤロー!だからサッチャーのおっさんにぶん投げられるんだろうが!」
「お前だってしょっちゅうぶん殴られてんじゃねーか!」
騒がしく喧嘩していると、無表情でOTS-03を持ったグラズがドアを破って現れた。
「おい、俺の創作の時間を奪う気か?」
威圧感のあまりに一気に沈黙する。
「す、すまん」
「騒ぐならこの場で始末したいが、今日は機嫌がいい。デッサンのモデルになってもらおうか。素っ裸で」
「え、いや、その」
「嫌ならボディーペインティングに変更でもいい」
「「も、モデルになります」」
グラズはその日のうちに絵を仕上げ、シックスに提出する。
「これは?」
「猿の宴って題名です」
「どう見たって、アホ面のリオンとカルロスが踊っていてその・・・カラフルで、どう表現したらいいか」
「あのバカ共の見せしめに、と描いたのですが」
「あぁ。グラズ、アイツらにはしばらく南米で泊まり込みで仕事してもらうよ。それでいいか?」
「ありがたき幸せ」
その絵はカルロスの部屋に飾られることになり、しばらく笑いの種になったという。
自業自得だが散々な目に遭わされたカルロスとリオン、彼らはブラジルで仕事に精を出す。
「よし、誰も応援に来ないが突入するぞ」
今回はファベーラにてテロリストハントが行われる。しかし、日本人旅行客を人質に取ったと情報が入っており、慎重な対応が求められる。
「どうする?俺は西側から行くぜ」
「南から行く。まずはコイツを起動して相手を探る」
リオンはEE-ONE-Dを起動し、索敵を始めた。赤く反応する敵の多さに驚いた。
「おいおい30人は多いだろ。だが、作戦開始だ」
陰に気をつけながら潜入し、誰もいないことを確認する。
「本当に大丈夫だよな、もっといたってオチはないよな?」
カルロスが心配そうにするのは、EE-ONE-Dは動いていない敵を表示できないのが欠点であるためだ。それだけで数を把握するのは無理。それを承知で慎重に進み、ターゲットに奇襲をかけ1階の敵を一掃した。
「よし、制圧した。そっちはどうだ?」
「カルロス2階に来い。スパートをかけるぞ」
合流し隠れている敵を炙り出すために焼夷グレネードを投げ、出て来たところをV308で一掃する。罠をかいくぐり、人質のいる部屋まで到着した。
「大丈夫か、ここから出よう」
手を差し出し、一緒に脱出しようとするが人質の少女は動こうとしない。
「ここは危険だ。さぁ」
「嫌です。もう誰も大事になんて・・・彼を忘れようとしてブラジル旅行に行ってこの様、もう絶望しか見えません。ここで死なせてください」
左手首の包帯が痛々しく見える。彼女がどんな人生を送ってきたのかが、少し垣間見えるような気がした。
「お嬢さん、君がどんな人生送ってきたかわからない。でもな、歩いて行くしかないんだ、時には裏切られて謀られて、歩きたくなくても、必ず君に肩を貸し、共に歩いてくれる人がいると思うんだ。誰かはわからないけど、死ぬなんて言わないでくれ」
カルロスは少女を抱き上げた。
「おいリオン、さっさと行こう」
「いやそのな、お前の焼夷グレネードでこっちに火が・・・」
ようやく非常事態に気づき、少女を肩に担ぎ上げ火の手の届かないところまで移動し、ワイヤーで下へ降りる。脱出から数分後、自分達がいた場所が勢いよく燃え始めた。
「やばかった・・・」
「お前が芝居がかったことしなきゃもっと安全に脱出できたんだよ」
「う・・・」
揺れるヘリの中、少女がカルロスを見つめている。
「?なんだ?」
「見守っています。もし、迷いそうになったら、まゆが助けて差し上げます」
瞳の奥に見える恐怖を感じ取り、柄にもなく冷や汗をかくカルロスとリオン。
(こ、これってまさか・・・)
(ジャパニーズ・ヤンデレか?うわ・・・怖い)
その晩、夢にうなされる二人がいたことは言うまでもない。