レインボーシックス346   作:MP5

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 ロンドン警視庁とはロンドンのシティ以外を管轄にしているイギリスの警察である

 一般的にスコットランド・ヤードは、このロンドン警視庁のことをさす


クラッシュ編  女の友情と

 イギリス・ロンドン。この町ではかつて、対立する暴徒達が暴れまわっていた。一方は差別主義者達、もう一方はそれに反対する者達。ある時、反対派の一人が略奪者を止めようとしたが殺された。それを機に一人の勇敢な人物が内側から変化をもたらすためロンドン警視庁に協力を申し出、自らも加わった。2011年、彼女は職務で274人を逮捕し巡査刑事に昇進した。さらに勇敢であったことで女王警察記章を送られた。彼女の経験と実績、粘り強さを評価されレインボーにスカウトされた。彼女の名前はモロワ・エヴァンズ、コードネームはクラッシュ。ロンドン警視庁出身のオペレーターだ。

 

 

 

 

 

 

 

 ホワイトマスク事件が解決してから、ロンドンはいつもの雰囲気に戻っていた。事件の最中はどこかで爆発や銃撃戦が起き、市民達は怯えて暮らしていた。だが、復活したレインボーによって事態は急転し組織のリーダーが逮捕され、英雄の凱旋が初めて行われたのがここロンドンであった。

「はぁ~っで、いつまで座り込んでんだ日本人?名前は?」

 スキンヘッドの黒人女性警察官、彼女がモロワだ。今現在、元の職業である警察官の仕事としてパトロールしている最中に、小柄でベビーフェイスの日本人女性が意気消沈したまま座り込んでいたのを発見する。

「もうやだも~。二度とお嫁にいけない~」

「聞いてんの?」

「・・・は!?誰よ」

「私はロンドン警視庁のモロワだ、これは職務質問だから素直に答えて。名前は?」

「片桐、片桐早苗よ。日本語上手ねモロワ」

「そりゃどうも。友人の日本人が丁寧に教えてくれたのよ、何があったのか教えて?」

「マークにね、だらしない寝顔見られたのよ~!それで恥ずかしくてヤケ酒飲んでたらさ~今度は酔っ払った勢いで迎えに来たマークに技掛けちゃったのよ~うわ~~~ん!」

 この目の前にいる酔っ払いに呆れるモロワ。

「・・・そのマークはここにいること知ってんの?電話番号は?」

 早苗はスマホの電話帳を見せ、この番号で電話してほしいと言わんばかりに手渡す。モロワはその番号に見覚えがあり自分のスマホに登録されている人物の番号と照らし合わせる。すると、全て一致した。

「スマホ返すね。私の知り合いみたいだし」

 

 

 

 

 

 

 

 少し席を外し、マークに電話する。

「・・・なんだよ、こっちは人探し中だ」

「その捜し人が私の近くにいるって言ったら信じる?」

「まさか・・・」

「さっさと来いミュート、場所は・・・」

 十数分後、マークことミュートが駆けつけて来た。無地で装飾の無い服装は、彼の性格を思わせる。

「俺が早苗を引き取ればいいんだな」

「そゆこと。それと、アンタ何時こんな残念な女に引っ掛かったの?」

「あぁ~・・・くるみが俺に彼女を紹介してくれたんだ。お世話になってるお姉さんをな」

「へぇ。でもどっちかって言うとお世話される側にしか見えないんだけど・・・」

 今度は道端で吐こうとしていることに気がつき、ミュートは素早く早苗の口元に紙袋をセットする。

「アンタ身体大丈夫?技掛けられたって聞いたけど」

「元警察官って聞いて心配だったけど、サッチャーに比べたらまだマシさ。この飲むクセを治す方法をドクと相談中」

「・・・もしかして、基地に運ばれた酔っ払いって・・・」

「彼女だ」

 モロワはミュートの肩にポンっと置く。

「この先、交際しちゃダメなパターンだよそれ」

 ミュートはすぐに返事せず、紙袋をくずかごに入れると早苗を両腕に抱き上げる。

「言われずともわかってるよクラッシュ」

 途端、早苗の右手がミュートの襟首をつかむ。

「乙女の恥ずかしい部分を見た責任、ちゃんと取ってもらうわよマーク?」

「あ・・・あぁ」

 二人が去っていく様を見届けると、心の中で呟く。

(これ、尻敷かれるパターンだ・・・だけど、変な形の夫婦を見られるのも、ロンドンが平和になったのも仲間達の協力のおかげだな。時にはヘリフォードに顔見せに行くか)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日は先ほどのミュートのようにレインボーの仲間達をよく見る。ドローン大会に参戦するエコーとジャン、ジャンクショップであれやこれやと素材を探すトゥイッチとミラ、本屋で心理学の本を立ち読みするパルス等、実戦の時と違いリラックスした状態の仲間達を見るのは新鮮な感じがした。

(・・・で、極めつけはこれか・・・大爆発)

 目線に映ったのは他のカップルよりホットな空気の二人がいた。源太とアナスタシアである。

「ちょっと、冷えるな。寒くない?」

 源太の右腕に抱き着くように体を寄せる。彼女の上目遣いは彼の目線からは青い宝石に見えた。

「ぎゅ~~っすると暖かいです」

「(こ、これは反則だ・・・でも人の目が)そうだけど恥ずかしいよ」

「ん~」

 頬を膨らませさらに体をくっつける。もう離さないと言わんばかりに。

「わ、わかったからさ、今は離れようよ。そのかわり」

 腕をほどき、自由になった右腕とともに抱きしめた。

「これなら、もっと暖かいだろ・・・おい、そこの警官、スマホで動画を撮るのはやめてもらおうか」

 驚いたアナスタシアは源太の後ろに隠れる。

「あ、バレた?」

 さりげなく撮っていたのがバレ少々焦るも咳払いし、調子を取り戻す。

「アンタ達ね、ここはタイムズスクエアじゃないんだから昼間からイチャコラすんな。子供が真似したらどうするつもりだ」

「ならすぐに注意してください。動画撮ってなにするつもりです?」

「これはだな・・・そう、それは」

「理由ないならすぐに消す。肖像権侵害ですよ」

 渋々動画削除を源太に確認してもらい、ようやく通常運行に戻る。

「ゲン、アンタならわかるだろうけど、たしなめるのも愛なんだぞ。TPOわきまえてデートするように」

「はーいそーしまーす。行こ、ここじゃ場所が悪いってさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ようやく砂糖より甘い二人が去っていき、気分転換に濃い目に淹れたストレートティーを飲む。しかし口の中が甘ったるい。

「くっそう、バカップルめ。今度見せられたら笑顔で割り行ってやるからな」

「なに言ってんのクラッシュ?相変わらず頭でっかちなんだから」

「そんなオーガみたいな顔してたら男寄って来ないわよ」

 買い物を終えたトゥイッチとミラが笑顔で励ます。

「なによ、アンタ達もいないくせに」

「そ、そのうち出来るわよ!?」

「そそそ、まだ充電期間ってやつよ」

「なんだろう、デジャヴだ」

 3人同時に落ち込む。

「ってかさ、若手連中女っ気ありすぎね?」

「ゲンだけじゃなくってレイモンドにも彼女できるし、ヨハンもヨハンでいちゃついてるし、不愛想ミュートには姉さん女房もどきいるし・・・なにこれおかしくね?」

「フィンカのことは言わないの?」

「あの子いないわよ。釣り合う男がいないんじゃない?」

「そうよね~いっつも難しい顔してるもん」

 本人に言ったら肋骨と鼻の骨骨折では済まされないことだが、そんなことを気にしていないのがわかる。

「それよりもさ、ヘリフォードで新しいパブが出来たのよ。今度飲みに行かない?フィンカも誘ってさ」

 ミラの提案に賛同する二人。

「よっしゃ、今夜は飲み明かすぞ!」

「ハメ外しすぎてドクに怒られないようにね」

 

 

 

 

 

 

 

 ところ変わって夜のヘリフォード。4人のオペレーター達はパブに入り、早速カウンター席に座る。各々好みの酒を注文し語らいを始める。

「ちえりったら可愛いのよもう、私なんかのためにケーキ焼いてくれたりさぁ」

「あの子でしょ、いっつもおどおどしてる子」

「うんうん。ファンからも愛されて私みたいな売れ残りにも優しくしてくれて・・・売れ残り~・・・」

 笑っていたかと思えばいきなり泣き出すミラ。隣に座っていたトゥイッチが背中をさする。

「だだ大丈夫よミラ。みんな独り身じゃない」

「うわぁぁぁん・・・トゥイッチお嫁さんにして」

「いや無理」

 もはやただの酔っ払いと化したミラの相手をトゥイッチに任せ、静かに飲むクラッシュとフィンカ。

「どういう風の吹き回しなの?飲みに誘うのなんてタチャンカしかしないからさ」

「ちょっとした女子会もアリかなってな。アンタ最近無理してるから尚更」

「気にしてたの?」

「アンタも仲間だよ、気にするなってのが無理だ。曲がりなりにも組織のリーダーだったんだから、いやでも気づくって」

「クラッシュが男だったら、惚れてたかも」

「どゆ意味よそれ!」

 大笑いが店から漏れ周辺まで聞こえるぐらい盛り上がり、太陽が顔を見せるまで女子会が続いた。




 マエストロのうわさ

 名前と違い、かなりの音痴らしい
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