本名:エリアス・ケッツ
GSG-9出身オペレーターで強い閃光を放つ盾、フラッシュシールドの使い手。顎が長い
学生時代スポーツ推薦を受けるほど運動神経が良く、30超えた現在でも衰えは見せていない
日本・立川。東南アジア諸国にいるテロリスト達をハントして終わり、久しぶりにセーフハウス兼自宅に帰ってきた五郎。歌鈴とその友人達によってたまり場と化しているため泥棒の心配はないが、冷蔵庫を開けると誰かが作った手料理が入っていることがある。幼馴染の友人全員を知っているわけではないので、誰が作ったかはわからない。しかし、五郎は決して嫌がる素振りは見せなかった。
(まぁ歌鈴じゃないのは確かだから不味くはないだろう)
温め直して口にすると、これがまた好みの味付けである。
(?どうして俺の好みを・・・まさかストーカー!?)
警戒した五郎はCz75を手に部屋中を探す。訓練時のように耳をすませ僅かな音でも聞き逃さないほど集中した。ベッドルームからベッドが軋む音が聞こえ、掛け布団を大きく捲る。
「おいそこを!・・・君は」
隠れていたのは、肩に掛かる長さのおさげが似合う145センチの小さな女の子。五郎は彼女が何者か知っていた。
「確か、首藤葵ちゃんだよね?何していたのか教えてくれる?」
「えぇっと・・・」
大分弁混じりで事情を話してくれた。出演する恋愛ドラマでサプライズプレゼントするヒロインを演じるらしいが、いかんせん異性にサプライズなんてしたことなんて全くなく、グループリーダーの仁美に相談した結果、五郎の部屋の鍵を歌鈴から借り、持参した食材で手料理を振る舞って反応を見ることにしたという。
「あのねぇ、そんなこと特に親しくない男の家に入り込んでするものじゃないよ。これじゃ不法侵入と同義語だからやめるように」
「うぅ・・・ごめんなさいっちゃ」
「まぁ反省してるようだし、許してあげる。寮まで送るよ(あとで歌鈴と仁美ちゃんには説教だ)」
東京・カフェテリア。先日あったことを源太とヨハンに話す。無論、冷ややかな目で五郎を見る。仮にもセーフハウスの合鍵を、知り合いとはいえ簡単に渡してしまっている時点で、潜んでいるかもしれないテロリストに隙を作っているためである。
「俺でもアーニャちゃんに鍵渡してないぞ。鍵を奪われ爆弾仕掛けてあったら嫌だからな」
「そもそもセキュリティーあるマンションに住めよ、結構稼いでんだからさ」
「いや、高級マンションはちょっと・・・」
「わかってる、お前そんな柄じゃないもんな・・・しかし」
源太は五郎の顔を見て少し嬉しそうにした。
「とうとうお前にも春が来たのか。いやぁ想像もしないし隅に置けないな」
「なんだよ、日本人は奥手なのが美徳じゃないのか?」
「自分のこと少しディスってません?」
「いや全く。今回は見逃してやるが次はないと思え」
そろそろ解散しようと思った矢先、申し訳なさそうな顔をした仁美が姿を現す。
「?誰だ」
「彼女は丹羽仁美、五郎を落ち込ませた張本人だ」
「ちょっとゲンさん、ユニットのリーダーとして謝りに来てるのに何言ってんのよ!?」
「ユニット?」
「センゴク☆華☆ランブってユニットでリーダーしてるの。葵っちがゴロリンに迷惑かけたし、私が言い出しっぺだし。ごめんね」
「もういいよ。でも、どうしてまた」
「・・・え、まさか気づいてないの、マジで?」
五郎は困惑した表情で仁美を見る。
「葵っちはね、ゲンさんとアーニャちゃんみたいに仲睦まじい関係を築きたいのよ。これ以上は恥ずかしいったらありゃしないわ」
納得した様子で頷く。葵が五郎に対してどう思っているのか、3人ともわかった。しかし、成就するには課題が多いのも確かだった。
「確か葵ちゃんって中学生だよね。さすがに交際できないよ」
「愛に年齢はって言うじゃん」
「本当に彼女の事を考えているんならさ、順序も法律も守らないと。俺が葵ちゃんのことを知らないように、葵ちゃんも俺のことを知らない。例え歌鈴を通じて知ってるように振る舞ってもどっかでボロが出る。今回の件もそれじゃないかな」
「・・・それもそっか。でもどうするの?」
「今後はさ、俺がこっちに戻ってる時に遊びに来てよ。そしたら問題ないと思うんだけど」
「ほぅ。胃袋を盗まれたか?」
ヨハンが珍しくニヤニヤしながら聴く。
「な!?は、恥ずかしいですよ・・・」
「図星だな」
「あぁ。さてと、ゲンの家に行って射撃訓練するか」
「そんじゃあな。ちゃんと話し合えよ」
自宅に戻り、考え事をしながら武器の手入れをする五郎。中学生時代から柔道一直線だった彼は、英語が得意だった以外特に浮いた噂はなく、大会で入賞できても優勝はなかった。高校卒業後、祖母の勧めで警視庁に入庁し、機動隊として勤め上げ、辞表でSATに入隊。土橋政権の凝り固まった空気の中でも、地味で印象に残らない人生だった。そんな中、レインボーとの共同訓練で源太に諜報の才能を評価されレインボーにスカウトされ、ODT事件後はカピタオが指導教官になり各国を転々とした。今まで成り行きだった自分の人生で、初めて自分で決断して任務に当たった組織がレインボーだった。
「自分の人生だから、自分でよく考えて決めろ・・・か。成り行きの人生だったけど、こうやって自分で決めるってのはいいもんだなぁ」
テレビを点けると、葵演じるヒロインが風邪で寝込んでいる意中の緑髪の少年のために活力の付く料理を作っているシーンが映っている。
(割烹着似合う子って減ったなあ。でも、あんな子見てると俺も元気になるなぁ)
もし自分が寝込んで満足に回復する見込みがない場合に、こうやって支えてくれる女性がいる。これほど心強いものはないのではと想像してしまう。
(でも現実を見ると・・・一人ぼっち)
ホームシックに近い状態になってから数十分後、緊急無線が入る。
「こちら五郎」
『大分県の料亭にて人質立て籠もり事件発生。敵はムショから脱走したODTメンバーだ、大至急出撃せよ。ゴローは横須賀まで移動し輸送機に乗れ、なお他のメンバーは・・・』
久方ぶりに横須賀基地まで来る。そこには源太とヨハンが作戦服姿で待っていた。
「遅いぞ、輸送機で築城からヘリに乗り換えて、大分上空まで飛んでそこからヘリボーンで屋上から急襲だ。今回は協力者も同乗してもらう」
源太の後ろから葵が姿を現す。
「この子の実家らしい。協力者としてシックスから特別に許可をもらった」
「あ・・・あの、おとうちゃんとおかあちゃんを助けてください。ウチ、とても不安で」
「大丈夫だよ、俺達に任せといてね。絶対に救うから」
「はわわ、恥ずかしいっちゃ」
頭を撫でられ頬を赤く染める。
「時間がない、さっさと行くぞ」
辺りが暗くなる頃、目標地点上空に接近しロープが降りる。
「葵ちゃん。君はここで待っててくれないかな、ここからは危険だ」
「君はPCで俺達の主観を見て、無線機でアドバイスをくれ。どんなことでもいい」
「はい。ウチも微力だけど、お手伝いするっちゃ」
順番に降りていき、無線が届く。南側に玄関があり、マスコミ達がわんさかいるのが見える。敷地の広さはちょっとしたトラックターミナルぐらいと結構広めらしい。
「料亭は2階建てで、北側は広めの庭園になってるけん。大臣さんも来たことあるっちゃよ」
「大臣か。もし、人間を隠すなら何処がいい?」
「うーん・・・庭掃除の道具を入れる倉庫が敷地の東端にあるから、そこがいいと思うっちゃ。小さい頃かくれんぼでよく隠れてたから」
「わかった。ヨハンは東側、俺らは西側から突入するがその前に、庭を調べてくれ」
五郎は庭にドローンを飛ばし、敵が隠れていないか調べる。予想通り6人が木と草の陰に隠れており、敵の位置を二人に教える。合図と同時に発砲し制圧してみせると、すぐさまそれぞれの仕事に戻る。ラペリングで明かりの点いていない部屋を見つけ、そこから潜入する。身を低くしゆっくり散策していると、階段から足音と話声が複数聞こえた。壁に張り付き気配を消す。
「ボスは何故、こんな料亭を占拠したんだ?大臣御用達ってだけで本人いないだろ?」
「ここはな、首藤葵ちゃんの親父さんが営んでる料亭なんだってボスが言ってた。確か元担当Pじゃなかったっけ?人質の女将と板前は東側にある物置に詰め込んだらしい、面識ある人間をあんな狭いところに詰め込むったあ残忍だな」
死角にクレイモアをセットし待ち伏せすると、案の定引っ掛かり大爆発。敵が驚いた隙に大きく飛び出し、脳天に鉛玉を撃ち込んだ。
「こちらヨハン。倉庫にいた人質2名発見、屋上にて回収してもらう」
「了解した。テロリストハントに切り替える」
源太と五郎がドンパチしている隙に人質の回収を終わらせたヨハン。加勢する頃には既に全ての敵を倒して終わっていた。
「想像以上に早かったな。っで、お迎えは?」
「屋上からだな、ヘリを待たせてる」
「それはいいんですが、破壊した分の修繕はどうするんです?」
「行政が全額負担する。まぁ階段の手すりと壁が発破されて血で汚れただけだから大丈夫だろ」
すると無線が入る。葵からだった。
「おとうちゃんとおかあちゃんを助けてくれてありがとう。ちょっと擦りむいてるけど元気そうだっちゃ!」
「それは結構。俺達も帰投する」
地方のみならず全国で報道された大分料亭占拠事件は日付が変わる前に解決した。意外にも一般人の死傷者は一人も出ておらず、あったのはテロリストの死体だけだった。料亭は数週間休業になったが、シックスの計らいでマスコミに焚きつけられることはなかった。葵はというと、五郎が日本に帰ってくることを知った日は必ず部屋の前で待って通い妻もどきをやっているという。
スレッジの噂
自撮りは苦手らしい