「艦娘グラフティ」(第4部)<電チャンと一緒> 作:しろっこ
「そう、"小さな戦士"と呼ぶべきじゃな」
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「艦娘グラフティ」(みほちん第4部)
第11話<小さな戦士>
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<<境港市内:岸壁>>
利根さんは、やや早足でズンズン先へ行ってしまいます。やっぱり怒っているのです。利根さんは、もともと長身で脚も長いので、私は、ほとんど駆け足状態なのです。でも"待ってください"とも言い難いので、ひたすら必死に着いていくだけなのです。
私たちは、細い路地をドンドン高尾山の方向へ進んでいきます。私も、だんだん息が切れてきました。そのとき、通りの角に"工事中:注意"の看板が置いてあるな~と思ったら、もうその先は岸壁だったのです。
「ほう・・・」
その通りの切れ端で、利根さんは立ち止まって呟いているのです。私もその後から岸壁を見ると・・・確かに、戦闘の後は、すごい被害状態だったのです。人や自動車が何とか通行できる状態には応急修理してあるようですが、ほとんど工事中の柵で囲まれているのです。
「・・・」
私もちょっと、言葉を失ったのです。確か、最初は日向さんが敵の戦車砲火を軍用車で逃げ回ったのです。その後で、敵の戦車を島風ちゃんが攻撃したはずです。それらの着弾で岸壁はボコボコでした。
最初、利根さんも、その状況に圧倒されていたようでしたが、すぐにあちこち黙って見回り始めたのです。私も、その後からついて行くのです。よく見ると、普通の工事中の看板以外にも、"キケン:立入禁止:陸軍省"という柵があるのです。その前で、ときどき利根さんは立ち止まって、考え事をするのです。
私は遠くの柵のところに、陸軍の車と、兵隊さんたちが何かを調べているのが見えたのです。利根さんもそれを見ながら言いました。
「海上の戦いでは分かりにくい敵の威力が、ここでは良く分かるな」
「・・・はい」
確かに海の上では、私たち艦娘が被害を受けない限り、敵の攻撃力を測ることは出来ないのです。ましてや、直撃を反れた砲弾の威力は、水柱しか上がりませんからまったく未知なのです。いえ、戦闘中は、いちいちそっちまで意識できないのです。
「やはり報告書で見るのと、実際に見るのとでは大違いじゃな・・・」
利根さんの言う通りなのです。私も、驚きました。それはまた、私たちが命がけで戦っていることを、改めて実感させてくれたたのです。
「司令や日向も言って居ったが、陸軍の連中が、敵の残骸やクレーターを必死に調べるのも分かるな。いや、今我々が見ている状況・・・現に今でもああやって陸軍の連中が調べていることは、大淀さんにも伝えておくべきじゃな」
「はい」
私もうなづきました。
<<岸壁:小さな戦士>>
陸軍さんは、決して私たちの敵ではないのですが、何か、不思議な対抗意識みたいなものが・・・私の心の中に、ぽっと熱いものが点火したような気持ちになったのです。それはとても不思議な感じだったのです。そんな私の気持ちを感じたのか、利根さんは私を見て、微笑みました。
「お主も、やはり戦士じゃのう~」
「え?・・・いや・・・そんなことないです」
私の心の熱い想いと、利根さんに言われた恥ずかしさで、私はまた顔が真っ赤になる感じがしたのです。でも、利根さんは"がっはっは"と笑って言いました。
「いや、良いのじゃぞ。何も恥ずかしいことではない。それで当然じゃ」
そう言いながら私の肩や背中をバンバンと叩くのです。とても痛いのです。でも、利根さんは上機嫌になったのです。それを思うと、私は痛さと嬉しさで泣き笑いみたいな表情になったのです。
「駆逐艦も、立派な戦士じゃ。そう、"小さな戦士"と呼ぶべきじゃな」
その言葉は、とても嬉しかったのです。私は小さく"はい"と応えたのです。
そのとき、市内のスピーカーが何かの音楽を流し始めました。利根さんは言いました。
「おお、もうお昼じゃ。どこかでご飯じゃな。おごるぞ」
「はい」
そうなのです。今日のお昼は、利根さんがご馳走してくれるのです。嬉しいのです。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
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「みほちん」とは「美保鎮守府」の略称です。
「みほちん第4部」=「みほちんシリーズ4」です。