「艦娘グラフティ」(第4部)<電チャンと一緒> 作:しろっこ
「何か、パワーみたいなものを感じちゃいます」
----------------------------
「艦娘グラフティ」(みほちん第4部)
第35話<月と涙>
----------------------------
<<居間:お月見>>
「お団子~?食べるの?」
島風ちゃんが、連装砲ちゃんを抱っこして、お母様に聞いています。
「そげだわ。月にお供えしてからなぁ」
(そうだよ)
「それで、終わりですか?」
とても浴衣の似合う霞ちゃんも聞いています。
「そうだな。お月見は踊りもないし、静かにするものだな」
今度は、お父様が答えて下さったのです。
「そうか~、ちと寂しい気もするが、それが秋じゃなぁ~」
利根さんのこの言い方は、ちょっと意外だったのです。
お母様が、お団子を準備しながら仰いました。
「うちの縁側で、静かにすぅだな」
(家の縁側で静かにやろうね)
「そうだな。じゃあ、ススキでも取ってくるか」
お父様は、そう仰ると廊下のほうへ出て行かれました。
「ススキって何ですか?」
私は、お母様に聞いてみたのです。
「お月見のときにな、一緒に備える植物があぁだヨ」
お母様は、お団子を三角形に積み上げながら答えて下さいました。
「ふ~ん、面白い」
連装砲ちゃんを下ろした島風ちゃんが、腕を組んで興味深そうに言ったのです。その隣でも2台の連装砲ちゃんが、同じように腕を組んで首を傾げているのです。
<<縁側:月と涙>>
すぐにお父様は、どこかからススキ……白い毛の生えた植物を何本か持って来られたのです。お母様は、それを受け取るとススキの根元にハサミを入れて切りそろえます。
次に縁側に生け花の入れ物を置いて、お母様が、その中にススキを一本ずつ刺していかれます。ほかにも小枝とかアクセサリーのようなものをススキの周りに、いくつか並べて刺していかれたのです。
それは何か、飾りのように見えるのです……そうなのです!昼間にやった、生け花のように見えるのです。やっぱり、ただ刺しただけとは違う感じがするのです。
「ほぉ、何だか良い感じじゃのう~」
利根さんも、その様子を見て感心されているのです。
「利根さんも、何か感じますか?」
私は思わず聞いちゃいました。
「そうじゃな~。吾輩も言葉では巧く説明出来んのじゃが……これが芸術というものか?何か”力”のような不思議な圧力を感じるのじゃ」
利根さんは、うなづきながら言うのです。
「そうですね、私も何かパワーみたいなものを感じちゃいます」
不思議ですね。切った植物なのに、お母様の手によって、また違う新しい生命を吹き込まれたように感じたのです。
「へえ、生け花……」
霞ちゃんも、呟いているのです。
西の空を見ると夕焼け空も薄くなり、高い空には、いくつか星も出ているのです。そして、東の空には大きな満月も昇っていたのです。
「今夜は、いい月が拝めそうだな」
庭に下りた、お父様が仰いました。そこで私たちも、それぞれが縁側に出たり庭に下りたりして、東の空の月を見上げました。
「わあ~大きな月!」
庭に下りた島風ちゃんが、少し出てきた夕風に金髪とリボンをなびかせながら叫びます。その周りでは連装砲ちゃんたちも、くるくる回って喜んでいるのです。
「ほぉ~、なかなかじゃな」
利根さんも感心しています。
「すごいのです、すごいのです」
私が連呼するくらいに本当に、大きな月だったのです。
それからしばらくは誰も何も言わずに、庭や縁側に立って、じっと月を見ていたのです。それは、いつも鎮守府から見える月と同じはずなのですが、やっぱり、いつもとは全然違う月に見えるのです。不思議なのです。
「……」
なぜか霞ちゃんは、さっきからず~っと、黙っているのです。なぜでしょうか?私はちょっと気になって、霞ちゃんの方を注目しているのです。すると、あれ?気のせいでしょうか?霞ちゃんがちょっとウルウルして……あれあれ?霞ちゃんが涙を流しているのです。薄暗いからちょっと分かり難かったのです。
でも霞ちゃん、すぐにハッとして慌てたような表情になって、向こう側を向いて涙を拭っているのです。涙を流しているのが恥ずかしいのでしょうか?
でも私は……声はかけずに、そっとしておいたのです。きっと霞ちゃんには、なにか月を見ると思い出すのでしょう。
いつも、皆の前ではきつい感じの霞ちゃんなのですが、何となく……私には何となく、霞ちゃんの気持ちが分かるように思えたのです。
--------------------------------------
※これは「艦これ」の二次創作です。
---------------------------------------
サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
---------------------------------------
「みほちん」とは「美保鎮守府」の略称です。
「みほちん第4部」=「みほちんシリーズ4」です。