「艦娘グラフティ」(第4部)<電チャンと一緒>   作:しろっこ

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いよいよ、提督のご実家を出発するのです。でも、いろいろ大変なのです。


第44話<出発なのです>

「あんた、塀に突っ込む気?」

 

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「艦娘グラフティ」(みほちん第4部)

 第44話<出発なのです>

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<<提督の実家:出発準備>>

 

朝食も終わり、いよいよ鎮守府へ戻る時間です。私たちは、お母様にお礼を言った後、帰り支度です。寝室から、浴衣を入れた大きな箱を運び出します。私と利根さん、あとは連装砲ちゃんたちも手伝ってくれました。

でも利根さん、ときどき「す、すまん!」と言いながら、フラフラするので、そのたびに私や連装砲ちゃんたちが、よろけるのです。

 

「大丈夫かぁ?」

お母様も心配してくださいます。

 

「うちのも、起きて来んだけんな、相当呑んだだわ」

(主人も起きて来ないくらいだから、相当、呑んだんだね)

 

「面目ないのじゃ」

聞こえるか聞こえないくらいの小さな声で、利根さんが呟くのです。でも利根さんは、お酒を飲んでも、それほど性格が変わらないので、まだ良いと思ったのです。

 

軍用車は、自宅の脇の空き地に停めてあります。後ろのトランクを開けて、浴衣を載せます。続いて各自、乗り込みます。連装砲ちゃんたちも、私たちの隙間や、トランクの空いたところに、上手に乗り込んでいます。

 

「この子たちも、可愛いなあ~」

お母様も、目を細めて微笑んでおられます。

 

「でしょ、でしょ~、また来るからね!」

島風ちゃんが、言います。

 

「ああ、いつでもおいで」

その言葉に、霞ちゃんはちょっと、ムッとした顔をしたのです。でも、それ以上は何も言わなかったのです。いつもの霞ちゃんなら、すぐに何かひとこと、言っていたはずなのです。やっぱり、霞ちゃん、ちょっと変わったのです。

 

全員が乗り込んでから、私は軍用車の周りを、念のために一回りして確認するのです。やっぱり、ドキドキするのです。それから、お母様にもう一度、頭を下げたのです。

「本当に、お世話になりました」

 

「ああ、あんたも、いつでも来ていいだで」

(あなたも、いつ来ても良いんだよ)

 

「は、はい!」

もう一度、頭を下げた私は、とても幸せな気分でした。そういう風に、声をかけられるのは初めてなのです。私は、ちょっとルンルン気分で運転台に乗り込みました。

 

「ご機嫌ね」

助手席の霞ちゃんが聞いてきます。

 

「はい!」

そう言って、私は霞ちゃんから預かっていたキーを差し込んで回すのです。

 

 ドッドッド

 

大きな音を立てて、エンジンが回るのです。

「では、出発するのです!」

 

 ガガガガ!

 

大きな音を立てて、エンジンが止まったのです。

 

「あれ?」

 

<<軍用車:出発なのです>>

 

隣の霞ちゃんが叫びます。

「あれ?……じゃないわよ、クラッチ!クラッチ踏んでないわっ」

 

「クラッチ……って?」

 

「その、ブレーキペダルの横のやつ!」

 

「あ~、そうだったのです」

ふと外を見ると、お母様が心配そうに見ているのです。私は、ダイジョウブですよという感じで微笑みました。ちょっと引きつっていましたが……。

 

気を取り直して、もう一度エンジンをスタート。今度は慎重に、クラッチを踏んで、ゆっくりとつなぎます。

「あ~、動いたのです」

 

そう、車は前へ……

 

「違うでしょ!後ろよ、バック!止まって」

霞ちゃんが絶叫します。はひ?……霞ちゃんが、すごい剣幕なので、私は慌ててブレーキを踏みます。”ガクン”という衝撃があって、後ろの連装砲ちゃんたちがドスドスと床に転がる音がするのです。

 

「オウ!」

島風ちゃんが叫んでいます。

 

霞ちゃん、またまた絶叫。

「バックして!あんた、塀に突っ込む気?」

 

「ち、違うのです。間違えたのです」

いえ、間違えたと言うよりは、もうパニック状態なのです。外に立っているお母様も、驚いた顔をされているのです。ちょっと、恥ずかしいのです。

 

「まぁ、落ち着くのじゃ。ちゃんと、ギアの場所が書いてあるのじゃ」

意外に落ち着き払った利根さんの声に、私と霞ちゃんは、はっと我に帰ったのです。思わず私と霞ちゃんは、二人そろって深呼吸したのです。それから霞ちゃんは、さっきよりは落ち着いた声で、私に指示をします。

 

「いい?利根が言ったように、シフトレバーのところに、ギアの位置が書いてあるから。まずは、それを覚えて」

霞ちゃんが落ち着いて指を刺しながら教えてくれるのです。私は、目で確認しながら、クラッチを踏んでゆっくりとギアをチェンジさせます。

 

 ドドドド

 

ああ、ゆっくりと車はバックしていくのです。

 

「ゆっくりでいいわよ、落ち着いて。周りもよく見てね」

霞ちゃんが、盛んに声を出して誘導してくれるのです。私は落ち着いてハンドルを回すのです。外に立っているお母様も、ようやく安心した顔をされています。やっぱり、恥ずかしいのです。顔が火照るのです。

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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「みほちん」とは「美保鎮守府」の略称です。
「みほちん第4部」=「みほちんシリーズ4」です。
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