「艦娘グラフティ」(第4部)<電チャンと一緒>   作:しろっこ

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急な指令で、私たちは境港の駅へ、新しく着任する艦娘を出迎えるのです。どんな人が来るのでしょうか?


第46話<出迎え>

「えっと……誰にも言わないでね」

 

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「艦娘グラフティ」(みほちん第4部)

 第46話<出迎え>

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<<反転:境港駅へ>>

 

私はとりあえず大通りで、駅の方向へ向けてハンドルを切るのです。私も軍用車の運転には、だいぶ慣れたのですが新しい人を迎えないといけないんだ……と思うと、ちょっと緊張するのです。

 

ときどき交差点で、クラッチを踏み損ねて車体がガクガクするのです。そのたびに、助手席から”チッ”というような空気が……霞ちゃんのほうから漂ってくるのです。やっぱりチェックが厳しいのです。でもバックミラーで後ろを見ると、利根さんも島風ちゃんも寝ているのです。私の運転でも寝られるってスゴイのです。

 

実家から境港の駅までは直ぐでした。10分も走らなかったような気がします。ちょうど駅に着いたころ、霞ちゃんが何かを受信しているのです……大淀さんでしょうか?そうですよね。

後ろを見ると利根さんも島風ちゃんも、連装砲ちゃんたちも完全にダウンしているから、無線は受けられないのです。利根さんを呼び出したのに反応がないので呆れている大淀さんが連想できるのです。

 

私がロータリーの見える十字路の角に軍用車を止めると同時に、通信が終わった霞ちゃんが私に言います。

「次に到着する列車に、新しい艦娘が乗ってるそうよ」

 

「は、はい!」

はうう、やっぱり緊張するのです。

 

でも、霞ちゃんは私の顔をまじまじと見詰めながら続けるのです。

「あんた、まさか利根が言うように、その艦娘にこれを運転させる気じゃあ、ないわよね?」

 

「え?え~っと、それは……」

私は思わず、よそ見して頭をかいてしまいました。正直言うと、それもチョッとあります。でも霞ちゃんの前では、やっぱり言えませんね。

 

私は、決意して答えました。

「大丈夫なのです。それは……ないのです。私が運転するのです」

 

私の返事を聞いた霞ちゃん、ちょっと安心したような……でも心配しているような。複雑な表情なのです。

「いつもなら日向がいるけどね。でもきっと今後も、こういう突発的なこともあるから、ちょっとは軍用車の運転も練習しておきなさい」

 

「はい」

霞ちゃんには、すべてお見通しなのです。

 

「今回は、不覚だったわ……」

ふっと、呟くような声が聞こえたのです。

 

「はひ?」

私は思わず反応しました。

 

「何でもないわよ!」

ちょっと機嫌の悪くなった霞ちゃん。あまり聞かれたくなかったようなのです。だからそれ以上、私は何も聞かなかったのです。

 

<<境港駅:到着>>

 

5分も経たないうちに列車が到着したのです。漫画のイラストがたくさん描いてある列車なのです。可愛いのです。その車両のドアが開いて、ぱらぱらと人が降りてきます。何となく、セーラー服のような、派手な赤っぽい軍服の女の子が見えたのです。あの娘でしょうか?

 

「あの娘が新しい艦娘ね」

霞ちゃんも、そう思ったようなのです。

 

「えっと、一人なのですか?」

私は霞ちゃんに確認しました。

 

「そうね。大淀さんはそう言ってたわ」

霞ちゃんは答えながら、どこかに交信を始めています。私が見ていると……あ、そうか。

 

「新しい人の周波数を……?」

霞ちゃんはうなづきながら交信しています。

 

「こちら、美保鎮守府の駆逐艦“霞”と申します。巻雲さん、応答願います」

しばらくして、反応があったようなのです。

 

「はい。そうです。……そう、駅の改札を抜けたらロータリーを右手に見ながら真っ直ぐ進んで50m先の交差点に止まっています」

霞ちゃんは新しい艦娘……巻雲さんという方に、この車の場所を誘導しているのです。でもなぜでしょうか?霞ちゃん、時々顔をしかめるのです。

 

【挿絵表示】

 

 

「すぐ、来るわ」

苦虫を潰したような表情の霞ちゃんなのです。

 

「あの、霞ちゃん。顔は、どうかしたのですか?」

私が聞くと、霞ちゃんは答えます。

 

「あの新しい艦娘の声……二日酔いの頭には、ガンガン響くわ……あ!違う!違うからっ」

何が違うのでしょうか?でも、私は嬉しかったのです。だって霞ちゃん、私には思わず本当のことを話してくれたのです。

……慌てて否定する霞ちゃん、その慌てぶりは、やっぱり可愛いのです。

 

いったん否定した霞ちゃんでしたが諦めたのでしょうね。ちょっと頬を赤らめて、直ぐに私の顔をじっと見詰めてこう言ったのです。

「えっと……誰にも言わないでね」

 

「はい!言わないのです」

これは、私と霞ちゃんの秘密なのです。

 

「あ、来たわね……」

境港の駅の建物から、さっきの赤い色の制服を着た艦娘が手を振って……あれ?

 

「なぜ、二人居るのですか?」

思わず聞いちゃいました。

 

「そ、そうね……えぇ?」

霞ちゃんも、一瞬自分の目を疑っているようなのです。……ということは、大淀さんからの通信にも、無かったことなのでしょう。

 

「ど、どういうことなの?」

信じられない事態に、霞ちゃんも頭を抱えているのです。

 

「二日酔いが……痛むの?」

私は心配で聞いちゃいました。

 

「ち、違うわよ!」

否定する霞ちゃん。ご、ごめんなさい。私、二日酔いって、分からないのです。

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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「みほちん」とは「美保鎮守府」の略称です。
「みほちん第4部」=「みほちんシリーズ4」です。
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