「艦娘グラフティ」(第4部)<電チャンと一緒> 作:しろっこ
「もう、帰ろう?」
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「艦娘グラフティ」(みほちん第4部)
第59話<巻雲さんの涙>
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<<駐車場:連行>>
私は皆を離れて巻雲さんに近寄りました。
「あの……大丈夫ですか?」
良く考えたら、この質問は良くないと思ったのです。誰だって目の前で仲の良かった艦娘が捕まれば、ショックが大きいですよね。
「……」
案の定、巻雲さんは黙っているのです。何となく、必死で涙をこらえているようなのです。そして秋雲さんが連行される姿を見ないように、ずっと中海(なかうみ)の方向を見続けているのです。
やがて神通さんが響ちゃんと暁ちゃんを呼んで、秋雲さんを挟むようにしてトラックへ連れて行くのです。一瞬、手錠をかけようとした響ちゃんを、神通さんは軽く制していました。秋雲さんはそれに対して、軽く会釈をしました。そして、トラックへ向かう直前、秋雲さんが私の方を向いて、深く頭を下げたのです。私は……何もしていませんが、慌てて頭を下げました。あれ?変だったかな?
秋雲さんは、ずっと中海の方を向いている巻雲さんを見つめて、ちょっと寂しそうな表情を浮かべています。でも直ぐに、神通さんに目配せをして、トラックへと歩き始めました。
今度は神通さんが雷ちゃんに指示をすると、雷ちゃんがこちらの軍用車にやって来て言いました。
「あの艦娘の荷物があるんだって?」
「あ、後ろにあるのです」
「持っていくから開けて」
私は直ぐにトランクを開けました。雷ちゃんは「何これ?でかいわね」とブツブツ言いながら、運び出しているのです。
「あの、手伝うのです」
私が声をかけると、雷ちゃんは首を振りながら言いました。
「いいのよ、これが私の任務だから」
確かにそうなのです。やっぱり第六駆逐隊の皆は、ちょっといつもとは違った緊張感があるのです。私は別の緊張感で、ちょっとまだドキドキしているのです。
秋雲さんたちがトラックに乗り込み、雷ちゃんも荷物を乗せ終えると神通さんが、もう一度私に近寄ってきて言いました。
「大変だったわね、電ちゃん。大淀さんからの指示で、あなたと島風ちゃん、そして着任初日だけど巻雲さんは全員、今日一日、特別休暇を与えるそうよ。あと無線が届く範囲であれば、車も直ぐに戻さなくって良いって……」
そう言って、神通さんは私の肩に手を当てて微笑むと、さっと敬礼をしたのです。私も慌てて敬礼をします。
「神通!任務終了。これより鎮守府へ戻ります!」
「了解なのです!」
最後に神通さんに、気合を入れて頂いたような、そんな気持ちでした。私の胃の痛いのとか、もやもやした気持ちが、瞬間的に消えたのです。何となく、神通さんの後ろに、大淀さんが見えたような感じなのです。私は今、この瞬間も、お姉さんたちに見守られている。そんな気持ちなのです。
<<駐車場:巻雲さん>>
神通さんや第六駆逐隊、そして秋雲さんを乗せたトラックはエンジンを始動させ、駐車場で転回すると、ゆっくりと走り去って行くのです。巻雲さんは、まだ中海べりに立ちすくんでいるのです。
「ねえ~神通に何て言われたの?」
島風ちゃんが聞いてくるのです。
「えっと、私たち三人は、今日は休暇で良いって大淀さんが……」
「ふうん、ラッキーじゃん、それって」
ラッキーというか、私は正直ホッとしているのです。でも、やっぱり巻雲さんが心配なのです。私はもう一度、巻雲さんに近寄って声をかけました。
「巻雲さん、今日は私たちは休暇で良いって……。早く帰って、お休みするのです」
一瞬、ビクッとしたような巻雲さんでしたが、初めて我に帰ったような、正気に戻ったような、そんな感じなのです。
そして、ゆっくりと私を振り返ったのです。その目は、泣き腫らしたように真っ赤になっているのです。秋雲さんと会話しているときの巻雲さんは、とても弾けるように明るいのに、今は逆に、とても静かに泣いているのでした。
「……」
何かを言いかけた巻雲さんでしたが、言葉が出てこないようなのです。その瞳からは、次から次へと涙が流れ落ちているのです。その気持ちは、さっきの私を見ているようで、何となく……何となく分かるような気もするのです。
私は、そっと巻雲さんの手を握ってあげました。
「もう、帰ろう?」
「うっ、う……」
「大丈夫だよ。私が居るから」
なぜか、そう言ってしまったのです。次の瞬間、巻雲さんは大声を上げて泣き出してしまいました。連装砲ちゃんたちも心配して、私たちの周りに近寄ってきます。私はただ、巻雲さんをそっと抱き寄せることくらいしか出来ませんでした。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
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「みほちん」とは「美保鎮守府」の略称です。
「みほちん第4部」=「みほちんシリーズ4」です。