第1話
どうしてこうなった?俺は深い闇の中でそればかりを考えていた…千冬姉が出るISの世界大会「モンドグロッソ」を見る為に、ドイツまで来た…だが突然現れた黒い服の男達に連れ去れ、自分は今何処にいるかさえ判らない…どうすれば良いのか?これから自分はどうなるのか?それだけを考えていると突然、建物が大きく揺れる
「な、なんだ!?」
地震ではない…もっと大きな爆発な様な衝撃に驚いていると。壁が突然切り裂かれ、黒い化け物が入ってきた…
「ヒヒ…見つけたぁ。織斑千冬の弟…ヒヒヒ!」
俺を知ってるような、口調の化け物は笑いながら近付いてきて
「お前は役に立つ…殺して、俺の仲間にしてやる」
化け物が俺の首を掴もうと手を伸ばしてくる…逃げないといけないと判っているのに…意思に反して身体は動かない…
「千冬姉ッ!助けてッ!!!」
思わずそう叫ぶ、その瞬間…
「一夏ぁッ!!」
千冬姉の声がしたと思った瞬間、俺の身体は真横に引っ張られた。それと同時に感じる浮遊感…ゆっくりと顔を上げると
「もう大丈夫だ、助けに来た」
今正に助けを求めた人…自身の姉である。織斑千冬が居た…
モンドグロッソ決勝の3時間前、一夏が誘拐された聞き、ドイツ軍に協力を頼み。辿り着いた研究所は既に何者かの襲撃を受けていた。建物の壁は崩壊し、あちこちから火の手が見える…その光景に一瞬最悪の結果を考えてしまうが…
「一夏…一夏は何処だ!?」
ただ1人の肉親の姿を求め、研究所の中に足を踏み入れた…
「何があったんだ?」
研究所内のあちこちに血痕がある物の、負傷者や死者の姿は無い…もう脱出したのか?一瞬、この研究所の人間がどうなったのか考え込むが…
(今はそれ所ではない。一夏は何処だ)
ISのハイパーセンサーを最大にし、最愛の弟の姿を探し。明かりの消えた通路を進む…もっとも破壊の進んだフロアに差し掛かった時
「千冬姉ッ!助けてッ!!!」
一夏の悲鳴をセンサーが聞き取る、どうやら声は通路越しから聞こえてきたようだ…
「ここかっ!?」
他の通路より壁の薄い場所…倉庫か何かだろう…私は即座に雪片をコールし。その壁を切り裂いた…そして切り裂いた壁から私が見たのは…
(な、何だ!あれは!?)
思わず目を見開く、漆黒の鎧を身に纏う、人間ではない何かがそこに居た…一言で言うなら異形…そうとしか言いようが無い…それがゆっくりと一夏に手を伸ばす。全身の細胞が…戦士としての本能が叫ぶ。逃げろ!この場から逃げろと!無意識に手が震える…だが…
(一夏を助けに来たんだろう!逃げるな織斑千冬!)
「一夏ぁッ!!」
異形に首を掴まれそうな、一夏の身体を自分の方に引き寄せ。そのまま雪片を向ける
「ち、千冬姉?」
「もう大丈夫だ、助けに来た」
そうは言った物の、ここから無事に逃げれる保障は何処にも無い…だが、せめて一夏だけが逃がしてみせる
「お前は何者だ?」
一夏の前に立ち塞がりながら、目の前に居る異形に雪片を向ける。
「さぁ?人間如きに名乗る名はねぇな」
げらげらと笑いながら言う、異形はゆっくりと私の方を向いて
「織斑千冬、俺は貴様と弟を殺しに来たんだ…態々来てくれて感謝するぜえ?」
隙だらけの異形…今なら倒せる。私はそう判断し異形に斬りかかった…
「おお?」
スパン…
驚くほどあっさりと、異形の左腕を切り落とせた…これなら勝てると思った直後
「あーあー、俺の腕取れちゃったよ。まっいっか。自分でやる手間が省けた」
異形がそう言うと同時に、私が切り離した腕が姿を変え襲ってくる
「な。何ッ!?」
腕は倍以上の大きさになり、私の身体に巻きつき。それと同時に凄まじい力で締め上げてくる
「が、がはっ!?」
「千冬姉ッ!?」
一夏の心配そうな声が聞こえる…だが…
(い…意識が…遠のく…)
凄まじいまでの力で意識が遠のいていく…それにISを持ってしても振り解けない力…
(こ、このま…までは…)
雪片で身体に巻きついている物を切り落とそうとするが…
「おっと、そうは行かない」
異形が雪片を簡単に奪い、私の顔を覗き込んで
「折角捕まえたんだ…そう簡単には逃がさない。このままゆっくりと絞め殺してやるよ、お前もお前の弟も」
楽しそうに言う異形…このままでは私も一夏も殺される…せ、せめて…一夏だけでも…助けたいが…
「さて、そろそろ死んでもらおうか?」
ギュウウッ!!
「うっ!うわああああああッ!!!」
更に凄まじい力で締め上げられる…それと同時に、バキッと言う鈍い音が全身から聞こえる…
「千冬姉ッ!?千冬姉ッ!?」
必死で呼びかけてくる一夏、それを見た異形は
「そうだ!先に弟を殺してやるよ。お前は絶望の中で死んでいきな」
異形が腰に下げた鞘から剣を抜き放つ…
「あ…ああ…」
一夏がよろよろと後退し、その場にへたり込む
「逃げなよ、その方が面白い。それとも怖くて逃げれないか…なら…死になよ!!」
異形が勢いよく剣を振り下ろそうとしたが…通路から投擲された剣に弾かれる…他の操者が来てくれたのか?薄れ行く意識の中、剣の飛んで来た方向を見ると
「そうはいかんよ、先のある子供をこんな所で死なせん」
燃えるような緋色の髪に、黄金色の甲冑を身に纏った男が居た…
「ば、馬鹿な!?な、何故貴様がここにッ!?」
動揺した素振りを見せる異形に男は
「答える義理は無い、滅びろッ!!」
一瞬の内に男は間合いを詰め、眩いばかりの光を纏った剣で異形の胴を穿った
「がっ!?ば…馬鹿な…こ…この…俺が…」
異形はそう言うと、最初から存在しなかったように消え失せた
「げほっごほっ!!」
拘束から解放され、激しく咳き込む
「大丈夫か?今治す」
男がそう言うと、男の掲げた左手から
「傷付いた戦士に天界の祝福を…ヘブンズ・ヒール」
蒼い粒子が溢れ出し、私を包み込む…驚きその場から動こうとすると
「動くな、治癒が遅れる」
男に強い口調で言われ、私は動くのをやめた…それほどまでの威圧感のある声だった…
「千冬姉…」
心配そうな一夏に男は
「大丈夫、すぐによくなる」
「ほ、本当?」
一夏が涙目で尋ねると、男は
「ああ、本当だ。どうだ?まだ痛むか?」
「…何をしたんだ?」
さっきまで感じていた、全身の痛みは消え失せていた…それに驚きながら尋ねると
「悪いね。詳しく説明したいが…そうもいかん。まだ、この世界の人間に、私の存在を知られるわけにはいかんのでね」
男が私と一夏の頭に手を置いた直後、私は強烈な睡魔を感じ意識を失った…
「龍也さん、大丈夫ですか?」
姉弟の2人に睡眠魔法を掛けた所で、他のブロックを回っていたなのはが合流してくる
「問題ない、生存者は保護できたし。ネクロも倒せた、そっちはどうだった?」
「…こっちは生存者0です…」
暗い顔のなのはに
「仕方ない、私達は全力を尽くした。その上での結果だ…そうしょげるな」
「判ってます…判ってるんですけど…」
ぽんぽんとなのはの頭を撫で
「せめて、この2人が助かった事に感謝しよう。さてと…見たところ日本人だが…誰だろうな?」
眠っている2人をなのはに見せると
「あっ!この人あれですよ!IS世界大会の日本人選手」
「そうか、それなら大会の会場に連れて行けば良いか」
「そうですね。大会の開始時間まで後30分ありますし…充分ですね」
私はその言葉に頷き、転移魔法を発動させた…
『第2回モンドグロッソ優勝者は織斑千冬選手です!!』
会場の外の街頭TVを見ていると
「龍也さん、まだここに居るんですか?」
面白く無さそうな、なのはにそう尋ねられ
「一応確認をな…ちゃんと記憶を消せてるかのな…」
あの姉弟の記憶をちゃんと消せたか、確認したいと言うとなのはは
「心配性ですね、最強の魔道師ともあろう人が…」
その言葉に肩を竦める銀髪の男…実はこの2人はこの世界の人間ではない、魔法が発達した世界「ミッドチルダ」の魔道師で、その世界では知らぬ者が居ないほどの有名人。神王「八神龍也」と星光の女神「高町なのは」だ
「まぁ念の為だよ。っと噂をすれば何とやら」
大会の会場から出てくる、先ほどの少年が見える…もしさっきの事を覚えてるなら。私達に気付くはずだが…暫く様子を伺っていたが
少年は何も言わずホテルの方へ歩き去っていく。どうやら記憶消去は上手く行ったようだ
「これで仕事は終わりですね!折角だから、このままデートと行きましょう!」
顔を覗きこみながら言うなのはに
「やれやれ…仕方ないか。暫く観光でもするか?」
どうせまだ迎えは来ない、それまで遊んでいても良いだろう。だからそう呟くと
「い、良いんですか?」
驚いた表情のなのはに
「お前が言い出したんだろうが、行くぞ」
「は、はいッ!」
嬉しそうに歩き出すなのはと街中に向かいながら
(まだ…終ってない、あの戦いは…)
半年前のヴェルガディオスとの戦いで全て終ったと思ったが、まだ終っていないネクロとの戦いは…
「龍也さん?どうしたんですか?」
立ち止まっている私を不審に思ったのか、立ち止まり尋ねてくるなのはに
「ああ、悪い。少し考え事をな」
「自分で全部抱え込んじゃ駄目ですよ?偶には私達を頼ってくださいね。その為の力は手にしたつもりです」
にこやかに微笑みながら言うなのはに
「ああ、判ってる。頼りにしてるよ、なのは」
「はい!それじゃあ行きましょう!折角の2人きりなんですからっ!」
私は今度こそ会場の前を歩き去った…そしてこの時から数年後…私は再びこの世界に足を踏み入れることになる…
第2話に続く…
どうも混沌の魔法使いです!如何でしたか?「IS~現れたる神なる刃」は?面白かったのなら良いのですが…それとにじファンの時は「リリカルなのは」のキャラは出てませんでしたが、新投稿なので。「本編」で影が薄かった「なのは」「フェイト」さんを出そうと思っています。それに伴い、なのはさんとフェイトさんのISアイデアを募集したいと思います、自分はそういうのは苦手なので助けていただけると嬉しいです、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします