IS~現れたる神なる刃【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回でクラナガン編は終わりとなります。この後からは色々とイベントをいれてクライマックスに向けて動いていこうと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


第100話

 

 

第100話

 

長いようで短かったクラナガンでの暮らしも今日で最後か……今まで世話になった部屋を掃除しながらそんな事を考える。

 

(色々あったなあ……とても一週間とは思えないな)

 

千冬姉とマドカでは部屋を掃除する所か、より汚くするので1人で掃除している。はたきで埃を払いながら窓の外を見ると、庭でドラきちとかと遊んでいる千冬姉とマドカの姿が見えるのだが……

 

「いっくよー!」

 

「よーし!来い」

 

てーいと言う掛け声から放たれた剛速球を受け止めている千冬姉。そして

 

「おお、凄いなドラきちは」

 

「キューッ!」

 

マドカを背中に乗せて走り回るドラきち。なんというかすごい光景だ。特に千冬姉の変化が凄い、弟の俺でも笑っている顔なんて数えるほどしか見たことがないのに、この家では良く笑っている。凄まじきかなロリっ子パワー。鉄面皮の千冬姉を笑うように変えてくれたリヒトちゃんとリィンちゃんにはなんと礼を言えば良いのか判らないほど感謝している。そんな事を考えながら部屋を掃除しているとここ一週間の事ばかりを思い出す

 

龍也に木刀でぼこぼこに殴られて

 

ルシルファーに素手で気絶するまで殴られて

 

龍也とルシルファーにフルボッコにされて

 

(あれ?俺苛められてる!?俺苛められてるのか!?)

 

訓練の事を思い出すとどうしても叩きのめされたことしか思い出せない。あのイイエガオで拳と木刀を振るう龍也とルシルファーのの姿が脳裏に焼きついている。これは間違いなくトラウマだ、もっと楽しい事を思い出せ!色々あっただろう!?俺!はたきを机の上に置いて考え込む

 

はやてさんと話しこむ度に笑い方が近づいていくマドカ

 

ひそひそと俺を見ながら話をする鈴とセッテさん

 

明らかにやばそうな色をした薬物っぽい者を手にして笑っているシャル

 

訓練中のトラブルで箒の上に落ちて、偶然にも胸を掴んでしまい。マドカ・ラウラ・シャル・鈴によって三途の川送りにされた

 

朝起きたら両手が手錠でベッドに繋がれていた

 

「いやいや。まだ何かあるはず!まだにかあるはずだ!」

 

必死に楽しい思い出を思い出そうとする。そして脳裏に浮かぶのは

 

猫の着ぐるみを着せられたドラきちに突撃され吹っ飛ばされ

 

龍也の家のプールで泳いでいたら、ドラきちに後ろから圧し掛かられ沈んだ事

 

廊下を歩いていたら、そりを引いてきたドラきちに突撃され吹っ飛ばされた事

 

「なんでこんな事しか思い出せない!?」

 

どうしてこんなことしか思い出せない!?その事に絶望した、どうやら楽しい思い出よりも、生死の境を彷徨ったことの方が多すぎて思い出せなくなっているようだ

 

「なにやってるのよ?一夏」

 

思わず蹲り頭を抱えていると鈴の声がして振り返ると

 

「お前こそどうしたんだ?それに皆も」

 

鈴だけではなくシャルや箒も私服姿で俺を見ている。どうした?と尋ねるとシャルが

 

「龍也が最後くらい好きに遊んでくるといいってね。この街のレジャースポットとかお土産を売っている良い店とかを教えてくれたんだよ」

 

最終日は龍也がまた案内してくれると言っていたが、俺達自身で考えて移動してみろって言う事なのか?それよりもそんな話をしてくれていたことすら忘れていて

 

「すまん、直ぐ着替える」

 

出かける準備を何もしていない、早く着替えるから待っててくれと声を掛けて鈴達を閉め出す。はやてさんの影響か何か悪い方向に進化しているので覗かれる様な気がしてならない。手早く着替えて部屋の外に出ると

 

「何してる?鈴」

 

「ま、待ってただけ!」

 

案の定鈴が1人だけそこにいた。1番悪影響を受けているのは間違いなく鈴だなと確信しながら、俺は外で待っている箒達と合流するために歩き出したのだった。

 

「遅いぞ一夏」

 

どうも庭で遊んでた千冬姉は龍也に頼まれて先導役だったようだ。どうも俺だけが完全に忘れていたようだ

 

「ごめん。ちょっと忘れてた」

 

素直に謝ると千冬姉は仕方ないと呟いてから

 

「では行くぞ。夜まで好きにしていて良いそうだからな」

 

地図を持って歩き出す千冬姉の後をついて俺達は龍也の家を後にしたのだった

 

 

 

 

 

龍也に渡された地図とお勧めスポットと書かれたメモを見ながら

 

「近くに小物やと本屋とかがあるそうだな。どうする?」

 

クラナガンはかなり入り組んでいるそうで、ウィンドウショッピングで迷子になる可能性があると書いてある。だから近くの店を教えてて行くか?と尋ねると

 

「んー本屋は別に俺は良いかな。箒とかは?」

 

着いて来ているのは一夏といつもの面子だ。簪や楯無は龍也の家と六課で考えたいことがあると言って残っているし、シェンやヴィクトリアはドラきちとリィン達と遊んでいるのでここにはいない

 

「私も余りこの世界のほんに興味はないな」

 

「僕もだよ。この世界のほんはあんまりね」

 

そう苦笑するデュノアと篠ノ之。その意見には私も賛成だ、この世界の本を見たが大概がこの世界でしか通用しない料理の本だったり、この世界の歴史書が大半だった。ファッション雑誌とかもこの世界の物で私達の世界で考えるとおかしい物ばかりだ。一応は聞いてみたが予想とおりの反応だった

 

「ではどんな場所に行きたい?」

 

そう尋ねると一夏達はうーんと唸る。こうして観光でうろうろ歩いているが折角観光に来ているのだから色々見てみたいと思うのは当然だろう

 

「ショッピングモールとかはないのか?姉さん?」

 

マドカの問い掛けに地図とメモを見て場所を確認する。近くもないが遠くも無いそんな場所に一軒ある、勿論龍也に案内された場所とは違う店だ

 

「ではそこに行くか?昼食もそこで済ませて土産や服を見る、これどうだ?」

 

異議なしと言う感じで頷く一夏達を先導して、近くのバス停に向かい。私達はショッピングモールへと向かったのだった

 

(かなり広いな)

 

最初に龍也に案内されたショッピングモールと同じく魔法を使っているのか外見より遥かに広い。つくづく魔法世界と言うのは規格外だなと改めて実感していると一夏が

 

「ここなら迷子にならないし、いざとなれば携帯で連絡を取れるし皆好きな店に行くのはどうだろう?」

 

む?だがそれだと一夏の監視が出来ない。だが何時までもこうして私が連れて歩いていたら観光の意味がないと判断し

 

「いいだろう。では昼前に1階のカフェに集合だ」

 

集合場所を決めて一夏達と判れた。篠ノ之とかが一夏といっしょに回るで喧嘩すると思っていたのが、予想に反してバラバラで行動する篠ノ之達。どうもあいつらもあいつらで見たいものがあったのだろう。私はそんな事を考えながらうろうろとショッピングモールを歩き出したのだった……

 

 

 

 

今頃千冬達は観光かしら?そんな事を考えながら使っていたラボの機材を片付けていると

 

「良かったんですか?観光に行かなくて」

 

龍也君がラボに入ってきてそう尋ねてくる。私は1度片付けの手を止めて

 

「まぁね。それに一週間ここにいたし、結構感慨深いのよ」

 

未知の科学に私の世界よりも数段進んだ文明。正直言って興味は尽きないそれに

 

「龍也君のおかげで面白い武器も作れたしね。大満足よ」

 

龍也君が投影で見せてくれた色々な伝説上の武器。それを見てエリスちゃんやユウリといっしょに作るのは結構楽しかった

 

「アロンダイトですね。セシリアが搭載したいというのは予想外でしたけどね」

 

「それは私も同じよ」

 

アロンダイト。レーザーと実態の二種を持つブレード。破壊力もありリーチもある、ヴィクトリアのISに搭載する予定だったんだけど、ヴィクトリアが辞退したし、セシリアが是非と言うのでブルーティアーズに搭載した。正直あんまり相性が良くないと思うんだけどねと思いながら椅子に腰掛けるとCDを渡される

 

「これは?」

 

「ISの改修の方法、それと独立式パッケージの図面の簡略化の方法ですよ。これで量産できますよ」

 

量産。何故そんな物を渡すの?私が首を傾げていると龍也君は

 

「一夏や箒のISの外見は変わってないですが、中身は既に第4世代と言えるほどに強化されています」

 

私やスカリエッテイさん。そして龍也君にはやてさんのおかげで最新式のISだと言えるだろう

 

「1週間でここまで変わっていては委員会や国もうるさいでしょう、だからこれをもって帰って発表してください。最新式のISの改修方法としてね」

 

そう笑う龍也君。私は手の中のCDを見ながら

 

「私の名前を売り。更に一夏君達への要らぬ疑いを向けさせないために?」

 

「その通り。話が早くて助かりますね」

 

今IS委員会はネクロの事。そして亡国企業の事で疑心暗鬼状態になっている。龍也君とはやてさんが少し精神操作をしてくれたそうだけど、そこまでは変わらないと言っていたから急に強くなればいらない疑いが掛かるだろう

 

「よく考えてるのね?」

 

「それなりには、お願いできますか?」

 

これは私に矢面に立って欲しいというお願いだ。一夏君達を護るために……私は少し考えてから

 

「OKよ。任せて」

 

私は日本政府にもドイツ政府にも顔が広い。この改修案と独立式のパッケージを発表し、テストベットとしてセシリア達のISを回収したと言えば名目は立つし、彼女達の安全も確保できる。あとついでに私の名前が売れる、まぁ元々フリーのIS技術者でそこそこ名前が通ってるんだけどね

 

「とりあえず試作型のパッケージは完成したし、これも一緒に発表するわ」

 

ヤタガラス専用パッケージと、フレイア達の試作型もできた。これをとりあえず発表しよう

 

「AIは搭載出来てないのにいいんですか?」

 

最終的にはAIを搭載して、独立稼動により操縦者をサポートする事を目標にしているが、今はそこまで完成してはいない。だけど

 

「試作って言えばいいのよ。最終的にAIを搭載するで押し通すわ」

 

それにAIを搭載する鈴達のパッケージもここで開発してくれてるしね。心配は無いわよと言うと

 

「まぁ私達も戻るのでフォローはしますけどね」

 

「また学生するの?」

 

私がそう尋ねると龍也君ははいいえと言って真剣な顔をして

 

「夏休み中に蹴りをつけます。学校が始まればより危険が増す。短期決戦を仕掛けます」

 

短期決戦って……どこに隠れているかも判らないネクロをどうやって見つけ出すつもりなの?

 

「探す方法はいくらでもありますよ。ネクロは既に束から必要な情報は手に入れました、何時までも自分の存在を知る人間を生かしておくと思いますか?」

 

その言葉に直ぐには返答は出来なかった。そんな簡単なことを尋ねてくるとは思えない、少し考えて自分の中で情報を纏めて

 

「人間だから駄目ってこと?」

 

私がそう呟くと龍也君は正解と手を叩き

 

「ネクロは束を切り捨てる。だけど自分の手は汚さない、奴らは一言言うだけで1部の馬鹿が動く。束の居場所を言うだけでね」

篠ノ之束は全世界から追われている。それは自分達の陣営に引き込みたかったり、薬漬けにして自分達の言う事だけを聞く人形にするためにね、人間に襲われ、束は殺意を抱く。その殺意はネクロにとっては好都合な物。ネクロの目的は……篠ノ之束のネクロ化だ」

 

篠ノ之束のネクロ化。もしそうなったら最悪だ。あの頭脳が人間を殺すためだけに使われると考えると、勝つのはますます難しくなる

 

「防ぐ方法は?」

 

「考えてありますよ。軍隊でも動けば直ぐに動けます、だから私は行動待ちですよ。ネクロの行動が判らないなら、人間の動きで考えればいい」

 

「けっこう悪いこと考えるのね?」

 

「当然。正しいだけじゃ……ネクロには勝てないんですよ」

 

そう笑ってラボを出て行く龍也君の背中を見ながら私は

 

「若いのに色々と背負ってて大変ね」

 

千冬と同じ歳なのに……そう思うと少しだけ不憫に思えた、だけどこれで少し判った。スカリエッテイさんが彼を手伝うのは、きっとその重荷を少しでも軽くしてあげようと考えているからだろう

 

(良い友達を持っているのね)

 

私は心の中でそう呟き、使っていたラボの掃除を再開したのだった……

 

 

 

 

 

 

ショッピングモールで買い物を終えて、夕食の時間に帰って来いと言われたので龍也の家に帰ると

 

「おう、おかえり。楽しかったか?」

 

にこにこと笑う龍也。その後ろでは5つのバーベキューセットが並んでいる

 

「え、えーと?」

 

信じられない手際で肉を引っ繰り返し、お皿に盛り付けている龍也を見て、若干の思考停止に陥っていると

 

「ん?バーベキューをするって言ってなかったか?」

 

いや聞いてたけど、こんな光景で出迎えられると正直驚く。箒達も同じ様子だ

 

「あーむ♪」

 

「むふー♪」

 

そしてちびっ子軍団はバーベキューを食べて幸せそうに笑っている。その光景を見ていると腹が鳴った、俺だけじゃなくて箒達の方からも聞こえた。思わず振り返ると箒とシャルが俯いていた、色々と買い物をして街を歩いて空腹だったようだ

 

「何してる?早く手を洗って来たらどうだ?美味いぞ?」

 

「そーだよー!鈴も早くおいでよ。海老とかの殻も向いてあるから食べやすいよ」

 

既にバーベキューを食べているシェンさんとヴィクトリアさんを見た鈴が

 

「もう!何で先に食べてるのよ!ほら早く手を洗いに行ってあたし達も食べるわよ!」

 

そう言って家の中に走っていく鈴の背中を見て俺達は苦笑しながら、家の中に入り手を洗って再び庭へと出たのだった

 

「おお、うまっ!」

 

外で焼いているからか、それともこの雰囲気のせいか余計に美味く思える。いや実際肉は高級な肉だし十分美味いのだが、更に美味く感じる。龍也は器用に5つのバーベキューセットに木炭を足して。肉と野菜を焼いて次々とちびっ子に配りつつ、自分も食べているこういうのに慣れているんだろうな

 

「美味しいわね。こういうのも悪くないわね!」

 

「キャンプとは違うが、確かにいいな」

 

楽しそうにバーベキューセットから肉と魚をとって食べている箒達に

 

「おかわりー♪」

 

「もっと!もっと♪」

 

空皿を抱えてお代わりお代わりとはしゃいでいるちびっ子たちを見ていると凄く安心する。これが平和って言うやつなのかもしれない

 

「これが龍也が最後に見せたかった物かもしれないな」

 

いつの間にか俺の隣にいた千冬姉は楽しそうにはしゃいでいるちびっ子たちを見て

 

「平和と日常。それは戦って護れる物だ。その大切さを教えてくれようとしているのかもな」

 

そう笑う千冬姉。確かにそうかもしれない、ネクロと戦う理由としてそれは十分すぎるほどになるだろう

 

「にいチャーン。お酒飲んで良い?」

 

「飲みすぎるなよ。お前もなのはもフェイトもな。ん、ほれ簪魚焼きあがったぞ」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

全員の話を聞きながらてきぱきと作業している龍也を見ながら、俺は

 

(俺も今度こそ……誰かを護れるようになりたい)

 

ISが暴走してマドカを殺しかけた。そして何時またオレに身体を奪われるか判らない。それでも俺は誰かを護れる人間になりたい……そんな事を考えていると千冬姉に頭を撫でられ

 

「その気持ちがあれば大丈夫だ。その気持ちを忘れるなよ」

 

「判ってる。ありがとう千冬姉」

 

俺はもう忘れない。何のために剣を取るのか、そして何をなすのか……この光景をしっかりと瞼に焼付けた。俺が護りたいと願う者を忘れないために……

 

「あ、そうだ千冬姉。これ」

 

振り返り忘れるところだったと思いながら小さな包みを千冬姉に手渡す

 

「これは?」

 

不思議そうな顔をして尋ねてくる千冬姉に俺は笑いながら、首から提げているペンダントを見せて

 

「俺とマドカと千冬姉でおそろいのペンダント!大切にしてくれよな!」

 

折角だからとマドカといっしょに選んで買った。少し割高だったけど、俺とマドカで半分ずつ出せば買えた。正直こんな事は初めてだったので、とてもじゃないけど千冬姉の顔を見ることは出来ず

 

「俺も食うぞ。入れてくれ」

 

「ったく遅いのよ。馬鹿。ほらこっちきなさい。今焼いてるところだから」

 

トングで網の上に肉を乗せながら、自分の隣を叩く鈴。それに気付いたら裏が

 

「待て鈴。こっちのは既に焼けている、だからこっちに来い」

 

ちょっとした口論になる。鈴とラウラの間に座る

 

「喧嘩しないで仲良く食おうぜ。折角なんだからよ」

 

俺はそう声を掛けながらラウラの前の網の上から鶏肉を取り頬張ったのだった……暫くここで話したり食べたりしたら立ち上がり

 

「セシリアとなりいいか?」

 

「い、一夏さん!?どうぞ!どうぞ座ってくださいな!」

 

むっとする箒やシャル、それにマドカに一瞬肝を冷やしたが、ちびっ子も居るし、火も近くにあるので誰も攻撃してこない

 

「ちゃんと食べてるか?」

 

「ええ。私は少しずつ頂いております」

 

またセシリアと話をしていっしょに物を食べた後に立ち上がり、次は誰の隣に座ろうかなと考えながら俺は皿を片手に歩き出した。

折角だから全員と話として食べよう。これも良い思い出になると思ったのだった……

 

 

1人残された千冬は渡されたペンダントを見て

 

「悪くない……」

 

お揃いのペンダントを身につけ、そう笑っていたのだった……

 

 

 

そして次の日の朝。俺達はクラナガンを後にした。長いようで短かった1週間。だけどこの1週間でかぞえきれないほどの大切なことを知ることが出来たと俺は思うのだった……

 

 

 

 

おまけ

 

「お嬢様からメールが来ていますね」

 

龍也君が実家に帰るそうで、一夏君達と観光に行っているお嬢様からのメールに笑みを零す。あんまり自分の近況のことを話してくれないお嬢様の性格を考えるととても珍しい事だと思いながらメールを開く

 

「あらあら……」

 

メールに添付されていた写真を見て、思わず苦笑してしまう。そこにはピースサインのお嬢様の隣で不機嫌そうに顔を歪めているユウリの姿が写されていた。メールの内容を見ると

 

「いい夜景ですね。どこでしょうか?」

 

下には光る街並みと空には満天の星。多分誰かにとって貰ったんでしょうけど、この場所はどこでしょうか?そもそも

 

「龍也君の実家ってどこなんでしょうね?」

 

代表候補生の面々にツバキさんに織斑先生。とかなりの人数のはず……それだけの人数を招待できる……

 

「龍也君はもしかすると良い所の人なのかも知れないですね」

 

思い出して思うのだが、龍也君は歳の割りに落ち着いているし、社交性もある。そして何よりも広い観点で周りを見れる人間だ。帝王学でも学んでいるのだろうか?と思うほどに龍也君の考え方は大人びていた

 

「……戻ってきたら聞いてみますかね」

 

虚は夢にも思うまい。年下だと思っている筈の龍也が実は自分よりも年上で、何千人と言う人間の上に立つ人間と言うことを

 

「えーとじゃあ。お嬢様にはこれで良いですね」

 

『ユウリさんと仲良くしてください。喧嘩などをなさらないように』

 

ユウリさんもお嬢様と同じく裏の社会を知る人間であり、人付き合いが苦手な部類の人間だ、それに対してお嬢様は多少強引にでも人の心の中に踏み込んでいく性格だ。しかしユウリさんはそう言うのは多分嫌うので気をつけるようにとメールを打ち

 

「さてと、そろそろ寝ましょうか」

 

まだ夏休みは残っているが、時間にルーズになっては駄目だ。長期休みであったとしても規則正しい生活を送らなければ。私はそう考え布団に潜り込み目を閉じたのだった……

 

「あー虚ちゃん。ナイスアドバイス」

 

年上の幼馴染からのアドバイスを見た楯無は、軽く冷や汗を流して自分の行動を考える。ユウリの話を聞いてから調子に乗っていたかもしれない

 

「うん。もうちょっと接し方を考えてみよう」

 

初恋だからどう行動すればいいのか判らない、乙女な楯無さんは、日記を見返し、そしてはやて達に相談に乗って貰うために自室を後にしたのだった……

 

 

 

第101話に続く

 

 




次回からは束やネクロの視点の話をしていこうと思います。ネクロと束で2話やってイベントを動かして行こうと思います。
結構重要なイベントもありますしね。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いしま
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