とは言え今回は一夏達がメインになる予定です。クラナガンでの訓練の成果が出る感じに仕上げたいですね
それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします
第105話
アリーナで白式・白雪を展開し、戦闘ではなく機動の訓練をしていたのだが
(出力が高すぎる。反応が間に合わない)
白式を強引に反転させると同時に脚部と背部のブースターで方向転換しアリーナの壁を回避する
「ふー危ねえ」
今はISの絶対防御の出力が落ちている。この状態でアリーナの壁にぶつかれば大怪我は必須だ、ギリギリのタイミングで回避できたことに安堵し汗を拭っていると
「まだまだだな。いつまで白式と同じ感覚で動かしているんだ?」
俺と同じように改造されているのに、既にレーゲンを完全に使いこなしている。ラウラにきつい言葉を言われ苦笑しながら
「ラウラ。中々思い通りにはいかないんだよな」
「お前は急に専用機を持たされたからな、慣れるまで時間が掛かるのは仕方ない。だが学習しろ」
厳しいラウラの言葉。だがその通りなので苦笑するしかない、改修されたISに慣れてないのは俺と箒だけ。セシリア達は元々代表候補生として色々なISを使っている。その分俺達より経験があり、機体の癖を掴むのが早いのだろう
「もうラウラ。もっと優しく言ってあげないと」
「そうですわラウラさん。一夏さんと箒さんはISに慣れてないのですから、余り厳し言いかたは良くないですわ」
シャルとセシリアがそう言ってくれるが
「いや、良いんだ。厳しいくらいが丁度良いんだ」
甘くされると気が緩む、厳しい指導の方が丁度良いと言うと
「よく言った一夏。ならば回避訓練を始めよう。ラウラ手伝ってくれ」
「マドカ。なるほど良い考えだ」
え?ラウラとマドカ?両手に銃を持って何をする気なんだ
「撃つから避けろ」
「いやいや!2人とかは無理だって!」
「やれば出来る。やって見せろ一夏」
イヤイヤ無理無理!!!俺がラウラとマドカと説得しようとしていると、アリーナに警報が響く。それは龍也達が設置したネクロの襲撃を知らせる警報だ。その警報に身構えていると
「集合!」
千冬姉の集合の言葉。俺達は上空から降下し千冬姉の前に並ぶ
「来たな。今の警報で判っていると思うがネクロが来ている、龍也が言うには下位ネクロネクロがメインとのことだ。1度実戦経験の為にチーム編成をして各個ネクロ撃破へ向かえ」
実戦!?ついにか……来るべきときが来たと思う反面。若干の恐怖を感じる
「大丈夫なんですか?私達だけで」
シェンさんが不安そうに尋ねる。いやシェンさんだけではなく箒やヴィクトリアさんも不安そうにしている
「龍也達が控えていて危険と判断したら救援に向かう。勿論私もだ、1度実戦経験をつんでおけ」
これは何を言っても駄目だ。既に決定している事だ、なら俺達も覚悟を決めなければならない
「教官。編成はどうなるのですか?それと展開位置の場所は?」
ラウラは既に思考を切り替えたのか鋭い光をその目に宿し、千冬姉にそう尋ねる。簪さんや弥生さんも若干の怯えの色を見せる物の覚悟を決めた顔をしている
(俺もそんなことを言ってられないな)
出来るはず、いや出来るに決まっている!まずは気持ちで負けないことだ。俺はそんな事を考えながら千冬姉のチーム編成に耳を傾けたのだった
「龍也さん。いきなりスパルタなんじゃ?」
地下のブリーフィングルームで尋ねてくる楯無に
「スパルタも何も無い、実戦経験をつめる機会があるんだ。それを無駄にすることは出来ない。万が一にならないように慎重に編成を決めた。後は一夏たち次第だ」
IS学園周囲3箇所に現れたネクロの反応。殆どが下位ネクロ。それも1~2レベルだ。実戦経験をつむには丁度良い。
「だがもし上位レベルが来たら?」
「そうなれば直ぐに私達が出る。無論お前達もな」
既にネクロと交戦している楯無とユウリは待機。はやて・なのは・フェイトは一夏達が戦うエリアの近くで待機している、いざとなれば援護にはいる手筈になっている
「龍也君が動かないのは何か理由があるのかしら?」
ツバキさんの問い掛けに私はモニターを見ながら
「護る戦い。壊す戦い。簡単なのはどちらでしょう?」
「……壊す戦いよね?好きなタイミングで仕掛けれるんだから」
「そう。それもありますが、それでは50点です。護る戦いは相手より強くなければならず、そして相手の戦いに応じて戦い方を変えなければならない。私がここにいることで向こうは波状作戦を取ってくることは容易に判るでしょう?」
本陣を私1人にするための波状作戦。しかし私の目的は一夏達に戦闘経験をさせること。だからあえて動かない
「大丈夫かしら?」
不安そうにしている楯無。確かに実戦経験をさせるのは不安だがいつまでもそんな事は言ってられない
「信じて待ってみる事も大事だよ」
「う……そうね」
楯無は納得してないようだが表面上は頷いた。私はモニターを見ながら
(1週間とは言え私が本気で指導したんだ。少しは結果を見せてくれよ)
私は心の中でそう呟き。周囲の結界の密度を上昇させこれ以上敵が増えないようにしてから、モニターに意識を集中させるのだった。そしてモニターに姿を見せたのは一夏・ヴィクトリア・鈴・マドカの4人組だった
(オーソドックな陣形で来たか。これを考えたのはマドカだな)
一夏とヴィクトリアをセンター・鈴とマドカがバックス。典型的なフォーメーションだが。こういう状況ではこれがいい、いい判断だ。地面から這い出るように姿を見せるネクロ達を見ながら瞳に闘志を映す一夏、気持ちでは負けてないか。あとはどうなるかだな
交戦を始めた一夏達を見て私はどうなるかを考え始めたのだった
一夏とヴィクトリアをセンターに起き、オールラウンダーの私と鈴はその後ろで状況を見ていた。一夏とヴィクトリアが前衛なのは単純に防御力と攻撃力から判断した。私と鈴のISは全レンジに対応できる分若干防御が薄い。相手の数が判らない以上後衛がいい
「おらあ!!」
「むん!」
一夏とヴィクトリアはそれぞれ手にした、雪片弐型とグロリアスヴィクトリーでネクロLV1と対峙している
「キキッ!!!」
「はっ!!!」
一夏の脇を抜いて私と鈴に近づこうとしたネクロを両断し、雪片を両手持ちに持ち替えLV2の斧を受け止める
「一夏少し首を傾けろ!」
即座にビームライフルを抜き放しネクロの肩を穿つ
「もらい!」
体勢を崩したネクロ目掛け鈴が衝撃砲を撃ちその身体を弾き飛ばす
「いけっ!」
そしてヴィクトリアが拳を突き出すとビットになっているグロリアスヴィクトリーがLV2の胴体を打ち抜き消滅させる
(AMFは問題なく稼動しているか)
ネクロの障壁を打ち抜く加工をされていると聞いていたがここまでとは正直驚く
「中々行けるな!」
「馬鹿!調子に乗ってるんじゃないの!もっと周りに意識を向けなさい!」
鈴の怒声が響く。まだたかがLV1を3体。LV2を1体倒しただけ、敵の数はまだ多い。慢心が出来る状態ではない
「悪い!切り替える!」
両手にエネルギークローを作り出しネクロと応戦している一夏を見ながら、周囲を見る
(数は約20。そのうち11がLV1。残りは全てLV2か)
LV1を前衛において、LV2は何かを観察しているような素振りを見せている
(マドカ。あの後ろのあたし達をずっと見てるわね?)
プライベートチャンネルで尋ねてくる鈴に頷く。やはり鈴もそう感じたか
(クラナガンに行っていたことをネクロも知っているのか?)
となると今回の襲撃は威力偵察の可能性がある。私はスカリエッテイに搭載してもらった新型のライフルと格納し、AMF弾を搭載した通常のライフルに持ち替えながら
(今回のネクロの攻撃は偵察目的のはずだ、新搭載された武器の使用は控えろ!)
私の言葉に頷きヴィクトリアと鈴も同じく新搭載の武器を格納し今までの武器に持ち替える。一夏だけはそれが無いのでそのままだが、一夏は白兵戦向けだ。出力向上とかだけだから問題ない。それよりもだ
(何処かにもう1人居るはずだ)
どこにいる?今の戦闘で確信した。LV2までならコンビネーションを取れれば勝てる、しかしそれにしては
「ニンゲンその程度カ?そのテイドで我にカテルと思っているのか?」
「ヨワイ!弱いぞニンゲン!もっとキサマラノ力を見せてみろ!」
何故挑発する?私達の力の方が自分達を上回っているのが判らないのか?
「くっ!舐められて「一夏!安い挑発に乗ってるんじゃないわよ!陣形維持!」
前に出ようとした一夏を鈴が窘める。一夏は直情型だからこうして窘める存在が必要だ、一夏のことを鈴に任せ私はアスモデウスの索敵を最大に設定し索敵を始めた。もし私の考えてることが当たっているのなら
(この場に後1人ネクロが居る)
隠れてこのネクロ達に指示を出しているネクロがいる筈だ。恐らくLV3程度だと思うがこうして隠れられていると嫌な物だ
(どこだ?どこで見ている?)
一夏達のバックアップしながら私は隠れている。もう1人のネクロの存在を探し始めるのだった。
マドカを見つめる視線。縦に割れた瞳孔に危うい光を宿したそのネクロは
「ふーん。中々感が良いのがいるじゃない」
木の枝の上に寝転び、ふあっと大きく欠伸をしながら
「まだあたしが出る幕じゃなさそうだし、少し寝るか」
そう言ってそのネクロは目を閉じて本当に寝始めてしまった。風に揺れる髪がゆらりと揺れるのだった
「我が乞うは、蒼風の盾。月光の騎士に、暁の光を」
簪さんが歌うように詠唱をすると私とエリスさんのISを淡い水色の光が包み込む
「防御魔法。少しはマシになるとおもう」
ぼそぼそと言う簪。私は爆真甲を打ち鳴らし
「マシところか凄くいいよ!!」
爆真甲で飛び掛ってきたネクロを纏めて弾き飛ばす。これすごい、防御魔法って言ってたけど攻撃力も上がっている
「ふー……行けッ!!!」
今までのヤタガラスとは少し形状の違うISを展開しているエリスさん。ヘッドギアが完全にヘルメットになり、右目をゴーグルで隠している。そしてランドセルブースターに増設する形でウイングとシールドが装着されている
(あれが新型のパッケージ……)
私達のISにも装着予定のバックパック。今までのパッケージと違い着脱自由でISの動きを損ねないように再設計されているが、出力や機動力はパッケージ以上に上昇している。エリスさんが鋭い掛け声と同時に、鞘に収めている日本刀型のブレードをエリスさんが抜刀すると、三日月状の光の刃が放たれネクロを両断するが
「う……」
一瞬よろめくエリスさん。まだ魔法の扱いに慣れてないのに使ったから反動が来たのかもしれない。それかバックパックのせいで思うように動けないのかもしれない。私がフォローに入ろうとするとそれよりも早く
「エリス。後退下がってッ!」
シャルロットさんがその隙に飛び掛ってきたネクロの銃弾を叩き込み弾き飛ばす。銃身や弾丸は前と同じだが弾頭に特殊加工を施してあるからネクロにもダメージを与えれる。私はそれを見て
(私もなんか飛び道具欲しかったなあ)
そう思うものの元々私は近接タイプ。射撃の細かい計算とかは無理かと苦笑し
「チャクラムシュートッ!!」
爆真甲からワイヤーで繋がれたチャクラムが射出されネクロに迫る。これで牽制本命は爆真甲の一撃!耐性を低くし突撃の準備をしていると
「コンナ物があ!?」
「へっ!?」
チャクラムを受け止めようとしたネクロの肩がチャクラムの刃で切り裂かれる。私は即座にチャクラムを回収し
「シャルロットさん!トドメよろしく!」
「OKッ!!」
2発の銃声が響き、片腕を失ったネクロの胴を穿ち弾き飛ばす。そのネクロは2・3度跳ねて動かなくなった。これも新開発のAMF弾って奴の効果だろう
「シェンさん。考え事はそこまでにしてください」
エリスさんが左腕を振るい光刃を飛ばす。新搭載の投擲兵器。私のチャクラムと違い完全なエネルギーなのでスピードが速く、牽制に適している。それで私に近づこうとしてきたネクロを後退させる。私はその後退したネクロのほうに踏み込みながら
「ごめん。やっぱり凄いって思ってさ!」
拳を握り締め飛び掛ってきたネクロにアッパーを叩き込み殴り飛ばす
「それはもうミタ」
「えっ!?」
空中で態勢を立て直したネクロは着地と同時に光弾を打ち出してきた
「危ない!」
簪さんが放った光弾がそれを相殺する。さっきまではあれで倒せたのに何で!?若干混乱しバックステップで距離を取る
(どういうことだと思う?シャルロットさん)
後ろで情報整理に集中していたシャルロットさんにそう尋ねると、シャルロットさんは多分と前置きしてから
(ネクロは自己進化するって言ってたよね?何回も見て耐性を得たってことじゃ?)
自己進化ってここまで早いの!?予想より数段はやい
「フォーメーション変更!私とシェンさんがセンター!簪とシャルロットさんは後衛で射撃用意!」
エリスさんがそう指示を出して前に出てくる。簪さんはシャルロットさんと並んで目を閉じて
「穿て、雹乱を纏いて我が敵を……」
詠唱魔法。色々覚えたって聞いたけど後ろで詠唱をしてるのを聞くと
「護らないとって思うよね!!」
「ぬう!カタイナ」
爆真甲を合わせて盾にしネクロの一撃を弾き飛ばす。耐久力を挙げてあると聞いていたけどネクロの一撃をはじけるレベルになっているなんて驚きだ
「ハッ!」
「ギガァ!?」
体勢を崩したネクロを両断するエリスさんを見て
「私盾じゃないよ?」
「仕方ないでしょう?私は高機動タイプなので防御力は薄いんですから、頑張ってください」
こんな状況でも冷静なエリスさんに凄いなあと感心しながら
「OK!私に任せて」
チャクラムを収納し、武装を待機状態に戻し両腕の爆真甲を構え、その隙間からネクロの動きを観察しながら。簪さんとシャルロットさんを護る事を第一に考えゆっくりとネクロの動きと自分達の動きの両方を頭に入れる
(自分でも驚いてるくらい冷静になっている)
クラナガンで何度も教わった。特に昔の私と似てるからとよく訓練を見てくれたスバルさんのおかげだ。周りを見るのではなく、上から見ているように考え、仲間のことを考える。そうすればおのずと周りが見えてくる。最初は何のことか判らなかったけど……こうしてみるとどういう意味なのか良く判る
「エリスさん!飛んで!斜め後ろから来るよ!」
「ッ!はっ!」
空中で立て直したエリスさんが奇襲を仕掛けてきたネクロを両断する。前しか見てないのに周りが見えるような気がする
(行ける!私は前に行ける!)
今までの私とは違う、全く異なる戦い方が思いつく。私は今ここでこうして実践の中で自分が強くなっているのだと実感するのだった。
「ふーん。中々やるじゃない小娘の癖にさ」
ネクロと戦っているエリス達を見てにやりと笑うネクロ。それは敵を見つけたという笑みではなく
「ふふふ。久しぶりに魔力を食べれそう♪」
簪とエリスを餌を見るような目つきで見つめ、ふふふと楽しそうに笑うのだった……
(攻撃が効かなくなっている!?どういうことだ!)
今まで有効だった攻撃が効かなくなってきている!どういうことだ!?空裂のエネルギー刃がネクロの装甲の前に弾かれ、届かない
「箒さん!下がって!」
「何かおかしい。1度様子見をしたほうがいい!」
セシリアとクリスの言葉に頷き1度距離を取る。弥生も同じように下がってきている
「どういうことだ。さっきまで効いてた攻撃が効かなくなってるぞ」
「判らない。それは私が聞きたい」
弥生も不思議そうに何度も首を傾げる。どういうことなのか全く判らない
「クリス。分析を頼む、私が前に出る」
中距離サポートをしていたラウラが前に出てくると同時にワイヤーを飛ばしネクロを縛り付ける
(ラウラの攻撃は通った?何故だ)
雨月の攻撃は命中の前に無効化され、弥生の打撃とエネルギー波は効かないのになぜだ
「次はこれだ!」
今度は射撃からワイヤーと繋ぐ。今度は射撃は通ったが、ワイヤーは弾かれた
「1つの攻撃に対応して無効にする!同じ攻撃を続けるな!」
クリスの言葉に頷き、雨月から空裂と続けて攻撃する
「グギッ!?」
射撃で体がういたネクロを空裂の斬撃が両断する。直ぐに態勢を立て直し距離を取る
「おらああ!!」
弥生がアッパーでネクロを打ち上げ、エネルギー波を纏った拳がネクロを打ち砕く
「効いてますわね、それなら私とクリスさんで支援します。箒さん、弥生さん、ラウラさん!トドメをよろしくお願いします」
セシリアとクリスがそれぞれスナイパーライフルと小型のビームライフルを構える。
(ここは連射よりも一撃の破壊力に集中させる)
雨月を鞘に収め、空裂を両手で握り一撃の威力を高める事に集中する
「んじゃあたしはこれだ」
PICを解除し地面に降り立ち、拳を構えファイティングポーズを取る。弥生は格闘戦に特化しているのでPICで浮遊しているより、地面に立っているほうが良いのだろう
「さて、掛かって来い。貴様には負けんぞ」
ラウラは両手にビームブレードを発生させ、ワイヤークローの展開準備をしている。セシリアとクリスの攻撃でネクロの耐性を無効にし一撃で決める
(長期戦になるとどんどん耐性が増える可能性がある。一撃必殺のつもりで攻撃してくれ)
プライベートチャンネルで指示を出してくるクリスに頷きながら、空裂を構え
(やりやすいものだな。1人ではないという事は)
自分1人でやるのではなく、助けてくれる仲間が居る。これほど頼もしい事は無いだろう
「シアアアアッ!!!」
爪を振りかざし突進してきたネクロの一撃をしたから切り払い
「甘いぞッ!!!」
唐竹切りで両断する。若干鈍い手ごたえだったが強引に両断する
「お。やるな箒!あたしも負けてられないな」
「ニンゲンが何をイウ?」
「はっ!人間を舐めんなよ!!!」
まるで交通事故のような轟音を響かせネクロと殴り合っている。いや正しくはネクロの攻撃をいなし自分の攻撃を叩き込んでいるが。ネクロが消滅する気配は無い
(LV3と言う奴か?)
冷静に周囲を見ると影のようなネクロにボロボロの甲冑を纏ったネクロ。そしてその後ろに2体。そして弥生と対峙しているネクロの計3体雰囲気の違うネクロがいる
(もしかするとあの2体はLV3かもしれない。エネルギー配分に気をつけろ。サブタンクを搭載してきたとは言え無理は禁物だ)
ラウラの警戒の言葉に頷く。実戦の中でエネルギー切れをするわけにはいかない。今回は背部に一時的にエネルギーを回復させるサブタンクを1人1個搭載している。全開するわけではないが、エネルギー切れの可能性はかなり低くなる
(冷静だ。平常心を保て)
クラナガンで何度も何度もシグナムさんに言われた。カッカするのは良い、だが心は熱く頭は冷ややかに、冷静さを失えば死ぬぞと何度も何度も言われた。それからは座禅等の精神修行の時間を多くした。今ままでの私ならネクロの攻撃が通用するという事で調子に乗っていたかもしれないなと苦笑しながら空裂を構える。ふーっと息を吐きネクロを見据え
(一夏達は……いやきっと大丈夫だな)
龍也さん達にもクラナガンで出会った人達にも言われた
(仲間を信じろ。良い言葉だ)
私達が戦えているんだ、一夏達だって大丈夫に決まっている。
「キキーッ!!」
「はっ!!」
影から飛び出してきたネクロの一撃を受け流し、空裂で両断する。
「グガア!?この俺が……」
「人間を舐めるからだよ。バカヤロー」
弥生の一撃がネクロの胸を貫き消滅させる。ラウラも同じように
「チェックメイトだ」
ワイヤーブレードでネクロを絡めとリ、自身の方に引き寄せネクロの胸をブレードで刺し貫き消滅させる。それを見て私は皆も訓練の成果が出ている。一夏達だって大丈夫な筈だ……だから今私が出来ることは目の前の敵に集中する事だ。影から這い出てくるネクロと後方で動く気配の無いネクロ。その両者を睨みながらもう1度深く深呼吸をしたのだった
「ふむ。悪くない、たかが人間と思っていたが戦うだけの価値はありそうだ」
闇に紛れ箒達を観察しているネクロはくっくっくと楽しそうに笑い出す
「魔導師相手ではないから乗り気ではなかったが、中々楽しめそうだ」
動く事のできなかったフラストレーションを晴らすために戦いに出たのに人間相手と言うことで、苛立ちを募らせていたネクロだったが、こうして戦っているところを見て気が変わったらしく、腰の鞘からシャムシールを抜き放ち
「そろそろ仕掛けてやるか」
にやりと笑いその場から飛び立ち、箒達の方へと向かったのだった……
「中々やるなあ」
「そうだね。短い期間でよく成長しているよ」
「だね。だけどまだ甘いかな?」
兄ちゃんの指示でいつ上位レベルが出てきてもいいように、一夏達が戦っているエリアの近くで待機しながら、サーチャーで一夏達の戦いを見ているのだが予想よりも数段動きが良い。一週間の実践的な訓練の成果だけではなく自分達の心構えも変わったからの動きの良さだろう。連携を考え突出しない、集団戦闘の定説を護った戦い方をしている
(チーム編成が良かったんかな?)
指示を出せるマドカ。状況把握に長けたエリスとシャルロット。そして分析能力に長けたクリスと軍人のラウラ。それぞれをバラバラに配置し動きを見ているのだが、予想よりも良い連携が取れている
「だけどそろそろ動き出そうじゃない?」
「まぁね。今回は向こうも偵察に来ているし、一夏達の今の実力も見れたしもう良いかな」
そろそろ乱入してもいい頃合かもしれない。しかし向こうが動いてこないのなら私達が先に動くわけには行かない
(兄ちゃんの予想なら上位レベルが1体紛れてる筈やけど、問題は誰が来るかだ)
ヴォドォンやハーデスだと一夏だけでは不味い。しかし威力偵察にそんな高レベルのネクロが来るだろうか?
(こういう手を打たれるのが1番面倒やなぁ)
普通に攻め込まれるほうがよっぽど楽だ。しかしそれにしても
「態々一夏達の偵察のために出てくるとは思わなかったね」
フェイトちゃんが驚きと言う感じで呟く。確かにネクロが態々そんなめんどくさい事をしてきたのは珍しいと思う
「それだけ慎重なんやろうな、ベエルゼは」
兄ちゃんからの話で聞いていたが、この世界にいるLV4ネクロはベエルゼと言い。自身の戦闘力も高いがそれ以上に戦略に長けたネクロらしい。
「それを考えても珍しいよ。慎重すぎる」
「まぁな。それは私も気になってるけどネクロの考えていることを一々全部理解できんやろ?」
そう言う手を打つネクロもいるって言う解釈でいい。深く考える必要は無い
「来たな。やっぱり三箇所同時やね」
一夏達のいる所に突然現れる3つの魔力反応。予想とおりの展開だ
「魔力からするとLV3と4の中間くらいだね」
今の一夏達では苦戦するレベルだろう。私達は打ち合わせ通りに散会し一夏達の所に向かったのだが
(この魔力。箒達のネクロか?)
1体だけいる異質な魔力反応。この感じは箒達のネクロに良く似ている
(誰や?誰のネクロや?)
私の進む先。鈴と一夏達がいるエリアに現れた異質な魔力反応。それに嫌な予感を感じつつ、私は一夏達達の居る方向へと向かったのだった。しかし私はそこで予想だにしない光景を見ることになるのだった……
第106話に続く
次回も複数視点でお送りします。一夏と鈴の所に現れたネクロ、まぁ大体誰のネクロか予想は付きますよね?こういう感じの話はあんまり得意ではないので上手く出来たかは不安ですが、自分ではそれなりに上手く出来たのでは?と思っています。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします