第107話
サーチャーで箒達の戦いを見ていた。若干危なっかしい所はあった物の初戦と考えればかなり良いだろう
(まだ荒いが、やはり1人1人の伸び代がかなり大きいな)
ISは残念ながら大破されてしまったが、クラナガンで完全にデータ取りをしてあるので普通に修理するよりも短い時間で修理できるだろう。とは言え
(向こうの思惑通りになってしまったのは癪だがな)
どうも向こうの目的は箒達の戦力分析だったのだろう。深追いせずに撤退した所を見て間違いない……箒達と簪達を見ていたサーチャーの電源を切り。一夏達の方のサーチャーを見ようとした瞬間
ウーッ!!ウーッ!!!
突然異常な警報鳴り響く。これは……!?
「直ぐに出る!楯無とユウリは簪達の回収に向かえ!千冬は教師に連絡して医療班を用意しておけ!」
楯無とユウリに指示を出して地下を出る為に通路を走り出す。
「ちょっ、ちょっと!急にどうしたの!?」
「説明をしてもらわないと困るのだが?」
走って追いかけてきたユウリと楯無。私は振り返らずに全力で走りながら
「あいつらだ!平行世界の箒達のネクロ!その1体がでてきた!」
「「なぁ!?」」
いきなり出てくると思って無かった最上位の敵に絶句する。楯無とユウリに
「判ったら早く回収に向かえ!なのはとフェイトが一緒のはずだが、同時に仕掛けられたら不味い!」
もし更に箒達のネクロが出てきたとしたら、簪達を護りながらではなのは達は戦えない。となればここからは離脱戦になる
「判った!私は簪ちゃんのほうに回る!」
「ならワタシは箒達だ」
即座に頷き地下から出ると同時にISを展開して飛び去る。ユウリと楯無の背中を見ながら、私も騎士甲冑を展開し一夏達の方に向かったのだった……
「な、なによ……これ」
あたしは目の前で起きる光景を見てそう呟くことしか出来なかった
「うおおおッ!!!」
悪魔を思わせる4枚の黒い翼を持つ黒い白式。そして全身から赤黒い光を放っている一夏の姿は現れては消えるを繰り返し、死角からの奇襲を繰り返しているのだが
「あははは!見えてるわよ!」
業と自分の身体を傷つけ一夏を捕まえようとするベール。
「ちいっ!」
一夏が舌打ちしその姿が粒子と消える。そしてズザザッと滑る音がして振り返ると
「なんだ?」
いつの間にかあたし達の後ろにいた一夏の目があたし達を射抜く。その目はとても冷たくて身体が震えた
「お前は本当に一夏なのか?」
「くだらんな。オレはオリムライチカに他ならない。それよりも邪魔だ、巻き込まれたくなかったらとっとと逃げろ」
「あはっ♪他人を心配してる余裕なんてあげない!あんたはあたしだけを見なさいよッ!!」
ガシャガシャッ!!!
ベールの落凰の肩の砲門が全て開く。その中に見えるのはあたしの甲龍と同じく衝撃砲のコアだが
(なんて……数なのよ!?)
1つの砲門の4つ。ただの衝撃砲でも脅威なのにそれが16門……回避はどう考えても出来ない
「あはっ♪皆死んでしまえッ!!!!」
赤黒い光がコアに集まりとんでもない轟音と共に放たれた。それは真っ直ぐにあたし達に迫る
「ふん。子供騙しだなッ!!!ベールッ!!!」
一夏があたし達の前に割り込み雪片を構える。すると黒い零落白夜の輝きが刀身を包み込む
「零落絶衝ッ!!!!」
三日月状の刃が雪片の刀身から放たれ、ベールが放った衝撃砲を掻き消す。そしてそれと同時に
「うがあッ!!!」
「おああああああッ!!!!」
一夏がベールの頭を掴み地面に叩きつけていた
(な、何が起きたのよ!?)
今何がおきたのか判らない。黒い飛ぶ斬撃と赤黒い衝撃砲がぶつかったと思った瞬間。既にベールは地面に叩きつけられていた
「今何が起きたか判ったか?」
ヴィクトリアがそう尋ねてくる。あたしは勿論マドカも首を振った
「見えなかった……何が起きたのか理解できない……」
マドカが信じられないと言う顔で呟く。それはあたしも同じ気持ちだ
「このおっ!!」
「おっと……」
ベールが地面に衝撃砲を撃ち込み、自分と一夏を同時に弾き飛ばす。一夏は空中で態勢を立て直し着地する。
「大丈夫か!?怪我は無いか!」
はやてがあたし達の後ろに着地して駆け寄って来て一夏を見て
「あれは誰や?一夏やないな!?」
はやての声にマドカが振り返る
「何を馬鹿な事を……「馬鹿なことや無い!あれは一夏の魔力の感じやない!それに気配も違う!あれは一夏じゃない!」
はやては慌てた様子でそう叫ぶ。魔力と気配で違う……ハヤテが断言した以上。あれは一夏じゃないっていうの?どういうことか理解出来ないでいると
「殺す!殺してやる!!!あんたはあたしの物なんだからぁッ!!!」
両腕のボルテックチェーンで一夏を捕らえようとするベールだが
ゆらり……
一夏の姿がぶれたと思った瞬間。放たれた鎖が一夏の身体を貫くが、肝心の一夏の姿は陽炎のように消えうせる。まただ!またこれ……
「あっちや!」
「そこねっ!?」
はやてとベールが同時に空を見上げると、2人の視線の先に一夏が現れ再び飛ぶ零落白夜の飛ぶ刃を見てマドカが
「何故アレほどまでに零落白夜が連打出来る?もうSEが尽きていてもおかしくないのに……」
信じられないという感じで呟く。普段の一夏を見ていたら判るが、あれほど零落白夜を使っていたらとっくにSEを使いきっていてもおかしくないのに……
「あれは零落白夜だけじゃない!あれは魔力も使っているんや!それよりも!逃げるで!」
はやてがあたしとヴィクトリアとマドカを掴んで一気に後退する。それと同時に黒い刃があたし達がいた所にも炸裂している
「なんで!?私達まで!?」
「周りなんか見えてへん!巻き込まれるで!」
珍しく慌てた声をしているはやては直ぐに手にしていた。デバイスを地面に付きたて障壁を作り出し
「不味いことになってるな、完全に暴走してる。私じゃ止められへん……」
はやての苦しそうな声にあたしはこの時点で漸く理解した……今もっとも最悪の状況になっているということを……一夏とベールの戦いは激しさを増し、互いに攻撃で抉れて行く地面とあたし達の方に飛んでくる一夏とベールの攻撃……どんどん自分の知る一夏を変わっていく一夏にあたしは思わず
(一夏がいなくなっちゃう……)
もう一夏が自分の手の届かない所にいってしまうのではないか?と思い身体が震えてしまうのだった……
(ちっ、なんだこの身体は鈍らにも程がある)
ベールが放つ衝撃砲を回避しながら、体の状態を確認する
手足の痺れはまだないが、握力がなくなってきている。今はまだ魔力でフォローできているが……
(長期戦は不利か!?)
何者かは知らないが、魔導師。それもかなりの高レベルが来たから鈴達は大丈夫だ。問題はオレ自身か
「いっけえ!!!」
重々しい音を立てて迫ってくるボルテックチェーンを回避する。今までは光彩陸離で回避していたが、握力の減退で気付いた。これはオレの身体じゃない、普段通りの戦いをしていたら直ぐに息切れする。迫ってきたボルテックチェーンを雪片と雪華で切り払い、間合いを放す
「逃がすかぁッ!!!」
「ちっ!やっかいな真似を!」
切り落とされたボルテックチェーンを魔力で繋ぎ、腕を振るいその軌道を変えてくる。だがこれは元の世界でもベールが得意としていた戦術だ。動じる事無く対応できたが
「取ったぁッ!!!」
「舐めるな!!!」
一瞬で間合いを詰めてきて、魔力陣を展開した双天牙月振り下ろしてくる。魔力刃でリーチが増している。咄嗟に身体をのけぞらせて回避したが、肩の甲冑を切り飛ばされる
(早い。今のタイミングでも駄目なのか!?)
今の攻撃はオレの世界では回避できた攻撃だが、今は避けることが出来なかった……それは間違いなく
(オレの世界よりも強くなっている……)
反応速度も魔力量も間違いなく増している……
(何があった?オレとは違う時間を過ごしていたのか?)
オレの記憶は桜鬼と相打ちになり雨の中。自分の血と雨が流れていくのを見ながら、自分の身体が動かなくなるのを感じた……そして気がつけば、俺はこの世界の一夏の中にいた。そして隙を見てこの世界の一夏に接触し、何とか身体の主導権を奪おうと夢を利用した。そしてこの世界の一夏の心が揺らいだ隙にこうして出てきた。こうして表に出てくることができたが、ここまで激しい戦闘は初めてだった。そして気付いた
(この身体はオレの体とは違う。反応も筋力も何もかも!)
平行世界とは言え自分の身体だ。拒否反応は当然無いが、錬度が違う。
(くそ。攻め切れん……)
苛立ちが焦りを呼ぶ。そしてそれは
「貰いッ!!!」
かつてのオレならやるはずも無いミスを誘発する
「しまっ!?うぐおっ!?」
一瞬の隙を突かれベールの放った。不可視の弾丸がオレを穿つ……
(ちいっ!オレは何をしている!)
当たり所が悪かったのか、視界が揺れる。脳震盪だ……揺れる視界と震える足……思うように動けないで居ると
「あは♪やーと大人しくなった♪」
にやにやと笑うベールはその手にしていた。双天牙月を振りかぶり投げつけてくる
(今のままでは回避できん!ちいっ!)
使いたくは無いが仕方ない。光彩陸離を使い、身体を粒子化しその攻撃を回避する。
(ぐっ!流石に連続で使いすぎたか……)
以前のオレならなんとでもなった。しかしこの身体は駄目だ……筋力も魔力も何もかもオレよりも劣っている……脚の筋肉が断裂していくのを感じる。ベールから離れた所に着地しようとして
ズルッ!
(しまっ!?)
足の筋肉が断裂していたので着地しきれず、身体のバランスが崩れて倒れかけるのを何とかこらえるが
「やっぱり限界が来たわね!ヴィスティーラや桜鬼がいなくて良かったわ!ここであんたを連れて帰る!!!」
両腕から放たれたボルテックチェーンを姿勢を崩したままで切り払う
(ちっ!なんとか身体の動きはトレース出来ているから良いものの……このままでは不味い……)
反応速度がオレのままだから何とかこうして打ち合えているが、徐々に差し込まれてきている
「あははははははは!!!!めんどくさいと思ってたけど、出て来た良かったわ!これであんたは私のものよね!イチカーッ!!!!」
バトンのように双天牙月を振り回し、前進し続けるベール。光彩陸離が使えない以上。こうして弾くことしかできない……
「あは!隙あり!」
「ぐうっ!?」
下からの遠心力をつけた斬り払いがオレの手から雪華を弾き飛ばす。咄嗟に両手持ちに持ち替え双天牙月を鍔迫り合いに入る
「ふふふふ……やーと顔を見合わせることが出来たわねー?大好き、愛してる。ずーと、ずーと愛してた。だからあたしのものになりなさいよ?」
ふふふふと笑いながら、その目に怪しい光を宿し、あえて左手を伸ばし、まるで宝物に触るかのようにゆっくりと手を伸ばしてくるベール。こうして敢えてオレの注意を惹いて来るベール……
「お前の考えは判ってる!」
即座に後ろにフラッシュムーブを使い。この世界の鈴達の前に行くと同時に、浮遊してたアンロックユニットが開く。そこから更に赤黒いコアが姿を見せる。
「舐めるな!」
オレではなく、この世界の鈴達を狙った衝撃砲の攻撃を掻き消す。オレに敢えて手を伸ばすことで注意を引くことで自分に注意を引こうとしていたのだ。両手で雪片を握りなおし、ベールを睨むと
(?どうした?)
ベールは先ほどまでの挙動は収まり、不気味な程に沈黙を保っている。その様子を不審に思い警戒していると
「なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで……なんで!あたしじゃなくてッ!!!この世界のあたしを見るのよッ!!!」
急に顔を上げたベールがそう怒鳴る。その顔は狂気に染まり、美しいとも言えるその顔つきは禍々しいとも言える顔へと変わっていた
「あたしあたしあたし!ああ。うあああああああッ!!消えろ消えろ消えろ消えろおおおおおおおッ!!!」
両肩とアンロックユニットを合わせた。計6門の衝撃砲を用いて乱射してくる。それはオレの防御をすり抜け、魔導師が発生させているプロテクションに当たり続ける
「ぐうっ!?どんどん威力が増してる!?」
結界を張っているであろう魔導師の苦悶の声が聞こえる。流石にあれだけの乱射を耐えるのはきつくなってきてしまったのだろう……
「あの世界では!あたしはあんたを愛してた!皆死んだ!箒も死んだ!千冬も死んだ!だけどあたしは嬉しかった!それであんたがあたしを見てくれるって!!!あいつらの変わりでも良いって思った!だけど!!!!」
半狂乱と言うしかない。泣いている様な笑っているような複雑な表情をして衝撃砲を乱射し、ボルテックチェーンを伸ばし続けるベール。その攻撃はオレもこの世界の鈴達もおかまいなしに攻撃をし続ける
「でもあんたはあたしを見てくれなかった!ネクロになった箒を殺す!千冬を殺す!それだけ!それしか言わなかった!!!あたしも誰も見なかった!あたしは死人にも劣る!あんたの目にはあたしの姿は入らなかった!!なのに!この世界のあたしを見る?ふざけんなあ!!!!あたしはなんだ!ふざけるな!ふふふふFUFU……ふざけるなあああああ!!!!!」
狂ったように笑いながらオレとこの世界の鈴達を攻撃する。その間もオレの世界の話を叫ぶ続ける。ベールの言葉にこの世界の鈴達の顔が徐々に引き攣っていく。知らない世界の話。そしてこの世界の自分の友達が死んだと聞かされて平常心でいられるとは思えない
「箒の次はセシリアが死んだ!その次は簪!皆!皆死んでいった!!!それでネクロになっていった!!!残ってる人間で助け合って生きてた……いつかは!いつかは……あんたが諦めて、あたしを見てくれるって思って生きてた……だけど……あたしも死んだ……あんたを庇って死んだ……その時だけ……あんたがあたしを見たのはその時だけ……あーだから判った。あんたをあたしの物にするには……あんたを殺すしかないってさッ!!!」
「うがああ!?」
突然フラッシュムーブで間合いを詰めてきたベールに首を絞められる
(なんだ……なんだ……この力はぁ……)
ネクロとは言えこの力は異常としか言えない。だがその目もそうだ……今までの狂気とは違い、不安定に揺れるその瞳に一瞬だけ抵抗しようと思えなくなってしまった……
「愛してた。好きだった。傍に居たかった……それだけでよかったのに……好きなのに、愛してたのに……」
オレの首をへし折らんと込められていた力は徐々に抜けて、ただ首に手が掛けられているだけになっていた。だが今ならチャンスだ……今ならベールを仕留める事が
(う、動かん!?ぐああ!?痛い!頭が割れるう!)
強烈な頭痛がオレを襲う。それに加えて腕が動かない……そして腕が痺れ、オレの手から雪片が零れ落ちる。そしてオレの意識が徐々に遠のいていく
「まだだ!まだだ……でて来るなアアアア」
オレはまだここで引っ込むわけには行かない。ベールだけは……こいつらだけはオレが……オレが殺す……それがオレが出来る……ただ1つの……お前達の愛に報いる方法だと……言うのに……
イチカが抵抗する素振りを見せていたが、徐々にその抵抗は弱くなる
(おかしい?なんで?)
イチカの抵抗が弱くなった事で頭が冷えた……
「う……あ……」
黒いISの色が徐々に白に戻っていく、それに伴い憎悪だけの色に染まっていた瞳の色が変わり始める……あたしはそれに笑みを深め首にかけていた右手を離す。すると
「がお!げほっ!げほっ!!!」
激しく咳き込む一夏。一夏が纏っている黒い白式は元の白式の姿に戻っている。それを見て確信した……もうこれはイチカじゃない、あたしの世界のイチカじゃない。だけどそれでいい……この一夏なら楽に連れて帰ることが出来る……
(これであたしの目的は達成した。ネクロもどうでもよくなる)
ベエルゼやハーデスに付き従って来たのはこの時の為……そしてここで一夏を手にすれば、ヴィスティーラや桜鬼とイヤイヤ手を組む必要もない。少し精神操作をすれば2人でずっと過ごせる。あたしが欲しいと思っていた未来が手に入る!蹲る一夏に手を伸ばす
「あ?なに考えてんの?死にたいの?」
手を伸ばした瞬間。身体が揺れるそれは
「一夏には手を出させないわよ!」
この世界のあたしが両肩の衝撃砲を発射体制であたしを睨んでいた。今の衝撃は衝撃砲の直撃を喰らったからか……
「刃以もて 血に染めよ 穿て ブラッディダガーッ!!!」
「一夏を連れて行かせるわけにはいかない。お前のような狂った女には特にな」
「そう言うわけだ!」
小ぶりなダガーと鉛玉。それと空を浮遊する剣があたしに殺到する
「はっ!こんなの効かないわよ!」
鉛玉と剣は常に発生させている。プロテクションに弾き、ダガーはチェーンで弾く……
「さてと……んじゃあ。一夏は連れて「行けると思っているのか?」
この声は!?一夏に伸ばしていた右腕が切り飛ばされる
「お前!あたしの腕を!!!」
切り飛ばされた右腕を左手で掴み一気に後退する。あたしと一夏の間に割り込んできていたのは八神龍也。左手に剣を構え、右手で一夏を抱えている
(ちっ!時間を掛けすぎたか……)
八神龍也が来たら撤退するようにくどいほど言われていた。切り落とされた右腕を切断面に当てて繋ぐ。ネクロの回復力を持ってすればこれだけで切り落とされた腕は繋がる
「あーあ。時間を掛けすぎちゃった……一夏が手に入ると思ったのに」
ISを解除して髪をかき上げながら笑う。もうあたしに戦う気は無い。撤退しないとベリトがうるさいだろうしね……引き攣った顔であたしを見ているこの世界のあたしは
「あんたはどんな世界で……」
「はぁ?あたしの世界?ネクロにぶっ壊されて、みーんな殺されて?イチカが最後の生き残りになって滅んだ世界よ」
それがあたしの世界。最後の生き残りも死んだ。完全に滅んだ世界……それがあたしの世界だ
「あーもう良いや。棚ぼたなんて上手くいくわけないしね?」
そうそう上手く行くわけが無いか……
「くすくす。あんたもあたしと同じになる。判るもの?同属だしねえ?あっはははは♪鈴もマドカも狂ってしまえ!狂って狂って踊り狂え!お前達にも待っているのはあたしと同じ末路だ!あっはははははっ!!!」
唖然とした表情であたしを見ている。この世界のあたしとマドカを睨みながらあたしはこの場から転移した。ここまで喋っていたのは八神龍也も八神はやても攻撃してこないと判っているから。向こうはあたしの情報が欲しい上に、気絶している一夏にあたしが衝撃砲を乱射したのが功を奏し、この世界のあたしのISとやらは既にぼろぼろ。さっきの衝撃砲と射撃の威力が低かったのは既に消える寸前だったからだ
「じゃーねー♪今度はちゃんと一夏は貰って変えるからね~♪」
あたしは鈴達に手を振りその場を後にしたのだった……
兄ちゃんが来てくれたおかげで何とかこの場を切り抜けることが出来たけど……
(かなり不味いことになったなあ……)
ベール達の世界の情勢とその世界での一夏の関係。それを聞いてしまった鈴とマドカのダメージは深刻だ。肉体のダメージよりもこういう精神的なダメージは不味い
「かなりキテるな?何があった?」
一夏を米俵の様に抱え込んでいる兄ちゃんにそう尋ねられる。私は頬をかきながら
「んー後で説明するわ。とりあえず……気絶させへん?」
明らかに落ち込んでいる様子の鈴達。しかもISが大破しているので、地面に女の子座りで呆然としている。唯一平気そうなのはヴィクトリアだが、そのヴィクトリアも座り込んだまま。何かを考えているように見える
「うん。そうするか……」
兄ちゃんが手を打ち鳴らすと鈴とマドカそしてヴィクトリアが糸の切れた人形のように地面に倒れこむ……
「で?何があったんだ?」
再度そう兄ちゃんに尋ねられた私は途中からだけどと前置きしてから
「一夏の中に居る奴の正体と平行世界の箒達のネクロの生まれた秘密。そして……その世界がどんな末路を歩んだのかって事やね」
私がそう言うと兄ちゃんの顔も深刻そうな顔をする。
「うあ?」
兄ちゃんが脇に抱えていた一夏が首を振りながら目を覚ます。それを見た兄ちゃんは
「寝てろッ!」
「はぐっ!?」
首筋に手刀を叩き込まれ再度昏倒する一夏を肩に担ぎなおした兄ちゃんは
「今回は引き分けって所かな?」
「ギリギリだけどな……」
一夏達のネクロに対する初戦闘と考えれば、中々良い感じだったかもしれない。だがISが中破・大破にこそ追い込まれてしまっているが、負傷者は少なく魔法で治せるレベルだから問題ないが
「精神的なものがどうなるかやね。これは兄ちゃんの出番やね?名カウンセラー」
私がからかうように笑うと兄ちゃんははあっと溜息を吐き
「ああ。任せておけ……まずは一夏達をIS学園に連れて帰ろう。箒達はもう戻っているだろうしな?」
私は兄ちゃんの言葉に頷き。気絶している鈴とマドカ。そしてヴィクトリアを見て
「兄ちゃん?まだ担げる?」
「問題ない。誰を担げば良い?」
そう尋ねてくる兄ちゃんに気絶している3人を見る。暫く考えてから
「鈴を頼んでも良い?」
ヴィクトリア。そこそこ胸が大きい。マドカは均整の取れた感じだ。そして鈴はぺちゃんこだ。つまり鈴が1番相応しいと思った
「判った。鈴だな?」
一夏と同じように米俵のように鈴を担ぐ兄ちゃん・担ぎ方としては最悪だけど、それが兄ちゃんらしいと思った。私は魔法でマドカとヴィクトリアを浮き上がらせIS学園へと戻ったのだった
第108話に続く
え、えーと……何と言うのでしょうか?久しぶりにヤンデレを書いたら歯止めが効かなくなったといいますか……うん。色々と言い訳を聞いていただけるなら。ベールのあの感じが私の1番得意としていたヤンデレと思ってください。今はマイルドなのを書いていますが、かつてはああいう作風だったんです。ネクロのヤンデレなのでかつての感じが出てしまったわけですね。今後は押さえていこうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします