IS~現れたる神なる刃【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話は戦闘後の話とネクロの話をしていこうと思います、次のイベントは何をするのか?それを悩んでいるところですね。やりたいイベントが多いというのも困る物ですね。流れとかを考えて最善のつながりを考えたいと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いしま


第108話

 

 

第108話

 

IS学園の地下のIS整備室のハンガーは全て埋まっていた。ネクロとの戦いで一夏君の白式以外は中破と大破。操縦者であるエリスちゃん達は龍也君に治療され既に自室に戻っている。私はハンガーに掛かっているISを見て

 

「結構やられたわね?」

 

「ネクロと戦ってこの程度なら御の字だ。クラナガンでデータ取りをしてある、直ぐにとは言わないが前よりも早く修理が出来るだろう」

 

龍也君は大破しているISを見ながらそう呟く、ISはコアとパーツの適合に時間が掛かる。パーツだけあっても直ぐに修理して使えるわけではない。細かい再調整を含めても1週間は使えない筈だ……

 

(でも短い訓練であそこまでネクロと戦えるようになるなんて……やっぱり龍也君の訓練が良かったのかしら?)

 

「とは言え予想外の事がありすぎたがな……」

 

若干疲れた様子の龍也君は溜息を吐く。それを見ていた千冬が

 

「自分のネクロに遭遇した鈴か……」

 

はやてさんから聞いた戦闘報告と、ISに記録された戦闘記録を見ると。半狂乱に陥ったベールの叫びは生々しいまでの負の感情に満ちていた。多感の時期にあれはかなり答えただろう、かという私も相当ショックは受けたけどね

 

「ヴィクトリアはそこまでショックは受けてないが、マドカと鈴のダメージは深刻だ。一夏は精神的ダメージよりも肉体的ダメージ

が大きい。何回も使っていた身体の粒子化……身体の筋組織の損傷が酷い」

 

カルテのような物を見ている龍也君。その顔はとても険しい……それだけ深刻な状況になっているということだろう……

 

「まぁ良い。鈴のカウンセリングは私がする。千冬はマドカを見てやってくれ。一夏は……起きるまでほっておいて構わない。起きてから治療を始める」

 

言うだけ言って出て行く龍也君。それだけ余裕が無いってことなのかもしれない。

 

「ではツバキさん。私はマドカの様子を見に行くので、後はよろしくお願いします」

 

頭を下げて出て行く千冬を見送り。私は全てのISのスキャンデータを見る

 

(んー外見のダメージは深刻だけど、中身はそんなに壊れてないわね)

 

外装こそ大破しているが、中身の損傷は軽微……クラナガンでの改修が良かったのか?それとも向こうも本気ではなかったのか?色々と考える事は出来る。しかしどれだけ考えてもそれは机上の空論になる。そこまで深く考えることは無いだろう。それよりも今大事なのは……

 

「短期間でどこまで治せるかよね?」

 

装甲のみの大破・中破だから前よりかは短時間で修復が出来るが、壊れている数が多い。自分だけで治せるだろうか?

 

「ツバキ殿。お手伝いに参りました」

 

「こういう時に声をかけて貰わないと」

 

フレイアとアイアスがそう声をかけてくれる。それに

 

「あんまり手伝いが出来るか判らないけど、私も手伝うよ」

 

「少しは手伝えると思いから、よろしく」

 

なのはさんとフェイトさんも治下のハンガーに来てそう笑ってくれる。5人でやれば修理も早く済むかもしれない

 

「そう。とても助かるわ。それじゃあ早速始めましょうか!損傷が軽微なブルーティアーズから始めるわよ!」

 

ぱんぱんと手を叩き。クラナガンでスカリエッテイさんと一緒に作って置いたスペアパーツを見ながら。もっとも損傷が軽微で、武装の損傷が少ないブルーティアーズから修理に取り掛かったのだった……

 

 

 

 

「う……うん」

 

ゆっくりと目を開き、頭を数回振る。暫くボーっとしていたが直ぐに思考が切り替わる

 

(ベールはあたしで、あたしはベールで……あたしもああなるの?)

 

違うと思っていた。あたしとベールが違うと断言できた。だけど心のどこかで納得してしまった

 

(あたしもなるかもしれないって思っちゃった)

 

同じあたしだから判る。あたしも同じ状況になったと考えれば

 

(あたしも同じ選択をする)

 

思わず両手で顔を覆う。もしも、もしも箒達がネクロに殺されてしまったと考えると……

 

(箒達の変わりでも良いとおもう、それで一夏があたしを見てくれるなら……それでも良いって思う!)

 

脳裏にベールの声が蘇る。『あっはははは♪鈴もマドカも狂ってしまえ!狂って狂って踊り狂え!お前達にも待っているのはあたしと同じ末路だ!あっはははははっ!!!』

 

狂え狂えと囁くベールの声が耳から離れない。あたしは……あたしはなんなのよ!どうしろって言うのよ……頭の中がごちゃごちゃしていて思考がまとまらない

 

「起きたか?気分は……悪そうだな?」

 

「た、龍也……何しにきたのよ」

 

なんかばつが悪くなり攻めるような口調で言うと龍也はニコニコと笑いながら、あたしのベッドサイドの椅子に座り込み

 

「ふむ。それだけ強気なら平気とは……言えんな?とりあえずこれでも飲むか?」

 

差し出されたのは甘い香りをしているカップ。それを受け取りはした物の飲む気がしない……ベッドサイドの机の上に置く

 

「飲む気分ではないか……話でもするか?」

 

にこにこと笑い。あたしのベッドサイドの椅子に座ってこっちを見ている龍也

 

「したくない……と言うか、女の子の部屋にずかずかと入ってこないでくれる?」

 

今は誰とも話したくない。龍也の蒼銀の瞳から逃れるために顔を逸らし、体育座りをして顔を隠す

 

「しかしだな?今のお前には話が必要だと思ったのだよ。不安なのだろう?」

 

その言葉にビクンと肩を竦めてしまう。龍也はその様子を見て苦笑しながら

 

「お前は態度に出るな。まぁそれくらいの歳なら当然か、だがな?自分で抱えて解決できるのか?それは余計に自分を苦しめるのではないか?」

 

自分で考え込んで解決できるとは思ってない。だけど何を話せば良いのか判らない、龍也の心配そうな声にあたしは拒絶と言う子供のような態度でしか返事を出来なかった

 

「ふー多感な時期だしな。迷うか、なら言わせて貰うがね?お前の考えは正しい」

 

「あたしが何を考えてるかなんて「誰かの変わりでも良い。それで一夏が見てくれるなら」か?ん?」

 

あたしが考えていることを言い当てられ肩を竦めると龍也は

 

「やっぱりか」

 

なるほどと言う感じの龍也。その態度で判った……今のはブラフだったと……

 

「さいてーね」

 

ジト目で龍也を見ながら言うと龍也はにこにこと笑いながら

 

「よく言われるから気にしない。だが、今のお前はほっておけないのでね?あのタイミングで何故ベールがあんなことを言ったか判るか?」

 

話を変えにきていると判っているけど、それでも良いかと思い

 

「嫌がらせじゃないの?」

 

気がついたらあたしは龍也の顔を見ていた。龍也は顎の下に手を置いて

 

「違うな。あいつらが自分達のオリジナルを狙うのは理由がある……聞きたいかね?」

 

紅茶を飲みながら尋ねてくる龍也。理由?オリジナルってあたし達のことよね?それも何か意味があるの?頭の中がこんがらがって来た

 

「教えてよ」

 

「じゃあまずココアを飲め。話はそこからだ」

 

にこっと笑う龍也に嵌められたという気がしなくもない。なんでか判らないけど完全に龍也のペースになっている……だけど自分でうだうだ考えているよりも何倍も良いと思いながら。差し出されたココアを啜る

 

「甘……ッ」

 

普段飲まない物なので余計に甘く思える。顔を顰めると龍也は

 

「業とそうしてある。少しだが落ち着くだろう?」

 

そう言われると少しだけ気分が楽になった気がする。ココアをちびちびと飲みながら

 

「それでベールがあたしを狙う理由って何よ?」

 

龍也が態々そう言うってことはちゃんと理由があるはずだと思い。そう尋ねると龍也は

 

「お前もベールも同じ存在だ。変な話だが、同一の存在は同じ場所には長時間存在できない。平行世界の理論なのだが、もっと詳しく説明しようか?」

 

ん?と尋ねてくる龍也。平行世界の理論と言われても今のあたしの頭には全然入ってこないだろう。と言うかそれ以前に

 

「そんな話をして楽しい?嫌味っぽく聞こえるんだけど?」

 

あたしが睨みながら言うと龍也はそれで良いと笑って、手を叩く

 

「なによそれ?」

 

その行動の意味が判らず、龍也にそう尋ねると

 

「それくらい強気の方が鈴らしい」

 

「性格悪くない?「自覚してると言っただろう?」

 

どうも今のやり取りも龍也に誘導されていた様で面白くない。だけどこの感じの方があたしらしいと思える

 

「それで話を戻すが、この世界ではお前達の方が正しい存在として認識されている。ベール達は異物になる。世界はどう動くとおもうね?」

 

龍也にそう尋ねられ、少し考えてから

 

「赤血球とか白血球みたいに排除に掛かる?」

 

「正解だ、頭の回転が速くて助かる」

 

ナデナデと頭を撫でられる。あたしは龍也の顔を見て

 

「あたしのこと子供って思ってるでしょ?」

 

「違うのか?」

 

違うとはいえないけど、なんか癪……もしこれが龍也の世界の子供なら相当喜んだんだろうなあと思いながら。龍也から与えられた情報を整理する

 

「つまり……自分が存在するためにあたし達を狙うって事?」

 

あたしがそう言うと龍也は驚いた表情をして

 

「正解だ。頭が切れて本当に助かるね。説明が早く済む、しかし1つ付け加えるなら殺して、お前達を取り込むことが目的だ。あくまでベール達はこの世界では異物だ。鈴達を取り込み情報を書き換えるのが目的だ」

 

書き換えるとか言われても訳判らないけど、とりあえずベール達の目的は判った。

 

「これで説明は終わり。後はこれが終われば帰る」

 

何をするつもり?と見ていると急に龍也に抱きしめられる。突然の事に驚いて

 

「ちょっ!?何するの放し……「泣け。涙をこらえるな」……うっ」

 

龍也にそう言われると急に視界が歪むのを感じた。だけど泣くわけには……

 

「泣いておけ、溜め込むな」

 

もう1度泣けと言われ本格的に視界が歪む。それによく考えると顔を隠されているので誰にも見られないと判るともう駄目だった……

 

「うう……うあああああッ……」

 

ボロボロと涙が零れる。それでも大声で泣く物かと声を押し殺してあたしは涙を流し続けるのだった……龍也は何も言わずずっとあたしの背中を撫でていた。それは全然違うが、お父さんに昔やってもらったことを思い出してしまったのだった……

 

「姉さん」

 

「ん。何も言わんで良い」

 

「うん……」

 

マドカは千冬の背中に顔を埋めてぶるぶると震えていた。それは鈴と同じかそれ以上の恐怖を感じている証拠でもあった。ネクロとの初戦闘は鈴とマドカの心に深く傷を残しているのだった……

 

 

 

守護者達との戦いを終えて戻ってきた。イナリ・アヌビス・ベールの報告を聞き、前までの戦闘記録と比較し

 

(恐ろしいまでの成長速度と言えるが、所詮は人間か)

 

魔導師と比べれば畏れるまでも無いと言えるが、問題はその成長の幅。前のデータよりも数段以上に戦闘能力が増している

 

(ISを破壊できたのが大きいな)

 

ISは修理に時間が掛かる。その間は戦闘には使えない……報告で戦闘に使えるのは織斑一夏の白式だけ、それ以外はとてもではないは戦闘に使える段階ではない。今出れば間違いなく守護者達と戦えるIS学園の人間。確か「更識楯無」「ユウリ」だけだ

 

(仕掛けるのは今か)

 

向こうの戦力が落ちている。仕掛けるのは今が最も適作だと思えるが……

 

(ベール達の世界のオリムライチカの存在が不確定要素か)

 

話に聞いていただけだが、かなり稀少なレアスキルを所持しており。その戦闘力は極めて高いらしいが……それがどれほどの者なのか?それが重要だ。しかしこの好機を失うのは余りに惜しい

 

「ハーデス」

 

私がそう呟くと空間が裂けそこからハーデスが姿を見せる。姿を見るだけで判る、今のハーデスは間違いなくベストの状態であると

 

「なんだ?」

 

業とらしく尋ねてくるハーデス。ずっとここで見ていたのだから私が何を言いたいかなんて判っているのにと思いながら

 

「守護者達に仕掛けるか?」

 

「漸くか?俺が出ても良いのだな?」

 

ハーデスから感じる魔力が一段と強くなる。いや、それだけではなく闘志も増している……この上なくハーデスの気力は充実している

 

「ああ。好きにしろ……出来るならベール達のネクロの素体を捕らえて来い」

 

今のベール達には活動限界がある。それは異なる世界の存在だ、性格や考え方はネクロよりになっているとは言え。この世界には自分達と同一の存在がいる。自ずと活動限界は限られている……それでも普通に戦うだけと考えれば十分だが、戦力として考えるのなら時間制限は無いほうが決まっている

 

「判った覚えておこう。気が向けば捕らえてこよう」

 

気が向けばって事は恐らく捕まえてこないだろうなと思い苦笑する。今のこいつの目的は守護者と戦うことだけ、それ以外を考えるつもりはなさそうだ

 

「直ぐに出るのか?」

 

ハーデスがどう行動するなんかなんて判っている。だが一応そう尋ねると

 

「いや。感情に身を任せ行動するのは愚かな事だ。俺はそんな愚かなことはしない……万全な状態に戻るまでは仕掛けない」

 

ハーデスは戦いを好むが、その実恐ろしいまでの冷静で用心深い面もある。相手が格下ならばここまで用心はしないだろうが、相手が守護者と判っているのだから、感情で行動するような愚かな真似はしない。現れたときと同じように空間を引き裂き闇の中に消えていくハーデスの姿を見送りながら

 

「ベリト。人間の洗脳はどうなっている?」

 

篠ノ之束をネクロ化するのはネクロに殺されるのでは駄目だ。元々人間嫌いなのだからそれを利用しない手は無い、人間によって殺させることで人間を憎ませより上位にしたほうが利用価値がある

 

「4割がた完了しております」

 

「そうか。それではまだ少し不安だな」

 

守護者達も束の存在を探している。それに私達を疑っているアズマの事もある。こちらもまだか……

 

「しかし今のままでも十分に「責めているのではない、気にすることは無い作業に戻ってくれ」

 

ベリトは納得して無いという表情ではあったが、王座を後にした。私は再び1人になった王座のまで闇を見つめたまま

 

「さてこれからどうするか……だな」

 

策は何重にも用意してある。そして向こうの戦力は激減している、そろそろ大きく一手を打つ番だ……だが打つ順番を間違えては意味が無い。だが今ならばどの策であれ成功率はとても高い、今考えるべきなのは、いかに大きな打撃を与えるかただ。そしてやはり1番攻めるべきなのは

 

「守護者だな」

 

守護者を負傷させることが出来れば、大きく戦況は動く……私はその為の策を考えるために、今動けるネクロ。そして敵の数。その全てを考慮し、最善の一手を打つための作戦を考え始めるのだった……

 

 

 

地下のブリーフィングルームを覗き込む

 

「「「……」」」

 

そこにはいつもの明るい箒ちゃん達の姿は無い。初めてのネクロとの実戦。そしてISの破損……落ち込むところは山ほどあるだろうが、1番大きいのは

 

(ムードメイカーでもある鈴ちゃんのせいね)

 

もっとも精神的なダメージを受けて、今龍也さんのカウンセリングを受けている鈴ちゃん。彼女は言いも悪いもムードメイカーで場の雰囲気を盛り上げるのに長けている。そんな彼女が落ち込みそして更に一夏君は意識不明の重態。戦闘としては勝ったと言えるが、気持ち的には負けていると言えるだろう。普段なら何とかしてあげたいと思うんだけど

 

(なんて言えば良いのか判らないわね……)

 

どうすればいいのか判らず、その場に佇んでいると肩を叩かれる。誰だろうと思い振り返ると

 

「ユウリ……何か様?」

 

「少し散歩に行くぞ。このままでは気が滅入るだけだ」

 

私の返事を聞かずに歩き出すユウリ。暫くブリーフィングルームとユウリの背中を見ていたが、私はユウリについて散歩をすることにしたのだった

 

「しかしあれだな……ネクロはかなり強いな」

 

暫く歩き、開けた場所に出たところでユウリが地面に座り込みそう言う。私もその隣に座って

 

「そうね。私は楽勝とまでは言わないけど、良い線行くと思ってたんだけどね」

 

ネクロと交戦した経験があるからと出撃するなと言われていたが、あそこまで落ち込んでいるのを見ると自分達も出撃していればと思わず思ってしまう

 

「だがアレでよかったのかもしれんぞ?」

 

空を見上げながら言うユウリ。その言葉の意味が判らずユウリの顔を見ると

 

「戦いとはああいうものだ、死ぬかもしれないという恐怖が付き纏う。それを乗り越えることが出来ないのならここで再起不能になるのも仕方ないことだ」

 

「それはまぁ……そうだけどね」

 

私は正直言って簪ちゃん達がネクロと戦うというのは止めたいと思っている。これはある意味荒療治だが、自分達が今踏み込もうとしている世界を知る良い勉強になったとも思えるはずだ。そしてこの経験で戦いを止めるというのならそれもそれで仕方ない

 

「龍也が言っていたんだがな、大人になるというのは諦めと背負いたくない荷物を背負うことなんだとさ」

 

「それはまた随分と説得力があるわね?」

 

龍也さんのことはクラナガンで色々と調べた。明らかに過度すぎる期待を背負い、そして結果を常に出してきた。そして今は最強と謳われたが、その実彼の心はボロボロだろう。救えなかった者、切り捨ててしまった命……そういったものがこれでもかと龍也さんを苦しめているのだと私は思った。そんな龍也さんの言葉だからこそ、妙に納得してしまった……

 

「ワタシは戦うだろう。過去を断ち切るために……」

 

何処か遠くを見つめる表情をするユウリ。彼が今何を考えているか……それが判ってしまうのもまた辛い

 

(セリナのことね)

 

自分が護れなかった。そしてネクロになってしまった兄妹……もしも、もしもだが。龍也さんがセリナを倒してしまえばユウリは2度と自分を許せなくなるだろう。私からすればユウリも龍也さんも良く似ている

 

(自分が抱えていることとか、背負わなくて良い荷物を背負っている所とか……それに自分を追い込む所も全部そっくり)

 

はやてさんも言っていた、ユウリは龍也さんに良く似ていると……だからこそ思う。はやてさんが龍也さんをほっておけないのは、どこまで堕ちて行ってしまうから……だから私もユウリはほっておけない。ユウリの手に自分の手を重ねる

 

「どうかしたか?」

 

「別に?」

 

おかしなやつだと首を傾げるユウリ。過去を断ち切る……それでユウリが命を落としては意味が無い。私に出来ることなんてたかが知れている。だけど私に出来る事は全部する、ユウリが戻ってこれるように祈ろう

 

(貴方の手は絶対に放さない……)

 

貴方が例え自分が許すことが出来ないとしても、貴方が自分が犯した罪から目を逸らすことができないとしても、私は貴方の手だけは放しはしない。何があったとしても……

 

 

 

俺は気がついたら白い天井を見ていた。ここ最近何回も見ていた医務室の天上だ

 

「あいたたた……いてえ!?」

 

身体を起こそうとしたら全身に激痛が走る。その痛みに顔を歪めていると

 

「よう。起きたか?戯け者ッ!!」

 

「あいだあああ!?」

 

ごつんっと拳骨を叩き込まれ、その激痛と全身の痛みにのた打ち回っていると、

 

「私は言ったよな?力だけを望むなって?」

 

あ、これ龍也だ。凄く低い声に背筋が凍ったような気がした。クラナガンで何回も言われたのに俺はまた

 

「まぁ取り合えずだ。傷は治してやる」

 

龍也がそう言うと蒼い光が俺を包み込み全身の痛みは治まった。だが頭の痛みはそのままだった

 

「サンキュ……「よし。では歯を食いしばれ」いやいや!?ちょっと待ってくれって!?」

 

拳を握り締め俺の顔を狙っている龍也に慌ててSTOPを掛けるが、龍也は無言で拳を振りかぶる。これは何を言っても駄目だと判断し、観念して歯を食いしばる。それと同時に龍也の鉄拳が再び頭を捕らえる

 

「いてえええええ!?」

 

さっきとは比べられない激痛に思わず絶叫する。すると

 

「大丈夫!?一夏!?」

 

シャッとカーテンが開き鈴が顔を見せる。如何してここに?それに目が赤いけど何かあったのか?と頭の中が疑問符で一杯になるが、それ以上に頭が痛くて何も言えずベッドに蹲っていると

 

「まぁこれで良いだろう。後は知らん」

 

「殴るだけ殴って戻るって酷いわよ!?」

 

「これくらい単純なほうが良いんだよ。下手に説教するよりも良く効く」

 

そう笑って部屋を出て行く龍也。俺そこまで物分りが悪いわけじゃないから口で言ってもらえば判る……

 

「大丈夫?一夏」

 

心配そうに俺に氷の入った袋を差し出してくる鈴。

 

「ああ。ありが……」

 

その氷の入った袋を受け取ろうとして鈴の顔を見て……俺は何故か涙が溢れて、鈴の手を握り締めてしまう

 

「ど、どうかしたの?」

 

級に俺が泣き出したことに驚いている鈴に俺は涙を拭いながら

 

「いや、なんか判らねえ……けど嬉しいような、悲しいような……訳わからねえ」

 

自分でも理解できない感情を感じながら鈴の手を話す。鈴は不思議そうな顔をして

 

「何か飲み物でも買ってきてあげるわ。まってなさい」

 

そう言って部屋を出て行く鈴。俺は咄嗟に伸ばしかけていた手を見て……

 

(なんだろう……この変な感じは)

 

疲れているのだろうか?それに俺は何をしたのか?それが何もかも判らない……俺はベッドにもう1度寝転がり目を閉じた。何がなんだか判らない。とりあえず思い出せるだけ全部思い出そう……

 

(また暴走したんだよな?)

 

オレがまた前に出てきて、そして白式が黒く染まったのは覚えている。だけどその後が何も思い出せない……

 

(俺はどうなってしまうんだ?)

 

自分でも理解できない感情。それに自分が自分じゃなくなっていくかのような……そんな言いようの無い不安が俺を押し潰そうとしてくる……俺は自分が消えてしまうのではないか?俺はその恐怖から逃れるかのように俺は布団に潜り込んだのだった。

 

第109話に続く

 

 




次回は戦闘後の箒とかの話をしていこうと思います。それとペガサスの始点の話もやります。次回からは「ハーデス&ペガサス編」とでも言いましょうか?まぁそんな話をやって行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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