第11話
昼休みになってすぐ俺は…
「お前のせいだ!!」
「あなたのせいですわ!!」
箒とセシリアに怒鳴られていた。この2人午前中だけで山田先生に注意5回、千冬姉に6回叩かれている、学習能力がないとしか良いようがない、俺は内心溜め息を吐きながら
「何でだよ…」
そう呟いた、千冬姉の前でボーっとするなんて、獰猛なトラの前で焼肉のタレを塗っているような者だ。「やってください」と全力アピールだ
「まぁ、話ならメシ食いながら聞くから、とりあえず学食行こうぜ」
このまま文句を聞いていたら昼食の時間が無くなる、男子にはきつい事体なのでそう言うと
「む…。まぁお前がそう言うのなら、良いだろう」
「そ、そうですわね。言って差し上げましょう」
何でこう素直じゃないのだろうか?俺としては素直な方が良いと思うけどね…俺がそんな事を考えていると
「どれ、今日は私も一緒に行くとするか」
龍也が近付いてきて言う。俺は首を傾げながら
「お前何時も弁当作ってるじゃないか?どうしたんだ?」
何時も弁当を作ってる龍也にそう尋ねると龍也は肩を竦め
「斬艦刀の重量にISが耐えれなくてな。調整し直していたから弁当を作ってる時間が無かったんだ」
…ISでも耐えれない重量ってどんな武器なんだよ…
「っと言うわけで今回は私も食堂で昼食だ、なのはとフェイトも一緒だが。良いかね?」
「別に断る理由はないさ、一緒に行こうぜ」
偶には龍也達と一緒に昼食と言うの悪くない。俺が頷いていると
「なになに、お昼?私も一緒で良いかな?」
転入生のシェンさんが尋ねてくる
「別に良いぞ。転入初日だし場所判らないだろう?案内してやるよ」
俺が返事をする前に龍也が返事をする
「やり♪龍也君は優しいね~」
にこにこと笑うシェンさんの斜め後ろでは…
「「やっぱりフラグを…」」
瘴気を放ち始めている高町さんとハラオウンさんが居るが、龍也はそれに気付いていなかった…
「ふむ…日替わりにするか」
龍也がメニューを見ながら券売機から日替わりのチケットを買っている。俺も龍也と同じく日替わりで、箒と高町さんはきつねうどん。セシリアは洋食ランチで。ハラオウンさんとシェンさんがはクリームシチューセットを買っていた
「待ってたわよ!一夏!!」
俺達の前に立つ小柄な影…鈴だ、こいつ変わんないなー、髪型とか性格とか…俺はそんな事を考えながら
「まぁ、とりあえずそこどいてくれ。食券出せないし。通行の邪魔だし」
「う、うるさいわね!判ってるわよ!」
鈴がそう言ってから俺達の前から退く。その手には盆があり、ラーメンが湯気を立ててる
「鈴?…伸びるよ?」
「うっさいシェン!言われなくても判ってるわよ!!」
シェンさんに言われそう怒鳴る鈴…何時も通りで非常に懐かしい
「それにしても本当久しぶりだな、1年ぶりくらいか?元気してたか?」
「…げ、元気だったわよ…アンタの方は…どうなのよ?」
「んー、普段通りかな?鈴がいないから、油断してると千冬姉に襲われかける毎日だった」
鈴と千冬姉は非常に仲が悪い。顔をあわせると喧嘩ばかりだが、鈴は俺を助けてくれるので非常に助かっていた
「気をつけなさいよ、下手するとぱっくり食われるわよ?性的な意味で」
「…現実になりそうだな…警戒しとく」
鈴と話していると
「あーゴホン!ゴホン!!!」
「ンンンッ!!一夏さん?注文の品出来てましてよ?」
箒とセシリアの大袈裟な咳払いで会話が中断される。おお!日替わりは鯖の塩焼きか!これは美味そうだな
「向こうのテーブルが空いてるな。行こうぜ」
鈴を含めた全員で奥の空きテーブルに向かう、人数が多いので移動するのも大変だ…でもすぐに席につけたから幸運だった。
「ん?おーい!エリス!こっち来いよー!」
席に座ったところで龍也が誰かを呼ぶ、思わず其方の方を見るとそこには、代表就任パーティーで龍也と話していた小柄な女子がいた。龍也に呼ばれたその女子は
「……」
黙り込んで何かを考えてる素振りを見せている。それは無理もないだろう、魔王様がこっちくるなのオーラを出している、これで平然とこれるのはさほどの大物だろう…暫く考える素振りを見せてからその女子はこちらに歩いて来て、盆を置いて空き席に腰掛け
「…恥かしいからそうやって呼ばないで」
「なんで?」
龍也に文句を言っていたが、龍也は首を傾げるだけ…なんというか天然なのか?俺はそんな事を考えながら、昼食を食べ始めた…
…あんな大声で呼ぶなんて。信じられない…私はそんな事を考えながら、オムライスを口に運んだ…確かに空き席は探していた。だがあんな大声で呼ばれては目立って仕方ない…私はあんまり目立つのが好きではないから、そう言うのは出来れば避けたかった…
「ふむ…絶妙な塩加減だな」
龍也君は味噌汁を呑みながら何かを考えている素振りを見せていた。私を呼んだことに特に他意は無さそうだが…
(それが逆に腹ただしいです)
…自分でも持て余す感情に眉を顰めてると
「なのは、フェイト、先日友達になった。エリス・V・アマノミヤだ」
「…何時私は知り合いから、友達にランクアップしたんですか?」
さも当然という感じで紹介され、私がそう尋ねると
「えっ?って顔をするのは止めてください!」
驚きという表情をする龍也君。この人の思考回路は一体どうなっているんだ?と思わずにはいられない
「いや、自己紹介したからもう友達だろ?」
「…それだけで友達にする人は初めて見ました」
普通はもう少し時間を置いてから友達になるのでは?
「じゃあ、私も友達だね!」
「そうそう、シェンも友達だな」
イエーッ!と手を叩きあう龍也君と金髪の女子…この2人は思考回路が似ているのか?それも私がおかしいのか?私が首を傾げていると
「こちら、昨日知り合った。呂 神麗(ルゥ・シェンリー)だ」
「シェンって呼んでね?えーと…エリスさんで良いよね?」
間違いない、この2人の思考回路は同レベルだ。
「…馴れ馴れしくしないで下さい」
「えー、良いじゃん。友達で、ねー龍也君」
「そうだよな。友達で良いよな」
…この人達に突っ込んでいては日が暮れる…天然2人は思った以上に難敵だ。私は諦めの境地に達し
「もう友達で良いですよ」
自分が折れることにした、一々突っ込んでいては時間が掛かりすぎるからだ。私が妥協していると
「鈴と俺?…幼馴染だけど?」
「幼馴染?…」
向こうは向こうで色々と問題があるようだ、まぁ私には関係ないが…
「えーと、エリスさんは日本?ドイツ?どっちの代表候補生なのかな?」
白い悪魔がそう尋ねてくる。目が据わってる上に殺気が半端ない
「…今のところはどちらでもないです。私は母が日本人で。父がドイツですから、色々と問題が多いんですよ」
どちらの国も自分の所の代表候補だと言い会っているので。今の所私は代表候補ではない
「へー、大変なんだね。エリスも」
納得という感じの金の悪魔は白い悪魔と比べて殺気を出していない。何故だろう?
「いや、友達が増えて良かったよ」
「だよな、友達が多いのは楽しいしな」
「本当!本当!」
…どうやら天然は2人ではなく。3人だったようだ…
「はぁ…」
「苦労してるようですね、なのはさん」
「…判る?龍也さんの知り合いって天然ばかりだから。結構強引なんだよ」
「…ええ。判りますとも」
2人でうんうんと頷きあう。どうやらこの人も龍也君の天然具合に引っ張りまわされているようだ。
「アマノミヤさん、理解してくれてありがとう」
「エリスで良いですよ」
どうやら、この人とは仲良く出来そうです…私はそんな事を考えながら昼食を進めた…
「あーえっとだな。箒が引っ越していったのが小4の終わりだろ?鈴が引っ越してきたのは小5の頭でな。中2の終わりに国に帰ったから、あうのは1年ちょっとぶりなんだよ」
怪訝そうな箒に鈴の事を話していると
「シェンのISってどんなの?」
「んー?遠近万能型らしいけど、私馬鹿だから殆ど近接かな?」
「へー私はね~鎌だよ」
「そうなんだー」
ハラオウンさんとシェンさんが仲良くなってる…一体この短い間に何が?
「…一夏?今はあたしと話をしてるんのよ?なんでシェンの方を見てるのかな?」
「…気のせいですよ?鈴さん?」
「何で敬語なのよ」
ハイライトの消えた目の鈴が恐ろしい、鈴は俺を助けてくれるが基本的には千冬姉に近い性格だ。これ以上あちらを見ていては命がない。
「で、こっちが箒。前に話したろ?小学校からの幼馴染で、俺が通っていた剣道場の娘」
話を戻した方が良い、俺はそう判断し。箒の紹介をした、すると鈴は
「ふうん…あんたが…」
敵意の色を見せる鈴…昔からこいつはこうだ、俺の友達の女友達を見ると敵意をむき出しにする。そんな所も千冬姉にそっくりだ。そんな事を言えば怒るので言わないが…
「初めまして。これからよろしく…一夏は渡さないわ」
「ああ、こちらこそ…負ける気は無い」
んん?2人が小声で何か言った気がするが…よく聞こえなかったな?なんて言ってたんだろうか?それに2人の間で火花が散ったように見えた…幻覚かな?俺は疲れているのだろうか?
「ンンンッツ!私を忘れてもらっては困りますわ。中国代表候補生の凰鈴音さん?」
「…誰?」
「なっ!?私はイギリス代表候補生のセシリア・オルコットでしてよ!?ご存じないのですか!?」
セシリアがそう尋ねると鈴は
「うん、あたし他の国とか興味ないし、っていうか基本的には一夏以外に興味ないから」
…鈴?暫く会わないうちに千冬姉に似てきてないか?
「な…な…なっ!?」
言葉に詰まりながら怒りで顔を赤くするセシリア
「い…い…言っておきますけどね!私はあなたのような方には負けませんわ!」
「そ、でもね、あたしはISでも恋でも負ける気は無いわ。一夏はあたしのよ」
いえ、俺は俺のものなのですが?といったらきっと騒動が大きくなる。ここは黙っておこう
「……」
「いっ…言ってくれますわね?」
箒は無言で箸を止め、セシリアはわなわなと震えながら拳を握り締める。
「一夏。アンタ代表候補なんだって?まぁ…あんたの実力なら当然だと思うけどね…」
鈴は俺の剣の修行を良く見ていた、だから俺の強さは知っている、確信とも言える表情で言う鈴に
「…まぁセシリアには勝てたが、龍也には一撃で負けた」
「ふーん…やっぱ、龍也も強いのね?」
「いや、強いとかそう言う次元じゃない。3メートルはある馬鹿でかい実体剣をぶんぶん振り回すんだぞ?」
何度かISで手合わせしたが、間合いに入り込めない。普通はあんなでかい剣を振り回せば、隙のひとつやふたつありそうなものだが、それがないので、今の所負け越している
「…それはまた凄いわね?んであんたのISに射撃武器はないの?」
「俺のISの武器は剣だけだ」
「…なんで?」
「知らん、そう言う機体らしい」
追加装備もお断りの白式は完全近接特化の機体だ。自分の間合いにしないと勝ち目は無い
「1回ISの操縦見てあげようか?」
「おっ、そりゃ…」
代表候補生の鈴のアドバイスを聞くのも良いかもしれない。俺が助かると言おうとした瞬間
ダンッ!!!!×2
力強くテーブルが叩かれた、思わずそちらの方を見ると箒とセシリアが怖い顔をしていた
「一夏に教えるのは私の役目だ。頼まれたのは私なのだから」
「あなたは2組でしょう?敵の施しは受けませんわ!」
2人が敵意の色を目に映して言うと鈴は
「…黙りなさい、あたしは一夏に言ってるの…関係のない人間は引っ込んでなさい…」
鈴が漆黒の瘴気を撒き散らし始める。その瘴気に一瞬箒とセシリアは怯んだもののすぐに
「私が!頼まれたのだ!お前が関わる必要はない!」
「1組の代表なのですから、1組の人間が教えるのは当然ですわ!後から出てきて何を…」
「…あたしの方がアンタより付き合いは長いわ。すこし黙りなさい。耳障りよ、セシリア・オルコット」
いかん…鈴がマジ切れ寸前だ。このままでは鈴が魔王になるそれは避けないと、止めれなくなる
「そういやさ、親父さん元気してるか?」
話題を変えるためにそう尋ねると鈴は
「…元気だと…思う」
魔王化の兆候は消えたが、若干気落ちした雰囲気を感じる…
「どうし…「そ、それより、一夏!今日の放課後って時間ある?あるわよね!久しぶりに何処か行かない?駅前のファミレスとか!」
俺の言葉を遮りそう言う鈴に
「あー、あそこ去年つぶれたぞ?」
「そ、そうなんだ…じゃ、じゃあさ!学食でも良いから積もる話もあるでしょ?」
うーん…ISとかの話題でよければ、聞きたいが…果たしてそれで鈴が納得してくれるだろうか?
「…生憎だが、一夏は私とISの特訓をするのだ。放課後の予定は埋まっている」
「そうですわ、クラス対抗戦に向けて、特訓が必要なのです。あなたに関わってる時間はありませんわ」
何故、2人が返事をする?俺の意見は無視なのか?久しぶりに会った幼馴染と話す時間さえ許されないのか?
「そう、じゃあ。放課後はあんた達にあげる。その後はあたしの時間よ?良いわね?それじゃあね一夏!シェン行くわよ!」
「えーもう少しフェイトとなのはと話したいんだけど?」
「良いから来なさい!」
「はいはい、判りましたよ。それじゃあね。また後で」
ひらひらと手を振り、鈴と共に食堂を出て行くシェンさんを見ながら
(断る事も出来なかったら絶対待ってるしなねぇじゃないか…)
「一夏?当然特訓が優先だぞ?」
「一夏さん?私達の有意義な時間を使っているという事実をお忘れなく」
そしてこっちも断れる状況ではなかった…俺は内心溜め息を吐きながら、頷く事しか出来なかった…
「シェン。クラスの状況を教えてくれないかしら?」
「…んー?一夏君と箒さんとセシリアさんとか?」
歩きながら言う鈴に尋ねると、鈴は頷き
「そうよ。一夏があの2人になびいてそうだったら教えて」
怖い顔をする鈴に
「別に良いよ、同じクラスだしね」
友達の頼みを断る理由はない、2つ返事で引き受けると鈴は
「お願いよ…?シェン…一夏だけは…絶対に欲しいの」
さっきまでの怖い顔を一転させ不安げな表情の鈴に
「……大丈夫、私は鈴の味方。協力するよ」
鈴は非常に不安定な人格をしている、一夏君は知らないが、両親の離婚に一夏君から離れたこと…様々な要因が重なり、鈴は非常に危ういバランスで今の人格を維持している。なんらかの要因があれば容易く崩れるようなそんなバランスで…
「一夏…一夏…」
一夏君の名を繰り返し呟く鈴に
(これであの2人のうちどっちかとくっついたりしたら、鈴は簡単に精神崩壊するわね)
今の鈴には一夏君の存在が必要だ。友達の精神が崩れるとこなんて見たくないし、鈴は私のライバル兼親友だ。あの2人には悪いが一夏君と鈴がくっつくように助力させてもらおう
(んー私も難儀な性格だよね~)
私と鈴が会った頃は、鈴はかなり荒んでいた。両親の離婚に、一夏君とはなれた事でかなりやばいところまで行っていた。私は同じ代表候補生という事で話す機会が多く、長い時間を掛けて鈴と今のような関係になったが。最初は険悪その物だった、誰も信じないそんな態度が目に見えていたから。それでも私は何度も話しかけ、鈴と打ち解けていった…そして理解したのだ
(鈴の話に良く出てくる、男の子に依存している事を…)
鈴のただ1つの心のより所…それを簡単に奪わせるわけには行かない
(さーてと、どうやって鈴と一夏君をくっつけるかな~)
私はそんな事を考えながら鈴と別れ、1組へと向かって行った…
第12話に続く
鈴は一夏に依存と言う設定にしてみました。そちらのほうがヤンデレっぽいかな?と思いましてそれでは次回の更新もどうかよろしくお願いします