IS~現れたる神なる刃【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は戦闘後の箒とかの話にしようと思います。あとペガサスの話ですね。シリアス大目で行きたいと思うのでどうかよろしくお願いします



第109話

第109話

 

ネクロとの戦いを終えて戻ってきた箒達はそれぞれが別々の理由で落ち込んでいた。

 

あるものは改修されたISを破壊されてしまったことに

 

あるものは鈴が精神的に弱ってしまった事に

 

あるものは一夏が再び暴走してしまった事に

 

全員が落ち込みいつもの雰囲気と違い。まるで葬式のような雰囲気の中

 

「ネクロは何がしたいんだろうな」

 

私がそう呟くとセシリアやラウラの視線が集まる。私はその視線に少しだけ圧された物の自分の考えを言うのだった

 

「龍也さんやはやてさん達に仕掛ける事無く、まるで私達を調べるかのように行動して……ISを少しだけ破壊した。その目的はなんだ?

 

あの時なのはさんが来たとは言え私達を倒す隙は十分にあった。それなのに撤退した。その目的がどうしても気になるというと

 

「……確かにそれは私も気になっていた。ネクロの目的は他にあるんじゃないかって」

 

疲れている様子ながらノートPCを操作しているクリスはキーボードを鮮やかに叩きながら

 

「今回の攻撃は威力偵察。それと強化されているであろうISの情報を得るため。と考えるの妥当」

 

「どういうこと?」

 

「弥生。少しは自分で考えるといい、この世界に龍也がいなかったのはネクロも周知の事実。じゃあどこにいたと考える?」

 

クリスの問い掛けに答えたのはセシリアだった。セシリアも思案顔で何かを考えている様子だったから、誰も声を掛ける事がなかったのだ

 

「龍也さんの世界ですか?」

 

それしか考える事が出来ない、ネクロもこちらを警戒しているのだから動向を考えるのは当然のことだ

 

「そう考えるだろう。そして向こうはこう考える「この世界の人間がどれくらい強くなったのか?」そして威力偵察として高レベルのLV3が訪れたと考えるのが普通だろう」

 

つまり今回の襲撃は威力偵察だったと……ラウラはその言葉を聞いて立ち上がり部屋を出て行こうとする

 

「どこに行くの?」

 

「ISの武器の再登載を考える。あのまま負けっぱなしと言うのは気に食わない。それにネクロどもに教えてやるんだ、人間の力を舐めるなってな」

 

にやりと笑い出ていくラウラ。ラウラらしいといえる強気の態度に笑う気分ではないのに思わず笑ってしまう

 

「確かにここでそうしてても仕方ないね。僕ちょっと調理室を借りてくるよ」

 

シャルロットもラウラに続いて出て行き、それを見ていたセシリアは

 

「ヴィクトリアさんが心配なので失礼します」

 

同室のヴィクトリアの容態が心配だからと出て行くセシリア。シェンは既にこの部屋を後にして鈴のために御粥を作りに行っている

 

「じゃあ、私はツバキさんの手伝いでもしてくる。少しでも早くISが復旧するように」

 

「私も手伝いましょう。簪……装甲の修理ならお手伝いできるでしょうから」

 

と次々に部屋を出て行く、弥生にいたっては

 

「ちょっと龍也に頼んで訓練つけてもらってくる。私は何にも出来なかったしな」

 

アヌビスに私と同様でターゲットにされた弥生は、気合を入れた顔で出て行った弥生らしいが今の私はそんな気分じゃなかった

 

「如何してそんなに悩んでいる?」

 

クリスの問い掛けに私は少し悩んでから

 

「アヌビスが消える前にな私にこういったんだ「シノノノ・タバネは既に我らにとって何の価値も無い!そのうちあの女は死ぬぞ」とな」

 

クリスは眉を顰めてキーボードを叩く手を止めて

 

「協力関係にあったということか?」

 

若干批難の色を目に浮かべるクリスに私は首を振りながら

 

「判らないんだ、姉さんが何をしたいのか?私はどうすればいいのかって」

 

姉さんが死ぬのは嫌だが、ネクロと協力していた可能性があると考えると自分がどうすればいいのか判らないと言うとクリスは

 

「あって自分がどう動くのか?それでいいだろう?殴るなら殴る、受け入れるなら受け入れればいい」

 

殴るってなんでだ?と思いながらドヤ顔をしているクリスに

 

「なんだその理屈は」

 

「龍也がよくやる方法らしい、説得の1つだと言っていた」

 

それは説得と呼んでいいものなのか少し悩んだが、昔私や姉さんが悪戯をしたときは父に殴られた。それでこれは悪いことなんだって自覚したなと思い出し

 

「そうだな。姉さんを見つけてから考える」

 

「それがいいとおもう。頑張れ」

 

クリスの言葉を聞きながら部屋を出て形態を取り出し姉さんに電話したが、やはり繋がらない

 

(今どこにいるんだ。姉さん……)

 

今どこにいるかもしれない姉に危険が迫っているのにそれを伝える事もできない。今私に出来るのは

 

(どうか無事で……)

 

余り姉さんの事は好きじゃなかった。だけど……死んで欲しくない。私は窓の外から見える星を見てそう祈るのだった……

 

 

 

 

俺はこの世界の戦場を渡り歩きながら人間の魂を集めていた。今度はベエルゼに与えるのではなく自分で使うためにだ

 

(まだ足りない。もっとだ)

 

俺の能力をフルに使うにはリンカーコアが大量に必要になる、だがこの世界にリンカーコアを持つ人間は少数しか存在しない。人間の魂で代用できない事もないが

 

(純度が余りに低い……殆ど役に立たんな)

 

ネクロに適した魂ならば糧にもなろうが、この男尊女卑と言う世界の中ではあまりに役に立たない魂が多すぎる。質より量とも言えるがそれで俺の糧になるだけの魂を集めようと思えばどれほど時間が掛かるか……剣を1度鞘に収めため息をはく

 

(人造リンカーコアは駄目だったからな)

 

ベリトが作り上げた人造リンカーコアは俺には適応しなかった仮に取り込んだとしても、意味がない。直ぐにその効力を失うからだ……再び別の戦場に赴こうとしたとき

 

「帽子しらねえ?ハーデス」

 

突然聞こえてきた声に振り返るとそこには、くたびれた黒いタキシードに何の手入れもされてない黒髪を持つ男が立っていた

 

(いつ現れた?)

 

戦場に似合わないタキシード姿に加え、きょろきょろと辺りを見ているその素振り……とても戦場にいる人間には思えない

 

「帽子を探しているだけどよ?見てねえか?ハーデス」

 

繰り返し俺の名を呼ぶ男に

 

「貴様何故俺の名前を知っている!?」

 

にこにこと笑いながら再び俺の名を呼ぶ男にそう怒鳴ると

 

「ふーどうでもいいだろ?帽子見てねぇ?ダチに貰ったもんで無いで困るんだよ」

 

俺を無視して辺りを見ている男。その姿はどこから見ても人間にしか見えないのに

 

(何だこの威圧感は!?)

 

無防備な姿をしているのに今手を出せば自分が殺される光景しか想像できない。俺が人間を恐れるなんてありえない、鞘に収めたモロスを抜こうとして

 

「ああ、あったあった」

 

落ちていたシルクハットを拾って埃を払っている男に

 

「中々の魔力の持ち主のようだな。その命俺に「貴方が俺を殺す?ははははッ!やれるもんならやってみな?」

 

「その言葉後悔するぞ!」

 

ふふふと笑う男に接近し剣を振るう、男は回避する素振りを見せないこれは取った!

 

「おいおい……どこを狙ってるんだか?」

 

「!?」

 

当たったはずなのに当たってない……どういうことか理解できないでいると

 

「ふふふ?理解できねえか?なら教えてやるよ!お前と俺では天と地ほどの差があるんだよ!」

 

男の拳が俺を穿ち殴り飛ばす。俺は空中で態勢を立て直し……着地する

 

「何者だ。お前は何故ネクロの魔力を使える!」

 

おかしい、人の気配しか感じないが、ネクロの魔力だった。こいつがなにものか判らずそう怒鳴ると

 

「俺が何者かなんてどうでも良いだろう?ハーデス。俺はお前に贈り物を持って来たんだよ!受け取りな」

 

投げられたカードを指で挟むとそのカードが輝き中から固形化したリンカーコアが大量に零れ落ちる

 

「これは何故!?」

 

リンカーコアは人間から取り出された風化し消え去る。それなのに完全に固定化されているリンカーコアに驚きながら尋ねると

 

「だから俺が何なのかと、何故持ってこれたなんてどうでも良いだろう?贈り物だからよ!お前の力を見せてくれよ、期待してるぜ?ハーデス」

 

男はそう言うと影の中に溶けるようにその姿を消した。それは下位ネクロネクロの得意とする影を使った移動方法だった。

 

「なぜその能力を……」

 

上位ネクロに進化するほどにその能力は弱くなる。それは他の力が強くなるからだ、完全に人間になる事が出来るネクロがそんなの能力を残しているとは思えない……だが

 

「ありがたく貰っておく」

 

足元に落ちている固定化しているリンカーコアを拾い上げ取り込む。

 

「戻ってきたぞ……これが俺の力だ!」

 

増して行く力に笑みを零しながら俺はこの戦場を後にした。予定よりも早く守護者達に仕掛けることが出来そうだ……

 

「くっくっく、精々頑張れよ?ハーデス」

 

消えていくハーデスを見つめて笑う男の後ろに

 

「趣味悪いわね?ランドグリーズ」

 

ネルヴィオが現われそう声を掛ける。

 

「おっ?ネルヴィオ、如何してここに?どうだ?一緒に食事でも「黙りなさい、ランドグリーズ」

 

手を抓りあげられた男は痛い痛いと騒いでいたが芝居は止めろと言われて

 

「あははは♪失礼。ネルヴィオ」

 

男の姿は一瞬に黒いタキシードと紅いマントそしてスカーフ姿になった。あの男はランドグリーズだったのだ

 

「で?なんでハーデスにリンカーコアを与えたの?私が折角固定化したのに」

 

「ふふふ。特異型ネクロはLV5になる可能性があります、その力量を見ておくのは無意味ではないでしょう?なんせ、天の属性のネクロはまだいませんからね」

 

知られてはいないがネクロには「冥」「裂」「地」「天」と4つの属性に分かれている。『冥』は特別な能力を持つ者とそうでない者に判れ、ランドグリーズは前者であるが、その能力を使った事は無い。そうやすやすと使う事ができる能力ではないからだ。『裂』は遠距離攻撃には適さないが、引き裂くや切り裂くという攻撃に高い適性持ち、魔力による飛ぶ斬撃などが使える、近~中距離に特化したネクロだ。そして『地』は強固な身体と他のネクロを上回る再生能力。そしてあらゆる距離に対応できる反面、スピードに劣るものが多い。つまりネクロとは自分が属する属性と素体の魂によってその姿を変える。一様にこの属性はこれだ!と言うわけではないのだが、基本的に自分の属性に合うように進化していく。その中でも天の属性は極めて稀少であり、特異型が進化したときに稀に変化する属性であり。他のネクロとは比べられない能力を持つのだ

 

「貴女は冥の属性を得れるのですよ?盟主に声を掛けるので1度お会いしませんか?」

 

「お断り!私には私の目的があるの!盟主には関わるのはお断り!」

 

ネルヴィオがそう怒鳴って姿を消す、残ったランドグリーズは

 

「まぁその内で良いですよ。ネルヴィオ……あなたはいずれこちらに来るのですから……」

 

ランドグリーズはそう笑いながら姿を消したのだった……消える前の笑みは全て自分の計算通りだと言いたげな物だったのだ……

 

 

 

 

 

「ぐ、ぐああああああ!?」

 

森林の中に響き渡る苦悶の声。ペガサスだ……長い事自分のネクロの因士を力づくで封じ込めれていたのだが、あまりに長い時間生きていたペガサスのからだには限界が来ていたのだ

 

「まだだ!まだ出てくるなあ!!!」

 

消えかける意識とは違い徐々にその力を増してくるネクロの力にそう絶叫する。言う事を聞かない腕が黒一色に染まりその姿を作り変えようとする

 

「俺は俺だ!心まではネクロには渡さん!!」

 

クラウソラスを手の甲に突き立てる。肘の上まで伸びてきていたネクロの細胞は肌の中に消えていく

 

「はぁッ!はぁッ!!……じ、時間がなくなってきている」

 

木に背中を預け荒い呼吸を整えるべく大きく深呼吸を繰り返す……

 

「本当に不味くなってきたな」

 

満月の時だけがネクロの力が異常活性していたのだが、ここ数日は昼だろうが、夜だろうが関係無しに俺の意識を奪い去ろうと姿を見せる……

 

「まだ俺はこんな所で倒れる事なんて出来ないッ!!!」

 

歯を食いしばり足を殴りつけ立ち上がる。俺には判っていた、もう数日の内に俺は意識を失い、完全なネクロに化すと……

 

「よく持ったという事か」

 

人間であるときにあえてネクロの因士を受け入れたのは俺だけではなかった。だがそいつらは徐々に人間の意識を失いネクロと変化していった……

 

(半分以上意地だな)

 

そいつらは2日から一週間でネクロ化していった。それに対して100年以上ネクロ化するのを耐えているのは以下に俺は異質なんだろうか?仇を取るそれだけを考え俺はここまで生きながらえ、そしてネクロ化を意思で押さえ込んできた。だが

 

「ここ数日の異常なネクロの力の増大か」

 

ベエルゼの体力は完全に回復し、そしてハーデスは人間狩りを繰り返しその魔力を倍以上に回復させていた。

 

「共鳴現象か……」

 

ネクロはより強いネクロの力に共鳴し進化する。そしてそれに伴い力を増させる、俺のネクロの因士とどのネクロの力が共鳴しているのかは判らないが、日に日に力を増していくネクロの因士を抑えるのもそろそろ限界だ

 

「完全にネクロ化するまでまだ時間はあるはずだ」

 

もうあの小僧が力をつけるまで待つなんて言っている余裕はない、だがハーデスはその姿を隠して行動しているし、そして……

 

(1人で戦うには強すぎる)

 

ハーデスは溜め込んでいるリンカーコアによってその力を増大させる。俺1人で戦うのは余りに危険だ、それに共鳴しているネクロがハーデスだとしたら俺は意識を完全に失う、守護者と小僧の協力は必要不可欠だが……ハーデスがいつ仕掛けるか判らない……近いうちとは言っていたが……いつかなんて俺には判らない

 

(IS学園の近くで待機するしかないか)

 

いつ仕掛けるか判らないのならば、その場所で待つのが1番早い……俺は震える足に自ら活を入れて立ち上がり

 

「行くか……」

 

まだ自分の意志がしっかりしているうちにIS学園の近くへ行こう。あの周囲は守護者の魔力に満ちている、守護者の魔力はネクロにとっては猛毒だ。だが今の俺には必要な物だ……受け入れる事のできない、魔力による痛みは俺の意識を繋ぎ止める役目をしてくれるだろう……途絶えかける意識を必死で繋ぎ止め足を引きずりながら歩く

 

「ッ……」

 

歩く途中で偶然俺の姿を写す湖面を見て俺はそう苦笑した。湖面に映る姿は俺ではなく、灰色の甲冑と4枚の翼を持つ異形の姿が映っていた。一瞬目を擦りもう1度湖面を覗きこむ。そこに映っていたのは俺の顔だった。

 

「幻覚か……それだけ弱っているという事か……」

 

精神的にも肉体的にも弱っていると言うことか……だが俺はそんな事には屈指はしない……俺はまだ死ぬわけには行かない

 

(あいつらの仇を取るまでは……)

 

俺の世界を滅ぼしたハーデスを倒し、皆の仇を取るまでは死ぬわけには行かない……その為にこうして人の身体を捨て、ネクロになった……まだこんな所で立ち止まるわけには行かない。いずれ着くところが地獄だとわかっていたとしても

 

「立ち止まるわけには行かないのだから!」

 

俺を突き動かすのは復讐心だけだ。こんな人間が行く所なんて地獄と決まっている……だが全ての業を背負ってでもなお進むと決めたのだから……

 

(地獄に落ちたとてもなお……為すべき事があるのだから……)

 

ぼんやりとする意識の中でもこの思いだけはどうしても揺らぐ事はない……この想いがある限り、俺は俺としての意識を保つ事ができるのだから……

 

第110話へ続く

 

 




次回は一夏と黒一夏の視点の話をメインにして書いていこうと思います。シリアスな感じを重点的にして書いていきたいですね、黒一夏が何を考えているのかも重要なポイントになって行きます。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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