IS~現れたる神なる刃【凍結中】   作:混沌の魔法使い

115 / 134
どうも混沌の魔法使いです。今回は当然ながら前回の戦闘の続きですが、一夏視点になります。一夏から見るとどう映るのか?それを上手く表現したいと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


第114話

 

 

第114話

 

目の前の光景を見ておれはただただ圧倒されるだけだった。虹色と漆黒の閃光が走り、それを追うかのように紅黒い閃光が宙を走る

 

(早過ぎる……ISじゃあ追いつけない)

 

強化されたこの白式・白雪でも到底追いつけない。それほどのまでの高速戦闘。下手をすれば一撃喰らうだけでISが機能停止するかもしれない……

 

「どうした!防戦一方だぞ!守護者!ペガサス!!!」

 

地面を削りながら姿を現すハーデス。現れた時よりも一回り身体が大きく、全体的に鋭利になった甲冑を身に纏っている。ペガサスの話では複合結界と言う厄介な防御能力を持っているらしく、俺の零落白夜と龍也そしてペガサスの魔力をぶつける必要があるらしいが……

 

(そんな隙はないじゃないか……)

 

その背中を覆っている8枚の楯に加え、それ1本がまるで丸太のような大きさの西洋剣が2本。俺に入り込める隙はない……だけど

 

(俺は逃げないって決めたんだ)

 

もう逃げたくはない、1度決めた事を揺らがせたくない。俺は皆を護れる様になりたいんだ。そのために龍也に頼んできつい訓練をした。今だってそうだ、ハーデスの動きが見えないのは俺が恐れているからだ

 

(集中しろ。確かに速い、速いけど見ないわけじゃない筈だ!)

 

自分に言い聞かせるようにそう呟き、大きく深呼吸をする……そして湖を思い浮かべる。揺らぐ事のない湖面を思い浮かべるんだ……恐怖も何も感じるな……一種に思い込みだが、龍也に何回も言われた気持ちで負けるなと、揺らぐ事のない自分をイメージしろと……何回も深呼吸を繰り返し、閉じていた目を開く。さっきまで閃光にしか見えなかった龍也達の動きが見えてくる

 

「いくぜッ!」

 

雪片を腰打め構えタイミングを計る。ペガサスと龍也の邪魔をしないタイミングで……大きく深呼吸をする

 

(出来る。俺になら出来る筈だ)

 

大事なのは出来て当然だと思うこと……

 

「はは!貰った「それはこっちの台詞だ!!!」

 

ハーデスが姿を現したタイミングで瞬時加速に入り、背後に回りこむ。俺の姿を見た龍也とペガサスは

 

「合わせろ!」

 

「言われなくとも!」

 

同時に魔力刃を放つ、俺もそれに合わせて零落白夜を発動させハーデスの背中に切りかかる

 

「グハ!小僧!!!」

 

俺に手を伸ばしてくるハーデス。その突きに合わせてしゃがみ込み、俺の頭上を素通りするのと同時に横に飛んで

 

「もう1発喰らっとけ!!!」

 

胴を蹴りつけ間合いを離しながら雪片で一閃する。それは残念ながら浅く傷をつけただけだが、龍也達と合流するだけの隙を得る事ができた

 

「良くやった。いい判断だったぞ」

 

「気付かなければただのマヌケだがな」

 

どうやら龍也達は俺が動くのを待っていたようだ、そう言う計画なら最初から言ってくれればいいものを

 

「気を緩めるなよ。本番はこれからだぞ」

 

龍也の言葉に頷きハーデスのほうを見ると斬られた傷を見てにやりと笑いながら

 

「礼を言うぞ小僧。これでやっと対等な戦いが出来るという物だ」

 

俺に礼!?どういうことか判らずに混乱しているとハーデスは

 

「あの複合結界は俺が進化した時に強制的に発動した物でな。俺自身でも解除できなかった……戦いを楽しみたいと言うのにあの結界は邪魔としか言いようがなかったんだ」

 

にやりと笑い嬉しそうに剣を構えたハーデスは俺達を睨み

 

「俺の武器はいつだってこれだけだ。行くぞ!」

 

ハーデスがそう叫ぶと背中の楯から赤黒い光が放たれ、信じられないスピードで突っ込んでくる。瞬時加速に似ているが、それよりも遥かに速い

 

「うお!?」

 

ブースターで横に避け剣を構えなおすがハーデスの姿は見えず、代わりに上空から鋭い金属音が聞こえてくる。咄嗟に顔を上げると打ち合いをしている龍也とハーデスの姿が見える

 

「小僧。下手に動くな巻き込まれるぞ」

 

ペガサスの言葉に踏みとどまる。剣士同士の戦いに割ってはいると痛い目にあうと言うのはクラナガンで学んだ。ここは動かないのが得策なのだろう

 

「集中を緩めるな。くるぞ!」

 

「オオオオッ!!!」

 

直角に曲がって突っ込んできたハーデスの一撃を雪片で受け止めるが

 

(重い!?なんて馬鹿力だ!?)

 

僅かながらの魔力サポートをしているのにそれでも受け止めるのだけで手一杯だ

 

「下がるな!前に出ろ!」

 

俺と同じように攻撃を受け止めているペガサスの声を聞いて、下がりかけた足を強引に前に出す。下がればそこから押し込まれるからだ

 

「おおおおお!!!」

 

とんでもなく重いハーデスの剣を気合をこめた一振りで弾き返すと

 

「いいぞ小僧!もっと俺を楽しませろ!!!」

 

嬉しそうに剣を振るってくるハーデスは俺とペガサスを同時に相手にしてもなお余裕を見せていた。それほどまでに力の差があるということか。龍也は龍也で

 

「やれやれ鬱陶しい事だ!!」

 

近くの影から無尽蔵に湧き出してくるネクロの相手をしていた。援護は期待できないだろう……だけど

 

(俺は負けられない)

 

俺はもう逃げたくない。今度こそ自分で決めた事を最後まで貫く!雪片を握りなおした瞬間

 

ドクン!

 

(なんだ?身体が熱い)

 

身体が熱い。いや何か判らないが気力が満ちて来る。これなら行ける!!!俺は上段から振り下ろされた剣を回避しそのまますれ違いざまに横薙ぎを放った。信じられないくらいに身体が軽い……これなら互角とまでは言わないが、足手纏いにはならないはずだ。俺はもう1度雪片を握りなおしハーデスを睨みつけるのだった……

 

 

 

この小僧。恐ろしい成長速度だ、実践の中で成長しているのか?俺は目の前の小僧を見て少しながら恐怖を感じた

 

「ぬんっ!!」

 

リンカーコアの魔力を使いブースとしたことで強化されたヒュプノスを振り下ろす

 

「おおおっ!!!」

 

剣の腹でそれを受け止める、いや受け流しながら間合いを詰めてくる。今までとは比べられない動きだ

 

(面白い!)

 

既に完成しきっている守護者やペガサスとは違う。未知数の相手と言うのも悪くはない

 

「シッ!!!」

 

急加速で切り込んできたペガサスの剣を受け止めると同時に小僧が下がり守護者の元に行く

 

(なるほど……守護者らしい戦い方だ)

 

守護者は小僧の体力と気力を回復させている。その間はペガサスが俺を引き止めておくと……

 

「邪魔をしないのか?」

 

ペガサスが俺と剣を交えながらそう尋ねてくる。互いに二刀流剣士、こうして喋っている間も互いの隙を窺い、眼前の敵を屠ろうと何度も何度も剣が交差する

 

「詰まらんことを言うな、俺は戦いを楽しみに来たんだ。それが長引くのならそれを邪魔する理由はない」

 

「そうか。ならば……存分に楽しみ死ね!!」

 

ペガサスがするりと俺の間合いに入り込み。その距離は既にゼロ距離といえる

 

(嫌な予感がする!)

 

俺の長年の戦いの経験が告げているこの距離にいてはならないと、咄嗟に後ろに飛びのくが

 

「貴様だけはここでしとめる!御神流奥義之弐・虎乱ッ!!!」

 

ほぼゼロ距離から放たれた無数の剣戟が俺を同時に襲う。それはまるで暴れ狂う獣その物の荒々しく、そして絶大な殺意を持つ一撃

だがこの技は見たことがあった。

 

「そうか!貴様はあの世界に生き残りか!ペガサス・ダウンフィルド!いいや!テンマ・カミナギッ!!!」

 

その縦横無尽に迫る斬激を弾き、いなし、楯で受け止める。俺が目覚めて不安定な時に滅ぼした世界で対峙した剣士の技だ。容姿が変わっていて気づかなかったが間違いない

 

「そうだ!貴様によって殺された仲間達の仇……今ここで取らせて貰う!!!」

 

その目に憎悪と殺意の色を宿すペガサス……それを見て俺は思わず笑みがこぼれた

 

「いいだろう!来い!!!あのときの俺は不完全だったが、今の俺は違うぞ!!!」

 

あの時はただ魂を喰らい、世界を滅ぼすことしか考える事が出来なかった。だが俺の魂はこいつとの戦いを楽しんでいたのを覚えている

 

「関係ない!貴様だけはここで!今この場所で滅ぼしてくれる!!!」

 

力強く地面を蹴るペガサスの姿が消える。あの世界でも見た超高速移動だ。

 

(ふふふ。これは守護者達を見ている場合ではないな)

 

ペガサスの動きに集中してなければ何が起こっているのか判らぬうちに切り伏せられる。俺は守護者達から意識を外しペガサスの気配だけに集中するのだった

 

 

その頃当然龍也達は知るよしもないがこの近くに来ている少女の姿があった、ツインテールの小柄な少女。鈴だ

 

「一夏……」

 

自身の第六感とでも言うのだろうか?とんでもない嫌な予感を感じた鈴は、なのは達に嘘を付きこの場に来ていた、ISもない。魔力もないそんな鈴ができることなど何一つない、いや出来る事は1つだけあった。鈴は両手を組み合わせ一夏の無事を祈り始めた

何か嫌な予感を感じそのままで居る事など鈴には出来ないのだった……

 

 

 

 

龍也に体力と魔力を回復させて貰ってる中聞こえてきたペガサスの叫びに

 

「もしかして龍也がペガサスに協力しているのは」

 

「お前の予想通りだと言っておこう、よし終わりだ」

 

龍也の言うとおり体力と魔力は回復してきている。ペガサスがネクロを裏切った理由は

 

(自分の仲間の仇を取るために)

 

ペガサスがネクロになったものその為と言うことなのか……

 

「一夏気を緩めるな、直ぐに飛び出すぞ」

 

「でも押して……」

 

俺の見た感じではペガサスがハーデスを押している感じに見えるのだが……

 

「ペガサスはその意思で完全なネクロ化を抑えていたが、既にもう限界が近い。こうして打ち合っていてはその進行は爆発的に加速する。ペガサスが完全にネクロ化したら死ぬぞ、私もお前も」

 

冷や汗が流れた龍也でも死ぬって……龍也は最強と呼ばれる魔法使いなのにか?と思っていると龍也が説明してくれた

 

「単純に相性の問題だ。ぐーとチョキのようにな、私とペガサスは相性がとことん悪いんだ。それよりも行くぞ!」

 

龍也の姿が消えたと思ったのと同時にペガサスが俺のとなりに現れる

 

「ぜえ……はぁ……はぁ……くそが」

 

悪態をつくペガサスは見るからに消耗している。それはもしかするとネクロ化が進んでいるのかもしれない

 

「俺の事を気にしている暇があれば行け!戯け!1人で相手をするのはしんどい相手だぞ」

 

ペガサスの睨みにびくんと背筋を伸ばす。その余りに鋭い眼光に身体が震えてしまったが

 

「判ってる!」

 

俺はペガサスにそう返事を返し、瞬時加速でハーデスと龍也の間合いに飛び込んだ

 

「来たか!小僧!お前の力を見せてみろ!!」

 

楯から魔力波を放ってきたハーデスの一撃を加速しながらしゃがむ事で回避し、起き上がる勢いを使って下からの切り上げを放つ

 

「ほう!良い反応だ!!!」

 

「烈火刃!!!」

 

俺に意識を向けたハーデスの隙に龍也が燃えるクナイを放つと同時に巨大な西洋剣を構え上段から振り下ろす

 

「ちいっ!」

 

ハーデスは舌打ちしながら楯でクナイを弾き。龍也の一撃を剣を十字にして受け止める

 

「はっ!!!」

 

がら空きの胴に雪片を叩き込む。どちらかしか防げないように龍也は誘導しているのだ、こう言う所は経験の違いだなと思っていると

 

「馬鹿野郎!止まるな!!!」

 

龍也の怒声が聞こえた瞬間横に突き飛ばされる。思わず尻餅をついた俺の耳に聞こえてきたのは

 

「ごぼお!?」

 

くぐもった悲鳴と鋭い風切音、そして振り切られたハーデスの拳……そして蹴られたボールのように宙を舞う小柄な影

 

「り、鈴!?」

 

ごろごろと地面を転がっていたのは鈴だった。龍也達が知るよしもないが、鈴は第六感とも呼ばれる鋭い勘で一夏達のほうに来ていたのだ。そして一夏の危機に思わず飛び出してしまったのだ

 

「おい!おい!鈴!おい!!」

 

倒れている鈴に近寄り声を掛けるが反応がない、それに顔には血の気がない

 

「一夏動かすな!死ぬぞ!」

 

龍也が駆け寄ってくるのが見える。死ぬ……鈴が?俺のせいで?護りたかったのに?……頭の中が真っ白になった瞬間

 

【はぁ!オレの出番だな!!!】

 

「う、うおあああああああああッ!!!!」

 

白式が一瞬に黒に染まっていくのが見える。それに顔に仮面が現れるのを感じながら俺の意識は闇へと沈んだのだった……

 

 

 

 

「あの馬鹿者が……」

 

俺は思わず舌打ちしてしまった。戦場で足を止めるそれは自殺行為としかいえない行為だ。

 

「は、はははははは!!!!いいぞ!絶望が深い、より高いシンクロをしている!!!」

 

黒く染まった甲冑を着込み高笑いしている小僧。良く見るとどす黒い魔力がその全身を覆っている。その雰囲気はネクロに近いものがある

 

(余計な手間を掛けさせやがって)

 

あのままでは駄目だ。暴走状態の攻撃がハーデスに通用するとは思えない、それにあのままでは駄目なんだ。今の小僧には剣を取る覚悟もその意味も何一つ理解していない

 

「貴様はどういう鍛え方をしていたんだ!」

 

活性化するネクロの因子を必死に押さえ込みながらそう怒鳴ると

 

「私に何でもかんでも文句を言わないで貰おう、できること出来ない事があるんだ」

 

守護者はそう言いながら血の気のない少女の治療を施しながら

 

「使え。ネクロの因子を押さえ込む術式が刻んである」

 

投げ渡されたブレスレットを身につけると確かに少しだけ楽になった。だがブレスレットは小刻みに振動し、長く持たないだろう……

 

(それだけ俺の限界が近いということか)

 

「あの馬鹿を叩きのめして正気に戻してくれ。私も治療が終われば合流する」

 

「厄介ごとばかりを俺に押し付けるのか?」

 

「因子を抑えてやってるのに私の魔力を使ってるんだぞ?私が正面斬って戦えないのだからお前が何とかしろ」

 

その言葉に舌打ちする。俺の中のネクロの因子はかなり活性化している。それを押さえるために守護者は魔力を使い続けている。普段先陣を切る守護者が後方支援に回っているのは俺のせいだと言える

 

「ちっ!判った。任せておけ」

 

それにあの小僧は俺が見つけた逸材でもある。ここで暴走、いや浸食されて自我を失わせるのは余りに惜しい。クラウソラスを構えなおし、俺は小僧とハーデスに向かって駆け出した。恐らく互いに互いを敵と認める乱戦になる、だがそう言う戦場こそ

 

(俺の独壇場だ)

 

自分よりも多い敵と戦うのはなれている。それに向こうの動き方もある程度理解しているし、それにここは御神流の剣士が最も力を発揮できるとも言える森の中。全ては俺にとって有利に動いているが、問題は1つ

 

(終わるまで持つかどうかだな)

 

守護者から渡されたブレスレットとペンダント。それを触媒にネクロの因子を押さえているが、今もぎしぎしと悲鳴を上げている。これがいつまで持つか判らない。もしかすると最後まで持たないかもしれないが

 

(この時だけを考えて生きてきた!こんな所で立ち止まれるか!)

 

この時の為だけにネクロとなり、裏切り者の汚名を背負ってまで生きてきた。ネクロの因子の活性化?完全なネクロ化?そのリスクを背負ってもなお敵討ちのために生きていた。ならばその程度で立ち止まれるわけがないのだから……例えネクロと化してもなおハーデスだけはこの俺が倒すと決めたのだから、この身体がネクロと化したとしてもこの魂だけは渡しはしない!!!

 

第115話に続く

 

 




次回も戦闘回で続いていきます。鈴が出てきたのは自分が好きなキャラであるのと同時に行動力があるヒロインだからですね
次回はもっと戦闘メインで行きたいと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。