IS~現れたる神なる刃【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話は前半はネクロとの戦闘結果を分析する龍也達。後半はペガサスの事を考える一夏と言う感じで進めて行こうと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします



第118話

 

第118話

 

昨晩のハーデス達の襲撃を切り抜けたが、それとは別にある問題が起きている。龍也の言葉で地下のブリーフィングルームで待っていると

 

「くそ……やってくれたな」

 

頭を掻き毟りながらブリーフィングルームに入ってきた龍也は酷く不機嫌そうだ。

 

「何かトラブルでもあったのか?」

 

私の知る限りでは凰が独断で行動して負傷したくらいのはずだが……

 

「トラブルだらけだ。油断していたよ、全く」

 

溜息を吐きながら更識とユウリのほうに近づいた龍也。あの2人に何か?と思ってみていると龍也は真剣な表情で2人の目を覗き込んでいる

 

「な、なにか?」

 

「ワタシに何か言いたい事でも?」

 

龍也にじっと見つめられていた更識とユウリがそう尋ねるが、龍也は返事を返さず今度は

 

「な、なにかしら?」

 

「……」

 

スコールとオータムの目を見つめる。そして最後に私のほうに来て

 

「なんだ?何か事情があるのか?」

 

龍也は私の目を見た後椅子に腰掛け、少し冷めているコーヒーを口に含み

 

「一夏と私を覗いて全員暗示に掛けられている。私でも解けない様な非常に強力な暗示だ」

 

「「「なッ!?」」」

 

龍也の言葉に私を含めて全員が絶句する。龍也はやれやれと肩を竦めて

 

「箒達も全員だ。今確認してきたが何かの記憶に関する封印系だな……別に急に襲い掛かるや凶暴化するような物では無いようだが……はやて達も掛かっている事を考えると並みのネクロではないな」

 

龍也の言葉に全員が顔を見合わせる。いつネクロに暗示を掛けられたのか判らない、そして自分達に何が起こっているのかも理解できず、若干の恐怖を覚える

 

「本当に害はないのか?いきなり同時討ちになっていたなんて洒落にならんぞ」

 

私がそう尋ねると龍也は心配ないと断言してから

 

「その手の暗示は何らかの出来事をトリガーにして発動する。そう言うものが無いか精神を見せてもらったが心配ない。ただの記憶封印だ。ただといえるレベルの安い暗示ではないがな」

 

ちょっとまて……精神を見た?それってまさか記憶とか私が何を考えているかもばれたと言うことか?

 

「龍也さん。そう言うのは普通許可を取ってからやるものなんじゃないですか?」

 

「ええ。感謝はしてるけど、そう言う真似は許容できないわよ」

 

「……悪いけど一発だけ、一発だけ殴らせてもらえねえか?」

 

更識やスコールも額に井のマークを浮かべている。私もいつまでもこんな冷静な振りをしていることは出来ない、とりあえず

 

「歯を食いしばってもらおうか」

 

立ち上がり拳を鳴らす。だが龍也は全く意に介した素振りを見せず

 

「私が見たのは残存のネクロの魔力が無いかの確認だ。下手にそう言う素振りを見せると隠し事をしています。と自白しているような物だとわからないのか?」

 

その言葉で空気が凍った音がした。ユウリは若干ジト目で龍也に

 

「性格悪いな」

 

「自覚はあるよ。はやてにも散々怒られた」

 

怒こられているのにそんな事をしたのかと更に私達の視線が強くなるが、龍也は涼しい顔をしたまま

 

「暗示で殺した後に目覚めたとかでも良かったかね?それに説明したとして……はい。そうですか?と納得できるか?」

 

納得できないかもしれない。はいそうですかと言って納得できるほど人間の感情と言うのは単純ではないからだ

 

「納得してくれた様で何より、本題に入りたいから座って貰えるかね?」

 

完全に龍也の手玉に取られ、その事に若干の苛立ちは感じたが、いつまでもこうしている訳にも行かないと思い椅子に腰掛けたのだが……

 

(((あのやろう、いつかへこます)))

 

私やスコールの考えは恐らく同じだっただろう。人を食ったような言動と全てを知っているのに何も言わない。その事で散々苛々させられた上に今日の出来事。私達は絶対そのうちにあいつをへこまさせてやると心に誓ったのだった……

 

 

 

楯無やスコールが睨んでいるのに龍也は涼しい顔をしたまま

 

「今回の襲撃でだが、ベエルゼ一派と協力してないネクロが1体存在している事と警戒していたハーデスを倒す事ができた。これは非常に大きい」

 

淡々と今の状況を解説していく龍也。動じないのも程があるとワタシは思う、いやあれだけ濃い面子に囲まれているから動揺しないのか?と考えていると千冬

 

「協力して無いネクロって言うのは、私達に暗示を掛けた?」

 

「それしか考えられん。もし協力してるなら、既にIS学園は落ちてるよ」

 

いくらなんでも一晩やそこらでこのIS学園が落ちるとは思えない。楯無もスコールもそれはないだろうという顔をしながら

 

「冗談?」

 

「いや、事実だな。過去の事例だが、ネクロに暗示を掛けられて一晩で壊滅した要塞もあるぞ」

 

軽い口調だが、龍也がネクロ関係の事で冗談を言うとは思えないので本当の事だろう

 

「参考までに聞いておくが、どうなったんだ?」

 

「仲間同士の殺し会い。疑心暗鬼に陥り、誰も信じることが出来ず……疲弊した所でネクロの襲撃だ」

 

戦場で最も怖いのは同時討ち。それを意図的に作り出すネクロ……今のところは真っ向から攻めてくるネクロが多いのがせめてもの救いなのかもしれない

 

「戦術に長けたネクロが少ないわけじゃないのに、態々真正面から攻めてくるのは指揮官のベエルゼの意思?」

 

スコールの言葉に龍也は少し考える素振りを見せる。龍也はベエルゼと面識があるらしいので、それから考えているのだろう

 

「可能性はあるが、情報を集めているだけとも取ることもできる。ベエルゼは騎士ではあるが、戦術家だ。こうと決め付けるのは危険だ」

 

「把握しきれないと言うところか?」

 

ワタシがそう尋ねると龍也はああっと頷いてから、いらついた素振りで髪をかきながら

 

「正直ベエルゼ単体ならある程度戦術を読むことも出来る。だが配下のネクロのベリトがいると話は別だ。あいつは中々鬱陶しいネクロだからな」

 

「私は数回はなしたことがあるけど、色々なパターンを考えてるのは良く判ったわ。それに人間に化ける事もできる「イナリ」に分身して人間社会に紛れ込んでる「ラクシュミ」どっちも厄介よね」

 

ワタシもネクロ側だったが、あまりネクロと接触する機会はなかった。スコールが主にネクロとの交渉を担当していたからワタシが知らないネクロの情報があると言うのは心強い事だ、ある程度能力が判っていれば不意打ちはある程度防げる

 

「だけどあのネクロ達の情報はないんだろう?なにか対策はあるのか?」

 

オータムが不機嫌そうに呟く。オータムが言っているのは箒達のネクロだろう、確かに知っているネクロよりもあいつらの方が何倍も危険だ

 

「正直現段階では対策は無い。今打てる手は奇襲に備える事と束に対する情報収集だけだ。何か連絡は無いのか?」

 

ネクロの今の目的は束のネクロ化。龍也的にはあの自己中心女は1度死に掛けなければわからんとかなり手痛いコメントをしていたが、ワタシも同意見だ。あいつのせいで劣勢になっているともいえるのだから

 

「連絡はつかない。直通電話でも駄目だ」

 

ネクロの目的が束のネクロ化にあると知ってすぐ束に連絡したのだが

 

「電波ジャックだな。周到に準備しているのは間違いないか……」

 

龍也は深く溜息を吐きながらこれ以上話していても意味はないなと呟く。今の時点で打てる手は何もなく、後手に回るしかないのだから、ここで結果の出ない話し合いを続ける意味はないと言うことだろう

 

「寝る前にこれを噛んでおけ。これで少しはネクロの魔力に対抗できるだろう。味は最悪だがな」

 

ガムを差し出して出て行く龍也。最悪の味と行っておいて言ったのは文句を言われる事を考えたからだろう

 

「いくらなんでもそこまで酷くないだろ?」

 

オータムがガムを頬張る。顔色が目まぐるしく変わっていく、そして土気色になってから数秒後

 

「ごぱあッ!?」

 

女性としてありえない悲鳴を上げて動かなくなった。スコールがしゃがみ込んで

 

「……息してない」

 

それに痙攣している素振りを見ると明らかに危険だ。このガムはどう考えても劇物だ

 

「「「龍也アアアアアッ!!!!」」」

 

こんな物を渡して去って行った龍也を追いかけていこうとすると

 

「はっ!?気分爽快だ。私はどうしたんだ?」

 

オータムが突然立ち上がりそう言う。おかしい息をしてなかったのに、どうしてこんなに元気なんだ……

 

「もしかして1度死んで元気になる?」

 

だとしたら誰も好き好んでこんな危険物を食べはしないだろう。だが食べないわけにも行かないわけで

 

「ワタシが先に食べる。気絶したら頼む」

 

楯無に先に食べさせる訳にも行かない。仮にも男な訳だしな……

 

「うん。私に任せておいて」

 

死にかけた後を楯無に任せてワタシはガムを頬張る。辛味・甘み・酸味・鈍痛・激痛ありとあらゆる刺激がワタシをおそい

 

「ごぱあッ!?」

 

先ほどのオータムと同じうめき声を上げ、意識を失うのだった……これは劇物なんて物じゃない、これは既に兵器のレベルだ

ただおきたら気分は今までに無いくらい絶好調で気力も体力も充実していたので回復道具としては優秀なのかもしれないとおもうのだった……そのあと楯無と千冬も頬張り

 

「「ごぱあッ!?」」

 

白目を向いて完全に意識を失った楯無を背中に背負い。ワタシは楯無の部屋に向かった。どうやら目覚めるのはかなり個人差があるらしく、楯無は2時間ほど意識を失ったままだった……楯無をおいて行くわけにも行かなかった。(いつ起きるかも判らないので近くで見ていないと不安だった)ワタシは目覚めるまでの間。ミステリアス・レイディの調整をしていたのだが……

 

「うーユウリー」

 

「ええい。やめろ引っ付くな」

 

どうも楯無は寝ぼけると抱きつき癖があるらしく、ワタシの腰元に手を伸ばしぐいぐいとベッドに引き込もうとする。寝ぼけているくせになんて力だ。離れようとするのだが、あのガムの効力か信じられない力でベッドのほうに引き込む楯無。だがそこで力尽きた……編に誤解されないうちに抜け出すかと身体を起こした所で

 

「お嬢……失礼しました」

 

虚がきてワタシと楯無を見て、顔を真っ赤にさせて出て行く

 

「まて、行くな!!」

 

「お。おおおじゃましひゃした!?」

 

噛みまくって凄まじい勢いで出て行く虚。ワタシは眠っている楯無の額に割と本気でデコピンを叩き込んだのだが

 

「むにゃー」

 

全然気にした様子を見せず眠っている楯無を見て溜息を吐いてから、腕を振りほどき再びISの調整作業に戻りながら

 

(虚は楯無に任せるか)

 

あまり面識が無いのに追いかけて行っても話を聞いてくれるとは思えないので、ワタシは楯無に丸投げすることに決めたのだった。

楯無が虚の誤解を解くのにかなり苦労することになるのだが、それはまったくの余談なので語る必要はないだろう……

 

 

 

「ペガサスか……」

 

IS学園の外れの原っぱで日向ぼっこをしながらそう呟く。ネクロになってもなお、自分の仲間と親友達の仇を取ろうとしたペガサス。ネクロだけど憎む事などできない、そんな不思議なネクロだった

 

(あんな出会いじゃなかったらなあ)

 

もしペガサスが人間で、ネクロと戦うのに協力してくれていたらと思わずにはいられない。だがもしはない、事実は1つだけ

 

(俺がペガサスを殺した)

 

雪片ごしにペガサスのコアを砕いた感触がまだ手の中に残っている。目を閉じて身体を横にする

 

(あれしか本当になかったのか?)

 

ペガサスをすくう方法は本当にあれしかなかったのか?もしの可能性を考えずにはいられない

 

「鬱陶しい!ぐだぐだしてるんじゃないわよ!」

 

「あいだあ!?」

 

聞きなれた幼馴染の声と背中に走る激痛。思いっきり背中を蹴られたので、起き上がることも出来ず寝転んだまま悶絶していると

 

「ふぎゃッ!?」

 

背中に座られ、動く事も出来なくされた。鈴って結構おも

 

「殺すわよ」

 

「ぎゃあああ!ごめんなさい!ごめんなさいいいいッ!!!」

 

鈴が体重を掛けた上に関節を極めて来る。そのあまりの激痛に絶叫していると

 

「またぐだぐだと……二十日鼠も大概にしなさいよ」

 

二十日鼠?どういうことだ?鈴の顔を見たいが、背中に座られているので俺が見えるのは青々と育った雑草だけだ

 

「考えても無駄な事を考えても答えは出ないって事。そんなことを考えるなら、命懸けであんたを救ったあたしに何か恩返ししなさい。そのほうがよっぽど健全よ」

 

その言葉にぐうの音も出ない。鈴はハーデスとの戦いで俺を庇って重傷を負った。もし龍也がいなければ死んでいてもおかしくないレベルの怪我だったらしい

 

「すまん「だれも謝れなんていってないわよ馬鹿」

 

鈴はそう言うと俺の頭に手を置いて。優しく撫でながら

 

「ぐたぐだとくだらない考え事してないで、あんたの進む道は決まってるでしょ?龍也と違う守護者。それを目指せばいいじゃない」

 

その言葉に息を呑む。それはペガサスの遺言とも言える言葉だったからだ

 

「龍也の正義は正しいわ。だけど周りにいる人間を皆傷つける、だけど龍也はもう立ち止まれない。だけどあんたはどうなのよ?あたしとは箒とかを傷つけて独りよがりの正義を貫くの?」

 

「違う!」

 

確かに俺は誰かを護りたいと思う。だけど俺には龍也の様にはなれない……いや、なりたくない。自分の感情も何もかも捨て去ってしまう。確かにそうすれば護れる者も増えるかもしれない、だけどそれ以上に傷つけてしまう人間が増えるからだ。鈴は俺の背中から立ち上がると

 

「じゃあ龍也と違う守護者になる第一歩。あたし達にデザートを奢る事」

 

「は?達……ってあれえ!?」

 

鈴しかいないと思いきや箒にセシリアにラウラにシャル。それにマドカと全員いた、しかも私服で少しだけ苦虫を噛み潰したような顔をして

 

「鈴。お前偶にすごいな」

 

「本当ですわ。尊敬します」

 

「当然。あたしは凄いのよ」

 

「凄い馬鹿なんだよね?判るよ」

 

シャルが爆弾を投下して鈴が鬼の形相になる。何もかもがいつも通りで

 

「あ。あはは」

 

今まで悩んでいたのが嘘のように晴れやかな気分になり笑みが零れる

 

「む?どうかしたのか?」

 

ラウラが怪訝そうな顔で俺の顔を覗きこんでくる。俺はそれになんでもないと返事を返し、しーっと静かにとジェスチャーをしてラウラとマドカ。それにヒートアップしているシャルと鈴から逃げて来た箒とセシリアを連れてある程度はなれた所で

 

「おーい!アットクルーズに行くんじゃないのかー?おいてくぞーッ!!!」

 

そう声を掛けてから走り出す。俺に気づいた鈴とシャルが追いかけてくるのを感じながら

 

(ペガサス。あんたのおかげで少しだけ戦うって事と護るって事が判った気がする)

 

だから俺が目指すよ。龍也とは違う守護者を、俺がそんな存在になれるかは判らないけど、そうなりたいとおもうから……俺は自分でも驚くような晴れやかな気分で駅のほうへと走るのだった……

 

「一夏は道が今度こそ決まった見たいやね?」

 

ステルスで近くに隠れていたはやてがそう呟くと、その隣に龍也が現れて

 

「そのようだな」

 

一夏達を見ていた龍也とはやてが穏やかな笑みを浮かべて呟く

 

「兄ちゃんみたいな守護者にならんとさ?」

 

「それでいい。こんな大馬鹿は私1人で充分だ」

 

「馬鹿って判ってるなら止めたらどうや?」

 

「無理だ。むしろこんな馬鹿を構うのは止めたらどうだ?」

 

「それこそ無理やって♪」

 

おだやかに笑うはやてに仕方ないと肩を竦めた龍也は空を見上げてから欠伸をして

 

「少し昼寝でもするか?良い木陰もあるしな」

 

「そやねーたまにはいいかもしれんなあ」

 

龍也とはやてはそのまま木陰に座り込んで、木に背中を預けて眠りに落ちていくのだった。戦いという非日常の中にある日常……それを護る事こそが戦うことの意味なのだ……

 

第119話に続く

 

 




コメデイとシリアスタッチで進めてみました。多感の学生時代、迷うのは当然だけど、いつまでも迷っていては駄目だとおもうんですよね。せなかを押してくれる存在は大事だと思います。そろそろ束編を書いていこうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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