IS~現れたる神なる刃【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。この話の終盤から「束」編を書いていこうと思います。ここからが終盤の話に向けての話にして行こうと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


第119話

 

 

第119話

 

最近姉さんの事ばかり考えてしまう。ネクロに狙われていて危険だと判っているのに連絡が取れない。危ないと危険だと伝えたいのにそれが出来ないもどかしさ……確かに姉さんとは距離を置いていた、だけど大切な家族であることには違いはない……

 

(私はどうしたいのだろうか)

 

姉さんには生きていてほしいと思う。だけど私は長年感じていた、姉さんが私をちゃんと見てくれているのか?あのどんよりとした隈のある目を見るとどうしても嫌悪感を抱いてしまう。箒ちゃん、箒ちゃんと私を呼んでくれているのに、あの人が私を見ていないような気がずっとしていた……

 

(かと言って私に出来る事は無い……龍也さん達を頼るしか……)

 

龍也さんの話では可能性の話だが、人間が敵に回る可能性があると言っていた……そんな戦場に私達を出す事は出来ないと言う龍也さんの判断で私達には詳しい情報は何一つ伝えられていない……それに龍也さんが姉さんを助けてくれるかどうなのか?と言う不安もある……

 

「何悩んでるんだ?箒?」

 

突然声を掛けられて顔を上げると一夏が不思議そうに私を見ていた

 

「なんでもな「唸りながら時折頭を振って歩いてたぞ?」!?」

 

慌てて周囲を見るとなにか可哀想な者を見るような顔をしている生徒が数人いて

 

「く。っくくく!見るな!!!」

 

気恥ずかしくなりそう怒鳴ると興味津々と言う感じで私を見ていた生徒達はあっと言う間に見えなくなった。ふ、不覚だ。そこまで考え込んでいる事にすら気づかなかったとは……

 

「俺の部屋で少し話でもするか?マドカいるけど」

 

一夏の言葉に少し考えてから頷く。一夏と2人きりならとても話にはならないが、マドカがいるならそこまで緊張する事も無いだろうから

 

「それでどうしたんだ?」

 

麦茶を差し出してくる一夏になんと言えばいいのかと考えているとマドカが

 

「束の事だな?どうすればいいのか?自分が何を出来るのか?と考えているのだろう?」

 

「その通りだ」

 

私の考えている事を言い当てたマドカはふんっと小さく鼻を鳴らしてから

 

「龍也に頼めばいいだろう?姉を助けてくれと、私ならそうする。一夏でもな」

 

確かにそれが正しい反応なのだろう。自分が出来ないのなら出来る相手に頼むしかない。だが……

 

「姉さんが龍也さんの言うことを聞いてくれるとは思えない」

 

それが最大の懸念なのだ。龍也さんなら頼めば聞いてくれるとおもう。だけど姉さんが問題なんだというと

 

「まぁ束さんの性格を考えるとなぁ」

 

「それもあるが覚えているだろう?臨海学校のときのことを」

 

姉さんと龍也さんはかなりピリピリした空気になっていた。龍也さんはそうでもないのだが、姉さんが一方的に嫌っている。助けに来て貰ったとしても龍也さんの手を跳ね除ける可能性がある。むしろその可能性が高い

 

「くだらん。バカな考え休むに似たりと言う言葉を知らんのか?」

 

「馬鹿にするなよ。知らないわけが無いだろう」

 

「下手の考え休むに似たり」と同じ意味の……そこまで考えた所でマドカの言わんとした事を理解した。マドカは私を見て

 

「今お前のしていることが正にそれだ。今何を考えても妙案など出るわけが無い、だが束が死ねば……少なくともお前はずっと後悔するだろう」

 

肉親が死ぬのだ、後悔しないわけが無い。それだけは判っている

 

「ならば今お前の出来る事はなんだ?」

 

「それは……」

 

判っている1つしかないと、姉さんと龍也さんが喧嘩する事になったとしても……生きていたほうが良いに決まっている

 

「判ったな?なら行け。龍也は海辺で釣りをすると言っていたぞ。判ったなら早く行け、折角兄さんとゆっくり出来る時間を邪魔するな」

 

しっしと手を振るマドカに一夏が

 

「いや、そう言うのは良くないと思うぞ?」

 

一夏がそう咎めるがマドカは我冠せずと言う顔をして私を少し睨みながら

 

「知らん」

 

不機嫌そうなマドカ。一夏とゆっくり出来る時間を邪魔されたので不機嫌なのだろうなと苦笑しながら

 

「ありがとう。今度部屋に来い・写真を分けてやろう」

 

「っておい。なんだ写真って」

 

「グロスだ」

 

「グロス単位も何に使う気だ!?」

 

一夏の悲鳴にも似た突っ込みの声は無視して、私は海辺へと走り出したのだった……

 

「写真は冗談だよな?」

 

「♪~♪」

 

「頼むから違うといってくれ!!」

 

残された一夏は楽しげに口笛を吹くマドカにそう叫んだのだが、マドカは一切返事を返さなかった。写真がどうなったのかは誰にもわからない

 

 

 

はやてやなのはも邪魔しないと言うので釣りに来ていたのだが……

 

「釣れんな」

 

まぁ禄に釣れるとは思ってなかったが、2時間竿を出して何のあたりも無い。潮通りは良さそうなので連れてもおかしくないのだが……

 

(まぁ気分転換にはなるか)

 

置き竿にして近くの岩場に寝転がる。波の音と潮の香り。これだけでも大分気分転換になるなと思っていると

 

「釣れないですか?」

 

「ん?簪か?見てのとおりだ」

 

「簪だけではないですよ」

 

簪だけじゃなくてエリスもいたのか。それは悪いことをした

 

「すまんな、のんびりしていたので気配を探ってなかったものでね」

 

普段なら気付くのだが、今は休む事を考えていた。なので2人の気配にも丸で気付かなかったと謝罪すると

 

「謝らなくても……いいです」

 

「急に着た私達が悪いのですから」

 

「そうか、そう言って貰えると助かるよ」

 

身体を起こして釣竿を見るが投げ込んだままで浮きは何の反応も示さない。仕掛けを回収して、ルアーの準備をする

 

「ルアーをするんですか?」

 

「ああ。浮きじゃ駄目みたいだからな」

 

どうも海老を食う魚がいないみたいだから。とルアーに変えて投げ込もうとすると

 

「教えてくれないですか?」

 

「釣りをか?構わないが?」

 

簪が釣りを教えてくれと言うので手にしていた釣竿を渡し、仕掛けの投げ方を教える

 

「スプールをあけて、指でラインを押さえてだな……」

 

「こ、こうですか?」

 

ぎこちなく投げる準備をした簪にそれで良いと言って、目標となる岩を見て

 

「軽く振りかぶって、遠心力と竿の弾力で投げるんだ」

 

ゆっくり振りかぶり投げた簪のルアーは

 

ひょろひょろ……ぼしょ

 

「あ……」

 

ふらふらと飛んで殆ど目の前に落ちた。まぁ初めてならこんな物と苦笑しながら

 

「今度はエリスがやってみるか?」

 

「私はある程度知っているので」

 

簪から釣竿を受け取り振りかぶるエリスは慣れた手つきで仕掛けを投げ込んだ

 

「ほう、上手い物だ」

 

「サバイバルの訓練で覚える必要があったので」

 

ツバキさん仕込みか。確かにサバイバルで釣りが出来ると出来ないだと生存率が違うなと思いながらリーリングをしているエリスを見ていると

 

「龍也さん!」

 

「ん?箒かどうかしたか?」

 

膝に手を置いて荒い呼吸を整えている箒にそう尋ねながら、クーラーからスポーツドリンクを取り出して渡す

 

「す、すまない」

 

「いや別に構わないが?」

 

箒も釣りがしたい……それはないか、随分と真剣な顔をしてるしな

 

「束の事か?」

 

箒の肩が動く、どうやら図星の様だな……私は釣竿を手に私を見ている簪とエリスを見て

 

「簪とエリスに聞かれると不味いか?」

 

家族の問題はデリケートだ。嫌ならはなれるか?と尋ねると箒は構わないと小さく返事を返して

 

「龍也さんは姉さんを助けてくれるのか?感謝されないとしても」

 

「別に私は感謝して欲しいわけじゃないしな」

 

感謝して欲しくて人助けをするわけじゃない。それに経験上助けたとしても恨まれた事などこれでもかってある

 

「なら姉さんを助けてくれるのか?」

 

「さぁ?」

 

「なっ!?どういうことだ!?」

 

私の言葉に怒りを露にする箒と信じられないと言う顔で私を見ている簪とエリスに

 

「あの手の人間はな、壊れてるんだよ。ああ、徹底的にな。私もその手の人間だから判る」

 

束は感性が死んでいる。自分が楽しむ事だけを考える、その為ならばこの世界などうでもいいと考える人種だ

 

「助けには行くかも知れない。だが生かす価値もないならば……見捨てる。判るな?」

 

助けた所で味方にならない人間を助けるために命を賭ける道理は無い。私は確かに自分の命を軽んじてはいるが、自殺志望者ではない

 

「……それでも一応は助けに行くんでしょう?」

 

簪の言葉に私は少し考えてから頷き

 

「その価値があるかどうかはその場で考える。これ以上は私に言える事は無い。見捨てるかもしれんが、全力は尽くす。だから後は……」

 

俯いている箒を見る。今箒の頭の中では色々と葛藤があるのだろうな……私はもう1本釣竿を用意しながら

 

「お前が信じることが出来る束を信じてみろ。私は今の束しか知らん。あの馬鹿をな、だけどおまえの知ってる束が少しでもまともなら……まぁ考えなくも無い」

 

返事を返す事無く歩いていく箒を見ながら仕掛けを作っていると

 

「相変わらずずるい人ですね?」

 

「大人はそう言うものだ」

 

エリスの言葉にそう返す。私は今の束しか知らない、今の束なら救う価値は正直ない。あの手の馬鹿は死ななければ治らない、だけど

 

「箒さんがしるお姉さんなら助ける?」

 

「まぁそんな所だ。どっちにせよ束しだいと言うことだ」

 

私はそう呟きながらミノーを岩陰に投げ込み。竿先を小刻みに振りながらラインを巻き取っていると

 

「見捨てるなんていうだけなんじゃないですか?」

 

「良い人の龍也さんがそう簡単に見捨てる事ができないとおもうんですけどね」

 

交互に交代しながら釣竿を投げ込んでいる簪とエリスにそう言われた私は、コートからタバコを取り出して火をつけながら

 

「ご想像に任せる」

 

くすくすと笑う簪とエリスに居心地が悪いものを感じながら、足元まで戻ってきたルアーを再度投げ込みながら

 

(最近考えてる事がばれやすくなったなあ……歳か?)

 

考えてる事が顔に出ているようではまだまだだなと苦笑しながら。再度ルアーを投げ込んだのだった……

結局この日は一匹も魚を釣ることはできなかったが、まぁ中々に有益な時間だったとおもう

 

「素直じゃないのは良くないと思いますよ?」

 

「はやて達も言ってましたよ。憎まれ口を叩くけど、多分龍也さんは束さんを助けるって」

 

「ノーコメント。帰るぞ」

 

訂正。からかわれたり、生暖かい目で見られたので少し精神的に疲れた1日だった。だがまぁそれなりには有益な時間だったとは思う……

 

「兄ちゃんバレバレやなぁ」

 

「そうだねー」

 

簪とエリスが龍也の考える事が判ったのは近くでステルスに待機していた、はやてとなのはの念話による物だったりする

 

「私は邪魔しないって約束したもんな」

 

「うん。私はね」

 

自分達は邪魔しないが、他の人間がしないとは約束していないという子供のような屁理屈でそれを回避したはやてとなのははと言えば。満面の笑みでカメラを見つめて

 

「珍しい写真を沢山撮れたね♪」

 

「そやなー♪」

 

知り合いしか判る事の無い、龍也の動揺した顔やうろたえている写真を撮ってにこにことご満悦だったりするのだった……

 

「留守番をしてるフェイトちゃんにも分けてあげんとなー」

 

「電気の魔力変換を出来るから留守番だもんね」

 

ただしくは高圧の電力でISの改修の手伝いをしているのだが、最後の最後まで渋っていたフェイトの事を考えながら、2人は楽しそうに鼻歌を歌いながらIS学園へと帰ろうとして

 

「言いたい事はそれで全部か?」

 

「「あ。あははは……」」

 

腕組している龍也に見つかり、乾いた笑みで笑うのだった……その後2人のカメラがどうなったか態々言うまでも無いだろう……

 

 

 

 

「くそがッ!あの野郎ッ!!!」

 

ヨツンヘイムの壁を蹴りながらそう怒鳴る。思い出すのはあの勝ち誇った盟主の顔とあの言葉

 

【あの男の価値を見出したのは僕だ。故にあの男は僕の物だ。逆らうのなら、僕と戦うのか?】

 

にやにやと笑うあの顔を思い出す度に腹が立つ。お父様の価値を見出したのがお前?ふざけるなッ!!

 

「私のお父様を!良くもッ!」

 

盟主がお父様を消した。その事に激しい怒りを覚えるだが……まだ生きているのは判っている

 

(この時間軸のお父様がまだ消えていない)

 

未来が消えたら今のお父様にも影響がある。だけどそれがないと言うことを考えると……お父様はまだ生きている。ただ、どこにいるのかが判らないと言うだけのはずなのだが……

 

「なーに?ネルヴィオ。随分と荒れてるわねえ」

 

「失せろ。潰すぞ」

 

にやにやと笑うイナリに本気で殺気を叩きつける。LV3の癖に私を挑発する?身の程を知らないにも程がある。イナリもそれが判っている様で肩を竦めて後ずさりしながら

 

「ふ、ふん!今更凄んでも遅いのよ!ベリト様は私に束を仕留めるように命じられた!今更お前に出来る事なんて何もない!」

 

馬鹿にするかのように言うイナリ。ああ、やっと動く事になったのか。まぁ私はその事なんてどうでもいいが、下手な事を言うとイナリが絡んでくるのが判っているので

 

「それは残念ね。まぁ貴女ならうまくやるでしょうよ」

 

私がそう言うとイナリは少しだけ驚いた顔をしてから

 

「私が失敗する事を祈っているのかしら?」

 

「別に?私は貴女なら出来るって判ってるから」

 

元々イナリは呪術に長けたネクロでもある。恐らく何の問題も無く、束をネクロ化させる事ができるだろう……

 

「……調子が出ないわね。まぁ良いわ。私はもう出るから」

 

出撃する前に私を挑発してくる?……珍しく、動じているのかもしれない……背を向けて歩いていくイナリの背中を見つめながら

 

(まぁどうでもいいか……)

 

束の所で欲しい人材と言えば「アズマ」だけだ。アズマは恐らく攻撃に反抗するはずだ。そうすればいつかは力尽きるだろう、そして戦闘力を充分に見せればイナリが回収してくるだろうから、私が無理に動く事も無いけど……

 

(あいつが何を考えているか判らないしね)

 

アズマが何を考えているのか判らない。もしかすると何かとんでもない事を考えているのかもしれない。束を生かすためならば、なんでもするタイプの人間だ。私と同類の人間だから良く判る……

 

(少し様子を見に行ったほうがいいかもしれないかな)

 

手を出す理由は無いが、アズマはネクロにすると考えればかなり優秀なネクロになると思う。みすみす手放すには惜しい存在だ……かといってイナリが任されたのだから、私が見に行くのもおかしいような気がする……少し考えてみて……

 

(私は別に従う理由も無いしね。好きに動くとしましょうか)

 

別にベエルゼ達の考えに従う理由も無い。それになりよりも……

 

(今は動かないと苛立ちが収まらない)

 

あの野郎が何を考えているのかは判らないが、今はじっとしていたくない……

 

「行きましょうか」

 

本当は盟主のところにいたからゆっくり休みたいのだが、今はそんな気分じゃない。私は束のラボへと転移することにした、そこならば待っていればお父様にも会えるだろう……今まで近くで顔を見ることは出来なかった。あの女達に邪魔されて会うことが出来なかったから、だけど今回は邪魔者はいない。会って話すことが出来ないとしても、顔を見るくらいはいいだろうと思う……戦いになったとすれば逃げればいいのだから……

 

「モモメノ。行こうか?お父様に会いに」

 

「うん。行きたい」

 

笑顔のモモメノを抱え、私はヨツンヘイムを後にしたのだった……そしてこの研究所での戦いがこの世界での争いの始まりになるのだった……

 

第120話に続く

 

 




次回は束視点で行こうと思います。束編は3話構成位でやっていこうと思います。その後も束をメインにしたイベントをやって最終章に向けていこうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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