IS~現れたる神なる刃【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回で束編は終了になります、今回はかなり暗い感じで進めて行こうと思います。死亡者とかも出ますが詳しい描写はないので年齢制限は大丈夫だと思うのでそのままで行こうと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします



第125話

 

第125話

 

セリナとの話で自身に迷いを感じながらも、今はそんな事を考えている場合ではないと割り切り、龍也と合流するべくくらい通路を走っていると

 

「「「キキ!!!」」」

 

通路の隙間や廃棄されたISから黒い影のようなネクロ。LV1が姿を見せる

 

「邪魔だ!!」

 

龍也から借りてきたAMF加工とやらを施されたブレードで両断し進む。この狭い通路ではISを展開すると機動力が低下してしまう、リスクはあるが生身で進むのが正解だ。腰のホルスターから同じくAMF加工を施されたハンドガンを取り出し

 

「そこだ!」

 

完全展開はしていないが、腕と頭の装甲は展開している。ハイパーセンサーによる索敵で奇襲を防ぎ、腕の装甲のブースターを使い剣戟の威力を上げてひたすら走る

 

(飛行は不味い)

 

背後から追いかけてくるネクロの気配。両断は出来ても倒すまでにはいたっていない……ここで空を飛べばそこから捕まる

 

(あと1ブロック!)

 

ISに読み込んだこのラボの地図。あと1ブロック進めば通常の通路に戻る事ができる。そうすれば完全展開してそのまま離脱すれば良い……だが

 

(くっ。走りにくい!)

 

エリアが変わったのはいいが、今度のエリアはさっきのISのパーツが更に細かくされた物が散乱していて非常に走りにくい。ドンドンスピードが落ちているのを感じる、このままでは直に捕まる

 

(反転して戦闘に持ち込むしかないか)

 

囲まれれば圧倒的に不利。迎え撃つ事も考えるが、この状況では長くは持たない。どうやってこの状況を切り抜けるかを考えているとアマノミカゲに搭載した魔力センサーが最大アラートを鳴らす。咄嗟にアマノミカゲを完全展開するが魔力波らしき物は見えない。どういうことか首を傾げているとワタシを追いかけて来ていたネクロ達は影の中に消えるようにして消えていった

 

「どういう事だ?」

 

目の前にワタシがいたのに何故?理解出来ずに首を傾げていると背後に天上が落ちてくる。まさかネクロの攻撃かと振り返ると

 

「ユウリ早く来い。長くは持たんぞ」

 

聞こえてきた声と通路の上のブロックから漏れる光に眉を顰める。本来ならハイパーセンサーで直ぐ判るのだが、どうもさっきの魔力のせいで視界が安定しない

 

「龍也か?」

 

暗い通路のせいで良く見えず、そう尋ねると直ぐに返事が返される。それに安堵する、下位レベルなら問題ないが、上位が現れたらそこで死ぬと思っていたからだ。

 

「ああ、遅れて済まんな。アズマの治療に手間取っていた。掴まれ」

 

伸ばされた腕。少しだけアマノミカゲのブースターを蒸かし浮き上がると腕を捕まれ引き上げられる

 

「状況は?」

 

通路の上に降り立ち、アマノミカゲを待機状態に戻し、険しい顔をしている龍也に尋ねる。頭をかきながら龍也は

 

「最悪だ。早急に撤退しないと手遅れになる、ゲートを作り出してそこからどんどんネクロが来ているし、ネクロ同士の共食いで進化を始めている。こんな狭い所でデクスが生まれたら、生き残るのは不可能に近い」

 

デクスと言うのは龍也に説明だけで聞いている。ネクロが共食いにより自然発生する物と、制御するために金属の骨格をベースに作られた人造のネクロ。その戦闘力は当然高いが、恐れるのはその闘争本能と再生能力だと聞いている。龍也でもかなり苦戦すると

 

「急ぐぞ、束のいるフロアは近い。もはや話している時間はない。強引にでも連れて行く」

 

そう言って走り出す龍也の隣を走りながら気になっていたことを尋ねる

 

「さっきの魔力反応は何なんだ?お前なのか?」

 

「アズマだ。アズマはこのラボを消し飛ばすのに魔力兵器を作成している。その起動の余波だ」

 

このラボを吹き飛ばす……それは束の研究データを護るためであるだけではない筈だ。恐らく自爆用……

 

「止めなかったのか?」

 

ワタシは何度かこのような状況に立ち会ったことがある。とは言えネクロに追われているような状況ではないが、やろうとしていることは同じのはずだ

 

「自分の死に場所を決めている人間に何を言っても無駄だ。無駄話はここまでだ、急ぐぞ」

 

龍也が走る速度を上げる、背後から聞こえてくる不愉快な音。肉を噛み砕く不気味な音と、死にたくないと叫ぶ人間の叫び。ネクロがもう直ぐそこまで来ていることに気付く

 

「嫌な感じだな」

 

死の気配とでも言うのだろうか?それがワタシを捕えようとしようとしている気配を感じてそう呟くと

 

「慣れろ。そして止まるな」

 

龍也の言葉に判っていると返事を返し、ゆっくりと閉まり始めている隔壁の近くで早く来いと叫びながら手を振るフレイアの姿を見つけワタシと龍也はスライディングでその隔壁の間に滑り込んだのだった……

 

 

やっと私のラボの入り口が開いた音がしてアズマちゃんだと思う振り返る。そこにいたのは銀髪にコートを纏った男の姿。そして私のラボにいるはずのない人間の姿

 

「ど、どうして私の研究所にお前がいるんだ!八神龍也!」

 

どうしてここにいるのか?この場所は誰も知らないはずなのに……思わずそう怒鳴るが八神龍也は興味無さげに私を見据えて

 

「私だってこんな場所には来たくなかったが、仕方ないだろう。お前の妹の頼みだ」

 

「箒ちゃん!?」

 

この男が何を言っているのかわからない。第一……私と箒ちゃんは姉妹なのだからお前じゃなくて私に連絡が来るはずだ。

 

(それよりもネルちゃんに連絡しよう)

 

私はどうでもいいけどネルちゃんは随分とこの男に執着していた、今ここに居るといえば喜ぶと思いこっそりキーボードのしたのボタンを押そうとすると鋭い閃光が走り、キーボードを粉砕する

 

「戯けた事をするな」

 

「な、何をするんだよ!私のデータが!」

 

私の前に突き立っている剣。貴重な私のデータが消し飛んだ……それだけでも世界の大損失だ

 

「このPCには第五世代のデータがあったんだぞ!お前なんかよりも遥かに価値のあるな!!」

 

怒りの余り八神龍也の前に立つ。八神龍也はますますつまらなそうに溜息を吐き

 

「それで?私にどうしろと?謝れと?それとも消えろと?」

 

肩を竦める八神龍也に出て行けと叫びそうになると後ろに扉が開き、少年が姿を見せる。確かタスクとかの……ユウリ・クロガネだったか?ネルちゃんに聞いていたので僅かながらに覚えていた

 

「任せろと言ってそれか!?助ける気はないのか」

 

その怒鳴り声に更に混乱する。助ける?あいつがこの私を?私が八神龍也を睨んでいると

 

「八神龍也は私が呼んだ。束……今すぐこのラボを破棄するんだ。ネクロが集団で押し寄せてきている」

 

ISスーツ姿のアズマちゃんが壁に背中を預けて荒い呼吸のままそう告げる。その頭にはあるはずのウサ耳がない

 

「アズマちゃん!?リミッターは!?」

 

アズマちゃんの生命を維持し、そして人間が持っていて当然の脳のリミッターの役割を持つそれがない。それはすなわちアズマちゃんの寿命は今こうしている間も減っているということの証明だ。どうしてあれは私にしか外せないはずなのに……

 

「……ネクロはもう束を必要としてない。八神龍也と一緒にIS学園へ向かえ……ここは私が何とかする」

 

ゆっくりと立ち上がろうとするアズマちゃんだがふらついて倒れかける。するとまた知らない奴が現れてアズマちゃんを支える

 

「ネクロが私を切るわけがない!私はあんなに協力した!」

 

ネクロディアにこの世界の情勢。その全てを教えた私を切るはずがない、アズマちゃんはきっと八神龍也に何かされてしまったのだと判断して

 

「お前がアズマちゃんをおかしくしたんだろう!直ぐに元に戻せ「姉上!これは私の意志だ!!!」

 

力強い声でそう叫ぶアズマちゃん。アズマちゃんが私の事を姉上と呼んだのはこれが初めてだ……アズマちゃんは私の生まれた病院に僅かに残っていた私の血液サンプルから作られたクローン。どこかの実験施設に居ると聞いてその施設を奪い、連れ出したのがアズマちゃんだ。その時は冗談で姉上と呼んで?と言ったが結局私のことを姉と呼んではくれなかった。そして今のアズマちゃんの鬼気迫る表情を見るともしかすると……本当にネクロは私を切り捨てたのかもしれない

 

「う、嘘だよ……この天才の束さんが利用されるわけがない……いや捨てられるわけがない……」

 

私は優秀だ。この世界の誰よりも。そんな私がネクロに切り捨てられるわけがない……

 

「嘘。絶対に嘘……そうでしょ?アズマちゃん?」

 

私にはアズマちゃんしか見えなかったが、私のクローンであるアズマちゃんはちーちゃんを除いて、私が最も信用できる人間だ

 

「本当……だ。私も危ない所だった……ネクロはどんどん数を増やしている。もう終わりだ、姉上は利用されていた。それが真実なんだ」

 

嘘だ……だけど……だけどアズマちゃんがいうのだから本当のことかもしれない

 

「あ。あははは……この私を利用するだけして切り捨てる……」

 

もう回りにいる八神龍也もどうでも良い、この束が切り捨てられた、その事実が胸を痛めつける。人間なんて嫌いで愚かだとおもっていた。だからネクロに協力した末路がこれ……あまりに笑えない。だけど……この私を利用するだけして切り捨てる……そんな事を許せるわけがない

 

「……判った。屈辱的だけどお前に従う。私とクロエちゃん、それとアズマちゃんを……「良い。もう良いんだ。姉上」

 

私の言葉を遮るアズマちゃん。その顔は疲労だけじゃない、どんどん生気が抜け落ちているのが判る

 

「八神龍也!早くアズマちゃんに治療を!」

 

私がそう怒鳴る。だが八神龍也は私のほうを向かずに

 

「来た。時間がない、アズマは見捨てる」

 

その言葉と同時に何かが爆発する音が聞こえる。あの方向は隔壁の方向だ……まさかネクロの攻撃はもうここまで来ている!?

 

「束様!早く脱出の準備を!もう時間がありません!」

 

クロエちゃんが焦って駆け込んでくる。念の為に回収しておくように頼んでおいた、箒ちゃんの新装備を持って来てくれたのだろう。だけど……アズマちゃんをここに残しては……

 

「どうせもう助からないのは分かってるんだ……だから最後くらい私にかっこつけさせてよ……姉上……」

 

アズマちゃんが私の肩に手を置いた次の瞬間。腹部に強い衝撃が走る……そのあまりの激痛に意識を失いかける

 

「八神龍也!束を!姉上を頼む!!!」

 

アズマちゃんはそのまま私を八神龍也のほうに投げつける。軽い衝撃の後耳の近くで

 

「任せろ。こいつは嫌いだが……最後の頼みくらいは聞いてやる」

 

私を荷物のように担ぎ上げる八神龍也。薄れ行く意識を必死につなぎとめ、力の入らない手で八神龍也の背中を叩きながら

 

「だ……め……降……ろせ」

 

ここに……アズマちゃんを残しておく事なんて……出来ない。彼女は私だ、私の分身だ……こんな所においてなんかいけない

 

「姉上……出会えて本当に良かった。生きてくれ……」

 

アズマちゃんが私の頬に触れると同時にふわりと身体が浮き上がるのを感じる。薄れ行く意識の中、泣き笑いの表情を浮かべたアズマちゃんの姿。その姿を見て思い出したのは私と彼女の出会い……

 

【じゃあ君は私なんだね!じゃあ君の名前はアズマだ!】

 

【アズマ?】

 

【そ、東。東から一を消せば束になるでしょ?だから君はアズマだ!】

 

私のクローンだから、そんな理由でアズマと名づけた。最初は只の観察のつもりだった、だけど気付けば彼女は大事な自分の家族のなっていた……

 

「あずま……ちゃん……」

 

もう会えない。それが判った……他人なんて死のうが生きようがどうでもいいと思って筈なのに……意識を失うその瞬間に流れた涙は真っ直ぐにアズマちゃんの方へと落ちて行ったのだった……

 

 

天から落ちてきた冷たい雫。それを右手で握りこみながら

 

(悪いな、姉上)

 

私の寿命が尽きるまでは共にあると約束したが、その約束は護れないそうにない。ブラッドバニーの表示されたカウンターは200秒を切った、あと3分と少し……それが私とブラッドバニーの最後の時間だ……もう判っている。自分の命が尽きていくのが……

 

「どけ女。貴様に用はない」

 

「きひゃ!きひゃはははははっは!!!!!」

 

「あがあ!?いぎゃあいい!いぎゃああああいいいいいッ!!!!」

 

騎士型のネクロとこの基地にいた人間を取り込んだ獣型のネクロが姿を見せる。奇声を発する女の顔と苦悶の叫びを上げる男の顔を一瞥し、ブラッドバニーの全搭載火器の砲門を解放する。AMF弾は僅かな弾数しかないので捨ててきた。どうせ残りの時間は僅か、姉上を逃がす事に成功した以上。もう必要のない代物だ

 

「悪いが退く気はない……くだらないかもしれないが……意地があるんだよ……女にもなぁ!」

 

効かないと判っているが私はネクロに向けて全ての搭載武器を放った……ガトリングが僅かに残っている人間の顔を打ち抜き、接近してきた騎士型のネクロの胴体にナックルスマッシャーを押し当て、反動なんてものを考えず最大出力で放つ。その反動で右肩が千切れて吹き飛んだ……ネクロ達の反撃で足を噛み千切られたが、アームドベースをパージしそれにガトリングを叩き込み爆発させネクロを吹き飛ばす……だがやはり科学ではネクロに勝つことは出来ず、私は1分弱で地面に倒れていた

 

「はぁ……はぁ……げぼっ……ごぽっ」

 

根元から千切れとんだ自身の右肩と膝から下がない両足、それと胴に深く突き刺さったブラッドバニーの装甲が完全に背中を貫通している。肺を負傷したのか酷く息苦しい……

 

「良く闘った女。賞賛に値する」

 

私を見下ろして呟く騎士のネクロ。周囲には牙を打ち鳴らすネクロの数々……結局ISでは2体を倒すのがやっとだった。化け物だというのは知っていたが、こうして戦うと良く判るな……

 

「そんな……ものは……いらない」

 

残り時間は……90秒……最後の90秒……いやもう60秒か……

 

「何か言い残す言葉があるなら聞いてやろう、同胞となる物に対する礼儀だ」

 

剣を抜き放つ騎士。今この場所がどうなるのか知らないくせに……息をするのも苦しいが馬鹿にするように笑う。もう動く事が出来ないので、これが私に出来る最大の抵抗だった

 

「気でも狂ったか?ならば仕方あるまい、誇り高き者よ……せめて苦しまぬように……ぬう!?これは!!!」

 

地下の魔力発生装置。それが完全にオーバーロードしてとんでもない量の魔力を発生させる。その魔力に同調するかのようにネクロの身体が膨れ上がり塵となって消えていく……ネクロには魔力が必要だが、限界を超えれば毒と言うのは確かだったようだ。私にトドメを誘うと剣を振りかぶったネクロの姿も消え。周囲の機械が熱をもち爆発していく……業火の中、既にもう何の感覚もない左手を天に伸ばす。当然だが太陽は見えるわけもない、だけど私には見えていた。姉上に連れられ初めて見た太陽の光が……

 

「あぁ……姉上に会えて……本当に……よかっ……た……」

 

その言葉と同時に私の視界は眩いまでの閃光に染まった。痛みも苦しみもない……とても穏やかな気持ちの中私はゆっくりと目を閉じたのだった……最後の最後に私の瞼の裏に浮かんだのは、もう何年も見ていない束の笑顔だった……私はその束の頬に手を伸ばした……

 

第126話

 

 




名前ありのキャラが初めて死にました。誰も死なないというのは物語上どうだろう?と思うので、まぁ流石に原作を死なせる度胸はないのでオリキャラになりましたがね。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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