IS~現れたる神なる刃【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話は一夏の異変とヴィスティーラ達の身体が黒くなった理由を書いていこうと思います
今回は今後に繋ぐ話なので少し短めです。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします



第128話

 

第128話

 

ヴィスティーラとラーベル・レーゲンが消えた後。僕達はIS学園の地下の研究室を飛び出して、門の方に走っていた。一夏の事も

あるし、それに見ていて気になったこともある。今回ばかりは龍也に全てを教えてもらう権利がある

 

(このままだと一夏が遠くに行ってしまう……)

 

きっとこれは僕だけではない筈だ。ラーベル・レーゲンと一夏の身体が黒くなったのは同じ現象のような気がしてならない、僕と箒と鈴が無言で走る。今回ばかりは何をしても龍也に話を聞かせてもらわないといけない……僕達には知る権利があるはずだ……

 

「何をしている。もっと早く走れ」

 

いつの間にか現れて僕達の前を走っている織斑先生に少しだけむっとしながら、僕達は走る速度を速めたのだった……

 

 

凄まじい勢いで走っていった千冬達。正直言って止める間もなかった……この場に残っているフェイトさんに

 

「どういうことか説明してくれる?」

 

私だけじゃなくて簪ちゃんにエリスちゃん。それに……残っている全員の視線が集中する。束をログハウスで監視している楯無達はこの場にはいないけど、モニターを通じてみているはずだ

 

「……私も全部を知ってる訳じゃないからね?龍也はあんまり情報を教えてくれないから」

 

フェイトさんはそう前置きしてから椅子に座りなおし

 

「修正力って言ってなんか世界ごとに正しい歴史に治そうとする動きがあるんだって」

 

修正力……そうして聞くと疑わしいけど、魔法使いが言うのなら本当かもしれない、説明されて理解できるとは思えないけど……

 

「えーとつまりどういう話なの?私にも判るように説明してくれないかな?」

 

シェンちゃんがそう尋ねる。フェイトさんはうーんと唸りながら

 

「えーとね。シェンがこの場にいるでしょ?それで未来とか過去のシェンが来ると、修正力で過去か未来のシェンは記憶に制限とかが掛かるんだ。最悪の場合、消失とかね?同じ存在の人間は同じ世界には存在できないらしいよ?もちろん例外はあるよ?同じ存在だけど、決定的に何かが違うとかね?」

 

同じ存在の人間は同じ世界に存在できない……その理由は良く判らないけど、何かあるのかもしれない

 

「その修正力とやらでセシリアのセシリアのネクロは同じ世界には存在出来ないと言うことなのか?」

 

ヴィクトリアちゃんの問い掛けにフェイトさんが首を傾げながら呟く。どうも自分でも良く理解できていないようだ

 

「多分……私はそうだと思う。修正力なんて私達にはわからないし、はやてでも良く判ってないと思う」

 

つまり詳しく理解しているのは龍也君だけって事なのね……だけどあの黒く塗りつぶされたかのような手足が凄く気になるんだけど……

 

「じゃあ一夏の手足が黒くなったのはどういう理由ですか?」

 

エリスちゃんの問い掛けにフェイトさんは直ぐに答えず、考え込む素振りを見せている。その表情を見ると話して良いのかどうなのか?と考えているように見える

 

「答えるなら答えてくれ。私達にだって知る権利はあるはずだ」

 

弥生ちゃんが自分の手の平に拳を打ちつけながら言う、勿論子の程度で威圧になるとは思えないが……まどろっこしいのは嫌いだという意思表示にはなっている

 

「弥生ちゃんの言う通りだと思うわ。いい加減に話してくれても良いと思うわよ」

 

龍也君は意図的に情報隠している。それは確かに私達のことを考慮してのことだと思うが、ここまで来たのだから私達には聞く権利があるはずだ。それに隠し事をされていてはいざと言う時の不信感になりかねない

 

「……フェイトさん。違ったらすいません……」

 

「私と簪なりに考えて見たんですが……一夏の手足が黒くなるのはネクロ化なのではないですか?」

 

エリスちゃんと簪ちゃんの言葉に思わずまさかと言いかけるが、それが本当と言うことを証明するかのようにクリスちゃんが

 

「龍也から聞いた情報を纏めてみたが、ネクロ化は黒くなるのが始まりのようだな?正直な所どうなんだ?」

 

ノートPCの画面を向けながら尋ねるクリスさん。フェイトさんは言いにくそうにしている……まさか本当に

 

「クリスと簪そしてエリスの言う通りだ、白式が黒くなるのはネクロ化に近い状態と言えるな」

 

龍也君の声に振り返ると千冬達を連れて地下に降りてきた所だった。楯無とユウリの姿も見える。今IS学園でネクロの事を知っている全員が揃った……フレイア達の姿が見えないのは束の監視をするためだろう

 

(あ。一夏君だけいない……)

 

姿の見えない一夏君はよほど酷い状態なのかもしれない。もしくは聞かせる事が出来ないほどに酷い内容と言う可能性もある……龍也君達が椅子に座った所で、同じように地下に降りてきたばかりの千冬が龍也君の方を見て真剣な顔をしながら

 

「早く教えてくれ、一夏の今の状態を」

 

焦っているかのように見える千冬。事実焦っているのだろう、自分の弟の今の状態について私達の医療や科学では判らない。知っているのは龍也君達だけなのだから

 

「今の一夏に起きているのは……魂の浸食。ラーベル・レーゲン達同様。魔道師としての一夏の魂が今の一夏の魂を取り込もうとしている状態だ」

 

魂……霊的なことは良く判らないけど……今のままでは一夏君が一夏君ではなくなる。それだけは私にも理解できたのだった……そして普段は凛々しい顔をしている千冬と箒ちゃんの顔が一気に泣き顔に近くなり、鈴ちゃん達は茫然自失と言う感じになる

 

(確かにこれは隠すわね……)

 

今まで龍也君が教えなかった理由を理解し、私は深く溜息を吐くのだった……

 

 

 

今までの事からある程度の推測は出来ていた。しかし確信が無かった、だからあえて言わなかったが、今回はそうも言ってられない

 

「まず白式が黒くなる理由と仮面が現れる理由だが、恐らくネクロ化と見て間違いないだろう」

 

これはジェイルの見解でも同じなので間違いない。だがこれに待ったを掛けた者がいた

 

「しかしそれはおかしくはないか?一夏は確かにネクロと戦った。だがそこまで何度も接触したわけじゃない、ネクロの因士の浸食の条件を満たしてないのではないのか?」

 

千冬の言葉はそうであってほしいと思っているのが良く判る。確かにおかしいと言われればそれまでだが

 

「理由はある。この世界の一夏がネクロの因士には感染していない……だがヴィスティーラ達の世界の一夏はどうだ?」

 

これは私の出した結論だ。話によればヴィスティーラ達の世界の一夏は魔道師としての適性があり、なおかつネクロ化してしまった箒達を救うという目的の為に戦っていたらしい。となればその戦いの中でネクロの因士に感染していてもおかしくはない

 

「でも別人なんでしょ!あたし達はなんともないじゃない!それはこじつけなんじゃないの!」

 

机を叩いて怒鳴る鈴。確かに信じたくないと言うのは判る。それに私だってこの話が間違いないと言えるわけではない……あくまで可能性の話だ

 

「これはあくまで可能性の話だ……信憑性は残念ながらかなり高いが……な」

 

私だって憶測や推測で話しているわけではないのだ、ある程度確証を得ているから話しているのだ

 

「ミッドチルダでのネクロになれる訓練で私がしたのを覚えているか?」

 

私の言葉に肩を竦める箒達。何度も何度も失神していたので苦手意識を持つのは仕方ないが、ここで止まられると話が進まない

 

「ディランス……だったか?ネクロになる禁呪」

 

ユウリの呟きに首を振る、ネクロになる禁呪と言うのは間違っている。限りなく近い存在にはなるが、あれはネクロ化ではないのだ

 

「一時的にネクロの領域に足を踏み入れるだけだ、ネクロになるというのは間違っている」

 

ネクロになってしまえば自力で元に戻るのは不可能だ、それは私でも同じ事。あくまで一時的にその領域に足を踏み入れるだけだ

 

「それが何か関係あるのですか?私には関係があるようには「関係大有りだ。ディランスの時の仮面と一夏の仮面。これを見比べてみろ」

 

はやてが以前記録してくれた私のディランスの時の仮面と一夏の仮面をディスプレイに写す。それを見て箒達が息を呑む

 

「お、同じ……仮面?」

 

呆然とした感じで簪がそう呟く。形状は僅かに違うが、材質と色は同じだ。しかしこれは只の仮面ではない……あの仮面はネクロの浸食を防ぐ物であり、簡単に言うのなら魂の防衛本能といえる

 

「これは防衛本能の結晶なんだ。完全にネクロ化しない為のな」

 

私とて普通にディランスを使えばネクロ化してしまう可能性が高い。私はそれをアレンジして、仮面を作り出している。本来はあの仮面は存在していないのだ。私の物と似ていることを考えると、概念は全く違うが、一夏が暴走している時の仮面。あれにも自己を保つ効果があると私は推測している……

 

「ペルソナと言う心理用語もある。そう考えればあの姿もある意味一夏の姿と言える」

 

護るべき物を全て失い狂った。それはある意味私に似ていると言えるがな……ペガサスの最後の言葉の私の自己満足と言う言葉が一瞬頭を過ぎる。私自身それは嫌と言うほど理解しているのだから、だが今更過ぎる。私は決めたのだ、この業の道を歩むと……

 

「それと一夏のネクロ化と何の関係が……」

 

シャルロットの言葉に我に帰り、私は少し考えてから話す事にした

 

「仮にだ、ヴィスティーラの世界の一夏がネクロの因子に感染していたとしよう。魂と言うのは肉体に強い影響を与える……平行世界の一夏の魂に影響してネクロ化や性格の変化は充分に考えられる」

 

あくまで可能性の話だが、これは極めて可能性の高い話だ。ヴィスティーラの世界の一夏の事を考えれば、充分にネクロの因士に感染している可能性はある

 

「なんとかならないのか!!!」

 

咄嗟に立ち上がり怒鳴る箒。セシリア達も立ち上がり口々に私を見て

 

「なんとかしてくださるんですわよね?そうだと言ってください」

 

「龍也だけで難しいというのなら私達も協力する。なんとかしてくれ」

 

「僕からもお願いするよ。僕は今の一夏がいいんだ」

 

私に何とかしてくれと言う箒達。ヴィクトリア達も私を見ている……私は頭をかきながら何と言えばいいのか考える。私は万能ではない、出来る事と出来ない事がある……無論方法がない訳ではない。しかしこれはリスクが高い上に危険だ……

 

「何か方法があるんだろ?さっさと教えてやってくれ」

 

「ああ。セシリア達も悩んでいるんだ」

 

ヴィクトリアと弥生の言葉に更に眉を顰める。この方法はリスクがありすぎる……一夏にも箒達にもだ……失敗すれば両方死ぬ。果たして話すべきなのか……

 

「龍也。あたしには覚悟がある。あんまり見くびらないで欲しいわね」

 

「無論私もだ。私には一夏が必要なんだ」

 

「家族を失うかもしれないという時に黙ってなどはいれんぞ」

 

鈴、マドカ、千冬の言葉を聞いて私は深く溜息を吐く。どうして女性と言うのはこうも強いのだろうか?私はそう思わずにはいられなかったが、こうまで言うのだから教えてもいいだろう……

 

「方法は1つだけだ……やるかやらないかは話し合って決めろ」

 

私はそう前置きしてから、一夏を救えるかかもしれない方法を口にした。当然ながらショックを受けた様子で肩を落として出て行く箒達、千冬でさえもそうなのだからその心に受けたダメージは想像するに容易い。だから私も話すのを躊躇っていたのだから……

 

「中々言えない理由が判ったわ。これは私でも躊躇う」

 

「ああ。よく言ってくれたと思うぞ」

 

スコールとオータムの言葉を聞きながら紅茶を口に含む。冷め切って不味いがこれでも気分を落ち着けるのは役立つ

 

「ほかに方法ないの?そんな危険な方法じゃなくて」

 

「ない。こればかりは本当にこれしか方法がない」

 

酷な手段だけどな……こればかりは仕方ない。椅子に深く背中を預け目を閉じた。一夏を救えるかもしれない方法

それはあえて暴走させ……精神世界で一夏と平行世界の一夏を戦わせる事……そしてそれは一夏を1度ネクロにさせるかもしれないという方法だった……

 

「下手をすれば一夏君はネクロになって龍也君に殺される……」

 

完全にネクロ化すればどうやろうが殺すしかない。半ネクロに転生する可能性もあるが、その確立は限りなく0だ。高ランクの魔道師でさえ、半ネクロに転生したという記録はない。

 

「その前に箒達が死ぬ」

 

一夏に呼びかけるのは私では駄目だ。縁の深い箒で出なければ……その言葉は闇の中に居る一夏には届かない、だがそれは箒達に死の危険があると同意義だ……

 

(やれやれ間々ならないものだなあ)

 

本当はそんな事にならないように、言葉と訓練で上手く一夏を誘導するつもりだったのだが、そんなにゆっくりやっている時間がなくなったしまった……私は心の中でそう呟き、隣のはやてに

 

「少し寝る。勝手に起きるからほっておいてくれ」

 

さすがに疲れた。ユウリとフレイアがネクロの因士に感染しないように魔力で護り。なおかつ束とクロエと言う少女の治療。更にIS学園にきていたラーベル・レーゲン達を閉じ込めるたちに使った結界とかなり魔力・体力を消耗してしまった。さすがに休まないと限界だ。

 

「りょーかい。お休みな?」

 

コートを体に巻きつけ目を閉じた。束の研究所の事もあり、精神的肉体的にも疲れている。少しやすまないとこれからが辛い……

あっと言う間に眠りに落ちた龍也を起こしてはいけないと全員が地下の研究室を後にする。

 

「楯無……いや、刀奈」

 

ユウリが女子寮に向かおうとしていた楯無を呼び止める。刀奈と呼ばれた楯無は真剣な顔をして振り返り

 

「すまない、どうしても話をしたいんだ、少し時間をくれ」

 

その顔に迷いと不安……そして恐怖の色を浮かべているユウリを見て

 

「判った。行きましょう」

 

そう笑いユウリと共にIS学園を後にしたのだった……IS学園にいる殆どの人間が重要な転換期を迎えているのだった……そしてそれは全ての終わりが近いという事の証明でもあった……

 

第129話に続く

 

 




残るイベントは「ユウリと楯無」「一夏暴走」「束の説得」だけですね。もう少しでラストまで持っていけそうです
戦闘とかがあるので150は越えてしまいそうですけどね。これ以上短くするのは無理なのでこれで頑張ります
それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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