IS~現れたる神なる刃【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回の話で一夏の暴走の話は終わりにしようと思います。その後はセカンドシフトしたISの話を入れて今度は束の話に入っていこうと思っています。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


第132話

 

 

第132話

 

桜鬼達を監視しながら一夏と箒達の戦いを見ていたのだが

 

(これは予想外だな)

 

セカンドシフトをした。箒・鈴・ラウラ・セシリア・シャルロットのISは通常のISとは全く違う存在へと変化していた

 

(ネクロに適応したのか、それともこれもコアネットワークとやらか?)

 

全てのISはリンクしているそうだが、もしかするとこれもそうなのか?恐らく一夏のISが取り込んだデバイスの情報がフィードバックされた可能性がある

 

(まぁなんにせよ、戦力の向上は良い事だ)

 

ベエルゼが勝負をかけてきたら間違いなく乱戦になる。そうなった場合を考えればここの能力が高いほうが安心できる

 

「あまり動かないで貰おうか、傷がついても良いのかな?」

 

空中に投影した剣の切っ先を桜鬼達に向ける。結界は通用しないので物理的に停めるしかない

 

「女性を拘束するとは紳士としてはどうかと思いますわ」

 

「それは失礼。だが私は紳士と言うよりかは似非紳士と言われる方がしっくり来る、なのでそう言う価値観を求めないで貰おうか」

 

敵対者に容赦をするような甘い性格ではないつもりだ。それが敵だと判っているのならなおの事

 

「大人しくしていれば攻撃しない。それをお前は証明できるのか?」

 

ウィントヒルデの言葉に私は小さく頷き

 

「向こうも見なければならない、その上戦うとなると流石に面倒だ。戦うというのならこの場で滅してやるが?」

 

投影した剣を両手に握るが、正直言うとこれはブラフだ

 

(乗ってくるなよ)

 

一夏の動きをある程度束縛する結界と微弱名効果のある回復結界の同時展開。魔力が凄まじい勢いで減っている中で6体のネクロと戦うのはリスクがありすぎる。無論戦えないわけではないが、それだと結界の維持に支障が出かねない

 

「ここで消滅するのは私達にとっても望む事ではない」

 

そう呟いて再び腕を組むウィントヒルデ。ハッタリ勝負では勝てたか……いや向こうも気づいている可能性があるな。仮にも千冬のネクロ。そこまで馬鹿ではない筈だ、互いに互いの隙を窺いつつ、戦いたくない状況

 

(やれやれ、最近はこんな事ばかりだよ)

 

心理戦が多いことに思わず溜息を吐いてしまうのだった……

 

 

 

雪片を……いや白式を取り返す事が出来たおかげである程度は戦えるようになったのだが

 

『遊びは終わりだ。本気で狩らせて貰う!!!』

 

姿を消し、ありとあらゆる角度から斬り付けて来るオレのもう攻撃に装甲は砕け散り、出力がドンドン落ちて行く

 

(イメージが弱いんだ。今の俺だと)

 

この世界は気持ちがなによりの武器になる。だが破損した白式が回復しないのも、攻撃が当たらないのも俺の気持ちが弱いから

 

「うおおおおッ!!!!」

 

気持ちでは絶対負けない!待ってくれている箒達の所に戻るために……俺の雄叫びのおかげか判らないが、破損した装甲が回復し、零落白夜の刃が展開される

 

『それだけで俺に勝てると思っているのか?おめでたい奴だな』

 

そう笑うオレ確かに雪片だけじゃ勝てないだろう、だけどここは精神の世界。大事なのはあって当然だと思う心……

 

「雪片だけじゃねえ!!雪華もだ!!!」

 

飛び出しながら左腕を突き出すとオレが持っている雪華と瓜二つの剣が俺の手の中に現れる。それと同時に白式も、セカンドシフトした白式・白雪へと変化する

 

「くっらえええええッ!!!!」

 

雪片・雪華を交差させながら振るう。飛び出した零落白夜の刃を粒子になって回避するオレ。俺は即座にその場で回転し更に刃を飛ばす。普通ならこんな事はできないが、ここはイメージが重要だ。出来ると思えばなんでも出来る!

 

『ちいっ!!』

 

舌打ちしながら交わすオレ。だが零落百夜が足をかすめたせいか、明らかに動きが鈍っている

 

(攻めるならいまだ!)

 

向こうの方が強いのだからチャンスを見たらリスクを恐れず攻めるべきだ。

 

『舐めるなあ!!!』

 

魔力を放出しながら雪華を振るうオレ。小さく深呼吸をし俺は力強く踏み込みながら雪華を振り下ろした

 

『うがあ!?』

 

ガツーンっと肩を突き抜ける衝撃。実際では使う事のできないペガサスの剣技。だけど……ここならば十分に扱うことが出来る。俺はあの剣筋を何度も何度も見ていたのだから

 

「確かに俺は弱いさ。お前みたいに覚悟もないだろうよ」

 

護るために壊す、救うために殺す。それは多分究極の正義の1つだろう。龍也はその正義を貫いた、だけど俺は違う

 

『あいつと違う守護者になれ』

 

ペガサスの最後の言葉が頭を過ぎる。俺は龍也やオレのように切り捨てる事なんて出来はしない、きっと甘ちょっろい、現実を見ていないと言われるかもしれない。だけど

 

「俺は全てを護れる守護者になる!!!!」

 

どれだけみっともなくたって良い

 

龍也みたいに誰かを導く事なんて出来はしない

 

1人で何もかも出来もしない

 

きっと千冬姉や皆の力を借りる事になると思う

 

「だけどこの胸に抱いた1つの思いだけは揺るがねえ!!!絶対に俺は大切な仲間を護れるようになる!!」

 

あの時の千冬姉のように……

 

傷だらけでも進み続ける龍也のように……

 

俺は誰かを護れるようになって見せる!!!

 

『何も知らないガキがぁ!!!!!』

 

「おおおおッ!!!!」

 

俺とオレの叫びと白と黒の零落白夜がぶつかり合ったのだった……

 

 

 

 

《ウオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!!!!!!》

 

アリーナ全体を震わせるような咆哮が響き渡る。外見は人型だがその姿は完全にネクロに見える

 

(これが一夏君の一面)

 

両目がない漆黒の騎士。目がないのには何か意味があるのだろうか?

 

《シアアアアッ!!!》

 

4枚の翼と両足のブースターによる信じられない加速からの上段を飛んで回避し、そのまま後退の瞬時加速に入る。目の前を通過していく白と黒の刃を見て

 

「あっぶな」

 

零落白夜と魔力の刃。直撃すればそれだけでISは機能を失うだろう、その証拠にアクアクリスタルから発生した水のヴェールが再生せず水のままになっている

 

「気をつけろ。余り前に出るなよ」

 

追加装甲の盾を構えて、私の前に出るユウリ。本当は搭載する予定だったんだけど、ミステリアス・レイディとは互換性がなかったらしく、未搭載なのが案外響いていた

 

「判ってるわよ。ユウリ」

 

箒ちゃん達のISがセカンドシフトをしたのは良いが、出力が上がりすぎていて思うように動く事が出来てない。だから私とユウリとマドカちゃんと織斑先生で前に出ているんだけど、正直打ち合うことすら出来ていない

 

(時間稼ぎも出来ないなんてね。参ったわねえ)

 

箒ちゃん達がセカンドシフトしたISの確認を出来るまでは時間稼ぎをしようと思っていたんだけど、それすらも厳しい

 

《オオオオオオオオオッ!!!!》

 

開かれた翼から放たれる。エネルギーと魔力の弾丸の嵐を前に逃げ回るしかない、そして時折隙を見て瞬時加速で切り込んでくる

 

(理想系がこれなのかもしれないわね)

 

広域射撃と1撃離脱のヒット&アウェイ。これはわかっていても対処が難しい……

 

「更識!!」

 

「楯無!!!」

 

織斑先生とユウリの怒声に振り返ると避けたはずの魔力刃と零落白夜の一撃が弧を描いて戻ってきている

 

「なぁ!?」

 

なんてインチキ。こんなの予想していない!咄嗟にラスティーネイルと蒼流旋を盾にするが一秒と持たず両断される。

 

(やばっ!?これは死ぬかもしれない!?)

 

あれだけの攻撃を耐えれるとは思えない、咄嗟に腕をクロスした瞬間。黒い閃光と青い光が走り、刃を砕く

 

「悪くない。良い威力だ」

 

「反動が強すぎますわ」

 

ラウラちゃんが剣を振りぬいた姿勢で目の前にいて。背後からセシリアちゃんの声がする

 

《ウォオオオオオ!!!》

 

咆哮と共に飛び出してきた一夏君だが

 

「いっけええええええ!!!!!」

 

重々しい音を立てて鎖が走り刃を止める。振り返ると鈴ちゃんが鎖を手に

 

「中々良い武器じゃ無い!これは!!!」

 

嬉しそうに笑いながら鎖を引っ張り笑う鈴ちゃん。これだけをみるとかなり危ない感じだけど

 

「ありがとう。助かったわ!!」

 

「気にしないで良いわよ!これは良いわ!あたしに向いてる!!!」

 

鎖を引っ張る鈴ちゃん、だけどそれでも一夏君の手から雪片は離れない

 

「鈴。手伝うぞ!!!」

 

「僕も!」

 

箒ちゃんとシャルロットちゃんが鎖を掴んで引っ張った瞬間、一夏君の手から雪片が飛び出す

 

「これは私が使う!」

 

織斑先生が空中で雪片を掴んで構える。展開装甲が開き零落白夜が発動する……それを見て確信した。もう私達に出来ることはないと

 

「織斑……いや、千冬さん。一夏をお願いします

 

「姉さん。一夏を、私達の家族を護って」

 

「お願いします。織斑先生、一夏さんを……」

 

皆の言葉に頷き織斑先生が駆け出す。それに合わせるかのように一夏君も残った雪華を構える。その構えは鏡合わせのように同じ構え、1閃2断の構え。白と黒の零落白夜の刃がぶつかり、凄まじいまでの衝撃がアリーナを襲った

 

「「「くう!?」」」

 

その凄まじいまでの衝撃に腕で顔を隠し、目を閉じた。そして目を開いた瞬間。眩いまでの光がアリーナを覆い尽くすのだった……

 

 

 

 

雪片と雪華がぶつかり合う。だが僅かにオレが押し込まれている

 

(馬鹿な、何故だ。何故オレが押し負ける)

 

オレの方が強いはずなのに、何故何故オレがこの世界俺に押し負ける。やっとここまで来たと言うのに、何故最後の最後でこんな事になる

 

「うおおおおおおおッ!!!!」

 

雄叫びと共に凄まじい速度で切り込んでくるこの世界の俺。受け止める為に雪片と雪華を振るうが

 

『ぐうっ!?』

 

受け止めたはずの雪片はオレの刃をすり抜け肩にめり込む刃。切り落とされるまでは行かないが、深い傷だ

 

(回復しない!?気持ちで負けているのか!?)

 

この世界は精神力が全てだ。あって当然と思う心……それがある限り負けはしない、オレは何度も何度も絶望した。だがそれでも諦めなかった……それなのに

 

(こんな子供に俺が負けるというのか!?)

 

こんな甘えた理想を振りかざす子供にオレが負ける!?

 

『そんな事がありえるものかアアアアアア!!!!』

 

この世界にはオレの世界の箒達がいる。オレには彼女達を救う義務がある。それがあの世界で皆を救う事のできなかった俺の義務だ。上段から渾身の袈裟切りを放つ。だが

 

「お前は俺に負ける。俺は……負けないッ!!!!」

 

オレの一撃を横薙ぎで弾き即座に構えなおされた一撃が叩き込まれる

 

(これはチフユ姉の……)

 

世界は違えど同じオレ。オレもチフユ姉から教わった1閃2断。身体が両断されるが、まだオレは自分の体を認識できる。まだ負けていない

 

『ウォオオオオオオオオオッ!!!!』

 

無理やり回復すると同時に光彩陸離を発動させて、姿を消す。真っ向勝負では勝てない、あのすり抜ける攻撃にオレは対応できていないから、死角から最大攻撃を叩き込もうとした瞬間。この世界の俺が

 

「お前は凄く強い。ああ、判っている俺と比べればお前の方がずっと強いんだろうよ。だけど心は弱い、俺は心では負けない!!!俺には目標がある。あの時の千冬姉のように俺は仲間を、皆を護る!!!」

 

眩いまでにその輝きを増させていく白式……そしてそれは重厚な騎士の姿となる

 

「来いよ。隠れてないと戦えないのか?」

 

安い挑発。判っている、判っているがオレは姿を現し雪華を構える

 

「行くぜ、俺はお前に勝って皆の所に戻る!!!」

 

その目には希望を写している。オレにはそれが眩しい物に見えた。それはかつてのオレの姿その物

 

『ああ。勝負だ!行くぞ!!!!!』

 

判っているもうオレは心でも負けた……その証拠に雪華も雪片も刀身に皹が入り今にも消えてしまいそうだ。オレと俺は同時に駆け出し白と黒の極光が精神世界を埋め尽くし、オレの意識は光の中へ消えていった

 

「どうだ?この世界の俺は強いだろう?」

 

『なぜ貴様が言う』

 

俺とオレ。オレはネクロに浸食を受けた、そして目の前の俺はネクロと戦う前の俺

 

「同じ俺だからな。誇っても良いだろう?」

 

誇るな馬鹿と小さく呟き、オレも笑う。確かにこの世界俺は強かった。何よりも心で

 

『だがこれで終わりじゃ無い』

 

「その通りだ。これからが本当の戦い。力を貸してやってくれ、オレ」

 

判っているきっとこの世界のオレは俺達のレアスキルに目覚めだろう。だがあれは危険なものだ、サポートがいる

 

『まだ消え去るには早いか』

 

「そう言うことだ。行こうぜ」

 

俺の言葉に頷き俺達は再び心の深い場所へと戻る。この場所でこの世界の俺をサポートする。それもまた悪くないと思いながら深い眠りへと落ちるのだった……

 

 

 

 

眩いまでの光がアリーナを包み込んだ。その瞬間思わず目を閉じてしまった

 

(大丈夫か)

 

桜鬼達が強襲する事も警戒していたが、その心配はなかったようだ。むしろその光に魅入られたかのように呆然とした顔をしていた。その顔は深い闇にいるものが決して届かない光を望んでいるかのような顔をしていた。視界が回復したので改めてアリーナを見下ろして

 

(良くやった、一夏)

 

心の中でそう呟く。箒達のISもセカンドシフトをした、だが一夏はそれを更に越えた。サードシフトでも呼べば良いのだろうか?

肩部・脚部・背中の装甲が一回り大型になり、背中の装甲には折り畳み式のキャノン砲が二門装備されている。

 

(もはやあれは機動要塞だな)

 

ブースターの数も増設されているのを見ると、強襲・制圧戦に特化したスタイルなのだろう

 

「さて、向こうは終わったようだが……どうするかね?」

 

維持した結界を解除したおかげで戻ってきた魔力。これならばギリギリで戦う事が出来るだろう。投影した剣を手に取り、切っ先を向ける

 

「用は済んだ。繰り返すが戦う気はない」

 

ウィントヒルデの言葉に頷き、桜鬼が指を鳴らすと空間が歪む。だが転移ではない……恐らくは桜鬼特有の能力なのだろう

 

「ふふふ、楽しくなってきましたわ。あのままでは余りに弱く詰まりませんでしたもの」

 

「……どうでも良いよ。強かろうが、弱かろうが潰すだけ。これに変わりはないよ」

 

嬉しそうに笑うヴィスティーラとルーシエ。それに対して険しい顔をしているのはベール・ラーベル・レーゲン・ウィントヒルデ・桜鬼だ。恐らくあの一夏の更に変化したISを警戒しているのだろう

 

(ここで仕留めるか)

 

背後の空間に投影して待機させてある勝利すべき黄金の剣(カリバーン)に手を伸ばそうとした瞬間

 

「約束を違えるのはどうかしら?あたし達はなにもしなかったのよ」

 

挑発するかのようなベールの言葉。私は溜息を吐き、待機させていた勝利すべき黄金の剣を魔力に戻す

 

「何のことかな?」

 

「性質の悪い男だ」

 

ふふんと笑うウィントヒルデ達はゲートの中に消えていく、残された私は腕を組んだまま

 

「そんなに意地が悪いか?私」

 

おかしいな、自分ではそれなりに良い人間のつもりなのだが、最近性が悪いと言われることが多い……性格が変わって来ている?咄嗟に右手を見る。虹色の魔力に僅かに混ざっている黒い粒子を見て

 

「……時間がないのかも知れんな」

 

思い当たる節はある。そして恐らくこの考えは当たっている……私は溜息を吐き、右手を振るう。それと同時に魔力は霧散して消えていく、視界の隅に僅かに見える黒い粒子は見ないようにする

 

「さてとまずは手当てでもするかな」

 

箒達も弱っているし、一夏は一夏で意識を失っている。今は考え事をしている時間はない、私はそう判断してアリーナの方へと降りて行ったのだった……

 

 

龍也が消えてから空中に現れる黒いタキシードにマント姿のネクロ。ランドグリーズだ

 

「やはり時は近いようですね、結構。結構」

 

空中に僅かに残っている聖王の魔力、そしてそれに混じっている黒の粒子を見て笑みを深める

 

「神の系譜は破壊者の系譜。その血に眠る本質を貴方は理解していない」

 

くっくっくっと喉を鳴らすランドグリーズ。彼は知っているのだ、神王の系譜に隠されているもう1つの忌み名。そして龍の化身と言われるその理由を

 

「さてさてこの世界がきっかけなのかどうかは知りませんが、覚醒のときは近い。その時が楽しみですよ」

 

にやりと笑いランドグリーズの姿は消えていく、言葉の通りこの世界にはもう用はないと言わんばかりに消えていく、最後に一言言い残し

 

「貴方は救世者じゃない、破壊者なのですよ。黒龍の後継者よ」

 

 

その言葉の意味が判った時。全ての世界の滅びが始まるのだ……

 

 

第133話に続く

 

 




今回で一夏の暴走編は終わりです。次回はセカンドシフトしたISの調整回を予定しています。そして最後のは宵闇に関係しているので興味があれば覚えていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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