IS~現れたる神なる刃【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです、今回で第1巻の内容は終わりですね、次回からは第2巻、これでもう1人のヤンデレ「シャルロット」さんが出せますね。それでは今回もどうかよろしくお願いします



第15話

第15話

 

「う…」

 

俺は全身の痛みに呼び起こされて目を覚ました…

 

「ここは…」

 

どうしてここに居るのか判らず辺りを見回す、白いカーテンに仕切れたここは恐らく保健室だろう…

 

(えーと…確か、捨て身でISを撃墜して。んでその後龍也が来て3機ISを撃墜して…んで俺は疲労で意識を失った…うん、問題ない思い出せる)

 

身を起こし拳を握ったり閉じたりする。少し身体に痛みは走る物の特に問題はない

 

「気が付いたか…心配したぞ」

 

シャッとカーテンが開く、そして姿を見せたのは予想とおり千冬姉だった

 

「致命的な傷はないが、軽い打撲が何箇所かあるはずだ。数日は痛みに苦しむだろうが…まぁ我慢しろ、もし我慢できないというのなら、私が介護してやろう」

 

「いいえ、全く問題ありません。我慢できます」

 

チッと舌を鳴らした千冬姉。これで我慢できないとでも言おうものなら。介護という名目で色々と悪戯(性的)な物をされそうなので、俺の判断は正しいはずだ

 

「お前、衝撃砲の最大出力を背中に受けるなんて無茶を良くやるな?」

 

「あー、ほら、予想を上回る速度で攻撃すれば通るって思ったんだよ」

 

俺がそう言うと呆れたように笑いながら

 

「まぁそれは判るが、あまり無茶をして心配させないでくれ、お前は私のただ1人の家族なんだからな」

 

優しく笑う千冬姉に

 

「判ってるよ、もんあんな無茶はしないと思う」

 

「思うか…まぁ良いだろう、無茶をするのもお前の良い所だ。ではな一夏少し休んだら部屋にもどれよ」

 

千冬姉はそう言うと保健室から出て行った

 

「あーゴホン。ゴホン」

 

千冬姉と入れ違いで誰か入ってきた、この業とらしい咳払いは間違いなく箒だ

 

ジャッ!!!

 

勢い良くカーテンが全て開かれる。なぜ全部開ける必要があったのか俺には皆目見当が付かなかった

 

「よう、箒」

 

「うむ」

 

箒は腕組をして気難しそうな表情をしていた…

 

「あのだな!今日の戦いだが、なんだあれは!捨て身なんて何を考えてるんだ!」

 

そう怒鳴る箒に

 

「いや、あの時はああするしかなかったんだって。そう怒鳴らないでくれよ」

 

それにあのままだったら、箒があのISに狙われると思ったんだよ、と付け加えると

 

「私を護ろうとしてくれたのか?」

 

「ん?まぁそんな所かな?」

 

箒が死ぬかもしれない。そう思った瞬間、俺は箒を助け、尚且つ敵ISを倒す手段として、あの方法に出た…それは正しい選択ではなかったのかもしれない、でもあのときの俺にはあれが最善の策だと思えたのだ

 

「む…むうううう」

 

そして箒は何故か頬を赤くし唸っていた。何か気に触る事でも言ってしまったのだろうか?俺が首を傾げていると

 

「まぁ良い、だが2度とあんな無茶はしないと約束しろ、心配するこっちのみにもなれ」

 

「あっ、心配してくれてたのか、ありがとう」

 

俺がそう言うと箒はさっと目を逸らし。

 

「で、ではな…一夏。ゆっくり休んでから戻って来い」

 

箒は俺の顔を見ずにそう言うと、早足で保健室を出て行った…

 

「ふあ…もうちょっと休むかな…」

 

俺は再度襲って来た眠気に身を任せ、眠りに落ちた…

 

 

 

 

「一夏…起きてる?」

 

太陽が沈んでから保健室に行き、声を掛けると

 

「んお?鈴か…起きてるぞ」

 

奥のベッドから一夏の声がする

 

「今良い?」

 

「ちょっと待ってくれ、上着を着替えてるから」

 

その言葉にわかったと返事をし、暫く待つと良いぞ。と一夏が言ったので、あたしはベッドのほうへ向かった…

 

「よう、なんのようだ?」

 

上半身を起こしながら尋ねてくる一夏に

 

「いや…ほら、事情説明するって言ったじゃない」

 

あたしがそう言うと一夏は

 

「あーでも、あれって無効試合だろ?再戦の後で良いよ。勝てるかわかんないし」

 

一夏はそう笑うが、一夏の体調が万全で最初から集中していれば、あたしの方こそ勝てる目は少ないのは判りきっている、だから

 

「説明しておきたいの」

 

「ん?まぁそう言うなら聞くけど…なんだ?」

首を傾げる一夏に

 

「こう…ほら。ほらあたし、料理へたくそだったでしょ?だから上手に料理作れるようになったら、一夏に食べて欲しいなって思ったのよ

 

あたしがそう言うと一夏は

 

「あーでもほら、確かに昔の鈴の料理はあんまり美味しくなかったけど…鈴が一生懸命作ってくれたから、嬉しかったぞ?」

 

そう笑う一夏。本当は違う…あたしは毎日味噌汁を~的なつもりで言ったのだが、今はまだこの友達以上恋人未満の場所に居たいと思った。だから嘘を言う事にしたのだ、変に進む事を考えてこの居心地の良い場所を失うのも嫌だったし

 

「そういやさ、こっちに戻ってきたって事はまたお店やるのか?また親父さんの料理食べたいんだけど」

 

思い出したように言う一夏に

 

「店はやらないんだ…」

 

「なんで?」

 

首を傾げる一夏に

 

「あたしの両親…離婚しちゃったんだ…あたしが国に帰ることになったのもそれが理由なの…」

 

その内嫌でも知られてしまう、ならの今のうちと思い言うと

 

「そうなのか…すまん、変な事を聞いた」

 

謝る一夏に

 

「あー良いの、どうせ判る事だしね」

 

あたしがそう言うと一夏は

 

「俺さ…両親知らないからなんともいえないけど…元気出せよ、なっ?俺は笑ってる鈴が好きだぞ」

 

うっ…どうして真顔でこういうこと言うかな?偶に判ってやってるんじゃないかと思うときがある、でもそれが一夏だ。優しくて鈍感だけどそこが良いのだ

 

「なぁ。鈴、こんどどっか遊びに行かないか?」

 

「えっ!?それって…その」

 

突然の事にしどろもどろで返事をすると一夏は

 

「1年ぶりだしさ、2人でブラブラ出かけないか?」

 

デート…だよね…いや…一夏にその気は無いと思うが、2人きりというのは嬉しかった

 

「うん…良いよ、行こう」

 

「おう、約束な」

 

にっと笑う一夏…なんと言うか表現しにくい空気を感じる、甘いようなほの苦いような何とも言えない…でも心地良いそんな空気に浸っていると

 

「一夏さん!具合は如何ですか!私が介護に来てあげましたわよ!」

 

セシリアが来てその空気が霧散する…せっかく良い感じだったのに…なんて事をしてくれるんだ、このお嬢様は

 

「あ…あんたねえっ!!!何邪魔してくれてんのよ!!!」

 

「邪魔?何の話ですの?私はただ一夏さんの身体が心配で来ただけですわ」

 

含みある笑みを浮かべるセシリア…こいつ絶対業とこのタイミングで入ってきたと判る。あたしも悪いがこいつも悪いに決まってる。いやそもそも一癖も二癖もあるやつばかり落してしまう、一夏に問題があると思う

 

「ささ、一夏さん、今日の戦闘の分析でも始めましょう。私の部屋で」

 

「何言ってるのよ、一夏はあたしと組んで戦ったんだから。あたしと分析するに決まってるでしょ?なにあんたこんな事もわからないほど馬鹿なの?」

 

「ばっ!?…フン。これだから品のない方は困りますわ」

 

「気取ってばかりのやつよりかはましよ」

 

売り言葉に買い言葉、あたしとセシリアはそのまま言いあいに発達し、その隣で

 

「はぁ…」

 

一夏がぽつんと溜め息を吐いていた…

 

 

 

 

「…零式…本当に第3世代か?」

 

私は学園の地下の研究施設で今日の戦闘記録、特に八神龍也の物を念入りに調べていた…アリーナのシールドを破壊した「星薙ぎの太刀」

これならまだ判るが。「光刃閃」の時の零式の速度は現段階で開発できるISが出せる速度ではない、それに

 

「あいつは一体何者なんだ?」

 

あれだけの戦闘力をたかだか16歳の人間が身に付けているとは思えないし、光速に近い速度を完璧に操っている龍也の技能は余りに高すぎる。それにその速度に耐えるだけの「零式」も本当に第3世代の物か怪しい。私が考えるには龍也・なのは・フェイトの3人のバックにはよほど大きな組織が付いているとしか思えないのだ

 

「織斑先生?」

 

モニターを見て考え込んでいると、割り込みでウィンドウが開く。そこにはブック型端末を手にした山田先生が映っていた

 

「どうぞ」

 

モニターの下のボタンを押し、ドアを開き…再びモニターに視線を戻すと

 

「八神君の戦闘記録ですか…私は彼は悪い子じゃないと思うんですけどね」

 

モニターを見ながら言う山田君に

 

「それは判らない、私から見ても八神龍也と言う人間の考えてる事は判らない、むしろ今日のISの襲撃を指揮していたんじゃないか?とも思える」

 

龍也の経歴に妖しい点は無い。だがそれゆえに怪しいと思う…戦士としての勘だが…あいつには何か裏がある…私の感がそう告げていた

 

「そうそう、あのISの解析結果が出ましたよ」

 

「零式か?それも敵機のほうか?どっちだ」

 

そう尋ねると山田君は

 

「両方です。まずは敵機のほうから、あれは無人機でした、どういう方法で動いていたかは判りませんが間違いなく無人機です」

 

「そうか…」

 

ISのまだ完成してない技術。遠隔操作と独立稼動…そのどちらかか、はたまた両方か…まだ開発されてない技術があのISに使われている、学園関係者全員に緘口令が敷かれるなと思っていると

 

「そして八神君のISですけど…無登録のコアでした。それに遠隔での分析もブラックボックスだらけで、全てが謎の機体です」

 

これも予想とおりだ、あれだけハイスペックの機体、どこの国でも開発できない、出来るとすれば束だろうが…束と龍也には何の関係性もない…共通点が見出せないのだ…つまりは束クラスの天才が居る組織に所属している者としか言いようがない

 

「1回回収して調べますか?」

 

「いや、止めて置こう。眠れる獅子を起こす必要はない」

 

下手に動くのは危険だ、龍也達が本性を出せば一夏が危ない。だからここは動かずに観察しようと言うと

 

「そうですね。下手に動くのは止めて置いたほうがいいですね」

 

「ああ、さてと1回休憩にしよう。見ていても何の答えも出ないしな」

 

これ以上戦闘記録を見ても謎が深まるばかり、1度休憩にしようと言い、私は研究室を後にした…

 

 

 

「うーん…凄いわね、このIS」

 

スーツの上に白衣という目立つ格好の女性がモニターを見ながら感心と言う感じで呟く。彼女の名は「ツバキ・V・アマノミヤ」名前から判るとおりエリスの母親で、ISの研究者として武装や設計を行っている科学者だ。

 

「本当、凄いわね~どこで開発されたのかしら」

 

私はIS学園から送られてきた、第3世代の「零式」と言う機体の情報を見ていた。通常のISの2倍近くエネルギー総量に操縦者の錬度…いまモンドグロッソに出ても即座に優勝できるほどのレベルだ

 

「うーん…でもこんなISの開発データは無いしねー」

 

各国のデータを見ても該当する機体はなく。謎のISとしか言い様がない

 

「何してるツバキ」

 

背後から声を掛けられ振り返るとそこにはアッシュブロンドの髪をオールバックにした、サングラスの男が立っていた

 

「あらおかえりあなた、何時帰ったの?」

 

「たった今だ、珍しく休日が取れたのでな、戻ってきたんだ。メールを送らなかったか?」

 

言葉短く言う男…私の旦那様であり、ドイツの軍人の「オクト・V・アマノミヤ」だ。PCのメッセージボックスを見ると確かにメールが入っていた…

 

「あははは…見てなかった」

 

苦笑しながら言うとオクトはやれやれと肩を竦めながら

 

「そのISは?」

 

「これ?第3世代型らしいけど、機体の強度・エネルギー総量・反応速度・どれをとっても第3世代には思えないけどね」

 

高性能かつ安定した稼動効率、専門家から見ても第3世代です、と言われても信じられない

 

「IS学園の生徒か?」

 

画像を見ながら尋ねてくるオクトに

 

「ええ、しかも…シェルニカちゃんとアイオスちゃんの報告によると。エリスちゃんがちょっと惹かれてるみたいなの」

 

頬に手を当てながら言うと、オクトは

 

「そうか…何か複雑な気分だ…こう、こみ上げてくる何かを感じる、ツバキこれはなんだろうか?」

 

目が据わっているオクトに私は

 

「殺意じゃない?」

 

ほっておいたら今にも画像の男子を殺しに行きそうなオクトにそう言うと

 

「殺意か…そうか、私はエリスが離れていく可能性を感じているのか」

 

納得という表情のオクト…まぁそれは私も同意見だ、大切な養女がどこの馬の骨とも思わない男に惹かれると言うのは正直納得いかない物がある、そんな事を考えてる内にモニターの画像が切り替わったところでオクトが

 

「!?この動き…見覚えがある。黄金の騎士だ」

 

「え?あの都市伝説の?」

 

表情を一変させるオクトにそう尋ねるとオクトは

 

「間違いない、ドイツ軍のデータベースの中に黄金の騎士に関するデータがあった…この男の剣の振り方・間合いの詰め方…どれをとっても黄金の騎士に酷似している」

 

なんとまあ、都市伝説で聞いた事があったがまさか本当に実在していたとは…でも

 

「でも、黄金の騎士って20代後半じゃないの?この子どうみて10代よ?」

 

顔つきは精悍だが、どうみても20代には見えずそう言うと

 

「黄金の騎士は不思議な能力を持ってるらしい、瞬間移動や瞬時に怪我を癒すことも出来ると聞く。姿形を変えることも出来るのではないか?」

 

「まるで魔法使いみたいねえ…」

 

話を聞くと魔法使いような印象を受ける

 

「実際そうかも知れんぞ?黄金の騎士に出会ったやつらは皆断片的にしか覚えていない。案外魔法使いなのかも知れんぞ?」

 

軍人であるオクトがこんな事を言うとは…でも悪魔が居るくらいだから魔法使いがいてもおかしくないのかもしれない

 

「ねぇ?IS学園に行って見ない?学年別のトーナメントへの招待状が来てるんだけど。見に行ってみない?」

 

IS学園から送られてきた研究機関用のチケットを2枚取り出し見せると

 

「そうだな…この男を調べるいい機会だ」

 

「で、本音は?」

 

きりっとした表情でいうオクトにそう尋ねるとオクトは

 

「エリスに会いたい」

 

「最初からそう言いなさいよ。まっ、私も会いたいけどね。それじゃあ参加するって返事するわよ?」

 

「ああ、そうしてくれ。後車で待ってる。どうせ料理してないんだろ?」

 

「あは…研究に夢中になってて…何の用意もしてない」

 

「外食で構わんさ、行こうツバキ」

 

そう笑うオクトに

 

「ごめんね?今度はちゃんと作っておくわ」

 

「ふっ、楽しみにしている」

 

オクトはそう言うと鍵を持って再び出掛けて行った、私は

 

「さーて、エリスちゃんにメールを送ってっと…データも保存して」

 

学期末のトーナメントを見に行くとメールを送ってから、PCの電源を切り、私も出掛けて行った…

 

 

 

「腹減ったなぁ…」

 

空腹を感じながら保健室を後にし自室に戻ると

 

「遅い!!」

 

部屋に戻るなり箒に怒られた…俺が何をしたというんだ…

 

「全く、私が空腹を我慢していたと言うのに、お前は何をしていたんだ」

 

「え?…まだ晩飯食ってないのか?」

 

俺がそう尋ねると箒は

 

「だから待っていたと言っている」

 

先に行ってくれてても良かったんだけどな…とは思ったが口にはしない、箒が怒りそうな気がしたからだ

 

「じゃあさ、食堂行こうぜ。時間ギリギリだし」

 

「ま。まて…そのだな…私が…その作った物がある…それを食べないか?」

 

テーブルの上にはチャーハンが置かれていた

 

「食って良いのか?」

 

見た所1人分しかない、だからそう尋ねると

 

「先に手を洗え、忘れずにうがいもだ」

 

流石箒しっかりしてる、俺は感心しながら洗面所に向かい、手洗いうがいを済ませ、席につき手を合わせ一礼してから、チャーハンを口に運んだ…

 

「うまいだろう?」

 

得意げな表情の箒…非常に言いにくいが…

 

「味が…しない…」

 

「な、なに貸してみろ!」

 

俺の手からレンゲを引ったくり、1口食べる箒…そして

 

「…味がしない」

 

「な?」

 

見た目は完璧なのだが…しかし味がしない…恐らく調味料が入ってないのが原因だろう

 

「これは…たまたまだ!!たまたま忘れたんだ」

 

「そっか、そう言うこともあるよな、ほれ返してくれ」

 

箒が頑張って作ってくれたんだ味がしないくらいで食べないのは男がすたる。食べた瞬間に三途の河を見ないのなら可愛いものだ。ちなみに昔千冬姉が焼きそばを作ってくれたことがあったが、俺はそれを食べ三途の河を見た。どうやら何かと何かが化学変化して危険な何かが発生してしまったのだろう。何を使ったのかは怖くて聞けなかったが…

 

「ごちそうさま」

 

レンゲを置きそう言うと箒は

 

「今回は偶然失敗しただけだ、普段は成功するんだ」

 

多分これが初めて作った料理だろう、箒の手に絆創膏が見えるから間違いない、でもそれに気付かない振りをして

 

「そっか。じゃあ次は成功品を食わしてくれよ。楽しみにしてるからよ」

 

「ああ、楽しみにしてるが良い」

 

女子は料理が上達するまでが速い、箒もきっとすぐに普通に料理が出来るようになるだろう。だからそれを楽しみに待っているとしよう

 

コンコン

 

そんな事を考えていると軽いノック音と共に

 

「あのー、篠ノ之さんと織斑君、いますかー?」

 

山田先生が扉を開けながら言う

 

「どうしたんですか?先生」

 

何のようだろうかと思いながら尋ねると山田先生は

 

「はい、お引越しです」

 

「はい?」

 

引越し?誰が?俺が首を傾げていると箒が

 

「先生、主語をいれて喋ってください」

 

「は、はい!すみません」

 

箒が鋭く睨みながら山田先生に言う、山田先生はビクっと身体を竦めてから

 

「えっと。お引越しするのは篠ノ之さんです。部屋の調整が済んだので今日から同居しなくてもすみますよ」

 

ほう…山田先生も中々やる。ナチュラルにギャグを入れてくるとは感心だ

 

「一夏」

 

「お。おうっ!」

 

なんだ?ばれたのか?口にしてないのに怒られるのか?俺が身構えていると

 

「えっと、それじゃあ、お手伝いしますから。すぐに移動しましょうか?」

 

「まっ待ってください。それは今すぐでないといけませんか?」

 

あれ?箒が意外な事を言う。男と同室なんて嫌だと思うのだが…俺が驚いていると山田先生が

 

「年頃の男女がいつまでも同室なんて、色々問題がありますし、今日中に引越しさせないと私が織斑先生に怒られますし。早く移動しましょう」

 

どうも後者のほうが大きそうだ…山田先生も苦労してるようだ

 

「し、しかし私は…」

 

箒がちらちらと俺を見る。俺を心配してくれてるのかな?

 

「俺のことなら心配するなよ。箒がいなくてもちゃんと起きれるぞ」

 

俺が安心させようとそう言うと

 

「!!」

 

あれ?いまカチン!って言う音が聞こえたような気がするんだが?

 

「先生、今すぐ部屋を移動します!」

 

「は、はい!じゃあ始めましょう」

 

山田先生が箒に促され慌てて引越しの準備をする

 

「俺も手伝おうか?」

 

1人より2人より3人だ、だから俺も手伝うかと尋ねると箒は

 

「いらん!」

 

なんか凄く怒ってる、俺何か言ったかな?

 

箒は起こった素振りのままてきぱきと荷物をまとめ出て行ってしまった…

 

「うーん、部屋が広く感じるな」

 

1人になったことで部屋が2倍になった気がする。なんとなく寂しいと思う

 

「ま、良いや寝よう」

 

シャワーもしたし寝巻きにも着替えてる、疲れてるし寝よう…俺が布団にもぐりこむと

 

コンコン

 

ノックの音がする、もう布団に入ってるし…どうしよう…

 

ドンドンッ!!

 

ノックの音がまるで正拳突きの様な音に変わった。慌てて布団から飛び出しドアを開ける、そこにはむすっとした表情の箒がいた

 

「どうした?忘れ物か?」

 

俺がそう尋ねると

 

「…違う」

 

「じゃあ何か話でもあるのか?まぁ入れよ」

 

部屋に招きいれようとすると箒は

 

「いや、ここで良い」

 

「そうか」

 

「そうだ」

 

そう言うと箒は黙り込む

 

「…用がないなら俺は寝るぞ?」

 

「よ、用ならある!」

 

箒は意を決したような表情で俺を指差し

 

「ら、来月の、学年別個人トーナメントだが。私が優勝したら…」

 

ここで言葉を切り箒は

 

「私と付き合って貰う!!」

 

「…はい?」

 

まるで宣戦布告な様な言葉を言い残し、箒は去っていった、何が何だがわからないが…また一悶着あるようなそんな気がした…

 

 

 

 

「うーん…ゴーレムの反応が途絶えちゃった…4機も送り込んだのに」

 

白いワンピースにウサ耳と言う1人、不思議な国のアリス状態の女性が呟く。彼女の名は篠ノ之束 ISを開発した人物だ

 

「なに、束、貴女の作った無人機、何の役にも立たないじゃない、あの男の実力を2割も出させてないじゃない。役に立たないにも程があるわ」

 

何時の間にか現れた赤と緑のオッドアイの女性の辛辣な言葉に束は

 

「いやね~チートすぎるね~ネルちゃんのくれた情報より、強いよ」

 

「言い訳は聞きたくないの。とにかくあの男の事をもっと調べて。その為に私が協力してるのよ」

 

「はいはい~判ってるって。とにかく調べ直すから帰ってよ、邪魔だから」

 

邪魔といわれた女性は

 

「良いわ、今は帰るわ…でもこれ以上貴女が役に立たないのなら排除する事になるわ。覚えておいて」

 

そう言い残し空気に溶けるように消え失せた…

 

「束…またあの女とあっていたのか?」

 

暗がりから束と同じワンピースに黒いウサミミをつけた女性が現れ尋ねる

 

「そうだよ~アズマちゃん、私の知らない事を教えてくれる、ネクロ側の貴重な人物だからね」

 

にっししと笑う束にアズマと言われた女性は

 

「引けるうちに手を引いたほうが良い。あの連中はお前のことなど使い捨ての駒程度にしか思っていない」

 

「それでもだよ。束さんは全てを知りたいのだよ~魔法世界・デバイス・ネクロ・そして夜天の守護者。知りたくて知りたくて仕方ないんだよ~」

 

どんよりとした目で言う束に

 

「好きにすれば良い…私は束の意向に従うまで」

 

「うん、そうするよ!アズマちゃん」

 

そう言って鼻歌交じりでコンソールを叩く束…を尻目にアズマはその部屋を後にした…

 

 

丁度その頃束の研究室の外に転移した赤と緑のオッドアイの女性は

 

「やっと…やっと来てくれた…会いたかったよ…お父さん」

 

どこまでも歪んだ好意を瞳に映し狂ったように笑う

 

 

「あの女にも誰にも渡さない…お父さんは…私の物なんだから」

 

あははは狂ったように笑いながら、何事か呟く、すると女性の足元に魔法陣が展開される。…それはこの世界には存在しない筈のベルカ式の魔法陣だった…

 

「愛してる…殺したいほどにね…でも、今はその時じゃないの…だから会える時を楽しみにしてる」

 

女性がそう呟くと同時にその姿は掻き消えた…もし今ここに六課に関わる人物がいたらきっと驚いただろう…何故ならその女性の顔はヴィヴィオに瓜二つだったのだから…

 

第16話に続く

 

 




今回は少し長めでした、龍也さんを怪しいと思い始める千冬さんと、エリスさんの両親の登場…第2巻はかなりオリジナル色を出そうと思います、それでは次回の更新もどうかとよろしくお願いします
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