第17話
次の日のSHRで、2人の転校生が紹介されていた…
「シャルル・デュノアです、フランスから来ました、この国では不慣れな事も多いと思いますが皆さんよろしくお願いします」
黒板の前で笑う見た目男を見ながら
(男装か…何か訳有といった所か…)
姿こそ男だが気配が女性の物だ、その程度では私の感覚は誤魔化せない。まぁ態々男装してるんだから相当の理由があると思い黙っていると
「男子!3人目の男子!!」
「美形!しかも守ってあげたくなる系の!!」
「地球に生まれてよかった~」
興奮状態のクラス…まぁ基本的に女子ばかりだからな男子の転校生ならテンションも上がると言うものか…織斑先生が
「あー騒ぐな、静かにしろ」
面倒くさそうに言う、それに続いて山田先生が
「み、皆さんお静かに、まだ自己紹介が終わってないですから」
もう1人の転校生、長い銀髪に眼帯。そして身に纏う雰囲気から
(軍人だな?私を見てる?何のつもりだ?)
一瞬だけ視線が合うがすぐに外れる。私は首を傾げながら深く椅子に腰掛けなおした
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
簡潔な自己紹介だな。何となくだが出会ったばかりのチンクに似てる気がする、その時某部隊での訓練中のちっちゃいお姉ちゃんがくしゃみをしていたりする、私がそんな事を考えてると…ラウラが一夏の前に立ち
「貴様が…教官の弟か?」
ジロジロと一夏の顔を見るラウラ。一夏は一夏で落ち着かない様子で
「な。なんだ?俺の顔に何か付いてるか?」
一夏がそう尋ねるとラウラは
「教官が何度も自慢していた。私の弟は世界一だと、どんな男か気になっていた」
興味津々と言う表情のラウラは
「ふーむ…どれ」
唸りながら突然、手刀を突き出すラウラ
「あ、危ねえ!?」
瞬間的にその攻撃を避ける一夏
「ほう…反射神経も中々…それに反撃にと突き出した拳も良い」
机の影で見ないが一夏の拳はラウラの腹部に当てられていた。もう一度攻撃に出るならすぐにでも拳を打ち込める体勢だ
「教官、聞いたとおり貴方の弟は中々の強者のようですね」
「当然だ、この私の弟だぞ?だが1つ言いたい事がある」
織斑先生がラウラを指差し
「一夏に近すぎる!後2メートルは離れろ!」
「言うことはそれなのか!?」
「了解しました」
「お前もそれで良いのか!?」
一夏の突っ込みが冴え渡る、一夏はきっと突っ込み体質なんだろう
「さてと、それではHRを終わる、各人はすぐに着替えて第2グランドに集合!」
そう言って出て行こうとした織斑先生は扉の前で立ち止まり
「織斑と八神はデュノアの面倒を見てやれ、同じ男子だろう」
そう言って出て行く織斑先生を見ながら、私は
(取り合えず、挨拶はしておくか…)
私が席を立ち一夏の所に行くと
「君が織斑君と八神君?初めまして、僕は…」
挨拶をしようとするシャルルの腕を掴む一夏は
「とにかく移動だ、話は後だ。遅れると何をされるか判らん」
「恐らく性的な何かだ」
「言うな!俺が認めたくない事実をさらりと言うな!」
「はは、気にするな。私も妹が来たら基本的にはお前と同じ立場になる」
「お前の妹も千冬姉の同類なのかよ!?」
「YES」
「何故に英語!?」
「何となくだ、それより見ろ。お前のせいでシャルルがきょとんとしてるぞ?」
「俺だけのせいにするなよ!」
ぼけと突っ込みの応酬をしながら教室の外へでる
「さー。今日も元気よくマラソンと行こうか?」
「だよなぁ。基本全力ダッシュだもんな」
2人でぐっぐっと足を伸ばす
「えっと何をしてるの?」
きょとんとしてるシャルルに
「アリーナの更衣室に向かうのだが、私と一夏の場合深刻な問題がある」
「問題?」
話しながら階段を下りる
「ああ!転校生発見!?」
「しかも織斑君と八神君も一緒!」
HRが終ったと言うことは各学年・各クラスの尖兵が情報収集に来てるということ。捕まれば最後、私は特別カリキュラムを組まれ、一夏は捕食される
「いた!こっちよ!」
「者ども出会え出会えい!」
ここは何時から武家屋敷になったんだろうか?女子高ののりには付いて行けないな
「転校生君の金髪と八神君の銀髪サイコーッ!」
「本当だよね~でも一夏君の黒髪も良いよね~」
どんどん女子が増えてくる
「ふむ…退路を絶たれるぞ一夏」
「だよなあ…プランBか?」
「お前は大丈夫だろうかシャルルはどうする?」
「????」
私と一夏の会話についていけず首を傾げるシャルルを見ながら一夏は
「プランAで行こう。向こうで俺が受け止める」
「一体何の話をしてるの?」
私と一夏の話が判らず首を傾げるシャルルに
「まぁ更衣室に向かう為だ、一夏の行動を良く見ておけ」
タッタと後退する一夏
「行くぞ龍也!」
「おう!」
ダダダッ!!走ってくる一夏の前に手を出す
「よっ!!」
ダッ!!
タイミングよくジャンプした一夏を手の上に乗せ
「ぬうおおおおッ!!!」
身体を反転させ一夏を投擲する
「ええええ!?投げた!」
「またこのパターン!?」
「くう!この規格外コンビ!」
驚いているシャルルと適応し始めている女子の差が激しい
「よっ」
クルン
前回り受身の要領で着地し即座に立ち上がり走り始める一夏を見ながら
「良し、では次はお前だ」
ガシッ!!
「あの…僕はなんで猫の様に持ち上げられてるのかな?」
私の目を見て尋ねてくるシャルルに
「一夏の真似できるか?」
「無理」
「なら投げる。上手く着地しろ」
「投げるのは決定事項なの!?」
「決定事項だ!ぬうおおおおッ!!!」
「嘘オオオオッ!?」
そのまま振りかぶりシャルルを一夏の方目掛け投げる
「ナイス龍也!良い距離だ!」
「ナイスじゃない~ッ!!!」
ガシッ!!
一夏が反転しシャルルを抱きとめる。良し次は私だな
「うし!行くぞシャルル」
抱き止めたシャルルを降ろしながらそう言うとシャルルは
「ええ?八神君は?」
龍也の方を指差すシャルルに
「もう来てる!あれをみろ」
天井を指差すそこには
「天井を走ってる!?忍者?忍者なの!?」
ナイスリアクションだ、俺も最初は驚いた天井を走ってくる龍也、どうしてあんな事が出来るのか?不思議で仕方ない
「待たせたな!行くぞ!」
「おう!」
俺達の前に着地しながら言う龍也に頷く
「待って!僕がおかしいの!?日本ではこれが普通なの!?」
「ははは!そんなわけないだろう?なぁ一夏」
「ああ、龍也限定の話さ、気にするなよ」
笑いながら走る、シャルルも首も傾げながらも着いて走ってくる
「うーし到着!流石プランB到着が早いぜ」
「うむ。時間に余裕があるのは良い事だ」
「余裕はあるけどなにか釈然としないものが…」
良いじゃんかよ…時間に間に合えば
「ははは!最終手段のプランCで無くて良かったな」
「だよなあ。窓から飛び降りるのは結構きついからな」
龍也に投げ飛ばされるプランA、龍也の腕に着地し跳ぶプランB、そして龍也に担がれ窓から飛び降りる最終手段のプランC。それが囲まれる前に仕える俺と龍也の連携だ。ちなみ囲まれた場合は、龍也が俺を背負い天井を走るプランDがある
「…突っ込みべきなの?僕は八神君と織斑君の考え方に突っ込むべきなの?人を投げるのは普通じゃないっていうべきなの?」
「まぁ細かい事は置いといて着替えよう」
「細かくないよ!?結構凄い事だよ!?」
「ははは。シャルルも龍也と一緒にいればこれが普通になるさ」
「それ違うからね!?普通じゃないからね!?」
「実に鋭い突っ込みだな、突っ込みマスター一夏から見て何点だ?」
「そうだな、リアクションが薄い。65点」
もうちょっと手振りが入れば80点だ、少し勢いが足りないな
「誰か!誰かここに!突っ込みの出来る人を!!僕だけじゃ対処しきれない!」
はははは、1年で突っ込みが出来るのはあと、なのはとエリスさんだけだ、残念ながら女子なのでここにはこれないだろう
「まぁ、着替えようぜ。ほら見てみろよ」
龍也がコートを身体に巻きつける、次の瞬間龍也はISスーツ姿になっていた
「なんで!?何でコートを身体に巻きつけた次の瞬間には着替え終わってるの!?」
「はははは、ナイスリアクションだ。俺も最初は驚いたんだぞ」
最初見たときは目が飛び出るほど驚いた物だ
「便利だからな、色々と」
「便利なの!?」
「ほら。シャルルも着替えろよ。時間無くなるぞ?」
「って織斑君も着替え終わってる!?何時の間に!?」
「いや、面倒だから中に着てただけだ」
女子に囲まれる危険性を考慮して最初から着込んでいただけだ
「うーし。じゃあ先行って待ってるぞ」
「じゃあな~」
シャルルに手を振り俺と龍也はグランドに向かった…
「ちっ…時間通りか」
「千冬姉?なんで舌打ちするんですか?」
私と一夏が並んでいる事に気付いた織斑先生が舌打ちする
「あーだこーだといちゃもんをつけ、指導室に連れて行くつもりだったが失敗か…」
残念そうに言う織斑先生…ああ。本当はやてに似てる
「それは先生として言って良い事じゃないわよ!!ブラコン!」
「そうですわよ?先生ではないのですか…」
鈴とセシリアが文句を言った直後
バシーン!!
「私語は慎め。授業中だ」
「「くううう…」」
頭を押さえる鈴とセシリア…しかし私語を慎めと言いつつ自分は欲望に塗れた私語をぶつぶつと言っていたのは良いのだろうか?
「では、本日から格闘及び射撃を含む実戦訓練を開始する」
仕切りなおしと言う表情で手を叩きながら言う織斑先生に
「「「はいっ!!」」」
気合の入った返事をするクラスの面々を見ながらちらりと横を見ると
「くう…何かというとすぐに人の頭をポンポンと…」
「くう…あのブラコン、今度殺す」
叩かれた場所が痛むのか涙目で言う2人を見ていると
「ああああーど…退いてください!!」
隣から空気を裂く音がする、嫌な予感がし横にずれるが反応が遅れた一夏は何か吹っ飛ばされた…
「…訓練2倍だな」
反応が鈍すぎる、これは要修行だ…いやその必要は無いか
「…殺そう」
「そうですわね」
どうやら一夏を吹っ飛ばしたのは山田先生で。現在一夏は山田先生を押し倒したように見える、それだけで鈴とセシリアを刺激するには充分すぎた
「はっ!?」
一夏が慌てて身を起こす。その直後一夏の頭部があった場所をレーザーが通過する。うむ。あの反射速度は合格点だ
「ホホホ…外してしまいましたわ…」
怒っていますという表情のセシリアが再度ライフルを構える
「…殺す…」
単色の目で双天牙月を振りかぶる鈴…うむ。あの殺気セッテに順ずるものがあるな。そんな事を考えていると鈴が双天牙月を一夏目掛け投擲した
「うおおおおッ!?」
のけぞってそれを回避した一夏だが、双天牙月はブーメランの様に戻ってくる、次はかわせないな
「はっ!!」
ドンドンッ!!
火薬銃の音が響き、放たれた弾丸が双天牙月の軌道を変える…一夏を助けてたのは上半身を起こした。その状態で精密射撃を行った、山田先生だった…やはり…山田先生は一流の射撃タイプだったか、見る目があるほうとは言わないが、山田先生は相当な腕前だと判っていた。今のやり取りを見て私の予想は当たっていたようだ、唖然としている女子に、雰囲気で判断するからだなと思っていると
「予想とおりですね、龍也さん」
何時の間にか隣に来ていたなのはにそう声を掛けられる。入試試験では勝てたが、きっと山田先生は一流だと私達は判断していた
魔道師ランクで言えばC~B-ランクの間くらいだと予測していた、今の行動を見て私達の予想が当たっていたのが良く判る
「うーん…でもなんであんなに慌てちゃうんですかね?」
「性格的なものだろ?」
山田先生は確かに一流だが、性格的に争いには向いていないのだろう。だから凡ミスをしてしまう。まぁ本人の上がり性なのも問題だと想うがな。私となのががそんな話をしている間に、織斑先生が話を進めていた…どうやら山田先生とセシリアと鈴で模擬戦をやるらしい、まあ見る間でもなく鈴とセシリアの敗北だったが…
「さて。これで諸君にもIS学園教諭の実力は判ってもらえたな?以後は敬意を持って接する事」
織斑先生が手を叩きながら言う
「専用機持ちの織斑、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ、凰、八神で、グループ分けをし実習を行う!グループリーダーは専用機持ちがやること!高町・ハラオウン・シェン・薄野は番号中でグループに別れろ!」
実習が始まるようだ、私が移動しようとすると
「八神君!一緒に頑張ろう!」
「あの剣捌きを教えて!!」
「悪を断つ剣様~」
あっという間に女子に囲まれる、どうやら私だけではなく、シャルルと一夏も同様のようだ…私はどうして良いか判らず困惑していると
「この馬鹿者どもがッ!!出席番号順に1人ずつグループに入れと言っただろう!順番はさっき言った通りだ!これ以上もたつくならISを背負わせて走らせるぞ!!」
その怒声に蜘蛛の子を散らすように散っていく女子を見ながら
(さてさて…どんなメンバーが来るかな?)
私はそんな事を考えながら、メンバーが集まるのを待っていた…
第18話に続く
はい、今回はここまでです。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします