IS~現れたる神なる刃【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです、前回シャルさんが病み化しました。これで今の所ヤンデレ化したい人は全部ヤンデレにしました。
後は登場予定のオリキャラとヤンデレを交えながら話を進めて行こうと思います。それでは今回もどうか宜しくお願いします


第23話

 

第23話

 

待ち合わせの時間より大分遅れてしまい、若干早足で私は待ち合わせのバーに向かった

 

「千冬こっちよ」

 

「どうもお待たせしました」

 

ひらひらと手を振る椿さんの所に向かう。周囲には誰も居ないその席に腰掛ける

 

「随分遅かったわね。どうしたの?」

 

「少しばかり情報の整理をしていたもので」

 

ふーんと言いながらカクテルを煽る椿さんに

 

「酔ってませんよね?」

 

「こんなのジュースと一緒。こんなので酔い潰れはしないわ」

 

そうは言うが椿さんの飲んでいるカクテルはかなりアルコール度数の高い物の筈だが

 

「まぁとりあえず千冬も何か頼みなさいよ」

 

「では黒ビールでも」

 

ウェイターに注文をし、持って来ていた鞄から書類を何枚か差し出す

 

「これがIS学園に提出された八神龍也の身辺の書類です」

 

「ふーん」

 

パラパラと書類を見ている椿さんを見ていると

 

「お待たせしました、ご注文の黒ビールです」

 

「ありがとう」

 

ウェイターが運んできたビールを飲もうとした所で

 

「この私立聖祥大附属小学校って存在しないわよ?調べてみたけど巧妙なカモフラージュで存在してるように思わされたけど……実際は何処かのPCが処理して存在するように偽装してたわ」

 

「やっぱりですか?」

 

私と同じ結論を出した椿さんにそう尋ねると

 

「ええ、存在しない学校を卒業したと言う3人組。私としては亡国企業の可能性が高いと思うんだけどね」

 

「ですがそれでは辻褄が合いませんよ?」

 

仮に八神達が亡国企業側だと想定すると、辻褄の合わない事が多すぎる

 

「簪ちゃんのISを組み上げて、一夏君達を鍛える意味が無い物ね。何の為にそんな事をしてるのか全く理解できないわ」

 

そうそれだ。仮に八神達を亡国企業側の人間と仮定すると。八神達の行動は全く理解出来ないのだ。敵を態々鍛える価値は無いし、ISの調整を手伝う理由も無い

 

「全く何を考えてるか判らない人間ほど怖いものは無いわね」

 

「全くです」

 

私が頷くと椿さんは

 

「まぁ、千冬の場合、愛しい弟が離れて行くのが怖いだけみたいだけどね」

 

「ぶふぉ!げほっ!ごほごほっ!!!」

 

突然の言葉に驚き思わずむせて咳き込む

 

「な、何を言ってるんですか?」

 

「あら違うの?超ブラコンの織斑千冬?」

 

ぐぐぐぐ……あながち違うとも言えないのでなんとも言えない

 

「貴方のあり方は間違ってるとは思わないけどね。唯1人の肉親を大切に思うのは当然よ。まぁ行き過ぎるのはどうかと思うけど……」

 

「良いじゃないですか、私は一夏が大切です。何よりも貴方も似たようなものでしょう?」

 

違いないわねと苦笑しつつカクテルを煽る、椿さんは

 

「ふう……何かこう私の知らない所で動く闇がどんどんエリスに近付いてる気がするのよね」

 

「判ります。私もそんな嫌な予感が何時まで経っても消えないのです」

 

どの国も伏せているが、最近元IS操縦者や最新型のISの操縦者の失踪事件が多発している。表向きは療養となっているが、実際はどうだか

 

「イギリスがもう1人代表候補生をIS学園に編入するって言うのは聞いてる?」

 

「ええ。確か今日聞きましたがそれが何か?」

 

ビールを飲みながら尋ねると

 

「イギリスの最新機「サイレント・ゼフィルス」とその操縦者が行方不明になってるの。言いたい事は判るでしょう?」

 

「襲われたのですか?イギリスの研究所が?」

 

「まだ公表されてないけどね。一昨日の深夜、亡国企業と黒い亡霊に研究所が襲撃されたらしいの。死者・負傷者含めて170名。その内60名は死亡してるわ」

 

そんな事件があったのに何故イギリスはその事を教えない?

 

「公にはISの暴走事故ってことで処理してるみたい。生存者全てに緘口令が引かれてるわ」

 

「何故その事を教えないのですか?」

 

私がそう尋ねると椿さんは

 

「何処の国も信じないでしょう?黒い亡霊に襲われたなんて」

 

「それは……そうでしょうね」

 

そんな事を発表しても何処の国も信じないだろう。だから事故と言う形で処理をしたのか

 

「今の所黒い亡霊と遭遇したのは、イギリスとドイツの2国だけ。それを除けば……後はうちの旦那と貴女くらいでしょ?」

 

「ええ、そうなるでしょうね」

 

私は前回のモンドグロッソの時に黒い亡霊に襲われ、黄金の騎士に助けられた。だがその事は誰にも話していない、どうせ誰も信じないからだ

 

「その時からよね?貴女が一夏君を傍に置いて置こうとし始めたのは」

 

「ええ。正直……怖いんです。もしまた黒い亡霊に襲われた時に、私は一夏を護れるのかと」

 

私があの事を思い出したのはモンドグロッソ終了から半年後の事だった。唐突に思い出したのだ自分と一夏が死に掛けた時の事を……不思議と黄金の騎士の事は思い出せなかったが、黒い亡霊のことだけは鮮明に思い出せた。怖かった……ただ1人の肉親が死に掛けるその時の事を思い出すだけで身体が震えた……夜中にその時の事を思い出し、一夏が息をしてるかどうか?何てくだらない事を確かめた事もあった……それほどまでに恐ろしいのだ。あの黒い亡霊の存在が……

 

「貴女ほどの戦士が恐れるなんてね……」

 

「あれは本能的な恐怖の塊と言っても良いですからね」

 

あれは人間とは根本的に何かが違う、それだけは確かに感じた……私個人の意見としては黒い亡霊より、黒い悪魔と言うほうがしっくり来る気がする

 

「ふう……ならやっぱり私もIS学園に居たほうが良いかもね」

 

「IS学園に?どういうことです?貴女はフリーのIS研究者じゃないですか?開発中のプロジェクトはどうするんです?」

 

確か椿さんはオートクチュールとは違う自立式の強化パーツの開発をしていたはず、それはどうするのか?と尋ねると

 

「データだけならIS学園で作れるし、それにIS学園で組み上げれば公表の義務も無い。それにエリスちゃんを近くで護れると。1石3鳥じゃない。もう轡木さんに頼んでIS学園に臨時講師として働く事にしてるわ」

 

なんとまあ思い立ったらすぐ行動の椿さんらしくて思わず苦笑する

 

「笑う事無いじゃない、それだけエリスちゃんが心配なのよ、あの子は自分の生まれを知ってるわ、もしもあの子の心を壊すだけの事があったらと思うと近くに居てあげたいのよ」

 

超極秘事項として一部の教員にのみ教えられている、エリス・V・アマノミヤの秘密。それは確かに15歳の女子が背負うには重すぎる

 

「そうですね、それが良いかもしれませんね」

 

「そう言うこと。じゃあ今日は私の奢りでじゃんじゃん行きましょう!!すいませーん!今日のオススメとカクテルお代わりお願いしまーす」

 

「急に元気になりましたね」

 

「まぁね、気分転換が大事なのよ。暗いことだけ考えてても良い事無いしね」

 

にっと笑う椿さんに思わず苦笑する、自分とは違い切り替えが上手くて本当に羨ましい。私はそんな事を考えながら残りの黒ビールを飲み干した……

 

 

 

 

 

「サイレント・ゼフィルスの奪取に加えて操縦者の死亡。頭の痛い問題ばかりだ」

 

「ええ、念のために増やしておいた警備も何の役にも立ちませんでしたね」

 

「そう言うな。普通なら充分な警備体制だった。ラファール2機とサイレント・ゼフィルス。充分すぎるほどの備えだった。予想外だったのは黒い亡霊の襲撃だ」

 

そう言いながら書類を読み上げる。黒い亡霊、下記をゴーストと呼称する。再生能力と身体の即時変換によるマルチ対応の謎の生物。機械と生物の中間のような存在

 

「このままでは次期イグニッションプランの試作機の制作に支障が出ますよ」

 

「判っている。予定とは違うがIS学園に保護要請と共に、ヴィクトリア・スミスの編入を頼んだ」

 

「通ったのですか?その要請が?」

 

不思議そうな顔の副官に

 

「ああ、私達の知りえたゴーストの情報の全ての提供の代わりに編入を受け入れてもらった」

 

「そうですか……ヴィクトリア嬢には既に話されたのですか」

 

「ああ、今日の昼に通達として使いを出した。ヴィクトリアの了承の意もちゃんと聞いている。勿論それなりの条件を出されたがな」

 

 

行くのは構わない、だが条件があるとヴィクトリアは言った、その程度の事で了承を得れるのならそれくらいの条件は飲む

 

「条件?何だったのですか?ヴィクトリア嬢はイギリスを出るのを嫌がっていましたがそれと関係あるのですか?」

 

「ああ。彼女にとってはそれが気掛かりで本国を出るのを嫌がっていたんだ、本来ならセシリア・オルコットと同時にIS学園に行って欲しかったものだよ」

 

ヴィクトリアはセシリアとはタイプが全く違う、ブルーティアーズモデルを駆る優秀な操縦者だ。

 

「そうですね、射撃型と近接型の両方のデータが取れますしね」

 

「まぁそれもあるが、それだけではないさ」

 

私が思うにヴィクトリア嬢の世界は狭い。その世界を広げるためにもIS学園に向かってもらいたかったのだ

 

「それでは出発の日時を連絡しておきましょうか?」

 

「いや、明日で良いさ。彼女も別れを告げたい人が居るだろうしな」

 

私はそう呟き窓の外を見つめた……

 

 

 

私は若干憂鬱な気持ちで家へと戻った。

 

「ただいま帰りました」

 

「おかえり、ヴィ。今日の訓練はどうだった?」

 

私を出迎えてくれたのは父の、ジョージ・スミスだった

 

「はい、特に問題なく終了いたしました。父上様」

 

「ははは、僕は様なんて付けられるほど偉くは無いけどね」

 

穏やかな笑みを浮かべる父上様、偉く無いと言うが私にとっては誰よりも尊敬できる偉大な人だ。スミス家は決して裕福な家庭ではなかった。それを1人で支え私をここまで育ててくれた父は誰よりも強く優しい自慢の父親だった

 

「さ、お風呂に入ってくると良い、その間に僕は夕食の準備をしておくよ」

 

「いえ、私が用意をしますので父上様はお休みになられていてもいいのですよ?」

 

「家で1日ごろごろしてるだけなんだ、仕事を終えて帰ってきた娘を労う位はやらせておくれヴィ」

 

にこにこと笑う父上様の髪は全て白髪だ。まだ40を過ぎたばかりなのに鮮やかだった金髪は既にその色を失っていた。私を育てる為に無茶をし続けた父上様の体はボロボロだった。そんな父上様の背中を見ていた私はこう思う、今は女尊男卑で立場の弱い男が多いが、父上様は違う、どんな時も誇り高く、強かった今の時代にも強い男は居ると思っていた。だが実際は違った。入った軍の上官も私の様な小娘にぺこぺこと頭を下げ、媚をへつらう……私はそれがいやだった。そんな男と自分の自慢の父が同じ人種だと思う事すら嫌で嫌で仕方なかった

 

「ヴィ?どうしたんだい?気分でも悪いのかい?」

 

「あ、いえ。考え事をしていただけです、ではお言葉に甘えさせてもらって良いですか?」

 

「勿論さ。ゆっくりお風呂に入っておいで」

 

笑顔で言う父上様に頷き私は風呂場に向かった

 

「今上がりました」

 

「そうか、丁度良かった今準備が終わったところだよ。さ、一緒に夕食にしよう」

 

にこにこと笑う父上様に頷き私は椅子に座った

 

「?今日は何かのお祝いの日でしたか?」

 

テーブルには私の好物ばかり並べられていた。だからそう尋ねると父上様は

 

「聞いたよヴィ。明日日本に発つんだろう?だから激励の意味を込めて腕によりを掛けさせてもらったんだよ」

 

その言葉に私は内心舌打ちをした、自分で言いたかった……私は日本に行くとそれを勝手に伝えた上層部の連中に腹が立った

 

「日本には確か友達のセシリアさんが居たんだったかな?」

 

「別に私とあいつは友達という訳ではないですよ?」

 

私はあいつを好きにはなれない。セシリアは男を完全に見下し私の父を馬鹿にした。故に私はあいつとは仲良くなれない

 

「そう言うものじゃないよ?ヴィ。同郷の人同士仲良くしておいたほうが良い」

 

「それでも好きになれない物はなれないんです」

 

幾ら父上様の言葉でもこれを変える事は出来ない

 

「やれやれ、ヴィは頑固だな。一体誰に似たんだが」

 

「私としては父上様だと思いますが?」

 

母は既に死去しあった事がない。話によると優しい人だったらしいが詳しい事は知らない

 

「ははは!これは1本取られたな」

 

からからと笑う父上様……暫くはこの笑みを見ることは出来ない。しっかりと胸に刻んでおこう

 

「ご馳走様でした」

 

「うん、美味しかったかい?」

 

「はい、とても」

 

どんな高級店の料理よりも私は父が作ってくれた料理のほうが良い、私にとっての最高のご馳走だからだ

 

「父上様、私は明日日本に発ちます。暫くお会いする事は出来ませんがお身体には充分気をつけてください」

 

「大丈夫、大丈夫!最近は調子も良いんだから」

 

そうは言うが父の身体の調子は芳しくない。心配するなと言うのは無理と言うものだ

 

「父上様……私は」

 

本当なら日本になど行きたくはない。身体の調子の悪い父をイギリスに置いて行くのは正直不安で仕方ない。

 

「ヴィ、君は本当に僕には勿体無いくらいの娘だ、頭も良くて気立ても良い。今もこうして僕の事を心配してくれている。でもね、僕なら大丈夫。ヴィはヴィの行きたい道を進みなさい。僕の事は心配しなくて良い。君は何も心配せずにIS学園に行きなさい、そしてそこで広い世界を見てくると良い。そして3年の時間の中で成長した君を僕に見せて欲しい」

 

私の考えている事などお見通しなのかそう笑う父上様。ここで日本に行きたくない等と言う我侭は言うものではない。私が言うことは1つだけ

 

「はい!行って参ります」

 

「うん、それでこそ僕の自慢の娘だ」

 

やはり貴方は私にとって何時までも尊敬できる、強い父親だ……ならば私はその強い父の娘として強くあろう。

 

「ヴィクトリア嬢、向こうの空港でイギリス大使館の人間が待っている、そこでその人に指示を聞いてIS学園に向かってくれ」

 

「判っている、何度も言わなくても理解している」

 

父は見送りにこなかった。きっと情け無く泣いてしまうかもしれないから、来ないでくれと頼んだのだ

 

「それではな。日本での活躍を祈っている」

 

「そんな事言われるまでもない」

 

私はそう言い放ち飛行機に乗り込んだ

 

「やはり、会って行くべきだったか……」

 

ゆっくりと滑走路に向かっていきながらそんな事を考えていると

 

「父上様!?」

 

窓の外から手を振っている父上様を見つける。手を大きく振りながら何かを言っている

 

「きをつけて……はい。父上様もお身体にお気をつけて」

 

口パクの父上様の言葉に頷き、私の乗り込んだ飛行機は日本に向かって飛んで行った……

 

第24話に続く

 




今回はIS学園サイドの話は一切無く、千冬視点・イギリスの軍人の視点・オリキャラの視点で行きました。まぁ次回に繋がるインターバルのような感じだと思ってください。次回からはトーナメントの方には入っていこうと思います。それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします
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