IS~現れたる神なる刃【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回はセシリアさんとヴィクトリアさんのバトルがあり、簪さんの弐式の飛行テストがあり。あとは箒達を地獄に落す龍也の罠がある話です少し長くなるかもしれませんが、今回もどうか宜しくお願いします



第26話

 

第26話

 

「じゃあ、今日は3組との合同演習ね。まずは、うん。オルコットさんとスミスさんに模擬戦してもらおうかしら?」

 

「あの、今日は基礎の予定で」

 

「良いの、良いの。10の訓練より1の実戦、これは本当の事よ」

 

織斑先生が振り回されている、何となくだがツバキ先生は私の苦手とするクイントさんやリンディに似ているような気がする

 

「模擬戦ですか……判りました」

 

頷いて前に出る3組の代表候補である、ヴィクトリア・スミスを見る。セシリアに聞いた話では、セシリアと同じくイギリスの代表候補で本国にいた時は一緒に訓練を受けていたそうだ。対戦成績は2勝5敗と負け越しているらしい。だがそれは無理も無いかと思う

 

(シグナムに似ているな)

 

凛とした雰囲気に鋭利な気配を持つヴィクトリアは何処と無くだがシグナムを連想させた。長い金髪を腰元で結び、他の女生徒より露出の少ないISスーツに身を包んだヴィクトリアはすぐにISを展開した

 

(ティアーズモデルと聞いていたが。これはセシリアのとは大分タイプが違うな)

 

セシリアのブルーティアーズより、装甲が厚く赤と金のカラーリングが施されたその機体は騎士の様に見えた

 

「私が不利だと思うのですが……」

 

珍しく気弱な発言と共にセシリアがISを展開する。2人がISを展開した所で

 

「模擬戦開始!」

 

パンッ!!

 

ツバキ先生の手を鳴り合わす音と同時にヴィクトリアが動いた

 

「ふっ」

 

機体に取り付けられたパーツが分離し宙に浮かぶ

 

(剣型のビットか?変わった物を装備しているな)

 

金色が基調で、黒い線が走る両刃剣だった。それが3本切っ先をセシリアに向け滞空する

 

「行けッ!」

 

パチンッ!!!

 

ヴィクトリアが指を鳴らすとその内2本が弾丸さながらの勢いでセシリアに迫る

 

「インターセプターッ!!」

 

小型のショートブレードでそれを弾いたセシリアだが

 

「遅いッ!!!」

 

コールされたマシンガンで剣を振り切った体勢のセシリアを撃つ。ヴィクトリア……タイミングとしては必中の間合いだが

 

「甘く見ないで欲しいですわ」

 

小刻みなスラスター制御と自身の身を捻る事でその弾雨をかわしたセシリアはその勢いを利用して。インターセプターを投擲する

 

「ちっ」

 

滞空していた1本を掴み取りそのままインターセプターを弾く

 

(ふむ、直線だけだが射撃にも使えそのまま近接戦闘にも使えるビットか。これは少しばかり不利か?)

 

機体の性能面ではセシリアの方が若干不利そうだが

 

「機体の性能だけでは決まらんな。龍也」

 

「ん?ラウラか珍しいな。どうした?」

 

珍しく一夏ではなく私の方に来たラウラにそう尋ねると

 

「お前の分析眼で解説してもらおうと思ってな。それでお前から見てどっちに分がある?」

 

「ふむ。正直な話、ヴィクトリアの方が優性だろう。遠距離戦と接近戦両方に対応できるからな」

 

「確かにセシリアは近接はあまり得意ではなかったな。ではお前の予想ではヴィクトリアの勝ちか?」

 

マシンガンと両刃剣を巧みに操り華麗なヒット&アウェイをしているヴィクトリア。傍から見るとセシリアが押されているように見えるが

 

「まぁ前のままでは負けだろうが……今のセシリアは面白い事をするぞ」

 

私となのはとフェイトに訓練を受けたセシリアは独自の新しい戦法を編み出していた

 

「シュートレイン。ぶっつけ本番で成功するかな?」

 

「するだろうよ。あいつは才能を過信せず、地道な訓練を積んでいる。それは何よりも強い力になるぞ」

 

何時の間にか近くに来ていたなのはにそう言う、セシリアの地道な努力は実を結ぶ。ふふふ……お前の知らないセシリアの戦法を見て驚くなよ、ヴィクトリア

 

 

 

 

 

やはり強い!

 

私は降り注ぐライフルの弾と時折飛んでくるグロリアス・ヴィクトリーの両方に意識をさきながら。タイミングを計っていた

 

(全く!あの人たちの考えたコンバットパターンは異常ですわ!)

 

龍也さんたちに教わったコンバットパターンは成功すれば勝利、失敗すれば自滅という極端な物だった

 

(でも……勝てるかもというのは頼もしいですわね)

 

モーションを見せてもらい。自分の目でも確かめたが正直成功する自信はない、だが僅かでもある勝機と言えばこれしかなかった

 

(弾幕の雨 シュートレイン……賭けて見ますか)

 

どうせこのままでは負けるならば僅かな勝機に全てを賭けるのも悪くない

 

(龍也さんや一夏さんと関わっていると考え方が変わるのが不思議ですわ)

 

前の私だったらこんな無謀な選択はしない。それは確かな私の心境の変化だった

 

「何を考え込んでいる!!」

 

「ツ!!」

 

瞬時加速で切り込んできたヴィクトリアさんの一撃を紙一重でかわし、一気に後退しビットを射出する

 

「ふん。並行使用も出来ない武器を一斉展開してどうする気だ?」

 

「ええ、確かに私では全てのティアーズを同時に操作することはできませんわ。貴女と違って」

 

ヴィクトリアさんは3本までなら自分の行動と共にグロリアス・ヴィクトリーを操作できる、それが私と彼女の差だったでもそれを埋めるだけの一手があれば全て事足りる

 

「でもそれを補う戦術を教わりましたの」

 

「ほう?誰にだ」

 

興味が沸いたと言う表情のヴィクトリアさんに

 

「さぁ?まぁ1つ言えるのは魔王に師事するのは命懸けという事ですわ」

 

は?という顔をする3組の皆さんとうんうんとうなずく1組の皆さんの反応を見ながら。クスリと微笑む

 

「かわせる物ならかわしてください!」

 

ブースターを全開にし一気に間合いを詰めながらスターライトを連射する

 

「はっ!そんなも……正気か!?お前!」

 

「勿論正気ですわ!!」

 

ティアーズに龍也さん達が組み込んだプログラム。組み込んだパターン内で自立射撃を行うプログラム。それに従い私の背後からティアーズのビームの雨が降り注ぐ

 

(掠った!?私の頬に掠ってます!?)

 

後ろから無数に迫るビームが数発、ティアーズに当たり私のシールドエネルギーを削っていく

 

(特攻もいい所ですわ!!!)

 

心の中で龍也さん達に文句を言う、自立だから大丈夫?私に思いっきり当たってます!!絶対当たるように設定してますわこれ!?

 

「馬鹿か!お前!?」

 

「ええい!お黙りなさい!!」

 

もうここまで来たら最後までやりきるしかない。じゃないと……

 

(自分のISのビームで蜂の巣ですわ)

 

ここで止まったりして見ろ。容赦なく自立行動のティアーズのビームで蜂の巣になる。止まる訳には行かないのだ

 

「接近戦だと!甘く見るなよ!」

 

このままだと接近戦になる、滞空していたグロリアス・ヴィクトリーを掴んだヴィクトリアさんの前でPICを解除する

 

「なっ!?」

 

「くうううッ!!!」

 

急にPICを解除した事でティアーズが急激に失速し地面に着地……いや墜落する。それを手と足のスラスターを手動で操作し無理矢理ヴィクトリアさんの背後に回りながら、腰のミサイルビットを打ち出す

 

「挟まされた!?」

 

ビームとミサイルに挟まれ碌に回避などで切るわけがない。直撃を受け爆炎に飲まれるヴィクトリアさんだったが、すぐに飛び出してくる。だがこれは計算のうちだ

 

「まだだ!まだ……!?」

 

「チェックメイトですわ」

 

戻したティアーズとスターライトの銃口がヴィクトリアさんを包囲している。まだ動く素振りを見せるのなら即座に一斉射撃を放てる位置だ

 

「降参だ」

 

「そうですか」

 

ISを解除したヴィクトリアさんを確認してから、私もISを解除し

 

「貴方は何を考えてますの!!」

 

「はっはっは!!」

 

あのプログラムを組んだ龍也さんの胸倉を掴む

 

「何が大丈夫ですか!!思いっきり当たりましたわよ!!!」

 

「それはお前が未熟だからだ」

 

くううう!!それはそうですけど!

 

「危険性を言ってください!!」

 

「リスクのない勝利などない。多少のリスクは受け止めたまえ」

 

「多少!?あれが多少のリスクですって!?止まったら私自分のISの武装で蜂の巣になるところでしたわよ!?」

 

がくがくと龍也さんの襟を掴み揺さぶるが。龍也さんは笑っているだけで余計腹が立つ

 

「あのプログラムを凍結してください!!」

 

「良いのか?マルチタスクが出来ない以上それに変わる物をとわざわざ組んでやったのに?使いこなせないから凍結?はっ代表候補生が聞いて呆れるな」

 

挑発と判っていた。これが私の反骨精神を煽っているのは良く判っていただが

 

「ふざけないで下さい!私はイギリスの代表候補生です!あれくらい使いこなして見せますわ!!」

 

「そうか、では凍結出来ないようにプログラムを細工しておこう。何があってもこのプログラムは解除できないぞ」

 

え?ええ!?解除できない!?あの自殺に等しいコンバットパターンが!?

 

「あのやっぱりもう少し熟練度が「良し凍結完了だ」人の話聞いてます!?」

 

プログラムが細工され解除できなくなってしまった……悪魔だ。悪魔がいる……

 

「悪魔ーッ!!!」

 

「何を判りきったことを言ってるんだ?セシリア。龍也は悪魔だ」

 

「酷い言われようだ」

 

からからと笑う龍也さんと一夏さんを見て

 

「一発殴らせてください!!!」

 

「殴れるものなら殴ってみたまえ」

 

はははと笑う龍也さんに拳を振るうがかわされ続ける。

 

「何時までじゃれあうつもりだ!授業の進行の邪魔だ」

 

バシーンッ!!!!

 

いつもの五割増しの打撃を受け頭を抑え蹲る。龍也さんも同じ目にあうのなら帳消しに……

 

「お前もだ!!!」

 

パシッ!!!

 

「ほっ!」

 

「くっ!?」

 

私は直撃を喰らい、龍也さんがギリギリで白羽取りをしノーダメージだったのが非常に理不尽だと思いました

 

 

 

 

 

 

「手筈通りに頼む」

 

「はいはい。判ってます」

 

授業後。私はなのはとフェイトに頼み事をしてから第6アリーナに向かった、勿論簪の弐式の飛行テストを見るためだ

 

「ん?なんだエリスも居たのか」

 

「うん、同じ部屋だし。私も協力したから見ておきたい」

 

ちょこんと座るエリスを見ながらカタパルトの前で弐式のパラメータを見ている簪に近付く

 

「どうだ?上手くいきそうか?」

 

「た、多分。大丈夫……龍也君もエリスも手伝ってくれたから」

 

おどおどした様子で喋る簪に

 

「ふむ。一応私もISを展開しておくか」

 

「ふえ?」

 

意味が判らないと言う表情の簪に

 

「万が一に備えてな。もし途中でスラスターの調子が悪くなったら不味いだろ?」

 

そう言うと簪はもじもじと落ち着きなさそうに

 

「そ。それじゃあ……一緒に飛んでくれる?」

 

「うむ。元よりそのつもりだ。では先に出るタワーの上で合流しよう」

 

零式を展開しそのままカタパルトに乗り。飛び出し簪が上がってくるのを待つ。

 

(ふむ。中々の速度だ、それに飛行しながらのプログラムの書き換えか……やはり才ある者は違うな)

 

努力しても1に届かぬものと努力せずとも1に成れる者の差か……そんな事を考えながら苦笑する。万能だのなんだの言われるが結局の所私は数え切れないほどの修練や実戦の上で得た経験から人並み以上の事を出来るだけであり。天才と言われるものとは違う。まぁそう簡単に天才に負けるつもりは無いが、同じスタート位置で始めたとするとやはり私は才ある者には決して届かない。その面簪は天才と言える部類の人間だ1を教えれば10を理解する。惜しむらくは自分に自信が無い事だがそれは時と共に解決するだろう

 

「何を笑っているの?」

 

何時の間にか近くに来ていた簪にそう尋ねられ

 

「ん?いや才ある者と無い者の差について考えていた」

 

「やっぱり……私は才能がないんだ……」

 

何故か自分の事を言われたと感じたのかしょんぼりする簪に

 

「違う違う。才が無いのは私の方だ、私は決して一流には成れぬ者だからな。簪が羨ましいと思っただけだ」

 

「違う、私には才能なんて無い」

 

しょぼーんとする簪に

 

「違うさ。お前には才能がある、後はきっかけがあれば全てが変わるさ」

 

「そうかな?」

 

「そうともさ。私が保証しよう」

 

じーッと私の顔を見ながら言う簪に

 

「?何か顔についてるか?」

 

「ち、違うよ!。じゃあ今度は私が先に行くから!!」

 

そう言うと降下していく簪の後ろにつき飛んでいると

 

(む?何かおかしい)

 

脚部のブースターがぱっぱぱとちらついている。何か嫌な予感が……

 

「!?」

 

声を掛けようとした瞬間、弐式の脚部のブースターが爆発し、簪がバランスを崩し落下していく

 

「ちいッ!!!」

 

舌打ちと共に瞬時加速を使い回り込もうとするが

 

(ぎりぎり届かん!)

 

あと1歩届かない、このままでは簪が地面に叩き付けられるそうなれば大怪我所の話ではない

 

(致し方ない。クイックムーブを使うか)

 

仕方なく魔法を使い加速する。ギリギリのタイミングで簪の下に回りこむが体勢を立て直している時間は無く

 

「ぐっ!!!」

 

「ああ……」

 

機体の正面で簪を抱きとめそのまま背中からアリーナの床に叩き付けられる

 

「だ、大丈夫!?」

 

心配そうに顔を覗き込んでくる簪に

 

「問題ない。多少フィードバックがきついだけだ」

 

身体が多少軋むが問題は無いゆっくりとスラスターを吹かし。身体を起こす

 

「ご、ごめんね!わ、私のせいで」

 

おろおろしている簪に

 

「問題ないと言っている、それより簪は大丈夫なのか?」

 

結構な衝撃だった。なので簪は大丈夫か?と尋ねると

 

「う、うん。私は大丈夫だけど龍也君が……」

 

「こんなの軽い打撲だ。まるで問題ない」

 

そう言ってから零式を解除し弐式を見る

 

「ふむ。出力のバランスがあってなかったか。再調整が必要だな」

 

「う、うん……そうみたい」

 

しょんぼりしている簪に

 

「何次がある。そうしょんぼりするな。失敗があるから成功がある次があるさ」

 

ぽんぽんと肩を叩き簪を励ましていると

 

「だ、大丈夫!?簪、龍也君」

 

パタパタと走って来るエリスに

 

「だ、大丈夫……龍也君が助けてくれたから」

 

「私も問題ない」

 

これくらいの打撲で痛いと言うほど柔な鍛え方はしていないので全く持って問題ない

 

「そ、そう。よかった」

 

ほっとした表情のエリスと違い、落ち込んだ表情の簪に

 

「ふむ。1度気分転換をしたほうが良いな。食堂に行ってお茶にしよう」

 

目に見えて気落ちしている簪が可哀相なので食堂に誘う

 

「う、うん……判った」

 

コクリと頷く簪達と別れ私は自室に戻った。勿論この日の為に用意していた物を準備する為に

 

 

 

 

 

「よーし。今日はここまでにしようか」

 

何時もより早めに訓練を切り上げると言うなのはに

 

「何でだ?まだ始めたばっかりだろ?」

 

1時間とちょっと何時もの半分もやってないのでそう言うとフェイトが

 

「ふっふー今日は龍也からの指示でね。軽めにしておけってさ。何時も厳しいだけじゃ張り合いが無いだろうから今日はご褒美があるんだよ」

 

嬉しそうなフェイトに首を傾げていると箒が

 

「ご褒美?……それは何だ?」

 

「私も気になるな。龍也のご褒美って何?」

 

箒の疑問に鈴も乗っかりそう尋ねる。2人の問いかけを聞いたなのはとフェイトは

 

「もう、天国かって言いたくなるほどの幸福感が待ってるよ!」

 

天国?一体なんだろう?しかし嬉しそうな顔をしているフェイトとは対照的に

 

「後で地獄を見るんだけどね……」

 

後で地獄を見る?一体何が待っていると言うんだ

 

「食堂で待ってるよ!」

 

きゃっほー

と上機嫌で走って行くフェイトを見ているとなのはが箒達に

 

「今日は夕食を食べない心構えで来たほうがいいよ?」

 

「え?なんで?」

 

「とにかくそういう心構えの方が良いよ。後で後悔する前にね」

 

そう言ってなのはは歩いて行った残された俺達は

 

「何が待ってるんだ?」

 

「食堂って言ってたな、食べる物と言うことか?」

 

「しかし夕食を食べない覚悟とはどういう意味でしょう?」

 

「まぁ考えるより行った方が良いだろう?」

 

「うん。僕もそう思うよ」

 

「何かなー?お菓子かなー?」

 

不安になる様な事を言われて判れた事に首を傾げながら。俺達はピットに戻りシャワーを浴びてから食堂に向かった

 

「おう。来たかさてとでは準備をするか」

 

テーブル1つを確保していた龍也が立ち上がり歩いて行く。それを見ながら椅子に座ると

 

「あ……えっと」

 

「座ってて言いって言ってたから座れば良い」

 

エリスさんと青い髪で眼鏡を掛けた小柄な女子が来て同じ様に椅子に腰掛けた。龍也の知り合いだろうか?エリスさんは冷静な表情で紅茶を淹れて飲んでいたがその隣の女子はおどおどと落ち着き無さそうにしていた。その理由は明白で

 

「またフラグを……」

 

「龍也さんを1人にするのは危険すぎる……

 

ぶつぶつと呟いている魔王2人のせいだろう。俺がそんな事を考えていると龍也がカートを押して来た

 

「さて今日の訓練ご苦労様。今日は気持ちばかりの労いの品を用意させてもらった」

 

龍也はカートから大皿を取り。俺達の前に置いて行った

 

「では存分に食べてくれ」

 

龍也が大皿に掛かっていた布巾を外すと

 

「「「うわあ」」」

 

箒達が嬉しそうな声を出す。それもそのはず4枚の大皿にはそれぞれ、ショートケーキ・チーズケーキ・ガトーショコラにシュークリーム。女子が喜ぶであろう甘味が所狭しと置かれていた

 

「私はこれでも御菓子作りが得意でね。喜んで貰えたかね?」

 

龍也に問いかけにうんうんと頷いた箒達は配られた小皿に好きなケーキを取ってから

 

「いや、龍也は厳しいだけかと思っていたがそれは私の誤解だったようだな」

 

「そうですわね♪悪魔だ何て悪かったですわ」

 

「こういうのがあるならあの地獄の訓練も悪くないわね」

 

「そうだねー」

 

思い思いに龍也に感謝の言葉を告げてから箒達はケーキを口にした

 

「美味しい……うむ。これは美味いな」

 

「このガトーショコラは絶品だな。甘さと苦さが実にちょうど良い」

 

「ダブルシュークリーム好き何だよねえ」

 

もぐもぐとスイーツを食べご機嫌な箒達を見ながら俺も目の前にあったショートケーキを取り口に運ぶ

 

(うわマジで美味い。専門店にも引けを取らないぞこのケーキ)

 

「美味しい……何か元気出るな」

 

「ええ、そうですね。クリーム餡蜜が無いのは残念ですが」

 

もくもくと食べる小動物コンビもご機嫌な様子だが

 

「まだこれスタートだよね?」

 

「何時ものパターンならそろそろ追加が……」

 

なのはとフェイトがぼそぼそと喋っていると。龍也が再度カートを押してきてまた机の上に並べる

 

「ふえ?追加?」

 

「え?嘘」

 

きょとんとする箒達に龍也は

 

「今度はイチゴのタルトとブルーベリーのタルト。後はレアチーズケーキにクリーム餡蜜だ」

 

今度も売り物と大差ないタルトが並べられる。クリーム餡蜜だけはエリスさんの前に置かれたが

 

「さてとでは次を……」

 

「ちょっと待って。龍也君……もしかしてこれまだあるの?」

 

シェンさんがそう尋ねると龍也は頷きながら

 

「うん。今クッキーとシフォンケーキを焼いてるし。タルトの追加もあるし……まだ幾らでもあるぞ?全部3ホールずつ位」

 

ピシッ……

 

箒達が凍りついた。それに気付かない龍也は

 

「えーとチョコソースがいいかな?ブルーベリーのソースもいいよなー」

 

龍也には他意はない、だがこう立て続けに甘い物を食べるのは女子にとっては致命的だ

 

「なのは……これ後どれくらい続くんだ?」

 

「少なく見ても30分、長くて1時間……でも龍也さんが凄く上機嫌だから1時間半くらい続くかも……プリンとかも作ってたし」

 

箒達が引き攣った顔をする中フェイトが

 

「んー美味しい♪幾らでも食べれるなー」

 

もくもくとケーキを食べ進めている。そんなフェイトに鈴が

 

「あんた、体重怖くないの?」

 

そう尋ねられたフェイトは悟りきった表情で

 

「怖いよ。でもね……これだけ美味しいケーキに抗う事なんて出来ないんだよ!!体重が何だ!!運動すれば良い!ただそれだけ!だから私は食べる!!!」

 

もう境界線の向こう側の悟りを開いているようだ。

 

「ははは……天国のような地獄とはこの事ですか……」

 

「くっだが。この誘惑には勝てん」

 

葛藤しながらケーキを食べている箒達に

 

「好きな物位好きに食べればいいだろ?」

 

思わず思った事を口にした瞬間

 

「男にはこの悩みはわからん!」

 

「軽く酷なこと言わないでくれる!?」

 

「そうですわ!一夏さんには私達の悩みなんて判りませんわ!!!」

 

箒達に口々に文句を言われ俺が小さくなっていると

 

「はい追加できたぞー」

 

龍也が再度お菓子を持ってくる。出来たてのクッキーとシフォンケーキを見た箒達は

 

「私。今日は夕食食べない」

 

「箒さん。奇遇ですわね……私もその覚悟をしましたわ」

 

「暫く甘い物控えないと」

 

 

「ん?箒達は一体何を悩んでいるんだ?おお。そうだクリスも呼んでやろう。あいつも甘い物好きだからな」

 

ラウラが小首を傾げながら思い出したようにクリスさんに連絡を取る。それを見た箒とセシリアは

 

「弥生も道ずれだ!」

 

「ヴィクトリアさんもこの地獄へ!!」

 

それから数分後……やってきた弥生さんとヴィクトリアさんも目の前のケーキに目を輝かせたが、次々運ばれてくるお菓子の量に

 

「あいつ何考えてるんだ?私達を太らせる気か?」

 

「……私はこれ位で……「逃がしませんわ。貴女も最後までこの地獄に居てもらいますわ」……くっ!」

 

帰ろうとしたヴィクトリアさんはセシリアにガッチリ手を掴まれ逃げる事が出来ず。再び椅子に座らせられる

 

「プリンとか凄い量……」

 

クリスさんはエリスさんの隣に座りもくもくとプリンを食べていた。更にエリスさんは

 

「クリーム餡蜜~♪」

 

もくもくとクリーム餡蜜を食べ続けている

 

「えっと……わ、私もう帰る」

 

「ん?そっか。じゃあこれな」

 

青い髪の女子が時計を見て何かを思い出したようで帰ると言うと。龍也は箱にケーキを数個いれ手渡した

 

「あ、ありがとう」

 

ぺこりと頭を下げ帰って行く女子を見送っている龍也になのはが

 

「あの子は?」

 

「んー?整備室で会った子でな。簪というのだが?」

 

「簪……はい、覚えておきます」

 

怖い顔で頷いていた。敵として認識されたのだろうか?あの青い髪の子に今度あったら気をつけるように言っておこう、だが俺にはまだ今はそれを言いにいく事はできない

 

「あの?一夏君?私に恨みでもある?」

 

シェンさんの更に容赦なくケーキを載せなければならないのだ

 

「恨み?ははHA……あるに決まってんだろうが……変なことを鈴に吹き込みやがって……危うく俺は拉致られた上に喰われかけたんだぞ!!責任を持って地獄に墜ちろ」

 

「ひ、酷い!?鈴に言ったのは私じゃない!?」

 

「白を切るか?鈴本人が言っていたので嘘だとバレバレだ。さぁお代わりを喰え」

 

「悪魔ー」

 

シェンさんの更に追加のレアチーズケーキを載せる。あと箒達に睨まれない様に箒達の皿にも載せていると

 

「たつやん、私も食べて良いかなー」

 

「おう、食べろ食べろ。まだまだお代わりはあるしな」

 

「わーい♪」

 

何時の間にかのほほんさんが椅子に座りケーキを食べている

 

「おいしー♪たつやんお菓子作り上手なんだねー」

 

上機嫌でケーキを頬張るのほほんさんは凄い勢いでケーキを食べ進めている。俺?俺は……

 

「体重が……」

 

口から魂が出かけているシェンさんを見て気が晴れたので。俺も適当にケーキを取り食っていると

 

「ほい。サンドイッチ。お前はこっちの方が良いよな」

 

「おお!俺はやっぱケーキとかよりこっちだな!!」

 

卵とチーズのベーコンのサンドイッチ。やっぱ俺はこう言う物の方がいい。渡されたサンドイッチに齧り付き

 

「うん。美味い!やっぱ運動の後の食事っていいな」

 

そんな事を呟きながら。暗い表情でケーキを食べ進めている箒達を見ていた。これは全くの余談だが、この面々でも龍也が作るケーキ全てを食べきる事は出来ず。残った物の半分は職員室へ、残りの半分は食券と交換と言う形で食堂で販売された、尚2日後、大浴場の脱衣所で何名かの女子が悲鳴を上げる事になるが……そこには触れないのが優しさと言うものだろう……

 

 

 

「ねえ。千冬、学年末のトーナメントのルールを変えたいんだけどさ良いかな?」

 

「良いも何も無いでしょう。もうそこまでルールを変えてるのを今更戻せとは言えませんよ」

 

 

龍也に差し入れされたシュークリームを頬張りながら

 

「んーやっぱもう少し実践的な物にしたほうが良いと思うんだ、何か嫌な予感がするから」

 

「私も同意します。今度の学年末トーナメントできっと何かがある。そんな気がします」

 

千冬に同意されたので考えていたとおり学年末のトーナメントのルールをシングルからペアにルール変更し。大きく伸びをする

 

「しっかし近くで見ると感じるわね。八神龍也の違和感を」

 

「ええ。あれは生死を懸けた戦いを潜り抜けた者だけが持つ空気……とても16歳で身に付けれるものではないと思いますね」

 

「まぁゆっくり観察しましょうよ。もし敵なら倒せば良い事だしね」

 

「それはそれで大変だと思いますけどね」

 

千冬と苦笑しながら監視モニターを見た。エリスちゃん達にケーキを振舞っている八神龍也はとても優しい顔をしていて。とても何かを企んでいるようには見えなかったが。

そのそこが見えない笑みに私は警戒心を解く事が出来なかった。もし敵でないのなら何を目的としIS学園に来たのかそれだけでも突き止めたい。そうでなければ安心できな

いからだ

 

(まぁ長い目で見ますか)

 

私はそんな事を考えながら監視モニターに視線を戻した。そこに映し出される八神龍也はとても楽しそうに笑っていて。とても何か悪巧みをしているようには見えなかった

 

(どちらが本当の顔なのかしら)

 

優しい顔と戦闘時の厳しい戦士の顔……どちらが八神龍也の本当の顔なのかを考えながら、私は思考の海へと浸っていた

 

 

第27話に続く

 

 




セシリア、戦闘スタイルの変化。龍也は確実に簪のフラグを回収中。そして箒達は地獄のスイーツ天国に溺れると言う話でした。次回からはトーナメントに向かって動いていく予定ですが。その前にもしかするとネクロサイドか束サイドの話をいれたいと思っています。それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします
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