IS~現れたる神なる刃【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです、今回はオリキャラがメインになる予定です。あと龍也さんが軽くうつってます。それは勿論前々回の内容が原因です、基本龍也さんは善人ですからね。それでは今回もどうか宜しくお願いします


第27話

 

第27話

 

さていつもの訓練の時間を言いたいところだが、今日はどうもいつもと感じが違った

 

「……」

 

龍也が難しい顔をして唸っている。これはとても珍しい様子なので

 

「どうしたんだよ?そんなに難しい顔して?」

 

俺がそう尋ねると龍也は

 

「ああ、自分の軽率さとかに苛立ってな。らしくない……全くらしくない事をした」

 

ぶつぶつと呟く龍也は小声で(精神は肉体に引っ張られると言うが、これは酷い)とか(年下相手に何を苛立ってるんだ私の馬鹿)とか訳の判らない事を言っていた

 

「龍也が苛立つって事は家族とかの事?」

 

「ん?ああ。どうにも納得行かなくてな。家族とか兄弟の問題になると感情的になってしまうのが私の欠点だな。後で後悔すると判ってるのになぁ……」

 

長い付き合いらしいフェイトらしく龍也が何に苛立っているのか即座に言い当てる、龍也は苦笑しながら頬をかきながら龍也は一言こう告げた

 

「私自身拾われ子だからなぁ……家族というのは良く判らん……私自身血の繋がりが絶対とは思ってないが……血の繋がりというのは強い物ではないのか?だからこそ血縁関係があるのにいがみ合うとか全く理解できん……」

 

え?拾われた子供?俺達が驚きに目を見開きながら龍也を見る、それに気付いた龍也は

 

「ん?どうした?そんな不思議そうな顔をして?」

 

「いや……普通は驚くぞ?」

 

声もない箒達に代わり俺がそう言うと龍也は

 

「ふむ、そういう物か……私はどうもそういうのは疎い。過去などどうでもいいものだ、必要なのは現在。後ろを見る必要はない……まぁ偶には振り返りたくなるときもあるが……きっとそんな事をしたらあいつが怒るだろうからなぁ」

 

くっくと喉を鳴らした龍也は己の長い銀髪を見ながら笑う。

 

「またそういうこという。偶には振り返ればいいじゃないですか。想い出は大事なんでしょ?セレスさんの事偶には思い返せばいいのに」

 

セレス?誰だ?初めて聞く名に俺が首を傾げていると龍也は

 

「それは出来んさ、何せセレスとの約束だ。立ち止まらない歩き続けるとな……その先に何があるかは知らんが。進むだけだ痛みも絶望も乗り越えてな」

 

くっくと再度喉を鳴らした龍也はそのまま振り返り

 

「すまん、私は今日の訓練はパスだ。少々考え事をしたい」

 

「はいはい、判ってますよ。好きにしてください、1つ言っておきますけどあんまり女の子に優しくしない事。良いですね?」

 

「お前の言うことは良く判らん」

 

「理解してください、頑張って」

 

?マークを頭の上に掲げて歩いていく龍也を見送っているとなのはとフェイトが

 

「相変わらずだよねぇ。偶には振り返ったりすればいいのに」

 

「それが出来ないんだよ、龍也は不器用だから」

 

幼馴染2人組みが苦笑しているとセシリアが

 

「あのこんなのを聞くのはどうかと思うのですが……龍也さんは……その……どんな風に生きてきたのですか?」

 

龍也はこう言った「立ち止まらない歩き続けると……その先に何があるかは知らんが。進むだけだ痛みも絶望も乗り越えてな」と。俺も気になったあのどこまでも優しい龍也がどんな人生を歩んできたのかが

 

「それは自分で聞けば良い。聞けば答えてくれるよ。でも聞いたら後悔するから聞かないほうが良い……きっと龍也の過去に押しつぶされる一夏達は」

 

その声色はいつもの明るい口調とは違い、どこまでも重く俺達に圧し掛かった。

 

(そういえば龍也は肌を見せるのを嫌がってる。それに目の傷もサングラスとかで隠してる)

 

龍也はISスーツに着替える時絶対に肌を見せない、それに目の傷もラウラが言うには失明レベルの傷だと言っていた。それによく考えると俺達は龍也の事を何にも知らない……

 

(龍也は一体どんな人生を……)

 

俺が顎の下に手を置き考え込んでいると

 

パンパンッ!!

 

「はい、今は訓練の時間。龍也さんの事を考えてる時間じゃないよ。それとフェイトちゃんも口が軽いよ。はやてちゃんに聞かれてたら殺されてるよ、本気で」

 

「う……ごめん、つい口が滑った」

 

なのはに睨まれたフェイトはしょぼーんとしている、なのははなのはで俺達を見て

 

「あんまり人の過去を詮索しない事。そういうのは嫌われるよ」

 

いつもの温和な表情ではなく鋭利な視線で俺達を睨む、どうやらそう簡単に聞いていい話題ではないようだ。そもそも家族の事や目の傷の事をそう簡単に聞いて良い筈がない。いやそもそも……龍也は聞けば答えてくれるが自分からは自分の事を話さない。それは

 

(俺達を信用してないって事か?)

 

暗らい考えになりかけている俺にフェイトが

 

「違う、違うよ。龍也は一夏達を信用してないわけじゃない。龍也は昔から自分で背負い込んで誰にも言わない。そういう不器用な人なの、だから嫌ってるって訳じゃないそれだけは判って」

 

フェイトの言いたい事はわかる、付き合いは短いが八神龍也がどんな人間かと言うのは俺達も理解し始めていた。どこまでも優しく人の為に動く奴、それが八神龍也だ……

 

「判ってる、んじゃ!今日の訓練も気合入れて始めるか!!龍也に勝てるように!!」

 

「そうだな!何時までも負けっぱなしというのも癪だしな!」

 

俺の言葉に箒が反応し気合を入れる、龍也は龍也だと思考を切り替え。俺達はいつも通り放課後の訓練を始めた……

 

 

 

 

その頃龍也はと言うと

 

「どうしてこんなことになったんだろうなッ!!!」

 

バスンッ!!バスンッ!!!

 

続けざまに打ち込まれる弾丸から身を翻し全力疾走していた……

 

(ちっ!追い込まれてるな)

 

森の方に追いやられている、まぁ防弾性能があるコートなので直撃しても痛い程度だが。

 

(狙いが正確すぎる。確実にコートを外すように撃って来ている。この腕……プロだな)

 

このまま誘い通りに行くのは正直不快だが、致し方ない

 

(そもそも私は楯無に謝りたかっただけなんだが……)

 

らしくないことを言った。そのことを謝りたかっただけなんだが……狙撃犯の気配はあの時楯無の部屋の天井に居た人物だろう

 

(きっと私の言い分が気に食わなかったんだろうなあ……とりあえずケーキはコートの中に仕舞ってと)

 

お詫びの品である、昨日大量に作ったケーキを入れた箱をコートの中にしまい。私はそんな事を考えながら森の中へ向かっていった。

 

「で?なんでこうなった?」

 

「大人しく斬られろ!」

 

「いやーすまんな、フレイアがお前を殴るといって聞かないんだよ」

 

ラファールのカスタム機らしき物を見に纏った2人の女性に襲われていた。一応念の為に零式を展開してはいるが……

 

「いや。本当何故私が襲われるのか教えてくれないか?」

 

「黙れ!死ねッ!!」

 

炎の様に波打った剣を捌きながら交渉を試みるが全く私の話を聞いてくれない。

 

「悪りぃ!こいつきれると人の話し聞かないからさ。まぁそういうわけで大人しく殴られるか斬られてくれ、まぁその後は縛り上げてお嬢の所に連れてくからそこで詳しく聞いてくれや。ああ、あたし達が悪かったらちゃんと謝るから」

 

緋色の髪の方は完全に切れていて話にならない。だが激昂こそしているがその剣筋は鋭い。そして身に纏うラファールはかなり改造されたものだと判る。左肩装甲が真紅で後は全装甲部分が漆黒で、本来4枚の翼が3対6枚となっており、見た目通り機動力が高い、後は左腕にカイトシールドを装備しているのが特徴的だ。更に頭部は兜型の装甲があり。左側にはアンテナが見える。見た目通りなら指揮官方だろうが

 

「お嬢様の事を知らず好き勝手に!許せん!!」

 

完全に目がいってしまっている。あれは不味い本能的に恐怖を感じる、思わずその隣の黄色い髪の女性を見る、彼女の身体を覆っているのもまた改造型のラファールだ。基本的な装甲などは変わらずだが全体的に丸いフォルムを持ち。左肩装甲が黄土で後は全装甲部分が漆黒という目立つカラーリングをしたラファールを駆る彼女は多少冷静のようで、話を聞いてくれそうな雰囲気だが

 

「いやな、アイアスとフレイヤがぶち切れててな。怪我したくねぇならあたしの拳で昏倒した方が痛みが少ないぞ」

 

どうもこの女性と私を執拗に狙撃している人物とに板挟みになってるようで、交渉の余地はないようだ

 

「ふーではまずは貴方達の怒りを受けよう

 

ISを解除し両手を挙げる

 

「良い覚悟だ死ねぇッ!!」

 

「STOP!!STOPだ!!!まじで死ぬって!!!」

 

黄色い髪の女性が緋色の髪の女性を殴り倒し私の方を見る

 

「お前正気か?普通やらないぞ?ISで襲ってくる相手の前でISを解除するなんてよ?」

 

呆れたように言う女性に私は

 

「ふむ。それは道理だが。私自身痛みには慣れている。腕一本切り落とされたくらいではどうとも思わんし、それで冷静になるならそれでもいいかと」

 

義手なら代えが利くしなと思いながらそう言うと

 

「このど馬鹿ッ!!」

 

ブンッ!

 

全力フルスイングの平手を受け止めながら

 

「いやいや馬鹿だと言うのは嫌って程判ってる。更識の事を知らずに好き勝手言って正直悪かったと思って殴られる覚悟で謝りに行く所だったんだが……こんな目に会うならちゃんと考えてから言うべきだったなあ」

 

「え?お嬢の所に謝りに行くつもりだったのか?」

 

「そうだが?自分が悪いと認めたなら素直に謝るさ。そこのところはちゃんとしてるつも……ふぐっ!?」

 

黄色い髪の女性と話していると肩に銃弾が撃ち込まれる。実弾ではないだろうが正直痛い

 

「アイアス!STOP!STOPだ!!!麻酔弾を撃つのやめろ!!!」

 

オーブンチャンネルで叫ぶ女性の声を聞きながら

 

(あー麻酔弾か……どうりで意識が……途絶えかけるわけだ……)

 

どうもこのIS学園で居る間に随分気が緩んだものだ……

 

(やれ……やれ……修行が……足りんな)

 

もう立ってるのも辛い、私は膝から崩れ落ちそのまま地面に倒れかけたが

 

「ちょっ!不味い!不味いって!ツバキさんとかエリス様に殺される!?」

 

妙に慌ててる黄色い神の女性に抱きとめられそのまま意識を失った

 

 

 

 

私は慌ててフレイア達が待機しているログハウスに向かっていた。八神龍也を独断で襲撃し無抵抗な彼を麻酔弾で撃ち昏倒させたとシェルニカから報告が入った時、私は酷く慌てた……前の対談で判ったが彼は誰かのために怒れる人だ。だから簪ちゃんが寂しそうなのをどうしても我慢できなかったのだろう。それに話を聞けば私に謝りに来る途中だったらしく。お詫びの品と思われるケーキを持っていたそうだ

 

(ああ!もう!どうして勝手なことするかな!?)

 

私自身もう1度話をしなければと思っていた……それがこんな事になるなんて……

 

「八神君!大丈夫?」

 

バン!

 

ログハウスの戸を開けてながらそう言った私は目を見開いた

 

「ここでこのガーリックパウダーを入れると味わい深くなるんだ」

 

「おお!?なるほど!その発想は無かったな!」

 

シェルニカと料理をしている八神君の姿を見たからだ?あれ?麻酔弾で撃たれたんじゃ?

 

「なんか、数分で目を覚ましたみたいですよ?像でも昏倒する麻酔弾を数分でって。信じられないですけどね」

 

「あれ?エリスちゃんも来てたん……何してるの?」

 

エリスちゃんの前には

 

『私は独断で無抵抗な人を襲撃した悪い人です』

 

と書かれた看板を首から下げ正座している。フレイアとアイアスの姿があった。ちなみに頭には漫画で見るようなたんこぶが数個見える。恐らくエリスちゃんにやられたんだろう

 

「あの私は良かれと思ってですね……「無抵抗の人襲って何が良い物ですか!」……はい、すいませんでした」

 

フレイアの言葉はエリスちゃんの一喝でしょんぼりするフレイア、22歳のフレイアがしょぼーんとしているのはどうにもシュールだった

 

「まぁそんなに怒らなくても……うん?ああ。来たのか楯無、丁度いい所に……シェルニカあと5分したら弱火に変えてくれるか?焦げるから」

 

私の方に歩いてきた八神君は

 

「すまなかった、何も知らないのに好き勝手な事を言って」

 

深く頭を下げる八神君にこっちが慌てた

 

「いや。あの……そのとりあえず顔を上げて貰えないかしら」

 

誠意を見せてくれるのは判る。だがここまで深く頭を下げられると寧ろこちらが慌ててしまい。そう言うと八神君は不服そうな顔で顔を挙げ

 

「エリスから更識家のことは大まかに聞いた。そう言う事情があったとは知らなかった。本当に申し訳なかった」

 

「あの龍也君も結構気にしてるみたいなんで許して上げて貰えると私も嬉しいんですけど」

 

エリスちゃんにも許してあげて欲しいと言われた私は頬をかきながら

 

「いや。許すも何もこっちも悪い事をしたなと思ってるんだけど。まさか暗部の3人が勝手に動いて八神君を襲撃するなんて思ってなかったし……それに麻酔弾とは言え撃ったのはこっちの人間だし……謝るべきなのはこっちだと思うんだけど」

 

寧ろ私が責められるべきで。謝るほうと許すほうが完全に逆転している

 

「いや、悪いのは私だ私が軽はずみな事を言ったのが全ての原因だ」

 

「いやだからこっちが悪いんだって!」

 

きっかけは八神君かも知れない、だが手を出した以上こっちの方が悪いのだ

 

「だから悪いのは私だと言っているだろう!」

 

「だから手を出したこっちの方が悪いんだって!!」

 

平行線……全くの平行線だ。どっちもどっちでお互いに譲れず、自分が悪い、いやこっちが悪いと言い合っていると

 

 

「ぷっ!なんか似てますね。楯無と龍也君」

 

「「どこがっ!?」」

 

思わず声が重なる。そして互いに顔を見合わせるが何を言って良いか判らずお互いに黙り込んでいると

 

「そう言うところが似てるんですよ。責任感が強い所とか、底抜けに優しい所とか」

 

くすくすと笑うエリスちゃんに完全に毒気が抜かれた。それは八神君も同じのようで

 

「今回はとりあえずお互い様ってことにしない?」

 

「納得はいかんが……この場はそれで終わりにしよう」

 

不服そうな八神君に

 

「そういえば撃たれたんでしょう?大丈夫なの?」

 

私がそう尋ねると八神君はコートの裾を掴んで

 

「対刃・対弾の特殊繊維のコートだ、衝撃はあったが痛みはそんなに無い」

 

対刃・対弾の特殊繊維のコートって……ここは戦場でもないのに何でそんなの着てるの?

 

「どうしてそんなの着てるのよ?ここ学校で平和でしょう?」

 

「うむ、そうなのだが……脱ぐと落ち着かないんだ。身体が軽くなりすぎて」

 

ン?軽くなりすぎて?どういうこと?私が首を傾げていると八神君はコートを脱ぎ

 

「良く見てろよ」

 

そう言ってからログハウスの床にコートを置いた、すると

 

メキ!メキメキッ!!!

 

床が凄い音を立てて軋み始める。え?ええ?コートだよね?なんでこんな音がするの!?私とエリスちゃんが絶句していると

 

「身体を鍛える為に友人に作ってもらったんだが。重量が400キロあってな……その重さに慣れきってしまったので。脱ぐと落ち着かないんだ……身体が軽くなりすぎて」

 

びっくり人間が居る……400?普通の人間なら動くことさえままならないはず……それをずっと身に付けて平然と歩いてるとんでも人間が居る。

 

「ああ、そうそうこれお詫びの品だ」

 

ごそごそとコートを探り始める八神君。そしてコートの中からケーキの箱が出るわ出るわ……その数約6個

 

「どこに入ってたんです?このケーキの箱?」

 

どう見ても質量的におかしい。この大きさの箱が6個もコートに入ってるわけが無い。エリスちゃんがそう尋ねると

 

「エリス、ちょっとこの中見てみろ」

 

コートをバサと半分広げる。エリスちゃんがゆっくりそのコートの中を覗き込んで。直ぐ離れた

 

「中に冷蔵庫と本棚が……」

 

はい?コートの中に冷蔵庫と本棚?何を言ってるんだ?そんなの在り得ない

 

「私も見てみていい?」

 

「どうぞ」

 

断りを入れてからコートの中を覗き込み離れる

 

「冷蔵庫と本棚。後机と椅子が……」

 

どうなってるの!?このコート!?

 

「面白いものを見せてやろう」

 

龍也がエリスちゃんにコートを被せると。ストンとコートが下に落ちた

 

「はい!?エリスちゃんはどこへ!?」

 

「コートの中なんだな、これが」

 

嘘オオオオオッ!?何!?何なのこのコート!?人一人収納可能!?

 

「よいしょっと」

 

コートに手を突っ込み中からエリスちゃんを引っ張り出す八神君。エリスちゃんはエリスちゃんで信じられないものを見たと言う表情で

 

「コートの中に家が……家があったんです楯無」

 

「はああああ!?家!?家って何!?」

 

私の中でコートに対する常識が崩れつつある

 

「お前も見てみるか?」

 

「やめとく……なんか私の中の常識が木っ端微塵にされそうだから」

 

楽しそうな八神君はそうかと言うと

 

「その反応を見るのは何時見ても飽きんな」

 

はっはっはと楽しそうに笑う。そんな八神君にエリスちゃんが

 

「そのコート、どうなってるんですか?」

 

「ん?えーと確か知り合いの天災科学者が子供の様に輝いた顔で。4次元とかどうとか?不思議なコートで~♪とか歌いながら作ってくれた物だが……詳しくは私も知らん」

 

青いネコ型ロボットの歌!?何か言わなければならない気がして

 

「たつえもん。空を自由に飛びたいなー」

 

「はい、タケコ○○ー」

 

あるの!?差し出された黄色い竹とんぼのようなもの受け取る

 

「え?うそ?これ本当に使えるの?」

 

「うん、使えるぞ。操作難しいけど」

 

……まじまじとタケコ○○ーを見る漫画と同じだ

 

「ああ、広い所で使ったほうが良いぞ?操作ミスすると天井に突き刺さるから」

 

「あー使用上の注意?」

 

「うんや。実体験だ、胴の半分くらいまで天上に突き刺さった事があるんだな。これが」

 

「……怖いからやめとく」

 

タケコ○○ーを返す。興味はあるがリスクの方が高いので使用できない

 

「たつえもん。私クリーム餡蜜が食べたいです」

 

「あったかなー?ちょっと待ってくれるか?」

 

ごそごそとコートの中から机・椅子・本・自転車・後漫画で見たピンク色のドアとかが姿を見せる。そもそもたつえもんと言う呼び名に突っ込みを入れない八神君も気になるのだが……

 

「おお!あったぞ!クリーム餡蜜!」

 

「素晴らしいコートですね!」

 

なんかエリスちゃんが八神君の非常識さに順応してる……

 

(って言うか。八神君って全然邪気の無い子ね)

 

大人びているようででもその実子供のような八神君は掴み所が無い。ただ判るのは真面目で誠実な人物と言うことだ。本当なら八神君は私を殴るだけの権利がある、銃で狙撃されたのをお互い様だと言って笑い飛ばさせる人間はそうはいないだろう

 

「あ、そうそう。なぁ楯無もしもだが……簪と仲直りしたいと言うのなら及ばずながら協力させて貰うぞ?私は姉妹は仲が良い方が良いと思うしな」

 

からからと笑う八神君に私は

 

「どうしてそこまで気にするの?おかしいじゃない」

 

八神君にはそこまで私と簪ちゃんを気に掛けるだけの理由が無い。だからそう尋ねると八神君は

 

「んー私には家族と呼べるのは妹だけだったし……そのせいか仲違いしてる姉妹とかを見るのが嫌いなんだよな。エゴだとは判ってるけど」

 

「失礼だけど……八神君のご両親は?」

 

聞くのは失礼だと思った、でもその言葉の中に感じた事を尋ねると八神君は少しだけ悲しそうな顔をして

 

「生みの親は顔所か名前も知らん、私に名前をくれた人達は事故で亡くなったし……身寄りの無い私を引き取ってくれた人達も私が7歳の時に死んでしまったよ」

 

「ごめんなさい。無神経だったわね」

 

「別に気にしてない。いや……気にして無いと言えば嘘になるが……過去はどうにもならない事だし。謝られても困る、まぁそう言う訳でな仲違いしてる者を見るのは嫌いなんだよ」

 

家族が妹だけ。だから……簪ちゃんをほっておけなかった。つまるところ八神君とは

 

(どこまでも底抜けの善人なのね)

 

あの鋭利な空気を纏うのも八神君だが。この優しい空気を纏うのも八神君だ……

 

「じゃあさ。下に妹を持つ者として八神君に聞くけど……行動だけで自分の想いが全部伝わると思う?」

 

「無理だろ?私も同じ様な事をして妹と喧嘩した事がある……言葉だけでも行動だけでも駄目なんだよ。話さないと判らない事もあるし。行動しないと判らない事もあると思うぞ?まぁ傷付くのも傷つけるのも怖い物だ。でもそうしないと分かり合えないのが人間だよなあ……傷付いて傷つけてそうしないと仲良くなれないのは愚かだと思うけどなあ」

 

その言葉には妙な重みがあった。深く胸に刻み込まれたようなそんな気がした。でも

 

「言いたい事は判るけど……でもやっぱり怖いかな」

 

「まぁそうだよな。兄ちゃんなんか嫌いだ!って言われた時はかなりショックだったしなぁ。私も」

 

ははははと苦笑する八神君に

 

「どうやって仲直りしたの?」

 

そう尋ねると八神君はうーんと思い返すように

 

「プレゼント買って、抱きしめて大事だよって言った」

 

それは正解なのだろうか?どこかが間違ってるような気がする

 

「あの……私それ間違いだと思うんですけど?」

 

「そうかな?嬉しそうにしてたけど?」

 

うん、間違いない。八神君の妹は織斑先生と同類の様な気がする

 

「八神君の妹ってどんな子?」

 

「よく笑う奴で、運動も勉強も得意だ。でも機嫌が悪いと笑顔でニコニコしながら人の首を絞めれる人間かな?ああ、後投げナイフが得意」

 

超一級品の危険人物だ。私とエリスちゃんが絶句していると

 

「ああ、あと。私と結婚すると公言する様な奴だ。いい加減兄離れして欲しいんだがな」

 

「龍也君の妹はなのはとフェイトと仲が良いんですか?」

 

「ん?仲は良いと思うぞ?たしか大好きで大嫌いとか何とか?」

 

……間違いない危険域のブラコンでヤンデレだ。もしかするとピリオドの向こう側に行ってる可能性もある

 

「所でさ?良いのかエリス様。フレイアとアイアスの顔色が青を通り越して白くなってるんだけどよ?」

 

え?と振り返るとそこにはプルプルと震えながら白い顔をしている。2人と目が合った

 

「ああ!?ご、ごめんね!もう正座止めて良いよ!」

 

どさっと崩れ落ちた2人は

 

「し、痺れて動けません」

 

「くううう……足が」

 

足を押さえて悶えていた。それを見て八神君はおかしそうに笑いながら

 

「ふふふ。ここに私がいては話しにくいだろうからもう戻るよ。ではな楯無・エリス。それと楯無さっきの話考えておいてくれ。あと後日謝罪をさせて頂く。ではな」

 

そう言うと手を振りログハウスを出て行く八神君を見ながら

 

(もしかすると八神君が私と簪ちゃんを繋いでくれるかもね)

 

私は八神君が亡国企業かそれに順ずる物に属していると疑っていた筈なのに。こうして顔を合わせて話し合うとそんな事は無いのでは?と思い始めていた。確かに彼は何かを隠している。でもそれは決して悪い事ではないだろう。その目は澄んでいてどうも悪事を考えて居る人間には思えなかった

 

(ちょっと信用してみたいかもしれないわね)

 

更識家の当主としては甘い考えだと言わざるを得ない。でも信用したいと思わせるだけの誠実さも見せてくれた……私は少しばかり八神龍也に対する警戒心が薄れた事を感じながら。足が痺れて悶えている2人を見て笑みを浮かべた

 

 

 

 

 

 

 

「簪、調子はどうだ?」

 

「うん。良い調子だよ」

 

整備室で弐式を組み直していると龍也君が来て尋ねて来る。その言葉に笑顔で返事を返すと

 

「そうか。それは良かったな。どうだ?今度の学年末のトーナメントには間に合いそうか?」

 

「うん。大丈夫そう。でも多分初戦敗退だと思うけどね」

 

勝ちたいとは思う。でも稼動データが無い。私自身の戦闘経験が無い……多分専用機があっても勝てないと言うと

 

「じゃあさ。何かやる気になるようなことがあったら。気合も入るだろう?何かしてほしい事はあるか?私に出来る事なら叶えるが?」

 

え?思わず龍也君の顔を見てしまう。もしも……もしもだ。彼と一緒に街を歩いたらきっと楽しいに違いない

 

「えと……良いの?」

 

「構わんさ。それで簪がやる気になるならな。言っただろ?何かきっかけがあればお前は変われると。なら私がその切っ掛けになろうかと思っただけだ」

 

……他意はないのだろう。そ……その

 

(私が好きだとかそう言うのは無いよね)

 

でもそれでもその誘いは魅力的だった

 

「じゃ。じゃあ!もしも私が優勝できたら!一緒に遊びに行こう!」

 

可能性は限りなく低いでもそれくらいのほうがやる気になる

 

「よし。約束だ」

 

「う、うん!!!約束!」

 

その小さな可能性と自分と龍也君だけとの約束と言うのはとても大切な物に思えた

 

「さてと。それじゃあ整備を手伝おう。機体を万全にしないとトーナメントに勝てないからな」

 

「う、うん!」

 

龍也君に手伝って貰いながら私は弐式の調整を始めた。それはとても楽しい時間でこの時間が長く続けば良いと私はそう思った……

 

第28話に続く

 

 

 

 

 




うーんと今回は結構難産でしたね。楯無に自分の経験談を話し多少なりとも楯無に与えた、不信感を取り除いた?と思います。次回はトーナメントのルール変更の発表の話にしたいと思います。それでは次回もどうか宜しくお願いします
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