IS~現れたる神なる刃【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回はトーナメント編です。視点は龍也&簪 一夏&シャルル視点で動いていこうと思います。今回は急ぎながらも多い話にしたのでどうか今回も宜しくお願いします


第30話

第30話

 

「だ、大丈夫かな?……私なんかで大丈夫かな?」

 

自分達の出番を待っていると簪が落ち着き無さそうに尋ねてくる

 

「大丈夫だ。落ち着け簪。動揺と不安はいらぬミスを招く。気を落ち着けろ、大丈夫私がフォローする」

 

「う、うん……」

 

落ち着け私。大丈夫ちゃんとできる、自分に言い聞かせるように呟く簪。トーナメントまで大分一緒に訓練をしたりしたがどうもまだ自分に自信が無いようで落ち着きが無い。まぁ無理も無い。これが初めての正式な試合でしかも一夏達と同時に試合開始で緊張するなと言うのが

 

無理な話だろう

 

「さてと、私達の試合の相手だが。エリスとヴィクトリアのペアか。遠近のバランスが取れてるので正直不安はあるか」

 

抽選で決定したエリスとヴィクトリアのペア、エリスは完全近接特化でヴィクトリアは遠近万能型。タイプで言えば私と簪のコンビに近いが簪の錬度が低い分正直不安はある

 

「だがまぁそう不安がる事もない。あーだこーだ考えるよりいざ始まってみれば何とでもなる」

 

考えても切りのないことは考えない。なるようになるさと開き直れと言うと

 

「そうだね。頑張る」

 

「その息だ簪。不安がるなとは言わん、勇気を持てそうすればそれが翼となり道は開ける」

 

諦めや恐怖は何も生まない。必要なのは怖くても前を見ることだと告げる

 

「勇気を持つ……そうすれば前に進める……うん!やるだけやってみる!!!」

 

元気よく返事をする簪を見ながら、反対側のピットで待機しているエリスとヴィクトリアの事を考えていた

 

(馬は合わないだろうなあ……大丈夫かね?あの2人は)

 

エリスとヴィクトリアでは全く馬が合わないだろう。そうなると怖いのは仲間割れだが、まあ代表候補生なので大丈夫だろうと思い。私は自分の出番を待っていた

 

 

「私の邪魔をしなければいい。アマノミヤ」

 

「ほかに言うことは無いですか?スミスさん」

 

腕組しながらそう言うヴィクトリアさんにそう言うが返答はなし。こんなことになるのなら誰か別の人を見つけたペアを組みば良かった。力だけが全てと思っているヴィクトリアさんとは壊滅的に馬が合わない。こんな状況で龍也君と戦えるわけが無い。しっかりとコンビネーションを決め隙を突かないと碌にダメージも与えられないだろう。このヴィクトリアは自分の力に自信を持ちすぎていて私の話はまるで聞いてくれない。斬艦刀の破壊力、獅子王刀による剣技の数と言った事を教えようとしても聞く耳持たず

 

(はぁ……これならラウラと組んだほうが良かった)

 

ドイツの黒兎隊で一緒に訓練したラウラとなら馬が合うし。お互いの戦闘スタイルも判っている。

 

(でもラウラは箒と組んだしなぁ)

 

あのラウラが自ら進んでコンビを組むのなら私かクリスだと思っていたが、まさか箒とは思っていなかった

 

(でも結構いい感じだね)

 

試合が始まっている。一夏君とシャルル君。それにラウラと箒のコンビは思いのほか型に嵌まっていた。と言うのもラウラがワイヤーブレードとAICを駆使し箒が戦いやすいように戦況を整えつつ、一夏君と戦っているからだ

 

(前よりもっと戦い方の幅が広がってるね。ラウラ)

 

遠近万能は元よりだったが。今はそれより遥かに完成度が上がっている。でも今はラウラの事を考えている場合ではない。馬の合わないヴィクトリアさんとのペアで龍也君と簪のペアをどうやって打破するか?それを考えなければならない

 

(さてとこの人と顔を見合わせてても何も始まらないし。少し1人で考えよう)

 

私はそう考え控え室を後にした……

 

 

 

 

 

「やるな!一夏!」

 

「そいつはどうも!」

 

ラウラのプラズマ手刀を雪片と足で弾きながら自分の間合いを取ろうと加速を繰り返す

 

「10のワイヤーブレードの内3本を破壊されるとは予想外だった」

 

「俺こそ、お前と箒があそこまで相性がいいとは思わなかったぜ!!!」

 

キンッ!!!キンッ!!!!

 

視界の隅ではシャルルと箒が斬り合っているが、シャルルは自分の流れを引き寄せることが出来ず苦戦の様子を見せている。

 

「箒!さがれ!」

 

「判っている!」

 

俺の隙をついてラウラがシャルルにAICを放ち動きを封じる

 

「貰った!!!」

 

「くっ!!」

 

拘束された動きの中で上手く身を捩り箒の一撃を交わすシャルルだがシールドエネルギーは大分減ってるだろう

 

「隙だらけだ!!」

 

「ふっ!甘いぞ一夏」

 

雪片の攻撃をISの腕の装甲で受け流し。するりと俺の間合いに入り込んだラウラは

 

「龍也に教わった武術はどれも興味深いな!全く!」

 

ヒュウウウウ

 

ラウラが息を吸い込むのが判るそしてISの足元に地面があると仮定したのか、ISを身に纏ったラウラは

 

ズダンッ!!!

 

鋭い踏み込みと共に掌打を叩き込んできた

 

「かっかは!?」

 

ISにダメージを与えるのではなく俺にダメージを与える拳法。SEこそ減ってないがダメージは深刻だ。

 

「くらえっ!!!」

 

ジャキンッ!!!

 

ラウラの肩のレールガンが俺を捕らえるが

 

「させないよ!!!」

 

「ちい!やはり専用機の無い箒では無理があったか!」

 

ラウラは俺に集中してる間にシャルルが箒を戦闘不能に追い込んだ様でこっちに合流してくる

 

「すまん!ラウラ」

 

片膝を着き謝る箒にラウラは

 

「こっちのフォローが悪かった。少し休んでいろ。私は1対多にはなれている!」

 

その言葉に嘘は無い、ラウラは1対多の戦闘に馴れている。つまり箒が脱落した事で本来のスタイルに戻ったラウラは俺とシャルルのペアでも苦戦する事は間違いない

 

「どうした?来ないのか?」

 

「何、お前が体勢を立て直すのを待ってたんだよ」

 

レールガンを粉砕されバランスを崩したラウラを倒すのは容易い。だがそれでは意味が無いのだから

 

「ふっ、お前は教官の言っていた通りの人間だな」

 

「何だって?」

 

「愚直で真っ直ぐ……そして道を踏み誤らない強さを持っていると聞いている。だからだ……だからこそ私がお前と戦うには意味がある」

 

ラウラは両腕にプラズマブレードを展開し

 

「私が捜し求めた強さの答え。お前と戦えば判ると思ったのは間違いではなかった!!」

 

「そうかい!それは買い被りだと思うけどな!!!」

 

俺にそんな事を期待されても困るが。出来るだけ期待には応えないとな!俺は雪片を構えラウラへと向かった。

 

 

 

 

 

 

「ほう、エリスか。どうした?」

 

「龍也君。貴方とどうすれば戦えば良いのか考えていたのですよ」

 

通路でバッタリ龍也君に出会いそのまま話し込んでいた

 

「ふむ、ヴィクトリアとは馬が合わないか?」

 

「ええ。どうにも考え方が随分と違ってるので」

 

「そうか、それは苦労するな。後5分で試合開始だがそんな様子で大丈夫か?」

 

「敵を心配するのはどうかと思いますが?」

 

私がそう言うと龍也君は違いないと笑った。暫く2人で話しながらピットに戻っていると

 

「誰か居る」

 

「ええ。判ります」

 

ここはピットで私達以外の人間は居ないはずなのだが。

 

「誰ですか?そこに居るのは?」

 

通路の影に誰かが居る。私と龍也君で警戒しながら訪ねると

 

「久しぶりといっておこう、エリス」

 

通路の影から顔を見せたのは……

 

「私?……!?」

 

私より背が高く力強いシルエットからして男性、しかも私と同じ顔をした少年が私を見ていた

 

「……その様子では記憶はないか。まぁそれはそれでいいか」

 

私はその瞬間理解した。私は知っている私が純粋な人間ではなく。第一世代のIS操縦者の中でとりわけ優秀だった、人間のクローンであるという事を……そして同じ顔をした人物がいるそれは……

 

(私と同じクローン……!?どうしてここに!?何で私の前に現れた!?)

 

訳がわからずパニックに陥る

 

「さて、仕事は済んだ。帰る」

 

くるりと背を向ける黒武士に

 

「待って!貴方は……貴方は誰?」

 

「お前が知る必要はない。大まかな予想は付いてるんだろう?それを答えとしろ」

 

突き放す言葉、これで私はわかった。お互いの出自など探るなと言っていると事が、だがここには一番居てほしくない人が私の隣に居た

 

「お前達は……いや……あえて問うまい」

 

龍也君がそう言うと黒武士は

 

「察していただき感謝を。神の王とお呼びすれば?」

 

「ふっ、そんな大層な者ではないさ。しかし何故その名を知っている?」

 

神の王?龍也君のこと?私が首を傾げていると、頭の中に声が響いた

 

【ねえ!ねえ!!作られた人間の気分はどう!本当の親もない!ただの培養液の中から生まれた気分はどんな感じ?】

 

楽しそうでしかしそれでいて狂気の色をにじませた声が頭の中を絶え間なく響き渡る

 

【無数の死の上で成立した命!欠けた心!それで貴方は何を見れるの!どこへ行けるの!ねえ!!!】

 

声を出そうにも声が出ない……動くことも出来ずその残虐な言葉に心をえぐられる

 

【足元見てみなよ?造られた人間。貴女ができるまで死んだ皆が貴女を呼んでるよ?】

 

足元を見る、そこには身体が欠けた同じ顔が無数に転がり、その腕を、腕のないものは視線を……私に向ける

 

【どうして?お前だけが?】

 

【同じワタシなのに?】

 

【憎い!妬ましい】

 

怨嗟の声が絶え間なく私を襲う

 

【ねえ?貴女に生きてる価値はないの?だから……こっちにおいで?】

 

目の前の闇から無数の黒い手が私を掴んだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

「神の王、気をつけろ死霊使いの小娘がお前を狙っている」

 

「何故そんな事を教える?」

 

黒武士が告げるネクロの情報を聞きながら尋ねると

 

「ワタシはやつらが気に食わない、それが理由だ」

 

「まともな人格者のようだな」

 

私と黒武士が話をしていると突然

 

「あああああああッ!?!?」

 

エリスが絶叫すると同時にヤタガラスが展開されるが。何時もの美しい黒い装甲は赤黒く変色し、エリスの顔にマスクが現れていた

 

「!?なぜだ!?なぜ暴走している!?何が起こっている!?」

 

「嫌だ!!私は!ワタシはわたしわたしわたし!!!ワタシは誰!?ワタシはなに!?ワタシワタシ!?」

 

壊れた機械の様に頭を抑え絶叫を繰り返すエリス

 

【あはは!!簡単だねぇ!?人の心を壊すのは!!!】

 

楽しそうな女の声が辺りに響き渡る。その時に気付いた

 

 

(魔力!?しかもエリスだけに指向性の……ちい!!そう言うことか!?)

 

私とあの少年が話しているうちにネクロが魔法を使いエリスに何か言い続けていたのだ

 

 

「ああああ!!!もう全部どうでも良い!!!!ヤタガラス!!全部!!全部私も何もかも壊して!!!もう嫌だ!!!生きてたくなんかない!!」

 

エリスの顔を覆い隠した仮面の目が紅く輝く

 

「あ……あああああああああッ!?!?」

 

一際大きな絶叫と共にヤタガラスが当たり一面にエネルギーを撒き散らす

 

「ちい!あの女!ワタシを騙したな!!くそがッ!!!」

 

ユウリは舌打ちと共に通路を走っていく

 

「……」

 

ヤタガラスは私に目もくれずピットに向かっていく

 

「簪が!くそ!ネクロどもめ!やっかいな搦め手を!!!」

 

子供の精神ほど壊し易いものはない、それが奴らの常套手段だとは知っていた。

 

「くっ間に合え!!」

 

今のヤタガラスは暴走状態と見て間違いない。こんな状態のISと簪が戦えるわけが無い!それにエネルギーに引き寄せられて一夏達の所に行かれても困る。私は零式を展開しヤタガラスの後を追った

 

 

 

 

ドガーンッ!!!!

 

ピットの壁が破壊されてそこからエリスが姿を見せる

 

「え。エリス?」

 

「■■■ッ!!!!」

 

咆哮と共に腰の刀を抜き襲い掛かってくるエリス

 

「弐式!!」

 

緊急展開をしつつアリーナに飛び出す、何が原因かはわからないがISが暴走してるのは判る

 

(龍也は!?)

 

通路に出ていた龍也がどうなったのか判らない。通信を繋げたいが通信はジャミングされていて使用できない

 

武装をコールしようとするが

 

「は、はやッ!!!かはっ!!!」

 

ドゴンッ!!!

 

凄まじい破壊力の蹴りと叩き込まれアリーナの壁に叩き付けられる

 

「げほっ!!ごほっ!!」

 

「何だ!?何ごとだ!?」

 

その衝撃音に気付いたのか隣のピットに居たヴィクトリアさんが飛び出してくる

 

「■■■ッ!!!」

 

「なっ!?ぐあッ!!!」

 

ヤタガラスがコールした槍の直撃を喰らい吹っ飛ぶヴィクトリアさん

 

『なんだ!?何が起こっている!?IS2機の同時暴走だと!?くっ!山田君来賓を避難させろ!!私は一夏のほうへ向かう!!』

 

アリーナに向けてのオープンチャンネルで来賓達に避難勧告が出される

 

『簪ちゃん!ヴィクトリアと一緒に隣のピットまで逃げて!!今のヤタガラスには勝てない!!』

 

ツバキさんの警告は聞こえたが

 

「くっ!!は。速い!」

 

常に瞬時加速しているようなスピードで私とヴィクトリアさんに襲い掛かってくるヤタガラス

 

『嘘?ステータスブーステッド発動中!?駄目!!駄目よ!!エリスちゃん!!それを続けたら死んじゃうわよ!!!』

 

ステータスブーステッド!?それって確かヤタガラスのワンオフアビリティーの!?ISの性能を爆発的に上げる代わりに操縦者の神経を極度に圧迫して、しまいには操縦者の精神をズタズタにして廃人にしてしまう危険性のある奴……エリスがその危険性を言っていて発動しようと思わないと言っていたワンオフアビリティーが発動している!?

 

『山田先生!訓練用の打鉄を回してください!!私が出てエリスちゃんを止めるから!!!』

 

『駄目です!!アリーナにロックが掛かってて解除できません!!!』

 

動揺するツバキさんと山田先生の話に気を取られた瞬間

 

「■■■ッ!!!」

 

ヤタガラスが腰の鞘に刀を仕舞う

 

(清流ッ!?駄目避けれない!!!)

 

エリスの得意技の抜刀術。それをステータスブーステッド中に喰らえば。それで弐式は動けなくなる。いやそれで済めばいい、下手をすれば絶対防御が発動していても重症になりかねない。思わず目を硬く瞑ってしまう、だが来る筈の衝撃は来なかった

 

「!?龍也……」

 

「ぐッ……威力が桁違いすぎる……」

 

零式が一撃で大破しPICも不調になったのか崩れ落ちる、それをヤタガラスが追撃する

 

「くっ!!逃げろ!!簪、ヴィクトリア!!あっちのアリーナのロックは外れてる!逃げるまで時間を稼ぐ」

 

PICが死んでるので着地し刀を構える龍也に

 

「で、でも!?「良いから逃げろ!!!PICがやられてる以上長くは持たん!!!」行くぞ更識!!「は、放して!!龍也とエリスが!?」

 

私の腕を掴み隣のアリーナに引っ張っていくヴィクトリアさんに

 

「私のISも半壊だ!このままいても足手纏いになるだけだ!!」

 

強引に連れられ私は隣のアリーナへと連れて行かれた

 

 

 

 

「くそ!!何だよ!!何が起きてるんだ!!!」

 

ラウラが突然咆哮を上げたかたと思うとラウラは自らのISに取り込まれたのか、その姿を変えたそれは千冬姉の駆ったISに酷似しそしてその剣術も間違い無く千冬姉の物だった。俺はその攻撃を防ぐので手一杯で碌な反撃も出来なかった

 

「くっ!?こっちのISも暴走してるのか!?」

 

「は、放して!!」

 

俺とラウラが戦っているアリーナにヴィクトリアさんと簪さんが入ってくる。簪のISは無傷だが、ヴィクトリアさんのISは半壊していた

 

「一夏!危ない!!!」

 

「な!?ぐっ!?」

 

気を取られた一瞬で間合いを詰められ黒いISの一撃を喰らい箒のほうに弾き飛ばされる

 

「一夏!!」

 

「す、すまん箒!」

 

 

弾き飛ばされた俺を箒が受け止めてくれるが、パワーアシストに切れたISでは完全に衝撃を殺しきれず倒れる。白式はさっきの一撃でシールドエネルギーが底を着いたのかその姿を消した

 

「くっ!もう来たのか!?」

 

ヴィクトリアさんの焦った声がしたと思うと2人が来た方向から赤黒いISが姿を見せる

 

「ヤタガラス?……エリスさんか!?」

 

それは多少形状こそ違うが間違いなくエリスさんのISだった

 

「■■■!!!」

 

そのISの腕の中にあるのは

 

「斬艦刀!?」

 

龍也のISの武器の斬艦刀の折れた切っ先だった

 

「くそ!!ぐあっ!!」

 

ラウラとエリスさんのISの一撃を喰らい弾き飛ばされるヴィクトリアさん、その一撃でSEが尽きたのかISが強制解除される

 

「な。なんてパワーだ一撃だシールドエネルギーを持っていかれた!?」

 

これで戦えるISは簪さんとシャルルのISだけだが、暴走状態の2機のIS相手に戦えるとは思えない

 

「ひっ!?」

 

2機のISがその切っ先を簪さんに向ける。

 

「くそ!!逃げろ!!簪さん!!!」

 

そう叫ぶが簪さんはAICに拘束され動けない……

 

「あ…あああ……」

 

エリスさんのISがゆっくり刀を振りかぶる。助けに行こうにも俺のISはエネルギー切れで動けない。せめてもの救いはラウラのISが動いてない事だが。今の状況では何の救いにもならない

 

「なんとかならないのか!?」

 

「方法が無いわけじゃないけど間に合わない!!」

 

俺とシャルルの悲鳴にも似た叫びが重なった瞬間。簪さんが

 

「けて……助けて……」

 

弱弱しい声で助けてと言い始める

 

「助けて……助けて!!!お姉ちゃんッ!!!!!」

 

涙と共に簪さんがそう叫んだ瞬間……

 

ガキーン!!!

 

「助けに来たわよ……簪ちゃん」

 

「お、お姉ちゃん?」

 

水のドレスを纏った様に見える見たことも無いISを展開した女生徒が簪さんとエリスさんの間に割り込んでいた……

 

 

 

時間は少し遡る

 

「ユウリ!貴方!」

 

「ええい!邪魔だ!楯無!!ワタシはエリスを助けないといけないんだ!!!」

 

通路を走るユウリを見つけ声を掛けようとするが、ユウリはそれを無視して走り去った

 

「ユウリがエリスちゃんを暴走させたわけじゃなかったのね。なら私は!」

 

龍也君達が戦う予定だった、アリーナに向かうそこには

 

「ぐっ……流石に不味いな」

 

「龍也君!?」

 

ほぼ全壊と言う感じの零式を纏った龍也君が片膝を付いていた

 

「楯無か!私は良い!早く隣のアリーナへ行け!!」

 

「でも貴方はどうするのよ!」

 

見たところ怪我をしている龍也君をほっておけずそう言うと

 

「隣で簪がヤタガラスに襲われてる。あいつを助けるのは私じゃない。お前だ」

 

「でも。私は……簪ちゃんに嫌われてるし」

 

ここになって弱気の虫が騒ぐ。そんな私に

 

「ふざけるな!!お前は簪の姉だろう!!なら何があっても!嫌われても!憎まれても!!自分の妹は自分で護れ!!」

 

「……判った!直ぐに戻るから!!」

 

「気にしないで良い。私も直ぐに行く、ラウラのISも暴走してるのなら戦力の出し惜しみはしない」

 

何かまだ戦う手段を残しているのか自信に満ちた表情でそう言う龍也君に頷き。私は隣のアリーナに向かった。そこではヤタガラスがその武装であるルナライトを簪ちゃんに向けて振りかぶっていたそして簪ちゃんは目に涙を溜めたまま

 

「助けて……助けて!!!お姉ちゃんッ!!!!!」

 

嫌われていると思っていた。もう私の事をお姉ちゃんと呼んでくれないと思っていた。そんな簪ちゃんから逃げていた私はその叫びを聞いた瞬間。ラスティーネイルをコールして咄嗟にヤタガラスと簪ちゃんの間に割り込んでいた

 

「助けに来たわよ……簪ちゃん」

 

「お、お姉ちゃん?」

 

弱弱しい声で私を呼ぶ簪ちゃんに背中を向けたまま

 

「エリスちゃん?自分を見失って暴走するなんてらしくないわよ?早く正気に戻りなさい!!!」

 

ラスティーネイルを振るうが

 

ザンッ!!!

 

「嘘……」

 

凄まじいまでの反射速度でラスティーネイルを中程で切り落としたヤタガラスはそのままルナライトを私に向ける

 

(話には聞いてたけど、これは不味いわね)

 

エリスちゃんのワンオフアビリティーは聞いていたが。ここまでとは思って見なかった、直接戦って倒せる自信は無い。ここで出来るのは時間を稼いでヤタガラスがエリスちゃんの神経を破壊するのを待つことだがそんな事はしたくない

 

(手詰まりね。こんなときにフレイア達が居たら)

 

全く同時刻にIS学園に襲撃を仕掛けてきた一団があり、そっちの迎撃に回っているフレイア達が居れば何とでもなるのにと歯噛みしていると

 

シャ!!!

 

「くうっ!!」

 

半壊したミステリアス・レイディの修復は完全ではなく。反応が遅れる放たれた斬撃に態勢を崩す

 

「一夏。ラファールのエネルギーは全部渡したよ!武器と腕しか構築できなかったけど」

 

「いや。これで充分だ」

 

ラウラの方は一夏君に任せても大丈夫そうね。ただ問題はこっちか

 

(エリスちゃんを見捨てるのが正解なんでしょうね。多分)

 

逃げ回るのが正解だろうがエリスちゃんを見捨てたくは無いが半壊したミステリアス・レイディでは対処法が無い

 

「■■■ッ!!!」

 

ヤタガラスが再度斬りかかって来るのを簪ちゃんを抱きしめ回避する

 

「くっ!!」

 

バキャン!!

 

「お姉ちゃん!?」

 

脚部の装甲が粉砕される。不味い完全に性能負けしてる……このままでは私もやられエリスちゃんも死ぬという結末しかない

 

(奇跡でも起きないと何も変わらない!)

 

私がそう思った瞬間再度ヤタガラスの姿が消える。そして現れたのは私の背後

 

避けられない!?私がそう思った瞬間

 

「させんよ」

 

バキャンッ!!!

 

両腕をクロスさせた龍也君が割り込みその一撃を防いでくれるが。そのせいで零式の両腕は完全に破壊された

 

「くっさすがに無茶が過ぎたか」

 

龍也君が現れたことでヤタガラスが距離を取る、彼の危険性はヤタガラスも知っている。だから真っ先に彼を行動不能にしたのだと思っていた

 

「闇に飲まれたか……だがまだ間に合う。まだ救える……私なら」

 

「何を言ってるの!?この状況で!奇跡も起きないとエリスちゃんは救えない!」

 

私のISと零式は半壊しまともな機動は出来ない。それなのにエリスちゃんを救うと言う龍也君にそう言うと彼は

 

「お前は何も判ってない。奇跡はな起こるものじゃない。起こすものなんだよ」

 

強い意志の光を宿した目で私と簪ちゃんを見る龍也君は簪ちゃんに

 

「簪、お前はエリスが廃人になったとして笑えるか?」

 

「……そんなの……笑えるわけが無い!エリスは!私の大事な友達なんだよ?そんなエリスが笑えなくなるなんて嫌だ!!」

 

「いい返事だ。私もそう思うよ……だから私は彼女を救う為の奇跡を起こそう」

 

「■■■ッ!!!」

 

ヤタガラスが龍也君に切りかかる

 

「龍也君!!!」

 

私が思わずそう叫んだ瞬間、龍也君とヤタガラスの前に光輝くバリアが現れヤタガラスを弾き飛ばす

 

「それは……」

 

零式の黒い装甲の下から光輝く白銀の装甲が見える

 

「やれやれ、こんな所で使うつもりはなかったんだが……仕方ない。出番だ!目覚めろインフィニティアッ!!!」

 

零式の装甲が弾け飛びその下から光り輝く白銀の装甲が姿を現す。それと同時に4枚の翼型のスラスターが現れ再び龍也君の体が宙に浮かぶ

 

「セカンドシフトを終えたインフィニティアの性能は高すぎた。だからその性能を抑えるために零式と言う高速具を身に着け性能を落とした」

 

ゆっくりと語る龍也君の体を徐々に白銀の装甲が覆い隠していく

 

「お前はまだ引き返せる。エリス……闇を彷徨うのは私の様な壊れた男でだけ充分だ。だからエリスは返してもらうぞ!!黒き狂鳥よ!!」

 

「■■■ッ!!!」

 

龍也君の叫びが合図となり。白銀のISと赤黒いISが光を纏い、同時に姿を消した……

 

 

 

 

「いくぜ、偽者野郎」

 

エリスさんも気になるが。今は目の前のラウラだ。俺にはラウラが助けて欲しいと言ってる様にしか見えない

 

「零落白夜……発動」

 

雪片の刀身が開き零落白夜の輝きが発せられる

 

(今回は大きい刃は必要ないぜ。必要なのは鋭く振りぬける刃だ)

 

俺の声に呼応するかのように零落白夜が変化する、日本刀の形をした刃が雪片を覆う

 

「……」

 

黒いISが俺目掛け刀を振り下ろす。鋭く力強い袈裟切り……だがそれには魂が無い。誇りが無い……ならばそれは……

 

「ただの真似事だ」

 

振り下ろされた刀を弾き即座に上段に構え振り下ろす。千冬に教わり、箒の姿に学んだ一閃二断の一撃

 

「ギ……ギ……」

 

紫電が走り黒いISが両断される。そしてラウラが俺目掛けて手を伸ばす。

 

「ちゃんと聞こえてたぜ。お前の声」

 

「……」

 

助けてくれと叫ぶラウラの声はちゃんと聞こえていた。そして俺とシャルルがコアバイパスを構築する間も必死に暴走しようとするISを抑えてくれていたのも俺には判っていた。俺は気を失ったラウラを抱き寄せ、エリスさんの方を見た。出来るなら彼女も助けたいがもう白式は限界でその姿を粒子に変えてしまった。俺がエリスさんの方を見た瞬間

 

「だからエリスは返してもらうぞ!!黒き狂鳥よ!!」

 

白銀の装甲に4枚の翼を持つISを身に纏った龍也の姿が目に映った。それは

 

(黄金の騎士!?)

 

鎧の色、翼の色こそ違えど。それは俺の記憶に焼きついてはなれない黄金の騎士に瓜二つだった

 

(なんで龍也と黄金の騎士の姿がだぶる?どうしてなんだ?)

 

俺はそんな事を考えながら龍也とエリスさんの戦いに巻き込まれないように簪さん達の方へと向かった

 

 

第31話に続く

 

 




うーん盛り上げようと思ったんですけど。どうでしたか?ちょっと正直不安な仕上がりですので感想をもらえたりすると嬉しいです。次回はユウリ・なのは&フェイト、そして龍也VSヤタガラス戦で行きたいと思います。それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします
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