第32話
「やれやれっと……これだけ女性に囲まれるとは私もまだまだ捨てたもんじゃないなあ」
くっくと笑いながら龍也は笑う。確かにあの異形は女性のような姿をしているが笑いながら言うことではないだろう
「しかしね。残念ながら貴方方は私の好みじゃないんでね。早々に帰って貰えるかね?」
あくまで余裕の色を崩さない龍也。なぜあんなに余裕なんだ?見たことも無い化け物に囲まれていると言うのに
「ギシャアアアアッ!!!」
「やれやれ……振られたら襲い掛かるとは、そんなんじゃあ男にはもてないぞ」
何気なく言った龍也の腕がゆっくりと照準を合わせ異形を打ち抜く
「グオオオオッ!!」
「もう少し静かにしたまえ、うるさくてかなわん」
飛び掛る異形達の間を縫うように駆け抜け。両手のハンドガンを縦横無尽に振りかざす
「ガン=カタと言うらしいが。中々いけてるだろう?」
蹴り・打撃・銃撃縦横無尽に異形達の間を駆け抜けていく
だが銃である以上絶対に避けられないものがある。それは……
「おや、弾切れか?まいったねえ?」
からからと笑う龍也に異形達が襲いかかる。
「箒、ヴィクトリアさん!何か武器は無いのか!?」
「私のブレードならコールしたままだ!」
箒の指差す先には打鉄の近接ブレードが落ちていた
「シャルル!!」
「判ってる!」
2人で駆け出しそのブレードを2人で引き摺り楯無さんの所へ運び
「投げ渡してくれ!!」
生身ではとても投げ渡せない。ISを展開している楯無さんの近くに運びそう叫ぶ
「判ってる!!!」
楯無さんがブレードを掴んだ瞬間龍也は
「まぁどうとでもなるがね」
4方向から放たれた攻撃を空中で自在にスラスターを使い回転しながらかわす。だがそれだけでは終らない
「弾?」
肩の装甲からハンドガンの弾が零れ落ちる
「瞬間装填と言う。真似できるかね?」
空中で叩き付けるように弾を拾い上げ
「ショータイムだ」
高速で回転しながら両手のハンドガンを乱射する龍也、それに打ち抜かれ倒れ伏せる異形達を見据え。龍也は
「言っただろう?護る戦いにおいて私に敗北の二文字は無いと」
自信に満ちた表情で龍也が奥のほうに居た2体の異形の銃口を向けると
「「ギシャアアアアッ!!!」」
「来い。格の違いと言うの物を教えてやる」
襲い掛かってくる異形達に一歩も退かず龍也はそう告げた
(おかしい、ネクロにしては再生力が低すぎる)
倒した首無しのネクロ達が再生してない事に私は不信感を覚えていた、ネクロの最大の特徴はその高い再生能力それが無いと言うのはどうしても府に落ちない。何か裏があると見て間違いない、となると何時までも一夏達がここに居るのは危険だ
「ギシャアアアア!!!」
「遅いッ!!!」
振り下ろされた剣を受け流しそのまま懐に入り込み。拳を打ち込む
ドンッ!!!
「グルルルル」
弾け飛んだ物の直ぐに体勢を立て直す打鉄を身に纏ったネクロの影から
「オオオオオッ!!!」
「ちっ!!!」
両手に持った銃を乱射してくるネクロ。本能で動いている割には統率が取れている、どうも近く上位ネクロが居ると見ていいだろう。
(なのは達と連絡が取れん。あっちもネクロと戦闘中か?)
連絡が取れない、つまり結界内に引きずり込まれていると見て間違いないだろう。
「グオオオオッ!!!」
「少しは黙りたまえ!!!」
踏み込み空の抜刀で打鉄を纏ったほうのネクロを両断する、時間が経てば再生するだろうが暫くは動けない筈だ
「ギィッ!?」
「隙だらけだ戯け!!」
即座に間合いを取ろうとするラファールを身に纏った異形との間合いを詰め。頭から両断する
「ギャア……」
耳障りな鳴声を上げて倒れるネクロ。これで一息つけるか……そう思った瞬間、ガシャンと聞き覚えのあるリロード音がした……それは魔導師になら馴染みの深いカートリッジシステムの音……そして次の瞬間
「がふっ……ちっ……油断したわ」
貫通された腕を引き抜かれ噴出した血をみながら私はそう呟いた
「!?龍也が」
私はアリーナの扉のロックを外そうとハッキングしながら見ていたモニターを見て絶句した。倒したと思われた異形が一瞬で再生し背後から八神龍也の腹を貫いたのだ。あれは不味い臓器は外しているだろうが、もう動けるレベルの傷ではない
「ツバキさん!私が出ます。フォローを!」
千冬が教員用の打鉄を持って出て行こうとするが
「駄目!まだロックが外れない!」
解除しても解除してもロックが再構築され全くロックが解除される気配がない
「くっ!散々疑った相手が一夏達を護る為に戦っていると言うのに私は!!」
散々疑った、敵だと……危険な相手だと。だが龍也は自身が怪我を負いながらも一夏君達やエリスちゃんを護る為に戦い続けている
(私も焼きが回ったものね)
ここまで誰かを護ろうとする子が敵な訳が無い。散々彼を疑った自分が情け無くなる、だが後悔するのは後で良い今は一秒で早く彼の元に援軍を送ることが優先事項だ
(全部終ったら謝らせてもらうわ、だから死んだら駄目よ!!!)
私はロックの解除しながらアリーナの中で孤軍奮闘する彼の姿を見ながらそんな事を考えていた
「あ……きゃああああああああッ!!!!」
アリーナ席に居た女性徒が悲鳴を上げるのがどこか遠くに聞こえた。龍也が倒したと思った異形が一瞬で再生しその腕で龍也の腹を貫いたのだ
「くっ!?舐めるな!!!」
血を流しながら龍也は自身の腹を貫いた異形の腕を切り裂き、そのまま蹴り上げ容赦なく銃弾を打ち込むが次々異形の身体から何か飛び出し再生していく
「フッ……死んだ振りとは恐れ入る……ぐっ……致命傷ではないがどこまで持つか」
龍也は血を流したまま二刀を構える、それを見た箒が
「馬鹿な!まだ戦う気か!どう見てももうお前は戦えない!!私達はいいから逃げろ!!!」
留めなく溢れ出る血……あの出血量では出血死もそう遠くない。だから箒が逃げろと叫ぶが
「どこへ逃げろと言うんだ?アリーナの出入り口はロックされ、アリーナを囲うシールドは今の私の装備では破壊できない。なら……戦うしかないだろう?」
「ギシャアアアアッ!!!」
咆哮を上げ死角から襲い掛かる異形を振り返らず両断した龍也は
「言っておこう。腹を裂いた位で私が止まると思うなよ。私を止めたければ……」
にやりと笑いながら自分の頭を指で突き龍也は
「この頭蓋を打ち砕くほか無いぞ?」
血を流しているのにその姿は威厳と自信に満ち溢れ、決して退かないと言う意思が伝わってくる
「来い。それとも死に掛けの小僧一匹が恐ろしいかね?」
あくまで余裕の色を崩さない龍也がそう言い放つと同時に異形達が
「「ギシャアアアアアッ!!!」」
一斉に咆哮を上げ龍也に殺到した
「おおおおおおッ!!!」
龍也を包囲し襲い掛かる異形達に一歩も退かず龍也は自身の怪我などまるで気にして無い様子で剣を振るい続ける。だが剣を振るうたびに血が舞う……当然だ素人の俺でも判るあの腹の傷は致命傷ではないが、もう動けるような傷でもないのだ
「どうしてあそこまで戦えるの?激痛でもう動けない筈なのに」
楯無さんがそう呟く中龍也はその長い銀髪を自らの鮮血で真紅に染めながら戦い続ける。自信の傷などどうでも良い……ただ俺達を護る為に1人で戦い続けている
(俺は……強くなったんじゃないのか?)
俺は力をつけたはずだった。だが実際は龍也に護られて、怪我をしている龍也を見ることしか出来ない。なんて無力なんだ……
「狙いは外さん!!!」
龍也の背中の翼が分離しビットへと変形し。光弾と実弾の雨を絶え間なく降らせる。龍也はそれを掻い潜りながら異形に接近し剣を振るう。武装自体はセシリアと同じものだが本体の動きと同時行動をしている。それはセシリア以上の空間把握能力を龍也が持っているという証明だった……俺は1人で戦い続ける龍也の背中を見ることしか出来ない……その悔しさに歯噛みしていると
「お前で最後だ……化け物」
「グルルル……」
最初に両断された異形に迫る龍也、気が付けば残る異形はその1体だけだった
「これで止め……むっ!?」
龍也が飛び退く、異形の身体から無数の触手が飛び出したからだ、だがその触手は龍也ではなく龍也が倒した異形達に向かって行き。動かないその身体を絡め取り本体の元へ戻っていく。そして
異形の体から目が現れ、それと同時に異形の胴体に口が現れたと思った瞬間
メキョッ!!!グシャッ!!!
「くっ、喰ってる……うえ……」
思わず吐きそうになる光景だった。異形が異形を喰らいその身体を補填しているのだ
「悪趣味な……」
瞬く間に異形が再生していくがそれはさっきまでの姿を違い、不気味なほど巨大で全身に現れた目玉が俺達を見据える
「うっわ……」
シャルルがへたり込みそのまま下がる。あれは本能的に恐怖を感じる俺もその場で無意識に後退していた。それほどまでにあれには恐怖を感じた
「ギシャアアア」
異形が纏っていた装甲が開き中から無数の棘が姿を見せる。それを見た龍也は
「ちいっ!!!そう来たか!!!」
瞬時加速で俺達の前に移動した、その直後異形が俺達に向けた棘が一斉に俺達に向かって放たれた……それは黒い雨だった、ISも無い俺達を殺すには充分すぎるだけの凶器だった、俺は思わず箒とシャルルを抱き寄せ目を閉じた、こんなの何の役にも立たないと判っていた。でも皆を護らないと思ったから……だが異形の放った棘はただの一発も俺達には届いていなかった
「いっ……言った筈だ……私の後ろには……唯の1発の弾丸さえ通さないと」
「た、龍也君……」
楯無さんの驚いた声と龍也の声を聞いた俺がゆっくり目を開くとそこには
「あ……」
両肩・両足……それに腹に4本の棘を生やした龍也が俺達を護るように立ち塞がっていた
なぜだ……なぜあの男はあそこまで戦える?私は目の前の光景が信じられなかった。全身に棘を生やしそれでも倒れない八神龍也は剣を向け
「この……程度で……私は……倒れない。……私の後ろに居る者は……絶対に傷つけさせない」
全身から血を流しそれでも全く萎えない闘気に思わず萎縮する。それほどに強い闘気だった
「グオオオオッ!!!」
再度異形が棘を放つ体勢に入る
「龍也君!こっちへ!」
私達を護るように展開されている水の幕の内側から更識が叫ぶが
「必要……ない。ここで全て打ち落とす」
八神龍也が再度剣を構えた瞬間、異形が再び棘を放つ
「う……ウオオオオオッ!!!」
雄たけびと共に剣を縦横無尽に振るい放たれた棘を迎撃し始めるが雨のように降り注ぐ棘を弾き続ける棘全てを弾く事は出来ず、その身体を棘が抉っていくだがそれを全く気にも留めず剣を振るい続ける
「くっ!!!」
だが何十発目かの棘を弾いた瞬間ビームソードが砕け龍也が一瞬無防備になる、その瞬間八神龍也が何事か呟いたのが見えた
「投影開始」
粒子が集まり八神龍也の手に2振りの中華刀が現れた。イコライザの様にも見えるが、何かおかしい気もする……
両手の剣を縦横無尽に振るい棘を弾き始める八神龍也だが、何発かは鈍い音を立てて棘が八神龍也を抉るが、私達にはただの一発の棘は届いていない。それで気付いた
(私達を護る為に自分に当たる物を無視しているのか!?)
八神龍也は自分に当たるものは弾いていない。弾いているのは私達に当たるものだけ……
「ぐ……ぐうっ」
全てを弾いたがその勢いに押され八神龍也が私達の前に弾き飛ばされてくる
「はー……はー…無事か?」
「無事か?じゃないわよ!!!そんなに怪我して……」
更識がそう叫ぶのを聞きながら私は
「なぜそこまでする!!!お前に私達を護っても何の益も無い筈だ!!!それともあれか私達に恩を売るつもりか!?それとも博愛主義だとでも言うのか!!!」
「ヴィクトリアさん!何言ってんだあんたは!!龍也が俺達を護ろうとしてくれてるのに!自分が何を言ってるのか理解してるのか!!!」
織斑一夏が私を掴み上げようとするがそれを弾き、八神龍也に近寄り
「答えろ!なぜ!そこまで私達を護る!!私はお前を不意打ちで襲ったんだぞ!!そんな私を護る意味がどこにある!!!」
私がそう叫ぶと八神龍也は
「この状況で……良く口が回るな……ヴィクトリア……まぁいい……答えてやるよ……私はお前達に恩を売る気も……ましてや博愛主義を語る気も無い……ただ……私は……」
肩を押さえながら奴は
「くだらない事も……嬉しい事も……腹の立つ事も全部……自分で決めて……何時だって……後悔しない選択をしてるだけだ……」
私達に背を向けてそう言う奴の背中がとても大きく見えた。まるで父上様の様な大きな背中だった
「ギシャアアッ!!!」
「!?」
私目掛けて異形が剣を投げつけてくるのが見えた、駄目だこのタイミングでは八神龍也でも防げない……咄嗟の事で反応出来ずに居ると
「させん!!!ぐ……」
八神龍也が左腕を伸ばしその投げられた剣を自らの腕で受け止めた……だがそれは二の腕を完全に貫通し、左腕が力無く垂れる腱が切られたのか動く気配がまるで無い
「カカカカカッ!!!」
異形が耳障りな笑い声を上げる中八神龍也は動かない左腕を見て。即座に右手に握った剣を振り上げた
ザンッ!!!
「「「!?!?!?」」」
何のためらいも無く奴は自分の左腕を切り落とした
「な、何をしてるのよ!!!自分の腕を!自分で切り落とすなんて!!」
「義手だ。切り落とした所で何の痛手もない。動かないなら邪魔なだけだ」
平然とそう言い放つがどうみてもあの義手は神経接続型の義手だ。それをあれだけ無造作に切り落とすなんて普通なら出来ない
「あとは……ぐっ!?」
「何をする気だ、龍也!!」
腹に突き刺さった棘を右手で掴み
「う……うおおおおおッ!!!!」
ズルズル……ザシュ……
自分でその棘を引き抜き無造作に投げ捨てる
「これで剣が振れる……な」
八神龍也はそう言うと自分で切り捨てた腕を拾い上げ異形めがけ投げつけると同時に、腰のビームライフルを抜き放ち宙を舞う腕を射抜いた
「ギギッ!?」
ビームで貫かれた腕が爆発し異形を吹き飛ばす、その隙に八神龍也は背中の翼で中に浮かび上がり
「こんな所で私は終れないんでな……そろそろ決めさせてもらう」
強い意思の込められた言葉でそう言い放った……
「織斑先生!私達は……ひっ!?」
アリーナの完成質に飛び込んだ私達は思わず息を呑んだ。ほぼ全壊のISを身に纏い、左腕が無い龍也さんが全身から血を流しながら剣を構えていたのだ
「先生!如何して援護に……うっ!?」
織斑先生に詰め寄って気付いた自分の手から血が出るほどに拳を握り締めている事に
「何だ?」
「いえ。何でもありません」
それだけで判った。織斑先生も助けに行きたいのにいけない自分の不甲斐なさを悔いているのだと
「悪いが……目が霞んできた……これで決めさせてもらう」
龍也さんがそう言うと背中の翼が分離しビットになる
「行くぞ!!」
龍也さんが手を翳すと異形が凍りついたように動かなくなる、それを見たクリスさんが
「AICッ!?なんで!?」
AICを搭載したISを駆るクリスさんが言うのなら間違いないだろう
「次はこれだ!!!」
翼が大きく開かれると同時に不可視の何かが放たれて異形を弾き飛ばす。それは間違いなく
「「衝撃砲……」」
鈴さん達のISに搭載された衝撃砲だった……
吹き飛んだ異形を追い抜いて分離したビットが弾丸とビームを撒き散らす。
「私よりも高い空間認識能力……」
ビットが4基多角機動を描き異形の背後に回り込み的確に異形にダメージを与える。だがそれで終わりではない
「射撃は苦手なんだが……この腕じゃ4の5の言ってれんのでな!!!」
ビット目掛けライフルを放つ。それはビットに当たり明後日の方向に兆弾する。兆弾したさきには更に別のビットがあり更に兆弾する
「同時多角射撃……見切れるなら見切ってみろ!!!」
ダンダンッ!!!
更に2発の銃弾が放たれ1発目と同じ様に兆弾を繰り返す
「ここからが本番だ!!」
パチン
龍也さんが指を鳴らすと兆弾を繰り返していた弾丸が弾かれたように異形に殺到していく、だがそれは僅かに異形から外れている
「流石にあの出血では照準がずれて……「違う!彼の目的は当てることじゃない!!」
クリスさんがそういった瞬間。龍也さんが何をしようとしていたのかを理解した
ガガガッ!!!
兆弾した弾丸は異形の動きを完全に束縛していた。そして龍也さんは高速機動で異形の周りを回転飛行しながら
「円の動きで追い込み……そしてそのまま速やかに火力を集中!!」
異形の周りを円の動きで高速で移動しながら銃を乱射し、今度は両腰のビームライフルを連結させ高出力のビームを撃つ。その容赦の無い連続攻撃に射抜かれ異形がその動きを鈍らせる、これが龍也さんの狙い
「高速機動による……連続射撃……」
最初の兆弾はおとりだったのだ……それだけで理解する私以上の射撃のセンスを龍也さんが持っていることを……
「そして最後は中央突破ッ!!!」
ダンッ!!!ダンッ!!!
ビームキャノンを乱射しながら異形を通り過ぎる龍也さんだが
「ちっ!回復力が高すぎる」
蜂の巣にされた異形は次の瞬間、再生しその腕を龍也さんに向けて延ばしていた
「一撃で決めなければ駄目か……ならば……咲き誇れ!木花咲耶ッ!!!」
龍也さんがそう叫ぶと手に持った剣が真ん中から開き凄まじい光を伴った白刃を作り出した。それを見た私達は言葉を失ったそれは間違いなく
「「「零落白夜……」」」
白式の単一技能、零落白夜だった……
「嘘だろ?」
俺は思わずそう呟いた、龍也の剣が開いたと思った瞬間現れた刃は間違いなく零落白夜の物だったからだ
「行くぞ……交わせる物なら交わして見せろ!!」
龍也がそう言うとその姿が掻き消え、異形の背後に現れる
ザンッ!!!ザンッ!!!
龍也の姿が現れては着えを繰り返し異形を引き裂いていく……
「月詠の夜桜」
最後に4メートルほどに巨大化した白刃を振るい異形を両断する。その一撃は異形の再生能力を持ってしても防ぐことの出来ない物で異形はその一撃で、完全に切り裂かれ消滅した……
「私に護れぬ者無しッ!!」
その刃を振るい龍也はそう言うと地面に降り立ち
「とは言った物の……少々……無茶が過ぎた……な」
龍也の血に塗れた身体ゆっくりと傾き、血の中に沈んで動かなくなった……まさか……死……慌てて駆け寄ると
「スー……スー……」
「ね。寝てる」
思わず脱力仕掛けるがあれだけ血を流せば当然の事だと思い。うつ伏せの龍也を動かそうとすると
「馬鹿!!今龍也を動かすな!!!」
千冬姉と先生達が走ってきて慌てて龍也の止血を始める
「バイタルは?」
「安定してます。でも出血が多いです早く医療室に運ばないと」
手早く応急処置を施し龍也をストレッチャーに乗せて運んでいく先生達を見ながら。俺は龍也の戦う姿と記憶の中の黄金の騎士が酷く似ている事を思い出し
(龍也は一体何者なんだろうか?)
俺から見ても龍也の戦闘能力は異常だ。そしてあの姿がどうしても俺に黄金の騎士を連想させる
(龍也と黄金の騎士は知り合いなんだろうか?)
俺はそんな事を考えながら先生達に指示に従い、気絶しているラウラを背負い医療室にへと向かった……
「何時までこんな事を繰り返すつもり?」
「全てが終るまで」
LV1と2を差し向け、適度に自分も攻撃し私達を足止めしてるLV4にそう訪ねると、LV4はにやりと笑い再び弓矢を放ってきた。無理をすれば突破できない事は無いが
相手の考えが判らないので無理に仕掛ける事も出来ず、私とフェイトちゃんはLV4の作戦通りこの場で完全に足止めをされていた。私とフェイトちゃんが突破口を探していると
「ベリト。撤退しよ!作戦終了したし」
声だけが辺りに響き渡る。私とフェイトちゃんが辺りを見回していると
「もう終ったのですか?ネルヴィオ」
「うん♪もう最高ッ!!血まみれに八神龍也を見れて私大満足!!出来るなら私が傷つけたかったけどね♪」
LV4の背後の空間が引き裂かれそこから1人の女性が姿を見せる。ネクロの援軍かと思ったがその女性の顔を見て私とフェイトちゃんは絶句した。それは成長しているが
「「ヴィヴィオ!?」」
間違いなくヴィヴィオと同じ顔をしていた。ネルヴィオと呼ばれた女性は
「その名で呼ばないでくれる?私はネルヴィオ、ネルヴィオ・カオスティラって言う名前があるんだから」
絶対零度の視線をこちらに向けるネルヴィオは
「仕事も終ったし帰ろ、八神龍也は血まみれの上に左腕もぶっ壊したし暫くはまともに活動できないだろうしね」
血まみれ!?それに左腕を壊した!?どういうこと!?私とフェイトちゃんが困惑してると
「そのまんま。死んではないけど結構重傷。まあ治癒魔法が得意だから直ぐに回復するだろうけどね」
からから笑うネルヴィオはそのまま転移魔法を発動させようとする
「させない!ディバインバスターッ!!!」
収束砲を打ち出すが次の瞬間
「甘いよ、ディバインバスターッ!!!」
「えっ!?」
私と同じ魔法を発動させて相殺するネルヴィオは嘲るように笑いながら
「収束砲が自分の専売特許だと思わないことだね。誰にだって使えるんだから。じゃあね、今度会ったら……私が殺してあげるよ」
にいっと笑いネルヴィオはLV4と共に姿を消した。
「何者?あのネルヴィオって」
ヴィヴィオと同じ顔。そして私の魔法を使うネルヴィオの正体が判らないが今は
「龍也が重傷だって早く戻ろう!!」
「判ってる」
ネルヴィオの事は後で良い。今は龍也さんが心配だ、私とフェイトちゃんは転移を発動させこの場を後にした……
第32話
えーと今回も戦闘メインでしたがドウでしたか?楽しんでもらえたのなら良いのですが。次回からはインターバルの予定なので暫く戦闘は無しです。それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします