第36話
「どうしようかな」
「どうしたのエリスちゃん?」
医療室の先生の許可が出たので今日で自室に戻れる。そのための準備をしながらふと考える。お義母さんに
「包帯、どうしようかなって」
「その目?」
ナノマシンの影響で水晶に様に輝く青い目。私はこの目が嫌いだったが、龍也君に言われたしどうしようかと悩む
「ん、巻かない」
「良いの?」
この目で何か言われるかもしれない。だけど
「自分の身体を嫌っても良い事ないしね、私はもう目を隠さない」
包帯を鞄に仕舞う。やっぱり視界が広い方が良い
「よしと鞄置いたらちょっと行きたい所あるから」
また話さないといけない、龍也君と……自分の中のあやふやなままの想いを形にする為に
「そう、好きにすると良いわ。エリスちゃんのしたいことは自分で決めると良い」
「ありがと、お義母さん」
前よりお義母さんとお義父さんと話しやすくなった、色々心境の変化あったからかもしれない
「荷物、持ってあげる、さっき屋上に行く龍也君をすれ違ったから急いだほうが良いわ、部屋に行かれると話しにくいでしょう?」
なのはとフェイトがいては話に難い。お義母さんの言うとおりだ
「お願いしても良い?」
「ええ」
笑顔で頷いてくれるお義母さんに鞄を渡し。私は屋上へと足を向けた。それを見ていたツバキは
「足取り軽く、笑顔でか……エリスちゃん、恋しちゃったのかしら」
大事な娘が自分から離れていくのを少しだけ寂しい気持ちで見ていた
「どこに?」
屋上に居るとお義母さんは行っていたが龍也君の姿は無い。辺りを見回していると
「夕日は美しいと思わないか?エリス」
上?給水塔の辺りに龍也君が腰掛けているのが見える
「ほれ、昇ってこれんだろう?」
差し出された手を暫く見る、小さいと遠まわしに言われているのか、危ないからと言う意味で手を出してくれてるのか、少し考えたが私はその腕を掴んだ
「よっ」
ぐいっと引き寄せられ給水塔の前に立つ。そこから見る夕日は確かに美しかった
「消え去る間際の美しさ、少ししか見ることが出来ないからこそそれはより輝いて見える」
夕日を見る龍也君の横顔が何時か夢で見た、赤い大地に立つ騎士に重なって見えた
「何のようかね? エリス」
「用って程じゃないけど、色々とありがとうって伝えたくて。龍也君に叱られてから色々今まで悩んでた事が馬鹿らしく思えてきてね」
隣座るよ?と言ってから隣に腰掛ける
「だからありがとう。私の世界を変えてくれて」
「大袈裟だ、お前が思いお前が行動した。それでお前の世界は変わった。私は何もしていない」
そう笑う龍也君は夕日を見ながら
「私は夜明けと夕日が好きだ。決して忘れてはいけない思い出を呼び起こしてくれるからな。私だけじゃ思い出せないんだ」
「どうして?思い出せないの?」
矛盾してる。忘れてはいけないのに、思い出せないなんて、変だ
「ふー私は弱いから、1人で思い出すとその思いに潰されてしまう。だからこういうときにしか思い出さないんだ」
自嘲の笑みを浮かべる龍也君は自分の右目と髪に触れながら
「この髪と目は、あるやつが私に残してくれたものだ」
「あるやつ?」
「そっ、私が迷い闇を彷徨った時にまた背中を押してくれた人、セレスと言うとても美しい女性だった」
龍也君がコートの中から写真を取り出し見せてくれた、龍也君がまだもうちょっと幼くて黒い髪と黒い目をしていて、その隣に居る女性は蒼銀の瞳と銀の髪を持ったとても美しい神秘的な雰囲気をした女性だった
「この人は?」
「死んだ、私が殺したも同然にな。彼女は身体が弱かった、それでも強い人だった。私が事故で目と腕を失いなのは達も私が死んだと思っていたときに出会った。色んな話をした彼女は狭い世界しか知らず、私の話をとても楽しそうに聞いていた」
思い出に浸るように遠くを見る龍也君の顔はとても悲しそうで寂しそうだった
「私が目と腕を失った際に、どうも身体の中に金属片が埋まっていたらしくてな、それが内臓を傷つけ死に掛けた事がある。手術をしなければならなかった、だが私の血液型はとても珍しく輸血など出来なかった。聞いてないか?私と血液型があわず輸血できなかったと」
うんと頷く。お義母さんから聞いてる。龍也君が特殊な血液型で輸血できないから増血剤や医療用のナノマシンを使ったと
「そしたらあいつはこう言った。私の血液が同じだ。私の血を使えと。それだけ血を抜けば自分が死ぬと知りつつセレスは私に血をくれた。それで私は何とか回復したんだがセレスは弱っていき寝たきりになった。私のせいだと悔いたよ、それなりに仲が良かったからな」
龍也君は自分の右目を触りながら
「死ぬ間際に私はセレスとあった。弱ってもう立つ事も出来ないセレスは私にこう言ったんだ。「幸せに生きろと、後ろを見るな」とな? だから私は振り向かない前だけ見て進んでいくと決めたのさ。たまには感傷に浸りたくなる時もあるがね?」
「好きだったの?」
私がそう尋ねると龍也君はきょとんとした顔になり笑い出した
「はははは! 違う違う。私とセレスはそんなんじゃない、まぁ友人と言うにはおかしく、恋人と言えぬ……そうだな。半身とでも言うべきか? 大体普通輸血したところで輸血者の髪と目の色に変化するわけが無いだろう? だからきっとセレスは私と良く似たそんなやつだったんだろうな」
「悲しい?」
「悲しいとかは無いかな? セレスの髪と目が私はここに居ると言ってる。だから寂しくはないかな」
ぼんやりと空を見上げた龍也君は
「天空の風は常に私と共にある」
「?」
意味が判らず首を傾げると龍也君は立ち上がり
「セレスの名の意味さ、空の上から見守る者、天界の青き風と言う意味だったらしい。さてと、感傷に浸るのは終りだ。何のようだった? くだらん昔話で時間を取らせてすまなかったな」
「くだらないなんて事はなかったよ?」
少しだけ龍也君が判った気がした。とても脆く弱い心の人……でも強い想いでそれを支えているのだと
「ついでだ。このまま食堂で夕食にするか? 簪となのはとフェイト誘って」
「良いですね。そうしましょう。私は簪を呼んできます……下りれないですねこれ」
引き上げられたんだ、自分では下りれない
「ああ、心配ない」
「ふえ?」
ひょいと横抱きで抱えられる。いわゆる乙女の憧れお姫様抱っこ
「お、おおお下ろして」
「下りれないんだろ? ならこれが速い」
そのまま飛び降りる。着地の音が余りに小さい膝で完全に衝撃を殺したんだ
「ほい」
「あ。ああ……はい」
物凄く近くにある龍也君の横顔にドキドキしながら頷き。自分の足で立つ
「さーて、行くかー。久しぶりに肉でも食わんとやってれん」
首を鳴らしながら言う龍也君。赤面してる私に対して何でもない態度、普通の事だと思っているのだろうか?
「どうした?」
「あ、いえ。今行きます」
彼が気にしてないならこっちも気にしない。それで良い……と言いたいが心臓が痛いくらいに暴れている。その痛みは私の中にある想いが間違いでは無いと言う確かな痛みで。少しだけ自分が誇らしくなれる痛みだった
ちなみにこの光景を見ていた、暗部3人娘はと言うと……
「殺しに! 殺しに行く! エリスちゃんに恋はまだ早いわッ!!!」
「つ、ツバキ殿! IS用ブレードを振り回さないで下さい!!」
「てめえ! 手伝えよ! アイアス!!」
「僕、死にたくないから……」
バーサーカーモードになりかけている、ツバキを止める為に奮闘していたりする
トーナメントが中止になり。タッグでは無く各々の戦闘技能を把握す為の試合を見る。見ているのは私と龍也君と織斑君と篠ノ之さんとボーデヴィッヒさんとヴィクトリアさんにデュノアさんにエリスだ
「この!」
「遅い……」
凰さんとクリスさんの戦いだが。常にクリスさんが先手を取り続けている。クリスさんのISは黒い装甲を持ち大振りなショルダーパーツにブースターとスラスターを装備して滑らかなフォルムの機体だ
「直情的な鈴では勝てないな」
「うん、私もそう思う」
ボーデヴィッヒさんとエリスがそんな話をしてるので
「どういうこと?ボーデヴィッヒさん」
「簪。ラウラで良い、ラウラと呼べ」
「え……えーと。ラウラさん?どういうことですか?」
私がそう言うとラウラさんは
「クリスは取り分け身体能力が高いわけじゃない。クリスの最大の武器は優れた解析能力と第六感。いわゆるオカルトな話になるが、クリスは空気の流れや相手の動きで、行動パターンを予測し戦う持久戦に特化した操縦者だ、そして機動力の高いメフィスト……正直言って鈴の勝利は2割以下だ」
「ですね。クリスが本気で逃げに回れば捉えるのも難しいしね」
ドイツ軍に所属しているエリスのお父さんの繋がりでエリスはラウラさんとクリスさんと顔見知りらしく仲が良い。私と違って交友関係が広いんだろうなと思っていると
「だからエリスの友達のお前も私の友だな」
「……ラウラ、いつそんな短絡的思考に? 昔はもっと警戒心があったじゃないですか?」
「警戒などして何になる? 私は友達が欲しい。だから簪も友達にする。それで良いじゃないか?」
直球勝負!? ストレートど真ん中にも程がある!?
「このちょこまかとっ!!!!」
「……気が短いのは良くない」
ワイヤーブレードで当てては離れ。離れては当てるを繰り返すクリスさんに切れたのか、凰さんが瞬時加速の体勢に入るが
「……何回も貴女の瞬時加速の予備動作は見た」
「なあ!?」
メフィストの姿を見失ったと思った瞬間。凰さんの後ろに現れたメフィストが肩に装備していたマシンガンを乱射する
「タイムラグが殆ど無い瞬時加速か」
「そのようだ。相手の行動を読み出鼻を挫く。これはかなりややこしいタイプだな」
龍也君とヴィクトリアさんはクリスさんの行動パターンを話していた
「AICと装備してるワイヤーブレード。それにミサイルでヒット&アウェイを繰り返し、相手が頭に来たら瞬時加速を使って高速戦闘。チーム戦だともっと活躍の場が広いだろうな」
「うーん。クリスさんは敵に回すと鬱陶しいね。行動パターンを読んで相手が頭に来るように射撃か。僕とはタイプが違うかな」
えーと。かく乱と支援型?ってことで良いのかな?
「チェックメイト」
「うっ……」
凰さんの喉にビームブレードを突きつけるクリスさん
「詰んだな」
「うん。あれは詰んだね」
龍也君とデュノアさんがそういった瞬間。凰さんが
「あ、あたしは……こんな! こんなところで負けらないのよッ!!」
こんな所と言うが準々決勝でそこそこ勝ち進んでいるはずだが
「優勝。優勝優勝して!! あたしはぁッ!! 一夏と付き合うのよ!!」
「!?」
ブレードを素手で掴み強引に投げ飛ばす。うわ……あれ絶対シールドエネルギー貫通してる
「ぐおおおおッ!!! 超痛てええええええッ!!!!」
「どういうことかな?かな?一夏は死にたいのかな?」
凄い、デュノアさんが片手で織斑君を吊り上げてる。
「どうして?鈴と付き合うことになってるのかな?ことと次第によっては……殺すよ?」
「え。ええええエリス!! 怖い!私怖いよ!!」
「落ち着いて簪、今近付けば殺される!」
エリスに手を引かれデュノアさんから離れる
「さっ早く説明をしてくれるかな? 一夏?」
「お、俺はああ!? 箒と箒が優勝したら買い物付き合うって約束しただけだアアアアッ!?」
その絶叫に篠ノ之さんががっくりと肩を落とす
「ど、どうせ……そんな認識だと思ってたさ……でも直接言われるときつい」
「さ、箒。これを飲め、私のおごりだ。一夏は少しだけ。いやかなり教官に洗脳されてる、大丈夫時間をかければ何とでもなる。まっ私も狙っているので塩ばかり送る気はないがな」
「ラウラ、お前は面白い奴だな。自分が失恋するかもしれないのに恋敵に塩を送るのか?」
「うむ。一夏は素晴らしい奴だ、惹かれるのは当然のこと。そして私の他に一夏に惹かれる奴がいるというのは……とても好ましい」
「好ましい?この状況が?」
「そうだ、恋敵がいるのならその恋敵より、一夏の気を惹ける人間になれば良い。明確な目標があるというのはとても良い」
凄い自信だ、私には到底無理そうだ
「おお!スゴイな鈴! マシンガンを双天牙月で切り払って進んでるぞ!」
「凄いな理性が飛んだのか野生的な身のこなしだ」
どんな動きを……
「ふうううううッ!!!」
なにあれ?猫科の動物の様に唸りながら体制を低くし。射軸を外してる
「なに!? なんなの!?」
クリスさんが凄く動揺してる。私も間近で見れば凄く混乱するだろう
「なんだあ。買い物かぁ……僕ってばうっかりしてたなあ?……そうだよね。幼馴染なら買い物くらい一緒に行くよね?」
「わ、判ってくれて何よりだ」
肩で息をする織斑君を甲斐甲斐しく介抱する、デュノアさんだがそれをやったのはデュノアさんなのでどうかと思う
「行動パターンが読めない!?」
「きしゃあああああッ!!!!」
「なんかあれだな。鈴が大切な物を失って強くなってる気がする」
もう獣同然に手足を地面につけ……と言ってもPICで浮遊してるのでそれもおかしな表現だが、そんな感じで高速移動する凰さん
「もう手遅れだよ、中国では皆知ってる。鈴を怒らせるな、凶暴化するから」
「鈴さんが理性飛ぶと大変ですわね」
試合を終えたシェンさんとオルコットさんが来る。試合後なので少し疲れた様子だ
「おう、お疲れ様。そこに私が作ったクッキーが……」
皆で摘んでいたクッキーの皿を指差さそうとする龍也君だが
「ん?」
今正に最後の1枚を飲み込んだ。ラウラさんがきょとんとこっちを見ていた
「ラウラ……全部食ったのか?」
「うむ! とても美味だった」
コーヒーを飲みながら言うラウラさんに
「ラウラぁ!? ずるい! 私も食べたかったのに!!」
「そうですわ! 疲れるだろうから作っておいてくれると言った物をどうして全部食べてしまうんですか!?」
2人が詰め寄るがラウラさんは
「とても美味だった」
「それは知ってるよ!!!」
「それは知ってますわ!!!」
女子といえば甘い物それを失った2人がそう怒鳴る中
「たつえもーん! お菓子のお代わりが欲しいなー」
「しかたないなーエリス君は~」
国民的アニメのくだりを真似する龍也君とエリス。何してるの?
「てっれっててー♪ チョコップクッキーとストロベリークッキ~」
コートからまた出て来るお菓子の数々、どう見てもコートに収まる量ではない
「えーと……色々突っ込みたい事あるんだけど?」
「ちょっと待ってくれ、決着が着きそうだ」
龍也君がモニターを見るのでつられてモニターを見る
「■■■ーッ!!!!!!」
「け、獣!? 獣がアアアアアッ!?」
きっとこれは放送規制がかかりそうなシーンだ。獣同然の叫びを上げ組み付いた凰さんが両手の双天牙月を振り下ろし続けている
「昔何かで見た獣の捕食シーンのようだ」
「ああ、どこかで見たと思ったらそれか」
マイペースな龍也君とラウラがそんな話をしている
「勝者! 凰鈴音!!」
良いのか?いや……良いんだろうちゃんとした? IS戦闘だし
「で? 龍也君のコートからなんでそんなお菓子が出てくるの?」
シェンさんが尋ねると龍也君は
「まぁまぁ。ちょっとこっちこい」
「?」
不思議そうな顔をして近付いたシェンさんに脱いだコートを被せる
「「「!?!?」」」
コートがそのまま地面に落ちる。シェンさんはどこに!?
「しぇ、シェンさんはどこへ!?」
「マジック!? マジックなの!?」
「まぁまぁ落ち着け」
龍也君がコートに手を入れて
「よいしょ」
まるで物を出すようにシェンさんをコートの中から引きずり出した
「「「!?!?」」」
「それを見るのも2回目ですね」
とんでもない衝撃シーンに皆絶句する。エリスだけはクッキーを齧っていたが
「コートの中に家が……で、女の子がいて。お茶でも如何ですか? って笑ってた」
「ああ、それはきっとクレアだな」
誰!? クレアって誰!? そもそもコートの中に家って何!?
龍也君の謎が深まった瞬間だった……
1年の能力把握の試合が全部終った午後。夕食時の食堂で
「つ、付き合うって買い物!? あ、あたしは何のために」
「まぁまぁ落ち着けよ、鈴。一夏が泡吹いてるぞ?」
力なく垂れる腕を白い顔。死ぬ一歩手前にしか見えない
「あ……一夏~一夏大丈夫?」
おどおどと鈴が声を掛けると一夏が
「はっ!? ふうーセーフ。変な川のほとりで爺さんと将棋してたぜ」
臨死体験か、一夏もタフだな
「あー。ちょっとミスったなあ」
「私はあんまり成績良く無かったかな?」
なのはとフェイトはそれぞれ学年7位と5位、これは私が頼んだ事だ。あんまり目立つと行動しにくくなるからある程度抑えろと頼んだのでこんな物だろう。
「……まぁ、夢だったと思えば」
簪がその身体を更に小さくしてとぼとぼと歩いてくる
「おーい! 簪もこっち来いー」
あのままふらふらと窓際の席に行ってしまいそうだったので呼ぶと簪はかるく頷きこっちに歩いてくる
「しかし、まぁまぁではないか? セシリア、学年9位。良い成績だ……何だその顔は?」
ヴィクトリアにそういわれたセシリアはきょとんとした顔をしながら
「いえ。まさかヴィクトリアさんにそんな事を言われるとは思っても見なかったもので」
「ふん。1人でいても良い事は無い。それに色々と判った事があるんでな、少し自分の在り方を代えようと思っただけだ」
らしくない事をしたとそっぽを向く、ヴィクトリア……照れ隠しなのだろう。昔のチンクを思い出して思わず笑みを浮かべていると。簪が前に座った
「元気ないな?どうした?」
「な、何でもないよ?」
何でもないって顔じゃないけどな
「ああ。そうだ、今度の週末あいてるか?」
「ふえ?」
「だってほら約束しただろ? 頑張ったら一緒に遊びに行くって」
「でも、私……何にもしてない」
「何もしてないってことは無いだろう? 私に最後の弾丸を投げてくれただろ。自分が怪我するかもしれないと言う恐怖を超えて、それは凄く頑張った事だと思うぞ?」
欠陥のある人間ならまだしも正常な簪ではあの瓦礫の下にある弾を取るのは非常に勇気の居る決断だった筈だ、だから私はそれを評価しただけ。なのだが……
「龍也さん! そう言うの駄目って言ってますよね私!?
「約束は約束だ。私は嘘はつかない事を信条にしてる、だから約束は護る」
約束した以上約束は護る
「それとも何か用事があるか? それなら無理にとは言わないが……」
「行く! 行きます!!」
今までの打って変わっての笑顔を見せる簪に
「では週末に、待ち合わせ場所は後で連絡しよう。追跡者が居るからな2名程?」
「「うっ!?」」
目を逸らす2人に呆れながら溜め息を吐き
「あんまりそういう事するなよ?ではな、後でメールする」
「う、うん!! 楽しみにしてる!!」
ここで1つ問題がある、それは龍也と簪の受け取り方の違いだ
龍也は実年齢23歳で面倒見の良い上官として、労いやリフレッシュの為に良くスバルやエリオ達を連れて遊びに行く事が多い。つまり龍也にとっては頑張った簪へのご褒美のつもりなのだが
簪にとっては同年代でしかも色々と助けてくれ相談に乗ってくれた少年で、惹かれ始めていることも自覚しており、そんな龍也と出かけることはもうデートと言えるだろう
つまり致命的なまでに両者の受け取り方が違ったのだ……方や労い、方やデート……
この致命的なすれ違いを持ったまま週末が訪れる……
第37話に続く
次回は神なる刃、初めてのデート編ですね。この後に楯無と龍也の悪戯コンビの話と魔王襲来準備の話を入れて、3巻の内容に入っていこうと思います
そして魔王襲来=……判りますよね?ヤンデレフィーバーです。それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします