第4話
「あー」
俺は机の上で死んでいた…1時間目のIS基礎理論の授業が終わって今は休み時間、けれどこの教室内の異様な雰囲気は正直居心地が悪い…ちなみにIS学園はIS関連教育をするために入学式から普通に授業がある、学校の案内?地図を見ろだそうだ
(だがしかし…どうにか成らないのか?これは…)
俺はISを使える1人目の男で、もう1人は教室の奥にいるが…
「……」
「「ギロリッ!!」
本を読んでいる八神と、その両隣の…えーと、高町さんとハラオウンさんが近付いたら殺す!と言いたげな視線で周りを睨んでいる為、ぶっちゃっけ超怖い。だが俺にとっては頼もしい味方になってくれるかもしれない、八神…早目に話しかけたほうが良いと思い。俺は勇気を振り絞って八神の方に向かった、俺の接近に気付いた八神は読んでいた本を閉じた。ちなみに高町さんとハラオウンさんは、俺を止めはしなかった。男だから自分達の敵ではないと、判断してくれたのかもしれない
「何か用か?」
俺を真っ直ぐに見る蒼銀の瞳に一瞬身が竦むが何とか
「いや、ほら俺と八神って、クラスで…と言うかこの学園で唯一の男子だろ?だから仲良くしたいなって思ってさ」
俺がそう言うと龍也、にこやかな笑みを浮かべながら
「龍也だ」
「はっ?」
突然そう言われ、俺が困惑すると龍也は
「龍也で良い、八神と言われるよりかはそっちが良い…私も一夏と呼ぶ、それで良いだろう?」
そう言って手を差し伸べてくる龍也に俺は
「ああ…ああよろしく!龍也」
俺は龍也と握手した瞬間強烈なシンパシーを感じた、俺は
「龍也って妹とか居ないか?」
「一夏は姉が居ないか?」
2人で同時に同じ質問をし、頷きあう
「それで姉に貞操を狙われてるとか?」
「妹に貞操を狙われてるとか?」
再び頷き会う。そして
ガッ!ガッ!!パン!パンッ!グッ!!
お互いの拳をぶつけ合い、最後にお互いに力強く握手する。こんな所に俺と同じ悩みを持つ男子が居るとは…IS学園も満更ではないな
「何してるんですか?龍也さん」
「なのは、ここに私と同じ悩みを持つ。男が居た、私はどうやら良き友人に出会えたようだ」
嬉しそうに言う龍也に
「姉弟なのに…異性として見られるって辛いよな」
「ああ、辛い。出来る事なら考え直して欲しいと常に思う」
2人でうんうんと頷きあっていると。ハラオウンさんが
「一夏、さっきから女子が凄い顔で見てるんだけど…知り合いじゃないの?」
そう言われて振り返るとそこには…
「…箒?」
六年ぶりの再会となる幼馴染の篠ノ之箒が居た、俺が通っていた剣道道場の子で髪型は今も変わらずポニーテール。
「廊下で良いか?」
そう尋ねてくる箒を見ながら横目で龍也を見ると
「私は気にしなくて良い」
本を読み始めた龍也に頷き俺は箒と一緒に廊下に出た…
織斑一夏、まさか私と同じ悩みを抱えているとは…この世界で私は理解者を得た事に歓喜していた…
「まさか、龍也と同じ悩みを持ってる男子が居るなんてね」
「そうだよね。そんなのはやてちゃんくらいだと思ってたよ」
驚きという感じで言う2人と話していると、授業開始のベルが鳴った。私は読んでいた本を片付け、代わりに教科書を取り出した
(うん、読んでいて良かった。ある程度は判るぞ)
ISの本を読んでいて良かったと私が思っていると
「織斑君、八神君、何か判らない点はありますか?」
そう尋ねてくる山田先生、教師として合格点だ。悩んでいるかもしれない生徒に声を掛けるとは…私が感心してると、一夏が手を上げ
「先生!」
元気よく言う一夏、やる気があるんだな、と思ったが…次の瞬間脱力した…
「殆ど全部判りません!!!」
私は思わず椅子から落ちかけた、殆ど判らないとはどういうことだ?私が困惑していると。山田先生が
「ぜ、全部ですか。も…もしかして八神君もですか?」
そう尋ねてくる山田先生に
「いえ、大丈夫です。ある程度は理解出来てますから」
私がそう返事を返すと
「そうですか…安心しました」
ほっとした表情の山田先生の後ろで織斑先生が
「織斑…参考書は読んだか?」
「古い電話帳と間違えて捨てました!」
私は一夏に少し呆れた、間違えるなよ…大事なものだぞ…
「織斑、好きな方を選ばしてやろう。私と放課後、マンツーマンで教えられるか。夜、私の部屋で勉強するか…どっちが良い?」
「それは選択肢がないと言うのと同じだッ!!」
放課後か夜か、位の差しかない…一夏がそう言うと、織斑先生は
「そうか、放課後、私と勉強して。夜も私と勉強したいと…お前はそう言うんだな?」
「違う!そんな事になったら千冬姉は俺を襲うだろう!?」
一夏がそう言うと織斑先生は真顔で
「襲うのではない。捕食するのだ」
「余計酷いわッ!!!俺は龍也に教えてもらう!良いだろ、龍也!」
助けてくれと視線で訴えてくる一夏に頷き
「男同士という事で私が責任を持って、一夏の勉強を教えます」
「っち…そうか、それならお前に任せるぞ」
舌打ちしながら言う織斑先生…何故だろう?はやてがダブって見える…私はその事に戦慄しながら、教科書に視線を戻した。ちなみに山田先生は一夏に声を掛けようとして、織斑先生に睨まれ、びくびくしながら私の方へと方向転換して
「八神君もですよ、判らない事があったら聞いてくださ…何でもないです」
「「ギロリッ!!!」」
両隣の魔王様2人に睨まれ、涙目で山田先生は教卓へと戻った…そんなハプニングがありながらも2時間目も終了した
2時間目の放課後
「助かったよ、龍也。下手をすれば俺は喰われていた」
心底安心したという表情の一夏に
「私も同じ様な危険が常に付き纏っている、いざとなったら助けてくれ」
両隣の危険人物を指差しながら言うと
「当然だ、必ず助ける」
グッ!
お互いに握手をしていると
「ちょっと、よろしくて?」
「へ?」
「何か?」
間抜けな返事をする一夏に呆れながら声を掛けて来た女子を見る、鮮やかな金髪に白人特有のブルーの瞳…そして僅かにロールが掛かった髪はいかにもお嬢様という感じだ(アリサに似てる気がする)
「訊いてます?お返事は?」
そう尋ねてくる女子に
「私は返事をしたが?」
私がそう言うと女子は
「貴方ではないですわ、織斑君に言ってるのです」
そう言われた一夏は
「ああ、訊いてるけど。どういう用件だ?」
私は一夏の返答に呆れた・・こういうタイプの女子はこういう反応をすると…
「まぁ!なんですのそのお返事、私に話しかけられただけでも光栄なのですから、それ相応の態度があると言うものではないのですか?」
やっぱりな、典型的なお嬢様か…どこにも居るんだな、こんなタイプ、私がそんな事を考えてると一夏が油に火を注ぐ
「悪いな、俺。君が誰か知らないし…」
目の前の女子の目が鋭くなる、明らかに怒っている。それに男を見下したよう口調で
「知らない?このセシリア・オルコットを?イギリス代表候補生にして、入試主席のこの私を?」
そう言うセシリアに一夏は
「あ、質問良いか?」
こいつまさか、私は嫌な予感がした…そしてそれは的中した。セシリアは少し気を良くした様で
「ふん、下々の者の要求に応えるのも貴族の務めですわ、よろしくてよ」
「代表候補生って何?」
私とクラスの数名の女子がずっこけた、こいつ本当に馬鹿か?スバル並みか?私がそんな事を考えているとき突進少女はくしゃみをしていた…
「あああ、貴方本気でおっしゃってますの!?」
怒ってる…むちゃくちゃ怒ってる。私はセシリアの怒声を聞きたくなくて、本を開きこのやり取りを脳の外に追い出す事にした。だがそれは直ぐにやめることになった、それはセシリアのある一言が原因だった…
「ふん。まぁでも私は優秀ですから、貴方のような人間にも優しくしてあげますわよ」
この一言で私は激しく苛ついた、私はこういう高飛車な人間は嫌いだ。私が苛ついているとセシリアは胸を張りながら
「入試で唯一教官を倒したエリートなのですから」
私はその一夏が馬鹿を言う前に
「私も倒したぞ」
「俺も倒したぞ?」
「私も倒したよ?」
「私も」
なのはとフェイトも試験官を倒したと言うとセシリアは
「わ、私だけと聞きましたが?」
ショックを受けるセシリアにフェイトが
「試験官が私にダメージを与えれなかったから、学園側から言わないでくれって言われたし、ね。なのは」
「うん、あんまり強くなかったよね、あの試験官」
2人があははと笑いながら言うと、セシリアはよろ付きながら
「そ、そんな…馬鹿な…」
ピシ…何か嫌な音を聞いた、氷に皹が入るようなそんな音だ…恐らくこの高飛車なお嬢様のプライドに皹が入った音だろう
「つ、つまり私だけではないと?」
「いや、知らんよ」
「貴方達も教官を倒したって言うの!!」
なのはとフェイト、更に私を指差し激昂するセシリアに
「倒したぞ」
「そんなに威張る事じゃないと思うけどね」
「うん、だって弱かったし」
前線で戦い続けた、2人にとってこの世界の試験官は取るに足らない程度のレベルしかない…ネクロで言うと良いとこLV2…はっきり言って雑魚だ…私がそんな事を考えていると、一夏は首を傾げながら
「うん…まぁ、多分あれは倒したと言えると思う」
歯切れ悪く言う一夏にセシリアが
「多分!?多分ってどういう意味かしら!?」
「落ち着け、怒ると身体に良くないぞ?」
「これが落ち着いていられ…」
セシリアがそう言いかけた所でチャイムが鳴る
「っ!また後で来ますわ!逃げない事ね」
そう言って席に戻っていくセシリアを見ながら、なのはが
「なんか嫌な感じの子ですね」
「そうだな、だがああいうタイプは自滅するぞ」
教導中に何度かああいうタイプを見たので、2人で頷きあっていると
「席につけ、授業を始めるぞ」
織斑先生が入ってきたので、私は席につき教科書の準備を始めた…
「それではこの時間は実戦で使う各種装備の特製について説明する」
1、2時間目と違って織斑先生は教壇に立っていた…よほど大事な事なのか山田先生もノートを取っていた
「ああ、その前に再来週行われるクラス対抗戦の代表を決めないといけないな」
思い出したように言う織斑先生は説明を続ける
「クラス代表はそのままの意味だ、対抗戦だけではなく、生徒会の開く会議や、委員会に出席してもらう・・まぁクラス長だな・・ちなみにクラス対抗戦は、入学時点の各クラスの実力を測るためのものだ、勿論今の時点で対した差は無いが、競争は向上心を生む、一度決まると1年間変更は無いからそのつもりで」
私がその説明を受けていると女子が手を上げ
「はい!!織斑君を推薦します!!」
女子の1人が一夏を推薦する。何とまぁ、可哀想なことだ…私がそんな事を考えていると、なのはが
「私は龍也さんを推薦します!!」
「私も龍也を推薦します!!」
「おい!私は面倒事は嫌いなんだぞ!」
私がなのはとフェイトに怒鳴っていると、織斑先生が
「代表候補は織斑一夏と八神龍也…他に居ないか?もし居ないなら、2人を多数決で決めるぞ?まぁ私は一夏を推すが…」
さり気無く私情を挟む織斑先生にセシリアが
「このような選出は認められません!!大体男が、クラス代表だなんていい恥さらしですわ!私に!このセシリア・オルコットにそのような屈辱を1年間味わえと言うのですか!」
セシリアか…相当プライドが高いようだな…プライドなど何の役にも立たないのにな、それよりも今起きている問題は…セシリアよりも…
「恥…?龍也が?」
「ムカつくね。あの子…」
爆発寸前の爆弾が近くに出来た事だ…日本と男を馬鹿にするような事を、言い続けるセシリア、そろそろなのはとフェイトが爆発寸前のところで一夏が
「イギリスだって大してお国自慢ないだろ?世界一不味い料理で何年覇者だよ」
どうやら一夏が先に切れたらしい、私は一夏が言ってるので、言う訳にもいかず椅子に深く座りなおした。セシリアは一夏を睨んで
「あ、あなたねぇ!!私の祖国を侮辱するしますの!?決闘ですわ!!」
バンと机を叩くセシリアに
「おう、良いぜ四の五の言うよりわかりやすい」
喧嘩を買うか、相当自信があるようだな。まぁしなやかながらに鍛えられた体付きをしてるから、何らかの格闘技をやっているのだろう…私がそう思っているとセシリアが
「何を知らん振りしてるのです!!貴方もですよ八神龍…ひっ!?」
私を呼び捨てした事で、なのはとフェイトの我慢が限界を超えたらしく
「いい加減にしなよ?貴方なんか、龍也さんに掠る事さえ出来ないんだから…」
「自分が1番だ何て、自惚れが過ぎるんじゃない?命のやり取りもした事がない癖に…」
殺気を放ちながら立ち上がる、なのはとフェイト…完全に切れてる。ハイライトの消えた目が死ぬほど恐ろしい
「自分の力量も判らず…龍也さんに勝負を挑む…身の程知らずにも程がある」
「私が叩き潰してあげようか?骨の1本や2本の怪我じゃすまないけどね?」
濃厚な殺気を撒き散らす。なのはとフェイト…それに対するセシリアは
「……」
瞬きも呼吸さえ出来ず、そこで硬直していた…私は溜め息を吐きながら
「そこまでにしておけ。弱い者いじめはするな」
なのはとフェイトの頭の手を置きながら言うと、2人は
「「でも…」」
納得行かないらしく、反論する2人に
「気にしていない、私はここでは無名だ。だが1度戦えば判るだろう。自分がどういう存在に喧嘩を売ったのかをな…セシリア・オルコット!決闘をしようじゃないか。私が勝つのは目に見えているがな」
私がそう言うと、織斑先生は手をパンと叩き。充満していた殺気を消し飛ばし
「さてと、話は纏まったな。それでは勝負は1週間後の月曜、放課後第3アリーナで行う、織斑と八神、それにセシリアはそれぞれ準備をしておけ。それでは授業を始める…」
そうしめてから、授業が始まった…私は授業を聞きながら
(一夏のレベルがどれほどか知りたいな、少しばかりは一緒に訓練した方が良いだろうし)
一夏の体付きからして、何らかの武術をしているのは一目で判る。だからどれ程のレベルなのかを知りたいと思った。それに一緒に訓練できるレベルなら、訓練したほうが良いに決まってるし。レベルが足りないなら鍛えれば良い。私はそんな事を考えながら…シャーペンを走らせた
第5話に続く
魔王様光臨の話でした。龍也さんを馬鹿にする=死の図式を1年1組が理解した瞬間でしょう。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします