IS~現れたる神なる刃【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回はネクロと初めて戦う箒達と、一夏の魔改造の開始で行きたいと思います。それでは今回もどうか宜しくお願いします



第45話

 

第45話

 

「酷い物だな」

 

一夏の体を覆う腐食を見て顔を歪める。侵食度70……魔導師でも死ぬか生きるか? という瀬戸際。そして一夏は魔導師ではない生存率は0と言ってもいいだろう

 

「な!? や、八神」

 

「失礼」

 

見張りの先生の首筋を叩き昏倒させる。今騒がれると不味いので不本意だが仕方ない

 

「……ぐ、うううう」

 

「抗うか。良い根性してるぞ。お前」

 

意識が無いながらも戦うという意志を見せる一夏にそう声を掛ける、天雷の書に記録されたデバイスを取り出そうとしたところで

 

「! ふっふふ……そうか、お前が助けたいというのか」

 

開かれたページから剣型デバイスが具現化し、そのままコアだけの姿に変化する

 

「良いだろう。お前が助けてやれ……この世界の希望をな」

 

デバイスコアが粒子となり待機形態の白式に吸い込まれるようにして消える

 

「あとは……耐えろよ」

 

一夏の頭に手を置き、白式の中のデバイスコアに強引に魔力を通す

 

「ぐ……ぐがあああああああッ!!!!」

 

魔力と腐敗の教義の苦痛に絶叫する一夏に

 

「ではな……死ぬなよ」

 

このままではどうせ死ぬ、ならば1%でも生き残れる可能性を与えてやる。

 

「戦え。でなければ……生き残ることなど出来はしないぞ。一夏」

 

後は箒達だ、戦闘は既に始まっている。直ぐに追いつかなければ、私はそう判断し一夏の眠る部屋を後にした

 

 

 

 

 

 

 

「敵反応……1シルバリオゴスペルと断定。更に周囲にペガサス。ヴォドゥンと名乗るネクロの反応はありません」

 

クリスの報告を聞きながら、簪とエリスに

 

「戻るなら今だぞ?」

 

「ここまで来てそれは無いですね。と言うかほぼ強引に連れて来た簪が可哀想です」

 

ど、どうしてこんな事にとプルプル震えている簪。そして私を連れて来たクリスにそう言うと

 

「必要な戦力。遠距離特化かつ、高威力のミサイルポッドを搭載した弐式は必要だった。エリスは近距離に強いので必須。そしてヴィクトリアは遠近万能なので必要だった」

 

クリスは戦闘用に意識を切り替えたのか淡々と語る。軍人にとってこういう意識の切替は必須技能だ。心は熱く頭は冷ややかに。これが戦闘の基本だ

 

「気持ちは落ち着いたか?」

 

「ああ、大丈夫だ。多少頬は痛いがな」

 

そう笑う箒。確かにあれは強烈だったと思う。一夏の眠る部屋の前で落ち込んでいる箒をグーパンで殴り飛ばし全力フルスイングのビンタを叩き込み。更に発破を掛ける為の罵倒。と言う見事なコンボを披露した鈴は

 

「殺す……殺す……殺す」

 

瘴気を撒き散らし、エンジン全開だ……敵の陣営が判れば今すぐにでも切り込んでいきそうな雰囲気だ。まぁ

 

「………」

 

無言で武装およびパッケージの点検をしているシャルロットも、やばそうな感じだが。まぁ大丈夫だろう

 

「言っておくけどラウラ。ネクロタイプ出現時しか私達は動かないよ?」

 

「構わん」

 

一夏を撃墜される切っ掛けとなったシルバリオゴスペルを落とす為に命令違反をしてきた。クリス達はいざと言うときの離脱援護もしくは勝手に出撃した私達を連れ戻す為に来た、と言えばなんとでも言い訳出来る(殴られる可能性はあるが、そこまで酷くはないと思う)

 

「か、帰りたい」

 

「頑張れ」

 

簪は殆ど拉致に近い感じで連れて来た。エリスはそれに気付追いかけてきた。計画通りに来ている、

 

「では作戦通り配置についてくれ」

 

その言葉に頷き散開する箒達。箒と鈴は海面近くで奇襲のタイミングを待ち、セシリアとシャルロットはステルスモードで待機。私は海面近くで休んでいるシルバリオゴスペルの注意を引く。そしてそこからが作戦決行だ……

 

真剣な表情で作戦を話すラウラ達を上空から見つめる4つの瞳、ペガサスとヴォドゥンだ

 

「こんな簡単なステルスで誤魔化せるとは予想外です」

 

「魔法と科学の差だろう?」

 

確かにISの性能は素晴らしい、だがネクロにとっては子供の遊びと同意義だ……

 

「しかし、負傷とは珍しいですね?」

 

「黙れ」

 

ペガサスの胴には一文字の切り傷と肩から脇にかけての裂傷があった

 

「相打ちだった……いや、俺の負けか」

 

「流石は守護者と言うべきですね」

 

やれやれと肩を竦めたヴォドゥンは

 

「さて、勇ましいお嬢様方。早くシルバリオゴスペルを撃墜してくださいね。全てはそこからです」

 

ふふふと笑うヴォドゥンと傷を癒しているペガサスはつまらなそうに鼻を鳴らし、沈み始めた太陽を見ていた……

 

 

 

 

 

 

「ここは……」

 

俺は気が付いたら砂浜を歩いていた。聞こえる波の音は知らずの内に俺の心を穏やかな物にしてくれる。

 

「ん? 誰か居るのか?」

 

聞こえてくる歌声に導かれるように歩き出した。暫く歩くと1人の少女が歌いながら……跳ねるように踊っていた。白いワンピースの少女、彼女の歌はどこかで聞いた事があるような気がして、とても落ち着いた気分にしてくれた。俺は近くの流木に腰掛けその歌と踊りを見ていると

 

「傷つくのは怖い?」

 

凛としてそして透き通るような声がして驚いて隣を見ると。黒いゴスロリ服の少女がいつの間にか隣に座っていた

 

「護ると言うのは聞こえがいい。でもその反面誰かを……傷つけ、何かを壊す事と同意義。護ると破壊は同じ事。貴方は護ると言うけれどそれは同時に何かを傷付けている」

 

その少女の言葉は鋭く、俺の心に突き刺さる

 

「それでも……貴方は誰かを護りたい? 救いたい?」

 

「そりゃ、助けれるなら助けたいし、護れるなら護りたい。そう思っちゃいけないのか?」

 

俺がそう返事を返すと少女は

 

「それでは駄目。貴方の護るには中身が無い。覚悟無い。そんな人間には誰も救えない」

 

その余りの言葉に

 

「それは酷いんじゃないか?」

 

「酷くない。中身の無い言葉に価値は無い、そしてそんな半端な覚悟じゃ誰も護れない。でも……護りたいと願うその心はとても大事。その思いはずっと忘れないで……そしてあの人みたいに壊れた守護者にならないで。その為なら……私は貴方に何時もで力を貸すから、憶えていて私の名前は■■……」

 

そう言った少女の名は不思議と聞こえなかった、いや確かに聞こえたんだ、でも俺にその言葉は届かなかった……少女はにこりと微笑みながら流木の上に立ちふわりとドレスの裾を広げながら跳んだ……

 

「あ、あれ? 俺誰と話していたんだ?」

 

誰かと話していたのは覚えている、でも肝心の話の内容とどんな人と話していたのかが思い出せない

 

「う……うーん」

 

俺は必死に首を傾げるがどうしても思い出せない。とても大事な話だというのは判るのに……だがそんな疑問も自然と消える

 

「あ、あれ? 2人だったけ?」

 

白いワンピースの少女と黒いゴスロリ服の少女が手を繋ぎ、歌いながら踊っている……何かさっきと違うと判るのに、その何かが判らない……そしてそんな疑問も消え俺は少女2人の歌と踊りをぼんやりと見ていた……

 

「ん? どうしたんだ?」

 

何時の間にか歌が終わっている事に気付き、そう尋ねるが……

 

(あれ? 1人? 誰かと一緒じゃなかったか? いや……最初から彼女1人だったな)

 

白いワンピースの少女にそう尋ねると

 

「行かないと……」

 

「どこへ?」

 

空を見上げている少女につられて空を見るが何も無い。少女の方を見ると

 

「あ。あれ?」

 

少女の姿が無く慌てて辺りを見ていると

 

「力を欲しますか?」

 

「え?」

 

白い甲冑の女性が剣の柄に両手を預けて立っていた

 

「力を欲しますか? 何の為に?」

 

もう1度そう尋ねられた俺は

 

「そりゃ。友達を……いや仲間を護る為かな?」

 

「仲間を……」

 

俺の言葉を呟き返す女性に

 

「仲間を護りたいんだ……色んな不条理とか……道理の無い暴力とかから……俺は仲間を護りたい。この世界で一緒に戦ってくれる、一緒に居てくれる。大事な仲間たちを……」

 

知らずの内に脳裏に浮かぶ箒達の顔。そして背中を向けて立っている龍也の姿。俺は護りたい、俺の仲間を……友を

 

「そう」

 

女性がそう頷くと同時に

 

「だったら行かなきゃね?」

 

「え?」

 

後ろから声をかけられ振り返るとそこには白いワンピースの少女の姿

 

「ほら……行こう」

 

伸ばされた手を握り締める。そうだ俺は行かなければならない……

 

「大事なのは折れない剣じゃない……必要なのは……揺るがぬ想い。さっきの答え……絶対に忘れたら駄目だよ」

 

振り返ると白いワンピースの少女の隣に黒いゴスロリ服の少女が腕組して立っていた。何か怒ったような表情の彼女は俺の顔を指差し

 

「今度は特別に私の力を貸してあげます。相手が相手ですし……でも! 今回だけですからね! 次はちゃんと……私達の名前を呼んでください、良いですね」

 

その剣幕に押され頷くとゴスロリ服の少女はくるりと回転し姿を消した。それと同時に空が光り……季節はずれの雪が降る……季節はずれの雪の中。白いワンピースの少女は

 

「私の名前は■■じゃない。私の名前は■■■……待ってるから、あの子と一緒名前を読んでくれるのをずっと待ってるから、今度はちゃんと……私達の名前を呼んでね?

 

少しだけ悲しそうな声でそう言った少女の泣きそうな、でも嬉しそうに笑う彼女に手を伸ばそうとした瞬間、俺の意識は雪の降る砂浜から遠ざかっていった……

 

「……行かないと」

 

行かなければならない。俺はそれだけを感じ旅館の外へと飛び出し、白式を展開し呼ぶ声のする方へと向かった……

 

「なに? 一夏が居ない?」

 

一夏が負傷した事で表面上は冷静さを保っていた千冬だったが、その報告を聞き、もう体裁などどうでも良くなったのか。凄まじい殺気を纏い。殺し屋の目で山田を睨んでいた

 

「は、はいいい……気が付いたら部屋に居なかったんですうう……」

 

重態である筈の一夏の姿が消え、更には代表候補生の大半が居なくなった事で軽いパニックになっていた旅館には表現しがたい空気が漂っていた……主に危険域のブラコンのリミッターが外れたことが原因で……

 

「山田さん。訓練用のISを全部ロックして。 千冬まで飛び出されたら困るから」

 

「は、はいいいい!!」

 

ダッシュでIS保管庫に向かう山田先生

 

「キシャアアアア」

 

「落ち着きなさい! 千冬!」 

 

リミッターを外し人語まで失った千冬とそれを宥めるツバキと旅館は旅館で非常に混沌としていた……

 

 

「なんか同類の気配がするなあ……ほい、4、なのはちゃんどうする?」

 

「はやてちゃんの同類というと……織斑先生だね。はい5、フェイトちゃんどうぞ」

 

「嫌な気配だねー。6」

 

「「ダウト」」

 

「何で判るの!?」

 

「フェイトちゃんは顔に出るからなー」

 

「うん。正直ダウトには向いてないよ」

 

ほのぼのとした雰囲気でダウトをするはやて達に

 

「良いのかい? 龍也の援護をしなくて?」

 

「動くなって念を押されたしなー」

 

「陽動だと不味いしね」

 

「私は行ってもいいよ。でも幻術使えないから速攻でバレるよ。正体」

 

最高位の魔導師が揃っているが幻術と戦闘用魔法の並行使用が出来る人間は龍也位しかいない……ジェイルは大きく溜息を吐き

 

「はぁークアットロでも連れて来れば良かった。もしくはティアナ君を連れて来るべきだった」

 

100%戦闘系しか使えないなのはとフェイト……それ以外も出来るが腹黒いことにしか使う気の無いはやて。支援系の面子が居ないことに絶望しているジェイルだった……

 

 

 

闇の中でもしっかりと見える銀髪を確認し、その進路を塞ぐように立つ

 

「そこを退いてくれないかね? アズマ」

 

私に気付き立ち止まった八神龍也に

 

「だが断る」

 

私の目的は八神龍也の足止め、ここで退いては意味が無い。無人機ISゴーレム1を改良し人が乗り込めるようにした。私のIS「血染めの兎」を展開する

 

「束の目的の為にここで足止めさせてもらうぞ。神王」

 

「やれやれ、予想通り過ぎて呆れる」

 

肩を竦める八神龍也は

 

「大方、前回のネクロが使っていたISはあの馬鹿兎が作ったんだろ? ISコアを作れるのはあの馬鹿兎だけらしいからな」

 

「束を馬鹿と言うな」

 

武装を展開しその銃口を八神龍也に向ける

 

「退け。私はここを通さないぞ」

 

「そうか。だがな……」

 

一歩踏み出した八神龍也は

 

「私は無理にでも通るがね!!!」

 

普通の人間とは思えない速度で踏み込んでくる八神龍也に

 

「甘いな」

 

コールしたライフルの照準を合わし引き金を引く。ビームが八神龍也を捉えたと思った瞬間

 

「投影開始!!」

 

八神龍也の手に光が集まり。次の瞬間には一振りの西洋剣がその手に握られていた

 

「写・無毀なる湖光(アロンダイト)!!」

 

アロンダイト……確かアーサー王の伝承の中の裏切りの騎士の剣の名前。話には聞いていた八神龍也は伝説の武器を具現化させて扱うと……それを今まで忘れていた私の完全な誤算だった

 

「はっ!!」

 

ビームを弾き飛ばした八神龍也は

 

「ビームの見た目の癖に実弾とは恐れ入る」

 

私の呼び出したハイマニュートライフルはエネルギーを収束し放つエネルギー物理弾だ。それを初見で見破られるとは誤算だったが

 

「だが私のやる事は変わらない!」

 

左手だけでハイマニュートライフルを構え。右手の掌に仕込まれたレーザー砲の照準を合わせ放つ

 

「そうか、だが私のやる事も変わりはしない!」

 

実弾とレーザーを無毀なる湖光(アロンダイト)で弾き続ける八神龍也。だが威勢こそ良いがその場から踏み込めていない。このまま時間をある程度稼げば

 

「シッ!!!」

 

「な!?」

 

アロンダイトを私目掛けて投げつけてきた、確かに私はこんな攻撃を予想だにしていなかったが

 

「馬鹿者が!」

 

アロンダイトを失った八神龍也に向かうレーザーと実弾はまだ続いている。私は投擲された剣を避け無防備な八神龍也を確実に射抜けば良い。簡単な事だ

 

「馬鹿はお前だ、私の戦い方をネクロどもから一切聞いていないな? 投影開始!!」

 

「なっ。何!?」

 

連続で投影できるなんて聞いていない。あれだけの質量だ。そう何度も出来るわけがないと思っていた

 

「写・干将・莫耶ッ!!」

 

黒と白の中華剣で私の攻撃を弾き飛ばす八神龍也、私は投擲された剣を避ける為に上空へと向かった瞬間

 

「戯けめ。 壊れた幻想(ブロークンファンタズム)

 

「なっ! ぐうッ!!!」

 

アロンダイトが爆発し血染めの兎のコントロールを一瞬失う。更にシールドエネルギーも300ほど削り取られている。更に煙幕で視界が遮られる。本来ISならこの程度の煙幕なんてどうという事は無いが、魔力とやらのせいで完全に視界を奪われた

 

(上空に逃れていてこのダメージ、だが次で仕留める!)

 

上空からの一点射撃、ハイマニュートライフルを構え煙が晴れるのと同時に照準を合わせようとして

 

(い、居ない!?)

 

八神龍也の姿が無い。そして動揺した瞬間上空から

 

「甘い事だ。たかがISの1機で私を止めれると思うとはな」

 

剣を弓に番えている八神龍也と目が合う

 

「残念だがゲームオーバーだ。アズマ、我が骨子は捻れ狂う……」

 

剣が捻れ矢にと変化する

 

「写・螺旋剣(カラドボルグ)ッ!!!」

 

嵐を纏い迫る螺旋剣。回避は間に合わない。仮に回避できたとしても爆発でやられる。ならば!

 

「上椀部装甲・肩部装甲パージ。デザイア・メルト・ニューテラーコール」

 

威力を和らげるしかない ISの装甲をパージし更に私の身長より3倍も大きい巨大な衝撃砲を盾とし。残りのエネルギーを全部防御に回す

 

「壊れた幻想(ブロークンファンタズム)」

 

再度聞こえたその呟きと共に凄まじい爆風が私を襲う

 

「があ!?」

 

その爆風に吹き飛ばされ地面に思いっきり叩き付けられる、ダメージがあまりに大きかったせいでISが強制解除される

 

「ぐうう」

 

ダメージのせいで消えかける意識を必死で繋ぎとめ、護衛用のハンドガンを八神龍也に向ける

 

「無駄だ、ハンドガン程度で手傷を負うほど私は未熟では無い。それに少なくとも2箇所は骨が折れてるはずだ、これ以上の戦闘は無意味だ」

 

「黙れ」

 

自分の身体だ自分が1番判っている。肋骨が2本、左上腕部にヒビそれに右足首は完全に砕けている、だがこの程度では退かない

 

「束の邪魔は許さない。束は私が護るんだ」

 

束は私が護る。ネクロからも他の人間からも

 

「護るか……その心構えは良いが」

 

「うるさい! お前に何がわかる!」

 

ハンドガンの引き金を引いた瞬間。八神龍也の姿が掻き消える

 

「ゴフッ!!」

 

岩の塊のような拳が私の腹を捉える

 

「大切な奴が道を踏み外しそうなのに止めないのは愛じゃない、お前のそれは単なる依存でしかないんだよ!」

 

振りかぶられた右拳が私の頬を捉え。思いっきり殴り飛ばされる

 

「グア……ぐううう」

 

「良いか。アズマ、手が退けるうちにネクロとは縁を切れ。あいつらは人間なんてただの駒程度の認識だぞ。何時裏切られて殺されるかわからん、だから手を退けるうちに退け」

 

私を見下ろしそう言う八神龍也。何か反論しようにももう意識が……強烈なまでの打撃を2回も喰らってよく意識を保てた……がもう限界だ

 

「気絶したか」

 

力なく垂れる頭を見てそう呟く龍也はアズマを近くの木にもたれさせ

 

「くだらないことで時間を取られた」

 

微弱ながら魔力反応が出始めている海域を見つめ

 

「手遅れにならなければ良いが」

 

騎士甲冑と翼を展開しその場を飛び去った……

 

「アズマ。今連れて行く」

 

闇の中から現れた少女はアズマを担ぎまた闇に紛れようとして

 

「八神龍也。貴方のいう事は判る。でも……人間はそんなに簡単じゃない」

 

彼女とアズマは知っている。束がどんな人生を歩んできたか、だからこそネクロと手を組んだ、今度こそ完全な形で世界に自分の有能さを指し示す為に

 

「行こう。アズマ……休まないと」

 

気絶しているアズマを引きつれ今度こそ少女は闇の中にへと消えて行った……

 

 

 

 

「ぜらああああッ!!!

 

零落白夜の光刃がセカンドシフトをしたシルバリオゴスペルのエネルギー翼を絶つ。しかし両方の翼を同時に斬るのは難しく、片方を切り落とす事が出来ても2撃目はかわされ。その間に切り落とした翼が再生する

 

(くそ。このままじゃ不味い)

 

白式のエネルギー残量は残り20% 予測稼働時間は3分と言った所……それに白式を再起動出来たのは良いがエネルギーが全開ではない上にブースターが1つ死んでるのが痛い。シルバリオゴスペルが完全に逃げに廻ると追いつけない。何時またペガサスとヴォドゥン、それにネクロが現れるかもしれないと言うこの状況。焦りが大振りを呼び、大振りがミスを呼ぶ完全な悪循環に嵌まってしまっている

 

「一夏!!」

 

視界の隅に紅いISが飛び込んでくる

 

「箒!? お前。ダメージは……」

 

俺がこの空域に来たとき、ラウラ・シャル・セシリア・鈴の姿は無く、箒もまた危ない状況だった。箒がこっちにきたときに驚きそう尋ねると

 

「大丈夫だ!! それよりも、これを受け取れ!!!」

 

箒の手が、白式に触れると同時に白式に電流のような衝撃と、炎のような熱が走る

 

「な、なんだ? エネルギーが回復!? 箒、これは」

 

「今は考えるな!! 行くぞ一夏!」

 

箒の声に頷く、確かに今はシルバリオゴスペルを沈める事が先決だ。零落白夜のエネルギー刃を最大にし両腕で構える

 

「うおおおッ!!!」

 

俺の横薙ぎを1回転し回避。そして翼を向けて射撃の態勢に入る

 

「箒!」

 

「任せろ!!」

 

俺のほうに向けられた翼を紅椿の2刀が1断の斬撃で断ち切る。そして

 

「逃がすかアアアアッ!!!」

 

更に脚部展開装甲による加速を付加した回し蹴りがシルバリオゴスペルを捉え、大きく態勢を崩す

 

「おおおおッ!!!」

 

その隙を突いて最期の1突きを繰り出そうとしたが

 

「キアアアアアアアッ!!!」

 

咆哮と共に放たれた衝撃波に弾き飛ばされる

 

「な、なんだ? ……嘘だろ……!?」

 

シルバリオゴスペルのバイザーが紅く輝くそれと同時に、装甲が音を立てて変形していく

 

「アキアアアアア……ギアアアアアアッ!!!」

 

美しい白金の装甲は一切の光を持たない黒い装甲に変化し、背中には悪魔を思わせる4枚の翼。そしてバイザーと同時にフェイスマスクが展開される

 

「ギ。ギシャアアアアアアアッ!!!!!!」

 

4枚の翼を大きく広げ誕生した事を喜ぶような雄叫び。

 

「ハアアアアアッ!!!」

 

獣のような荒い呼吸……

 

「ISが……ネクロになった!?」

 

「不味い! 離脱……「キシャアアアアッ!!!」 ぐあっ」

 

「箒!!」

 

瞬時加速!? いやただの加速だ。それで一瞬で間合いを詰めた悪魔はそのまま箒の首を掴み

 

「ギアアアアアッ!!!」

 

「う、うあっ!?」

 

力任せに海面にへと叩きつけた。俺が回り込もうとしたところで海面のほうから

 

「ラウラ!」

 

「判ってる!」

 

パッケージを分離し、ISを通常形態に戻したシャルとラウラが叩き付けられる寸前の箒を受け止める

 

「突撃なんて性じゃないんですけどね!!!」

 

ブルーティアーズがステルスモードからの突撃をするが

 

「ギィ」

 

「な、嘘でしょう!?」

 

最高加速のブルーティアーズを片手で掴み。ゆっくりと左手でパッケージであるストライクガンナーを掴んだ福音は

 

「ギイイイイィッ!!!!」

 

「な、素手で!? きゃあッ!!!」

 

力任せにパッケージを引き剥がし始めた。強引な行動で火花を散らすパッケージ

 

「セシリアを放せッ!!」

 

雪片を叩き付けようとするが、

 

「ギョロッ!!!」

 

「なっうわ!!」

 

翼から目が飛び出すと同時に無数の触手が飛び出してくる。それに弾き飛ばされセシリアの方に近づけない

 

「でりゃああああッ!!!」

 

ステルスモードだった鈴が瞬時加速で切り込み、福音の腕を引き裂く

 

「セシリア! 早く!」

 

「助かりましたわ! 鈴さん!」

 

その間に離脱したセシリアだが、反撃に繰り出された豪腕が甲龍のパッケージの右半分を押しつぶす

 

「この馬鹿力が!!!」

 

零距離で衝撃砲を放ち離脱する鈴。海面近くにいたシャル達もこっちに向かってくる

 

「……」

 

握り潰した甲龍とブルーティアーズのパッケージを見つめている福音を見ながら、どうやって離脱するか考えていると

 

「行って! 山嵐」

 

「撤収してください!!」

 

「こっちだ!! 急げ!」

 

この声は簪さんとクリスさんにヴィクトリアさんか!? 振り返るとやはり3人の姿がある、後方には遠距離攻撃手段を持たないエリスさんが3人の前で剣を構えていた。

 

俺たちの撤退を助ける為のミサイルとビームガトリングが福音に当たろうかと言う瞬間

 

「遅い」

 

冷たい声と共にミサイルとガトリングが全て明後日の方向に斬り飛ばされる

 

「ペガサス……」

 

「また会ったな、小僧」

 

片刃の西洋剣を肩に当てるペガサス、そして俺達の背後に回りこんだ福音。逃げ道は完全に絶たれた

 

「福音。貴様はそこの女達の相手をしろ。俺はこの小僧に用がある。邪魔をするなよ」

 

「ギィ」

 

翼を展開する福音は爪を箒達に向け、今にも飛び掛ろうとしているのがよく判る、だが俺は俺で

 

「この短時間で腐敗の教義から逃れるとは驚きだ。今度は俺自らが貴様の首を断ってやろう」

 

ペガサスから視線を逸らす事が出来ない、幸いにも福音とペガサスを分ける事が出来た事を喜ぶべきか

 

「行くぞ小僧。今度は一太刀くらい俺に当てて見せろ!」

 

「ギシャアアアアアッ!!!!」

 

ペガサスと福音の叫びが重なる、それが絶望的な戦いが始まる合図だった……

 

第46話に続く

 

 




福音ネクロ化、更にはペガサス襲来。絶望的な状況で終わりにしました。次回こそ龍也さんの登場になると思います。

なおこの時点では白式はセカンドシフトしていませんのでご注意を。それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします
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