IS~現れたる神なる刃【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回はちゃんとしたネクロ戦になる予定です。それでは今回もどうか宜しくお願いします


第46話

 

第46話

 

 

「どうやって腐敗の教義から逃れたかは知らんが……その命狩らせてもらうぞ」

 

クラウソラスでは無く巨大な両刃刃を持った大剣。アヴェンジャーを構え。小僧を見据える

 

「……悪いが、今度はそう簡単には諦めねぇ。俺は仲間を護るんだ」

 

前はみっともないくらい剣先が震えていたが、今は剣先は震えずしっかりと俺に向けた小僧の目は澄んでいて……それでいて決して退かないと言う闘志が見て取れた

 

「良い目だ、少しは抗って見せろよ」

 

踏み込み上段からアヴェンジャーを振り下ろす

 

「くうっ!!!」

 

「ほう止めたか……だが甘い!!」

 

受け止めるので必死な表情の小僧の腹に蹴りを叩き込み

 

「ぐはっ……」

 

「ぬんっ!!」

 

身体が折れた所で横薙ぎの一撃を放つが小僧は

 

「このっ!!」

 

剣の側面でそれを受け流し、身体が泳いだ俺に蹴りを入れて距離を取った

 

「中々良い反応だと言いたいが……甘いな」

 

生前修めた剣術の奥義の1つ■■を使い一瞬で間合いを詰め、突きを放った

 

(これで決まりだ)

 

俺の剣なら絶対防御など簡単に貫き絶命させる、一瞬勝利を確信した瞬間

 

「おりゃあああッ!!!」

 

「なに?」

 

おかしいISとやらの反応速度では■■には対応できない筈だ

 

「おおおおおッ!!!」

 

「ぐうっ!?」

 

一瞬反応が鈍った俺に拳を叩き込み小僧は

 

「くらえっ!」

 

瞬時加速とやらで切り込んできたが

 

「甘いんだよ!!」

 

それを敢えて素手で受け止める、ネクロである俺のは不死とも言える回復能力があるこの程度のダメージなら問題ない

 

「がっ!!」

 

お返しにと顔面に拳を叩き込み殴り飛ばすが

 

「ぐっ!?」

 

ブースターで速度を増した回し蹴りが左腕にめり込む。致命傷ではないが多少剣の振りが遅れるくらいには深い傷だ

 

「肉を切らせて骨を断つか……」

 

あの小僧の狙いは多少のダメージ覚悟で俺の動きを鈍くする事。中々思い切った作戦と褒めてやりたいが

 

「アヴェンジャーでなければ良いだけの話だ」

 

アヴェンジャーは両手剣なので必然的に両腕での振り抜きが必要になる、だが俺にはまだ剣がある。アヴェンジャーを収納し代わりに鞘に収めたクラウソラスを抜き放つ

 

「行くぞ。小僧、俺にクラウソラスを抜かせた事を後悔しろ」

 

俺は踏み込み■を放った……これなら機械であれ生身であれ致命傷を与えれる剣技なのだが

 

「でやああああッ!!!」

 

気合を込めた一撃でそれを弾く。まただ……また相殺した。コイツは俺の剣など知らない筈なのに

 

「ふっ! 面白い!!! どこまでついて来られるか見せて貰うぞ!!!」

 

どうにも血が滾る……遠い昔に捨てたはずの剣士としての自分が蘇る。そして見極めたいと言う感情が沸く……見せて貰うぞ! お前の力を!

 

 

 

 

 

 

 

「戦闘タイプ……予測不可。 簪、私と貴女は後方からの支援射撃に徹します。良いですね」

 

「判った」

 

簪とクリスが後退しそれに代わってエリスとヴィクトリアが前に来る

 

「ギイイイイッ!!!」

 

不気味な呻き声を上げる福音を見据え、隣の箒と鈴に

 

「あれはISとして考えるべきか? それともネクロとして考えるべきか? どっちだと思う」

 

動く気配の無い福音から視線を外さず尋ねると

 

「AIC試してみたらどうだ? ISなら動きを束縛できる筈だが?」

 

それもそうかとAICを発動させようとしたら鈴が私の腕を掴む

 

「やめなさい、エネルギーの無駄使いよ……あれはもうISじゃない。見れば判るでしょう?」

 

冷静に観察していた鈴は

 

「生物として考えるわよ。 それにこっちエネルギーは有限だけど……あっちはどうかしらね? ヴィクトリアと箒は中距離援護宜しく。あたしは近接を仕掛けるわ。シャルロット・セシリアはバックアップ。ラウラとエリスは軍隊仕込みの観察眼で分析宜しく」

 

「捨て駒になる気か?」

 

私がそう尋ねると鈴はにっと笑い

 

「はぁ? 何言ってるのよ? あたしはね……とっととこんな化け物ぶっ潰して一夏を助けに行きたいだけよ、じゃあちゃんとフォローよろしく!」

 

青龍刀を構え福音の射程距離に鈴が入った瞬間

 

「キアアアアアアアアッ!!!!!」

 

福音が突然奇声を発し猫背になり、両手の爪を鈴に向ける

 

「ったく! うるさいわね!!!」

 

鈴がそう怒鳴り福音に切りかかろうとする。そのタイミングに合わせてクリス・簪がビームガトリングとミサイルを放った瞬間

 

「えっ?」

 

鈴の攻撃は誰もいない空を裂き。福音は姿を消した

 

「ギシャアアアア」

 

その不気味な声で振り返ると

 

「な。なに!? うあっ!!!」

 

何時の間にか私の背後にいた福音が爪でレーゲンの装甲を引き裂く

 

「ぐっ。馬鹿な!?」

 

絶対防御なんて何の意味も無いと言いたげに爪を向けた福音はまた姿を消し

 

「ど、どこへ!?」

 

センサーにも視界にも反応が無い。エリスが

 

「鈴、戻って! 背中合わせで周囲を見ますよ!」

 

5人で互いに互いの背中を護りセンサーを最大にし索敵するが姿を確認できない。一体どこへ

 

「……皆散開して!! 後ろ!!!」

 

シャルロットの叫びに何を馬鹿なと思いながら振り返ると

 

「ギイイイイイ」

 

「な、何だと……」

 

何も無い空間が開きそこから福音の赤いセンサーアイと目が合う。

 

(空間の中に紛れ込むだと!?)

 

別次元に隠れていたとでも言うのか!? 

 

「反応が補足出来ない!?  ラウラ! 皆警戒を緩めないで!! 簪はハイパーセンサーを最大にして、私と同期させて! 2人なら補足出来るかもしれない!」

 

「う、うん!」

 

クリスの悲鳴にも似た声にうなずく簪。補足出来なければ話にならない

 

「うあっ!?」

 

「キシャアアアアッ!!」

 

シャルロットの背後から現れ蹴りを叩き込む福音。また! 発見が遅れた! 反撃にと銃口を向けるがまた福音は姿を消す

 

「クリス! 補足は!?」

 

「駄目! 速過ぎて何処に現れるか判らない!」

 

2機のISを探索に回しても補足出来ない……

 

(ネクロというのはこれほどまでに強いのか!?)

 

出来る事は互いに互いの背後を護り。姿を見せた一瞬に攻撃を叩き込むこと……だがそれはあまりに分の悪い勝負だった……

 

ラウラ達は知る由も無いが、ネクロ化した福音が取得した能力は次元と次元の裂け目に隠れる事だった……軸がずれた同じ世界に隠れる事で己が存在を認識できなくする。デバイスなら探知できるがISではその反応は察知できない。

 

「後ろ! 皆逃げてッ!!!」

 

クリスの警告の声も、もう遅いラウラ達の背後をとった福音は

 

「キ、キシャアアアアアアッ!!!」

 

大きく翼を広げ周囲に出鱈目にエネルギー弾を撒き散らした

 

「うっぐ!?」

 

「ヴィクトリア! 鈴のフォローを! 私はラウラを!」

 

ダメージのせいで反応が鈍い鈴と私を素早く掴んで離脱するヴィクトリアとエリス。箒だけはエネルギーが満タンなので展開装甲でその弾雨を防いでいた

 

「くっ! なによあれ!? 見た目通り化け物じゃない!?」

 

「信じられん……悪魔と言うのは伊達では無いのか」

 

私達の常識が一切通用しない相手を前に私は

 

(全滅するかもしれん)

 

全滅の可能性を感じていた……

 

 

 

 

 

 

 

「お久しぶりですね。守護者」

 

「ヴォドゥン。貴様と遊んでいる時間は無い」

 

一夏達の居る海域の手前でヴォドゥンに邪魔され剣を構えながら言うと

 

「貴方に無くとも私には時間は山ほどあるんでね。邪魔させていただきます」

 

【プロヴィデンス】

 

「変身」

 

ベルトのスロットにUSBメモリを差して傾けると同時に魔力がヴォドゥンを覆い隠し、その姿を作り変える

 

「さぁ。その命神に捧げなさい!」

 

黒い髑髏を模した甲冑と王冠の様な頭部。そして漆黒のマントを身に付けたヴォドゥン

 

「断る。貴様の信じる神など碌な物じゃない」

 

ネクロが信奉する神といえば「ヴェルガディオス」に他ならない。あんな化け物を信仰するなんて死んでもごめんだね

 

「ふん、神の奇跡を無にする愚か者め。その罪死んで償いなさい」

 

腰のベルトにセットされたダガーを構えるヴォドゥンに

 

「そうか……だが私はまだ死ねん、死ぬのは貴様のほうだ」

 

遊んでいる時間は無いがここで足止めをしておかないと不味い

 

「それはどうでしょうね? 守護者。私はそう簡単には行きませんよ」

 

「知ってるさ。狂信者 ヴォドゥン」

 

急いで片付ける。だからそれまで死んでくれるなよ……一夏

 

 

 

 

 

くっ! 何なんだよ! こいつの剣は! 

 

「中々に粘るな! 小僧!」

 

受けたと思ったらすり抜ける。受け止めても衝撃で身体がバラバラになるような激痛が走る。見たことも無い剣術を駆使するペガサスの攻撃は防ぐだけで手一杯だ。なのにペガサスは感心するように

 

「まだ防ぐか! 全く驚きだ!」

 

横薙ぎ……これは

 

(すり抜けて来る! 受けるな避けろ!)

 

直感を信じ素早く後退しその一撃を避け、そのまま雪片を振るう

 

「はっ!」

 

「ぐうっ!!!」

 

だがその一撃はペガサスの剣によって防がれ、代わりに全身がバラバラになる様な衝撃が雪片を伝わってくる。

 

「このっ!」

 

「甘いな!」

 

直感的に振るった雪片とペガサスの剣が甲高い金属音を響かせる。ペガサスは打ち合うごとに何かを確かめるように攻撃の勢いを増させる

 

「天性の剣の才か! よくもまあここまで避けるな!」

 

突き・薙ぎ・袈裟切りと絶え間なく放たれる攻撃を必死でさばく。

 

(衝撃が来るのはこの際我慢だ! すり抜けるやつだけ避ける!)

 

衝撃は我慢すればいい。ただガードをすり抜けるやつだけはなんとしても避けないと不味い。自身の感を信じ攻撃を防ぎ避けさばく

 

「はああああッ!!!」

 

「このおおおッ!!!」

 

上段からの一撃を切り上げで弾こうとして

 

「なにい?」

 

「え?」

 

放った自分が驚いた、ペガサスの剣を雪片がすり抜けかけたのだ……だがそれはかたけただけであり、雪片はペガサスには届いていない、だが確かに雪片はペガサスの剣の様に何かをすり抜けようとしていた……

 

「ちっ!!」

 

「ぐあっ!!」

 

その光景に一瞬動きが止まった瞬間に前蹴りで弾き飛ばされる。間合いを再度計りなおしながら手の中の雪片を見る。

 

(今のはなんだよ……)

 

ただ必死で防いだだけ……それだけだ。 自分でも訳の判らない現象だ……唯1つわかっているのは……

 

「……貴様。余程死にたいらしいな……」

 

今の一瞬のやりとりでペガサスを本気にさせてしまったと言うことだけだ。

無意識に手が震える。そしてこの場から逃げ出したいという気持ちが俺を支配する。このままでは死ぬ、それが理解できてしまったから……

 

「あ……」

 

その目に見据えられた瞬間。俺は何も出来なくなった……蛇に睨まれたカエルというのはこんな感じなのだろうか? 逃げろ、生きたければこの場を離れなければならないと判っているのに。全く動けない……

 

今までペガサスは振るっていた剣を鞘に収める。すると鞘が光を放ち2本に分裂する

 

「……俺に二刀流を使わせた事を後悔しろ。 織斑一夏!」

 

避けなれれば、防がなければ、逃げなくてはならない。手にした雪片で防ごうとした瞬間

 

「えっ……?」

 

何時の間にかペガサスが俺の後ろに居る……それに気付いたと同時にハイパーセンサーに表示されていたSEが0になっている事に気付いた

 

「奥義の伍・花菱」

 

ペガサスが鞘に剣を収める音と共に白式が砕け散る。一体何が起きたのかそれさえも判らず、海面に向かって落ちていく

 

「やはり貴様には何も護る事など出来はしない。己が無力を悔いろ」

 

海面に向かって落ちる中全てがスローモーションに見える。 福音に良い様に攻撃されている箒達、落胆したと言う目で俺を見るペガサス

 

(まだだ! まだ! 俺は負けられない!……俺は護りたいんだ! 仲間を! だから頼む! もう1度! もう1度俺に飛ぶ為の力を!)

 

待機状態に戻ってしまった白式を握り締め必死にもう1度展開しようと意識を集中させる。だが白式は俺の願いを叶えてはくれない

 

その間に福音の手から伸びた触手に首を絞められている鈴や箒達の顔が見える……

 

(駄目だ! 俺はいかないといけないんだ! 俺はまだ! こんなところじゃ……終れない!!!)

 

届かない、届かないと判っているそれでも手を伸ばす、助けたいと、護りたいと願う皆に手を伸ばす。だが俺の身体は海面に向かっていくだけで何も出来ない。悔しさに唇を噛み締めた瞬間

 

(どうして名前を呼ばないの? 私は言ったわ。1度だけ力を貸してあげるって)

 

脳裏に静かに……でもそれでいて透き通るような声が響く

 

(呼んで……名前を知らなくても……貴方は知っている。私の名前を)

 

言葉にならない言葉……知らないのに知ってる言葉……それが知らずのうちに俺の口から発せられた

 

「■■■ッ!!!」

 

俺が行った言葉なのに俺の耳には届かない、そんな不思議な言葉と共に俺の身体を光が覆い隠す

 

(行くわよ……貴方の望むまま……行きたいと願うところへ導く為に……私は貴方の翼となる!!!)

 

眩い光の中、俺は見た……光の中で俺に背を向ける誰かの姿を……知らないのに知ってる、そんな誰かの姿……

 

 

 

 

 

 

「アア?」

 

箒と鈴の首を締め上げていた福音が急に海面を見る。じっと海面を見つめ動かない福音を見た私は

 

「エリス! ヴィクトリア! 同時攻撃だ! 触手を切り落とすぞ!」

 

「はい!」

 

「判った!」

 

シャルロットとクリスの支援はもう期待できない。エネルギーがもう殆ど残っていないせいで、PICで浮遊しているのがやっと。使えて実弾兵装のみと言う状況

 

「ヴィクトリアさん! 銃を!」

 

「僕にも!」

 

「判ってる!」

 

コールした銃のロックを解除しセシリアとシャルロットに投げ渡す。ヴィクトリアを見ながら最後の攻撃にまわせるエネルギーでビームブレードを発生させる

 

「弾幕とまでは行きませんが。行きますわよ! 簪さん! シャルロットさん!」

 

「うん!」

 

「タイミングを合わせるよ!」

 

「私を忘れないでください」

 

福音が私とエリスに気付いたタイミングで4人の同時射撃が福音を襲う。発生した煙幕に紛れ箒と鈴の首を絞めている触手を切り落とし、残っているエネルギーを使い瞬時加速で離脱する

 

「……げほっ! ごほっ!! すまない、助かった」

 

「……げほ! はぁ……はあ……窒息するところだったわ」

 

だがこの奇襲で私達のISはPICを維持するだけのエネルギーのみになってしまった。あと一撃でもくらえばISは解除され海面に向かって落ちるだけ

 

(くそ! 命令違反の挙句。こんな所で死ぬのか?)

 

私がなんとか少数でも良いから逃がす方法は無いかと考えた瞬間

 

「ギシャアアアア!!!」

 

福音が海面に向かって吼える、そして次の瞬間海面の方から飛んできた粒子砲に吹っ飛ばされる福音

 

(一夏か!? いや……もうこんな高火力射撃を使えるエネルギーは無いはず、誰だ!?)

 

思わず海面を見た瞬間。光を纏い高速で飛翔してくる白銀の機体が視界に飛び込んで来て。箒目掛けて剣を突き出す

 

「な!?」

 

驚く箒が目を閉じた瞬間

 

「ギシャアアアアア!!!」

 

箒の背後から現れた福音の肩に深く食い込む剣。苦悶の悲鳴を上げる福音を回し蹴りで吹っ飛ばした白銀のISは私達の前に回り込む

 

「い、一夏?」

 

鈴がそう呟くが……白銀のISの操縦者は何も言わないで雪片に酷似した剣を福音に向けている。

 

「白式……? いえ……でも姿が」

 

セシリアがそう呟く。私達の前の白銀のISは白式に似てはいるが全くの別物に見える。全身の装甲が一回り大型になり。背中には2門のエネルギーカノン。そして両腕には大型の篭手に似た装備が装着されていた。

 

「大丈夫か、皆」

 

福音のほうを向いたままそう尋ねてくる声、間違いなく一夏の声だ……

 

「キシャアアアアッ!!!」

 

「行くぜッ!! 福音!!」

 

両手にビームクローを発生させ斬りかかる一夏。福音がまた姿を消す

 

「一夏! 奇襲が……」

 

「そこだあああ!!」

 

「ギアッ!?」

 

何も無い空間にエネルギークローを突き刺し、そこから福音を強引に引きずり出し、背中のエネルギーカノンで吹っ飛ばす

 

(な。何故判る!?)

 

私たちが散々苦しめられた福音の能力に即座に対応する、一夏……セカンドシフトした白式の性能か?

 

「一気に行くぜッ! 雪華構築開始」

 

右手に光が集まり剣となる、それは雪片に似た剣と雪片弐型を構えた一夏に襲い掛かる福音。最高加速からの爪の振り下ろし……遠い距離にいる私たちには見えたが……距離の近い一夏には見えな……

 

「遅い」

 

「ギア!?」

 

自然体のまま右手の剣を振るい福音を切り飛ばし、追撃に蹴りを叩き込む一夏

 

「シャアアアアッ!!!」

 

「だから遅いと言っている」

 

両手の剣で福音の攻撃を受け流し。胴に手を当ててそこから放った粒子砲で福音を再度吹き飛ばす

 

「完全に見切ってる……どうして?」

 

分析が専門のクリスが驚いたという表情で呟く。 自分でも碌に分析しれなかった福音の動きを一夏が見切っていることが納得できないという表情だ。

 

(何という性能だ……)

 

火力・加速力どれをとっても今まで見た。どのISを上回……いや待て

 

(インフィ二ティアと同格か?)

 

少しだけ見た龍也のISに近い物があると。観察をしていると

 

「だ、誰か手伝って!」

 

「ぼ、僕達のエネルギーも……もう無いんだけど! 残ってるなら助けてよ!!」

 

簪とシャルロットが必死で箒と鈴を抱えて飛んでいるが、弐式もエネルギーの限界が近いので助けてと叫ぶ。それにはっとなり簪の隣に行き箒を抱える

 

「零落白夜起動ッ!」

 

雪片と雪華を連結させると同時に零落白夜を発動させる一夏、それに伴い白式の装甲の一部が展開する

 

「て、展開装甲!?」

 

確かにそれは紅椿と同じ展開装甲にも見えるが……

 

「違う……あれは展開装甲じゃない!」

 

そこから更に白式の装甲が変化をはじめるのを見たエリスの声がどこか遠くに聞こえた

 

(あ……)

 

思わず目を奪われた……いや私だけじゃない、一夏に思いを寄せている全員が恐らく目を奪われたに違いない。全身の装甲から眩いばかりの白銀の光を放ち。背中の装甲からはエネルギーの翼が4枚発生する。それは天使に似た姿だった

 

「うおおおおッ!!!」

 

白銀の閃光が奔る……そして

 

「ギアアアアアアッ!!!」

 

福音が悲鳴を上げる。そして零落白夜の刃が福音の身体を両断していた

 

「アアアアアア……」

 

徐々に叫び声は小さくなり、漆黒の装甲が弾けるように消え操縦者が落ちていくのを片手で掴み、ヴィクトリアに投げ渡した一夏……恐らく白式のエネルギーが不味いので見掛けが1番軽傷なヴィクトリアに渡したのだろう

 

「これでやっと終わりだな……」

 

そう言うと同時に白式の装甲がまた変化する。胸部と背部を覆っていた装甲が消え、一回り大きくなっていた装甲も元の白式に似た大きさにまで戻っていた。白式が更に変化した事やネクロの存在、気になる事はまだ残ってはいるが……

 

福音を撃退し戦況終了……と私が言い掛けた瞬間。悲鳴にも似た声でエリスが

 

「避けて! 一夏君!」

 

え? 思わず一夏の方を見ると福音から切り離された黒い塊が触手を一夏目掛けて伸ばしていた

 

「え? うぐあああああッ!!!」

 

ISを貫通し突き刺さる触手

 

「くっ! させるか!」

 

福音の暴走はあれが原因のはずだ。このままでは一夏が危ない! 私だけではなく箒達もそう考えたのか触手を切り離そうとした瞬間

 

「上から何か来る!? 皆離れてください!」

 

レーゲンにも反応があった上空から高速で飛来する何か

 

黄金の閃光が私達の前を駆け抜け一夏の身体を縛り上げていた触手を切り払う

 

「あ……」

 

「う、うそ……」

 

一夏を救った何者かはそのまま剣を振るい、黒い塊の様なものを両断し消滅させた者は剣を構え。私達とペガサスの間の間に立ち塞がっていた

 

「伝説じゃなかったんだ……」

 

「黒い悪魔がいるのなら、居てもおかしくないと思ってましたけど……」

 

燃え盛る炎の翼と眩いばかりに輝く黄金の鎧。そして風に靡く緋色の髪

 

「黄金の……騎士」

 

誰が呟いたか判らない……もしかすると私が呟いたのかもしれない……圧倒的までの存在感と神々しさを持った男は空中を歩くように私達の前に立った。その背はあまりに大きくそしてあまりに遠くに見えた……

 

 

 

 

「ふっ……まさかこんな場にお前が現れるとは思ってなかったぞ」

 

そう言うペガサス。さっきまで一夏を観察していたようだったが私が来た瞬間、転移してきた……目的が済んだのかそれとも私を警戒してかは判らない

 

「邪魔者は居たが……1人で私を足止めしようなどと不可能な事だ」

 

倒しきる時間がなかったので両手足に投影したハルペーで回復を阻害し離脱してきた。そう簡単にはこの場には来れない筈だ、まあ手足を破棄する可能性も在るがそれでもすぐには活動を再開出来ないはずだ

 

「ここで仕留めさせてもらうぞ。ぺガサス」

 

LV4は早急に仕留めておきたい。剣を構えたところで気付いた。上空に佇む何者かの姿に……顔は見えないが姿からして女性だ、彼女は弓を構えた

 

「おちて……シュゴシャ……」

 

だがモーションが大きい。このタイミングなら迎撃できる

 

「投影開始……無駄なし弓(フェイルノート)」

 

一瞬でもペガサスから視線をそらすのは不味いとは思ったが上空からの狙撃は不味い。更に剣を投影しようとしたところで女性の顔がはっきりと見えた

 

(なっ!? 楯無!?)

 

楯無と瓜二つの女性の顔に驚き一瞬動きが止まった瞬間

 

「スター……ダスト!」

 

上空目掛け大型の光矢を放つ。それは空中で炸裂し、無数に枝分かれして降り注ぐ

 

(ちいっ! 判断を誤った!)

 

顔を見せなかったのも全てアイツの計算の上だったのだと悟り。自らの判断ミスに舌打ちしながら

 

「投影破棄! 投影開始!」

 

タイミングが不味い。自分だけならプロテクションで防げるが、一夏達までカバーしようと思うとプロテクションでは駄目だ

 

「写・熾天覆う七つの円環(ローアイアスッ!!)」

 

本来なら7つ出る花弁は3つまでしか構築できなかった。後は強引に魔力を通して強度を増加させる

 

「え!? 上から!」

 

「避けられない!?」

 

勝手に動こうとする一夏達に

 

「動くな! 戯けども!!!」

 

そう怒鳴り、驚き動きを止めた一夏達。そしてその直後無数の光の矢が降り注いだ。そしてそれを受け止めた瞬間、更なる自分の失態を理解した

 

(見かけだけ!? しまっ)

 

振り返ると既にペガサスは別のネクロが保護し離脱していた。完全に私の性格を逆手に取られた。弾雨が止んだ所で投影を破棄し気配を探るが、既にネクロの気配は周辺に無い完全に見失った

 

(やはり鈍ったか)

 

学園生活という中で気が緩んでいたと舌打ちし転移しようとしたところで

 

「貴方は……あの時に俺を助けてくれた人ですよね?」

 

このまま去るという訳にはいかんか……

 

「そうだ、久しいな少年」

 

「貴方はあの時のまま何も変わってない。どうしてですか!」

 

一夏がそう尋ねるのを聞いた箒達は

 

「どうした。一夏は知ってるのか? 黄金の騎士を」

 

「どういうことか説明して」

 

そう言われた一夏は

 

「モンドグロッソ決勝の日。俺は誘拐されて、そこで黒い悪魔に千冬姉と一緒に殺されかけた。その時助けてくれたのが……この人だ」

 

記憶抹消をしても覚えているとは……よほど心に強く残ったんだな……認識阻害で顔は認識出来ないはずなんだが……今目の前にいる一夏達には私が緋色の髪をしているということと目の色が違う、という事しか認識出来ない。私の正体がバレル心配も無いし。少しは質問に

 

答えてやるか

 

「どうして。貴方は歳を取っていないんですか?」

 

「私にとって時間とはあってなき物という事だ……どうせ理解出来ないだろうがな」

 

そう言って背中に翼を具現化させ一夏達から離れる

 

「運命は廻る……いずれ決断を迫られることになるだろう」

 

戦うか否か……それを一夏達は決断せねばならなくなるだろう……今日ネクロと戦った事で運命は変わる

 

「どういう意味だ!」

 

「いずれ判る、いずれな……ラウラ・ボーデヴィッヒ」

 

「何故私の名を!?」

 

驚くラウラに内心笑いながら。

 

「お前だけじゃない。私は全てを知っている。そういう存在なのさ」

 

神の右目をつかえば全ての並行世界を見ることが出来る、それ故に私は全てを知ってると同時に全てを知らない

 

「では……いずれまた会おう。運命が交差する夜に……」

 

これ以上答えれることは無いので転移ではなくステルスで姿を消し、一夏達が旅館にへと戻ったのを確認してから、もう1度姿を現し

 

「いい月夜だ……」

 

偶にはこういうのも悪くないと思い暫くその場で満月を見つめていた……

 

 

 

 

 

「アブナイところダッタネ……」

 

守護者が姿を消したところでそう尋ねてくる。女に

 

「一応礼は言っておくが……ネルヴィオの差し金か?」

 

「ソーダよ」

 

まだネテタカッタけどね、ネルのタノミだからシカタナイよね? この女の名は知らんがどうも苦手だ。この生気の無い目に見られると無性に苛々する

 

「ふん、ではな、俺は帰る」

 

「ジャアね……」

 

空っぽの笑みを浮かべる女に

 

「お前も……抗え」

 

「ナニに?」

 

首を傾げる女……俺と同じ完全な人型だから判ると思ったが、どうやらこいつは違うみたいだ

 

「判らんならいい……じゃあな」

 

その場を転移し、この世界に来てからよく来ている丘にある木に背中を預ける

 

「ぐっ……ぐうううう」

 

斬られた腕が再生する際に俺の中のネクロの因子が力を増す。破壊しろ、壊せという声に

 

「だまれ……俺は、俺だ……貴様らの思い通りになどならん」

 

拳を地面にたたきつける。こうして身体こそくれてやったが……魂までは捨てたつもりは無い……俺は絶え間なく走る激痛に耐えながら空を見上げ意識を失った……

 

 

第47話に続く

 

 

 




次回で3巻の内容は終わりです、少しオリジナルの話を入れて4巻→正体がバレるの流れで行こうと思います。それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします
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