IS~現れたる神なる刃【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです、今回で3巻の内容は終わりです。次回からはオリジナル編を2~4話やっていこうと思います。それでは今回の更新もどうか宜しくお願いします


第47話

第47話

 

「作戦終了と言いたいが……お前達は独自行動で重大な違反を犯した。帰ったらすぐに反省文の提出と懲罰用の特別トレーニングを用意してやるからそのつもりでいろ」

 

「「「……はい」」」

 

勝手に出撃した一夏達……無事に帰ってきてくれたことは嬉しいが、違反は違反。しっかりと罰を与えなくてはいけない

 

「まぁまぁ、説教はそれくらいにしてあげたら? 怪我人もいるしね?」

 

ツバキさんはそう言ってから拉致され半場無理矢理福音と戦わせられた、更識とアマノミヤの前に立ち

 

「じゃあ、貴女達はこれね」

 

メシッ!!!

 

ありえない音を立てる手刀。それを喰らった更識とアマノミヤは涙目で

 

「「ッ!!!!」」

 

ごろごろと転がり悶絶していた……

 

「じゃ、じゃあ、1度休憩してから怪我の診断をしましょう。 織斑君は別部屋ですよ? 判ってますね?」

 

「山田先生、あんたは俺をなんだと思ってる」

 

流石の一夏もその言い方は傷ついたのか、刺々しい口調だった。そして私も腹が立ったので

 

スパーンッ!!!

 

「ッ!!!」

 

山田先生の頭に出席簿を叩き込む。涙目で悶絶する山田先生を見下ろしながら

 

「それじゃあ、各自水分補給をして診断を待て、一夏は別室に行け。良いな? それと八神達は部屋に戻り休め。今までご苦労だった」

 

「それじゃあ、お先に」

 

「頑張ってね~」

 

「ばいばーい」

 

一夏達に手を振り部屋を出て行く3人はそのまま、龍也が眠る部屋に足を向けたのか、部屋とは違う方向に向かって歩いていった。

 

「では後はお願いします」

 

「は、はい。判りました」

 

ツバキさんは各自ISに記録されたネクロとの戦闘データを分析するといってISを持って部屋を後にしている。後は山田先生に任せれば良い。私はそう判断して部屋を出ようとして近くにいた一夏を見た。腐食していた部分は無くなっている事に確認する為にじっと見ていると

 

「な、なんですか?」

 

怒られるのかと勘違いした一夏に

 

「……いや、なんでもない。全員が無事に戻れてよかった」

 

それだけ言って部屋を後にした……恐らく今回の福音の暴走とネクロの出現に関係しているであろう人物に会う為にそのまま旅館を後にした

 

 

 

「ふう……」

 

夕食後俺は旅館を抜け出して夜の海に来ていた。色々考えたいこともあったし気分転換も兼ねてだ。見つかれば当然怒られるがそれでも少し泳ぎたかった

 

(何か夢を見た気がするんだけどな……)

 

起きた直後はしっかりと覚えていたのに、今は内容さえはっきりと思い出せない。何か大切なことだったと思うのだが……

 

「い、一夏?」

 

名前を呼ばれ驚きながら振り返る。そこには水着姿の箒がいた

 

「箒か?  そういえば昨日は海で見なかった」

 

「あんまり見ないで欲しい。落ち着かないから」

 

「そ、それは悪かった」

 

もじもじしてる箒から視線をそらすと、箒は俺が腰掛けている岩場に座る

 

(な。何か凄い気まずい)

 

話す話題も思いつかないし、何となく居心地悪い気分に動揺し。色々話すことを考えてから俺は口を開いた

 

「その水着いいな。よく似合ってる」

 

何故か俺の口から出た言葉は考えていたものとは明後日の方向のものだった……

 

「こ。これは……その勢いで買ってしまって……いざ着ようと思うと。恥ずかしくてな……」

 

だから初日の自由時間で見なかったのか……と納得し。次に気になっていたことを尋ねてみた

 

「その変な敬語は何なんだ?」

 

「う……それは」

 

恥ずかしいのか俯いた箒はぽつぽつと

 

「い、一夏が……おしとやかな女が良いと言うから……」

 

そ、それかよ!? 俺は予想だにしなかった返答に驚きながら

 

「いや……まぁ、何だ。 箒はいつも通りの方が良いと思うぞ? そんなに無理して口調を変える事も無いだろ?」

 

「う……む。そうだな……これでいいか?」

 

いつも通りの口調の箒に

 

「おう、何時もの箒だな。 そういえば髪大丈夫だったか? ちょっと焼けてただろ?」

 

「あ、ああ。リボンが無くなっただけだ……大事ない。それに新しいリボンも貰ったしな」

 

「そっかそれなら良かった。それと改めて誕生日おめでとう」

 

「う、うむ。 あ……ありが……とう」

 

ぼそぼそという箒。確かに聞こえにくかったが言いたい事は判った。

 

「そ、それより。お前こそ大丈夫だったのか?」

 

「なにが?」

 

目が覚めたら包帯でぐるぐる巻きだったけど。怪我のあとは無かった……火傷でもしてたのかなと箒に尋ねると。

 

「腕とか背中とか腐り始めてた……から」

 

顔を青ざめながらそういう箒に思わず絶句しながら

 

「マジかよ……」

 

ネクロというのはどんだけ出鱈目なんだ……

 

「まぁ良いんじゃないか? 治ってるし」

 

こうしてピンピンしてるからいいだろ? というと箒は

 

「良くない!」

 

「ええ? 何でだよ」

 

言ってから箒は……

 

「わ、私のせいで怪我をされて……し、死に掛けたのを……そんな感じで許されると、困る」

 

はぁ……どうしてこう箒は頭が固いのかね? 俺は苦笑しながら

 

「じゃあ箒、今から罰をやる」

 

「う、うむ」

 

目を閉じる箒の額を指で弾き

 

「はい、終わり。これに懲りたら、自信過剰と独断専行を控えろよ?」

 

「な、なに?」

 

困惑顔だった箒は、数回瞬きした後俺に詰め寄り

 

「ば、馬鹿にしているのか! あ、あんなデコピンくらいで」

 

じゃあ何をしろっていうんだよ。俺に女を殴るような趣味は無いぞ

 

「まぁまぁ落ち着け。興奮するな」

 

「だ、黙れ! 誇りを汚されて落ち……」

 

「いや……さ。 当たってるんだけど」

 

密着されてるせいで胸が当たって落ち着かないのでそう言うと

 

「!!!……お前は人が真面目に話してるのに……ふ、不埒だぞ!」

 

そうは言われても困るんだが……

 

「その、なんだ……意識するのか?」

 

「はい?」

 

なんだ話の方向性が180度変わったぞ

 

「だから! い、異性として意識するのかと聞いているんだ」

 

「えと……う、うん」

 

勢いに押されて頷く。箒は間違いなく可愛いし、意識するかどうか? なら意識しないほうがおかしいだろう

 

「そ、そうか……うんうん」

 

何度も頷く箒……そしてふと目が合う

 

(あ……)

 

月明かりに照らされた箒の顔があまりに綺麗で俺は見惚れてしまった。丁度その時

 

「せ、セシリア!? なんでこんなところにいんのよ! てっいうか良く生きてたわね。命門をピンポイントで蹴り抜いたと思ったんだけど……」

 

「り、鈴さんこそ! というかさっきいきなり背中に飛び蹴りとか良くもやってくれましたわね!!!」

 

「そうだぞ! いきなり人中強打とか何を考えている!!」

 

「しんじゃえって思ってやった。今では仕留め切れなかった自分の甘さを痛感してるわ。シャルロットには防がれたし」

 

「考えてること一緒だからね。今日辺り闇討ちが来ると思ってたよ」

 

あんな事件の後でも決してブレない魔王×2とセシリアとラウラの声がする

 

(ヤバイ)

 

今は箒と二人きりだ何を言われるか……いや、何をされるか判らない

 

(人中と命門って……急所じゃん)

 

下手をすればショック死もしくは一生車椅子生活になりかねない急所を躊躇い無く攻撃する。鈴に戦慄し

 

「向こうに行こう……」

 

「え?」

 

すぐ近くまで来ているのが判る、どこかに隠れないと不味い……暫く歩き大きな石を見つけその影に隠れる

 

(少しここで時間を潰してから旅館に戻ればいいだろう)

 

俺が安堵の溜息を吐いていると

 

「い、一夏……いきなりこんな人気の無いところにつれてこられては困る」

 

「うん?」

 

箒が何か言ってるので振り返ると

 

「ん……」

 

待て待て待て!! 何故に唇を突き出すんですか!?

 

(まずい……これは引き込まれる)

 

そのあまりに美しい様子に吸い寄せられるように顔を近づけたところで

 

「はっ!?」

 

俺の顔面の前に突き刺さるクナイにも似た武器とサバイバルナイフ。そして

 

「ほう……」

 

「良し、殺す。手を貸しなさい、箒も一夏も殺すわよ」

 

「OK、でも一夏は半殺しね」

 

「ふふふふふふふ!!」

 

魔王襲来……しかも皆様殺るき満々という表情

 

「ほ。箒! 逃げるぞ!!!」

 

「えっ? あっ!」

 

驚く箒の手を引いて脱兎へとジョブチェンジ。ISは使用できない代わりに武器を持ってきていたのか、俺の背後から迫る無数のナイフやダガー

 

(なんか先月も……うお!? 掠った!? 今掠ったぞ!!)

 

頬を掠めたナイフに顔を青ざめ。俺は全力で逃げ出した……止めてお願い、死ぬ、死んじゃうから……

 

 

 

 

 

 

「話は終わった?」

 

「ツバキさん、どうしてここに?」

 

束と話していた岬に姿を見せたツバキさんに尋ねると

 

「匿名でメールがね。 「今宵、岬に守護者が舞い降りる」 てね……」

 

守護者? 私が首を傾げていると背後に人の気配を感じ振り返ると、そこには

 

「黄金の……騎士」

 

「こうしてみるのは初めてね」

 

燃え盛る炎の翼と緋色の髪を持った男が宙に浮いていた

 

「どうも態々こんな所にお呼びして申し訳ない」

 

そう笑いながら着地すると翼が変化し赤いマントとなる

 

「今まで碌に姿も見せないのに急にどういうつもりなのかしら? 黄金の騎士さん?」

 

ツバキさんがそう尋ねると黄金の騎士は

 

「はっははは!! これは傑作。くっくく……私はもう何度も貴女達の前に姿を見せているが?」

 

おかしそうに笑う黄金の騎士に

 

「お前は何者だ、 ネクロと何の関係がある?」

 

私がそう尋ねると黄金の騎士は笑うのをやめ

 

「10年戦い続けている敵だ。 何処の世界にもどんな時間軸にも現れるのでな。中々対処が間に合わない……そういう面ではお前と一夏はついていたと言うべきだな」

 

何処の世界? どんな時間軸? 何を言っているんだ?

 

「ふふふ、判らないという顔をしているな。では説明してやろう」

 

黄金の騎士が指を鳴らすと無数の球体が浮かび上がる。それには様々な景色や場所が映し出されていた

 

「世界は数多の姿を持つ、例えばこの世界の様にISが開発され、女尊男卑となった世界。 そして魔法という文明が発達した世界。 世界は1つとて同じ歩みすることは無い」

 

「並行世界の理論ね。じゃあネクロとは何かしら?」

 

ツバキさんがそう尋ねるが

 

「それは今の貴方達に知る権利は無い、私は暫くの間邪魔をするな、と言いに来たに過ぎない。つまりは貴女方には今全てを知る権利は無い。今の所はね……」

 

「ふざ……「黙れ小娘」うっ……」

 

そのあまりの言い方に怒鳴り胸倉を掴もうとした瞬間。黄金の騎士の手には美しい装飾が施された西洋剣が握られており、それが私の喉元に突きつけられていた。だがそれ以上に強烈なまでの闘気に呑まれ完全に動けなくなる

 

「人は全てを知りたがる、それは罪では無い。しかしそれは時が来たときのみ、知ることが許されるもの……今はまだ早い。時を待つこともまた必要なことだ」

 

穏やかだが強い口調で言われた言葉に頷くと

 

「結構、物分りが良くて助かる」

 

やれやれ、女性に剣を向けるのは嫌いなんだがね。と肩を竦めると黄金の騎士の手の中に剣は空気に溶けるように消えた

 

「それが魔法かしら?」

 

「当たらずも遠からずとだけ答えておこう。今は知る権利が無いと言ったよな?」

 

表面上は穏やかだがこれ以上は聞くなと無言の拒絶をする。黄金の騎士にツバキさんは

 

「時を待てば教えていただけるのかしら?」

 

「知りたくないと望んでも教える。 時が来れば貴女達の力を借りなければならないからな……でも暫くは……黄金の騎士としてではなく」

 

黄金の騎士の身体を虹色の炎が覆う。思わず息を呑むとすぐに炎は弾け、そこから見慣れたIS学園の制服と黒いコートを纏った少年が姿を見せる。今旅館で眠っているはずの八神龍也だった

 

「IS学園の生徒として過ごさせて貰いますよ」

 

「驚いた……正体を教えてくれるとはね」

 

「別にこれが正体という訳ではない ただIS学園にいるのはこちらの方が都合が良いと言うだけだ……」

 

そう笑う龍也だったが私を見ると鋭い視線になる。その眼光は鋭く凄まじいまでの威圧感を持っていた

 

「今回はまぁ私の事を疑っていたから、私の意見を聞かなかったというのは判るが。そのせいで一夏は死に掛けた……次同じことになったら救える保障は無い。それに2度も邪魔されてまで人を救うほど私はお人好しじゃない、次邪魔をしたら私は一夏は救わない。良いな……」

 

「あ……ああ」

 

一夏を救ってくれたのは龍也だったのか……その事実に驚きながら

 

「すまなかった……」

 

「別に謝る必要は無い。疑わしきは罰せよともいうからな……まぁ今回は正体を教えなかった事による不信が原因だったという事で水に流そう」

 

涼しい顔をしながら私達の横を通り過ぎながら

 

「ではいずれ……時が来たときにこの話の続きをしましょうか」

 

「ま……いない?」

 

待てと言おうと振り返った瞬間。その姿は無く……残滓の様な蒼い光が漂っているだけだった

 

「無駄よ。ああいうタイプは自分が話すと決めたときしか話してくれないわ。 姿を教えてくれただけで感謝すべきよ」

 

「随分と冷静ですね……ツバキさん」

 

色々とあって混乱してる私と比べて随分と冷静なツバキさんにそう言うと

 

「これでも結構驚いてるのよ。 でもまぁ味方とみて間違い無さそうだし、そう気にすることもないかなって」

 

これは経験の差ということかと溜息を吐き、私とツバキさんは旅館にへと戻った……

 

「あっ! 織斑先生、それにアマノミヤさん。ついさっき八神君が……」

 

「「知ってる」」

 

「え?」

 

驚く山田先生の横を通り部屋に戻ろうとしたところで

 

「「「「待てーッ!!!」」」」

 

「誰が待つか!! 殺されると判って止まる馬鹿はいねぇッ!!!」

 

篠ノ之のお姫様抱っこし激走する一夏が見える

 

「少し話をしてきます」

 

「程ほどにね」

 

そして千冬が外に出てから数秒後

 

「殺す!!」

 

「「「「逃げろーッ!!!!」」」」

 

一夏含め全員が鬼神から逃げる為に全力疾走する事となる……

 

 

 

日付が変わる前、私は龍也君の所に訪れていた……先程ロビーで月を見上げているのを見たのでどうしても聞きたいことがあったのだ……

 

「少し聞きたいことがあるのだけど……」

 

「魔法についてなら答えませんよ」

 

そう笑う龍也君に

 

「これ……見てくれるかしら?」

 

砕け散ったISコアを見せると

 

「ふう……良い月夜そして……操縦者を最後まで護りきった福音に敬意を示すという事で答えましょう」

 

そう前置きしてから龍也君は

 

「ネクロは無機物・有機物関係なく寄生し・浸食する。 普通ならば操縦者はISごとネクロ化していたでしょう……しかしそのコアは己を捨て最後まで操縦者を護った。砕けるのは当然の結果ですね」

 

紅茶を飲みながら龍也君の言葉をしっかりと記憶する。有機・無機物を関係なく浸食し同族と化す……つまり私が考えていた事は正解だったのだ。現存のISでは碌に戦えないというのは……

 

「ISコアには意思がある。そしてそのコアは自らの操縦者をネクロ化から護る為に自らを差し出した……そのおかげで操縦者はネクロ化から護られ。コアは砕け散った……普通ならネクロ化してて当然の操縦者が無事に生還したという奇跡。奇跡に対価はつき物……故に当然の結果ですよ」

 

もう答えることは無いと言いたげに窓の外を見る龍也君にありがとうと声を掛け。旅館の奥の部屋に向かった

 

 

 

龍也君との会話から1時間後。旅館の一番奥で寝かされていた、銀の福音の操縦者のナターシャ・フィルスが目を覚ましていた……

 

「気分はどうかしら? ナターシャさん?」

 

「最悪の気分です」

 

「うっ……」

 

身体を動かし顔を顰めるナターシャに私は

 

「動かないほうが良いわ。全身の筋肉の損傷が酷いから。特に両手と右足の腱は完全に千切れてる」

 

回収されたナターシャの容態は酷い物だった……異常なまでの筋肉疲労に加え全身の骨に皹が入っている。少なく見積もっても全治半年は下らないだろう……

 

「あの子は……?」

 

福音の事……私はひび割れ砕け散ったコアを彼女の前に置く

 

「ネクロという化け物の浸食から貴方を護って……眠りについたわ」

 

砕け散ったコアを見て嗚咽を漏らすナターシャに

 

「これ……」

 

殆ど形を残さず砕けたコアを加工した、ペンダントを枕元に置く

 

「アメリカには報告したわ、ネクロにより銀の福音は完全消滅したって」

 

最初は軍のお偉いさん方は私の話を信じなかったが。各ISに記録されたネクロ化する福音を見たことでやっと私の話を信じた……と言っても最初にネクロに襲われたイギリスと同じく、アメリカもイスラエルも自体を公には公開しないだろうが……

 

「とりあえず、今は休みなさい。ナターシャさん」

 

布団を被せながら言うとナターシャさんは

 

「ありがとう……ございます」

 

とにかく今のナターシャには休息が必要だ……ナターシャが寝たのを確認してから私は部屋を後にし自分の部屋に向かいながら

 

(急がないと……)

 

考えていたパッケージを発展進化させた。自立式の特殊兵装の完成を急がなければならないと私は感じていた……

 

 

 

「教えないと言ったのに……気が変わってしまったよ。セレス、あまりに良い月夜だったから」

 

私は月を見上げながらそう呟き

 

「お前にダブって見えたのかもな。福音のコアが」

 

全てを見通す私の目にはちゃんと見えていた。ネクロの闇の侵されながらも操縦者を護ろうとしていた、福音の意思が

 

「やれやれ……まだまだ私も若い」

 

苦笑しながらセレスが再び与えてくれた右目を触る

 

「少々冷えてきたか……戻るとしよう」

 

月は好きだ、それは……

 

「きっと私が1人では駄目な人間だからか……」

 

月は太陽が無ければ輝くことは無い。それは私もまた同じ……だからこそ私は月が好きだ。自分が今どれ程恵まれているのかを教えてくれるから

 

「全てが終わり、私が眠りにつくときにまた会おうな。セレス」

 

窓に映る、セレスが残した髪と目を見て。そう呟き私は部屋に戻っていった……

 

「で? 部屋に戻った目にするのがこれか?」

 

「「「ううーん」」」

 

目を回しダウンしてるなのは・フェイト・はやて。3人が3人頭にタンコブを作っている。

 

「なのはとフェイとが善戦したという所か」

 

全く二十歳を過ぎてるのに何時までも落ち着かないな。私は苦笑しながら3人に布団を被せ自分の布団に潜り込んだ

 

振り回される毎日もそう悪くは無いなと呟きながら眠りに落ちた……

 

 

 

 

 

夢を見る……

 

赤い大地……

 

荒れ果てた街……

 

そして墓標の様に立ち並ぶ無数の剣……

 

(またこの夢……)

 

私は最近この夢をよく見る……何かの暗示なのか……それともただの夢なのか?

 

そしてこの夢は何時もここで終わる。

 

無数の剣の中で唯一と言っていいだろう、何の装飾も施されていない錆びだらけの剣その前で何時も夢は醒める、なのに……今日は少し変わっていた。剣に触れると同時に景色が変わったのだ……

 

「あり……がとう……殺して……くれて」

 

え? 何この声……

 

廃墟の中に肩膝立ちで誰かを支えている人の背中が見える。

 

その人の腕の中を見て

 

(うっ!?)

 

思わず吐きそうになった……

 

片目を失い。左腕は根元から切り落とされている……しかしもっとも私の目を引いたのは身体の半分を覆っている黒い細胞……

 

(ネクロ……なの……)

 

「家族には……言わないで……くれますか?」

 

「判った。お前はちゃんと職務を果たしたと伝える……」

 

「あり……がとう……■■大将」

 

そう笑うと男の人の体は粒子になり消えた……

 

「まただ!! また私は!!!」

 

その突然の大声に驚いた……膝を着いていた男の人は何度も何度も拳を地面に打ちつけ叫ぶ

 

「また護りたかった命は……私の手から落ちていった……何も! 誰も私は護れてなんかいない!!!!」

 

深い慟哭と絶望……皮が裂け血が噴出しても拳を打ち付けるのを止めない……

 

「キキ」

 

「グルルルル」

 

破壊されたビルの影から無数のネクロがまた姿を見せる

 

「私は……私に出来るのは……貴様らを倒す事だけだ……その為になら……私は全てを捨てる……感情も夢も……そして命さえも……」

 

「In itself, a life does not have itself in a sake. (己が命が己が為にあらず )

 

感情の抜け落ちた声で淡々と言葉が紡がれていく……

 

「The body does not have itself to people. (己が体は人にあらず )

 

 

 

 

 

(あっ……)

 

夢なのに……悲しくて涙が溢れる……

 

この人は凄く優しいんだ……

 

それが判るから……

 

自分を追い詰めているのを感じるから……

 

「that time -- all feeling -- it laughs at hidden self(その時まで感情全て隠し我は笑う)

 

「Because the way of life is just my only one obtained answer (その生き方こそが我が得た唯1つの答えなのだから)

 

「The grave marker of the sword of 1000 (千の剣の墓標)ッ!!!!」

 

炎が奔る……そして世界が変わった。夢で見る赤い大地の世界にと……

 

風が吹く……

 

何処までも透き通った風が……

 

「あ」

 

唐突に目を覚ました……もう少しであの人の顔が見えたと思ったのに。

 

「かんちゃん、なんで泣いてるの?」

 

「えっ?」

 

本音に言われて気付いた私が泣いている事にそれを拭いながら

 

「ううん、なんでもないよ」

 

どうして自分で泣いてたのか判らない……いや原因は判っている。あの赤い大地と剣の墓標の数々……

 

 

そしてその世界で己の無力さを嘆き、全てを捨てると言った人の言葉があまりに悲しくて寂しくて……

 

顔を洗ってふと隣を見る、エリスも同じ様に顔を洗っていた……

 

少しだけ目が赤い気もするが……気のせいだろうと思い

 

「おはよう、エリス」

 

「おはよう、簪」

 

さて今日で臨海学校は終わりだが……

 

「ねえ、エリス」

 

「なんですか?」

 

「懲罰トレーニングってどんなのだと思う?」

 

そう尋ねるとエリスは遠い目をして

 

「私が昔、お母さんにそれをされた時は……」

 

「時は?」

 

「気絶したいのに気絶できない地獄を見ました」

 

ああ……嫌だなあ……私拉致されただけなのに……

 

「まぁ、私も同じなので頑張りましょう」

 

「うん」

 

そういってロビーに出るとそこには

 

【反省中】

 

の看板の前に正座している織斑君達の姿が、全員が全員殴られたのか頭にタンコブを作っていた……

 

「裏切り者め」

 

「あのさ? 人の鳩尾にいきなり肘鉄叩き込んで気絶させた後にいうのがそれ?」

 

シェンさんが呆れながらそう呟くのが見える、その反対側では

 

「ラウラ、こんど絶対お前をぶちのめす」

 

「根に持っているのか? 仕方なかったんだ。許せ」

 

「いきなりボディからのアッパーのコンボをしておいて何言ってやがる!!!」

 

弥生さんが朝からヒートアップして

 

「朝からやかましいぞ、薄野」

 

スパーンッ!!!

 

出席簿アタックが弥生さんの頭を捉えるのを見ながら、私とエリスは広間に向かって歩き出した。そしてその途中で外を見て

 

「あっ……」

 

龍也君が外に居た、制服の間から見える包帯、そして朝の潮風に靡く銀髪と黒いコート。太陽に向かって左手を伸ばすその背中は何故か、夢で見たあの男の人を連想させた……

 

(変なの……)

 

龍也君は私と同じ歳の16歳、あの夢の人はどう見ても二十代前半。同じに見えるのはおかしいと苦笑し私は広間に向かって歩き出した……

 

 

 

 

 

 

一夏達が臨海学校の後片付けをしている頃。 都内某所の無人島に作られたファントムタスクの基地で

 

「ユウリ。お前の脱退試験の内容が決まったぞ」

 

「そうか……やっとか」

 

ワタシが軟禁されて今日で2週間。漸くか……身体を起こしたところで

 

「何か言いたいことでもあるのか? マドカ?」

 

用件を言ったからもういないと思ったマドカが居たのでそう尋ねると。マドカは

 

「今からでも遅くない。スコールに頼めば……」

 

「もう遅い、ワタシの心は決まっている。もうタスクに用は無い。それにお前のISの調整も、アラクネの調整も終えた。ワタシにもうタスクでやる事は無い」

 

最後にと頼まれたタスクの所有するISの整備は全て終えた。あとは向こうのメカニックが何とかするだろう

 

「試験と言うが、あれは突破できるものではない! 試験の前にスコールに言え! 残ると」

 

「何故そんなにワタシを引き止める?」

 

必死な形相のマドカにそう尋ねると、マドカは

 

「試験は……20体のディースと20匹のガルムを倒せだぞ? こんなのは試験でもなんでもない!」

 

ディースとガルム。ネルヴィオの手駒の化け物達か……確かにそれだけ大群と1人で戦い生き残るのは無茶としか言いようが無いが

 

「それで良い……死んだら所詮ワタシはそこまでだったという事だ」

 

「ユウリ……」

 

「良い情報ありがとう。アイツ等用にアマノミカゲを再調整をしておく。もう行け……ここだって安全とは言えないからな」

 

この基地はネクロによって提供された。そんな場所が安全な訳が無い。もう何を言っても無駄と判断し部屋を出て行こうとするマドカを見ながら

 

(心配してくれるのはありがたいが……もう決めた事だ)

 

ワタシはタスクを抜ける。そして更識楯無にもう1度会う……探し続けた答えを得る為に……

 

「ずっと使わなかったが……単一技能を使わなければならないかもな」

 

アマノミカゲの単一技能は諸刃の剣だ……下手をすればショック死しかねないものだ。それ故に封印してきたが……そうも言ってられない

 

「それに……奥の手もあるしな」

 

アマノミカゲの胸部装甲に触れる

 

「死ぬならワタシも一緒だ……だから最後まで付き合ってくれよ」

 

死ぬつもりは無いがもしもと言うことはある……

 

「ふっ、くだらないな……」

 

弱気になってどうする? そんな後ろ向きな考えでは勝てるものも勝てなくなる

 

「……良し、これで調整は終了だ」

 

プログラムの調整は終わった……後は試験の日を待つのみ……ワタシはそう呟きベッドに寝転んだ。そして2日後……命を懸けた脱退試験の幕が開ける……

 

 

 

第48話に続く

 

 

 




次回からは暫くオリジナルの話を展開して行こうと思います。それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします
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