IS~現れたる神なる刃【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。 今回からしばらくオリジナル編で行きたいと思います。 タスク視点でユウリの話をしたいと思います。かなり長いですが今回もどうか宜しくお願いします


第48話

第48話

 

「準備は出来てるかしら?」

 

部屋に来るなりそう尋ねてくるスコールに

 

「出来る限りの準備はした。後は天のみぞ知るといった所だな」

 

そう返事を返し、数週間ぶりに部屋を出る。外に向かってスコールと歩いていると

 

「恨まないのかしら?」

 

「何をだ?」

 

突然の事に訳が判らずそう尋ねると

 

「今まで色々とさせて、その挙句生存率の殆どない物を脱退試験として出した私をよ」

 

「なに。そうは思っていない……戦闘技術とISの整備の技術を教わった。それに何より……確率は低いがワタシをここから逃げれる方法を提示してくれた。感謝する理由はあっても恨む理由は無い……」

 

そうといって黙り込んだスコールと暫く歩き。ワタシの脱退試験会場に続く通路の前でスコールが立ち止まる

 

「生き残れたら……貴方に渡したUSBメモリを八神龍也に渡して。彼ならあの暗号の意味が判るから」

 

そう言ってワタシを通路の方に向けて押した、そしてシャッターが閉まりスコールの姿は見えなくなった

 

「スコール……お前は……」

 

何らかの意図があってネクロに従ってると言うわけか……あいつが何をワタシ託したかは知らんが……

 

「期待には応えよう……ワタシもまだこんな所で死ぬ気は無いからな」

 

漸く見つけることが出来るかもしれない答えを前に死ぬ気は無い。

 

「さぁ……行くか。アマノミカゲ」

 

空中から降りてくる首無しのネクロ、ディースはそれぞれ打鉄やラファールを展開している。その数約20……そして影から次々と現われ出る獣の様な異形

 

「グルルルルッ!!!」

 

ガルムとか呼ばれている。狼に似た魔法生物のネクロ化した物……数は20。マドカの言っていたことが本当ならばの話だがな……

 

「来い! ワタシの進む道は誰にも邪魔させん!!」

 

この戦いを超えて。ワタシはワタシ自身の生きる意味を……捜し求めた答えを得る。それまでは死ぬわけには行かない……ワタシは腰部後側に帯刀された、長曽禰虎徹を抜き放ちディースへと向かっていった……

 

 

 

 

「ネル。ネル! ユウリ、ゆうり! 私のユウリ!!」

 

嬉しそうに笑うセリナの手を引いて私の隣に座らせる

 

「セリナはユウリが欲しいんだよね?」

 

「ホシい! ユウリユウリ! ワタシのわたしのユウリ!!」

 

狂ったようにただ1人の名を呼ぶセリナの頭を撫でる

 

「大丈夫。ちゃーんとディース達はユウリを殺してくれるわ。そしてたユウリも貴女と同じにしてあげる。そしたら貴女は永遠にユウリと一緒に生きていられるわよ?」

 

「うん! うん!! ユウリはずっとワタシのソバにいてくれた! ユウリ! だいすきなダイスキナワタシのユウリ」

 

くすくすと笑いながらこの子を作り出したときのことを思い出す……暗い研究室の中で身体の半分を瓦礫の下敷きにされ。命が尽きるのも時間の問題という状況でも、生に執着し私の足を掴んだ被験体の1人。

 

「い……いきたい……し、死にたく……ない、た……助けて……」

 

他の2人の被験体はそれぞれ別々に回収された。しかしこの子だけは別の研究室に居たからか助けられる事の無かった

 

「死にたくないの?」

 

「し、しに……たくない……私は……まだ……何も伝え……てない。死にたく……ない……生きたい……生き……たい」

 

その生に必死にしがみ付く少女の姿はかつての私を思い出させた……

 

『どうして……パパはネルを助けに来てくれないの?』

 

私じゃない私は助けたのに。私は助けてくれないの? ただそれだけを考えた。そして判った

 

『パパの周りに人が居るのがいけないんだ。ネルのパパはネルだけを護りたいのに他の人が居るから駄目なんだ……じゃあ……全部壊しちゃえば良いんだ』

 

この時初めて私は私になった。その時の私に似ている……

 

「良いわ、助けてあげる。その代わり貴女は人では無くなるわよ?」

 

「……か、かまわない……生きて……居られるなら……私は、人じゃなくても……良い」

 

そう言いきった少女はそこで事切れた……空虚な紅い目と伸ばされた手を握り

 

「貴女は私と同じ。だから一緒に行きましょう?」

 

彼女を押しつぶしていた瓦礫を退け。ぐしゃぐしゃに潰れた右半身にネクロの細胞を埋め込む、直ぐにネクロの細胞は潰れた半身を復元した

 

「あ……アア?」

 

言葉を失っている少女の頬に触れる。ひんやりと冷たいでもそれでも彼女は生きている。死体にネクロの細胞を植え付けてのネクロ化は色々と弊害があったようだが無事に成功した

 

「行きましょう。私と共に」

 

「アウ……」

 

これが私とセリナの出会い。私と良く似たセリナは死んだ時こそ子供の姿だったが、直ぐにネクロの力を使えるように身体を成長させた……そしてその中に眠る狂気はよち強く。より私好みになった……それでも不安定なセリナは寝たり起きたりの繰り返しだったが、ここ最近はこうして私と行動を共にしている事が多い

 

「ユウリ……わたしのゆうり」

 

狂おしいまでの感情を込めた呟きを繰り返すセリナ

 

「大丈夫。ディースが駄目だったら、私が殺して上げる……」

 

「ゆうり……わたしのゆうり……はやくあいたい」

 

「大丈夫……すぐにユウリは貴女の物、もしディースが駄目でも大丈夫。ちゃんと私が殺して貴女の元に連れて来て上げる」

 

セリナの頭を撫でながらユウリの戦いを見る。ディースは念の為連れて来たが、ISでは碌にダメージは与えられないからガルムだけで充分だろうと思っていたが……

 

「AMF!? なんであいつが」

 

ユウリが手に持った日本刀型ブレードの刀身の刃がうっすらとコーティングされているのが見える。それは紛れも無くAMFの輝き、ネクロは常に魔力障壁を張っているISでは何も出来ず死ぬはずだったのに、ユウリは次々と犬型ネクロを屠っている

 

「まさかあの時の……」

 

前の仕事の時に渡したマルチタスクのプログラムの基礎とかを集めたジャンクデータの中にAMFのデータが混じっていたの?

 

「仕方ないわ……セリナはここに居なさい」

 

「うん……判った。ネル」

 

セリナは不安定だ、ユウリに会うことで何か影響があるかもしれない。まだ目覚めたばかりのセリナにユウリと接触させるのは得策とは言えない

 

「おいでモモメノ」

 

「うん……」

 

虚空から現れたモモメノを私の膝の上に座らせ

 

「もしディースが全部やられて逃げられたら困るから。準備してて」

 

「うん……判った。ネルヴィオ」

 

「モモ、ひさしぶりダネ? げんきだった?」

 

「うん。セリナも元気そうだね」

 

セリナとモモメノの会話を聞きながら、ユウリを見据え

 

(これだけの才能。埋もれてさせるにははあまりに惜しい)

 

全く概念の違う技術なのにAMFをISに展開させるなんて……認めるのは癪だけど。ユウリは天才と言わざるを得ない、束とは全く方向性が違う天才だ……セリナが欲しい、欲しいと言っているのでネクロ化させるつもりだったが……気が変わった

 

(ユウリはネクロにする、そのほうが役に立つ)

 

ディースにはガルムが全滅するまで動くなと指示を出していたが、もう手加減は必要ない。

 

(好きに暴れなさい。ディースッ!!)

 

停止していたディースが動き出し、ユウリにへと斬りかかって行った……ディース相手にISでどこまで抵抗できるのか楽しみね……

 

 

 

(解析出来ていて本当に良かった)

 

ネルヴィオがワタシに寄越したマルチタスクの雛形とも言えるプログラムのジャンク。詳しくは判らないがデバイスと言う魔導師の持つISの様な物に組み込まれていたプログラムの残骸を組み上げ。再構築した擬似AMFは問題なく稼動している

 

(しかし……長くは持たんな)

 

「ガルルルッ!!!」

 

大口を開けて噛み付いてきたガルムの顎を蹴り上げ

 

「はっ!!!」

 

怯んだ隙に長曽禰虎徹で頭から両断し、そのまま距離を取り手の中の長曽禰虎徹を見る

 

(ちっ……流石に刃毀れして来たか)

 

ISの武器に施した。擬似AMFのコーティングが崩れて来ている、流石に異なる世界の技術となると解析が難しく。長い時間掛けて漸く長曽禰虎徹2振りにコーティングすることに成功した……だがあくまでこれは粗悪な模造品。使用すればするほど長曽禰虎徹の刀身にダメージを与える、トドメにしか使っていないが。倒したガルムは9体……残りは10匹、その背後に打鉄とラファールを纏ったディースがそれぞれ6体ずつ。残りはISは展開していないが……

 

(ちっ! ネクロというのは何処まで出鱈目なんだ!!)

 

思わず舌打ちする。さっきまで、両腕をだらりと下げてディース達の肩や腕が変形し砲門やブレードに変化する。それと同時に強烈な殺気が放たれ始める

 

「っ!!」

 

何の予備動作も無く突っ込んでくる。打鉄を展開したディースは、両手のブレードでワタシに飛び掛かろうとしたガルムを薙ぎ払い。返す刀で私を頭から両断せんと振り下ろしてくる。それを後退の瞬時加速で回避しようとするが……

 

「くッ!!!」

 

既にラファールが2機銃を構えている。後退すれば一斉に引き金を引くだろう。いやそれだけじゃない。打鉄を展開したのが3機待ち構えている

 

(急にやる気になった! どういう事だ!)

 

今まで動く気配なんて微塵も見せなかったディースが攻撃態勢に入ったのが気になる……

 

「アアアアアアッ!!!」

 

「くっ!」

 

咆哮と共に振り下ろされるブレードは長曽禰虎徹では受けられない。右側の腰にマウントしていた日本刀を抜き放つ。レーザーを斬れる能力を持つ特殊機構を内蔵した刀。「雷切」

 

「はあああっ!!」

 

長さも重さも日本刀に近い雷切はもっとも剣技を使うのに適している。力任せに振り下ろされたブレードを刀の腹で受けそのまま受け流しながら懐に入り込み

 

「まずは1ッ!!!」

 

両足の装甲に搭載されている隠し武器「鎧通」でディースの胴体から両断する

 

「ぐぎゃあッ!!」

 

「トドメだ!!」

 

長曽禰虎徹でディースの胸元を貫く。硬い何かの手応え

 

「シャアアアア……」

 

貫かれた場所から消滅するディース。長曽禰虎徹の刀身には何かの欠片が付着していた。

 

「ワタシの感も捨てたものじゃないなッ!!」

 

背中の旋回式特殊ブースターで加速しながらの側転でその場を離れる。それと同時に雨霰の様に降り注ぐ銃弾の嵐を横目に……さっき消滅したディースが手にしていた剣を蹴る

 

「グギャアアアッ!」

 

それは回転しながら今正にワタシに飛び掛ろうとしていたガルムの口に突き刺さった

 

「はっ!!」

 

間合いを詰めガルムの口の中の剣の柄を掴んで真上に振り上げ、ガルムを両断すると同時に一気に後退し戦況を確認する

 

(ガルムは……後4匹。ディースは……)

 

ワタシを一瞬見失い辺りを見ているディース達は打鉄装着が残り5体。ラファールが6体。通常体が9体……

 

(ほぼ万全と言ったところか)

 

それに比べてワタシは……

 

(出血は軽いが動けは出血は激しくなるのは当然……それにアマノミカゲのエネルギーは残り約半分……武装は……長曽禰虎徹の損傷は甚大、使用出来る回数は良くて9回……)

 

他にAMFの加工が出来た武器はない。ここでという場面で使ったとしても全てのディースは倒せない……となれば回復量を上回るダメージを叩き込むか、コアを粉砕するしかない……

 

「良いさ……ワタシのやることは変わらん……抜けさせてもらうッ!!」

 

漸く見つけれた答えを目前に死ぬわけには行かない……なんとしてもこの場を切り抜ける!

 

 

 

 

 

「無理だ……」

 

私はユウリとネクロの戦いを見てそう呟いた。 確かにユウリは数体のネクロを仕留めているが、まだ敵には全く損傷の無いネクロも居る。それに比べユウリは

 

「くっ……まだまだっ!!!」

 

両手に持っていたブレード。確か長曽禰虎徹とか言う刀の内一本が砕け。背中にある特徴的な可動式のウィングブースター半壊し。目に見えて機動力が落ちている

 

「シャアアアアッ!!!」

 

「くっ……があっ……」

 

ラファールを纏ったディースが切り裂かれた打鉄の影から飛び出し。その腕に搭載された第二世代最強と言われた兵装「盾殺し」をアマノミカゲに突き立てる。次の瞬間パイルバンカーが打ち出されアマノミカゲが弾き飛ばされる

 

「が……ごほっ!?」

 

その勢いで壁に叩きつけられ咳き込むユウリに半壊した打鉄を纏ったディースが迫る

 

「舐めるなぁッ!!! 人形がッ!!!」

 

手にしていた長曽禰虎徹を投げつけると同時に瞬時加速に入り。長曽禰虎徹が打鉄の装甲に突き立った瞬間

 

「おおおおっ!!!」

 

ブースターで加速した拳で柄を殴り長曽禰虎徹を深くめり込ませる

 

「ギャアアアアアッ!!!!」

 

断末魔の悲鳴を上げ消滅するディース。だが……

 

パキャン……

 

無茶をした長曽禰虎徹は中ほどから砕け粒子に還った……

 

「これでAMFの武器は無くなった……」

 

ユウリでもAMFの加工を施すのは長曽禰虎徹2本が限界だったはず……もうディース達に有効なダメージを与えれる武器は無い。となればディースを倒すには回復されるよりも早く畳み掛けるしかない、だがそれをするには

 

「数が多すぎる……」

 

打鉄を展開したのは残り1体だが。ラファールは3機。ISを展開していないディースは7体。今のこの状況では何一つ勝てる要素は無い

 

「……残り11体か……」

 

度重なる打撃でアマノミカゲの特徴的なフルフェイスの頭部装甲はひび割れ、右目が露になっている……だがその目を見て私は驚いた

 

(まだ諦めていない!?)

 

その真紅の瞳に諦めの色は無く。まだ勝つ事を諦めてはいない……何故そんな目が出来る?

 

「ふー……単一能力。核同調(コアトレース)……起動(ドライブ)ッ!!!」

 

フルフェイスが変形し、美しい銀髪がフルフェイスの下から現れ、フルフェイスだった装甲は仮面の様に変化する

 

「単一技能!?」

 

アマノミカゲがセカンドシフトを終えた機体だとは知らなかった……それにも驚かされたが

 

「は、速い!?」

 

今までの機動とは明らかに違う……一瞬で間合いを詰め童子切安綱でラファールを両断し消滅させる。ラファールの手から零れ落ちたアサルトライフルを構え後退しながら引き金を引き続ける。弾が無くなると同時にそれを投げつけ

 

「シッ!!」

 

両腕部から逆手で脇差に似たブレードを抜き放ち、瞬時加速でISを展開していないディースを通り抜けざまに斬り付け、そのまま最高速度を維持したまま上空に逃れるユウリの姿を見て

 

(……本当にユウリはタスクを抜けるつもりなんだな)

 

あれだけの機動力とタイムラグなしの瞬時加速。そしてSEが減れば減るほど威力を増す童子切安綱を抜いた以上。ユウリは恐らくディース達を全て倒し試験に合格する……そうなればユウリは私の敵となる

 

「僅かでも情報を取らせてもらうぞ……ユウリ」

 

タスクで唯一友人と言えたユウリ。それがもしタスクを抜け敵に回ると言うのならかつての友として私が討つのが道理。オータムにもスコールにもやらせはしない、私がやるべきことだ……その為に私は初めてユウリを敵とし戦う為のデータ取りを始めた……

 

 

 

 

(世界がクリアに見える……)

 

風の流れも大気の唸りまで見えるようだ……アマノミカゲの単一技能。「核同調」は言うならばISと操縦者の一体化。つまりISサイズの人間とする技能と言える。行動までのラグや本来なら複雑な制御を持って為される操縦も難なくこなすことが可能になる。

 

「くっ!?」

 

両腕と両肩を生態砲に変化させワタシを狙い撃ちしようとする。ディースから距離を取り。腰の鞘に収められているアマノミカゲ最大の武器。SEが減るほど威力を増す童子切安綱を見る

 

(エネルギー回復まであと2分)

 

童子切安綱は威力の秘密は鞘にある。SEが減れば減るほど鞘はエネルギーを蓄える、抜刀時にそれを解放することで溜め込んだエネルギーを加速力に転化し。破壊力を上昇させる能力を持つ……今のままでも普通の対人戦には充分なエネルギーを蓄えているが、ディースを一撃で倒すにはもっとエネルギーをチャージしなければならない

 

「シャアアアアッ!!!」

 

「はっ!!」

 

背中の装甲を翼に変化させた追いついてきたディース目掛け。胸部装甲に収められている投擲用ブレード「飛針牙」を3本抜き投げつける

 

ドンッ!!

 

命中と同時に爆発する飛針牙。ディースが怯んだ隙に瞬時加速に入りその横を最高速度で通り過ぎる

 

「ギギャア……」

 

アマノミカゲのウィングブースターには翼に見せかけた七支刀「天叢雲剣」がある。それで斬り付けだけのつもりだったが……

 

(ついてるよ。本当にな!)

 

その一撃は運良くコアを砕いていた。牽制のつもりが1体を仕留めた。運が良いにも程がある……だが天叢雲剣は中程から皹が入りもう使い物にはならないだろう……

 

(残りは9体……童子切安綱は3度振れる、それで行けば残り6体……何とかなるか?)

 

しかしこの楽観が良くなかった

 

「!? なにぃッ!?」

 

地面に居たディースの腕が遥か上空まで伸びてきてアマノミカゲの脚部に絡み付いている

 

「ま……まずっ……うぐっ!?」

 

そのまま地面に向かって引き寄せられ。勢いをつけて地面に叩きつけられた

 

「ごはっ!?」

 

その衝撃に思わず息が詰まるが、足に絡み付いていた腕を切り裂きそのまま距離を取る

 

(ぐっ……肋骨をまとめてやられた……それに左足は完全に砕けたか)

 

核同調には致命的なデメリットがある。それは受けたダメージが完全に操縦者に跳ね返ることだ。この状態で絶対防御が発動しようものならばその瞬間にショック死する可能性もある。だから今まで使わなかった……

 

(切り抜ける為とは余りに分の悪い賭けだな)

 

ダメージが思ったよりも大きい。シールドエネルギーは残り100ちょっと……直撃を喰らえば即アウト……だが今のダメージで鞘のエネルギーは最大になった。今ならば鞘に収めればすぐにチャージが終わる

 

「一撃喰らえばアウト……だがこちらの攻撃でもあいつらを一撃で倒せる……良い条件じゃないか」

 

簡単なこと、一撃喰らえばアウトなら全部避ければ良い、核同調している今ならば全てを見切ることも不可能では無い。そしてこちらは抜刀術で一撃必殺でディース達を切り捨てれば良い。これほど判りやすい状況は無い

 

「今のワタシの剣筋を見切れると思うなよ。人形共……」

 

身体のダメージは深刻だが、それ以上に気力が充実している……今ならば出来る

 

「シャアアッ!!」

 

さっきまでは速いと感じていたディースのスピードでさえ遅くスローモーションに見える

 

「禍ツ月……」

 

ザンッ!!!

 

振り下ろされる爪をまずは横薙ぎで切り払い。踏み込みながら童子切安綱でディースを頭から両断し、鞘に収め

 

「はっ!!」

 

背後から迫ってきていた最後の打鉄を展開したディースを胴体から両断し、頭部を踏み潰し。

 

「「グルルルッ!!」」

 

「遅いッ!!」

 

地面に突き立ったままの打鉄用ブレードを蹴り上げ右手で掴み、アサルトライフルを構えていたラファール目掛け投げつける。それは高速回転しながらアサルトライフルの銃口に突き刺さる

 

ドンッ!

 

銃口が塞がれているのに引き金を引いた瞬間。アサルトライフルが暴発する……だがネクロであるこの2機には何の支障もない、しかし一瞬怯んだ隙に

 

「ふっ!!!」

 

瞬時加速で切り込み2体を纏めて両断する……しかし奥に居た方のディースのコアには届かなかったのか。その腕を伸ばしてくるのが見える

 

「甘いッ!!」

 

右側の腰に納めたままの雷切を抜刀し、露出しているコアに突き立てる。それと同時に手の中の雷切から嫌な音がする

 

「グギャアアア……」

 

コアと同時に砕け散る雷切。ネクロのコアの強度は非常に高い、同時打ちと考えれば善戦してくれたほうだ。これで残りはISを展開していないディースが5体。ISを展開してないとは言え脅威である事は間違いないが……

 

「今のワタシを止めれると思うなよ」

 

ISを展開しているのならばいざ知らず、ISすら展開していないディースに負ける気がしない。それほどまでにワタシの集中力は増していた……

 

 

 

 

 

 

ザンッ!!!

 

「貴様で終わりだ」

 

最後の1体を両断する……ダメージはかなり大きいが、そのおかげでディースのバリヤを貫通するだけの攻撃力を得る事が出来た……

 

「試験は終わりだろう! バリヤを解除しろスコール!」

 

海に面した側のバリヤが解除される。そこから出て行けということか……

 

(出血も多い……骨も折れている……だがワタシはやりきった……)

 

核同調を解除しバリヤが解除された所に向かっていると……

 

『ユウリ! 避けなさい!!!』

 

スコールの怒声に従い横に飛ぶと。ワタシの居たところに巨大なレーザーの様な光の柱が突き立つ

 

「何のつもりだ? ネルヴィオ?」

 

ナックルガントレットを展開しクスクスと笑っているネルヴィオは

 

「うん。脱退おめでとう……じゃあ死んでよ。 タスクの人間は殺さないと言ったけど抜けたんだよね? じゃあ殺しても何の問題も無いよね?」

 

邪気の無い笑みを浮かべるネルヴィオに

 

『ネルヴィオ! 約束が違う!』

 

「スコール……約束は破るものなんだよ……それにここまで強くて魔法を独学で解析する天才を手放すほど私達は馬鹿じゃあない……」

 

左手から放たれた光弾がスピーカーを砕く

 

「じゃあ。邪魔者の声も聞こえなくなったし……さくっと死んじゃってよ♪」

 

ヒュッ

 

「なっ!? ごふっ!」

 

「あはっ♪ 肋骨頂きッ♪」

 

一瞬でワタシの間合いに入り込んだネルヴィオの肘鉄がワタシの肋骨を纏めてぶち砕く

 

「じゃあ次は顔かな!」

 

「くっ!」

 

顔目掛けて振るわれた拳を防ぐが……

 

「はい、右足もーらいっ♪」

 

「ツ!? ぐあっ!?」

 

ISの装甲ごと右足が蹴り砕かれる……身体がくの字に折れたワタシの腹に

 

「滅殺無拳……懺拳拷破「バイウェルガイスト」

 

闇色の輝きを放つネルヴィオの拳が腹に突き刺さる

 

「ごぶっ……ぐはッ……」

 

肺から強制的に酸素が吐き出される。そしてそのまま殴り飛ばされる

 

「ぐうう……化け物め」

 

「酷いなーこんな美女に化け物は無いんじゃない♪」

 

にこにこと笑いながらネルヴィオは

 

「ユウリのISのデータも欲しいし、ユウリの身体も欲しい。きっと貴方は良いネクロになる。もしかするとこの世界初のLV4に成れるかも……だから早く死んでよ」

 

「ふーなるほど……お前の言いたい事は判った」

 

「じゃあ死んでくれるのかな?」

 

にこにこと笑うネルヴィオに

 

「ああ、降伏しよう……今のワタシではお前に一矢報いることすら出来ん」

 

ISはかろうじて展開を維持してる状態、ワタシ自身もう既に剣を振るだけの体力もない……

 

「ふっふー♪ 素直なのは良いことだよ。じゃあ殺してあげるよ♪ 苦しまないように一撃でね!」

 

装飾もなにも施されていない無骨な剣を取り出し構えるネルヴィオに

 

「降伏はする。だがアマノミカゲもワタシも貴様の思い通りにはならん」

 

握りこんでいたスイッチを顔の前に持ってくる

 

「もう1度言う……降伏はする。だがアマノミカゲもワタシも貴様の思い通りにはならん」

 

「まさかっ!?」

 

ワタシのやろうとしている事に気付いたネルヴィオが飛び掛ってくるが

 

「もう遅い……」

 

カチッ!

 

アマノミカゲの装甲に搭載されていた、2キロにも及ぶ高性能爆薬が一斉に炸裂した……

 

凄まじいまでの爆発に流石のネルヴィオもプロテクションを張って耐えるしかなかった……

 

「くっ……ユウリ・クロガネぇッ!!!」

 

爆風が収まると既にユウリの姿は無かった。残っていたのは罅割れたアマノミカゲの装甲と、血痕のみ……怒りが収まらない表情でネルヴィオは

 

「折角私が! ネクロにしてやるって言ったのに!!」

 

どす黒い炎をその目に宿しながら残ったアマノミカゲの装甲を全て踏み砕き

 

「もう良い! 帰るッ!!!」

 

そう怒鳴りネルヴィオは闇に呑まれる様に姿を消した……1人残されたセリナは

 

「……判る。ユウリは生きてる……ちゃんと逃げてね……ユウリ」

 

さっきまでとは違い、落ち着いた声でそう呟くと立ち上がり

 

「……もう……無理みたいね。……あ?……ネルゥ? ネルどこ~? かえったのかな~じゃあワタシもかえろう♪」

 

急に淀んだ目になりネルヴィオと同じ様に闇に溶け込むように消えていった……

 

 

 

 

~IS学園近くの海上~

 

「うっ……」

 

自爆したはずのユウリは生きていた。ユウリはAMFだけではなく1度だけの使いきりになるが、プロテクションの発生装置の作成にも成功していた。それが爆発のショックを和らげ彼を海の方に向かって弾き飛ばした。

 

だが彼は紛れも無く重症で意識を失ったまま海面を漂っていた……そんな彼を見つめる蒼い目

 

「……貴方にはまだやるべきことがある。ここで死んだら駄目」

 

静かにそう呟いた何者かは海面に浮かぶユウリを抱えその場を飛び去った……

 

第49話に続く

 

 




えーと話の原型はガンダムWのゼクスのOZ脱退試験とヒイロの自爆シーンでしたが……正直どうでしたか?

もっと上手くやりたかったと思います。うーん……イメージはあっても形にするのは難しいというのを久しぶりに感じました。要修行ですね、次回もまたオリジナルの話になります
それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします
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