IS~現れたる神なる刃【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回はユウリさんをメインにした話になります、次回からは夏休み編の話に入って行こうと思います
その夏休み編の途中で龍也さんの正体が一夏達にバレる話にしようと思っています。それでは今回の更新もどうか宜しくお願いします



第58話

 

第58話

 

気が付いたら俺は食堂の椅子に縛り付けられていた。何を言っているのかまるで判らないと思うが、事実だ。しかもしっかりと制服姿、自分で着替えた覚えは無いのだが……いや、よそうこの事は深く考えていい問題じゃない。犬に噛まれたとでも思って忘れるべきだ、主に俺の精神衛生上のために

 

「「……」」

 

メンチを切りあっている鈴とシャルの姿。俺が何があったのかを真剣に考えていると

 

「む? 起きたか一夏」

 

「ああ、起きたぞ箒。ところで何故俺は椅子に縛られているんだ?」

 

朝食のトレーを持って来ていた箒にそう尋ねると、箒の代わりにセシリアが

 

「鈴さんが一夏さんを肩に担いで来たのですが?」

 

「ああ、なるほど。また扉が破壊されたんだな」

 

3重の鍵に加えて、鉄板で強化したんだが、魔王の前ではまるで効果が無かったようだ

 

「まぁほら。そう気を落すな、一夏」

 

「ああ、ありがとラウラ、所でこの鎖壊せないか?」

 

「すまないが無理だ」

 

ラウラでも破壊できないか。となるとはやてさん印の捕獲アイテムなんだろうな、となるとこれを外せるのは鈴かシャルだけか……脱出方法はないと悟り俺は遠い目で天井を見つめる事しか出来なかった。俺から気まずそうに目を逸らしながら朝食を食べる箒達を見ていると

 

「「一夏!」」

 

「は、はい!」

 

鈴とシャルに同時に名前を呼ばれ、思わず背筋を伸ばしながら返事をすると

 

「「どっちを食べる!?」」

 

差し出されたのは明らかに手作りだと思われる朝食が2つ……俺はそれを見て

 

「両方は?「「駄目」」……そっか」

 

両方とも寮が少ないので両方とも大丈夫だと思いながら言うと、即答で駄目と言われてしまった。どっちかを選ぶとなると

 

(鈴のはオーソドックスな中華粥。 シャルは鯵の開きと味噌汁)

 

どっちも美味そうなのだが、何か混ざられてそうな気がする……

 

(どーするかなー)

 

俺が遠い目でどうするか考えていると、食堂に点けられているTVから

 

『本日未明。更識家・天乃宮家の両家から3人目の男性IS操縦者が発見されたと発表されました』

 

ぎゃーぎゃーと騒いでいる鈴とシャルに

 

「ちょっと静かにしてくれ! ニュースが聞こえない!」

 

俺がそう怒鳴ると2人もTVを見て

 

「え? 3人目の男性操縦者?」

 

「この人って前の学園新聞の見出しの人だよね?」

 

魔王化モードを解除して俺と同じ様にニュースを見る鈴達を横目に見ながら、アナウンサーの言葉に集中する

 

『年齢は17歳。国籍は日本、IS整備士と活動している際にISの起動に成功し。更識家・天乃宮家の両家に保護された「ユウリ・クロガネ」は近日中にIS学園に転入となるそうです。なお両家から専用機も与えられるとの事です』

 

「元IS整備士か……どこぞで会ってるかもしれんな」

 

「そうですわね。専用機持ちなら整備士に会う事も多いですしね」

 

うんうんと頷きあうラウラとセシリアを見ていると、モニターに写真が映し出された。長い銀髪を首元で束ね、ルビーのような真紅な瞳をした鋭い目付きの男子だった

 

「……うん? エリスに似てないか?」

 

箒が首を傾げながら呟く。確かにクロガネさんはエリスさんにどこと無く似てる気もする

 

「他人の空似だろう? エリスに兄がいる等聞いたこともないしな」

 

ラウラがそういうのを聞いていると、千冬姉が食堂に入ってきて

 

「いつまで食べている! 食事は素早く済ませろ!」

 

ぱんぱんと手を叩きながらそう怒鳴る、ふと時計を見るともうすぐ予鈴がなる時間だ

 

「やば!? 頼むから鎖……あ、あれ?」

 

目の前に突き出されたスプーンと箸。

 

「「はい! 口開ける!」」

 

「じ、自分でもがっ!?」

 

無理やり突っ込まれる御粥と鯵の開き

 

(ま、不味い!?)

 

中華粥と魚の開きは悪夢なまでに合っていなく。本来なら美味しい筈のそれは不味いとしか言いようの無い味になっていた……

 

 

 

 

「合同発表には出なくて良かったの?」

 

アマノミカゲの制御プログラムの調整をしているのをずっと見ていた、楯無が不意にそう尋ねてくる

 

「人前に出るのはあまり好きじゃない」

 

振り返らずに返事を返しながらプログラムを見る。右足のブースターと背部ブースターのプログラムの再構築が必要だな……新型のパーツが多く手に入ったから個々のプログラムも組み直した方が良いな。私の作業をじっと見ている楯無に

 

「お前は良いのか? そろそろ授業だろう?」

 

そう尋ねると楯無は腕時計を見て、慌てて地下の研究室を出て行った。そんなに慌てるならこんな地下まで来なければ良いのにと思いながら、深く溜め息を吐き1度作業を中断し、修理中のアマノミカゲを見る。胸部装甲と左腕右足が完全に破壊されている。ブースターだって1から作り直しになる、パーツもフレームもあるが……問題は時間だ

 

(今日の発表で確実にタスクもネクロもワタシの生存に気付いた。そうなれば近い内に襲撃が来るの間違いない)

 

そして襲撃してくる可能性が高いのはマドカの可能性が高い。マドカ1人だけならいざ知らず、ネクロも何体か手駒を出してくる。今IS学園でネクロと戦えるのは

 

(ツバキと千冬……あとは楯無位か)

 

他の代表候補や教諭では役に立たない所か、ネクロに寄生されISごと奪われるのは目に見えている

 

(修理だけではなく、使える人間の確保が重要だな)

 

とりあえず今出来るのはアマノミカゲの修理に集中する事だ。完全に破損しているパーツだけでも修理しないと不味い。考え事に耽っていると

 

「ユウリ。何してるの?」

 

「何とは何だ?」

 

研究室に来たツバキが信じられない物を見るような目で尋ねてくる。その意味が判らず尋ね返すと

 

「今日から体験入学してもらうんだけど? 言わなかったっけ?」

 

「聞いてない」

 

即答し作業に戻る。今日からと言われてもまだ何の準備もしていない、それに夏休みまであと1日ある。明日でも良いだろう……そんな事を考えているとツバキは携帯の画面を見て

 

「……あ、送信してなかった」

 

「馬鹿か貴様は?」

 

あははと乾いた笑い声を上げるツバキに

 

「明日なら出る。今日は作業に集中させてくれ」

 

「まぁ、連絡して無かった私が悪いんだし、仕方ないか……じゃあ、明日はちゃんと出席してね?」

 

「判った、判った」

 

そう返事を返すとツバキは自分の研究フロアに向かって行った。ワタシはゆっくりと歩いて行くツバキの後ろ背を見ながら、アマノミカゲの修理を再開した

 

 

 

 

 

『国籍は日本、IS整備士と活動している際にISの起動に成功し。更識家・天乃宮家の両家に保護された「ユウリ・クロガネ」は近日中にIS学園に転入となるそうです。なお両家から……』

 

見ていたTVの電源を切り目を閉じる

 

(上手く合流できたみたいね)

 

ユウリが自爆し死んだと思っていたが、私が思うよりも悪運が強かったようだ。

 

(これであのUSBメモリは八神龍也の手に渡った。後は……彼が主導になってネクロに備えてくれれば)

 

八神龍也にパンデモニウムの情報を渡すのが目的だった。その目的が達成出来た以上、後の心残りは1つ

 

(マドカをどうやってIS学園に送るかね)

 

マドカはまだ何とかなる……問題は山ほどあるが、何とか彼女も向こう側に送りたい。最近ますますそう思うようになってきた

 

「スコール。やっぱり……実働部隊の過半数の連絡がつかない」

 

バサリと投げ渡された書類に目を通す、消息不明の部隊はどれも最後の任務で、ネクロと共同任務となっている。

 

「そう……予想通りと言えば予想通りだけど、実際に聞くと大分堪えるわね」

 

最近連絡のつかない実働部隊が多い。10の部隊の内7つの隊と連絡がつかない。残るのは本部直属の隊だけだ……本部では連絡のつかない隊は極秘任務だと言っているが

実際がどうなのか考えるまでも無いだろう。渡された書類を見ながら、

 

「ありがとう、オータム。下がって良いわ」

 

「ああ、一応こっちでも近くの部隊の隠れ場所を見に行ってみる」

 

「お願いするわ、近くだと……データ奪取を主にした部隊が居たわよね?」

 

倉持技研や日本のIS研究所にハッキングを仕掛ける。ハッカーの部隊が居た筈、その隊とも既に連絡がつかなくなって1週間。そこのリーダーは私と同じく昔からタスクに所属していた人間。今のタスクのおかしさに気付いていて本隊のハッキングを引き受けてくれた、もしかすると何らかの情報を手にしたから処分されたと考えると辻褄が合う。

 

「ラクシュミに気をつけて」

 

前に私と対談に応じたネクロ。さまざまな姿を持ち戦闘能力を持たない代わりに、凄まじいまでの情報収集能力を持ったネクロに気をつけろと言うと

 

「ああ、じゃあな」

 

オータムは頷き部屋を出て行った。破壊工作に長けたオータムはそれと同じくらい隠密行動にも優れている。もし処罰されたと言え、集めた情報を無にするような馬鹿ではない。どこかに集めた情報を隠している筈、それの回収をしたい。今のタスクが何を考えているか私達は知らなければならない

 

(裏の情報の中にある、第一世代のIS操縦者の失踪事件。そして第1回のモンドグロッソの際に使用されたISデータの損失)

 

何か私達では想像も付かないレベルで物事が動いているに違いない。私は読んでいた書類をシュレッダーに掛ける為に立ち上がった所で

 

「スコール。話がある」

 

「マドカ? 何かしら?」

 

書類を机の中にしまい。尋ね返すとマドカは決意の色を映した瞳で

 

「ユウリの始末を任せて欲しい」

 

強い口調のマドカの言葉に少し考える……ユウリはマドカのISの整備を全てしていた。気難しいマドカが唯一気を許したとも言える、ユウリが裏切ったのが許せないのだろう

 

「ISはどうするのかしら?」

 

ゼフィルスは今ネクロの元にあり、使用出来ない筈。だからISをどうする? と尋ねるとマドカは待機状態のISを私の前に置く

 

「……このアスモデウスを使う。あいつが組み上げたISでユウリを討つ」

 

アスモデウス。最初期型のラファールをユウリが改造したIS。そしてマドカがゼフィルスを手にする前に使用していたIS……

 

「良いわ。任せる……だけど、すぐには駄目よ」

 

「何故だ」

 

鋭い眼光のマドカに私は

 

「ユウリが居るのはIS学園。IS学園に八神龍也が居る以上、タスクだけで動くわけには行かない。判るでしょう?」

 

「……判った。では機会を待つ」

 

「ええ、そうして頂戴」

 

納得と言う感じで頷き、部屋を後にするマドカを見ながら。私は内心笑っていた

 

(流れが来たわね)

 

こちらからユウリの始末を言い出せば、ネクロ側も幾つか手駒を出してくれるだろう。それに紛れればマドカをタスクからIS学園に送る事が出来る、これはハッキリ言って

好都合……だが

 

(ネクロとの共同作戦。しかも当人にはIS学園に行く気が無い)

 

条件的にはかなり不利だ。ユウリは積極的にタスクを出ると言っていた、だからこそあのユウリの脱走は成功したような物だ。

 

(……となると私が取れる手段は1つ)

 

八神龍也に託したUSBメモリ。それがマドカをタスク。いえ……ネクロ側から切り離す事の出来る唯一の鍵となる。そしてその1回だけが唯一のチャンス、それを逃せば

次は無いのだから……

 

 

 

翌朝

 

教室で授業の準備をしていると、ガラリと教室の扉が開き

 

「……」

 

不機嫌そうな顔でユウリが入って来ると同時に私でも耳を塞ぐような、歓声が響き渡る

 

「うそ!? 会長の婚約者超格好良い♪」

 

「いいなー、私も恋人欲しいな~♪」

 

きゃいきゃいと騒ぐクラスメイトを掻き分け、私の隣のイスに腰掛けたユウリは机に突っ伏した。その顔は疲労困憊その物で私でも話しかけるのは不味いなって思うくらい不機嫌そうな顔をしていた

 

(休憩時間にでも話せば良いか)

 

どうせ今日で夏休みで、半日で授業も終るし……と楽観的に思っていたのだが

 

休憩時間になると、クラスメイトだけではなく。他のクラスの生徒も来てユウリを囲んであーだこーだと質問を繰り返している

 

(あっ。凄いイライラしてる)

 

ポーカーフェイスだから判り難いが、凄まじくイライラしているのが判る。それに目で

 

(助けろ)

 

と訴えている。私は注目されるのは嫌だったが

 

「ユウリ。ちょっと話が」

 

「あ、ああ」

 

助かったと言う感じのユウリと共に教室を出ると、教室から

 

「あー私達が囲うから会長が怒ちゃった」

 

「会長も嫉妬するんだね。以外♪」

 

きゃいきゃいと楽しげな声に私は

 

「なんか……ごめんね?」

 

「いい……ワタシも女子の事を甘く見すぎていた」

 

2人では深い溜め息を吐きながら

 

「あと2時間だから頑張って、怒鳴ったりしないでね?」

 

「……善処する」

 

そう言うユウリだったが、結局3時間目の休憩で

 

「やかましいぞ! 貴様らッ!!!」

 

我慢の限界が来たのか、凄まじい大声でそう叫んだ……

 

その一喝が聞いたのか、女子達はびくりと肩を竦め各々の椅子に戻って行った

 

(限界だった?)

 

(ああ)

 

私がそう尋ねるとユウリは机に突っ伏したまま。そう返事を返した……私でもうるさいと思ったのだから、ユウリが叫ぶのは無理も無いと思った……

 

 

 

 

 

女子があれだけ群れるとうるさい物だとは思っても見なかった。半日だけとは言え体験入学は酷くワタシの精神を削った

 

(明日から夏休みで本当によかった)

 

暫く女子に会わないように地下の研究室に篭ろう。それが良い、どうせアマノミカゲも修理しないとならないしな。ワタシは鞄を手に地下の研究室に直行しようとすると

 

「なんだ?」

 

「どこに行くのよ?」

 

ワタシの手を掴んだ楯無に小声で

 

(アマノミカゲの修理に行く)

 

(ご飯は?)

 

(カロリーメイトで良い)

 

どうせ1回研究室に篭るとカロリーメイト漬けになるしなと思いながら言うと

 

「えー折角だから、食堂で食べましょうよ」

 

「騒がしいから嫌だ」

 

もうあの黄色い歓声は嫌だ。鬱陶しい事この上ないと思いながら言うと

 

「だいじょーぶ♪ だいじょーぶ♪ 私が居るし。そんなに騒がしくはならないと思うよ」

 

「……本当だろうな?」

 

ジト目で尋ねると楯無はにこりと微笑み

 

「本当よ」

 

ならば信じてみるか、カロリーメイトで良いとは言え、やはりちゃんとした食事の方が良いしなと思い。2人で食堂に行ったのだが

 

「きたー♪」

 

「やっぱり2人で来たわね、ちゃんと取材しないと」

 

何十にも女子が待ち構えていた、ワタシは隣の楯無を睨んで

 

「おい」

 

「あははは……これは予想外」

 

しまったと笑う楯無。引き返そうにも囲まれてるから退路が無い……どうした物かと考えていると

 

「お? ユウリ、楯無。こっち来いよー」

 

その呼び声で女子達の波の一箇所が崩れる。その声の主は

 

「よっ♪」

 

人の良い笑みを浮かべた、ワタシと同年代の姿をした龍也だった。普段は何を考えている? と疑う所だが今のワタシにはその呼び声はありがたく、楯無の手を掴んで龍也の元に向かった。

 

「随分と疲れたみたいだな?」

 

「……うるさい」

 

くっくと笑う龍也を睨みながら言うと、楯無が驚いた顔で

 

「え、えーと。知り合い?」

 

きょろきょろと不思議そうな顔をしている。その顔で気付いた、楯無は龍也の事を何一つ聞いていないと。どう説明するものかと一瞬考えた瞬間

 

「ああ、今日廊下でバッタリ会ってね。そこで数少ない男子生徒同士だ、暫く話していたのだよ」

 

何一つ動揺する事無く嘘を言い切る龍也にあわせて

 

「教室に行く前にバッタリ出くわしたんだ」

 

話を合わせておいた方が良い、下手に勘ぐられるのは面白くないしな。

 

「ふーん? そうなんだ」

 

ワタシの話を信じたのかどうか判らないが、頷く楯無と龍也と共に昼食を終えた所で

 

「楯無。少しばかりユウリと話をしたいのだが良いかね?」

 

にこにこと笑う龍也。この話と言うのは恐らくワタシが手渡したUSBメモリの話だろう。

 

「うーん。まぁ良いわよ? でも後で私の部屋に案内してね?」

 

「ああ。ちゃんと案内するよ」

 

そう笑う龍也に連れられ、食堂を後にした

 

 

 

 

「大分参っているようだな?」

 

林の周りに結界を張りユウリに尋ねると

 

「まぁ……な」

 

疲れたように言うユウリにご苦労様と声を掛けてから、受け取ったUSBメモリを見せて

 

「このメモリの情報はとてもありがたかった」

 

「中に何が保存されていたんだ?」

 

首を傾げながら尋ねてくるユウリに

 

「中に保存されていたのは。最悪の戦略兵器の同型機の改修計画書だった」

 

少々大げさかもしれんが、この世界の科学力では太刀打ち出来る兵器ではないよな、かつてクラナガンを半壊にまで追い込んだパンデモニウムの猛威を思い出しながら言うと

 

「最悪の戦略兵器だと?」

 

案の定ユウリガ食いついてきた。この世界では唯一ネクロに関する情報を知ってるだけあるか……

 

「ああ、もし完全な形で稼動すれば半日も関わらず日本なら、更地になるだろうな」

 

パンデモニウムの魔力砲と誘導型のビットが完全な形で再生されたなら。この世界の科学力では対抗出来る訳がない

 

「何を他人事の様に!「話は最後まで聞け。この世界では動力や修理に使う材料が無い、どう足掻こうが完全な形での再生は不可能だ」

 

魔力を伝達する金属に、誘導型のビットの修理に必要なデバイスコアも無い、どう足掻こうが完全な修理は不可能だ。ジオガディスが使用した時も魔力砲の修理しか出来なかったのだ、科学力が数段劣るこの世界での修理は不可能だ

 

「そ、そうなのか……では改修案とは?」

 

「すまないが、そこまでの情報は無い。判っているのは攻撃系の武装の大半を諦め、防御能力に特化させる改修をする事だけだ」

 

攻撃的な性格のはずのネクロが防御的な改修。なにか裏があると見て間違いないだろう

 

「他に情報は?」

 

「何百重にもプロテクトが合ってね。流石にそう簡単に解除できない」

 

それに専門のPCもないし、この世界のPCでの完全な解析は難しい

 

「流石のお前でも難しいと言うわけか?」

 

弱点見たりと言う顔のユウリに

 

「うむ。古代ベルカ語ばかりでね、専門家でも難しいのだよ」

 

ネクロが書く書物の大半は古代ベルカ語だ。現代ベルカ語とは文法が違いすぎて理解できない

 

「まぁその内には解読できるさ。さてと本題なのだがね、どうも近い内にネクロの襲撃があるかもしれないと言う事なのだよ」

 

パンデモニウムより深刻なのはそっちだ。

 

「IS学園の関係者には?」

 

「まだ話は通していない。夏休み中に機会を見て話すつもりだ」

 

なにせその襲撃の件を分析出来たのは昨日だ。話余裕など無かったしな

 

「何故ワタシに最初に教えた?」

 

「事情を知ってる人間のほうが話しやすいだろう? 一々説明する手間も無くて楽だからな」

 

そう笑いながらユウリの隣を通り過ぎながら

 

「では、その時までは同じ学園の生徒として頼むよ。ほれこい、楯無の部屋に案内してやるから」

 

釈然としない表情をしながらも着いて来るユウリは、ふと思い出したように

 

「お前のISを分析させろ。同じ生徒なんだから構わないだろう?」

 

「……なるほど、しっかりしてる」

 

私のISを解析すれば色々判ると踏んでいるのだろう。まぁ別に良いか

 

「良いぞ。私がISの調整をしてる時に幾らでも解析させてやる」

 

そう簡単にデバイスの情報が解析出来る訳無いしな。この後はこれといった話をするわけでも無く、互いに無言で寮にと戻って行った……

 

第59話に続く

 

 




次回からは夏休み編ですね。4巻の話の一部にオリキャラや簪さんを混ぜながら、オリジナルや原作ありの話を改造してやろうと思います
それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします
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