それでは今回の更新もどうか宜しくお願いします
第59話
夏休みのある日。ISの学生寮の一室で
「エリス。これどうしよう?」
急にいけなくなったとかいう理由で譲り受けた、ウォーターワールドのチケットをエリスに見せながら尋ねる
「誰か誘っていけば良いんじゃないですか?」
ベッドに寝そべりながら、興味がなさそうに言うエリスに
「じゃあ、エリス一緒に行こうよ」
「それは嫌です」
即答で嫌だと言うエリス。エリスは人が大勢居るところが余り好きではない、断られるとは思っていたが。それではせっかくのペアチケットが余りにもったいない
「じゃあ、誰を誘えば良いの?」
私が誘って着いて来てくれそうなのは、本音かお姉ちゃん位だけど……私がそんな事を考えているとエリスは
「龍也君でも誘ったらどうですか?」
何かの本を見ながらそういうエリス。確かに龍也君を誘うのも良いかも知れないが
「来てくれるかな?」
私が誘って来てくれるかと言う不安がある。長い付き合いのエリスは私の不安を感じ取ったのか、若干の呆れ顔で
「誘わないであーだこーだ考えるのは良くないと思いますよ」
考えすぎるなと言うエリスに
「……判った。聞くだけ聞いてみる」
とりあえず聞くだけ聞いてみようと思い、チケットをポケットにしまいながら
「どこに居ると思う?」
「整備室じゃないですかね? さっきジュースを買いに行った時に歩いていくのを見ましたよ」
そっか、じゃあまだ居るかもしれない。私はそう思って自室を後にした
「うん? ああ、なるほど……ここはこうなっているのか」
ぶつぶつと整備室に響く声は龍也君の物じゃない。ここには居ないのかな?
「ああ、ここの回路とそっちの回路と連携してるんだ」
龍也君の声も聞こえてくる。誰か一緒かもしれないけど行ってみよう。私はポケットの中のチケットを触りながら整備室に足を踏み入れた
「ん? 楯無妹か」
龍也君と一緒に居たのは先日の学園新聞でお姉ちゃんの婚約者と紹介されていた、3人目の男性IS操縦者のユウリ・クロガネさんだった。つなぎを着て龍也君の白銀のIS「インフィニティア」にコードを何本も繋ぎ。メンテナンスをしていたようだ
「簪だ」
「ワタシは知らん。で? この動力の回路はどういう仕組みだ?」
「それは機体の翼と連動している、良く見ろエネルギーバイパスが繋がってるだろ?」
「ん? ああ、これか? 随分と細い回路だが見落としていたな」
私でも理解できない、ISの整備の話をしている龍也君に
「あ、あの龍也君。ちょっと良い?」
「ん? 私か? 判った、ちょっと席を外すぞユウリ」
「判った、1度調べたデータを纏めるから問題ない」
ユウリさんに声を掛けてから私の近くに来た龍也君に
「あ、あのね? これ」
ポケットからウォーターワールドのチケットを手渡す
「ん? これは?」
差し出されたチケットを不思議そうに見る龍也君に
「えっと、近くに出来たウォーターワールドのチケット。明日までで一緒にいってくれる人も居ないし……良かったら一緒にどうかな?」
はやてさんとかも居るし多分駄目だよねと思いながら、尋ねると龍也君は
「良いぞ、別に」
「え? い、良いの!?」
まさかOKが貰えると思わず思わず大声で尋ねると龍也君は
「うん。別に構わんよ? で日にちは当然明日だよな。時間はどうする?」
「えーと10時にウォーターワールドの門の所で」
「判った、じゃあ明日」
私は龍也君に見せていたチケットをポケットに戻して、私は整備室を後にし自室に戻った
「どうでした?」
「OKだった」
了承を貰えた事を言うとエリスはにこりと微笑んで
「良かったですね。簪」
「う、うん!」
とりあえず水着とか用意しないと、私はクローゼットにしまっていた水着を探し始めたのだが。後ろで私を見ていたエリスは
「水着だけで良いんですか? 私服は?」
「……エリスぅ」
「はいはい、色々と考えてあげますよ」
仕方ないなあと笑うエリスにありがとうと言って私は明日に向けて準備を始めた
エリスと簪が奮闘してる頃。整備室の龍也とユウリはと言うと
「この材質は、普通のISと違うな? 2重いや3重には加工してるな?」
ほう。なかなか鋭い……従来のISの材料にデバイスを混ぜ、さらに魔力加工を施している。もちろん見かけは普通のISと同じ感じにしてあるからぱっと見で判る物じゃないはずなんだが、それだけユウリが優秀ということか……
「正解正解、で? 加工方法は判ったかな?」
この加工方法はジェイルが独自に開発したもの、私やはやてといった高位魔導師の魔力に耐えれるように独自の技術で開発された。新型のデバイス装甲だ。そう簡単に判る物ではないと思いながら尋ねると
「……いずれ解明してやる」
判らないという事が苛立つのか、若干眉をしかめながらそう返事を返すユウリを見て
「はっはは、そう簡単に出来るかなー」
半デバイスのインフィニティアの解析に奮闘しているユウリを見ながら、私は笑った……気難しい奴かと思っていたが案外面白い奴だ
(おかしいわね?)
昨日一夏の部屋に遊びに行き、友達から買い取ったウォーターワールドのチケットを見せ。一緒に行く約束をしたのにまだ一夏が来ない、その事に
(まさか忘れてる? もしかして嫌われてる?)
今までの自分の行動を考えると嫌われている可能性も捨てきれず、不安に思っていると
「ん?」
「あら?」
ウォーターワールドの前で偶然セシリアを見つけ、互いにぱちくりと瞬きをした後
「こんにちわ。鈴さん」
「う、うん。セシリア、こんにちわ」
なんでここに居るんだろうと思いながらも返事を返す。
(どうしてここにいるんだろう?)
どうしてここにセシリアが居るのか気になった物の
(まぁもう少しすれば来るでしょ)
楽観的にそう考えあたしは一夏が来るのを待った
~20分後~
(だぁ! 遅い! 何やってるのよ! あいつはぁ!!!)
怒りに身を任せ地団駄を踏んでいると携帯が鳴る。イライラしながら携帯を取り出す、表示は一夏
「もしもし!? あんた何してるのよ! 今どこ!? シャルロットかブラコンに捕まった!?」
遅れた可能性として最も有り得る事を考えながら尋ねると
「捕まった……うん、そうとも言えるかもな」
「今行く、シャルロットかブラコンに殺してやるって伝えて」
人のデートを邪魔するような奴は殺してやる、あたしにはその権利がある。
「あーいやな? 千冬姉が伝え忘れてたらしいんだけどな? なんか倉持技研の研究者が来て白式のデータを取りたいって言っててだな」
「それで何?」
「まじですまん。今日はいけそうにない」
「なぁ!?」
脳裏に高笑いしてるブラコンの姿が思い浮かぶ、恐らくこういった事態を想定して業と伝えなかったとしか思えない
「でな? 昨日のうちにお前に伝えておこうと思ったんだけど。お前寝てるし、シェンさんも出てこないしさ?」
……少々張り切ってしまって勝負下着を見てる時にからかわれて、反射的に意識を刈り取ってしまった。
昨日の内に聞いていたのなら!! ブラコンとやりあうことになろうが、なんとしても一夏を、なんなら誘拐しても良いから連れて来たと言うのに
「というわけでだ」
「うん」
「セシリアにチケットやったから。一緒に遊ぶと良い」
その言葉を一瞬理解できなかった。え? あたしがセシリアとデートすんの?
「ふふふふ、ふざけんぁッ!!!!」
怒りに身を任せそう叫ぶと一夏は
「すまん! マジですまん!!!! 今度絶対埋め合わせするから!!! 「一夏! 何を喋っている! 早く書類に目を通せ!」
一夏を怒鳴るブラコン女の声がする。一夏に変われと言おうとしたが
「すぐ行かないといけなくなった。悪いんだけど文句は後で聞く! じゃあ」
言うだけ言って電話が切られる、ツー、ツーと言う音を聞いていると徐々に怒りがこみ上げてくる
「く、く、くっ……」
携帯を握り締める。手の中でメキメキと携帯が軋んでいるが、そんなのはどうでも良い
「あの、鈴さん? どう」
あたしの様子が気になったのかそう尋ねてくるセシリアの声を聞いた瞬間。あたしの中で何かが切れ
「ふざけんなぁ! コラァッ!!!!」
手に持っていた携帯を地面に叩きつけ、おもいっきり踏み砕く
「はーはー」
怒りのあまり目の前が真っ赤になる、大きく肩で息を整えながら与えられた情報を整理していると
「ど、どうなさったんですか!? 何ごとです!?」
慌てて尋ねてくるセシリアにあたしは
「嵌められた。良い、一夏はブラコンに捕まった」
結論から言ってブラコンが何らかの方法で、あたしと一夏が出かける情報を得て。業と用事を用意したとしか思えない
「はい?」
意味が判らず首を傾げるセシリアに自分の分のチケットを見せながら
「この! チケットは! あたしが一夏と行くために準備したの! それを知ってブラコンが邪魔しやがった!! 死ね! あのブラコン女アアアア!!!」
感情任せにそう叫ぶ、周囲の人間が何ごとかとあたしを見るが
「何見てんのよ! 殺すわよ!!」
憎悪100%および殺気100%で叫ぶと
「「はひっ!!!」」
返事をして逃げていく周囲の人間を睨んでいると
「り、鈴さん」
「あ? なによ?」
あたしの本気の殺気に怯えながらもセシリアは
「と、とりあえず中で何か飲みましょう。ねっ? 奢りますから」
「……そうね。とりあえず何か飲むわ」
踏み砕いた携帯の残骸を拾う。あっメモリは無事だ。無意識でもメモリは踏んじゃいけない物とは判ってたようだ、あたしはセシリアにおちついてと言われながらウォーターワールドのゲートを潜った
「一夏、早く準備をしろ」
「判ってるって、えーと書類ってこれで全部?」
目の前で書類と奮闘している一夏がそう尋ねてくる。夏休み中必ずあの化け猫が何かを仕掛けてくると踏んでいた為、業と一夏に渡してなかったISの書類。内容は謎の形態変化をした白式と現在の白式・白雪の解析についての書類だ
「ああ、それで最後だ。急げ倉持技研の開発チームが来るぞ」
と言うか、私が指定した時間に来るように言い聞かせてある。こういう時ブリュンヒルデの名は非常に役に立つ
「判ってる! えーとこれでよし! 千冬姉確認頼める? 着替えてくるから」
「ああ。とっとと着替えて来い」
一夏は化け猫と出掛ける予定だったのか私服姿だ、このまま倉持技研の面子と顔を合わせる訳にも行かないので、着替えに行くという一夏の後ろ背を見ながら
(ふふん、そう簡単に一夏を連れ出せると思うなよ。馬鹿どもめ)
私の目が黒い内は一夏とのデートなど誰が認めるものか
(さてと話し合いが終わったら、食事にでも行くか)
私はそんな事を考えながらゲートの前まで来ている、開発チームの出迎えに向かった……もちろん余計な事は言うなと言う口止めをする為にだがな……
「つまり、このチケットは鈴さんが用意して、一夏さんを誘ったと。そして織斑先生がそれを知って業と用事を伝えた訳ですね」
「先生なんてつけなくても良いのよ、ブラコン女もしくは変態で良いわ」
鈴さんは常に織斑先生と喧嘩してる。呼び方も大体ブラコン女であることが多い
「まぁ落ち着いてください、ね?」
「うっさい、黙れ。死ね、ドリルロール」
むぐっ……落ち着くんです。落ち着くんです、私。鈴さんがイライラしてる時に口調が荒くなるのは判ってた事なんですから
「とりあえず。帰るわ」
「泳がないんですか?」
帰ると言う鈴さんにそう尋ねると鈴さんは
「気分じゃない、」
取り付く島もない鈴さん、でも私も今抱いている思いは鈴さんと何も変わらない。折角デートだと思っていたのにそんな事で楽しみを奪われて、納得できるか? と言われて納得できる訳がない
(まぁ今日の事で何か後で埋め合わせをしてもらえば良いですね)
取り合えずこのままここに残っていても何の益もない。IS学園に戻ろうと思い立ち上がった瞬間
『では! 本日のメインイベント! 水上ペアタッグ障害物レースは午後1時から開始致します! 参加希望の方は12時までフロントへとお届けください』
見世物になる気はないですし、早く帰りましょう。荷物に手を伸ばした所で
『優勝賞品はなんと沖縄5泊6日の旅をペアでご招待!』
優勝賞品を聞いた瞬間。私は同じく帰ろうとしていた鈴さんの方を見ました。すると同じ様に鈴さんを私を見ていて
「セシリア!」
「鈴さん!」
「「目指せ優勝!!」」
私と鈴さんがガシっと手を組んだ瞬間。別のフロアでは水着に着替えなくても遊べる、アトラクションを回っていた龍也と簪もその放送を聞いていた
「あ、のね? お父様とお母様の結婚記念日が近くてね? このレースの景品をプレゼントしたい」
「判った。じゃあ参加しよう」
ウォーターワールドに遊びに来ていた。簪と龍也も参加すべくフロントに向かって歩き出していた……
「さぁ! 第1回ウォーターワールド水上ペアタッグ障害物レースを開催します!」
司会の人が元気良くジャンプするのを見ながら隣の龍也君を見る。水上レースなのに龍也君は
「なんだ?」
「ううん、何でもない」
黒のズボンにシャツにジャケット。そして何時ものロングコートのまま。着替えなくて良いの? と聞いたら
『濡れないから大丈夫』
と断言されてしまったが、大丈夫なんだろうか?
「さぁなんと参加者の1組はカップルでの参加です。皆さん拍手ー」
え? 私。周囲の視線が集中する、何となく気恥ずかしくなり隠れようとすると
「失礼」
「え? あ、はい。なんですか?」
「簪が気を悪くする、発言を撤回して欲しい」
龍也君が淡々と言うと司会の人がすいませんと私に謝ってくれる中
「なぁ!? 龍也! それに簪!? あんたら何してるのよ!?」
一番奥だから気付かなかったけど、鈴さんとセシリアさんの姿がある
「うむ、簪の両親の結婚記念日が近いらしくてな。賞品をプレゼントしたいらしいのだよ」
「ふーん。で、なんであんた私服なのよ? 濡れるわよ?」
「問題ない」
全くマイペースそのものの龍也君を見ていると、司会の人のルール説明が始まる
「では再度ルールの説明です! この50×50メートルの巨大プール! その中央の島へと渡り、フラッグをとったペアが優勝です」
司会の人のルール説明を聞きながらコースを見る
(近道とかは出来ないようになってるし。結構色々と考えられてるみたいだね)
確かに普通の一般人にはクリアは難しいだろう。そう普通の一般人ならば。運動が苦手とは言え私もちゃんとした代表候補生だ、普通の女性に負けるほど運動音痴ではないのだが
(鈴さんが要注意かな?)
切れると獣同然の運動能力を発揮する鈴さんだけは警戒しないと
「さぁ! いよいよレースの開始です! 位置についてよーい!」
ぱぁンと乾いた競技用のピストル音が聞こえたと思った瞬間
「ふえ?」
私の身体は宙に浮いていた。ふと足元を見ると龍也君の足が私の足を払っている
「行くぞ」
「え、ええ!?」
床に叩きつけられる前に龍也君の両腕が私を抱き上げると同時に走り出す
(お、お姫様抱っこ!?)
抱き上げられている事に驚いている中
「よっ」
「「ええ!?」」
両脇から出された足払いを軽い跳躍で回避しスピードを落さず走り始める
「くっ!? やっぱやりやがったわね!? チート!!」
「なんで人1人抱えてそのスピードで走れるんですか!?」
妨害ペアに苦戦している鈴さんとセシリアさんの声に
「さあね!」
ロープで繋がれた島に飛び乗り、1つ飛ばしで飛んで行く
「こ、これは凄い!? パートナーを抱えたまま飛んで行きます。えーと高校生らしいですが、なんと言う運動神経なのでしょうか!?」
龍也君の動きに興奮したのか司会の人が叫ぶ中、ちらりと後ろを見ると
「セシリアァッ!! いけぇッ!!!」
「えええ!?」
鈴さんがセシリアさんの足を掴んでこっちにほり投げてくる
「嘘ォ!? 龍也君! 後ろからセシリアさんが飛んできてる!!」
「ん? 「こうなったらやけですわ!!」 ぐおっ!?」
投げられて飛んで来ていたセシリアさんが空中で姿勢を立て直し、龍也君の背中に蹴りを叩き込んだ。突然の背後からの強襲に龍也君が姿勢を崩す
「わわ!?」
龍也君が態勢を崩した事で腕に抱かれていた私が投げ出される
「よし! 今のうち!」
「無茶しますわね! 全く!!」
今の内といって龍也君を追い抜いて行こうとした鈴さんとセシリアさんだったが、私は私で問題があった
(お、落ちる!?)
このままでは水に落ちてしまってスタート位置に戻されてしまう、なんとかコースに着地しないと! そう思い足を伸ばそうとした時
「心配ない」
手を付いてそれを軸に半回転して腕の力だけで飛び上がった龍也君は私を片手で拾い上げて、2人の追走を始める、だけどかなり距離が離されてしまった
「だ、大丈夫!?」
「問題ない」
結構凄い勢いで蹴られてたと思うけど? 大丈夫なのかな? 私がそんな事を考えていると、セシリアさんが
「ぶべっ!?」
鈴さんに顔を踏まれて、乙女らしからぬ奇声を発し。鈴さんは身軽さを生かしてフラッグを取り、セシリアさんは対峙していた身体の大きい女性2人と一緒にプールの中に落ちて行った
(あ、と、取れなかった)
優勝賞品が取れなかったことに落胆していると
ドッパーンッ!!!!!
天井に届くような水の柱が立ち、そこからISを展開したセシリアさんが姿を見せた
「よ、よくも! 乙女の顔を踏んでくれましたね!! 鈴さんッ!!!!」
「はっ! やろうっての? 甲龍!!!」
それと戦う為にISを展開する鈴さん
(ど、どうしよう!? 学園の外でISを展開したら駄目なのに!?)
私のISはロッカーだし、どうしようと思っていると
「な、な、なあ!? 2人はまさかIS学園の生徒なのでしょうか!? ここで2機のISを見れるとは思いません……ってあぶなーい!!」
2人のISの武装の流れ弾に当たりかけた司会の人がこっちに逃げてくる。それを見た龍也君は
「好都合だ」
あんまり見たことのない悪い笑みを浮かべ、そう呟く
「え?」
龍也君の言葉の意味が判らず首を傾げる。2人が暴れてるのが好都合? どういうこと?
「あの2人、止めたら私達にも賞品下さい」
「え?」
「ですから、あの馬鹿2人を止めるので。賞品を下さい」
にっこりと笑いながら言う龍也君に司会の人は
「あげる! 止めてくれたらあげる!!!!」
慌てて叫ぶ司会の人に頷き龍也君はスーっと大きく息を吸い込んだ
(あっ、耳塞がないと)
前に見たことのある仕草だったでの慌てて耳を塞ぐ。前にはやてさん達が喧嘩してる時にそれを止める為の
「いい加減にしろ!!! 馬鹿どもがッ!!!!!」
プールに響き渡る怒声。耳を塞いでいたけど近距離だから耳がキーンとしてる、司会の人に至っては
「あ、ああ?」
前後不左右になりふらふらしてる。龍也君は待機状態のISを取り出すとすぐにISを展開して宙に舞い上がった。それと同時に観客席からは
「お、おい!? 男がISを使ってるぞ!?」
「あ、あの顔、あの髪! 2人目の男性操縦者の子だ!?」
「ほ、本当だ!? 何でこんな所に!?」
観客席がざわめく中。最初にISを持ち出した鈴さんとセシリアさんは
「「あ、あははは……」」
怯え100%の顔をしてる。龍也君がどんな顔をしてるのか私の位置からじゃ見えないけど、あの顔を見れば怒っているのが判る
「少し……頭を冷やして来い! たわけっ!!!!」
ゴン×2
強烈な打撃音と共に鈴さんとセシリアさんが水柱をあげてプールに沈んだ
「はい、完了です。じゃあ簪に賞品を渡してあげてください」
「え、あ、はい」
突然の事が理解出来ないで居る、司会の人にそう言うと龍也君は私を見て
「なんか騒がしくなりそうだから、先に帰る」
「あ、う、うん。じゃあ学園の寮で」
まだ周囲の人間が硬直してるから良いけど、再起動されるとうるさいと言うのは判る、だからまた後でと言って龍也君はそのままISを展開したまま、外に通じる大窓から出て行った……
夕方
「何か楽しそうですね。龍也君とのデートは上手く行ったんですか?」
イルカのぬいぐるみを抱えている簪にそう言うと、簪は
「で、デートじゃないよ!!」
一緒に出かけたのだからデートで通じると思うのだが、本人がデートじゃないと言っているので深く突っ込まない事にしよう
「色々と回って楽しかった。でも最後で鈴さんとセシリアさんが」
「あの2人がどうしました?」
「ISを展開しちゃって」
「なるほど龍也君に怒られたんですね」
疲労困憊と言う感じで帰ってきた鈴とセシリアは今、生徒指導室に連れて行かれた。多分そこでもまた怒られているのだろうと思っていると
「その手の包みは?」
「これね。沖縄5泊6日の旅のチケット。お父様とお母様に贈るの♪」
そう笑う簪に
「それは良いですね。きっと喜びますよ」
「うん♪」
機嫌よく笑う簪を見て
(今日は楽しかったのでしょうね。良かったです)
友人が楽しそうにしてるのは嬉しいんですけど
(何か釈然としない物が……)
友人としては喜ぶべき事なのに、何故か釈然としないもやもやを感じながら、私は布団に潜り込み目を閉じた……
エリスがベッドに潜り込んだ頃、鈴とセシリアはと言うと、生徒指導室で千冬によってたっぷり怒られた挙句。千冬の監視下で反省文を書かされていた
「民間施設でISの展開? お前は馬鹿なのか?」
くっくっと笑いながら言うと、化け猫が
「あんたが! 一夏を掻っ攫うからいけないのよ!!」
「何を言っているんだ? 弟は姉の物だ、それを奪おうとしているのは貴様だろう?」
私がそう言うと化け猫はゆらりと立ち上がりながら
「やっぱあんたは邪魔。あたしが一夏を物にするために消えてもらうわ」
ISは展開しなかったが、どこかから取り出したナイフを2本構える化け猫に
「上等だ。お前は目障りだったんだ。凰・鈴音」
手持ちの武器は無いので拳を構える
「あ、あの織斑先生も鈴さんも落ち着いて……」
オルコットが止めに入るよりも早く。私と化け猫は
「死ね! ブラコン!」
「それはこっちの台詞だ、化け猫!!」
「え、まって!? 私を巻き込まないでええええ!!!」
オルコットを巻き込んでの死合を始めた。
なおこの死合は騒ぎを聞いて、駆け込んできたツバキさんのSTOPが入るまで続
き、私と化け猫はツバキさんに頭を木刀で強打され、ダブルKOとなった……
ちなみにオルコットは私と化け猫の最初の一撃がクリティカルHITし、この日目を覚ます事は無かった……
第60話に続く
色々と足してみましたが、どうですか? 面白かったでしょうか? 次回はオリジナルの話をしようと思います
それでは次回の更新もどうか宜しくお願いします