IS~現れたる神なる刃【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は第4巻の「2匹の子猫のラプソディー」を少しだけ使う話にしようと思います。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


第62話

 

 

第62話

 

その日私は頭を抱えていた。その理由は至ってシンプルで

 

「なぁ? 何時までそうしてるつもりだ?」

 

珍しく3人固まり、私が使う仕切り板を使って隠れているはやて達に声を掛ける。すると仕切り板からスケッチブックが顔を出し

 

『どうして遊んでくれないんや』

 

『私たちだけ仕事って不公平』

 

『龍也はロリコンなの?』

 

最後のフェイトのスケッチブックは直ぐに引っ込み、そして仕切り板の中から

 

「ドあほッ!!!」

 

はやての怒声とごつんという鈍い音がした後、再びスケッチブックが差し出され

 

『少しは構ってください』

 

そのスケッチブックを見て、酷い頭痛を覚えながら

 

「子供か!?」

 

余りに発想が幼稚すぎる。こんなのはリィンとかがやることだろうと思いながら言うと

 

『『『子供です!!!』』』

 

もう何もいえない。変な所で子供っぽいはやて達に頭痛を感じながらも

 

(仕事をやらせてたのも事実出しなぁ)

 

私はユウリから預かったUSBメモリの解析をジェイルと交代でやり。はやて達は全国のIS研究施設や裏情報の収集を3人でやっていた。確かに負担は3人の方が遥かに上だ。ストライキを起こしたくなるのも無理は無い

 

(結局のところ私のせいなんだよな)

 

ハーティーンにも言われたが、やはり私は人の上に立つような人間ではないと改めて実感する。

 

「じゃあ、遊びに行くか?」

 

仕切り板の中ではやて達が驚いている気配がする、それにガタガタと仕切り板が揺れている音もする

 

「本当?」

 

ひょこっと顔を出したはやてに頷きながら

 

「ああ、私は嘘はつかん。遊びに行きたいというのなら連れてってやる」

 

女尊男卑の世界だからはやて達を3人連れて歩くのは目立ってしまうかもしれんが……

 

(どうせ私の場合嫌でも目立つしな)

 

黒コート、銀髪、サングラス、どれをとっても目立つ。まぁ別に着替える気もないし、はやて達が出てくるのを待つかと思い。ドアノブに手を伸ばすと

 

「兄ちゃん。まさかそのまま出掛ける気か!?」

 

真っ先に仕切り板から出てきたはやてが驚いた様子で尋ねてくるので

 

「おかしいか?」

 

そう返事を返すとはやてだけではなく、なのはとフェイトも声をそろえ

 

「「「おかしい」」」

 

「むう……そんなにおかしいか?」

 

ミッドチルダでは黒ばっかだったので、普通の服のセンスと言うのがわからない。と言うか私の場合服など着れれば良い程度の認識なので、おしゃれとかはまるで興味が無い。なのでおかしいと言われても何がおかしいのか判らない

 

「じゃあ私達が選ぶから着替えてなぁ?」

 

「あんまり変なのは嫌だぞ」

 

私がそう言うとはやて達はごそごそと私のクローゼットをいじり始めた。服なんて着れればいいのに、どうしてそこまで拘るか私には理解できなかった……そして5分後私はなのは達が選んだ服にと着替えた

 

「落ち着かない」

 

白のズボンにグレーのシャツに黒のジャケットにと着替えると、髪は首元で結ばれた。服など着れれば良いという認識の私にはこれがどうなのか? と言うのは全く判らなかった。溜息を吐きながらコートに手を伸ばすと

 

「「「没……へぶっ!?」」」

 

「大丈夫か?」

 

私のコートが重いのを知っていたはやて達は3人で持ったが、重さに耐え切れず床に膝を着いた。

 

「ほら、渡せ」

 

危ないからと良いながらコートに手を伸ばすが

 

「着ちゃうから駄目や」

 

「そもそも夏場にコートはおかしいです」

 

「ジャケット着てるしコートは要らないよ」

 

3人がかりでコートを没収されてしまった。更にバインドを3重でかけられ着るのは不可能そうだ

 

「はいはい、判った諦めるよ。じゃあ外のゲートで待ってる」

 

「「「はーい」」」

 

楽しそうに返事を返すはやて達と別れ、ISのゲートに向かうと

 

「む? 龍也か?」

 

「おはよう、ラウラ。お前も出掛けるのか?」

 

ゲートの近くではIS学園の制服姿のラウラが居た。ここに居るという事は出掛けるのだろう

 

「1人で出掛けるのか? クリスとかシャルロットは?」

 

大体どちらかと行動を共にしている事が多いので、そう尋ねるとラウラは

 

「クリスは好きな神話の本を探しにいくとかで、朝早くから居ない。シャルロットは一夏を探すと言っていたが、まだ来ないという事はまだ見つけられてないんだろうな。で? 龍也は?」

 

「うむ。はやて達が外に連れて行けとうるさいから出掛ける事にしたんだ」

 

そう言うとラウラは私の服装を見て

 

「黒いコートを着てないから違和感がある」

 

「私も感じてるよ。服など着れれば良いと言うのに、おしゃれをしろとうるさいんだ」

 

はぁっと溜息を吐きながら言うとラウラはうんうんと頷きながら

 

「判るぞ。その気持ち、シャルロットもクリスもおしゃれをしろとうるさいんだ。服なんて着れればいいのにな」

 

「ああ、全くだ」

 

ふうとお互いに溜息を吐く。どうやらラウラも苦労している様だ、しばらく2人で並んで待っていると

 

「ラウラー! ごめんねー!!」

 

シャルロットが謝りながら駆け寄ってくる。ラウラの前で立ち止まったシャルロットは

 

「いやーどこにも一夏がいなくてね。鈴を問い詰めたんだけど知らないって逆切れされててさ」

 

あはははと笑うシャルだが、その笑みはどことなく黒い。ラウラの隣に立つ私を見て

 

「あれ? 龍也がラウ……いや、無いね。はやてと出掛けるの?」

 

「ああ、遊びに連れて行けとうるさいのでね」

 

肩を竦めながら言うとシャルロットは私の前に指を突きつけて

 

「あのね。女の子はちゃんと構ってあげないと駄目なんだよ? 判る?」

 

若干怒っているようなシャルロットに

 

「ああ、それは何回も言われてるから判ってるよ」

 

それなら良いけど、と言うと黒い笑みで笑いながらぼそりと「あのブラコン。いつか殺す」と呟いた。どうやら一夏を独占してるのは織斑先生のようだ。

 

「まぁ今は良いや。じゃ、行こうラウラ」

 

「う、うむ!」

 

シャルロットが浮かべていた黒い笑みがぱっと消え。いつもの愛想の良い笑みを浮かべているが、どこか恐怖を感じるのかラウラの顔は若干引き攣っていた。シャルロットに半場引きずられるように歩いて行くラウラを無言で見送っていると

 

「お? 兄ちゃんどうしたんや? そんな神妙な顔して?」

 

私服に着替えて寮から出てきたはやて達にそう尋ねられ、私は

 

「別になんでもない」

 

どうせ私達も街に出るんだし、どこかでラウラ達にも会うだろう。私はそんな事を考えはやて達と近くのバス停に向かって歩き出した

 

 

 

 

私はシャルロットと私の服を買いにきたのだが

 

(く、空気が重い……)

 

さっきは別に良いやと言っていたが、やはり不機嫌なようでさっきから、普通の笑みと黒い笑みが交互に顔を出している。その笑みのせいで夏場だと言うのに、若干の寒気を感じていた

 

「じゃ、まずはここね」

 

シャルロットが立ち止まる、どうやら目的地に着いたようだ。顔を上げ店名を読む

 

「サード・サーフィス? 変わった名前だな?」

 

私がそう呟くとシャルロットは手の中の雑誌を見ながら

 

「結構、人気のある店見たいだよ? ほら女の子がいっぱいいるでしょ?」

 

そういわれ店内を覗き込むと確かに女子高生……ん?

 

「シャルロット。あれはヴィクトリアではないか?」

 

「あ、本当だ」

 

珍しく髪を結んだヴィクトリアが難しい顔で店内を歩いていた。きっと私の様に服を界に来たのだろうと思い

 

「ヴィクトリア」

 

「!? ラウラ、それにシャルロット」

 

声を掛けられ驚いた様子で振り返った、ヴィクトリアに片手を上げて挨拶する。何はともあれ、私1人ではシャルロットは御せない、迷惑だとは思うがヴィクトリアにも道ず……こほん。一緒に買い物をしよう

 

「何をしているんだ……いやここに居るという事は買い物か?」

 

「うん。ラウラの服を選びに来たんだよ。そう言うヴィクトリアも?」

 

人の良い笑みで尋ねられたヴィクトリアは

 

「ま。まぁそんな所だな。私もあんまり私服は持ってないしな、そろそろ買い足しておこうと思ってな」

 

へーと良いながらシャルロットはにこりと微笑みながら、ヴィクトリアの手の中の服を見て

 

「それはヴィクトリアにはあんまり似合ってないね。良かったらヴィクトリアの服も見てあげようか?」

 

「いや、私は自分で」

 

ヴィクトリアが断ろうとすると、シャルロットはその言葉を遮り

 

「選んであげようか?」

 

「……い、いやな? 私は自分で「選んであげようか?」……お願いします」

 

何を言っても無駄だと判断したヴィクトリア。その判断は正しい、私も同じようにうんと言うまでエンドレスでそう言われたしな

 

「じゃあ、行こうか?」

 

ヴィクトリアがうんと言った事に気を良くした、シャルロットが私とヴィクトアの前に立ち歩き出す。私とヴィクトリアはシャルロットの後ろで

 

(何かすまないな。ヴィクトリア)

 

(いや、良い。捕まった時点で駄目だったのだろう)

 

はぁと2人で溜息を吐いているとシャルロットが

 

「おーい、ラウラ。良いの見つけたからおいでよ」

 

店員と話しながら、私とヴィクトリアを呼び寄せるシャルロットに近寄ると

 

「ラウラはこっちの黒のワンピース、ヴィクトリアは白のミニスカートとかどう?」

 

にこにこと服を差し出してくるシャルロット。私は服のことなんて判らないのでとりあえず受け取るが、ヴィクトリアは

 

「な、何だこの長けの短いスカートは!? 私はこんなのは嫌だぞ!」

 

確かにシャルロットの差し出したスカートは、長身のヴィクトリアが穿くには少々短いと私でも思ったが

 

「何も言わないで穿こうね? ヴィクトリア」

 

「だから、断ると「いいから黙って着ようね? ヴィクトリア」ッ……はい」

 

ヴィクトリアの抵抗もむなしく、ヴィクトリアはシャルロットに差し出された服を掴んで試着室にと入って行った……

 

結局のところ、私もヴィクトリアもシャルロットに捕まった以上。シャルロットの気が済むまで着せ替え人形になるのは自明の理だ。溜息を吐きながら2人で試着室に向かうと

 

「はぁ……」

 

試着室の前で深く溜息を吐く銀髪の……と言うか龍也が居た。

 

「何をしている?」

 

「ん? なんだ、ラウラとヴィクトリアか。見て判らないかね?」

 

龍也は肩をすくめやれやれと言いたげな態度で、にやりと笑いながら

 

「晒し者になっているのだよ」

 

もう疲れたという態度の龍也の手には大量の紙袋。もしかしなくても

 

「荷物持ちか?」

 

「まぁそんな所だよ。3人分なので少々疲れたよ」

 

ふうっと溜息を吐く龍也には店内の女性の視線が集中している。龍也は長身だし目立つ髪色なので目立つなと言うのは難しいだろう

 

「龍也ーこれどうかな?」

 

試着室からフェイトが姿を見せる。黒の肩だしのワンピースを着こんで微笑みながら龍也に問いかける、龍也は

 

「髪の色とあっているんじゃないか?」

 

「うーん♪ じゃあこれ買っちゃおうかなー♪」

 

くるりと回転するフェイトはすごく嬉しそうだ。それと同じタイミングでなのはとはやても姿を見せ

 

「これどうかなー兄ちゃん」

 

「これどうですか? 龍也さん」

 

2人にそう尋ねられた龍也は溜息を吐きながら

 

「もう褒める言葉が思いつかん。自分達が気に入ったのなら買うと良い」

 

龍也はそう言うとズボンのポケットから財布を取り出し、はやてに投げ渡しながら

 

「本当に悪いがもう褒め言葉など何一つ思いつかん。それにこれ以上はここにも居にくい、店の外で待つ」

 

そう言うと龍也は大量の紙袋を抱えて店外へと歩き出した、私は龍也と入れ違いになりながらフェイトの隣の試着室にと入った……

 

なおその後も私とヴィクトリアはシャルロットの着せ替え人形状態で色々と服を着替える羽目となったのは言うまでもない……

 

 

 

あれは? 私は思わず柱の影に身体を隠して少し離れたところにいる少年を見つめた。いつもの黒コートがないから印象が違うが、間違いなく龍也だ。如何してこんなところにと思っていると

 

「何してるんだ、クリス」

 

「!?」

 

いつの間にか背後を取られていて驚きながら、とっさに抜き手を放つが

 

「やめろ」

 

パシンっと軽く弾かれてしまう。その事で我に返り

 

「ごめんなさい」

 

「いや、驚かしたのはこっちだ。悪かった」

 

と愛想よく笑う龍也の回りには色々な見せの買い物袋の数々が

 

「振り回されてたの?」

 

魔王とあだ名されている3人の事を頭に浮かべながら尋ねると、龍也は正解と言って笑った

 

「で? そう言うクリスは買い物かね? ふむ。神話系かね?」

 

分厚い背表紙を見てそう尋ねてくる龍也。人のいい笑みを浮かべているがその洞察力と観察力は凄まじい、だがそれ以上に

 

「おかしいとは思わないのですか?」

 

「何が?」

 

わけが判らないという表情の龍也に

 

「こういう本は今の時代にはおかしいものじゃないですか?」

 

今のご時勢に神話や伝承と言うジャンルは余り見向きもされないジャンルだ。そんな本を好む私は、ドイツでは少し浮いていた。だが龍也は

 

「この世には眼には見えないものが多数ある。科学で判らない事もある、世界にはまだ理解できない神秘が多数あると私は思うよ・だから私もそう言う本は好きだな」

 

からからと笑う龍也だったが、途中でふむと頷き

 

「良かったら今度私の部屋に来るといい、色々な神話の本があるから貸してやろう」

 

何もないように言うが、同世代の男の子の部屋に良くというのは色々と問題があるのではと一瞬思ったが

 

(そういうのは絶対にないか)

 

龍也の回りにいる魔王に龍也自身の鈍感具合を考えれば。そう言った事にはならないはずと思い

 

「今度時間があったら借りに行く事にする」

 

私がそう言うと龍也はそうしてくれると助かる、せっかくの本だ見ないのはもったいないと笑いながら

 

「では、はやて達がそろそろ店から出てくる頃だから戻る。いい本が見つかると良いな」

 

そう笑って歩いていく龍也を見ながら。行きつけの本屋のほうに歩き出しながら

 

(本当に不思議な人だね)

 

同年代のはずなのに、不思議なほど大人びていてどこか遠くを見ていてそれで居て……

 

(とても寂しそうな人……)

 

何がそんなに寂しいのか? 何がそんなに哀しいのか? 私にはわからない。そもそもこれは私の勘違いかもしれないし、誰にも言

う気はない……でも何時か判る時が来るのならば

 

(相談くらいには乗ってあげようかな……色々とお世話になってるしね)

 

私はそんな事を考えながら龍也から離れていった……

 

だがのちに私は知る事になる、私が感じていた龍也の悲しみも慟哭も、その理由も……だけど今の私はその事を知る事はなく、予感として感じていた……

 

 

 

 

 

 

 

「つ、疲れた……」

 

はやて達に振り回されるのはネクロと戦う以上に疲れた、途中でハンバーガーを食べて。今度は小物を買うのにつき合わされ、流石の私も荷物を持ちきれない段階になったとき。はやてが漸く休んで良いと言うので、近くの喫茶店「アットクルーズ」の席に腰掛けメニューを見ながら呟く

 

「あははは。ごめんな?」

 

「ちょっと振り回しすぎちゃった?」

 

苦笑しながらそう言ってくるはやてとなのはに

 

「構わん、久しぶりだから疲れただけだ。特に問題ない」

 

六課ではもっと酷いしな、それと比べれば何の問題も無い。例を挙げればチンク達とか(最低でも4人、最高で12人)うふふとか笑いながら私のあとをずっと尾行しているセッテとティアナと比べれば。今日はかなり楽と言うものだ、そんな話をしながら目ミューを決めて

 

「すいませーん。注文良いですかー」

 

そう声を掛けてるとメイド服姿の店員が近づいてきた。あの店員どこかで見たことあるような気がするなあと考えていると

 

「えーとご注文は……はっ!?」

 

私にそう尋ねてきたのは、髪にかわいらしいリボンと白いメイド服姿のヴィクトリアだった。私達の顔を見て見られてしまったと言う顔をしている

 

「何があったんや? その服装はどう見てもヴィクトリアの趣味ちゃうよな?」

 

はやてにそう問いかけられたヴィクトリアは

 

「しゃ、シャルロットが人助けと言って、私とラウラにメイド服を着させて1日店員をさせると言い出したんだ」

 

「ドンマイ、ヴィクトリア。今度お菓子おごってあげるよ」

 

フェイトがそう声を掛けていると、私達の隣の執事が通り過ぎる。その人物は

 

「何で僕だけメイド服じゃないの? 不公平だよ」

 

ぶつぶつと呟いているシャルロットだった。顔が天使モードなのでその呟きがより一層際立っている

 

「あいつも苦労してるんだな」

 

「ああ、シャロットは顔付きの問題らしいな」

 

はぁっと溜息を吐くヴィクトリアに

 

「とりあえずダージリンストレートを4つと特製パフェを3つ、それと頑張れ」

 

「励ましてくれてありがとう、じゃあな」

 

重い足取りで歩いていくヴィクトリアを見ながらなのはが

 

「大変だね、ヴィクトリアさんも」

 

「だね、シャルロットはやっぱりはやて系の魔王だよ」

 

「うん、私もそう思うよ」

 

3人でうんうんと頷いている中、はやては

 

「あふ……なんか眠いなあ」

 

我関せずに欠伸をしていた、やはりはやては良いも悪いもマイペースだなと思っていると

 

「全員動くなぁ!!!」

 

ドアを蹴り破って5人組の男が怒号を上げる、5人が5人銃器で武装し、顔には覆面。背中のバッグからは何枚かの紙幣が飛び出している、どこからどうみても強盗だ

 

「なぁはやて、私が呪われてるのか、それともお前達が呪われてるのかどっちだと思う?」

 

「半々やと思う」

 

私達で出掛けるの必ず問題が起きるので、思わずそう尋ねるとはやては半々だと答えた。私も多分そうだと思う

 

(とりあえず制圧する方向で、荷物は転移させるぞ)

 

今日買いに買った荷物は転移魔法で寮にと送り。机の下に潜り込み状況を窺っていると

 

(む? 龍也達もか?)

 

同じように机の下に屈み込んでいるヴィクトリアとシャルロットと顔を見合わせる。ここには代表候補生が3人に、魔導師が4人と明らかに強盗5人など分けなく対処できるだけの人員が揃っている

 

(所でラウラは?)

 

一緒にいると思っていたのにラウラの姿が無く、そう尋ねていると

 

(私も探しているんだが見つからない)

 

(ラウラは軍人だし、多分どこかで行動に……あ、居た)

 

シャルロットの視線の先には、腕組したラウラの姿が……

 

(((もう作戦も何も無いね)))

 

相手の武装や錬度等を窺いたかったが、そんな事をしてる暇はなさそうだ。私達が溜息を吐いている間もラウラは犯人グループと会話をしていた

 

「水だ」

 

「いや、あのメニューは?」

 

「黙れ、飲め。飲めるものならばな!」

 

その手に持っていたトレーをひっくり返し、氷水が宙を舞う。ラウラはそれを指で弾いた、氷の指弾だ。中々芸達者なやつだ

 

「ッふざけやがって! このガ……「黙れ。耳障りだ」はっ? ぐえっ!」

 

ラウラに意識を向けた犯人の懐に飛び込み、そのまま膝蹴りからの裏拳で意識を刈り取る

 

「あ、兄貴!? こ、こいつら!?」

 

「うろたえるな! ガキの2人くらい直ぐに」

 

私とラウラの強襲に動揺する、強盗団。やはり錬度は低いようだな、それに

 

「1人じゃないんだよねぇ? 残念ながら」

 

「全くだ!!」

 

シャルロットとヴィクトリアが動揺する、犯人の後ろに回りこみ、それぞれ踵落としと首筋への手刀を叩き込む

 

「な、なぁ!? てめえら何者「ほい、なのはちゃん。パス」ごふう!?」

 

はやての鳩尾への肘鉄からの回し蹴りで吹っ飛ばされたリーダー格。その先にはなのはがいて

 

「別にいらないよ、こんなの」

 

「げはあッ!!!」

 

3連抜き手からの空気投げで大柄なリーダーは宙を舞った。その余りの光景に残りの2人の目が点になった瞬間

 

「どっこいしょ!」

 

ガツンッ!!!

 

フェイトの振り下ろした椅子の直撃で1人が沈み

 

「僕さーすごく不機嫌なんだ。だから死んでよ」

 

絶対零度の笑みを浮かべたシャルロットの強烈なハイキックで最後の1人も床に沈んだ

 

「制圧完了。で、どうするよ?」

 

気絶してる強盗団を見下ろしながら尋ねる。このまま残るとマスコミや警察の事情聴取がうるさくなると思いながら言うと

 

「ん? 僕は逃げるよ」

 

「その素早さ、素直に感心するよ。シャルロット」

 

既に荷物を纏めているシャルロットを見てそう呟いた瞬間

 

「捕まってムショ暮らしになるくらいなら、全部吹き飛ばしてやらぁ!!!」

 

リーダーが立ち上がり着ていたベストを広げる。そこにはプラスチック爆弾の腹巻が巻かれていた、その量はざっと見積もっても40平方メートルは吹き飛ばせそうだ。ふう……やれやれ。私は内心溜息を吐きながら隣を見る

 

(ヴィクトリアか……まぁ別に何のことか判らんだろう)

 

これがはやてとかならなんの気遣いもいらんが、贅沢は言ってられん

 

「投影開始」

 

小声でそう呟き指の間に柄だけの剣をそれぞれ4本ずつ投影する

 

「ふっとべ「遅いんだよ、たわけ」

 

両手を同時に振るい指の間に挟んでいた柄を投擲する。これは別の世界で代行者と呼ばれる存在が扱う投擲用の剣。「黒剣」

魔力を練りこむ事で刀身を作り出すこの剣は、私の手から離れた瞬間刃を構築し、爆弾の起爆装置と爆薬の信管。そして導線だけを切り裂き。犯人を店内の壁に縫い付けた

 

「さて……爆弾を爆発させるだけの覚悟があったんだ。腕の1つや2つ切り落としてやろうか?」

 

犯人の頭を掠めて壁に突き刺さっていた黒剣を握り、脅しのつもりで左腕の付け根に切っ先を突き当てながら訪ねると

 

「ひ、ひい!? す、すみ! すみません! も、もうしません! だから許してください!」

 

涙目でそう叫ぶリーダーに

 

「駄目だね。とりあえず1回死ね」

 

首めがけて黒剣を振るう

 

「「「龍也!!」」」

 

驚きに目を見開き私の名を叫ぶヴィクトリア達に手ぶらの両手を見せながら

 

「ただの脅しだ、これくらいの方が丁度良い」

 

私の足元で泡を吹き気絶してるリーダーを見ながら言うと、ラウラが

 

「龍也とはやては似てるのだな?」

 

「兄妹だ、似ていて当然だろ?」

 

くっくっくと笑いながらヴィクトリア達に

 

「そろそろ警察が出てくるぞ? 私達は先に撤退する、お前達も急げよ」

 

注文した品も届いてないし、今なら店を出て行っても問題ないしな。私達はそう言うと呆然としているヴィクトリア達の横を走りぬけ、そのままアットクルーズを後にした……

 

 

 

 

「なんか騒動があったけど楽しかったなあ」

 

部屋に転移で送っておいた荷物を開けながら、そう言うと

 

「だねーやっぱり気分転換も大事だよ」

 

「そうそう、それに龍也と出掛けれたって言うのもプラスだよねぇ」

 

にこにこと笑いながら私と同じように荷物を開けているなのはちゃんとフェイトちゃんを見ていると

 

「おろ? 兄ちゃんどっかでかけるんか?」

 

また出掛ける準備をしている兄ちゃんにそう尋ねると

 

「ああ、ネクロの情報を教えてくれた人物に会いに行って来るよ」

 

「女の人か?」

 

私がそう尋ねると兄ちゃんは肩を竦めながら

 

「さぁ? どっちだろうね? メールだけではなんとも言えんさ。まぁそう言うわけだ、荷物を片付け終えたら先に寝ていてくれて構わない」

 

兄ちゃんはそう言うと部屋を出て行った。その後ろ背を見ながら

 

「女の気がするで」

 

私の感が告げている。兄ちゃんを呼び出したのは女だと

 

「あとをつけた方がいいのかな?」

 

「それならスピードがある私の方がいいよね? 外も夜だし」

 

あとをつけるかどうかの話し合いをしていると、兄ちゃんが部屋に戻って来て

 

「言っておくが、後をつけるなんて真似はするなよ? まとまって行動するとネクロに見つかりやすいからな」

 

兄ちゃんはそう言うと今度こそ部屋を後にした。残った私達は

 

「むー大人しくしてるしかないか」

 

「だね、服の整理でもしようよ」

 

とりあえず兄ちゃんに言われた通りに留守番するしかないと、諦め。私達は買ってきた服の整理をはじめた……

 

 

 

 

龍也がIS学園を後にした頃。都内某所のマンションでは

 

「スコール、これが失踪した第8部隊が残してくれた、ネクロに関するデータだ」

 

オータムが差し出したロムを受け取る。これで八神龍也と交渉するだけのカードは揃った

 

「しかし、八神龍也という男が私達の要求を受け入れてくれるとは思えんぞ?」

 

「その可能性は十分理解してるわ、オータム。それでも交渉に行くだけの価値があるの」

 

交渉と言うのは形だけ、様は私達が八神龍也にとって有益だと認めさせ。身の保証を求める、言うならば命乞いだ。

 

「ネクロは断罪者と言っていた。私達はファントムタスクとして、悪と呼ばれるだけの事をして来たよな。助けてくれと言っても見捨てられるんじゃないのか?」

 

そこは確かに不安材料ではある。だけど私とオータムはもう覚悟を決めているからいいが、せめてマドカだけは生き残って欲しい。その為には八神龍也の助力が必要だ

 

「それは判らないわ、でも何とか話を纏めてみせる。だから心配しないで待ってて」

 

交渉は慣れている。それに八神龍也に渡すデータも良い物が揃っている、手札は少ないがどれも有効な札のはずだ

 

「気をつけて」

 

「ありがとう。オータム」

 

玄関まで見送りに来てくれたオータムにそう返事を返し、私は携帯でタクシーを呼び街外れのバーに向かった。その途中窓の外を見ながら

 

(カードは揃ってる、後は私次第……ね)

 

気持ちで負けていたら交渉なんて出来はしない。虚勢だったとしても強気でいること、それが交渉を纏める上でのコツだ

 

街外れのバーまでは15分。その15分の間に私は考えれるだけの全てのパターンを頭の中に浮かべ、どうやって交渉を纏めるかを必死で考えていた

 

第63話に続く

 

 




次回はスコールVS龍也ですね。とはいえ戦闘ではなく交渉ですけどね、こういう取引の話があっても面白いと思うんです
後半は千冬達との話が出来たらいいなと思っています。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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