IS~現れたる神なる刃【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は戦闘回です、超常の戦いを目の当たりにする一夏達がメインとなりますね
暫くは戦闘回が続く予定なのでどうかよろしくお願いします



第67話

第67話

 

龍也がペガサスとヴォドォンと戦い始めた頃。IS学園の上空で待機していたはやて達に前に

 

「やっほ。またあったね♪」

 

闇を引きつれた女性が姿を見せる。それを見た私は

 

「ネルヴィオ……」

 

前のネクロの襲撃のときに現れた人型ネクロで、ヴィヴィオに瓜二つなネクロ。ナックルガードに脚甲を身につけた闘士タイプだ

 

「名前を覚えててくれて嬉しいよ……まぁ嘘だけどね。お前なんかに私の名前は呼んで欲しくない。私の名前を呼んで良いのはお父様だけ」

 

うふふふと笑ったネルヴィオは私達を睨み

 

「貴方達の存在はお父様の価値を損ねる。だから死んでよっ!!」

 

ノーリアクションでの砲撃が同時に4発放たれる。それをとっさに回避しながら

 

「なんや、かなりキテるな」

 

「そうだね。はやてといっ「だまっとれ」あいたっ!? デバイスで頭殴るのなし!!!」

 

フェイトちゃんが講義するが今のはフェイトちゃんが100%悪いのでフォローしない

 

「ふふふ……顔を踏み砕いて。ボロボロにして殺してやる!!!」

 

100%殺意しか写していない目で私達を見据えるネルヴィオが踏み出そうとしたき

 

「オチツイテ。ネル?」

 

「セリナ……ふふ。ありがと」

 

闇から現れたホワイトカラーのISを身にまとったネクロがネルヴィオを宥める。その顔は

 

(楯無に似てる……)

 

蒼銀色のセミロングで真紅の瞳。髪の色は違うが、楯無にそっくりだった。違うのはその瞳。生気のないどんよりと濁り切った紅目。それが死者を思わせる

 

「おちツイテ。ひとりずつカクジツニ、ソノタメニネクロもつれてきてる」

 

心配しているような声色だがその声に感情は無く機械的とも言える冷たさを伴っていた

 

「うんうんだね、ありがと、セリナ!ナイスフォローだよ!」

 

ネルヴィオがセリナにありがとうと言って抱きつきながら、私達を見て

 

「ふふ……ついつい頭に血が上るのが私の悪い癖」

 

ふふふと笑ってネルヴィオはネクロを呼び出し

 

「駒は全部使わないとね!!!」

 

「ソウ!そのトオリダヨ?ハヤクつぶして、ネルのパパをむかえにいこう」

 

もうあの2人にとって私達を倒して龍也さんを迎えに行くのは決定事項のようだ。

 

「フェイトちゃんはトップ。私はフォローに回る。なのはちゃんは遠距離攻撃な」

 

指示を出すはやてちゃんに頷き。私達は陣形を組んだ。どうやらそう簡単に倒せる相手ではなさそうだ……

 

 

 

 

 

 

黄金の騎士が……いや龍也がゆっくりと剣を構えながら

 

「来いど3流格の違いって物を教えてやる」

 

「安い挑発と言いたい所だが……乗ってやる。八神龍也」

 

ペガサスが2刀を構え好戦的な笑みを浮かべると、全身に鎧を纏った異形「ヴォドォン」が

 

「待ちなさい。指揮権は私にあるはずです!」

 

「はっ!そんなもの知ったことか! 大体お前は八神龍也をこの場に誘い出すまでの協力だと言ってあったはずだ!」

 

地面を蹴りISの瞬時加速並みのスピードで龍也に迫るペガサス。龍也もそれと同等かそれ以上のスピードでペガサスに肉薄する

 

ガキンッ!! キンッ!! キンッ!!!

 

鋭い金属音が響くと同時に黄金の閃光と漆黒の閃光が何度も何度も闇夜を照らす。

 

「良いでしょう!あなたが死んでも私は知りませんからね!」

 

ヴォドォンが龍也とペガサスの戦いに割り込む。龍也の背後に回りこみ

 

「はっ!」

 

ペガサスの攻撃を避け体勢を崩している龍也の頭目掛けて繰り出される拳。しかしそれは空を切り

 

「甘いな。私が何年1人で戦ってきたと思っている?」

 

「がっ!?」

 

素早く身を屈めた龍也がヴォドォンの腕を掴んで背負い投げをする。宙を待ったヴォドォンに龍也の拳が叩き込まれ、更に回し蹴りが頭部を捉える。サッカーボールのように地面を弾んで木に叩きつけられるヴォドォンに目もくれず。前を向いたままペガサスの2刀を一息で弾き返す

 

「やってくれる。最強と呼ばれるだけはあるな」

 

「ふん。そんなのは勝手に呼ばれているだけだ。最強だの何だのそんなものは只の言葉遊びに過ぎん!!」

 

黄金の閃光が空を抉りカマイタチを起こす。こんな現象は漫画やアニメでしか見ることの出来ない、目の前で起きているのに何処か遠くの現象のように思えた。龍也の一振りごとに地面が抉れ、木々が宙を舞う……そんなありえない現象を起こしているのはISでも化け物でもなく人だ。

 

(龍也……お前は一体何者なんだ?)

 

友人だと思っていた。ずっと頼れる仲間だと思っていた……だが龍也は俺が目標としていた黄金の騎士で、俺や箒達が見ていた物と全く異なる世界を見ていたと言うことを俺は初めて知った……

 

 

 

これが魔法使いの実力か……

 

ワタシは楯無達を護りながら龍也の戦いを分析していた

 

「凍てつけ氷の足枷!」

 

ダンッ!!!

 

打ち付けた拳を中心に氷柱が走る。それと同時にワタシ達の場所までひんやりと冷気が漂ってくるのを感じた

 

「はっ!こんな子供騙しが!」

 

だがそれは振るわれた剣と蹴りで完全に砕け散る、だが龍也にはそれさえも計算の上だったのか。剣を背中に回し左手をネクロのほうにむけ

 

「撃つは雷!響くは轟雷!サンダーフォール!!」

 

ズダーンッ!!!!!!!!

 

「「ぐあああああッ!!!!」」

 

天空から降り注いだ雷が氷に乱反射しネクロを焼き尽くす

 

(とんでもないな。自然現象まで操るのか)

 

氷・雷。どれも自然の力だ。どれだけ科学が発達しようが人間では到達できない境地

 

「なめるなあ!!」

 

気合一閃で雷を弾き飛ばし。帯電しながらも龍也に突っ込んでいくネクロ。確か……こいつはペガサスの筈だ。IS学園の所持しているネクロのデータに名前があった。臨海学校のときに強襲してきたネクロだ。ペガサスは下からの2連続の鋭い切り上げを放つ

 

「ちいっ!?」

 

キンッ!!!

 

弾かれた剣が宙を舞いこっちに落ちてくる。それは運悪く楯無のほうに飛んできている。普段の楯無なら手を貸さずとも避けれただろうが、魔法と言う超常現象を前に我を忘れているのか反応が鈍い

 

「楯無!」

 

「えっ?きゃあっ!?」

 

その手を掴んで強引に引き寄せると同時に楯無の手前に龍也が持っていた剣が突き刺さる

 

ドスッ!!!

 

それは鋭い音を立てて刀身の7割を地面の中に沈めた。ただ落ちてきただけなのになんていう切れ味だ……

 

「はっ!」

 

無手の龍也にヴォドォンとか言うネクロが迫る。さっきまでは剣で間合いを取っていたが、今は無手完全に懐に飛び込まれた龍也を見て、とっさに目の前の剣を掴み引き抜こうとするが

 

(な、何だこれは!?)

 

渾身の力で引っ張っているのにびくともしない。龍也は軽々とこれを片手で振るっていたというのに

 

「ユウリ!?何を遊んで……え!?何これ!?」

 

ツバキも剣の柄を掴んで引き抜こうとするが案の定。ピクリとも動かないワタシとツバキの行動を見ていないのに龍也は

 

「無理だ、お前たちにはそれを抜けん。それに……「はっ!!」私は素手でも十分強い!」

 

ズダンッ!!!

 

鋭い踏み込みの音が響いた次の瞬間……

 

「羅刹……剛手甲!!!」

 

残像が見えるほどの高速の2連続の裏拳が放たれる、それはまるで爆弾が爆発したような轟音を立ててヴォドォンを吹っ飛ばす

 

「ふー……「残心してる場合か!」 違うだろうな!」

 

ISを展開していても見えるかどうかの神速の斬撃が龍也に迫るが

 

パシッ!

 

パシッ!!!

 

腕の軌道を見極め。的確にいなし直撃だけは回避している龍也だが、浅く頬や腕を切られ鮮血が闇夜に赤い筋を作り出す

 

「「「っ!?」」」

 

血の蒸しかえるような臭いに顔を顰める織斑と箒だが、殆どは龍也の戦いから目を逸らさず、その目に涙を浮かべ、自身の足元に飛んできた血に嫌悪感を見せても。龍也の戦いをじっと見つめていた、何を思って戦いを見ているのかは判らない。超常を操り自在に氷や炎を扱う龍也を恐れているのかもしれないし、それとも龍也がヒーローにも見えているのかもしれない……

 

(ユウリは知ってたの? 龍也君の事を?)

 

ひそひそと尋ねてくる楯無に、他の人間には聞こえないように気をつけ

 

(知っていた。タスクからも要注意人物として名前が挙がっていた。不可思議な能力を持つとな)

 

まさか魔法使いと聞いていたとは言えないし、ネクロが警戒していたとも言えずに若干の嘘を交えながら話していると

 

「いつまでも無手で防げると思うなよ!!!」

 

「がっぐうっ!?」

 

ペガサスの膝蹴りが腹にめり込み、龍也の身体がくの字に折れた所に強烈な横薙ぎが龍也の顔を捉え。今までの非ではない鮮血が闇夜に飛び散る。龍也がとっさに右手で顔を隠すと同時に

 

「吹っ飛べ!!」

 

鋭い風切音を伴った鋭い回し蹴りが龍也の胴を捉え、龍也は凄まじい勢いでワタシ達の方に向かって吹っ飛んできた。その顔は鮮血に染まり禄にものなど見えていないように見えた。流石のこれにはラウラ達でさえ息を呑んだが、そんな中龍也に近寄った人物がいた……恐怖に顔を歪めながらもその手にハンカチを持って近づいたのは簪だった……

 

 

 

 

「だ、大丈夫?」

 

目から血を流している龍也君にハンカチを差し出そうとすると

 

「いや。構わん……気にするな」

 

それを手で制して立ち上がった龍也君はやはり目が見えてないのかふらっと一瞬身体が傾いた。慌てて手を伸ばそうとすると

 

「止めておけ。汚れるぞ」

 

その手を振りほどくように立ち上がった龍也君は顔に手を当てて何事か呟いた。すると蒼い光が龍也君の顔を包み直ぐに消える

 

「ふう……これで大丈夫だ」

 

血まみれの龍也君の顔は一瞬で元に戻り、閉ざされていた眼も両目とも開かれていた

 

「え?なにが?」

 

訳が判らずそうつぶやくと龍也君は前を向いたまま。

 

「下がっていろ。それと眼を閉じておけ、ここから先は子供が見るものじゃない。一夏達もだ、これから目を閉じて耳を塞げここからはお前達が踏み込むべき領域じゃない。全てを忘れろ、そして見るな。1度でも見れば何度でもこの悪夢はお前達を襲う」

 

龍也君の纏う空気が1段下がったような気がする。全身に寒気が走り手が震える。そんな私をツバキさんが抱き寄せながら

 

「何が起きるって言うの?」

 

「あいつらの本性が出てくるのさ。闇よりもなお深い闇がね」

 

龍也君がそう告げると同時に私とエリスを捕まえた異形が

 

「良い感をしていますね。そう遊びはここまで守護者。貴方が1人の内に仕留めさせて貰いますよ」

 

その異形の後ろから3人の女性が姿を見せる。それを見たセシリアさんが

 

「!? ファラさん!?」

 

「馬鹿な。長期療養中ではないのか!?」

 

このとき私は知らなかったが、ファラと言うのはセシリアさんとヴィクトリアさんの先輩に当たり。サイレント・ゼフィルスの専属操縦者だったが、病気で長期療養中だと本国から言われていたらしい

 

「長期療養?くくっはははは!!!そんなわけが無いでしょう? サイレント・ゼフィルスを奪取した時にちゃんと殺して連れて帰っていますよ」

 

殺した? でも目の前にいるのに? 私達が混乱していると3人の女性は何も写していない目で私達を見据え

 

「「「ギシャアアアアアアッ!!!!!」」」

 

人間の物とは思えない咆哮をあげる。それと同時に身体が裂けそこから金属の光沢を持つ物が次々飛び出して……

 

「うっ……」

 

血が撒き散らされ濃厚な血の臭いが辺りに満ち吐き気を感じて口に手を当てると

 

「四神結界!」

 

私達を囲うように4つの剣が地面に突き立てられ。お姉ちゃんの前に突き刺さった剣を中心にして蒼い障壁を発生させる

 

「多少はましになるだろう。ほんの気休め程度だがな……」

 

龍也君がそう呟くとほぼ同時に女性の姿はISとさっきまでいた化け物が混ざったような異形へと姿を変えていた。顔や体型に元の

名残は何一つなく本当に化け物に見えた

 

「ふふ。さぁショータイムの始まりです。行きなさい!!」

 

「「「シャアアアアッ!!!」」」

 

咆哮と共に龍也君に襲い掛かる異形となった女性達。龍也君も駆け出しながら

 

「投影開始《トレースオン》……写・干将・莫耶ッ!!!」

 

2振りの中華剣を両手に構え、1番最初に突っ込んできた。打鉄に似た装甲をしている異形を横薙ぎに引き裂いた瞬間

 

「痛い!痛い!イタイイタイ!!!」

 

苦痛に咽び泣く女性の声が響く。振り切ろうとした中華剣を止めた龍也君の腕をラファールに似た装甲の異形が手にしたライフルで打ち抜く

 

「ちっ!投影開始《トレースオン》……写・干将・莫耶ッ!!!」

 

再び何かを呟くと弾け飛んだ中華剣が再度龍也君の手の中に現れ、ブルーティアーズに似た異形と切り結ぶ

 

「ああああーッ!!!!痛い!イタイイタイ!!!私の腕!?私の足!? 私の顔!?全部全部痛いよおおおおおッ!!!!!」

 

その間も絶え間なく女性の悲鳴が私達の耳に届く。その叫びを聞きたく無くて耳を塞ぐがその悲鳴は耳を塞いでも私の耳に届く

 

「ぐっ!やってくれるな。ヴォドォンッ!!!!」

 

龍也君が間合いを取ってそう怒鳴るとヴォドォンははて? と身振りをしながら

 

「失敗作を使えるようにしただけですよ。痛みと怨嗟の声は貴方の心を縛り動きを鈍らせる。役に立たぬ者の利用価値などその程度でしょう?ほら。そんな事を話している場合は無いでしょう?」

 

龍也君目掛けペガサスと言う人間にしか見えないネクロが龍也君に近づく

 

「余所見をしている暇など与えん!」

 

「くっ!?」

 

キン! キン!!

 

鋭い金属音が何度も何度も響き渡る。しかし龍也君は明らかに集中を乱していた

 

「はっ!!」

 

下からの切り上げで再び龍也君の手から中華剣が弾かれ宙を舞う

 

「うあああああ!?痛い!痛いよお!!!殺して!壊して!!もう人を殺すのも!何かを壊すのもイヤアアアアア!!!」

 

「イタイイタイイタイッ!!!頭も心もイタイよおおおおおッ!!!」

 

「殺して!早く殺して!!壊して貴方はセイギなんダろお!?私達を壊して、ハヤク殺してくれえええええ!!!」

 

赤い瞳から黒い涙を流しながら殺してくれ、壊してくれと懇願する異形。その余りに痛々しい悲鳴に耳を閉じて目を閉じてもあの嘆きと絶望は私達の心を抉る

 

「うっうう……」

 

「酷い……」

 

あちこちから泣声が聞こえてくる。当然だ……私だって涙しているんだ。こんな光景を見て泣かないわけがない

 

「私はお前達を哀れむ!!せめてその魂だけは私が救済する!!!」

 

凜と響き渡る龍也君の声。殺して来たと言っていた……それはもしかするとあの人達の様な人達の事を言っているのかもしれない

 

「人としての尊厳を持って逝くが良い。黄泉路への案内人私が仕る! 投影開始《トレースオン》ッ!!! 写・無毀なる湖光《アロンダイト》ッ!!!」

 

アロンダイトの名に驚き少しだけ目を開き龍也君の手元を見る。そこには湖面のような刀身をした美しい剣が握られていた。

 

アロンダイト……アーサー王伝説で出てくる裏切りの騎士が所有した聖剣。龍也君の手にあるその剣はまるで伝説から抜け出てきたような美しさと神々しさを兼ね備えていて。武器のようには見えなかった……

 

「あアアアアアッ!!!」

 

咆哮をあげて襲ってくる異形を一振りで両断する。すると美しいまでの蒼い炎がその遺骸を包む

 

「私が殺す。私が生かす。私が傷つけ私が癒す。我が手を逃れうる者は1人もいない。我が目の届かぬ者は1人もいない……」

 

謳うように紡がれていく言葉……

 

「打ち砕かれよ。敗れた者、老いた者を私が招く。私に委ね、私に学び、私に従え。休息を。唄を忘れず、祈りを忘れず、私を忘れず、私は軽く、あらゆる重みを忘れさせる」

 

舞うように剣を構え振るう。それは吸い寄せられるように異形を両断し瞬く間に炎に呑み込む

 

「装うなかれ。許しには報復を、信頼には裏切りを、希望には絶望を、光あるものには闇を、生あるものには暗い死を……休息は私の手に。貴方の罪に油を注ぎ印を記そう。永遠の命は、死の中でこそ与えられる。……許しはここに。受肉した私が誓う……この魂に憐れみを《キリエ・エレイソン》」

 

ザンッ!!!!

 

驚くほど静かな呟きだが。それは全て私達の耳にと届いた……最後の異形が両断され炎に呑まれる。その蒼い炎の中で異形の顔がぼろぼろと崩れそこから穏やかな笑みを浮かべた女性の顔が出てきて

 

ありがとう……殺してくれて……

 

耳ではない。心に響く声なき声が私達には聞こえた……

 

龍也君はその蒼い炎に一瞬だけ視線を向けると前だけを見て走り出した

 

「人をなんだと思っている!!!」

 

「人など神に選ばれなくては何の意味ない存在!ただ私達の餌となれば良い!」

 

「人の心を踏みにじる外道共がッ!!貴様らの存在がどれだけ世界に絶望を与えた、どれだけの人々から笑顔を奪った!!!」

 

炎のような怒りそれを全身に纏いアロンダイトを振るい続ける龍也君

 

「はっ!偽善者が何を言う!正義だ何だといって人を危める者が何を持って我らを否定する!お前とて私達と何も変わりはしない!!」

 

「判っている!判っているさ!!!私は何よりも悪を重ねてきた!決して許される者ではない!だが!だからこそ私は!!」

 

金属と金属がぶつかり合う激しい金属音の中でも龍也君の言葉は私達に届いていた

 

「全ての救済を願う!!もう誰も涙を流すことの無い時が来ることを願う!その為にならば私は!例えこの世の全てを悪を担う事になったとしても構わない!!!それが全てを救う方法だというのなら!!私はその悪をこの身に背負うだけだ!!!」

 

「ぬっ!」

 

その強烈な一撃はヴォドォンの体勢を崩す。そして剣を持ち直し両断せんと振りかぶった瞬間

 

「ひゃーははははっ!!!くたばりやがれ!!夜天の守護者ッ!!!」

 

突如現れた悪魔のような異形の一撃が龍也君の胴に叩き込まれる

 

「がっ!!ぐうう……ベルフェゴール!!!!」

 

「ひゃーははは!!覚えててくれて嬉しいぜぇ!!その礼だ!首を撥ねて殺してやるよ!!!」

 

また新しい敵が出てきた……これで3対1になってしまった。私は思わず

 

「ツバキさんと織斑先生のISは!?」

 

そう尋ねるが2人は気まずそうに顔を逸らした。ISが通用しないってことは判っている。それでも龍也君を1人で戦わせるのが酷く心を傷つける。思わず目を閉じた瞬間ふいに耳に小さな呟きが届いた

 

「……鶴翼、欠落ヲ不ラズ《しんぎ  むけつにしてばんじゃく》」

 

それはとても小さな呟きだった。呟いているのは龍也君だ

 

「ふっ!3対1が卑怯だなんて言うなよ!!」

 

振るわれる2刀、それをアロンダイトで防ぐのは無理だと判断したのか龍也君は再び中華剣を両手に持ち。その嵐のような攻撃を防ぎ続ける

 

「心技、泰山ニ至リ《ちからやまをぬき》」

 

「心技、黄河ヲ渡ル《つるぎみずをわかつ》」

 

キンッ!!! キンッ!!!

 

鋭い音を立てて龍也君の手から中華剣が何度も弾きとび。その度に新しい中華剣が龍也君の手の中に現れる

 

「ふっ!死んで煉獄の炎に焼かれるが良い!」

 

「悪いな。まだ私は死ねないのだよ!!!」

 

3体の連続攻撃を防ぐのは至難の業なのか。徐々に龍也君が押され始める。だがそんな中でも龍也君の詠唱は続く

 

「唯名、別天ニ納メ《せいめいりきゅうにとどき》」

 

「両雄、共ニ命ヲ別ツ《われらともにてんをいだかず》」

 

ヒュン! ヒュン! ヒュンッ!!!!

 

鋭い風切音があちこちから響く。龍也君は一気に私達の前まで跳んで

 

「鶴翼14連!交わせるものなら交わしてみろ!!」

 

あちこちから飛んでいった筈の中華剣が弧を描いて異形へと殺到していく。そしてその包囲網が完成したと同時に

 

「壊れた幻想《ブロークンファンタズム》ッ!!」

 

14の中華剣が全て爆発し辺りを炎の海に包み込んだ……

 

 

 

 

 

 

 

壊れた幻想《ブロークンファンタズム》で発生した爆炎を見ながら

 

(ベルフェゴールまで……この調子で増えられると流石に不味い)

 

LV4の1体や2体ならどうという事はない。しかしこの調子で増えられると流石に不味い……

 

(致し方ない……)

 

後ろの一夏達を見て

 

「良いか!絶対に動くなよ!弾き出されたくなかったらな!」

 

「何を言ってるの?もう倒したんじゃ!?」

 

「あの程度で死ぬほどLV4は甘くない!ただの時間稼ぎだ!良いな!絶対に動くなよ!」

 

そう何度も念を押してから拳を握り締めながら

 

「身体は剣で出来ている……」

 

脳裏に思い浮かべるは最強の盾……

 

「熾天覆う七つの円環《ロー・アイアス》ッ!!!!」

 

真名を叫ぶと同時に発生した7つの盾の1枚に黒い砲撃がぶつかる。ギリギリだったみたいだ……

 

だが熾天覆う七つの円環《ロー・アイアス》は簡単に貫かれる護りではない。十分な時間稼ぎになるが

 

(またはやて達に怒られるな)

 

1人で使うなと何度も釘を刺された。だが今はそんな事を気にしている時間はない……

 

さぁ始めよう……私の戦いを……

 

「In itself, a life does not have itself in a sake. (己が命が己が為にあらず )

 

そう。私の命は私のものではない

 

「The body does not have itself to people. (己が体は人にあらず )

 

私の身体は人ではない……

 

「My body is a sword of protection. (我が身は守護の剣なり )

 

この身体は己の大切な者を護る為の剣だ

 

「However the time may pass (どれほど時が流れても)

 

どれだけ月日がたとうとあの日の誓いに揺るぎは無い

 

「何をグダグダとくっちゃべってるんだ!?」

 

「考えるまでも無いでしょう。あの盾を全て砕けば事足ります。行きなさい!」

 

ヴォドオンが呼び出したネクロ達とヴォドォンとベルフェゴールの攻撃が何度叩き付けられても砕けはしない。あれは私自身だそう簡単に砕けるものではない

 

「However it may throw language (どれほど言葉を投げかけられても )

 

言葉だけでかわれはしない

 

「There is no change in my way of life. (我が生き方に変わりはない )

 

私が胸に刻んだ誓いを護る為だけに私は生きている

 

「The world at which those that themselves merely loved laugh (ただ己が愛した者全てが笑う世界を…… )

 

ただ私が欲しいのは、私の愛した者達が笑っている世界

 

「The world in which things are not where who sheds tears (誰も涙を流す事ない世界を…… )

 

私が願うのは、もう誰も涙を流す事のない世界

 

「Self is fought in order to make it. (それを作る為に我は戦う )

 

ただそれだけを夢見て。私は剣を手にする。決して届かぬ理想と知ってもなお追い続ける

 

「なんだ?何を言ってるんだ。シャル判るか?」

 

「え、えーと早いし聞こえにくいけど……何とか」

 

一夏達が詠唱の意味を理解しようとしているのが聞こえるが。そんなのは理解しないほうが良い

 

「What 1000 battlefield (幾千の戦場 )

 

全ての戦場を見てきた……

 

「The what 10,000 world (幾万の世界)

 

星の数ほど世界を渡ってきた……

 

「It is that the time with fortunate everyone to wish visits self by gazing at the all(その全てを見据え我は願う、誰もが幸せな時代が訪れる事を…… )

 

その全ての世界、全ての人達が嘆くことも無く、涙することも無く笑っている世界が時代が訪れる事を願う

 

「that time -- all feeling -- it laughs at hidden self(その時まで感情全て隠し我は笑う)

 

その為ならば無理にだって笑おう。私が泣けば皆が不安がる。それに私に嘆き涙を流す資格などない

 

「Because the way of life is just my only one obtained answer (その生き方こそが我が得た唯1つの答えなのだから)

 

全てを偽り。己ではない者のために生きる……それだけが私と言う存在なのだから……

 

「The grave marker of the sword of 1000 (千の剣の墓標)ッ!!!!」

 

 

 

 

「な。なんだよ……これ」

 

俺は思わずそう呟いた。俺達は森の中に居たはずなのに……今は紅い荒野の廃墟が立ち並ぶ場所に居た。その荒野には無数の剣や斧や槍。考えうる限りの全ての武器が墓標のように突き立っていた……

 

「うっ。ううう……頭が痛い」

 

クリスさんの呟きとほぼ同時に俺にも頭が割れるような激痛が走る

 

「がっ!? ぐううううッ……」

 

頭を抱えその激痛の余り倒れかけると

 

「大丈夫か?一夏」

 

千冬姉がその腕で倒れ掛けた俺を支えてくれるが。千冬姉もその顔色が若干悪い、多分この場所の影響だ

 

「こ。これって……」

 

「どうして……これが」

 

簪さんとエリスさんは何か知っているようで信じられないという感じで呟いている。

 

「世界を転移した?いや違う……」

 

「なんだこれは!?貴様何をした!!」

 

ネクロ達も訳が判らないのかそう叫ぶ。この現象がなんなのか理解しているのは龍也だけだろう。龍也は俺とネクロ達の中間錆びた剣の前に佇んでいた

 

「固有結界……己が心を世界に移す禁忌の魔法。つまりここが私の心の中だ!!私はあの詠唱の通り決して届かぬ理想を追い続ける者」

 

固有結界?心の中?この廃墟が……何一つ生きる者の居ない世界が龍也の心の中だって? 

 

「う。嘘だよね……こ、こんなのが龍也君の世界だなんて嘘だよね?」

 

「そ、そうじゃないの? ハッタリとか?」

 

シェンと鈴の信じられないという声が何処か遠くに聞こえる。俺にはなぜか判ってしまった、この世界が嘘偽りの無い八神龍也という男の心象風景なのだと……

 

「何もない世界……生きるものは無い。この世界が私の心だというのならば……これほど相応しいものは無い。 己の命は自分でない誰かの為に……」

 

龍也はそう呟きながらゆっくりと歩き出す。行く道を塞いでいた剣達は独りでに動き龍也の道を作る。それは臣下が己が王を迎え入れるような厳かさに似た雰囲気をしていた

 

「こんな墓が並ぶ世界が龍也の心だというのか?」

 

「なんて寂しい世界なんですか。余りに辛い場所です」

 

余りに辛い、心が怯え震える……本能的な畏怖……俺達は知らぬ間に近寄り互いに互いの身体を暖めていた。そうしないと自分を見失いそうな気がして……

 

「壊れた人間にこれ以上相応しいものは無い……私もまた生きていると同時に死んでいるのだから」

 

その呟きと同時に、無数に立ち並ぶ剣が震え音を立てる。それが何十、何百、何千、何万と幾つも幾つも重なって、一つの音となる。それは泣き声の様に聞こえた。龍也は無造作に2本の剣を地面から抜き放ちながら

 

「壊れた男が辿り着いた唯1つの答え。砕けるものなら砕いてみるが良い」

 

厳かに……そしてどこまでも空っぽの声で龍也はそう告げたのだった……

 

第68話に続く

 

 




次回は固有結界による戦闘回をやろうかと思っています。多分次回もこれくらいの長さになるんじゃないかなと思います
それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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