IS~現れたる神なる刃【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回で固有結界の戦闘は終わりの予定です。やってみると意外と難しいものであると始めて知りました
でも面白かったです。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


第70話

 

 

 

第70話

 

キンッ!!キンッ!!!

 

固有結界の中を響き渡る甲高い金属音。ペガサス、ヴォドォン、ベルフェゴールの3体を相手に戦うのならば生半可な剣では役に立たない。

 

「はっ!!!」

 

「シャアッ!!!」

 

上段から振り下ろされたペガサスの2刀と横薙ぎのベルフェゴールの鎌に引き裂かれながら後ろに飛んで

 

「壊れた幻想《ブロークンファンタズム》ッ!!!」

 

ベルフェゴール達の中心にある剣を爆破しその爆風にのって一気に間合いを離す。着地し直ぐに走り出そうとして

 

ガクンッ

 

(くっ!?リバウンドか!?)

 

展開し始めてもう30分が経とうとしている。全身が悲鳴をあげ視界が徐々に狭まっている。

 

(ちいっ!こんなところで終われるか!!)

 

リミットがくれば私は十中八九意識を失う。そうなれば一夏達はベルフェゴール達から身を護る術はない。ISなんてLV4にしてみればただのおもちゃだ。絶対防御など何の役にも立ちはしない。震える足を殴りつけ活を入れてから、廃墟を駆け世界の中心に突き立つ黄金の剣「約束されし勝利の剣《エクスカリバー》」を目指して走る

 

(時間がない。これで極めなければ)

 

真名開放に使う魔力と残りの自身の魔力を計算すればギリギリで一発放てる。後は

 

(上手く誘導するだけだ!)

 

3体をエクスカリバーの射軸におさめる。その方法は1つだけだ、地面に並び立つ剣を見据えその内の1本を切り上げる

 

キンッ!!!

 

「加法……一本・二本・三本・四本・五本・六本・七本・八本・九・十・十一・十二本」

 

高速回転しながら弾かれた剣は別の剣を弾き、それがまた別の剣を弾く。それが何度も繰り返され倍々に増えていく

 

「乗法。48本」

 

更に回転する剣を叩き回転させる宙を舞う剣同士が更にぶつかりあいその数を倍以上に増やす。だがこれで終わりではない

 

「乱立。192本」

 

一息で2本更に剣を弾く、それは高速回転しながら周りの剣を巻き込みあいその数を倍以上に跳ね上げる。

 

「ひゃっは!?何だこれは!?」

 

「視界全てが剣だと!?」

 

動揺し硬直しているヴォドォン。ベルフェゴールと違い

 

「なっ!?散れ!ベルフェゴール!ヴォドォン!!」

 

私が何をしようとしているのか理解したペガサスがそう叫ぶがもう遅い。最後に弾いた剣が目の前に来たところで

 

「封殺「剣の牢獄」ッ!!!」

 

その一本の剣を全力で打ち出す。それは全ての剣を巻き込み一直線にペガサス達に向かっていく。

 

「くっ!?退路を断たれた!?」

 

打ち出した剣達は互いに互いを弾き合い、完全なる包囲網とする。人間相手には使う気はないがネクロ相手なら何の問題も無い

 

(壊れた幻想では駄目だ。火力が足りない)

 

あの3体を同時に仕留めるにはEXオーバーの魔力が必要になる。192本全て同時に爆破したところでSS+、普通の相手ならこれで十分だが。最高位のLV4を同時に屠るにはこれしかない。足場をしっかりとつくり両手で約束されし勝利の剣《エクスカリバー》の柄を握り締め魔力を通しながら振りかぶる

 

(ぐっううう……相変わらずの大食いが)

 

約束されし勝利の剣《エクスカリバー》はとんでもなく燃費が悪い。魔力を無尽蔵に吸い上げていくのではと使う度に思う

しかも固有結界を展開時間ギリギリまで展開した上の真名開放。はっきり言って自殺行為でしかない。最悪の場合の治癒の魔力まで使おうとしているのだから自分でも呆れてしまうが

 

(ここであいつらを仕留めておかないと後が不味い)

 

指揮官クラスが3体も揃って出てきた。こんな好機を逃すわけにはいかない

 

「約束されし《エクス……》」

 

約束されし勝利の剣《エクスカリバー》の刀身に光が集まり巨大な刀身を作り上げる

 

「……勝利の剣《カリバー》ッ!!!!!!」

 

全ての魔力をつぎ込んで放たれた史上最強の聖剣の刃がベルフェゴール達に迫る。極まったと放った瞬間確信した、だが……それは間違いだった。固有結界内に突然2つの膨大な魔力反応が現れると同時に

 

「ぬうんっ!!!」

 

「はあああッ!!!!」

 

エクスカリバーを押し返そうとする2つの闇の刃。暫く拮抗しあっていたが

 

「ぐうっ……」

 

もうエクスカリバーを維持するだけの魔力がなくなり。勝利を約束されたはずの聖剣は私の手の中でその輝きを失った……

 

「ふっふふふ、久しいな。八神龍也。私を覚えているか?」

 

私の前に立ち塞がったのは見覚えのあるLV4ネクロだった。赤黒い甲冑と青いマントを持ち、大型の西洋剣と盾で武装したLV4ネクロ。私自身も何度も対峙した

 

「ああ。良く覚えているよ……冥皇ベエルゼ」

 

LV4の中でも取り分け強力なネクロ。最終決戦の時には姿を見せなかったので死んだと思っていたがまさかこんな魔素の薄い世界で生きているとは思っても見なかった

 

「礼に従い。俺も名乗ろう。覇皇ハーデス」

 

そしてベエルゼの隣で腕を組むLV4ネクロ。漆黒の甲冑に自分の周りに滞空している棺のような形状の楯とその両腰の鞘に装備された西洋剣が見える。最悪のタイミングでの増援だった……

 

 

 

 

 

 

 

龍也が剣を支えにして漸く立っていると言う状態で更に増援が現れた。しかもベエルゼ

 

(スコールから何度も聞いていたが、こいつも化け物だな)

 

タスクの協力者としてIS奪取や操縦者の拉致をやっていたネクロ達のリーダー。しかも総大将が前に出てきた。これはワタシでも予想外だった……

 

(逃げるのは無理か……いざとなればワタシも闘うしかないな)

 

ネクロ相手に普通のISでどこまで戦えるかは判らない。だが戦うしかないのなら命を賭ける覚悟がある。1人戦う覚悟をしている中ベエルゼは剣を収め

 

「相変わらずの戦技。じつに見事……私の知る貴様より遥かに腕を上げていた。素直に賞賛に値する」

 

「ふん……貴様なんぞに褒められても嬉しくもなんとも無いね」

 

よろよろと剣を構えなおす龍也にベエルゼは手を向けて

 

「止せ。剣を降ろせ……今の貴様とは戦う気はない。ただ宣戦布告に来ただけだ」

 

「おいおい!?ベエルゼ様よ!ここで仕留めておけば後々「黙れ。ベルフェゴール。私はペガサス達を回収して戻れと言ったはずだ。命令違反の上に私に意見する気か?」ひゃはっ!?も、申し訳ありません」

 

膝を付き謝るベルフェゴール。あれだけの強さを持つネクロがぶるぶると怯え顔色を窺っているというのが信じられなかった。ベエルゼが強いのは知っていた。だがここまでとか

 

「惜しむらくは足手纏いどもが居た事だな。お前1人ならばこの世界を展開した時点でペガサス達を殺せた者を」

 

くっくくっと笑うベエルゼに龍也は

 

「ふん。今でも私は戦える」

 

剣を構える龍也にベエルゼはワタシ達を指差し

 

「哀れだな。何も理解しようとしない愚か者共がそれほどいては貴様も禄に戦えぬのは道理。しかも貴様を全ての悪と決め付け憎悪する。人間とは愚かだな。なぁ八神龍也?貴様がどれほど傷を背負い戦ってくれたのでさえ理解しない。人間とは度し難い存在だよ」

 

喉を鳴らし笑うベエルゼに千冬が

 

「何の話をしている。龍也がいたから貴様らが来た。龍也がいなければ「戯けが。八神龍也がいるからこそ我らは進軍しなかっただけだ。こんな砂にも劣る城砦など半日もかからず廃墟だ。それすら判らぬか、世界最強が聞いて呆れるわ!!!」

 

ベエルゼの一喝がワタシ達に叩きつけられる。ベエルゼは肩を竦め

 

「こんな虫にも劣る屑どもを護り傷ついた貴様を私は憐れむよ。だってそうだろう?自分たちの傷が全て癒えて……いや違うか。八神龍也がその痛みを全て引き受けていることさえ理解できぬのだからな!!」

 

ベエルゼの一喝がワタシ達の耳を打つ。ワタシ達の傷を龍也が背負う?どういうことだ……私達が困惑しているとベエルゼは剣を構えたままぴくりとも動かない龍也を見ながら饒舌に

 

「知らぬのか、ならば教えてやろう。どうせもう八神龍也に動く気力など残されていないのだからな。変わりに教えてやる。この世界は全ての傷を一時的に無効化する。だが展開終了後にその傷は全て同時に八神龍也の身体に戻る。常人なら発狂死するほどの痛みが既に八神達也を襲っている「黙れ……そんなことはどうだって良い」だがこの世界に足を踏み入れたものの傷も全て背負ってる。貴様らの傷はないことに気づいておらぬか?」

 

そう言われて慌てて楯無を見ると、楯無は頭に巻いていたタオルを外し

 

「き、傷が無い!?頭も腕も全部!?」

 

楯無だけではない全員が怪我を負っていた箇所を確かめ驚く中ベエルゼは踵を返し

 

「このような些事で死んでくれるなよ。貴様を倒すのは私だ。行くぞ」

 

龍也を一瞥したベエルゼは無造作に腕を振るうと空間をこじ開け

 

「戻るぞ。ここで八神龍也が死ぬと言うのならそれもまた運命だ」

 

そう言って自身がこじ開けた空間の中に消えていくベエルゼ。それに続いて消えてくヴォドォン、ベルフェゴールだったが

 

「……」

 

「どうした。ペガサス戻るぞ」

 

ペガサスだけではハーデスと名乗ったネクロを睨みつけて居たが。頷き同じように消えていった……残されたのは剣を構えて沈黙している龍也とベエルゼの言葉を聞いて硬直してるワタシ達だけ……もしあいつ言ったことが本当なら……ワタシがそう思い足を一歩踏み出した瞬間。紅い大地は音を立てて崩れ落ち

 

「ごはっ」

 

龍也は大量の血液を吐き出すと同時に糸が切れた操り人形のように地面に崩れ落ちた。そしてそれと同時に鼻を突く血の臭い

 

「ツバキ!楯無!」

 

「判ってるわ!」

 

「恩人だからね!死なせないわよ!」

 

慌てて龍也に駆け寄り倒れた龍也の身体を起こして

 

「「!?」」

 

ワタシもツバキも楯無も絶句した。全身どこを見ても傷傷傷……無事なところなど何一つ無い……それ所かどの傷も楯無や一夏達が負った傷と同じ場所に、同じ深さで存在し。それが龍也の古傷を開き余計に出血を激しくさせていた。その余りの光景に箒達が目を見開き呆然としている中。楯無が気道を確保しようと口元に手を持っていったとき

 

「!?ツバキ!息をしていない!!!」

 

ワタシも龍也の口元に手をかざす。龍也の呼吸は完全に停止し心音も止まりかけていた

 

「気付け行くわよ!ユウリ、楯無!身体押さえて!千冬手伝いなさい!」

 

ツバキがそう怒鳴るが千冬は

 

「魔法使いなんだろう?その程度自力で……「いいかげんにしなさい!!自分達の命の恩人を見殺しにする気!貴方達も呆然としてないで手伝いなさい!!!」

 

ツバキの一喝が響いても動きもしない一夏達に本気で怒りを覚えた。なぜ自分たちを救ってくれた人間を助けようとしない、これではベエルゼの言った通りではないか……だが動くものも居た

 

「ツバキさん、どうすれば良いですか!?」

 

「彼は死なせてはいけない、お義母さんどうすれば良いの!?」

 

「簪ちゃん……エリスちゃん……2人で身体を支えて。良いしっかりよ?」

 

「恩を仇で返すのは性じゃねえ。手伝うぜ」

 

ツバキが指示を出す中シェンやヴィクトリアも龍也の身体を押さえに来る。龍也の本来の姿はワタシ達が見ていた姿より一回り大きい。ワタシ・楯無・ヴィクトリア・シェン・クリス・簪・エリス・弥生で支えて漸く身体を固定できた。血で服や手が汚れるがそんな事を考えている場合ではない

 

「せーのっ!!!」

 

龍也の後ろに回ったツバキが背中に足を当てて肩を掴み。思いっきり後ろに引っ張る

 

ゴキャンッ!!!

 

生々しいまでの骨のなる音が響くと同時に龍也が目を見開き

 

「うっごほ!げほっがほっげおっ!!!」

 

龍也が咳き込む度にどす黒い血が吐き出されワタシ達の服を汚す。その血の色を見て

 

(この色は不味い!?)

 

黒い血液を吐き出すということは内臓がいくつかやられているのは間違いない

 

「このままじゃ不味い!早く治療室に連れて行かないと手遅れになる!!」

 

出血が激しすぎる。このままでは出血死をするのは時間の問題だ。

 

「ツバキ殿!緊急医療キットです!」

 

暗部の3人がそれぞれ緊急用の医療キットを持って走ってくる。だがあんなその場しのぎの機械では……丁度その時月光が龍也を照らす……それと同時に闇の中に蒼い光が走る

 

(な。なんだ!?何が起きている!?)

 

突然の不可解な現象にワタシが驚いている中光は徐々に形を成していく……

 

《王を救いたい。力を貸して欲しい》

 

月光の光を浴びてワタシ達の前に姿を現したのは

 

「せ、セレス?」

 

龍也の記憶で見た死んだ筈の女性の姿だった……

 

 

 

 

 

「ん?あ、なんだー終わりかぁ」

 

突然ネルヴィオが立ち止まりそう呟く。空中だから立ち止まるという表現はおかしいが止まっている。ネルヴィオはBJを解除し小さな女の子を抱きかかえる

 

(やっぱりユニゾンデバイス!)

 

ネルヴィオの気配だけではなく別の気配も感じていたのでもしかしたらと思っていたがやはり私の予想は当たっていた

 

「早く行きなよ。千の剣のリバウンドでお父様が死んじゃうでしょ」

 

「何を考えとる?」

 

ネクロが態々私達を見逃す理由がわからない。警戒しながら尋ねると

 

「あのねー。ネルはネルの目的で動いてるの!ベエルゼとかどうでもいーし。ネルはお父様が欲しいだけだから死なれたら困るの。判る?」

 

だから早く行ってよと不機嫌そうに言ったネルヴィオは

 

「いこ。セリナ、今日は帰ろ」

 

「うン。ワカッタヨ。ネル」

 

ネルヴィオ達はそう言うと本当に転移し私達の前から姿を消した。ネクロが1枚岩の組織ではないとは言えこれには驚いた。だが呆然としている暇は無い。即座に兄ちゃんの魔力をサーチするが

 

(反応が弱すぎる!)

 

反応が弱すぎて感知できない。まだあたりに残っているネクロの魔力のせいだ

 

「私が行こうか!?スピードは私が1番あるよ!」

 

「がむしゃらに探しても埒が明かんわ!」

 

固有結界の時間制限を越えた。リバウンドで死に掛けているのは間違いない。だから探知できるように最低限の魔力は残す約束だったが、そんな余裕が無かったのだろう。完全に魔力の反応が無い。気ばかりが焦る中唐突に凄まじい魔力反応がした

 

「こ、この魔力は……」

 

「そんな……どうして」

 

その魔力の波長を忘れるわけが無い、一緒にいた時間は短かったが忘れるわけが無い。風のように吹き渡る魔力……

 

「セレス……さん」

 

セレスさんの魔力が教えてくれている、兄ちゃんの居場所を……私達は即座に目配せしてその魔力反応の元へと向かった

 

 

 

 

 

 

血の海に沈む龍也君の前に浮かび上がったセレスさんは私とエリスを見つめて

 

《貴女達の力を貸して欲しい。貴女達ならば王を救える》

 

私達が龍也君を救える?どういう意味かわからず困惑していると、セレスさんは

 

《いまはやて様達がこっちに来ている。だが間に合うかどうかはギリギリだ。だが貴女達は魔道師としての素養がある。貴女達が力を貸してくれれば王を救える。だけど……無理強いはしない。貴女達が王を救えば貴女達は逃れることの出来ない戦いに身を投じることになる》

 

戦い……ネクロとの戦いのこと?私が困惑している中箒さんが

 

「止めておけ!簪!エリス!はやて達が来れば八神は助かるんだ。お前達が八神を救う義理はない筈だ!「黙れ!私は龍也君に救われた。ずっと、ずっとだ!さっきも何も言わないで私達を助けてくれた!どうしてそんな事がいえる!!!」

 

エリスの一喝に箒がびくりと身を竦める。いやそれだけじゃない……ツバキさんやユウリさんにも睨まれ完全に黙ってしまった

 

「失礼しました。それでセレスさん?私はどうすれば龍也君を救えるのですか?」

 

《貴女1人では足りない。そこの貴女の力も必要》

 

私を見てそう言うセレスさん。お姉ちゃんや箒さん達の視線を感じながら。隣のお姉ちゃんを見ると

 

「止めないわよ。簪ちゃんが決めなさい」

 

お姉ちゃんに背中を押され1歩前に踏み出しながら

 

「私も協力します。だから教えてください、龍也君を助ける方法を」

 

私がそう言うとセレスさんは

 

《感謝します。手を貸してください》

 

ゆっくりと伸ばされた手を握る。半透明なのにしっかりと感触が会った

 

《私が詠唱を教えます。それについて詠唱をしてください》

 

その言葉に頷くとセレスさんは詠うように言葉を紡ぎ始めた

 

創造の理念を鑑定し、

 

「「創造の理念を鑑定し」」

 

基本となる骨子を想定し、

 

「「基本となる骨子を想定し」」

 

構成された材質を複製し、

 

「「構成された物質を複製し」」

 

ここまで詠唱したところで凄まじい虚脱感に襲われた。足が震えて立ってられない。私もエリスも膝を着くがそれでもセレスさんの手は離さない

 

制作に及ぶ技術を模倣し、

 

「「せ、製作に及ぶ……技術を模倣し……」」

 

成長に至る経験に共感し、

 

「「成長に至……る。経験を共感し……」」

 

蓄積された年月を再現し、

 

もう口を開くのもしんどいし目の前がかすむでもセレスさんの言葉を聞き違えることなく詠唱を続ける

 

「「蓄……積……された……年月を再現し……」」

 

あらゆる工程を凌駕し尽くし――――

 

「「あらゆる……工程を凌駕し……尽くし」」

 

ここに、幻想を結び剣と成す――――!

 

「「ここに幻想を結び剣と成す!」」

 

《全工程終了。投影終了「全て遠き理想郷《アヴァロン》

 

私とエリスの手の中に光り輝く鞘が現れる。それは日本人の私には何の鞘か判らなかったがヴィクトリアさんが

 

「アヴァロン!?アーサー王の神話の伝説の鞘……所有者に不老不死を与えるといわれるあの鞘か!?」

 

驚き目を見開いているヴィクトリアさんをみながら私達の手の中に現れた鞘を龍也君の身体の上に乗せると

 

「うっ……うう」

 

柔らかい黄金の光が龍也君を包み込む。すると見る見るうちに傷は言え血の気の失せた顔にゆっくりとだが生気が戻ってくる

 

「う……せ、セレス?」

 

《はい。私です》

 

龍也君はうっすらと透けて見えるセレスさんを見つめて

 

「迎えに来たのか……?」

 

《いえ。違います……私は貴方を救いに来ただけです》

 

「そ、そうか……まだ裁きは訪れないか……」

 

龍也君はそう呟くと再び意識を失った

 

《これで大丈夫です。あとははやて様たちが何とかしてくれるでしょう》

 

そう笑ったセレスさんだが織斑先生達を見て

 

《私は貴女達を許さない。自分の都合しか考えない屑が何を持って王を否定する!お前達のような存在を護って王が傷つく理由など無い!そんなにも王が信じれぬというのなら何故王の後ろに隠れた!前に出て死ねばよかっただろう!!!》

 

燃えるような怒りを帯びた視線でそう叫んだセレスさんから目を逸らす織斑先生達から興味を失ったのか、何処か遠くを見つめて

 

《来た……あとははやて様達が何とかしてくれるはずだ》

 

そう呟くと龍也君を抱きしめゆっくりとその姿を粒子にして消えて行った……死してなお龍也君と共にあり続けるセレスさんの深い愛を見た……

 

「兄ちゃん!!」

 

「龍也!」

 

「龍也さん!!」

 

空から黒い甲冑や白い法衣の様な物を纏ったはやてさん達が降りてくる。龍也君が魔法使いなら当然といえば当然だろう。慌てて龍也君に寄り添ったはやてさんは何事か呟くと蒼い光が龍也君を包み込んだ

 

「うっ……はやて?」

 

「あ、ああ……良かった」

 

心底安堵したという表情ではやてさんは龍也君を抱きしめた。龍也君ははやてさんを抱き返しながら背中を撫でて、はやてさんに肩を貸して貰いながら立ち上がった龍也君は

 

「全てを説明するときが来たようだな。ツバキ・V・アマノミヤ」

 

その顔は見たこともない険しい顔をしていて、思わず背筋が伸びた……龍也君はそんな私とエリスを見てくすりと笑うと

 

「ありがとう。助かったよ」

 

にこりと微笑みかけられ私とエリスはいうまでも無くトマトのように真っ赤になる。あうあうと理解不能な言葉を呟くことになった……あの笑みは駄目。綺麗過ぎると私は思った

 

 

 

第71話に続く

 

 

 

 

 

 




次回は解説回ですね。あと一夏達の拒絶とかをやりたいと思います。シリアス回はもうちょっとだけ続きます
それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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