第71話
血塗れの簪やエリスを見ながら私は悪いことをしたなと思いながら
「すまない。助かった、死に掛けるのは慣れているが「「「慣れる物じゃない!!!」」」耳元で怒鳴るな頭に響く」
いかにアヴァロンといえど結界の外に加え。ランクとしては私が作るものと比べるまでも無く粗悪な仕上がりだった。
失った血液と受けたダメージは半分ほど回復したが、それでも本調子には程遠い
「大丈夫なの?」
「なにがだ?」
楯無にそう尋ね返すと楯無は自身の頭と腕を触りながら
「ほら……その腕とか?肋骨とか?頭とか?」
自分の怪我が私に写ったとベエルゼに聞かされた。楯無が申し訳なさそうな顔をして尋ねてくる
「問題ない。傷は完治した。あとはまあ血液とかだが休めばどうとでもなる」
セレスとの融合のおかげで回復力は高いしなと思っていると一夏が少し距離を取りながら
「なぁ?お前達は一体なんなんだ?」
恐怖を目に写しながら尋ねてくる。まぁ当然といえば当然か、慣れてるからなんとも思わんがな
「ふむ。説明しても良いが……ここでは駄目だな。私の別荘に来てもらおうか」
私がそう言うと一夏は首を振りながら後ずさり
「いや。俺は行かない……お前はずっと俺達を騙していたんだろう!?何もかも知ってたのに!!俺はそんな奴の言うことは信じられない!だから俺達は帰る!!!簪さん達もだ!着いて行かないで戻るべきだ!!」
その言葉に明らかにはやて達が不機嫌な顔をする。まぁ騙していたって言えば騙していたが別にそんな意図はなかったんだがな。あと
「「「………イラッ」」」
民間人にデバイスを向けようとしてているはやて達。これでも我慢しているほうだが、もしこれ以上何か言おうものなら非殺傷の魔法の嵐が発生するのは言うまでも無いだろう
「そ、そうですわね。私も戻ります。少々気分が優れないので」
「……僕は一夏が帰るって言うなら帰る」
一夏の帰るという言葉に続くかのように帰ると言い始めるセシリア達。残っているのは私を助けてくれたメンバーと暗部の3人とそして鈴とラウラだけだ。鈴とラウラは
「あたしは知るべきことは知りたいの。教えて貰うわよ。何者なのかとかあのネクロがなんなのかとかね?」
「私も同意権だ。もしつぎがあったらと考えるのなら聞いておくべきだ」
クレバーな2人らしいとも思いながら私は肩を竦めて
「うむ。別に構わんよ?寮でネクロ化したいのならかまわん。好きにしたまえ身体が内側から裂かれる痛みにもがき苦しみ死にたいのなら好きにすれば良い」
その言葉に立ち止まる一夏達を無視してはやてに目配せすると
「ではツバキさん達はこっちへ。兄ちゃんの別荘で解呪と風呂を用意するんで血を洗い流してください」
ゲートを作りさっさと楯無たちを押し込んでいく。千冬が
「どういうことだ?」
「簡単な話だ、ネクロ化は空気感染もする。これだけ大量のネクロを倒したんだここら辺一体はネクロの毒素で汚染された。
抵抗力を持たない人間なら半日もすればネクロ化する。痛みを伴ってな?まぁ帰ると言うなら止めはしない。勝手に死ね」
「ちょっと待った!龍也く……君はおかしいわね、さんでOK?「どうぞ」治してあげないの?」
ネクロ化の言葉を聞いて明らかに怯えの色を見せる一夏達に
「帰ると言うことは私が信じれないということだ。無償で2回は助けたさ、だが聖人君子じゃあない。態々去って行く者を救う気はない面倒だしな」
そう言いながらゲートに近づき。指を1本だけ立てて
「私の堪忍袋も3回までだ。10秒以内に決断しろ。来るか!来ないのか!死にたいのなら悩んでいろ!!!」
私の怒声に慌てて近寄ってくる一夏達を見ながら
「二度はない。大人の言う事は黙って聞いておけ」
黙って頷く一夏達を見ながらツバキさんに
「ゲートの先はまぶしいので気をつけて」
「まぶしい?まぁ良いわ。魔法とやらあとでじっくり聞かせてもらうから」
「構いませんよ。受けた恩は返すのが流儀ですから」
そんな話をしながらゲートを潜る。一夏達はおどおどとついてくる。するとゲートの先からうわっとかきゃあっと言う声が聞こえてくる
「罠とかじゃないわよね?」
「ふーあの先は昼間なんですよ?それにですね。態々罠なんか仕掛けなくても無力化するなら」
パチン
指を鳴らすと空中に剣が3本現れる。投影待機にしていた剣群だ
「これで全部事足りる」
「……それは失礼。魔法使いって言うのは随分とすごいのね?」
「ご想像にお任せしましょう。まぁその前に血を流してください。私の別荘でね」
ゲートを潜り抜けるとその先は昼の世界。全員が目を閉じるなか私はゆっくりと別荘にと歩き出した
これが別荘?龍也が別荘と言ったのはかなり大きなログハウス。近くには巨大な湖が広がっているのが見える
「龍也様。お怪我は大丈夫ですか?」
雪の花が散ったと思った瞬間緑色の髪をした女性が龍也の前に片膝立ちで立っていた
「問題ない。それよりもはやて達が連れて行った彼女達は?」
「は、いま入浴をしていただいています。だいぶ血液を浴びていたようなので。服のほうはこちらのほうで処分いたしました」
「そうか。ありがとう。それとあいつらも案内してやってくれ。汗が酷いだろうからな」
その言葉に片膝立ちの女性は眉を顰めながら俺達を見ながら
「龍也様を疑い迫害したものをですか?」
「そうだ。嫌か?」
迫害って俺達が何したって言うんだよ。龍也が何もかも言わないのが悪いんだろう?俺がそんな事を考えていると
「落ち着け。シャルナ。子供の戯言だ」
「……度し難いです。龍也様に疑惑を向けるなど極刑に値する」
その目は黒く濁っているかのように見えた。俺や千冬姉を見据えシャルナと呼ばれた女性は龍也に一通り宥められてから立ち上がり
「先に用意するものを要しておきます。龍也様の手当ての用意も必要ですし、ではまた後で」
とんっと跳躍すると女性は雪をまとって姿を消した
「え?なにあれ?ええ?どういうことよ?」
鈴が驚きながら尋ねると龍也は
「後で説明してやるよ。あとで気が向いたらなだけどな」
「あら?じゃあ私が聞いたら?」
ツバキ先生がそう尋ねると龍也は
「恩人ですからね。1つだけなら無条件で答えますよ?それでさっきのを答えましょうか?」
「いや。良いわ。後で聞かせてもらうから」
ツバキ先生とそんな話をしながら歩いていく。俺達は着いて行かないわけにはいかず龍也の後を追って歩き出した
「取りあえず汗を流して来い。話はそれからだ。シャルナ。クレア悪いが手当てを頼む」
龍也はそう言うとさっきに緑の髪の女性と小柄な金髪の少女を連れてログハウスの奥に向かって行った。取りあえず俺達は従うしかなかったので、言われたとおりシャワーで汗を流してから渡された着替えに着替えてリビングに戻った
「おや。意外と早かったな?それともなにかね?私が何か罠を仕掛けているとでも思ったかな?」
くっくと笑う龍也は既にもう絶好調と言う感じでいつもと同じ余裕の色を見せている。その隣でははやてさん達の姿があるが、龍也同様20代前半と言った感じになっている
「あ、あの着替え、ありがとう……」
簪さんや楯無さんも血塗れの私服ではなく別の服を着ている。俺と同じように龍也から貰ったらしい。まぁあれだけ血塗れになっていたらもうきることも難しいだろうと思いながら椅子に座る
「ああ。気にするな。私が預かった子供の面倒を見るときに使う服だ。気に入ったら持って行け」
そう笑う龍也は俺達を見ながら
「では始めるか……投影開始」
パチンと指が鳴らされた瞬間。俺達1人1人を囲うように3本の剣が現れる。楯無さんが不安げな表情をして
「これでぐさりとかは無いわよね?」
「ないに決まってるだろ?お前私をなんだと思っている?すこしびりっとするが我慢しろ」
パンッ!!!
龍也が勢い良く手を打ち鳴らすと一瞬だけ電撃が走ったような気がして思わずウッと呻く。千冬姉はユウリも同じくだ
「これで終わりだ。ネクロ化の心配はない」
龍也がそう言うと剣は溶けるように消えていく。それを見ていたユウリが
「何をしたんだ?」
「なにお前達の体内に私の魔力を通したんだ。私の魔力は少々特異でね。破邪属性だからネクロには猛毒なのだよ」
破邪?魔力を通した?そんな事を言われても何のことか全く判らない。
「終わりだ。で?何から話せば良いのかね?」
いつもと同じ笑みを浮かべる龍也に箒が
「まて。この程度なら向こうで済んだのではないか?」
確かに剣を作って魔力を通す?だけなら向こうで済んだのではないか?と俺達が思っているとはやてさん達が
「あーそりゃ無理やな。ここは兄ちゃんが作った魔力石があっちこち埋め込まれとる。だから出来るんよ」
「そーそ、本当ならむちゃくちゃ面倒な魔方陣に術式を用意しないと駄目なんだから」
なのはさんとはやてさんの言ってることは半分も判らないが、なにか複雑な現象が起きているというのはわかった
「じゃあ龍也君。君は何者なのかしら?はやてさんとかもね?」
ツバキ先生の質問に龍也は頷きはしたが指を立てて
「質問には答えよう。ただし私の話を聞いた後にな。少々腹に据えかねえていることがあるのでな……言わなくても判るだろう?」
龍也の鋭い眼光が千冬姉を見据えている。千冬姉は何時も通りのポーカーフェイスのまま
「なんのことか……「ネクロが八神を狙ってきた可能性がある。少し観察すべきだ。だったかな?」
ビクンっと千冬姉が肩を竦める中龍也は、上機嫌とも取れる表情でたんたんと言葉を紡ぎだす
「ああ。お前の判断は実に正しい、だけど……それ以上に愚かだ。疑いが前に出すぎている。戦士としては優秀だろうが、指揮官としては下の下だ。指揮を出すのなら敵であれなんであれ利用する方向で考えるべきだろうよ」
龍也はからからとそう笑うがその後ろではなのはさん達が凄い顔で千冬姉を睨んでいる。だが俺としては何も話してなかった龍也達の方が悪いと思う
「と言うわけだ、ではまずは何から話そうか?」
紅茶のカップを手にとって笑う龍也にツバキ先生が
「龍也さん君達は何?そして何かの組織に所属しているのかしら?その動き統制されているように見えるのだけど?」
俺には判らないが、どうも龍也達の行動は統制されているらしい。龍也はにこりと笑いながら
「私達はそれぞれ魔導師だ。お前達ふうに言えばと魔法使いと言う奴だ」
魔法使い……本来なら何を馬鹿なというところだがさっきの光景を見ると信じるしかない
「そして私達は時空管理局機動六課に所属する魔導師だ。はやてはそこの総轄隊長。なのはとフェイトもそれぞれ部隊のリーダーだ」
時空管理局?機動六課?どういう組織なんだ?管理とついているだけあって監視とかしてる組織なのか?俺が首をかしげていると弥生さんが龍也に
「その管理局って言うのはどうでもいーや。だけど龍也?お前は?普通の隊員ってことはないよな?」
どうでも良いことは無いとおもうんだが……弥生さんの問い掛けに龍也ではなくはやてさんが答えた
「大将や。本来なら後ろで指揮だすのが仕事なのに……いっつも先陣切って突っ込んでいくやで?正気とはおもえんやろ?」
ふうと溜息を吐くはやてさんに龍也は紅茶のカップを机の上におきながら
「それが1番早い、指揮は前線で取るに限る」
「だからって!何時も勝手に!飛び出していかないの!!!」
なのはさんが耳元で怒鳴る。どうやら何時も先陣切って飛び出していくらしい。龍也はなれた様子で耳を塞いでガン無視だ
「組織で行動しているというのは判ったわ。じゃあ、あのネクロって言うのは?なんなの?」
ネクロ。俺も気になっていたあれが何なのか?龍也は頷いてから
「詳しく説明するのは難しいので大雑把にだが説明する。魔法とかについてはまた今度だ。疲れているだろうからな、今話しても半分も理解できそうだしな」
そう前置きしてから龍也はネクロについての説明を始めた
「ネクロについてだが、ネクロは基本LV1~4の区分に分けられる。まれに「デクス」タイプと言う亜種も存在しているが大体は1~4の区分で分かれていると思ってくれれば良い」
俺達の前にディスプレイは浮かび上がり。そこに映像が映し出される
さっき俺達が戦った黒い亡霊と騎士の姿をした化け物の映像だ。それを見てセシリアや箒が少し身を引く、多分さっきの殺してくれと嘆いていた人たちの事を思い出したのだろう
「まずはネクロと言う生き物に付いてだが、ネクロは死んだ魔道師の魂や。遺体を変化させ誕生する悪性の魔道生物だ。生者を襲い生命力やリンカーコアを奪い自らの糧にする。さっき見ただろ?ネクロになった操縦者を」
さっきのは忘れようと思っても忘れようが無い。苦痛の声を上げてネクロになって行った操縦者を
「あ、あれは人間なの?」
簪さんの問い掛けに龍也は目を伏せて
「ああ、そうだネクロマンシーで強制的に蘇生され、本人の意思を剥奪され破壊の限りを尽くす悲しき亡者達。倒す事が彼らの救済に成る。完全にネクロ化するともう元には戻れないからな」
倒すことが救済……だとしても何か釈然としないものが胸に残る……他に何か方法があるのではと考えてしまう
「他に何か無いのかと考えているな?一夏」
「う、まあ考えるだろ普通?」
あのネクロ達は助けてくれと言っていた。殺す以外の方法があるんじゃないかと思っているというと
「ない事も無いが完全にネクロ化されてはだめだ。変化の途中なら10%の確立で解呪出来る」
10%?たったそれだけなのか?魔法使いなんだからぱっぱと出来るんじゃないのか?
「あのね?一夏。魔法だって万能じゃないんだよ?出来ないことの方が多いんだ、それでも私も龍也もはやても皆出来る範囲を超えて手の届くものを全部護ろうとしてるの判る?」
諭すような口調のフェイトさんに頷く。そりゃあまぁそうだよな。万能なわけないんだよな……
「それはまた随分と酷いわね……如何してネクロはそんな事をするの?」
ツバキ先生が顔を歪めながら尋ねる。さっきのネクロの行動を思い出したのか顔を青褪めさせるセシリアの背中を撫でていると龍也が
「やつらは破壊と殺戮を好む。すべてを壊し殺すこと。それがやつらの存在理由だ。私も10年近く戦っているが一向に数が減らない。むしろ増えていると言って良いだろう。それに見たんじゃないのか?千の剣の中で私の過去を?」
千の剣。あの廃墟の世界の名前……墓のように立ち並ぶ武具の数々は見ているだけで心が冷え、恐怖を感じる……固有結界は心を写す禁呪だと言っていた。そして龍也の過去も見た……嘆きと絶望だけの記憶。見ているだけ痛ましく心が痛んだ。でもそれ以上に恐ろしいと俺は思ってしまった……
「ええ。見たわ……申し訳ないけどね」
さっきの固有結界と言う奴の中で見た龍也の過去を思い出しているとツバキ先生がそう告げる
「別に気にする事は無い。何も無いからっぽな人形の半生だ。くだらん喜劇だったろ「兄ちゃん!!」「龍也さん!!」「龍也!!!」事実だから変えようが無い」
龍也の自嘲気味な呟きを聞くのがいやなのかそう怒鳴るはやてさん達が怒鳴るが龍也は全く意に介した素振りを見せずネクロの説明を続ける。はやてさん達は酷く悲しそうな顔をして龍也の後ろの席に座りなおしている
「ネクロの特性としては極めて高い再生能力と一定量魔力や生命力を吸収するとその姿を変えることにある。LV1は一律黒い亡霊型、LV2はボロボロの甲冑姿と決まっている。このLVなら自我も薄いし知能も対して高くないそれに特殊な事をしてこないので比較的に楽に戦える。ただし、影に潜ることができるので、注意するところはその一点のみだな」
龍也の言葉をメモしているツバキ先生。俺達もしっかりとその話を聞く。正直龍也が何を考えているかなんて判らないし、正直怖い気もする。だが話を聞かないわけには行かないと思ったのだ。ラウラやシェンさんは
「手帳持ってて良かったよ」
「本当だな」
懐から出したメモ帳に龍也に言われたネクロの特徴をメモしている。代表候補となるとやはりこういう事態を想定しているのであろうか?
「ではLV3とLV4は?」
ツバキ先生がそう尋ねるとモニターの画像が切り替わり。スライドショーのように画像を送っていく
「LV3とLV4は上位ランクに位置するネクロだ、一概にどういう姿をしているとは言えんのだが……獣や龍と言った異形型か獣人と言った姿を持つのがLV3だ。このLVになるとなんらかの特殊能力を身に付けている可能性が高く。知性と自我も兼ね備えるのでかなり厄介だ」
様々な姿をしたネクロの姿が浮かび上がる。獣人や龍人。それに狼のような物に機械の姿をしたもの。本当に種類が豊富だった。俺は思わず
「本当に姿が全然違うんだな。個体ごとに姿が違いすぎるがそれには何か理由が?」
余りに個体差が激しすぎる。どうして同じ種族のはずなのにこうも姿が違うんだろうか?
「一言で言うと素体になった人間の性格性に影響している。元の人間が凶悪犯罪者や異常者だとそういった面が強調されて獣や龍と言った異形型になり易い。逆に元が優れた武人や魔道師の場合、獣人や人型に近い姿になる」
その説明を聞いたユウリはツバキ先生と同じようにメモ取りながら
「本能がその姿を形作ると考えれば良いのか?殺人者とかは獣や悪魔に、普通の人間はとかは人型にと言うことか?」
ユウリの質問に龍也は良い質問だと良いながら
「とは言え幾つか例外もある。金属にネクロの細胞を植え付けネクロ化させる方法や。生きている人間にネクロの細胞を植え付けてネクロ化させる方法もある。そして最後にLV4だが、こいつらは正真正銘の化け物だ。姿は人に近いか人からかけ離れた者かの二択で、その戦闘力は個体事に差はあるがLV3の2倍から6倍だと思えば良い。もちろん既存のISでは何もできずにつぶされるのが落ちだなそれで何か質問は?」
そう言い終わった所で質問は無いかと尋ねてくる龍也に楯無さんが
「ネクロは弱点とかないのかしら?再生能力もちなら弱点とかないと流石にきついんだけど?」
「良いところに気がついたな。ネクロにはコアと言う赤黒い結晶体がある。人間で言うとそれが心臓になるのだが、それを砕かれると体組織をを維持できなくなり消失する」
心臓が結晶体なのか……それでもやっぱり生き物だから心臓みたいな弱点があるんだな……
「ほかには?「えーと。良いですか?」
次に龍也に声を掛けたのは簪さんだった。おずおずと手を上げてから簪さんは龍也の目を見て
「こんな事を聞くのは悪いと思うんですけど……龍也……さんは……どれだけ悲しい思いをしてきたんですか?」
私は龍也さんの過去を見た。絶望と嘆きに満ちた記憶を……心が痛くて痛くてそして悲しかった……だからそう尋ねると
「ずっとだよ……ずっとそうさ……後悔と失うことしかなった半生だったよ」
くっくと喉を鳴らす龍也さんはとても悲しそうでそして儚げに見えた。その自嘲とも言える笑みに誰も物が言えない中
「色々と聞かせてもらいたい。龍也……良いか?」
ユウリさんや他の面々も龍也さんを見て声を掛けようとする中。弥生さんがユウリさんの言葉を遮って
「龍也さん。何歳ですか!?」
敬語でそう尋ねられた龍也さんはぷっと吹き出して
「あっははは!歳か?24だよ?お前達から見るとおじさんかな?」
と楽しそうに笑う龍也さん。でもおじさん所か若くて格好良いお兄さんって言う感じだ……
「あ、いやそんあ……おじさん所か格好良いです」
弥生さんがおどおどとしている。だが私も同じだ。年上かつその涼しげな表情はどーしても視線を奪われる。
「兄ちゃん。笑うの禁止。落とすから」
「何を?」
「知らないで良いです」
「???」
不思議そうに首を傾げる龍也さん。妙に子供っぽい仕草だ。本当なら大人で可愛いなんて言えない仕草なのだが、本当に可愛く見えるから不思議だ
「龍也さん。あの……アロンダイトとかエクスカリバーとか言ってましたけど……本物じゃないですよね?」
エリスがおどおどしながら尋ねると龍也さんは平然とした表情で
「正真正銘本物だよ?宝具と言ってな、神話とかに伝わる通りの性能を持っているよ?」
……嘘……本物なの?……私達が絶句しているとエリスとツバキさん、そしてユウリさんが
「実に興味深い。今度じっくりと見たいのだが良いか?」
「私もね。アロンダイトの本物とかどんなのか見てみたいわ」
「他にもあるんですか?その伝説の剣とか?」
色々と龍也さんに聞きたい事が出てきた私達だったが……
「話は終わりのようだな。ならば私は帰る」
織斑先生の言葉を皮切りに一夏君や箒さん達も立ち上がりログハウスを出て行こうとする。はやてさんが
「帰ると言うのならどうぞ。別に兄ちゃんが信じれんと言うのならご勝手に」
冷たさを伴う声で告げるはやてさんに一夏君が攻めるような口調で
「龍也達はずっと何もかも知ってたのに教えてくれなかったんだろ?もっと早く教えてくれてたら!俺達だって心構えが出来て……
「じゃあ逆に聞こうか?ネクロと言う化け物がいる。狙われているから気をつけろといって信じれたか?」……うっ。それは」
口ごもる一夏君に龍也さんはくくっと喉を鳴らしながら
「お前の言う事は都合の良い解釈に過ぎない。人は目で見なければ信じれない。そうだろ?」
そうだ仮に今日の朝ネクロと言う化け物が来るから寮で大人しくしていろといわれて大人しくしていただろうか?多分だが何を言っているんだろうと思って無視して出かけただろう。実際に目で見るまで、襲われるまで信じろというのは難しい話だった
「ぐっ。そうだとしても!俺は龍也をもう無条件で信じれない!!!それにあの固有結界とかの奴を見たさ!!あれだけ人だったのを殺してきた龍也を……俺は正直言って怖い……」
一夏君や箒さんの目には恐れの色が浮かんでいる。たしかにさっきの圧倒的な力は見ていて怖かったでも、それでも龍也さんは私達を護ろうとしてくれていた。怖がるのは論外だと思う……
「だけど龍也達に助けられたのも本当だ……だけど頭の中がぐちゃぐちゃで何を言えば良いか判らない。……すまないが……少し時間が欲しい……気持ちを整理する時間を」
一夏君はそう言うと織斑先生の後をついてログハウスを出て行った
「……ごめん。シェン。あたしもう少し聞いて色々と知っておきたかったけど、一夏が心配だから着いて行くわ。後で教えて」
「OK。判ったよ鈴。ちゃんと聞いておくから行ってきてよ」
龍也さんのことを知りたいとは思っている様子の鈴さんだが一夏君が気になると行って出て行く鈴さん。でも出るときに
「あー龍也良い忘れてたわ。助けてくれてありがとう。それと過去を見ちゃってごめんなさい」
そう笑って鈴さんは出て行った。鈴さんは普段の行動こそアレだがちゃんとしているところはちゃんとしている。続々と席を立つ人がいる中弥生さんが
「んで?お前も行っちまうのか?箒?」
「……ああ。少し考えたい……私は一夏のように龍也が裏切っていたとかは思わん。だが……良く判らない何かを感じる。気持ちを整理させて欲しい」
龍也さんたちに深く頭を下げてから箒さんもログハウスを出て行った。
「ほらっしゃんとする!」
「うう……気持ち悪いんです……」
「ごめん。僕も話し聞きたいけど、セシリアが駄目っぽいから連れて帰るよ。ヴィクトリア後よろしくね」
「ああ。任せておけ」
知り合いがネクロ化してしまったということで完全に心が折れてしまっているセシリアさんを引きずるようにしてログハウスを出て行く。シャルロットさん
「私は残る。知るべきことは知っておきたい」
「私も同じ」
ラウラさんとクリスさんは残ると言った。やはりここは軍人と言うところだろうか?これで残っているはユウリさん、お姉ちゃん、ツバキさん、エリス、弥生さん、ラウラさん、クリスさん、シェンさんとフレイアさん達だったが
「フレイアたちにはちょっとお願いがあるの。龍也さんが破壊した、ISとネクロの半々の奴のパーツをいくつか回収しておい……そう言えばあれって触っても大丈夫?接触感染とかない?」
思い出したように龍也さんに尋ねるツバキさん。龍也さんは
「完全に浄化しているので大丈夫だ。もし心配なら」
ひょいっと龍也さんがフレイア達に何かを投げ渡す
「これは?」
「まぁ簡単に言うと小型の結界発生装置だよ。それの中に入れれば問題ない」
やはりずっと戦ってきているだけあってちゃんとそう言うのもあるんだ……フレイアさん達はそれを持ってログハウスを出て行った……
「龍也さん……あのセレスさんが言ってたけど……簪ちゃんとエリスちゃんが逃れられない戦いに巻き込まれるってどういうこと?」
私も気になっていた尋ねようと思っていたことをお姉ちゃんが尋ねてくれた。龍也さんは少し思案顔になってから
「セレスの補助があったとは言え普通の人間は投影なんて使えない。つまり簪とエリスは……魔導師としての適正があるということだ」
私とエリスが?魔法使いとしての素質がある?私とエリスが驚いていると
「なぜこの2人だけなんだ?」
ラウラさんの質問になのはさんが昔を思い出すような顔をしながら
「んー私とかはやてちゃんも基は魔法の無い世界で暮らしてたんだけど。偶にだけど魔法がない世界でも魔法に適正のある人がいるときがあるんだ。多分簪とエリスはそう言うタイプだともう」
……良くわかんないけど突然変異みたいな感じなのかな?でもなのはさんの話を聞く限り龍也さんとかも同じみたい。何か以外だった
「魔法って練習すれば私とかでも使える?簪ちゃんが使えるなら私だって……「いやそれは無理だ。魔法を使うにはリンカーコアと言う器官が必要になる。恐らく楯無お前には魔法は使えない」
「そ、そうなんだ……なんか残念」
「なんだ?魔法少女とかやりたかったのか?楯無」
「ちがうわよ!?からかわないでユウリ!!」
お姉ちゃんがぽかぽかとユウリさんを叩いているが、ユウリさんはそれを座ったままいなしている。婚約者って聞いたけど仲良しみたいで良いなあと思った。あ、そういえば昔お姉ちゃん魔法使いの杖を
「簪ちゃん。それ喋ったら流石の私も本気で怒るわよ」
「……うん」
笑顔なのに目が笑ってないおねえちゃんに恐怖しながら紅茶を飲んでいると龍也さんがツバキさんに
「これから先ネクロの進撃があるということを考えるとISの強化は必要不可欠だ。私やはやても手伝う。だからISの改装を始めよう」
「それは助かるわ。今日見たけどネクロって言うのは本当に危険な存在みたいだから。私からも頼もうと思ってたのよ。ありがとう龍也さん」
ISの改装……確かにそれは必要なのかもしれない。今のままのISではネクロには勝てないと思うから
「それにヴィクトリアにシェン。そして弥生。お前達に提案があるのだが」
龍也さんは私達を見て笑いながら
「恐らくまたお前達はまたネクロに狙われる、しかし私達とて狙われている身だ」
それは当然だ。向こうからすれば自分たちを知る龍也さん達は真っ先に対処したい敵に違いないのだから
「だから対処法としてだが……これから対ネクロの訓練をしてみる気はないか?」
「……それはワタシや楯無もか?」
「そうだ。今回は引いてくれたが。次は無い……とはいえこれ以上魔導師の援軍は呼べない。となればこの世界で戦える人間を育てるべきだろう?それでどうする?」
その問い掛けに私達は迷うことなく頷くことにした
そして私達は今まで知らなかった非日常にと足を踏み入れるのだった
第71話に続く
次回は対ネクロ用へのISの改造プランや簪やエリスの魔導師について訓練の説明と、魔導師のもっと詳しい話をやりたいと思います後は原作キャラの悩みとか葛藤とかをやれたらなと思っています。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします