IS~現れたる神なる刃【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は訓練回とISの改修の一部終了をやろうと思っています。次回は戦闘回を予定しているので
その為の繋ぎと思って下さい。あと前回の話から1週間経っているという設定なのでそこのところはご理解ください。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


第76話

 

 

第76話

 

隠しアリーナの中を自在に飛び回る2機のIS。両方とも黒をメインカラーにしたISだが、普通のISと違う点があった。それは背中に装備したバックパックだ。本体全体を覆うように装着しているそれのおかげで加速力や機体制御が格段に上昇していた。だがバックパックの形状は2人とも異なっていた。片方は多目的翼と一体化するように装着されたバックパックで、機体のサイズが1回り巨大化していた

もう片方は全体的なシルエットは普通のISとほとんど同じだが、背中のランドセル型のブースターに増設された可変ブースターとシールドが特徴的な姿をしていた。その2機の機動データを取っていた私は

 

「お疲れ様。エリスちゃんもアイアスちゃんもシャワーを浴びてからこっちに来て」

 

「はい。後でデータを見せてくださいね」

 

「……少し疲れました」

 

そう返事を返してピットゲートに誘導に従い戻ってくる2人を見ながら

 

(一週間でこれとは驚きね)

 

私が開発していた試作型のバックパックを改修した。龍也君達の科学力には正直驚かされる、武装はまだ搭載してないが。それでもあの機動力は十分な武器になる

 

(それに私の考えていた自立支援型のバックパックも開発する方法があるらしいし)

 

デバイスコアを使えば可能と言っていた。龍也君いわくデバイスコアとISコアは良く似ているので流用出来るって言ってたっけ……

 

(人工知能の搭載はこれで可能になった。あとはこの試作型のバックパックをベースに完成させればいい)

 

アイアスちゃんが使ってたのは汎用バックパックの基礎型タイプ。これを元にフレイアとシェルニカ用の各能力特化型を作る大事なベース型。一応量産する事が前提なのでつくりがある程度簡略されている。

 

エリスちゃんのは元よりエリスちゃんのために作っていた。高機動型のワンオフのバックパックだ。量産が前提の機体と、ワンオフではやはり速度には差が出ているのは仕方ないが、どちらも仮定数値よりも遥かに良い数値が出ている

 

(あとは武装ね。とりあえずヤタガラスの弱点を補う方向で考えましょう)

 

バックパックの調整は一時中断し。背もたれに背中を預け大きく背を伸ばす

 

(ユウリと楯無に聞いたけど、千冬と龍也君が戦って千冬はボコボコでしかも……意識不明だしね)

 

外見には何の傷も無いのにも関わらず千冬は目を覚まさない。一夏君に教えるとまた龍也君に突っかかりそうなのでIS学園の用事で出張してると説明してある。

 

(しかし、私がいないときに千冬が龍也君に勝負を挑むとは思ってなかったのよね)

 

はーっと溜息を吐く。龍也君いわく千冬は治療中との事だけど、一週間も目を覚まさないと流石に心配だ。そんなことを考えながら椅子から立ち上がり

 

「ユウリの様子でも見に行くとしましょうか」

 

アリーナ内部の第二ラボに移動する。ここは私のいるフロアと違って完成したISの調整用のブロックだ。ここでISの改修を急ピッチで進めている

 

「ユウリ。調子はどう?」

 

アマノミカゲとミステリアス・レイディの前で作業しているユウリにそう尋ねると

 

「……思うようには進んでないが。出力は5%上昇している。それにネクロの寄生を防ぐコーティングも終わった。次は前よりも楽に戦えるだろうな」

 

アイアスちゃん達とユウリと楯無のISから優先してコーティングと改修を進めている。戦力になるものから準備するのは当然のことだろう。ユウリの手際の良い整備を見ながら

 

「前に龍也君となにか話をしてたけど何の話をしてたの?」

 

前に2人だけでなにか話をしているのを見たのだが、ユウリが妙に慌てていたのが気になりそう尋ねると

 

「……聞かないほうが良いお前の立場的にな。ただ龍也は更に味方を増やそうとしている……としか言いようが無い」

 

その言い方に私はピンッと来た。多分龍也君が迎え入れようとしているのは亡国企業の人間だと、しかし今は手段を選んでいる状況ではないので何もいわない

 

「とりあえず今はワタシ達が出来る事をすればいい。そう代表候補は龍也に任せればいい」

 

「……多分地獄を見てると思うけどね」

 

1度龍也君の訓練を見たけどあれはやばい。私は知らずの内に出た冷や汗を拭いながら

 

「じゃあお互いに作業を頑張りましょう」

 

そう声を掛けてユウリの隣に椅子に座り。ミステリアス・レィディの改修を始めたのだった

 

 

 

 

 

 

一夏はと言うと一週間前からずっと早朝のペガサスによる剣術指南を受けていた……いや指南と聞けば聞こえは良いが、その内容は殆ど実戦と同じで一夏は何度も死を感じながらもその訓練を受けていた

 

「遅いな。死にたいのか」

 

「ごがあっ!?」

 

ペガサスの膝蹴りを腹に喰らいそのまま吹き飛ばされる。そのまま数メートル地面を転がり、仰向けになっていると

 

「貴様何を腑抜けている?今日の貴様は何時も以上に酷いぞ」

 

もう見慣れた縦に割れた瞳孔が俺を見据える。最初こそ信用できないという思いがあり、フェイトさんに尋ねてみたことがあった

 

【ネクロは完全に我を忘れていたりするのか?心とかはないのか?】とそれに対してフェイトさんは

 

【うーん。完全にそうとは言えないよ?ネクロだって自意識が強いネクロはいるよ?稀にだけど破壊衝動とかを完全に押さえ込んで民間人を護ったネクロがいた例もあるよ】

 

と言うことはペガサスはそういった珍しいタイプのネクロと言うことなのだろう……

 

「おい、聞いているのか」

 

「ぬおおおおっ!!!何すんだよ!?今思いっきり直撃コースだったぞ!?」

 

投げられたクナイを横に飛びながら回避すると。俺の視界を覆う黒い影とっさに剣を木刀を構えるとガツンという手応えを感じる。

そしてそのまま体重を前にかけてペガサスを押し返そうとすると

 

「戯けが」

 

「うおっ!!!!」

 

足払いを掛けられ、体勢を崩されたところで、襟を掴まれそのまま投げ飛ばされるが。途中で地面に手をついて態勢を立て直し。ペガサスを見据える事のできる位置に着地すると

 

「腑抜けていると思いきや、その集中力。飛んだ変わり者だな、お前は」

 

やれやれと言う感じで肩を竦めたペガサスはその手にしていた剣を消し去り。俺から背を向けて

 

「今日はここまでだ。今度はもう少しましな動きをするんだな」

 

闇の中に消えていくペガサス。朝なのに闇と言うのはおかしいがそれでも闇は闇だ……俺は持っていた木刀を手放し。そのまま寝転がり空を見上げる。一週間と言う時間、そして敵であるペガサスとの稽古……それは俺に色々と考える機会を与えてくれた

 

「あー結局俺が子供だったって事なんだよな。結局」

 

簪さんやエリスさんが龍也と一緒にいれるのは、龍也のやったことが正しいと判っていたからで

 

鈴やラウラがあの後も龍也の訓練に参加していたのは、ネクロになってしまった人たちをもう増やさないためにだ……

 

「俺って全然駄目だよなー」

 

自分で呆れるくらい。駄目だったと判る……簡単な話、俺は何も判ってなかっただけだったわけだ……

 

何もかも救うなんてことは出来はしない。

 

でも見捨てることなんて出来はしないから龍也は頑張ってきたのだ。努力して戦って傷ついて全てを護ろうとした来たのだ

 

それでもなお救えなかった者があった……

 

護れなかった物があった……

 

その事を嘆いて、悲しんで……それでも前に進んできたんだ……

 

それは尊敬するべき背中だったんだ。俺も護る人間になりたいとずっと願っていたのだから

 

「自分の言葉が以下に軽かったか思い知らされるよな……」

 

俺の守るはただ理想を語っていただけだった。現実も護る事の難しさも知らず、ただ守る守ると喚いていただけ。初日のペガサスとの打ち合いで徹底的に叩きのめされ、いかに自分が弱かったのかと言うのを思い知らされた。なんせただの1回の攻撃も出来ぬまま叩きのめされたのだから。以下に自分の守るが軽い言葉だったのか痛いほど思い知らされた。そして龍也の偉大さを改めて理解した、そして出来る事ならまた以前のような関係に戻れたらと思うのだが

 

「とは言え。いまさらどうすれば……」

 

龍也に何と言って謝ればいいのか?謝ったところで許してもらえるのか?と言う不安が頭をよぎり、行動に出れない

 

「俺ってこんなに弱虫だったのかな?」

 

……かー!

 

「どうしよっかな。なのはさんとかに仲介を……いや駄目だ。絶対殺される」

 

あの暗い目で睨まれたらと思うと怖くてそんなこと頼めない

 

……ちかーッ!……無視……ころ……わよ!!!

 

「でも何時までもこうして考えていても仕方ないよな」

 

IS学園にいる以上。いつかは龍也と話をつけなくてはいけない。殴られたとしてもはやてさん達にフルボッコにされても、立ち向かわなければならない。そうと決まればと気合を入れて立ち上がろうとした瞬間

 

「あたしを無視すんじゃないわよ!馬鹿一夏ーッ!!!」げぶうっ!!!!」

 

強烈なドロップキックを背中に叩き込まれ砂浜に顔面からダイブする。

 

「いつまでもうだうだうだ!!!鬱陶しいのよ!!とっと龍也に謝りなさい!」

 

この声は鈴だな。いつまでも俺がうだうだしてるのに我慢できなくなって強襲しにきたか

 

「ほら!立つ!へたれ一夏!!!」

 

「ぐおっ!?」

 

魔王モードか!?片手で俺を持ち上げやがったぞ鈴の奴!そしてそのまま砂浜に下ろされ

 

「いつまもぐだぐだしてる一夏は見てるの嫌なのよ。だからさっさと謝って、はやてに処刑されなさい」

 

なぜ早く処刑されなければならないのだろう?だけど自分がした事を考えれば、龍也大好きなはやてさん達が怒るのは無理もないだろう、はーっと深く溜息を吐いてから頬を叩いて気合を入れて立ち上がる

 

「だな、鈴の言うとおりだよ。サンキュー!決心ついた!」

 

とりあえず謝る。その後の三途の川メドレーは俺の罪として受け入れよう。本当にやばかったら多分龍也が止めてくれると信じて、だけどやっぱり少し怖いので鈴を見て

 

「鈴。一緒に来てくれるか?怖いから」

 

「しょうがないわね。ほら、一緒に謝ってあげるから早く行くわよ」

 

身長差がかなりある鈴に手を引かれながらIS学園に戻りながら俺は

 

(どうか殺されませんように)

 

そう祈りながらIS学園に戻ったのだが、俺に待っていたのは

 

「STOP!STOPだ!はやて!なのは!フェイト!ステイ!ステイ!!!」

 

「「「■■■ッ!!!!!」」」

 

「ぎゃー!!!理性がログアウトしてるううううう!!!!」

 

謝ることすらできず。理性がログアウトしたはやてさん達にフルボッコにされ意識を弾き飛ばされるのだった。なお回復させられる。三途の川に叩き込まれるが6回繰り返され。本当に死を覚悟したのだった。なお顔の形が変わるまで殴られ禄に話せない状態になった物の身振り手振りを交えて謝ると龍也は

 

「大して気にしていないさ。その代わりそうだな。箒とか簪とかから遅れたぶん。6倍位濃い訓練をしようか?」

 

……俺は本気で死を覚悟したのだった。ちなみに6倍濃い訓練とは瀕死になると魔法で強制回復また訓練の無限ループだったりする……

 

 

 

 

 

 

薄暗い部屋の中でも輝きを失わない黒と金の装甲を持つIS「アスモデウス」を見ながら

 

「もうじきお前の出番だ。私を裏切ったユウリと織斑一夏を殺すために力を貸してくれ」

 

アスモデウスは私が始めて奪ってきたISである、ラファールを改造した機体で長年私の手足として働いてくれた。サイレント・ゼフィルスを手に入れてからは使ってなかったが、ユウリを倒すには、そして織斑一夏を殺すのにこれ以上相応しい機体はない

 

「その仮面も良く似合っているな」

 

展開すると私の顔の上半分を隠すようになっている。バイザーにするのも考えたが、バイザーはどうも好きではないので仮面にすることにした。ユウリのスペアの仮面を改造したもので一応眼の所に視覚矯正等の強化パーツを装着してある

 

「これで準備は整ったな」

 

バススロットは空いているが、アスモデウスは特殊なISだ。ユウリ以外のメカニックでは武装の追加は出来ない。だから使えるのはガンブレードと背中の実弾ビットが2機……あとは試作型ビームライフルが2丁。武装の面は心もとないが

 

「武器で全てが決まるわけではないからな」

 

武器は確かに戦局を操作するだけの物だが、使いこなせなければ、そして有効的に使えなくては意味は無い。その分アスモデウスは武装は少ないがジェネレーターにブースターその全てが高性能だ。これを効率よく使えば第3世代にだって負けはしない

 

「随分と気合が入っているのね」

 

「スコールか。まぁな、最近妙に気分がいいんだ」

 

何もかもがクリアに感じるのに、胸の奥にたまった黒い泥は自己主張を強め。狂おしいまでの憎悪と殺意が私を満たしている

それがとても心地よい。闇と同化するような、いや闇が私自身になるようなそんな感覚がとても安堵できるのだ

 

「……そう。それは貴女にとっていい物?」

 

「……?ん?ん?……」

 

スコールの問い掛けを聞いた瞬間。これではいけないという声を聞いた気がしたが、それもまた消える。私はスコールを見て

 

「ああ、良い物だ。わずらわしいものを考えなくて済む」

 

ただユウリを壊したい……

 

ただ織斑一夏を殺したい……

 

ただ姉さんを自分のものにしたい……

 

それだけしか考えれない。いやそれ以外を考えたくない……

 

「まぁいいわ。ネクロから指示があったから伝えるわ。明日仕掛けるそうよ、ネクロが作ったIS二機と共同戦線……いえ違うわね。一緒に出撃するだけ。あとは各々好きにすればいいわとのことよ」

 

言うだけ言って出て行くスコールを見ずにアスモデウスの最終調整を進める。この時もしスコールがいたら作業を中断させていただろう……マドカの背後には何体ものネクロがいて、その手に、その足に、その身体に、絡みつくようにしてマドカの身体の中に消えて行っていたのだから……

 

 

 

 

 

夢を見る……

 

もう何年も見ることのなかった夢

 

父がいて……

 

母がいて……

 

一夏がいて……

 

マドカがいた……

 

もうずっと前に失ってしまった。私が幸福だったときの居場所……

 

(なぜ忘れてしまったいたのだろう?)

 

この光景だけは絶対に忘れるものかと胸に決めていたはずだったのに、なぜ忘れていたのだろう?

 

千冬。一夏とマドカを頼む、私達が行けば少しは時間が稼げるだろう

 

お願いね。千冬、一夏とマドカをお願い

 

どこか判らない場所で私に一夏とマドカを託して走っていく父と母の背中。私はマドカと一夏を抱きしめて必死に逆方向に走った……

 

(これは何時の事だった?この手に確かに一夏とマドカが……いや。待てマドカ?……マドカは誰だ?)

 

一瞬思考が停止するが直ぐに思い出す。織斑マドカ私の妹で一夏の1つ年下の妹だったはずだ。

 

(何故私はこんなにも物事を忘れている?マドカも一夏も大切な家族だったはずなのに?)

 

何故だ?

 

何故今まで昔の事を思い返せなかった?

 

何故今までマドカのことを忘れていた?

 

判らない。何もかもが判らない……記憶の海を漂っていると唐突に景色が変わった

 

(やあああああッ!!!ねーちゃあああああ!!!)

 

(マドカ!!!)

 

(ふむ。随分と若いが、私か……ふふっ!!ふっははははははははッ!!!!!!!やった!やったぞ!!!私は私は戻ってきた!!!はははははっはははははははははっ!!!!!!)

 

狂ったように笑う何者かの声。その何者かに奪われたマドカ……良く思い出すと雨が降っていた……

 

そうだあの時は雨が降っていた……どこかも判らないが山の中だ……崖の近くで雨が降っていて……私は崖を背に一夏を抱えていたんだ……

 

(ふふぐっ……くっ。流石にダメージを受けすぎたか……まぁ良い。一夏をよこせ。それは私のものだ)

 

何者かが私に手を伸ばす。それが偶然なのか運命だったのかはわからない。だけど私とその何者かの間に落ちて、私と一夏は大きく弾き飛ばされ川に落ちた。そして落雷の一瞬私は確かに見た……

 

私に手を伸ばしていたのは……

 

ごみのようにマドカを川に投げ落としたのは……

 

黒い鎧を身に纏い。片腕を失った私だった……川に落ちるまでの僅かな瞬間でもその顔は忘れようが無かった

 

憎悪と殺意だけに彩られた私自身の顔……

 

しかしそれよりも私に恐怖を与えたのはまるで吸血鬼の様に割れた闇よりもなお深い憎悪に満ちた瞳だった……

 

 

第77話に続く

 

 

 




はい。今回は色々と話を動かしてみました。次回は戦闘回を予定しています。最後の千冬さんのがなんなのかはどうかお楽しみに
たぶん判る人はわかると思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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