IS~現れたる神なる刃【凍結中】   作:混沌の魔法使い

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どうも混沌の魔法使いです。今回は暴走一夏がメインになると思って下さい。後半はこの暴走一夏が多数出る予定です

そして前回の最後に出てきた千冬とかも出てくる予定です。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします


第79話

 

 

第79話

 

フラッシュムーブで一気に間合いを詰めながら、両手を握り締める。しっかりと感じる手ごたえに思わず笑みが浮かぶ。今までは何の感覚も無かった。だが今は違う。オレという存在を確かに認識できる。視界の隅に写っていた白いISがオレ自身を示す黒にと変わり。両手に現れた大振りなブレードを構える。しっくりと馴染む……片方はオレの剣ではないが、もう片方はオレが何年も振るった銃剣馴染まないわけがない

 

(今度こそ……オレは……)

 

視界の隅に写る箒や鈴。それに千冬姉を見る……オレが失ったはずの存在がここにいる。俺では絶対に護れない存在がいる

 

(今度こそオレは全てを守る!)

 

もうあんな出来事は2度と起こさせない。思考がクリアになっていく……しかしそれと同時に狂おしいまでの憎悪と殺意も確かにオレの中にある

 

(IS……だったか。あれを操縦しているのはマドカだな……ネクロの気配が少しする)

 

さっきは仮面のせいで誰か判らなかったが、少し気持ちが落ち着いたから判る。あれはマドカだならば、殺さず戦闘不能に追い込む

 

(それと……魔導師が1人。2人……4人か)

 

オレよりもはるかに高い魔力量が4つ。恐らくネクロを追いかけてきた魔導師だろうが……別にどうでも良い。オレは協力する気なんかないそれよりも早くマドカを戦闘不能にする。それだけを考え間合いを詰めようとさらにフラッシュムーブを使い間合いを詰める

 

「誰?ダレだれだれだだ!?ダレだ!?お前は!!」

 

不味いな。ネクロ化の兆候が見て取れる……それを見た瞬間。オレの中でかつての忌まわしい記憶がフラッシュバックする。護りたかったはずの存在に手をかけた忌まわしき記憶

 

「あ。うおおおおああああああッ!!!!!」

 

それを認識した瞬間。助けるとかどうかとかの考えは全て吹き飛び。オレはただ1つの思考に支配された

 

【ネクロを殺せ】

 

オレはもうそれだけしか考えることが出来なかった……

 

 

 

 

 

突然咆哮をあげた一夏君の白式・白雪がその叫びに呼応するかのように漆黒に染まり。信じられないスピードで動き出すのを見て

 

「ユウリ。貴方何かした!?」

 

「馬鹿なことを言うな。あんなのが出来ると思うか?」

 

形状変化にISカラーの変更。そして異常なほどのスピードUP……ありえないけど……

 

「サードシフト?」

 

ありえないが3回目の形態変化なのではと言う考えが浮かんだ瞬間

 

「おおおおおッ!!!!!!」

 

両腕を突き出し咆哮をあげるとISの装甲が展開しそこから砲門が姿を見せる

 

(あれなんかやばく……ってえ!?うそおっ!?)

 

装甲が展開したことで現れた砲門にエネルギーが集まっていくのが見える

 

「ちっ!ユウリ!楯無!箒とラウラを連れてこっちに来い!ISじゃ防げない!それは魔力弾だ!!」

 

自身も鈴ちゃんを牽引しながら叫ぶ龍也さん。魔力弾ってどういうことなのか訳が判らないけど、無差別攻撃に巻き込まれる前に

 

「ユウリ。ラウラちゃんよろしく!私は箒ちゃんを連れて行くわ」

 

「了解した」

 

距離的には同じくらいだけどユウリが箒ちゃんを牽引するのは正直見たくないのでそう言う。ユウリが怪訝そうな顔をするかなって思ったんだけど

 

「行くぞ。ラウラ」

 

「すまん……PICが不調なんだ」

 

全然気にした素振りを見せず牽引するユウリ。私だけがなんか深く考えただけ?若干複雑な感情を抱きながら箒ちゃんのISをつかんで引っ張っていると

 

「なんか……その」

 

「良い。言わないで」

 

「はい……」

 

箒ちゃんが何を言おうとしているのか判るのでそれを手で制し。龍也さんの後ろに回ると同時に

 

「消えうせろおおおッ!!!!!」

 

咆哮と共にビームの嵐が無差別に放たれる。

 

「グギイイィッ!!!」

 

「ギシャアアアアッ!!!」

 

その大半はネクロに向かって放たれていたが数があまりに多い、龍也さんはその全てを見据え

 

「写・熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)ッ!!!!」

 

前も見た光り輝く花弁のような盾。あの時は7枚出ていたけど今回は3枚だけだ

 

「大丈夫なのか!?」

 

「心配ない。アイアスは投擲武器には無敵だ。それにあの程度の魔力弾。なのは達と比べればただの子供だましだ」

 

その言葉に嘘偽りは無い様で雨のように降り注いでくる弾雨は盾に弾かれ消えていく。全ての弾雨が消えると同時に花弁の盾は空中に溶ける様に消えていく。あれだけの強度と面積があったのに一瞬で消えるその盾を見て、本当に魔法と言うのはすごいと感心してしまう

 

「龍也。一夏はどうしたんだ?まさか……」

 

不安の色を顔に浮かべ、言葉に詰まりながら龍也さんに声を掛けるラウラちゃんに龍也さんは

 

「違う。ネクロ化ではない。何が原因でああなっているかは判らんがな」

 

黒い白式で襲撃者を滅多打ちにしているのを呆然と見ていた織斑先生が

 

「ッ!八神!早く一夏を止めてくれ!あのISの操縦者は「知ってる。織斑マドカだろ?お前たちの妹の」

 

その言葉にはっとなった織斑先生に箒ちゃんが詰め寄りながら

 

「い、妹!?そんな話聞いてない!どういうことなのですか!?」

 

幼馴染であるはずの自分が知らない一夏の訓の家族の事で動じているようで、織斑先生が説明しようとする前に

 

「幼馴染に深刻な家族の話をするわけ無いでしょ、落ち着きなよ。箒」

 

鈴ちゃんが以上に冷めた表情でそう告げる。激昂型に見えるが鈴ちゃんはその実冷静で戦局を見ている感がある、こんなくだらない

とことで時間を潰すのは得策ではないと判断したようだ

 

「あとで説明してくれればいいわ。それよりもISが暴走してるみたいだし、早く止めないと一夏が妹を殺しちゃうわよ。ラウラAICで止めれる?」

 

私やユウリ、そして龍也さんを無視して話を進めていく鈴ちゃん。もしかすると本当に鈴ちゃんは指揮官とまでは言わないけどFAに向いているのかもしれない

 

「そうだな。ISならAICで……「ユウリ手伝え!」「言われなくても!」

 

マドカという少女から奪い取ったガンブレードをこちらに向け乱射してくる

 

「もう!なんでなのよ!」

 

思わずそんなことを叫びながらガンランスで放たれた銃弾を迎撃する。

 

ガガガキンッ!!!!

 

火花を散らし明後日の方向に飛び去っていく銃弾をみて龍也さんが

 

「なんにせよ。ネクロも私達も敵と認識しているようだし、とりあえず……鎮圧(死刑)する」

 

あれ?おかしいな鎮圧の裏に別の言葉が聞こえた気がする。それに難か達也さんの顔が黒い気がする

 

「あ。あの?龍也さん?一夏をどうするの?」

 

冷や汗を流しながら鈴ちゃんが尋ねると龍也さんは

 

「とりあえず叩きのめす。それにあのままほっておくと不味い」

 

龍也さんはそう言うと鋭い眼光で一夏君を見つめながら

 

「とりあえず管制室に行け。巻き込まない自信が無い。どうも……手加減とかを考える相手じゃないようだ」

 

龍也さんの視線の先では多角連続瞬時加速を使い、完璧ともいえるヒット&アゥエイを繰り返している一夏君の姿があった……

 

(あんなのモンドグロッソでも見ないわよ)

 

瞬時加速中に方向転換は操縦者に莫大な負担をかける。だから出来るわけがないのに……

 

「八神。一夏とマドカを頼めるか?」

 

「任せておけ。それと大分頭が柔らかくなったな?過去への旅はいかがだったかね?」

 

「大事なものを思い出せたとだけ言っておこう」

 

そう笑う織斑先生の表情は柔らかく一瞬別人かと思うほどだった

 

「話は終わりだ。こっちにも銃弾やビームが飛んでき始めている。早く管制室へ行くぞ」

 

ユウリがアリーナの出口を見ながら言う。さっきまでのネクロとの戦いとさっきの弾幕の雨。それにマドカとか言う少女の猛攻撃で私達のISのSEはかなりやばいところまで削られている。ここから始まるであろう魔導師の戦いを考えれば安全なところに非難するのが正しい選択だ

 

「た、龍也さん!一夏は一夏はどうなるんですか!?」

 

不安そうな箒ちゃんの頭を軽く撫でた龍也さんはにっと笑い

 

「心配するな。あの馬鹿は少しだけ自分を見失ってるだけだ。心配しなくていい、直ぐにいつもの一夏に戻してやるよ」

 

見ていて安心できる笑みを浮かべた龍也さんはこっちに飛んできた銃弾と魔力弾を弾き飛ばしながら

 

「だから大船に乗ったつもりで待っていろ。あの馬鹿を叩き伏せて、妹やらもちゃんと連れて帰る」

 

そう言うと龍也さんは全身に蒼い光りを纏って宙へと舞い上がった……

 

「行くぞ。このままここにいては八神の邪魔になる」

 

ISを解除して通路を走っていく織斑先生の後をついて私達も管制室のほうへと走り出した

 

 

 

 

 

一体何が起きているんだ?私の右目は一夏を覆うもう1つの魂とでも言うのかその存在を確かに確認していた

 

「零落絶衝ッ!!!!」

 

両手のブレードから飛び出した黒い三日月状の零落白夜を見て

 

(間違いない魔力……どうなっているんだ)

 

一夏に魔導師適性は無かった。それは間違いないはずなのに何故?

 

「うおあああああああッ!!!」

 

「ちっ!完全に暴走しているか!」

 

エリスの暴走のときとは違う。あれは内部からの暴走だ、ISが原因ではないというのは判るが、何が原因なのかが判らない

 

「これは少しばかり不味いな」

 

魔力と零落白夜の特徴を併せ持ったこの飛ぶ一撃。これが不味い……プロテクションも引き裂いてくるので思うように前に進めない。

 

「おうああああああああッ!!!」

 

「ぐっがあああ!?」

 

全身の装甲から魔力弾を放ちながらマドカの頭を掴んでアリーナの壁に叩き付け。そのまま引きずるように加速していく

 

「ぐうっ!あぐ……ああああああッ!!!」

 

ネクロ化仕掛けていることもあり。僅かながら回復しながら一夏に手を伸ばそうとしているマドカだがそうはさせないと。さらにスピードを上げようとしている一夏を見て

 

「ちい!考えている時間はないか!」

 

アリーナには認識阻害の結界を張っている。もうISで戦うとか言っている場合ではない、擬似ISを解除し即座に騎士甲冑を展開と同時に投影を行い

 

「行けッ!!!」

 

両手に黒鍵を投影しそのまま一夏に投げつける。投擲した10本のうち6本は迎撃されたが

 

「がっぐうっ!?貴様も敵かああ!!!」

 

両肩に突き刺さった黒鍵に注意を引かれさっきまで執拗に攻撃を繰り返していたマドカを無視して突っ込んでくる一夏を見て

 

(これは瞬時加速じゃない。これはフラッシュムーブだ)

 

近くで見ると良く判る。ISの装甲のブースターも使われ、瞬時加速のように見えるが……あれは間違いない。フラッシュムーブだ、だけどあれだけモーションが見えているのなら心配ない。

 

(魔力ダメージでノックアウトする)

 

魔力を使っている以上魔力ダメージを与えれば気絶する。そう判断し黒鍵を投擲し

 

「火葬聖典ッ!!」

 

青い魔力の炎を刀身に発生させる。これなら魔力に大ダメージを与えられる、追撃に魔力刃を放つ準備をしていると

 

(なにっ!?)

 

一夏の身体が魔力の粒子となり消えたと思った瞬間。背後に気配を振り返ると

 

「よおっ。何者かは知らないが……目障りだ!消えろッ!零落絶衝ッ!!!!」

 

振り切ると同時に飛び出した黒い刃を見て直感で理解する。

 

(あれは防ごうと思ったら駄目だ。近くで見ると良く判る)

 

刀身から飛び出した刃は螺旋回転する魔力と零落白夜で構築されている。防ごうとすれば螺旋回転している魔力に引き裂かれ、そして絶対防御を強制的に発動させる零落白夜でSEを削り取られる。しかも連射が可能とくれば

 

「舐めないで貰おうかッ!!!」

 

単一技能の複製で手にした木花咲耶を発動させ同じように参式斬艦刀を振るい魔力刃を飛ばす

 

「やはり貴様も魔導師か!」

 

そう言うと同時にまたさっきと同じように気配が消える。完全な気配の遮断と……いやそれだけじゃないな……

 

(撒き散らした魔力の粒子で自身の気配を完全に隠蔽。そしてフラッシュムーブノ連続使用で多角機動)

 

一撃離脱に特化した戦闘スタイル。だがそれでも動きを見る以上

 

(戦闘スタイルは私と同じと見ていいだろう)

 

高速で移動しながら私の隙を窺っている感じがする。とはいえ魔力の気配も気配も何一つ感じないので視線としか感じれないが

私の様子を窺っているのは判る。しかしこのまま見ているだけと言うわけにも行かない。ここは業と隙を出して……

 

「投影開始」

 

当たらないと判っているが両手に再び黒鍵を投影し真上に放り投げる。それと同時に私の背後に魔力が集まり一夏の気配が現れる

 

「貰った!」

 

鋭い突きを紙一重で交わし、伸ばされた剣の柄を掴み

 

「少々甘いんじゃないかね?」

 

上空に放り投げた黒鍵が回転しながら降下して来る。落ちてくる場所は一夏の両肩と太ももだ。魔力でコーティングしてあるからSEは楽に貫ける。手足にダメージは行くがそこは我慢してもらおうと思った瞬間

 

「甘いのは貴様だ」

 

「なんだと!?」

 

黒鍵が刺さろうとした瞬間。一夏の手足が粒子となり消える……ここで私は1つのミスをした、一夏の移動を高速移動だと思ったことが全ての間違いだった

 

(くっ!計算が間違っていたか!?)

 

一夏は高速移動していたのではない。自身を魔力の粒子とし移動していたのだ、それは間違いなく

 

(レアスキルか!?)

 

しかもかなり高位レベルのレアスキルに違いない。一瞬呆けたが拳を握り締め再度放たれた突きを裏拳で弾き、総べるように間合いに滑り込み

 

「羅刹剛手甲!!!」

 

インパクトの瞬間に魔力を開放し威力を爆発的に跳ね上げる。得意な連続攻撃を繰り出すが

 

「オレに攻撃は当たらない」

 

「くっ、馬鹿なっ!」

 

私の裏拳が当たった場所のみ粒子化し攻撃を回避し、その場で半回転し勢いをつけた踵落としを叩き込んでくる一夏。とっさにガードしたが地面に向かって蹴り飛ばされる、頭から落下する前に反転し着地し即座にバックステップする

 

「ちっ!交わしたか!」

 

砲撃がアリーナの床に炸裂する。なのは達と比べると威力は低いがそれでもネクロ相手と考えると十分すぎる威力だ

 

(身体を魔力の粒子と変えて攻撃回避……これは少しばかり骨が折れるな)

 

追撃に放たれた無数の黒い刃を回避しながら両手を握り締め、再び一夏の方へと向かって行った

 

 

 

 

 

黒と金の閃光がアリーナの中の縦横無尽に走り続ける。時折八神と一夏の姿が見えるが直ぐに消える。

 

(一夏。お前はどうしてしまったんだ?)

 

あの剣筋も足裁きも一夏のものなのに、仮面に隠された目からは狂気の色しか映ってない。どうして一夏があんなことになってしまったのか、それがどうしても判らない

 

(私は一夏のことを知っているつもりだったのに、何も判らない)

 

今まで自分がいかに家族を理解しているつもりだったのかを思い知らされるような気がして胸が痛む

 

「状況はどんな感じや!?」

 

私が自分の行いを後悔しているとはやてが両肩にルゥとファウストを担いで管制室に駆け込んできた。まさかあっちもネクロの攻撃が……

 

「り、鈴……私は止めた。止めたんだよ……でもはやてさんが……はやてさんが……」

 

「ちょ!?シェン!?どうしたの大丈夫!?」

 

「ラウラ……私は無力だったんだ。暴君を止める事ができなかった」

 

「クリース!?どうした!?一体何があった!?」

 

放心状態のシェンとクリスに駆け寄る凰とボーデヴィッヒに2人はそう言うと私を見て

 

「「はやてさんが。IS学園のサブアリーナとその周囲を完全に更地にしました」」

 

「てへっ♪ちょっと張り切りすぎてもうた♪」

 

……はっ?更地って……何をしたんだ

 

「ちょい張り切りすぎて重力魔法でぺっちゃんこにしてまった♪」

 

「可愛く言えば許されると思うなアアアアアッ!!!」

 

魔法使いとかどうとかを忘れて本気ではやてのほっぺたを掴み引っ張る

 

「いひゃい!ひゅみません!ぎゃいじょうぶ!ひゃいじょうぶにゃんですううう!」

 

涙目のはやての頬から手を離していると

 

「こっちのネクロは大丈夫!?」

 

「急いできたよ」

 

さっきのはやて達同様肩に放心状態の更識とアマノミヤ、そしてスミスと薄野を抱えた高町とハラオウンが管制室に飛び込んでくる

 

「お前らは何をやってくれたんだ!!!」

 

魔法使いが何をやったのか?そして放心状態の更識達を見て思わず切れた私は、今まで最高と思える速度で出席簿を振り下ろした。そのあと正座させ説明を聞くと

 

「結界とやらで大丈夫なんだな?」

 

「はい。だから核兵器は駄目ですけど……魔法攻撃くらいなら結界内で処理できるので大丈夫です」

 

正座している高町の説明に一安心していると

 

「避けるというのなら避けれない様にしてやろう」

 

八神のドスの利いたとも言える声に振り返ると凰とボーデヴィッヒが呆然としながら

 

「あれ。やばくない?……アリーナ消し飛ぶんじゃ?」

 

「うむ……私もそう思う」

 

「……龍也は怒らせてはいけないな。絶対に」

 

冷や汗を流しているボーデヴィッヒを横にどけてアリーナの中を見ると

 

「遠き地にて闇に沈め!ディアボリック・エミッションッ!!!!」

 

黒い球体が雨霰のように降り注ぎアリーナを容赦なく穴だらけにしていく。しかも当たったとこはひしゃげて消滅している

 

「あちゃー重力魔法や……超本気やね。あれ……」

 

「龍也さんのあれって街の1つくらい簡単に消滅させるんだよね……大丈夫かな、結界」

 

炸裂していく魔法を見て、はやて達があちゃーって感じで呟くなかアリーナでは

 

「くっ!?化け物が!」

 

光が集まり一夏が姿を見せた瞬間。八神がにやりと笑ったのが遠く離れたここでも見えた

 

「聞き分けの無い子供は……1度叩き伏せるに限る!!!」

 

突き出した両手から散弾銃のような蒼い光りが一夏に殺到する

 

「舐めるなあッ!!!」

 

両手のブレードから黒い斬撃を飛ばして迎撃していく一夏だが

 

「はあああああッ!!!」

 

蒼い光としか見えないスピードで突っ込んだ八神が両手を組み合わせて一夏の頭に振り下ろす

 

「あぐっ!?」

 

アリーナの床に向かって叩き付けられた一夏のほうに回りこみ

 

「でやああああッ!!!」

 

「ぐほっ!!!」

 

堕ちて来た一夏の腹にアッパーを叩き込み再び上空に殴り飛ばす。それを見た楯無とユウリがぼそりと

 

「あれ殺す気じゃない?いま普通に装甲をぶち砕いてたけど」

 

どうやら私の見間違いではなかったようだ。龍也の拳が命中した瞬間白式の装甲がひしゃげて砕け散ったのは間違いないようだ

 

「……大丈夫だと思うぞ。龍也は死者蘇生できるらしいからな」

 

「それ殺すってことじゃないの!?」

 

なんかかなり聞き捨てならない情報をユウリがつぶやいた気がするが。今はもうフルボッコの上にフルボッコされている一夏の方が心配だ

 

「物事はスマートにな」

 

そう呟くと一瞬で一夏に追いつき握り締めた拳に蒼い魔力を纏わせ

 

「白虎咬ッ!!!」

 

両腕での連続正拳突き。双撞掌底で白式の装甲を容赦なく陥没させていく

 

「あぐう!この馬鹿力がッ!!!」

 

黒い刃を纏わせた一撃で反撃に出る一夏だが、その動きは先ほどと比べると数段鈍い。八神はそれを軽々回避し、その勢いを利用した、まるで前回りのように回転しながら踵落としをがら空きの一夏の腹に叩き込む

 

「がはっ!!!」

 

白式の全身に皹の入った一夏が降下するのを見て思わず息を呑む。ボーデヴィッヒ達に居たっては小さく悲鳴を上げている

 

「くっ!このままやられて堪るか!」

 

咄嗟に身体を反転させ再び粒子に変えようとする一夏に

 

「この切っ先から逃げれると思うな!舞朱雀ッ!!!」

 

八神の身体がぶれたと思った瞬間。八神が7人に分身し上下左右から肘から現れた刃で一夏を追いかける

 

「ぐっ!何故オレの邪魔をする!!!オレは!オレはああ!?」

 

上下左右から切り裂かれ姿を見せた一夏は顔を覆っている仮面は半分が砕け、白式も僅かな装甲を残しているだけだった

 

「貴様の目的など知らん。だが……塵は塵に灰は灰に変えるが定め。そして亡者は地の底へと還れッ!!」

 

両肘から放電を繰り返す蒼い刃を作り出した八神はアリーナの床に着地すると力強く地面を蹴り。一夏のほうに向かっていく

 

「はやて……大丈夫なの?あれで一夏は死んだりしない?」

 

不安そうな凰の頭を撫でながらはやてが

 

「大丈夫や。どうも今の一夏には変な魔力が纏わりついとる、それを剥ぎ取るには1度完全に気絶させなあかん。中途半端に気絶させて。あの一夏になってまったら嫌やろ?」

 

こくんと頷く凰の頭を再度撫でながら真剣な顔をしているはやてに

 

「変な魔力とは?」

 

クリスのその問い掛けにはやては首を傾げながら。推測やけどと前置きしてから

 

「うーん、ここからやとよう判らんけど……怨念とか憎悪とか……そんな感じの魔力の塊やな。なんでそんなのが一夏に取り憑いてるか判らんけど……そのままにしておくのは余りに危険や」

 

「ネクロ化しやすい状態になる可能性が高いもんね」

 

専門家らしい話を始めるなのはとはやて。一夏のネクロ化なんて冗談じゃない。ここは専門家に任せて私達は一夏が元に戻ることを祈るしかなかった

 

「コード麒麟ッ!この一撃で冥府にもどれッ!!!」

 

光り輝く蒼い刃が一夏に振り下ろされる。それは一夏と白式を覆っていた黒い障壁を切り裂き白式の装甲を真一文字に引き裂いた

 

「あがっぐうううう……」

 

黒い装甲が徐々に白い装甲に色を変えていき、仮面が皹が入っていく

 

「これでトドメだッ!!!」

 

その場で半回転し八神が横薙ぎを放とうとした瞬間

 

「ッ!!!」

 

紅い輝きを放つ刀が投げ入れられ八神が気絶した一夏を掴んで後ろに跳ぶと同時に、空間が割けそこからローブを身に纏った何者かが姿を見せた。その新たな襲撃者の手の中に戻った剣を見て思わず私は

 

「馬鹿な……雪片だと……」

 

色こそ違えどそれは雪片そのものだった。そしてローブから出ているISの装甲も暮桜と全く同じ形状をしていた……

 

 

 

 

 

「ちっ。仕留め損ねたか」

 

舌打ちする声は女の声だった。左手で掴み寄せた一夏を見て舌打ちする

 

(しくじった)

 

一夏を覆っていた黒い魔力は完全に消し去ることが出来ず。また一夏の中に戻ってしまった。あの一打が打ち込めていれば……

 

「まぁ良い。今はまだ動くなと念を押されている。奪える物なら奪う予定だったが。致し方ない」

 

くっくっくと笑う声。そしてさっきの暮桜……それにこの口調

 

「貴様。亡国企業を潰したネクロだな」

 

スコールに見せられた画像のネクロだ。出来る事なら千冬や箒の居ないうちに倒しておきたかったが……私の予想通りならこのネクロは間違いなく……

 

「ほう……良く知っているな。八神龍也、ラクシュミやヴォドォンに聞いたとおりかなりの情報網を持っているようだな」

 

楽しそうに笑うネクロはローブの中から手を一夏の方へ差し伸べて

 

「ふふふふ!あははっ!!その一夏は私の良く知る一夏のようだ……いずれ貰い受ける。一夏は私だけのものだ」

 

狂ったように笑い出すネクロ……その笑いが段々大きくなり被っていたフードが外れる。そこには私の予想通りの顔があった

 

「やはり……平行世界の……」

 

「ふふん、その通りとだけ言っておこうか」

 

短く切り揃えられた黒髪と鷹のような目付き。そして瞳孔が縦に割れ白目と黒目が反転したオリムラチフユの姿だった

 

「別に戦っていないんだ。顔くらい見られても何の問題も無いか……」

 

くっくと笑ったオリムラチフユは気絶している一夏をもう1度見て、狂気と愛情の入り混じった光りをその目に宿し

 

「ふふふ……いずれまた会おう」

 

空間を引き裂きその中に飛び込み消えていく。追いかける……考えるまでも無く愚策だな……消耗した状態で敵の本陣で単独で乗り込む。どう考えても死にに行く様な物だ……そんなことを考えているうちに開かれていた空間が閉じる

 

「はー……また問題ごとが増えたか」

 

管制室から感じるあわただしい気配。恐らく自分を見た千冬が動揺しているというところか……説明しないと不味いな。そんなことを考えながらアリーナの片隅で気絶しているマドカを方に行き。近くに一夏を寝かせる

 

(2人とも相当やられてるな)

 

マドカはISに寄生していたネクロの魔力とそしてさっきの一夏の黒い零落白夜によって酷い魔力ダメージの後が全身に見て取れる

 

一夏はあの謎の魔力そして乱用していた。身体を粒子に変えるレアスキルのせいであちこちの腱が傷ついているのが判る。2人の周囲に剣を突き立て、浄焔を固形化しその剣の柄の上に乗せて体内に残っているネクロの魔力を完全に浄化する

 

「これで取りあえずは良いか」

 

マドカと一夏を肩に担ぎ、管制室に戻りながら。どうやって説明するかを考えるのだった……

 

第80話に続く

 

 

 




はい。謎の襲撃者はネクロ化した平行世界の「織斑千冬」でした。何回か伏線を張っていたので気付いてもらえたと思います

次回は説明会とマドカのこれからの処遇になります。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします
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